JP2019160888A - キャパシタ用セパレータ用塗液およびキャパシタ用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、基材と、無機粒子を含む塗層とから構成されるキャパシタ用セパレータを製造するにあたり、塗層を設けるために使用される塗液の安定性を向上させて、セパレータの生産性を高めることができるキャパシタ用セパレータ用塗液を提供することにある。また、該塗液を基材に塗工して得られる、内部抵抗の低いセパレータを提供することにある。【解決手段】基材と無機粒子を含む塗層とから構成されるキャパシタ用セパレータを製造するために使用されるキャパシタ用セパレータ用塗液であって、該塗液が、無機粒子、有機ポリマーバインダー、及び、エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むことを特徴とするキャパシタ用セパレータ用塗液。【選択図】なし
Description
本発明は、キャパシタ用セパレータ用塗液およびかかる塗液を不織布基材に塗工してなるキャパシタ用セパレータに関する。
電気化学素子の1種であるキャパシタは大きな電気容量を持つとともに、充放電の繰り返しに対する安定性が高いため、車輌や電気機器に使用される給電源等の用途に広く使用されつつある。キャパシタにはセパレータが内蔵されており、セパレータはキャパシタ内において正極と負極とが直接接触しないように、つまり、内部ショートしないように正極と負極を分離している。キャパシタにおける内部抵抗を下げるためには、電解質のイオンが効率よく透過できる空孔がセパレータの内部に形成されていなければならない。従って、セパレータは多孔質である必要がある。
キャパシタ用セパレータとしては、従来、溶剤紡糸セルロース繊維や再生セルロース繊維の叩解物を主体とする紙製セパレータ(例えば、特許文献1〜3参照)や合成繊維からなるセパレータ(例えば、特許文献4参照)が使用されている。
紙製セパレータや特許文献4に記載されている合成繊維からなるセパレータは、内部抵抗を低くするために、厚みを薄くしていくと、ピンホールができやすくなり、内部短絡しやすくなる問題があった。
厚みを薄くするために、多孔質基材と無機粒子からなるセパレータ(例えば、特許文献5参照)が開示されている。このセパレータは、不織布の基材と無機粒子を含む塗層とから構成されている。
無機粒子を含有してなるセパレータを製造する場合には、塗層を設けるために使用されるキャパシタ用セパレータ用塗液(以下、「塗液」と略記する場合がある)中で、無機粒子が再凝集することにより、無機粒子の沈降が見られたり、塗液の粘度変化が見られたりして、塗液が不安定になりやすく、セパレータに塗工ムラが発生することがあった。
本発明の課題は、基材と、無機粒子を含む塗層とから構成されるキャパシタ用セパレータを製造するにあたり、塗層を設けるために使用される塗液の安定性を向上させて、セパレータの生産性を高めることができるキャパシタ用セパレータ用塗液を提供することにある。また、該塗液を基材に塗工して得られる、内部抵抗の低いセパレータを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、下記手段を見出した。
(1)基材と無機粒子を含む塗層とから構成されるキャパシタ用セパレータを製造するために使用されるキャパシタ用セパレータ用塗液であって、該塗液が、無機粒子、有機ポリマーバインダー、及び、エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むことを特徴とするキャパシタ用セパレータ用塗液。
(2)エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量が、無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部未満である上記(1)に記載のキャパシタ用セパレータ用塗液。
(3)無機粒子が、水酸化マグネシウムである上記(1)又は(2)に記載のキャパシタ用セパレータ用塗液。
(2)エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量が、無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部未満である上記(1)に記載のキャパシタ用セパレータ用塗液。
(3)無機粒子が、水酸化マグネシウムである上記(1)又は(2)に記載のキャパシタ用セパレータ用塗液。
(4)基材と、該基材の少なくとも1面に設けられてなる塗層とから構成され、該塗層が無機粒子、有機ポリマーバインダー、及び、エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むことを特徴とするキャパシタ用セパレータ。
(5)エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量が、無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部未満である上記(4)に記載のキャパシタ用セパレータ。
(6)無機粒子が、水酸化マグネシウムである上記(4)又は(5)に記載のキャパシタ用セパレータ。
(7)基材が不織布である上記(4)〜(6)のいずれかに記載のキャパシタ用セパレータ。
(5)エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量が、無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部未満である上記(4)に記載のキャパシタ用セパレータ。
(6)無機粒子が、水酸化マグネシウムである上記(4)又は(5)に記載のキャパシタ用セパレータ。
(7)基材が不織布である上記(4)〜(6)のいずれかに記載のキャパシタ用セパレータ。
本発明によれば、基材と、無機粒子を含む塗層とから構成されるキャパシタ用セパレータを製造するにあたり、塗層を設けるために使用されるキャパシタ用セパレータ用塗液において、無機粒子を含む塗液に、酸やアルカリへの耐性の高い、エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させることによって、無機粒子の再凝集を効率的に抑えることができる。その結果、塗液の安定性を向上させることができ、著しく高い生産性で、内部抵抗の低いキャパシタ用セパレータを製造することができる。
