JP2019163775A - 湿式多板クラッチ及びトランスファー - Google Patents

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Abstract

【課題】トルクカットの設定値を一定にできる湿式多板クラッチ及びトランスファーを提供する。【解決手段】湿式多板クラッチ8は、回転される入力部17と、入力部17と同軸に配置されると共に入力部17から径方向に離間して配置される出力部18と、入力部17及び出力部18の間に軸方向に交互に配置されると共に、入力部17及び出力部18に交互にスプライン嵌合される入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14とを備え、互いに隣り合う入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14の一方の表面には、他方の表面に対して内周側から当接するように傾斜される摩擦傾斜面21が形成されるものである。【選択図】図4

Description

本開示は、湿式多板クラッチ及び湿式多板クラッチを備えるトランスファーに関する。
湿式多板クラッチは、入力側の摩擦板と出力側の摩擦板とを交互に重ね合わせ、隣り合う摩擦板同士を当接させることで接となり、摩擦板同士を離間させることで断となる。また、摩擦板には、摩擦ライニングキャリアと、摩擦ライニングキャリアの両面又は片面に取り付けられる摩擦ライニングとを備えるものがある。
摩擦ライニングキャリアは、板状に形成されると共にリング状に形成される。摩擦ライニングは、摩擦面を形成する。
特許文献1には、湿式多板クラッチを備えるトランスファーが開示される。
特開平10−226247号公報 特開2003−130084号公報 特開2003−28218号公報 特開2007−132362号公報 特開2008−38963号公報 特開2008−180314号公報 特開2008−185116号公報 特開2009−52601号公報 特開2012−229765号公報
ところで、FRをベースとするトランスファーでは、前輪駆動側の駆動部品を保護する目的で湿式多板クラッチにトルクカット機能を付与する場合がある。このトルクカット機能とは、湿式多板クラッチに入力側または出力側から予め設定された設定値以上の衝撃トルクが作用したとき、湿式多板クラッチの摩擦板同士を意図的に滑らせてトルクを切断する機能である。
しかしながら、湿式多板クラッチは個体によって摩擦板同士の当たりが異なるため、摩擦板の摩擦特性を安定させることが難しく、前記設定値にばらつきが生じ易いという課題がある。
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、トルクカットの設定値を一定にできる湿式多板クラッチ及びトランスファーを提供することにある。
本開示の一の態様によれば、回転される入力部と、前記入力部と同軸に配置されると共に入力部から径方向に離間して配置される出力部と、前記入力部及び前記出力部の間に軸方向に交互に配置されると共に、前記入力部及び前記出力部に交互にスプライン嵌合される入力側摩擦板及び出力側摩擦板とを備え、
互いに隣り合う前記摩擦板の一方の表面には、他方の表面に対して内周側から当接するように傾斜される摩擦傾斜面が形成されることを特徴とする湿式多板クラッチが提供される。
好ましくは、前記摩擦傾斜面には、溝が形成されるとよい。
また、本開示の一の態様によれば、出力軸からの回転駆動力を主入力軸に伝達するための主軸と、前記主軸の回転駆動力を副入力軸に選択的に伝達するための副軸と、前記主軸からの回転駆動力を前記副軸に断接可能に接続する湿式多板クラッチと、前記湿式多板クラッチを駆動させるアクチュエータとを備え、
前記湿式多板クラッチが、前記主軸と一体に回転する入力部と、前記入力部と同軸に配置されると共に前記入力部から径方向に離間して配置され前記副軸に接続される出力部と、前記入力部及び前記出力部の間に軸方向に交互に配置されると共に、前記入力部及び前記出力部に交互にスプライン嵌合される入力側摩擦板及び出力側摩擦板とを備え、
