JP2019161554A - 画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラム - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】文字の大きさだけではなく、文字そのものの複雑さや、フォントの種類によっても、空間周波数の特性は異なってくるため、従来の手法では、必ずしも最適なフィルタを使用したエッジ強調を行うことができない。【解決手段】画像データの画素の像域を判定し、文字属性と判定された画素を含む周辺領域の画像データの周波数解析を行う。その解析の結果、前記画像データが有する周波成分に応じて、複数のフィルタの中から1つのフィルタを選択し、該選択されたフィルタを使用して、前記画素にフィルタ処理を実行する。【選択図】 図8

Description

本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及び、プログラムに関する。
現在、MFP(Multifunction Printer)等の画像形成装置では、備え付けられたスキャナやADF(Auto Document Feeder)により原稿を読み取り、読み取った画像に対してさまざまな画像処理を行ってコピー、保存、送信等が行われる。ここでの画像処理には、原稿の文字部と写真部とを判定する像域判定処理や、色空間を変換する処理や、スキャナのMTF(Modulation Transfer Function)によって発生する鮮鋭度の低下を補正する処理などが含まれる。
特許文献1には、スキャナのMTFにより鮮鋭度が低下した画像に対し、原稿の文字サイズを推定し、小さな文字には、空間周波数の高域の周波数領域(以下、高周波成分)の応答が高い特性をもつフィルタを用いてエッジ強調を行う。一方、大きな文字には、空間周波数の中域の周波数領域(以下、中周波数成分)の応答が高い特性を持つフィルタを用いてエッジ強調を行うというフィルタ処理が記載されている。
特開2015−49631号公報
しかし、文字の大きさだけではなく、文字そのものの複雑さや、フォントの種類によっても、空間周波数の特性は異なってくる。また、1つの文字でも、その文字は種々な周波数特性をもつ線や点で構成されているため、上述の特許文献1に記載の手法では、必ずしも最適なフィルタを用いてエッジ強調することにはならない。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決することにある。
本発明の目的は、文字の線の細かい箇所も、文字の線の太い箇所も鮮明に表現できる技術を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
画像データの画素の像域を判定する像域判定手段と、
前記像域判定手段により文字属性と判定された画素を含む周辺領域の画像データの周波数解析を行う解析手段と、
前記解析手段による解析の結果、前記画像データが有する周波成分に応じて、複数のフィルタの中から1つのフィルタを選択し、該選択されたフィルタを使用して、前記画素にフィルタ処理を実行するフィルタ処理手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、文字の線の細かい箇所も、文字の線の太い箇所も鮮明に表現できるという効果がある。
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。尚、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
本発明の実施形態1に係る印刷システムの全体構成を説明する図。 実施形態1に係る画像形成装置に対してユーザがコピーを指示するときの処理の流れを示すシーケンス図。 実施形態1に係る画像形成装置の操作部に表示される画面例を示す図。 図2のS206で原稿を読み取って得られた画像データの一例を示す図。 実施形態に係る画像形成装置の機能を実現するソフトウェア構成を説明する機能ブロック図。 実施形態1に係るスキャナ画像処理部の機能構成例を示すブロック図。 フィルタ処理部が実行する一般的なフィルタ処理を説明するフローチャート。 実施形態1に係るフィルタ処理部が実行するフィルタ処理を説明するフローチャート。 実施形態2に係るフィルタ処理部が実行するフィルタ処理を説明するフローチャート。 文字領域の文字の先鋭化を説明する図。 文字領域の文字の先鋭化を説明する図。 写真領域のスムージングを説明する図。 フィルタの周波数特性を説明する図。 文字属性の領域の文字の一例を示す図。 像域処理部による像域判定処理の判定結果を説明する図。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。尚、本実施形態では、本発明の画像処理装置を、例えば複合機などの画像形成装置を例に説明するが、本発明はこのような画像形成装置に限らず、例えば通信装置や情報端末、PCなどにも適用できる。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る印刷システムの全体構成を説明する図である。