本発明におけるキャパシタとは、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、レドックスキャパシタを意味する。
電気二重層キャパシタ(EDLC)とは、正極及び負極の表面に形成される電気二重層に電荷を蓄積するキャパシタである。正極及び負極の表面に、より多くのイオンが吸着できるようにすることで、より大きな容量のEDLCが得られる。正極及び負極の表面に、より多くのイオンが吸着できるようにするためには、正極及び負極が、より大きな比表面積を有することが必要である。また、EDLCの正極及び負極は、電気化学的な反応を起こさないことが必要である。EDLCの正極及び負極には、これらの条件を満たす材料として、活性炭;黒鉛;カーボンナノファイバー、グラフェン等のナノ炭素等が主に用いられている。電解液としては、硫酸水溶液、使用電位において電気化学的な反応を起こさない塩を極性有機溶媒に溶解した溶液や、イオン液体等を用いることができる。使用電位において電気化学的な反応を起こさない塩としては、テトラエチルアンモニウムとテトラフルオロホウ酸の塩(TEA・BF4)、トリエチルメチルアンモニウムとテトラフルオロホウ酸の塩(TEMA・BF4)、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンとテトラフルオロホウ酸の塩(SBP・BF4)等が例示される。また、極性有機溶媒としては、アセトニトリル;γ−ブチロラクトン;炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)等の炭酸エステル等が例示される。
ハイブリッドキャパシタとは、正極又は負極のいずれか一方において、電池反応、すなわち電気化学的酸化還元反応が生じ、他方の電極では、表面に形成される電気二重層に電荷を蓄積するキャパシタである。電気二重層キャパシタでは、正極の電気二重層と負極の電気二重層とが直列に接続されているため、正極及び負極それぞれの電気二重層の半分の静電容量しか得られない。これに対してハイブリッドキャパシタでは、片方の電極として電気二重層に電荷が蓄積される電極を使用しているが、電気二重層キャパシタと比較して約2倍の静電容量が得られる特徴がある。ハイブリッドキャパシタとしては、後記するリチウムイオンキャパシタが例示される。
リチウムイオンキャパシタ(LIC)はハイブリッドキャパシタの一種である。LICの正極では、EDLC同様に、電気二重層に電荷を蓄積し、LICの負極では、LIB同様にリチウムイオンを吸放出する。LICでは、負極の単極電位がLIBと同様に低く、正極との電位差が大きい。言い換えれば、LICにおける正負極間の電圧は高い。そのため、EDLCと比較してLICでは高い電圧が得られる。更に、EDLCと同一の正極材料を用いているが、EDLCと比較して、ハイブリッドキャパシタの一種であるLICの静電容量は約2倍である。高い電圧、及び約2倍の静電容量により、LICに貯蔵できるエネルギー容量は、EDLCに貯蔵できるエネルギー容量と比較して、非常に大きい。正極としては、活性炭;黒鉛;カーボンナノファイバー、グラフェン等のナノ炭素等が主に用いられている。負極としては、リチウム吸蔵性の物質が用いられる。リチウム吸蔵性の物質の例としては、炭素系材料、珪素系材料、遷移金属とリチウムの複合酸化物等が例示される。単極電位が低い点から、金属リチウムを予め吸蔵させた炭素系材料が好ましく用いられる。電解液としては、正極の使用電位において電気化学的な反応を起こさないリチウム塩を極性溶媒に溶解した溶液を用いることができる。正極の使用電位において電気化学的な反応を起こさない塩としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)等が例示される。また、極性溶媒としては、炭酸プロピレン(PC)、炭酸エチレン(EC)、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸エチルメチル(EMC)等の炭酸エステルや、各種のイオン液体等が例示される。
レドックスキャパシタとは、電極−電解液界面の電極(固相)側が、酸化還元反応により荷電するキャパシタである。電極側の荷電が分極に依存するEDLCと比較して、電極表面の電荷密度が非常に高いため、高い容量を得られる特徴がある。電解液としては、使用電位において電気化学的な反応を起こさない塩を極性溶媒に溶解した溶液、イオン液体を用いることができる。
本発明のキャパシタ用セパレータ用塗液は、基材と無機粒子を含む塗層とから構成されるキャパシタ用セパレータを製造するために使用される塗液である。そして、本発明の塗液は、無機粒子、有機ポリマーバインダー、及び、エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)を含むことを特徴とする。
本発明のキャパシタ用セパレータは、基材と、該基材の少なくとも1面に設けられてなる塗層とから構成されている。そして、塗層が無機粒子、有機ポリマーバインダー、及び、エーテル化度1.10以上2.00以下のCMC−Naを含むことを特徴とする。
本発明の塗液及びセパレータは、エーテル化度1.10以上2.00以下のCMC−Naを含む。CMC−Naのエーテル化度は、1.13以上1.90以下がより好ましく、1.15以上1.80以下が更に好ましい。エーテル化度が低すぎると、塗液の安定性が悪化する。エーテル化度2.00を超えると、CMC−Naの安定生産が難しくなる。
CMC−Naのエーテル化度は、次のようにして求めることができる。試料としてのCMC−Na(無水物)0.5g〜0.7gを精密に計り、ろ紙に包んで磁製ルツボ中で灰化する。冷却した後、これを500mlビーカーに移し、水を250ml加え、更にピペットで0.05モル/リットルの硫酸35mlを加えて、30分間煮沸する。これを冷却し、フェノールフタレイン指示薬を加えて、過剰の酸を0.1モル/リットルの水酸化カリウムで逆滴定して、次式(I)及び(II)から、エーテル化度を算出する。
A=(B×C−D×E)/試料無水物(g)−アルカリ度(又は+酸度) (I)
エーテル化度=162×A/(10,000−80×A) (II)
エーテル化度=162×A/(10,000−80×A) (II)
「A」:試料1g中の結合したアルカリに消費された0.05モル/リットルの硫酸の使用量(ml)。
「B」:0.05モル/リットルの硫酸の使用量(ml)。
「C」:0.05モル/リットルの硫酸の力価。
「D」:0.1モル/リットルの水酸化カリウムの滴定量(ml)。
「E」:0.1モル/リットルの水酸化カリウムの力価。