互いに隣り合う前記摩擦板の一方の表面には、他方の表面に対して内周側から当接するように傾斜される摩擦傾斜面が形成されることを特徴とするトランスファーが提供される。
好ましくは、前記出力軸が、車両のトランスミッションの出力軸であり、
前記主入力軸が、前記車両の後輪に回転駆動力を伝達するためのプロペラシャフトであり、
前記副入力軸が、前記車両の前輪に回転駆動力を伝達するためのフロントデファレンシャルギアの入力軸であるとよい。
好ましくは、前記摩擦傾斜面には、溝が形成されるとよい。
本開示によれば、トルクカットの設定値を一定にできる。
本開示の一実施の形態に係るトランスファーが適用される車両の概略平面図である。 トランスファーの断面図である。 トランスファーの要部断面図である。 トランスファーの湿式多板クラッチの断面図である。 摩擦板の正面図である。 他の実施の形態を示す摩擦板の正面図である。 他の実施の形態を示す湿式多板クラッチの断面図である。 他の実施の形態を示す湿式多板クラッチの断面図である。 他の実施の形態を示す湿式多板クラッチの断面図である。
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、後述する実施の形態における前後左右上下の各方向は、本実施形態に係るトランスファーが適用される車両の各方向をいうものとする。但しこれら各方向が説明の便宜上定められたものに過ぎない点に留意されたい。
図1は、本実施形態に係るトランスファー1が適用される車両Cの概略平面図である。
図1に示すように、本実施の形態において車両Cは、FR車(フロントエンジン・リアドライブ車)ベースのパートタイム4WD車(四輪駆動車)である。車両Cの駆動源たるエンジンEからの回転駆動力は、トランスミッションM、トランスファー1及びプロペラシャフト2を介してリアデファレンシャルギア3に伝達される。なお、駆動源はエンジンEに限るものではなく、電動モータ等であってもよい。リアデファレンシャルギア3は、左右の後輪R、Rに連結される。また、トランスファー1は、トランスミッションMからの回転駆動力を選択的にフロントデファレンシャルギア4に伝達する。フロントデファレンシャルギア4は、左右の操舵輪たる前輪F、Fに連結される。すなわち、後輪R、Rは、トランスミッションMからの回転駆動力を常に受ける主駆動輪として機能し、前輪F、Fは、トランスミッションMからの回転駆動力を選択的に受ける副駆動輪として機能する。
トランスファー1は、トランスミッションMからの回転駆動力をプロペラシャフト2に伝達すると共に、フロントデファレンシャルギア4に選択的に伝達するように構成される。
図2は、トランスファー1の断面図である。図1及び図2に示すように、トランスファー1は、トランスミッションMの出力軸5からの回転駆動力を主入力軸たるプロペラシャフト2に伝達するための主軸6と、主軸6の回転駆動力を副入力軸たるフロントデファレンシャルギア4の入力軸4aに選択的に伝達するための副軸7と、主軸6からの回転駆動力を副軸7に断接可能に接続する湿式多板クラッチ8と、湿式多板クラッチ8を駆動させるアクチュエータ9とを備える。
主軸6は、前後に延びて形成され、トランスファー1のケーシング1aにベアリング10を介して回転自在に支持される。主軸6は、トランスミッションMの出力軸5と同軸に配置されると共に、出力軸5に前端部をスプライン嵌合される。また、主軸6は、プロペラシャフト2と同軸に配置されると共に、プロペラシャフト2に後端部をフランジ結合される。また、主軸6の外周には、伝動チェーン11を掛け回すための第1スプロケット12がニードルベアリングNを介して回転自在に設けられる。第1スプロケット12には、伝動チェーン11と係合される歯部12aより小径に形成されると共に後方に延びる後延部12bが設けられる。後延部12bの後端には、後述する入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14を受けるべく径方向外方に延びるクラッチ受部15が設けられる。
副軸7は、主軸6と平行に配置されると共に、ケーシング1aにベアリング10を介して回転自在に支持される。副軸7には、伝動チェーン11を掛け回すための第2スプロケット16が一体に設けられる。副軸7は、フロントデファレンシャルギア4の入力軸4aにフランジ結合される。