この印刷システムは、コピー処理が可能な複合機(MFP)である画像形成装置101とPC102とを有し、これらはLAN103を介して相互に通信可能に接続されている。そして、PC102から、ページ記述言語(Page Description Language:PDL)で記述された印刷対象の画像データ(以降、PDLデータ)が、LAN103を介して画像形成装置101に送信され、印刷出力される。また図1には、画像形成装置101の内部構成(ハードウェア構成)も示されている。以下、画像形成装置101の内部構成について説明する。
CPU111を含む制御部110は、画像形成装置101全体の動作を制御する。CPU111は、ROM112に記憶されたブートプログラムを実行してHDD114に格納されているプログラムをRAM113に展開し、その展開したプログラムを実行して読取制御や送信制御等の各種制御を行う。CPU111は単独のプロセッサでもよいし、複数のプロセッサで構成されてもよい。RAM113は、CPU111の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD114は、画像データや各種プログラム、或いは各種情報テーブルを記憶する。
操作部I/F115は、操作部120と制御部110とを接続するインタフェースである。操作部120には、タッチパネル機能を有するディスプレイやキーボードが含まれ、ユーザからの各種入力操作を受け付けるユーザインタフェース機能を担う。またIDカード等でユーザ認証を行う場合、認証操作を受け付けるユーザ認証部(不図示)を備える。プリンタI/F(インタフェース)116は、プリンタ部130と制御部110とを接続するインタフェースである。プリンタ部130で印刷処理される画像データは、プリンタI/F116を介して制御部110から入力される。そして、プリンタ部130において、入力された画像データに従った画像が所定の方式(ここでは電子写真方式)によって紙等の記録媒体上に印刷される。スキャナI/F117は、スキャナ部140と制御部110とを接続するインタフェースである。スキャナ部140は、不図示の原稿台上の原稿や、ADF(自動給紙装置)から給紙された原稿の画像を読み取って画像データ(スキャン画像データ)を生成する。生成されたスキャン画像データは、スキャナI/F117を介して制御部110に入力される。ネットワークI/F118は、制御部110(画像形成装置101)をLAN103に接続するインタフェースである。ネットワークI/F118は、LAN103上の不図示の外部装置(例えば、クラウドサービスサーバ)に画像データや情報を送信したり、LAN103上の外部装置から各種情報を受信する。
次に、コピー機能の実行を指示するユーザと、画像形成装置101とのやり取りを図2のシーケンス図、及び、図3に示すUI図を参照して詳しく説明する。尚、画像形成装置101の動作は、CPU111がRAM113に展開したプログラムを実行することにより実現される。
図2は、実施形態1に係る画像形成装置101に対してユーザがコピーを指示するときの処理の流れを示すシーケンス図である。
S201の機能使用指示において、ユーザは画像形成装置101の操作部120を介してコピーを指示する。
図3(A)は、操作部120に表示されるメインメニュー画面例を示す。このメインメニュー画面には、画像形成装置101で実施可能な機能がボタンとして表示されている。例えば、コピーボタン301、「スキャンして送信」ボタン302、「スキャンして保存」ボタン303、「保存ファイルの利用」ボタン304、プリントボタン305などが表示される。その中からユーザは、実施したい機能に対応するボタンを押下する。コピー機能を指示する場合は、ユーザはコピーボタン301を押下する。画像形成装置101はS201で、このコピーボタン301の押下を受け付ける。
S202の設定UI表示において、画像形成装置101の操作部120に、コピー機能の各種設定の初期状態画面が表示される。
図3(B)は、操作部120に表示されるコピー機能の設定画面例を示す図である。
ここでは例えば、コピー設定311において、カラー選択や印刷倍率の選択、原稿・印刷サイズ選択、部数選択の状態が表示されている。その他、コピーの機能変更312には、印刷濃度の調整選択や、両面印刷の選択、原稿の種類など、コピー機能の中でも多く利用される設定が表示される。また、その他の機能設定313には、特定の用途で用いられる応用機能を選択して設定できるボタンが配置されている。