「B」:0.05モル/リットルの硫酸の使用量(ml)。
「C」:0.05モル/リットルの硫酸の力価。
「D」:0.1モル/リットルの水酸化カリウムの滴定量(ml)。
「E」:0.1モル/リットルの水酸化カリウムの力価。
式(I)中のアルカリ度又は酸度は、次のようにして求めることができる。試料無水物約1gを300mlの三角フラスコに精密に計りとり、水約200mlを加えて溶かす。これに0.05モル/リットルの硫酸5mlをピペットで加え、10分間煮沸したのち冷却して、フェノールフタレイン指示薬を加え、0.1モル/リットルの水酸化カリウムで滴定する(「F」ml)。同時に空試験を行い(「G」ml)、次式(III)によって算出する。なお、(G−F)E値が(−)の時には、アルカリ度を酸度と読み替える(「E」:0.1モル/リットルの水酸化カリウムの力価)。
アルカリ度=(G−F)E/試料無水物(g) (III)
本発明において、塗液及び塗層における、エーテル化度1.10以上2.00以下のCMC−Naの含有量は、無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部未満が好ましく、0.2質量部以上1.9質量部未満がより好ましく、0.3質量部以上1.8質量部未満が更に好ましい。含有量が低すぎると、塗液及び塗層にエーテル化度1.00以上2.00以下のCMC−Naを含有せしめた効果が十分に発現しない場合がある。逆に、含有量が高すぎると、キャパシタ用セパレータの内部抵抗が高くなる場合がある。
本発明において、塗液及び塗層に含まれる無機粒子は、セパレータの塗層に用いるのに好適なものであれば、特に制限はされない。その例としては、カオリン、焼成カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸亜鉛、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。これらを単独で用いても良いし、2種以上併用して用いてもよい。中でも熱安定性の点から、アルミナ、ベーマイト又は水酸化マグネシウムが好ましく、水酸化マグネシウムがより好ましい。アルミナでは、α−アルミナがより好ましい。
本発明において、塗液及び塗層に含まれる無機粒子の平均粒子径は、0.3μm以上4.0μm以下が好ましく、0.4μm以上3.8μm以下がより好ましく、0.5μm以上3.5μm以下が更に好ましい。平均粒子径が0.3μmよりも小さい場合、キャパシタの内部抵抗が高くなる場合があり、4.0μmよりも大きい場合、セパレータが厚くなり過ぎる場合がある。
本発明における平均粒子径とは、レーザー回折法による粒度分布測定から求められる体積基準50%粒子径(D50)である。
本発明において、塗液及び塗層には、塗層の強度を高めるため、有機ポリマーバインダーを含有させる。有機ポリマーバインダーは、セパレータの塗層に用いるのに好適なものであれば特に制限はされない。その例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリレート共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタンなどの樹脂が挙げられ、また、これらの樹脂の一部に、非水電解液への溶解を防止するために、架橋構造を導入した樹脂も用いることができる。これらの有機バインダーポリマーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレンブタジエンゴム(SBR)、(メタ)アクリレート共重合体が特に好ましい。
有機ポリマーバインダーの含有量は、無機粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10.0質量部以下が好ましく、0.7質量部以上8.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上6.0質量部以下が更に好ましい。含有量が低すぎると、キャパシタ用セパレータの塗層強度が弱くなる場合がある。逆に、含有量が高すぎると、キャパシタ用セパレータの内部抵抗が高くなる場合がある。
本発明において、塗液及び塗層には、無機粒子、有機ポリマーバインダー、エーテル化度1.10以上2.00以下のCMC−Naの他に、ポリアクリル酸、エーテル化度1.10未満のCMC−Na等の各種分散剤;ヒドロキシエチルセルロース、エーテル化度1.10未満のCMC−Na、ポリエチレンオキサイド等の各種増粘剤;濡れ剤;防腐剤;消泡剤などの添加剤を、必要に応じ配合させることもできる。
本発明の塗液を調製するための媒体としては、無機粒子、有機ポリマーバインダー、エーテル化度1.10以上2.00以下のCMC−Naを均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されず、例えば、水が挙げられる。
本発明において、基材としては、多孔性フィルム、織布、不織布、編物、紙等が挙げられる。多孔性フィルムとしては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンからなる多孔性フィルムが挙げられる。最も好ましい基材は、不織布であり、セパレータの内部抵抗をより低くすることができる。
基材としての不織布における合成樹脂繊維の含有量は70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。合成樹脂繊維の含有量が70質量%よりも少ない場合、不織布の強度が弱くなり過ぎる場合がある。
合成樹脂繊維の平均繊維径は1μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上15μm以下がより好ましく、1μm以上10μm以下が更に好ましい。平均繊維径が1μm未満の場合、繊維が細すぎて、塗層が不織布内部に滲み込みにくくなり、セパレータの厚み増加を抑制することが難しくなることがある。平均繊維径が20μmより太い場合、不織布自体の厚みを薄くすることが困難になり、セパレータの厚み増加を抑制することが難しくなることがある。
本発明における平均繊維径とは、不織布断面の走査型電子顕微鏡写真より、不織布を形成する繊維について、繊維の長さ方向に対して垂直な断面又は垂直に近い断面の繊維を30本選択し、その繊維径を測定した平均値である。合成樹脂繊維は熱や圧力によって溶融する場合や変形する場合がある。その場合は、断面積を測定して、真円換算の繊維径を算出する。