図3は、トランスファー1の要部拡大図である。図4は、湿式多板クラッチ8の断面図である。図3及び図4に示すように、湿式多板クラッチ8は、主軸6と一体に回転する入力部17と、入力部17と同軸に配置されると共に入力部17から径方向に離間して配置される出力部18と、入力部17及び出力部18の間に軸方向(前後方向)に複数配置される入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14とを備える。入力部17は、筒状に形成され主軸6の外周に設けられる。具体的には、入力部17は、第1スプロケット12の後方に隣接して配置され、主軸6の外周にスプライン嵌合される。これにより、入力部17は主軸6と一体に回転される。また、入力部17の外周面には、軸方向に延びる入力側スプライン溝17aが周方向に複数形成される。出力部18は、入力部17の外周を囲む大径の筒状に形成される。出力部18は、クラッチ受部15に、後方に延びて設けられると共に、主軸6と同軸となるように設けられる。これにより、出力部18は、入力部17と同軸に配置されると共に、入力部17の外周を一定の間隔を隔てて囲む。出力部18の内周面には、軸方向に延びる出力側スプライン溝18aが周方向に複数形成される。
図4及び図5に示すように、入力側摩擦板13は、入力側スプライン溝17aにスプライン嵌合される。入力側摩擦板13は、板状かつリング状に形成される摩擦ライニングキャリア19と、摩擦ライニングキャリア19の両面に設けられ出力側摩擦板14と摩擦される摩擦ライニング20とを備える。
摩擦ライニングキャリア19は、金属にて形成され、内周に入力側スプライン溝17aとスプライン嵌合される爪19aを有する。これにより、摩擦ライニングキャリア19は、入力部17に対して周方向の移動を規制されると共に、軸方向の移動を許容される。また、摩擦ライニングキャリア19は、外径を出力部18の内径より小さく形成されており、出力部18から離間される。
またさらに、摩擦ライニングキャリア19には、摩擦ライニング20に摩擦傾斜面21を形成させるためのキャリア傾斜面19bが形成される。摩擦傾斜面21は、摩擦ライニング20の表面、すなわち入力側摩擦板13の表面に形成され、隣接する出力側摩擦板14に対して摩擦ライニング20を内周側から当接させるためのものである。キャリア傾斜面19bは、摩擦ライニングキャリア19の軸方向の面(前面及び後面)を外周側より内周側を軸方向(前方及び後方)に突出させるように傾斜させて形成される。キャリア傾斜面19bに均等な厚さの摩擦ライニング20を設けることで摩擦ライニング20の表面が摩擦傾斜面21となる。摩擦傾斜面21の傾斜角度θは、キャリア傾斜面19bの傾斜角度と同じになる。キャリア傾斜面19b及び摩擦傾斜面21の傾斜角度θは、湿式摩擦クラッチが接となったとき、摩擦ライニング20の全面が出力側摩擦板14に圧着されるように僅かな微小角度に設定される。すなわち、キャリア傾斜面19b及び摩擦傾斜面21の傾斜角度θは、摩擦ライニング20がアクチュエータ9によって出力側摩擦板14に押し付けられて弾性変形されたとき、摩擦ライニング20の全面を出力側摩擦板14に圧着させるように設定される。また、キャリア傾斜面19b及び摩擦傾斜面21は、摩擦ライニングキャリア19及び摩擦ライニング20の軸方向の両面(前面及び後面)に形成される。すなわち、摩擦ライニングキャリア19は、外周側より内周側の板厚寸法が大きいと共に、軸方向に対称な断面テーパ状に形成される。
なお、キャリア傾斜面19及び摩擦傾斜面21は、必ずしも摩擦ライニングキャリア19及び摩擦ライニング20の両面に形成されなくともよい。例えば、軸方向の最も端に位置する入力側摩擦板13の片面が出力側摩擦板14と隣接されない場合、その摩擦ライニングキャリア19及び摩擦ライニング20の片面にキャリア傾斜面19b及び摩擦傾斜面21は形成されなくともよい。