S203の基本設定指示において、は、画像形成装置101はユーザからのコピー機能の基本設定の指示を受け付ける。例えば、コピー設定311の押下を受け付け、印刷するカラー選択や倍率選択、原稿・印刷サイズ選択、部数選択等の指示を受け付ける。
S204の基本設定では、ユーザが選択したコピー機能の基本設定を画像形成装置101のRAM114に設定値として記憶する。
続いてユーザは、S205で操作部120を介してスキャン指示を行う。これにより画像形成装置101は、ユーザからのスキャン実行を受け付けてスキャン動作を開始する。S206で画像形成装置101は、スキャナ部140に対して原稿の読み取りを指示する。これによりスキャナ部140は、スキャナエンジン(不図示)を駆動して、スキャナ部140のガラス板上に置かれた原稿、または、原稿自動給紙装置から給紙された原稿を読み取る。S207で画像形成装置101は、スキャナ部140が原稿を読みって生成した画像データを、画像処理で扱えるビットマップ形式の画像データに変換する。そしてS208でその画像データに対して、コピー用の画像処理を実施する。尚、ここでは、エッジ強調を行うフィルタ処理が実施される。次にS209で画像形成装置101は、画像処理が施された画像データをプリンタ部130に出力して印刷を実行する。こうして画像形成装置101は、ユーザにより指示されたコピー結果を出力することができる。S207の画像データの変換処理、S208の画像処理、及び209の画像出力処理は、詳しく後述する。
図4は、図2のS206で原稿を読み取って得られた画像データの一例を示す図である。
図4に示す原稿は、10ポイント以上のゴシック体等の太い文字を含む領域400と、5ポイント以下の明朝体等の細い文字を含む領域401と、写真領域402とを含んでいる。
図5は、実施形態に係る画像形成装置101の機能を実現するソフトウェア構成を説明する機能ブロック図である。
画像形成装置101は、画像入力部500、設定管理部501、画像処理部502、画像出力部503、画像送信部504を備える。これら各機能部は、画像形成装置101のCPU111が、前述のRAM113に展開したプログラムを実行することにより実現される。以下、各機能部について説明する。
画像入力部500は、画像形成装置101が有するコピー機能や、スキャンして送信機能、プリント機能に応じた画像データの入力を受け付ける。例えば、コピー機能やスキャンして送信機能が実行される場合は、スキャナ部140からスキャン画像データを取得する。またプリント機能が実行される場合は、PC102からPDLデータを取得する。
設定管理部501は、画像処理部502で実行される各種画像処理の様々な設定値を管理する。更に設定管理部501は、操作部120に表示されるUI画面を介したユーザの指示を受けて設定値を取得し、その設定値を管理する制御も行う。
画像処理部502は、画像入力部500が入力した画像データに対し、利用される機能に応じた様々な画像処理を行う。画像処理部502は、スキャナ画像処理部511、プリント画像処理部512、輝度−濃度変換処理部513、ガンマ処理部514、ハーフトーン処理部515、ドット付加部516、フォーマット変換部517を有している。
画像出力部503は、画像処理部502で処理された画像データに基づいて画像の印刷を行う。また画像送信部504は画像処理部502で処理されてフォーマット変換された画像データを送信する。
図6は、実施形態1に係るスキャナ画像処理部511の機能構成例を示すブロック図である。このスキャナ画像処理部511は、スキャン画像データに対して必要な画像処理を行う。
スキャナ画像処理部511は、MTF補正処理部601、ガンマ処理部602、色変換処理部603、色判定処理部604、彩度抑圧処理部605、フィルタ処理部606、像域処理部607を有している。
次に、図6の各処理部が行う処理を説明する。
まずMTF補正処理部601は、読取速度によって変化する読み取りのMTFを補正する。ガンマ処理部602は、スキャナ部140の特性に応じた一次元のガンマ変換を行う。そして色変換処理部603は、スキャナ部140が持つ色空間からスキャナ部140に依存しない色空間へ色変換を行う。像域処理部607は、MTF補正処理部601で処理された画像データを用いて、文字や、写真等の像域を判定して像域情報を生成する。色判定処理部604は、その像域情報を用いて有彩色か無彩色かを判定する。彩度抑圧処理部605は、像域情報を用いて、無彩色と判定された画像データに対してRGBの量を補正する。例えば、色判定処理部604において無彩色と判定された場合、RGBを等量にする等の処理を行う。フィルタ処理部606は、像域情報を用いてスムージングやエッジ強調などを行う。ここで、像域処理部607とフィルタ処理部606の関連についての詳細は後述する。