合成樹脂繊維の繊維長は1mm以上15mm以下が好ましく、2mm以上10mm以下がより好ましく、2mm以上5mm以下が更に好ましい。繊維長が1mmより短い場合、不織布から脱落することがあり、15mmより長い場合、繊維がもつれてダマになることがあり、厚みむらが生じることがある。
合成樹脂繊維を構成する樹脂としては、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリ酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリビニルエーテル系、ポリビニルケトン系、ポリエーテル系、ポリビニルアルコール系、ジエン系、ポリウレタン系、フェノール系、メラミン系、フラン系、尿素系、アニリン系、不飽和ポリエステル系、アルキド系、フッ素系、シリコーン系、ポリアミドイミド系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリイミド系、ポリカーボネート系、ポリアゾメチン系、ポリエステルアミド系、ポリエーテルエーテルケトン系、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール系、ポリベンゾイミダゾール系、エチレン−ビニルアルコール共重合体系等の樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の誘導体も使用できる。これらの樹脂の中で、塗層との接着性を高くするためには、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。また、セパレータの耐熱性を向上させるためには、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂を使用することが好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系、ポリエチレンナフタレート(PEN)系、ポリブチレンナフタレート(PBN)系、ポリエチレンイソフタレート系、全芳香族ポリエステル系等の樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の誘導体も使用できる。これらの樹脂の中で、耐熱性、耐電解液性、無機粒子層との接着性を向上させるためには、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂としては、アクリロニトリル100%の重合体からなるもの、アクリロニトリルに対して、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体、酢酸ビニル等を共重合させたもの等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、オレフィン系共重合体等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、ナイロンなどの脂肪族ポリアミド、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド、コポリ(パラ−フェニレン−3,4′−オキシジフェニレンテレフタルアミド)、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドなどの全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミドにおける主鎖の一部に脂肪鎖を有する半芳香族ポリアミドが挙げられる。
半芳香族とは、主鎖の一部に例えば脂肪鎖などを有するものを指す。全芳香族ポリアミドはパラ型、メタ型いずれでも良い。
合成樹脂繊維は、単一の樹脂からなる繊維(単繊維)であっても良いし、2種以上の樹脂からなる繊維(複合繊維)であっても良い。また、不織布基材に含まれる合成樹脂繊維は、1種でも良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。複合繊維としては、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型が挙げられる。複合繊維を分割した繊維を使用しても良い。
不織布は、合成樹脂繊維以外の繊維を含有しても良い。例えば、溶剤紡糸セルロース、再生セルロース等の短繊維;溶剤紡糸セルロース、再生セルロース等のフィブリル化物;天然セルロース繊維;天然セルロース繊維のパルプ化物;天然セルロース繊維のフィブリル化物;無機繊維;合成樹脂のフィブリル化物;合成樹脂のパルプ化物等を含有しても良い。
不織布の坪量は、好ましくは6g/m2以上20g/m2以下であり、より好ましくは7g/m2以上18g/m2以下であり、更に好ましくは8g/m2以上15g/m2以下である。坪量が20g/m2を超える場合、セパレータの薄膜化が難しくなる場合がある。坪量が6g/m2未満の場合、十分な強度を得ることが難しい場合がある。なお、坪量はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定法)に規定された方法に基づき測定される。
不織布の厚みは、好ましくは9μm以上30μm以下であり、より好ましくは10μm以上27μm以下であり、更に好ましくは11μm以上24μm以下である。厚みが9μm未満の場合、十分な強度が得られない場合がある。厚みが30μmを超える場合、セパレータの薄膜化が難しくなる場合がある。なお、厚みはJIS B 7502に規定された外側マイクロメーターを使用して、5N荷重することにより測定された値を意味する。
不織布の製造方法としては、繊維ウェブを形成し、繊維ウェブ内の繊維を結合させて不織布を得る製造方法を用いることができる。得られた不織布は、そのまま基材として使用しても良いし、複数枚の不織布からなる積層体を基材として使用することもできる。繊維ウェブの製造方法としては、例えば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、メルトブロー法等の乾式法;湿式抄紙法等の湿式法;静電紡糸法等が挙げられる。このうち、湿式法によって得られるウェブは、均質かつ緻密であり、セパレータ用基材として好適に用いることができる。湿式法は、繊維を水中に分散して均一な抄紙スラリーとし、この抄紙スラリーを円網式、長網式、傾斜式等の抄紙方式の少なくとも1つを有する抄紙機を用いて、繊維ウェブを得る方法である。