摩擦ライニング20は、紙を含有する繊維材料でシート状に形成される。摩擦ライニング20は、均等な厚さに形成される。また、摩擦ライニング20の表面、すなわち、摩擦傾斜面21には、摩擦特性を安定化させるための溝22が形成される。溝22は、摩擦ライニングキャリア19と中心を同じにする螺旋状に形成される。なお、摩擦ライニング20は、カーボンで構成されてもよい。
結果的に、入力側摩擦板13は、摩擦ライニングキャリア19と摩擦ライニング20とを足し合わせた厚さを、外周側から内周側に向かうにつれて大きくするように形成される。
出力側摩擦板14は、出力側スプライン溝18aにスプライン嵌合される。出力側摩擦板14は、金属にて板状かつリング状に形成される。出力側摩擦板14は、外周に出力側スプライン溝18aとスプライン嵌合される爪14aを有する。これにより、出力側摩擦板14は、出力部18に周方向の移動を規制されると共に、軸方向の移動を許容される。また、出力側摩擦板14は、内径を入力部17の外径より大きく形成されており、入力部17から離間される。出力側摩擦板14は、均等な厚さに設定される。
また、入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14の後方には、これらを前方に押すためのプッシュプレート23が配設される。プッシュプレート23は、板状かつリング状に形成され、内周を入力側スプライン溝17aにスプライン嵌合されると共に外周を出力側スプライン溝18aから離間される。なお、プッシュプレート23は外周を出力側スプライン溝18aにスプライン嵌合され、内周を入力側スプライン溝17aから離間されるものであってもよい。また、プッシュプレート23は、後述する第2カムブロック27に一体に設けられるものであってもよい。この場合、プッシュプレート23は、入力側スプライン溝17aにスプライン嵌合され、出力側スプライン溝18aから離間されるものであってもよく、入力側スプライン溝17a及び出力側スプライン溝18aの双方から離間されるものであってもよい。
図3に示すように、アクチュエータ9は、駆動源としての電磁石24と、電磁石24の前方に配置されるアーマチャ25と、アーマチャ25と電磁石24の間に介在されるリング状のコア29と、コア29の径方向内方に配設されると共にコア29に圧入固定される第1カムブロック26と、第1カムブロック26の前方に隣接されると共にアーマチャ25の径方向内方に隣接されて配設される第2カムブロック27と、第1カムブロック26及び第2カムブロック27間に配設されるボール28とを備える。
電磁石24は、ケーシング1aに固定される。電磁石24は、外部の制御装置(図示せず)により通電されることで磁界を発生させる。アーマチャ25は、鋼鉄等の磁性材で構成され、電磁石24から磁界が発生されたとき電磁石24に吸引されコア29と圧着する。アーマチャ25は、リング状に形成され、外周を出力側スプライン溝18aにスプライン嵌合される。また、アーマチャ25には、コア29と摩擦される摩擦面25aが形成される。
第1カムブロック26は、リング状に形成され、主軸6に対して周方向及び軸方向に移動可能に嵌合される。また、第1カムブロック26は、第1カムブロック26より後方の主軸6に設けられた拡径部30にスラスト軸受31を介して軸方向に支持される。これにより第1カムブロック26は、後方への移動を規制されつつ回転自在に支持される。
第2カムブロック27は、内周を入力側スプライン溝17aにスプライン嵌合される。これにより、第2カムブロック27は入力部17に周方向の移動を規制されると共に、軸方向の移動を許容される。第2カムブロック27は、前方に移動されることでプッシュプレート23を前方に押す。
また、第1カムブロック26及び第2カムブロック27には、ボール28を受けるためのカム溝26a、27aが対向して形成されると共に、周方向に複数形成される。カム溝26a、27aは、それぞれ周方向に延びる三日月形に形成される。また、カム溝26a、27aは、中央部から両端部に向かうにつれて溝幅が狭くなると共に、溝深さが浅くなるように形成される。