尚、実施形態1では、スキャナ画像処理部511でエッジ強調を行う例を示すが、例えば後述する輝度−濃度変換処理部513の後でフィルタ処理を行ってもよい。
プリント画像処理部512は、プリント機能の実行時に必要な画像処理、例えばPDLデータを解釈して中間データを生成する処理や、その中間データをプリンタ部130で解釈可能なビットマップ形式のデータに変換するRIP処理などを行う。このRIP処理の際に、上述の属性情報を生成する処理も行われる。
輝度−濃度変換処理部513は、スキャナ画像処理部511やプリント画像処理部512で生成した画像データの色空間(例えばRGB)を、プリンタ部130に対応する色空間(例えばCMYK)に変換する処理を行う。尚、輝度−濃度変換処理部513に入力される時点で色空間がCMYKの画像データは、そのままガンマ処理部514に送られる。ガンマ処理部514は、プリンタ部130の濃度階調を、予め定めた特性となるように補正する処理を行う。ハーフトーン処理部515は、入力画像データの階調値(例えば、256階調)を、プリンタ部130で出力可能な階調であるN値(例えば2値)の画像データ(ハーフトーン画像データ)に変換する処理を行う。ドット付加部516は、予め定められたドットを付加する。画像出力部503は、入力した画像データに対して各種画像処理を施した結果としてのハーフトーン画像データを、プリンタI/F116を介してプリンタ部130に出力する。
フォーマット変換部517は、スキャナ画像処理部511で生成した画像データを、送信可能な汎用的なフォーマット形式に変換するフォーマット変換部である。例えば、JPEG形式のフォーマットや、PDF形式のフォーマットへの変換を行う。画像送信部504は、入力した画像データに対して各種画像処理を施した結果である画像データを、ネットワークI/Fを介してLAN103を通してPC102等へ送信する。
次に前述した図2のS207〜S209の処理を詳細に説明する。
S207の画像データの変換において、画像入力部500内で、S206のスキャンで得られた画像データを、画像処理で扱えるビットマップ形式の画像データへ変換する。S208の画像処理では、コピー機能の場合には、S207の画像形成で生成されたスキャン画像データを取得し、スキャナ画像処理部511内の色変換処理部603において色変換等を実施する。続いて、輝度−濃度変換処理部513、ガンマ処理部514、ハーフトーン処理部515、ドット付加部516を実施する。
S209の画像出力において、画像出力部503で、生成した画像データの印刷を実行する。印刷が実行されると、画像形成装置101は、プリンタ部130で印刷したコピー結果の原稿を出力する。
次に前述した図6の像域処理部607とフィルタ処理部606の関連について詳しく説明する。
像域処理部607での判定結果が文字の時は、フィルタ処理部606においてエッジを強調するフィルタ処理が行われる。以下、図4及び図10A、10Bを参照して、その詳細について説明を行う。
初めに、スキャナ部140で原稿を読み取った画像である図4の領域400の文字領域が、図10Aの1000で示すような文字から成るとする。その時、その中の文字「D」の一部1001を拡大したのを1002で示す。この領域1002では、エッジの鮮鋭度が低下していることがわかる。そしてこのa−bの断面1003の濃度を1004で示す。
このような画像データの例では、像域処理部607は、領域1005をエッジ属性、領域1006は文字属性であると判定する。尚、エッジ属性は、エッジ抽出処理で予め定められた閾値によって抽出され、文字属性はエッジ属性を数画素太らせることで得られる。例えば、図10Aでは、3画素エッジ属性より太らせている。この太らせる理由は、スキャナ部140から入力される画像は、a−bの断面にあるように鮮鋭度が低下しており、エッジ領域1005よりも数画素外側にも画素が残っているためである。
そして、フィルタ処理部606は、文字部に適用するエッジを強調するフィルタ処理を実施することで図10Bの1007で示すように、アンダーシュートの効果で文字の周りの画素をなくす一方で、文字部のエッジ部1008を強調させることができる。その結果を図10Bに示す。また、ここでフィルタは、注目画素を中心とした7×7の画素と、7×7画素に対応した係数とを重みづけ平均を算出することで得られる。フィルタの大きさは7×7以上の大きなフィルタでもよいし、7×7以下の小さなフィルタでもよい。