繊維ウェブから不織布を製造する方法では、接着、融着及び絡合からなる群から選ばれる繊維結合方法によって、繊維を結合させる。繊維結合方法としては、水流交絡(スパンレース)法、ニードルパンチ法、バインダー接着法等を使用することができる。バインダー接着法には、繊維ウェブに付与したバインダーで繊維を結合させるケミカルボンド法、繊維ウェブに含まれるバインダー用合成樹脂繊維で繊維を結合させるサーマルボンド法等を使用することができる。特に、均一性を重視して前記湿式法を用いる場合、サーマルボンド法を施して、バインダー用合成樹脂繊維を接着することが好ましい。サーマルボンド法により、均一な繊維ウェブから均一な不織布が形成される。
不織布に対して、カレンダー等によって圧力を加えて、厚さを調整することや、厚さを均一化することが好ましい。ただし、バインダー用合成樹脂繊維が皮膜化しない温度(バインダー用合成樹脂繊維の融点又は軟化点よりも20℃以上低い温度)で加圧することが好ましい。
本発明のセパレータは、本発明の塗液を基材に塗工して製造することができる。本発明の塗液を、基材の片面にのみ塗工しても良いし、基材の両面に塗工しても良い。また、基材の片面に2回以上塗布しても良い。
塗液を基材に塗工する方法としては、各種の塗工装置を用いることができる。塗工装置としては、ブレード、ロッド、リバースロール、リップ、ダイ、カーテン、エアーナイフ等各種の塗工方式、フレキソ、スクリーン、オフセット、グラビア、インクジェット等の各種印刷方式、ロール転写、フィルム転写などの転写方式、ディッピング等の引き上げ方式等を、必要に応じて選択して用いることができる。
本発明のキャパシタ用セパレータの坪量は、好ましくは10g/m2以上36g/m2以下であり、より好ましくは12g/m2以上32g/m2以下であり、更に好ましくは14g/m2以上27g/m2以下である。坪量が36g/m2を超えた場合、内部抵抗が高くなり過ぎる場合がある。坪量が10g/m2未満の場合、ピンホールが発生しやすくなる場合や、十分な強度を得ることが難しくなる場合がある。
本発明のキャパシタ用セパレータの厚みは、好ましくは10μm以上40μm以下であり、より好ましくは11μm以上30μm以下であり、更に好ましくは12μm以上25μm以下である。厚みが40μmを超えた場合、キャパシタ用セパレータが厚くなり過ぎてしまい、内部抵抗が高くなる場合がある。厚みが10μm未満の場合、ピンホールが発生しやすくなる場合や、十分な強度を得ることが難しくなる場合がある。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。また、塗工量は乾燥塗工量(塗工量(絶乾))である。
<基材1の作製>
繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維50質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)50質量部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、円網型抄紙機にて、湿式方式で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維同士、及びバインダー用PET系短繊維と配向結晶化PET系短繊維の交点を融着させて引張強度を発現させ、坪量10g/m2の不織布とした。更に、この不織布を、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、厚み15μmの不織布を作製し、基材1とした。
繊度0.1dtex(平均繊維径3.0μm)、繊維長3mmの配向結晶化PET系短繊維50質量部と繊度0.2dtex(平均繊維径4.3μm)、繊維長3mmの単一成分型バインダー用PET系短繊維(軟化点120℃、融点230℃)50質量部とをパルパーにより水中に分散し、濃度1質量%の均一な抄造用スラリーを調製した。この抄造用スラリーを、円網型抄紙機にて、湿式方式で抄き上げ、135℃のシリンダードライヤーによって、バインダー用PET系短繊維同士、及びバインダー用PET系短繊維と配向結晶化PET系短繊維の交点を融着させて引張強度を発現させ、坪量10g/m2の不織布とした。更に、この不織布を、誘電発熱ジャケットロール(金属製熱ロール)及び弾性ロールからなる1ニップ式熱カレンダーを使用して、熱ロール温度200℃、線圧100kN/m、処理速度30m/分の条件で熱カレンダー処理し、厚み15μmの不織布を作製し、基材1とした。
<基材2>
多孔性ポリプロピレンフィルム(坪量12g/m2、厚み20μm、空孔率40%)を基材2とした。
多孔性ポリプロピレンフィルム(坪量12g/m2、厚み20μm、空孔率40%)を基材2とした。
(実施例1)
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液90質量部(固形分1.8質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水16質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a1を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3500mPa・sのエーテル化度2.00のCMC−Naを使用した。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液90質量部(固形分1.8質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水16質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a1を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3500mPa・sのエーテル化度2.00のCMC−Naを使用した。
(実施例2)
CMC−Naとして、エーテル化度2.00のCMC−Naを1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3300mPa・s、エーテル化度1.80のCMC−Naに変更した以外は、塗液a1の調製と同様にして、塗液a2を調製した。
CMC−Naとして、エーテル化度2.00のCMC−Naを1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3300mPa・s、エーテル化度1.80のCMC−Naに変更した以外は、塗液a1の調製と同様にして、塗液a2を調製した。
(実施例3)