ボール28は、対向するカム溝26a、27a間に配設される。これにより、ボール28は、第1カムブロック26に第2カムブロック27からの回転駆動力を伝達すると共に、第1カムブロック26と第2カムブロック27との間に回転差が生じたとき第1カムブロック26に対して第2カムブロック27を前方に押すように機能する。図中の符号32は、第2カムブロックを後方に戻すためのスプリングである。
なお、アクチュエータ9は、これに限るものではない。アクチュエータ9は、湿式多板クラッチ8を駆動できるものであればよい。アクチュエータ9又はその駆動源は、電動モーター、油圧モーター、電動シリンダ、油圧シリンダ等で構成されてもよい。また、アーマチャ25が出力側スプライン溝18aにスプライン嵌合され、第2カムブロック27が入力側スプライン溝17aにスプライン嵌合されるものとしたが、逆にアーマチャ25が入力側スプライン溝17aにスプライン嵌合され、第2カムブロック27が出力側スプライン溝18aにスプライン嵌合されてもよい。
また、湿式多板クラッチ8には、予め設定された設定値以上の衝撃トルクが主軸6側または副軸7側から入力されたとき、入力側摩擦板13と出力側摩擦板14とを滑らせて衝撃トルクの伝達をカットするトルクカット機能が付与される。前記設定値は、入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14の摩擦係数を調節すると共に、アクチュエータ9が入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14を押圧する力を調節することで設定される。
次に、本実施の形態の作用について述べる。
電磁石24に通電されないとき、湿式多板クラッチ8は断状態となる。このため、主軸6の回転駆動力はプロペラシャフト2に伝達され、副軸7には伝達されない。すなわち、車両Cは後輪駆動状態となる。
この状態から電磁石24に通電されると、アーマチャ25が後方の電磁石24に吸引され、後方に移動される。後方に移動されたアーマチャ25は、第1カムブロック26が圧入固定されたコア29に圧着される。このとき第1カムブロック26は、第2カムブロック27からの回転駆動力で回転されている。このため、アーマチャ25とコア29との間で摩擦が生じ、第1カムブロック26は、第2カムブロック27に対して回動される。これにより、対向するカム溝26a、27a同士が相対的に周方向に移動される。そして、ボール28は、カム溝26a、27aに沿って転がることでカム溝26a、27aの端部に移動される。カム溝26a、27aは、中央部から端部に向かうにつれて溝深さが浅くなる。このため、第2カムブロック27は、第1カムブロック26に対して前方に押され、プッシュプレート23を前方に押す。前方に押されたプッシュプレート23は、入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14を前方に押す。これにより、入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14はプッシュプレート23とクラッチ受部15とに挟まれて接状態となる。入力側摩擦板13から回転駆動力を受けた出力側摩擦板14は、出力部18に回転駆動力を伝達する。これにより、出力部18は入力部17と一体に回転され、第1スプロケット12に回転駆動力を伝達する。第1スプロケット12に伝達された回転駆動力は、伝動チェーン11を介して第2スプロケット16及び副軸7に伝達される。副軸7に伝達された回転駆動力は、フロントデファレンシャルギア4を介して前輪Fに伝達される。こうして、エンジン駆動力が後輪R、Rのみならず前輪F、Fにも伝達される。すなわち、車両Cが四輪駆動状態となる。
ところで、クラッチ接のときに後輪R、Rがスリップする等して主軸6側から湿式多板クラッチ8に前記設定値以上の衝撃トルクが入力されたとき、出力側摩擦板14に対して入力側摩擦板13が滑って衝撃トルクの伝達をカットする。このとき、仮に入力側摩擦板13と出力側摩擦板14との双方に摩擦傾斜面21が形成されていない場合、入力側摩擦板13と出力側摩擦板14の強く当たる位置にばらつきが生じる。このため、例えば入力側摩擦板13と出力側摩擦板14が外周側で強く当たる湿式多板クラッチは、内周側で強く当たる湿式多板クラッチより入力側摩擦板13と出力側摩擦板14とが滑りにくくなり、カットトルク値が上昇側に振れる。こうして個体によって設定値にばらつきが生じる。