一方、像域処理部607での判定結果が網点(写真部)の時は、フィルタ処理部606は、原稿の網点構造をなくすスムージングを行うフィルタ処理を行った後、エッジを強調するフィルタ処理を行う。以下、図4,図11を参照して、その詳細について説明を行う。
初めに、図4の領域402の写真部の一例1100を拡大すると、1102で示すように原稿の網点で形成されている。その時、ハーフトーン処理部515におけるスクリーン処理との間にモアレが発生しないように原稿の網点構造をなくすスムージングを行うフィルタ処理を行うことで、1103のようにする。これにより写真のエッジ部もスムージングされてしまうため、鮮鋭度が低下してしまうので、エッジを強調するフィルタ処理が行われる。これにより、写真部の網点構造をなくしながらも、エッジ部の鮮鋭度を保つことができる。
ここでスムージングを行うフィルタの周波数特性の例としては、一般の印刷で用いられる網点の線数は150〜200線であるため、図12(C)に示すような6〜7ライン/mmの応答が「0」になるような特性などが考えられる。
そして、原稿の網点を溶かした後に行うエッジを強調するフィルタの周波数特性の例として、図12(B)に示すような、8ライン/mm以上の高周波成分の応答が高くならないような特性などが考えられる。
以上のフィルタ処理部606が行う一般的な処理を、図7のフローチャートを参照して説明する。
図7は、フィルタ処理部が実行する一般的なフィルタ処理を説明するフローチャートである。
まず初めにS701でCPU111は、注目する画素の像域情報が文字であるか判定する。像域情報が文字でない場合はS702へ進み、像域情報が文字である場合はS704へ進む。S702でCPU111は、網点構造をなくすスムージングを行うフィルタ処理を行う。その後、S703へ進みCPU111は、高周波成分の応答を低くする特性を持つフィルタを用いてエッジを強調するフィルタ処理を行って、この処理を終了する。
一方、文字属性の領域の場合はS704に進みCPU111は、文字を強調するフィルタを用いてフィルタ処理を行って、この処理を終了する。
これにより、文字属性の領域に対しては図10A,図10Bを参照して説明したエッジ強調処理を実行し、文字でない写真などの領域に対しては、図11を参照して説明したスムージング処理を実行した後、高周波成分の応答を低くする特性を持つフィルタを用いてエッジを強調するフィルタ処理を行うことにより、写真部の網点構造をなくしながらも、エッジ部の鮮鋭度を保つようにできる。
ここで、S704で用いられるフィルタの周波数特性について図12及び図13を参照して説明する。
ここでは、4〜6ライン/mmの中周波成分の応答を高くする特性である図12(A)の特性1202と、8〜10ライン/mmの高周波成分の応答を高くする特性である図12(A)の特性1201の2つについて説明する。ここで、図13(A),(C)は、図4の領域401にあるような、明朝体の5ポイント文字であり、図13(B),(D)は、図4の領域400にあるような、ゴシック体の12ポイントの文字である。
図13(A)に示すような5ポイント文字の点線で囲われた8〜10ライン/mmの高周波成分を含む領域1301に対しては、図12(A)の点線1203で囲われたような効果がある。即ち、8〜10ライン/mmの高周波成分の応答を高くするフィルタの図12(A)の特性1201に対しては、応答が高くなりエッジ強調の効果がある。一方で、4〜6ライン/mmの中周波成分の応答を高くするフィルタの図12(A)の特性1202に対しては、応答が高くならないためエッジ強調の効果がない。
また、図13(B)に示すような12ポイントの文字の点線で囲む4〜6ライン/mmの中周波成分1305に対しては、図12(A)の一点鎖線1204で囲まれたような効果が示される。即ち、8〜10ライン/mmの高周波成分の応答を高くするフィルタの図特性1201は、4〜6ライン/mmの中周波成分の応答を高くするフィルタの特性1202よりも強調の効果が不足する。
そこでこのような課題に対して実施形態1では、まず画像の空間周波数解析を行う。そして、高周波成分を含むと判定した場合、その高周波数成分の応答を高くする特性のフィルタを用い、高周波成分を含まないと判定した場合、中周波数成分の応答を高くするフィルタを用いてフィルタ処理を行うことで解決を図る。そしてフィルタ処理部606が行うS704の処理を図8のフローチャートを参照して説明する。
図8は、実施形態1に係るフィルタ処理部606が実行するフィルタ処理を説明するフローチャートである。尚、この処理は、CPU111が、前述のRAM113に展開したプログラムを実行することにより達成される。尚、図8において、前述の図7の処理と共通する処理は同じ参照符号で示し、それらの説明を省略する。