CMC−Naとして、エーテル化度2.00のCMC−Naを1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・s、エーテル化度1.15のCMC−Naに変更した以外は、塗液a1の調製と同様にして、塗液a3を調製した。
CMC−Naとして、エーテル化度2.00のCMC−Naを1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・s、エーテル化度1.15のCMC−Naに変更した以外は、塗液a1の調製と同様にして、塗液a3を調製した。
(実施例4)
CMC−Naとして、エーテル化度2.00のCMC−Naを1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が2500mPa・s、エーテル化度1.10のCMC−Naに変更した以外は、塗液a1の調製と同様にして、塗液a4を調製した。
CMC−Naとして、エーテル化度2.00のCMC−Naを1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が2500mPa・s、エーテル化度1.10のCMC−Naに変更した以外は、塗液a1の調製と同様にして、塗液a4を調製した。
(実施例5)
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液4質量部(固形分0.08質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水96質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a5を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液4質量部(固形分0.08質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水96質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a5を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
(実施例6)
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液5質量部(固形分0.10質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水95質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a6を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液5質量部(固形分0.10質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水95質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a6を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
(実施例7)
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液95質量部(固形分1.9質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水11質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a7を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液95質量部(固形分1.9質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水11質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a7を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
(実施例8)
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液100質量部(固形分2.0質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水7質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a8を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液100質量部(固形分2.0質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水7質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a8を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.15のCMC−Naを使用した。
(実施例9)
平均粒子径2.0μmのベーマイト100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液75質量部(固形分1.5質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水30質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a9を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3100mPa・sのエーテル化度1.40のCMC−Naを使用した。
平均粒子径2.0μmのベーマイト100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液75質量部(固形分1.5質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水30質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液a9を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3100mPa・sのエーテル化度1.40のCMC−Naを使用した。
(実施例10)