しかし、本実施の形態に係る湿式多板クラッチ8は、入力側摩擦板13に摩擦傾斜面21が形成されるため、入力側摩擦板13と出力側摩擦板14は常に内周側が強く当たることとなり、静摩擦特性がいずれの個体でも同様となる。そしてこれにより、いずれの個体でも前記設定値を一定にでき、前記設定値以上の衝撃トルクが湿式多板クラッチ8に入力されたとき、安定してトルクカットを行うことができる。
また、摩擦傾斜面21に形成された溝22は、ケーシング1a内に収容されたミッションオイルを含むことで入力側摩擦板13と出力側摩擦板14の摩擦特性を安定化させ、設定値のばらつきを小さくする。
また、本実施の形態に係る湿式多板クラッチ8によれば、粘性抵抗を低減し、引き摺りトルクの発生を抑制することが可能となる。
引き摺りトルクは、入力側摩擦板と出力側摩擦板とが離間状態において、入力側摩擦板と出力側摩擦板との回転数の差に起因してこれら2つの摩擦板間に存在する油の粘性抵抗によって伝達されるトルクであり、車両の燃費悪化の一因となるものである。そのため特許文献2−9には、湿式多板クラッチの摩擦板のライニング表面に油溝を形成しオイルの排出性を高めて引き摺りトルクの低減を図ったクラッチ摩擦板が開示されている。
しかしながら、引き摺りトルクの低減は常に求められるものであり、上記従来技術によって満足されるものではない。
一般に、摩擦クラッチ装置やブレーキ装置における引き摺りトルクは、湿式摩擦プレートに設けられた摩擦材の総面積に依存することが知られている。すなわち、湿式摩擦プレートに設けられた摩擦材の総面積の減少とともに引き摺りトルクも減少する。しかし、摩擦材の総面積を減少させると摩擦クラッチ装置における回転駆動力の伝達能力が低下するため、単純に摩擦材の総面積を減少させることはできない。
しかし、本実施の形態に係る湿式多板クラッチ8によれば、互いに隣り合う摩擦板13、14の一方の表面には、他方の表面に対して内周側から当接するように傾斜される摩擦傾斜面21が形成されるため、クラッチの切断時、入力側摩擦板13と出力側摩擦板14とが離間した状態における入力側摩擦板13と出力側摩擦板14との間に介在する空間は外周側に向かって広く形成されており、介在するオイルの外周側への積極的な排出を促すことによって、粘性抵抗を低減し、引き摺りトルクの発生を抑制することが可能となる。
以上、本開示の基本実施形態を詳細に述べたが、本開示は以下のような他の実施形態も可能である。
(1)図6に示すように、摩擦傾斜面21に形成される溝22は、放射状に、かつ、湾曲して延びるものであってもよい。また、両端が外部に開放された溝22について説明したが、溝22は、両端又は一端を閉じたものであってもよい。
(2)図7に示すように、摩擦ライニングキャリア19は、均等な厚さの板状に形成され、摩擦ライニング20は、外周側より内周側の厚さを厚くされた断面テーパ状に形成されてもよい。
(3)図8に示すように、摩擦ライニング20及び摩擦ライニングキャリア19の双方が外周側より内周側の厚さを厚くされた断面テーパ状に形成されてもよい。
(4)径方向に対する摩擦傾斜面21の傾斜角度θが保たれれば、摩擦ライニング20及び摩擦ライニングキャリア19の断面形状は如何なるものであってもよい。例えば、摩擦ライニングキャリア19と摩擦ライニング20の合わせ面は、凹凸を有するものであってもよい。また、摩擦ライニングキャリア19は、外周側の厚さが内周側より厚い逆テーパ状の断面形状であってもよい。
(5)図9に示すように、出力側摩擦板14が摩擦ライニングキャリア19と摩擦ライニング20を備えるものであってもよい。この場合、摩擦ライニング20には、摩擦傾斜面21、すなわち、摩擦ライニング20の軸方向の面(前面及び後面)を外周側より内周側を軸方向(前方及び後方)に突出させるように傾斜させる傾斜面が形成されるとよい。入力側摩擦板13は、ライニング無しにされると共に、一定の厚さにされるとよい。