CPU111はS801で、画像に含まれる画素ごとに空間周波数の解析を行う。S801では、注目画素を含む所定サイズの周辺領域において、空間周波数の解析を行う。次にS802に進み、S801の結果に基づいて、CPU111は、高周波成分を含む領域かどうか判定し、高周波成分を含む領域であればS804へ進む。一方、高周波成分を含まない領域の場合はS803へ進む。S803でCPU111は、中周波成分の応答を高くする特性のフィルタを用いて、注目画素にフィルタ処理を行って、この処理を終了する。一方、高周波成分を含む領域の場合はS804でCPU111は、高周波成分の応答を高くする特性のフィルタを用いて、注目画素にフィルタ処理を行う。
ここで、S801で行われる空間周波数の解析は、注目画素の周囲の一定のサイズの画像領域に対しフーリエ変換等の公知の技術で解析すればよく、大まかに8ライン/mmを超える高周波成分であるか否かがわかればよい。そして、高周波成分でないと解析されれば、4〜6ライン/mmの中周波成分の応答を高くする特性のフィルタを適用し、高周波成分を含むと判定すると、8〜10ライン/mmの高周波成分の応答を高くするフィルタを適用する。
以上説明したように実施形態1によれば、画像が有する空間周波数に基づいて、最適なフィルタをかけることができるため、文字の細かい箇所も、文字の太い箇所も鮮明に表現することができる。尚、空間周波数の解析は画素ごとと表現しているが、像域処理部607で判定した文字等の特定の箇所だけ行ってもよく、解析する箇所が少なくなるだけ空間周波数の解析を行う処理時間を短縮することができる。
また実施形態1では、注目する画素を含む周囲が高周波成分を含むか否かに応じて2つのフィルタを切り替えていたが、高周波、中周波、低周波であるかを判定し、2つ以上のフィルタで切り替えてもよい。
また実施形態1では、主に、文字を対象に説明したが、もちろん文字以外のグラフィックのオブジェクトなどでも同様で、細かいオブジェクトが密集している箇所には高周波成分を含む箇所と判定される。
[実施形態2]
上述の実施形態1では、画像の空間周波数を解析し、その解析結果に基づいて最適なフィルタを適用した。しかしながら、空間周波数の解析には演算量を必要とするため大がかりなハードウェアやソフトウェアの構成を要する。そこで、像域処理部607の結果を用いることで、簡易的に空間周波数を解析する方法について説明し、フィルタ処理部606との関係について説明を行う。尚、実施形態1で説明した内容と同じ説明は省略する。
まず、像域処理部607における文字の一部を形成する線の太さごとの像域の取り方について図13及び図14を参照して説明する。
初めに、図14(A)の背景がない1画素幅の線140における属性について説明する。像域処理部607は、背景を背景属性1402、線をエッジ属性1404と判定する。そして、線及びその両脇を文字属性1403と判定する。そのため、線140は、エッジ属性1404でもあり文字属性1403でもある。
また図14(B)のように、背景がない1画素幅の線が1〜2画素幅離れてもう1つ同じ線がある線141における属性について説明する。像域処理部607は、背景を背景属性1402、線をエッジ属性1404と判定する。そして、線及びその両脇を文字属性1403と判定する。ここで、線と線との間は、エッジ属性を太らせ合わされた結果、文字属性でつながっている。
従って、1〜2画素幅の線等の細い線や点などが密集した高周波成分を持つ画像として、例えば図13(C)のように5ポイントの明朝体の文字では、文字全体を覆った箇所1302は、文字属性1403と判定される。そのため、文字内の細い線の間の白い背景1303も文字属性1403として判定される。
また図14(C)のように、背景がない7〜8画素幅の線142における属性について説明する。像域処理部607は、背景を背景属性1402、線のエッジ部をエッジ属性1404と判定する。そして、エッジ属性と判定された両脇を文字属性1403と判定する。エッジ属性とエッジ属性との間は、それぞれのエッジ属性で太らせあった結果、文字属性でつながっている。
従って、7〜8画素の線で、線が密集していない低〜中周波成分を持つ画像として、例えば図13(D)のように、12ポイントのゴシック体の文字を囲む領域1303は、文字属性1403と判定される。一方で、文字の中の白い箇所1304は、背景属性1402として判定される。
最後に、図14(C)のある程度太い線142よりも、更に太い図14(D)の線143における属性について説明する。像域処理部607は、背景を背景属性1402、線のエッジ部をエッジ属性1404と判定する。そして、エッジ属性と判定された両脇を文字属性1403と判定する。ここでは、エッジとエッジの間は図14(C)とは異なり、文字の内部は、文字属性でつながらず、画素値が均一であるため背景属性1402と判定される。