平均粒子径2.0μmのベーマイトを平均粒子径0.3μmのα−アルミナに変更した以外は、塗液a9の調製と同様にして、塗液a10を調製した。
平均粒子径2.0μmのベーマイトを平均粒子径0.3μmのα−アルミナに変更した以外は、塗液a9の調製と同様にして、塗液a10を調製した。
(実施例11)
平均粒子径2.0μmのベーマイトを平均粒子径0.5μmのα−アルミナに変更した以外は、塗液a9の調製と同様にして、塗液a11を調製した。
平均粒子径2.0μmのベーマイトを平均粒子径0.5μmのα−アルミナに変更した以外は、塗液a9の調製と同様にして、塗液a11を調製した。
(比較例1)
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液90質量部(固形分1.8質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水16質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液b1を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.00のCMC−Naを使用した。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、2質量%のCMC−Na水溶液90質量部(固形分1.8質量部)を添加・攪拌混合した後、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水16質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液b1を調製した。CMC−Naとして、1質量%水溶液の25℃におけるB形粘度が3000mPa・sのエーテル化度1.00のCMC−Naを使用した。
(比較例2)
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水100質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液b2を調製した。
平均粒子径1.0μmの水酸化マグネシウム100質量部を、水140質量部に分散した分散液に、有機ポリマーバインダーとして、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合樹脂エマルション(固形分濃度50質量%、ガラス転移点−18℃、平均粒子径0.2μm)10質量部を添加・攪拌混合し、最後に調整水100質量部を加えて固形分濃度を30質量%に調整し、塗液b2を調製した。
<塗液の安定性;沈降の評価>
実施例及び比較例の塗液を24時間静置した後の、分散粒子の沈降の様子を確認し、次の3段階に分類した。
実施例及び比較例の塗液を24時間静置した後の、分散粒子の沈降の様子を確認し、次の3段階に分類した。
○:沈降物なし。
△:沈降物少しあり。
×:沈降物あり。
△:沈降物少しあり。
×:沈降物あり。
<塗液の安定性;粘度変化の評価>
実施例及び比較例の塗液を25℃、50%RHにて24時間静置前後の粘度を測定し、粘度変化=静置後粘度/静置前粘度の式から、粘度変化の倍率(倍)を求め、次の3段階に分類した。塗液の粘度は、25℃、50%RHにおいて、東京計器社製B形粘度計、No.3ローターを用い、12rpmで測定した。
実施例及び比較例の塗液を25℃、50%RHにて24時間静置前後の粘度を測定し、粘度変化=静置後粘度/静置前粘度の式から、粘度変化の倍率(倍)を求め、次の3段階に分類した。塗液の粘度は、25℃、50%RHにおいて、東京計器社製B形粘度計、No.3ローターを用い、12rpmで測定した。
○:粘度変化が1.5倍未満。
△:粘度変化が1.5倍以上2.0倍未満。
×:粘度変化が2.0倍以上。
△:粘度変化が1.5倍以上2.0倍未満。
×:粘度変化が2.0倍以上。
<実施例1〜10並びに比較例1及び2のキャパシタ用セパレータ>
前記基材1に、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、実施例1〜10並びに比較例1及び2の塗液を塗工量(絶乾)が10.0g/m2となるように塗工・乾燥し、キャパシタ用セパレータを得た。
前記基材1に、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、実施例1〜10並びに比較例1及び2の塗液を塗工量(絶乾)が10.0g/m2となるように塗工・乾燥し、キャパシタ用セパレータを得た。
<実施例11のキャパシタ用セパレータ>
前記基材2に、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、実施例11の塗液を塗工量(絶乾)が10.0g/m2となるように塗工・乾燥し、キャパシタ用セパレータを得た。
前記基材2に、塗工装置としてリバースグラビアコーターを用いて、実施例11の塗液を塗工量(絶乾)が10.0g/m2となるように塗工・乾燥し、キャパシタ用セパレータを得た。
<評価用電気二重層キャパシタ>
[電極0の作製]
ポリフッ化ビニリデン10質量部をN−メチル−2−ピロリドン90質量部に溶解し、これにフェノール樹脂を出発原料とする平均粒径5.0μm、比表面積2000m2/gの粉末状活性炭80質量部と、平均粒径200nmのアセチレンブラック10質量部と、N−メチル−2−ピロリドン300質量部を添加し、混合撹拌機にて十分混合して、電極スラリーを得た。塩酸により表面をエッチング処理した厚み30μmのアルミニウム箔集電体に、アプリケータを用いて上記の電極スラリーを塗布・乾燥した後に、ロールプレス装置を用いてプレス処理を行い、厚み150μmの電気二重層キャパシタ用電極を作製し、これを電極0とした。
[電極0の作製]
ポリフッ化ビニリデン10質量部をN−メチル−2−ピロリドン90質量部に溶解し、これにフェノール樹脂を出発原料とする平均粒径5.0μm、比表面積2000m2/gの粉末状活性炭80質量部と、平均粒径200nmのアセチレンブラック10質量部と、N−メチル−2−ピロリドン300質量部を添加し、混合撹拌機にて十分混合して、電極スラリーを得た。塩酸により表面をエッチング処理した厚み30μmのアルミニウム箔集電体に、アプリケータを用いて上記の電極スラリーを塗布・乾燥した後に、ロールプレス装置を用いてプレス処理を行い、厚み150μmの電気二重層キャパシタ用電極を作製し、これを電極0とした。
[実施例1〜10並びに比較例1及び2の電気二重層キャパシタの作製]