(6)入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14の双方が摩擦ライニングキャリア19と摩擦ライニング20とを備えるものとしてもよい。この場合、入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14のいずれか一方の摩擦ライニング20には摩擦傾斜面21が形成され、他方の摩擦ライニング20には摩擦傾斜面21がなく軸方向に対して垂直な面が形成されるとよい。
(7)入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14の双方が金属で構成されるもの、すなわち、摩擦ライニング20を備えず、金属面同士を当接させるものとしてもよい。この場合、入力側摩擦板13及び出力側摩擦板14のいずれか一方には金属の摩擦傾斜面21が形成され、他方には摩擦傾斜面21がなく軸方向に対して垂直な金属の面が形成されるとよい。
(8)前述の基本実施形態では、主軸6は、前端部をトランスミッションMの出力軸5にスプライン嵌合され、後端部をプロペラシャフト2にフランジ結合されるものとした。しかし、トランスミッションMの出力軸5及び主軸6の結合方法或いは主軸6及びプロペラシャフト2の係合方法は他の方法でもよい。例えばセレーション、キーとキー溝の組み合わせ、歯車、または角軸と角穴の組み合わせ等の様々な同軸接続構造により係合させてもよい。
(9)前述の基本実施形態のトランスファー1は、FR車ベースのパートタイム4WD車において、トランスミッションMの出力軸5からの回転駆動力を、フロントデファレンシャルギア4の入力軸4aに選択的に伝達するよう適用される。しかしながら、本開示に係るトランスファー1の用途はこれに限定されない。衝撃トルクから保護すべき何等かの入力軸に選択的に回転駆動力を伝達したい場合、本開示に係るトランスファー1は好適に使用可能である。それ故、本開示に係るトランスファー1は、車両以外の分野にも適用可能である。
前述の各実施形態の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
17 入力部
18 出力部
13 入力側摩擦板
14 出力側摩擦板
21 摩擦傾斜面

Claims (5)

  1. 回転される入力部と、前記入力部と同軸に配置されると共に入力部から径方向に離間して配置される出力部と、前記入力部及び前記出力部の間に軸方向に交互に配置されると共に、前記入力部及び前記出力部に交互にスプライン嵌合される入力側摩擦板及び出力側摩擦板とを備え、
    互いに隣り合う前記入力側摩擦板及び出力側摩擦板の一方の表面には、他方の表面に対して内周側から当接するように傾斜される摩擦傾斜面が形成されることを特徴とする湿式多板クラッチ。
  2. 前記摩擦傾斜面には、溝が形成される請求項1に記載の湿式多板クラッチ。
  3. 出力軸からの回転駆動力を主入力軸に伝達するための主軸と、前記主軸の回転駆動力を副入力軸に選択的に伝達するための副軸と、前記主軸からの回転駆動力を前記副軸に断接可能に接続する湿式多板クラッチと、前記湿式多板クラッチを駆動させるアクチュエータとを備え、
    前記湿式多板クラッチが、前記主軸と一体に回転する入力部と、前記入力部と同軸に配置されると共に前記入力部から径方向に離間して配置され前記副軸に接続される出力部と、前記入力部及び前記出力部の間に軸方向に交互に配置されると共に、前記入力部及び前記出力部に交互にスプライン嵌合される入力側摩擦板及び出力側摩擦板とを備え、
    互いに隣り合う前記入力側摩擦板及び出力側摩擦板の一方の表面には、他方の表面に対して内周側から当接するように傾斜される摩擦傾斜面が形成されることを特徴とするトランスファー。
  4. 前記出力軸が、車両のトランスミッションの出力軸であり、
    前記主入力軸が、前記車両の後輪に回転駆動力を伝達するためのプロペラシャフトであり、
    前記副入力軸が、前記車両の前輪に回転駆動力を伝達するためのフロントデファレンシャルギアの入力軸である請求項3に記載のトランスファー。
  5. 前記摩擦傾斜面には、溝が形成される請求項3又は4に記載のトランスファー。
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