従って、10画素を超えるような線で、線が密集していない低〜中周波成分を持つ画像として、例えば、文字15ポイント等のゴシック体の文字(不図示)のエッジ部は文字属性1403として判定され、エッジとエッジの間は背景属性1402と判定される。
以上、文字の一部を形成する線の太さごとの像域の取り方についての説明を終える。
次に、注目する画素(以降、注目画素と呼ぶ)が高周波成分であるか否かを判定する方法について説明を行う。
例えば、図13(A)の点線で囲われた箇所1301は、前述したように図14(B)に示すような細い線が密集している箇所で文字属性でつながっており、背景属性は出現しない。よって、注目画素とその周囲の画素(以降、参照画素と呼ぶ)が文字属性である場合、高周波成分である。
一方で、図14(A)、(C)、(D)のように、細い線が密集していない場合は、線のエッジ部のみ文字属性と判定され、文字属性と判定される周囲には背景属性が出現する。
尚、図14(C)の文字中に存在する文字属性1403については、フィルタが7×7または5×5においては、その参照画素は全て同じ文字の画素値がほぼ同程度の信号であるため、重みづけた際に、フィルタの係数差が少ないので無視できる。
従って、S704のフィルタ処理部606が行う処理を、図9に示すS901〜903を用いて説明する。
図9は、実施形態2に係るフィルタ処理部606が実行するフィルタ処理を説明するフローチャートである。尚、この処理は、CPU111が、前述のRAM113に展開したプログラムを実行することにより達成される。尚、図9において、前述の図7の処理と共通する処理は同じ参照符号で示し、それらの説明を省略する。
初めにCPU111はS701で、注目画素の像域情報が文字属性であるか判定する。注目画素の像域情報が文字属性である場合はS901に進み、そうでないときはS702へ進む。ここで、S702,703の説明は実施形態1と同じなので省略する。S901でCPU111は、参照画素の像域情報に背景属性があるか否か判定する。参照画素の像域情報に背景属性があるときはS902へ進み、そうでないときはS903へ進む。S902でCPU111は、中周波成分の応答を高くする特性のフィルタを用いて、注目画素にフィルタ処理を行って、この処理を終了する。一方、S903でCPU111は、高周波成分の応答を高くする特性のフィルタを用いて、注目画素にフィルタ処理を行って、この処理を終了する。
ここで中周波成分の応答を高くする特性や高周波成分の応答を高くする特性のフィルタは、実施形態1と同じものなので説明を省略する。
これにより、画素の周囲の属性を参照することで、簡易的に空間周波数を解析して高周波成分であるか否かを判定することができ、最適なエッジ強調フィルタを適用することができる。これにより実施形態1のように、大がかりなハードウェアやソフトウェアの構成を使用して空間周波数の解析を行う必要がない。
尚、参照画素の参照領域によって高周波成分の領域を調整することができる。例えば、参照画素を狭く取れば、例えば10〜12ライン/mmのみの高周波成分を判定し、参照画素を広く取れば、例えば8〜12ライン/mmの高周波成分を判定することができる。
また、実施形態2では、属性によって画素の周囲の属性を参照することで、空間周波数を解析し、高周波成分であるか否かを判定したが、注目画素の周囲の参照画素内にエッジ属性と判定された数や細線の数をカウントしてもよい。ここでは、エッジと判定された数や細線の数が多ければ、注目画素を含む参照画素が高周波成分を含む画像であると判定することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
101…画像形成装置、110…制御部、111…CPU、502…画像処理部、511…スキャナ画像処理部、606…フィルタ処理部、607…像域処理部、

Claims (16)

  1. 画像データの画素の像域を判定する像域判定手段と、
    前記像域判定手段により文字属性と判定された画素を含む周辺領域の画像データの周波数解析を行う解析手段と、
    前記解析手段による解析の結果、前記画像データが有する周波成分に応じて、複数のフィルタの中から1つのフィルタを選択し、該選択されたフィルタを使用して、前記画素にフィルタ処理を実行するフィルタ処理手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記フィルタ処理手段は、前記解析手段による解析の結果、前記画像データが高周波成分を含むときは、前記高周波成分の応答を高くする特性を有する第1フィルタを使用して、前記画素に第1フィルタ処理を実行し、前記画像データが中周波成分を含むときは、中周波成分の応答を高くする特性を有する第2フィルタを使用して、前記画素に第2フィルタ処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記像域判定手段は、前記画像データに対するエッジ抽出処理により抽出したエッジ属性を数画素太らせることにより前記文字属性を取得することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第1フィルタ処理は、前記エッジ属性の画素をなくして、前記文字属性の文字部のエッジを強調するフィルタを使用することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 