電極0を30mm×50mm角に2枚カッティングし、実施例1〜10並びに比較例1及び2のセパレータが電極間に介するようにそれぞれ積層した。これをアルミニウム製収納袋に収納し、130℃で24時間真空加熱を行った後、アルミニウム製収納袋内に電解液を注入し、注入口を密栓して電気二重層キャパシタを作製した。電解液には、1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたプロピレンカーボネートを用いた。
電極0を30mm×50mm角に2枚カッティングし、実施例1〜10並びに比較例1及び2のセパレータが電極間に介するようにそれぞれ積層した。これをアルミニウム製収納袋に収納し、130℃で24時間真空加熱を行った後、アルミニウム製収納袋内に電解液を注入し、注入口を密栓して電気二重層キャパシタを作製した。電解液には、1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたプロピレンカーボネートを用いた。
[実施例11の電気二重層キャパシタの作製]
電極0を30mm×50mm角に2枚カッティングし、実施例11のセパレータが電極間に介するように積層した。これをアルミニウム製収納袋に収納し、80℃で24時間真空加熱を行った後、アルミニウム製収納袋内に電解液を注入し、注入口を密栓して電気二重層キャパシタを作製した。電解液には、1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたプロピレンカーボネートを用いた。
電極0を30mm×50mm角に2枚カッティングし、実施例11のセパレータが電極間に介するように積層した。これをアルミニウム製収納袋に収納し、80℃で24時間真空加熱を行った後、アルミニウム製収納袋内に電解液を注入し、注入口を密栓して電気二重層キャパシタを作製した。電解液には、1.5mol/lになるように(C2H5)3(CH3)NBF4を溶解させたプロピレンカーボネートを用いた。
[内部抵抗評価]
実施例及び比較例の電気二重層キャパシタを用い、充放電電圧範囲0〜2.7V、充放電電流200mAで、定電流充放電を10サイクル繰り返し、10サイクル目の放電開始直後の電圧低下より内部抵抗を算出した。結果を表1に記す。
実施例及び比較例の電気二重層キャパシタを用い、充放電電圧範囲0〜2.7V、充放電電流200mAで、定電流充放電を10サイクル繰り返し、10サイクル目の放電開始直後の電圧低下より内部抵抗を算出した。結果を表1に記す。
○:内部抵抗80mΩ未満
△:内部抵抗80mΩ以上100mΩ未満
×:内部抵抗100mΩ以上
△:内部抵抗80mΩ以上100mΩ未満
×:内部抵抗100mΩ以上
表1に示した通り、実施例1〜11で作製したキャパシタ用セパレータ用塗液a1〜a11は、無機粒子と有機ポリマーバインダーを含む塗液にエーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有させることで、沈降や大きな粘度変化が見られなく、塗液の安定性に優れ、また、製造されたセパレータを用いてなるキャパシタの内部抵抗も低く、優れていた。
一方、比較例1で作製したキャパシタ用セパレータ用塗液b1は、エーテル化度1.10未満のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有しているため、静置時に粘度変化が見られ、塗液の安定性が劣っていた。
比較例2で作製したキャパシタ用セパレータ用塗液b2は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含有していないため、沈降が見られ、塗液の安定性が劣っていた。
実施例4で作製したキャパシタ用セパレータ用塗液a4は、カルボキシメチルセルロースナトリウムのエーテル化度が1.10とやや小さいことから、24時間静置後にやや粘度変化が見られた。
実施例5で作製したキャパシタ用セパレータ用塗液a5は、無機粒子と有機ポリマーバインダーを含む塗液へのエーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの添加量がやや少ないことから、24時間静置後にやや沈降が見られた。
実施例8で作製したキャパシタ用セパレータ用塗液a8は、無機粒子と有機ポリマーバインダーを含む塗液へのエーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの添加量がやや多いことから、ややセパレータの内部抵抗が高くなった。
実施例11で作製したキャパシタ用セパレータは、基材に多孔性フィルムを使用したことから、ややセパレータの内部抵抗が高くなった。
本発明のキャパシタ用セパレータ用塗液及びキャパシタ用セパレータは、内部抵抗が低いキャパシタの製造に用いることができる。
Claims (7)
- 基材と無機粒子を含む塗層とから構成されるキャパシタ用セパレータを製造するために使用されるキャパシタ用セパレータ用塗液であって、該塗液が、無機粒子、有機ポリマーバインダー、及び、エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むことを特徴とするキャパシタ用セパレータ用塗液。
- エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量が、無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部未満である請求項1に記載のキャパシタ用セパレータ用塗液。
- 無機粒子が、水酸化マグネシウムである請求項1又は2に記載のキャパシタ用セパレータ用塗液。
- 基材と、該基材の少なくとも1面に設けられてなる塗層とから構成され、該塗層が無機粒子、有機ポリマーバインダー、及び、エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムを含むことを特徴とするキャパシタ用セパレータ。
- エーテル化度1.10以上2.00以下のカルボキシメチルセルロースナトリウムの含有量が、無機粒子100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部未満である請求項4に記載のキャパシタ用セパレータ。
- 無機粒子が、水酸化マグネシウムである請求項4又は5に記載のキャパシタ用セパレータ。
- 基材が不織布である請求項4〜6のいずれかに記載のキャパシタ用セパレータ。
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