前記高周波成分は、8ライン/mmを超える周波成分であることを特徴とする請求項2又は4に記載の画像処理装置。
  6. 前記中周波成分は、4〜6ライン/mmの周波成分であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  7. 画像データの注目画素の像域を判定する像域判定手段と、
    前記像域判定手段により文字属性と判定された注目画素と、当該注目画素の周囲の参照画素の属性とに基づいて、複数のフィルタの中から1つのフィルタを選択し、該選択されたフィルタを使用して、前記注目画素にフィルタ処理を実行するフィルタ処理手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  8. 前記フィルタ処理手段は、前記注目画素が文字属性で、前記参照画素に背景属性がない場合、高周波成分の応答を高くする特性を有するフィルタを使用して、前記注目画素にフィルタ処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
  9. 前記第1フィルタは、8ライン/mm以上の応答が高くなるエッジ強調フィルタであり、前記第2フィルタは、4〜6ライン/mmの応答が高くなるエッジ強調フィルタであることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  10. 前記フィルタ処理手段は、前記注目画素が文字属性で、前記参照画素に背景属性がある場合、中周波成分の応答を高くする特性を有するフィルタを使用して、前記注目画素にフィルタ処理を実行する
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の画像処理装置。
  11. 前記像域判定手段により網点を含むと判定された領域の画像データに対して、前記フィルタ処理手段は、前記画像データの網点構造をなくすスムージングを行う第3フィルタ処理を行った後、エッジを強調する第4フィルタ処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  12. 前記第3フィルタ処理は、6〜7ライン/mmの応答が0になる周波数特性を有するフィルタを使用し、前記第4フィルタ処理は、8ライン/mm以上の高周波成分の応答が高くならない周波数特性を有するフィルタを使用することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
  13. 前記画像データは、原稿を読み取って入力した画像データであることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
  14. 画像処理装置における画像処理方法であって、
    画像データの画素の像域を判定する像域判定工程と、
    前記像域判定工程で文字属性と判定された画素を含む周辺領域の画像データの周波数解析を行う解析工程と、
    前記解析工程による解析の結果、前記画像データが有する周波成分に応じて、複数のフィルタの中から1つのフィルタを選択し、該選択されたフィルタを使用して、前記画素にフィルタ処理を実行するフィルタ処理工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  15. 画像処理装置における画像処理方法であって、
    画像データの注目画素の像域を判定する像域判定工程と、
    前記像域判定工程で文字属性と判定された注目画素と、当該注目画素の周囲の参照画素の属性とに基づいて、複数のフィルタの中から1つのフィルタを選択し、該選択されたフィルタを使用して、前記注目画素にフィルタ処理を実行するフィルタ処理工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  16. コンピュータを、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
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