JP2019160494A - フロー電池及びフロー電池システム - Google Patents

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Yuichi Toshimitsu
祐一 利光
酒井 政則
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政則 酒井
北川 雅規
Masaki Kitagawa
雅規 北川
明博 織田
Akihiro Oda
明博 織田
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Abstract

【課題】高エネルギー密度化及び長寿命化されたフロー電池、並びにこれを備えるフロー電池システムを提供する。【解決手段】フロー電池は、正極と、負極と、活物質を含有する電解液と、前記正極及び前記負極が内部に設けられる活物質反応槽と、を備え、前記活物質反応槽内への前記電解液の流入位置が移動可能に構成されている。【選択図】図1

Description

本開示は、フロー電池及びフロー電池システムに関する。
近年、地球温暖化問題の対策として、化石燃料に替わる、再生可能な自然エネルギーの需要が高まっており、再生可能エネルギー市場は今後も堅調に成長していくと考えられる。このような背景の中、太陽光、風力等の自然力を利用する発電の課題である出力の変動への対策の一つとして、蓄電池を活用した電力貯蔵技術がクローズアップされている。中でも、電解液を流動させて活物質の酸化還元反応を生じさせることで充電と放電とを行うフロー電池は、充放電サイクル寿命が長く、用途に応じた出力、容量等の設計が可能なことから、特に大容量蓄電池として注目されている。
例えば、特許文献1には、ハロゲンオキソ酸化合物の水溶液を用いるフロー電池が開示されている。特許文献1には、このスフロー電池において、負極活物質として亜鉛イオン等の金属イオンが用いられること、充電中は当該金属イオンが金属そのものに変換され、放電中は当該金属が溶解することが開示されている。
特許文献2、及び非特許文献1には、ヨウ素イオンを正極活物質として使用し、亜鉛イオン等の金属イオンを負極活物質として使用するフロー電池が開示されている。
特許文献3には、負極電解液の溶媒にイオン液体を用いるレドックスフロー電池が開示されている。
特表2016−520982号公報 米国特許出願公開第2015/0147673号明細書 特開2010−244972号公報
B. Li et al., Nature commun., 6, 6303 (2015).
フロー電池において活物質として金属イオンを用いる場合、還元反応により金属イオンが電極表面に金属として析出し、樹枝状に結晶が成長する場合がある。この樹枝状に成長した結晶をデンドライトともいう。デンドライトが形成されると、短絡が発生したり電池容量が低下したりするため、最終的には、フロー電池の短寿命化及び低エネルギー密度化に繋がるおそれがある。
これに対して、例えば、特許文献2には、隔膜を厚膜化する、若しくは電極と隔膜の距離を伸ばすことによってデンドライトの影響を最小化すること、又はデンドライト抑制効果のある添加剤を添加することが開示されている。
また、特許文献3には、電解液中にイオン液体を添加することによってデンドライトの成長が抑えられることが開示されている。
また、非特許文献1には、電解液中にアルコールを添加することによって亜鉛デンドライトの発生を抑制することが開示されている。
しかしながら、従来の方法以外にも、別の方法でデンドライトの成長を抑制してフロー電池を長寿命化させ、フロー電池の設計の選択肢を広げることが望まれている。
本開示は、高エネルギー密度化及び長寿命化されたフロー電池、並びにこれを備えるフロー電池システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 正極と、負極と、活物質を含有する電解液と、前記正極及び前記負極が内部に設けられる活物質反応槽と、を備え、前記活物質反応槽内への前記電解液の流入位置が移動可能に構成されているフロー電池。
<2> 前記流入位置は前記活物質反応槽の壁面に沿って移動可能に構成されている、<1>に記載のフロー電池。
<3> 前記電解液の流路を切り替え可能な切替弁をさらに備え、前記切替弁の切り替え動作により前記流入位置が移動可能に構成されている、<1>に記載のフロー電池。
<4> 前記流入位置の移動を制御する制御部をさらに備える、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<5> 前記制御部は、充電開始後の予め定められた時間において前記流入位置を移動させる、又は充電開始後の予め定められた時間毎に前記流入位置を移動させるように制御を行う、<4>に記載のフロー電池。
<6> 前記制御部は、前記電解液の流速に基づいて決定される速度又は頻度で、前記流入位置を移動させるように制御を行う、<4>又は<5>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<7> 前記制御部は、予め定められた充電状態において、前記流入位置を移動させるように制御を行う、<4>に記載のフロー電池。
<8> 前記制御部は、電流積算期間における充電率変化量(ΔSOC)に基づいて、予め定められた充電率変化量(ΔSOC)となったときに、前記流入位置を移動させるように制御を行う、<4>に記載のフロー電池。
<9> 前記制御部は、前記電解液の流速と前記活物質反応槽における前記電解液の圧力損失との関係を表す検量情報に基づいて決定される速度又は頻度で、前記流入位置を移動させるように制御を行う、<4>に記載のフロー電池。
<10>前記制御部は、電解液の温度に基づいて決定される速度又は頻度で前記流入位置を移動させるように制御を行う、<4>に記載のフロー電池。
<11>前記制御部は、電解液の単位時間当たりの温度変化量(ΔT)が予め定められた値以上となったときに、前記流入位置の移動の速度又は頻度を変化させるように制御を行う、<4>に記載のフロー電池。
<12> 前記活物質は、正極活物質としてハロゲン化物イオンを含む、<1>〜<11>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<13> 前記活物質は、負極活物質として、亜鉛イオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉛イオン及びリチウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、<1>〜<12>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<14> 前記電解液を循環させる電解液循環経路をさらに備え、前記電解液循環経路が前記活物質反応槽に接続している、<1>〜<13>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<15> 前記正極と前記負極との間に隔膜をさらに備える、<1>〜<14>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<16> <1>〜<15>のいずれか1項に記載のフロー電池と、発電装置と、を備えるフロー電池システム。
本開示によれば、高エネルギー密度化及び長寿命化されたフロー電池、並びにこれを備えるフロー電池システムが提供される。
本開示のフロー電池の第1の実施形態における一例を表す概略断面図である。 本開示のフロー電池の第1の実施形態における一例を表す概略断面図である。 本開示のフロー電池の第2の実施形態における一例を表す概略断面図である。 本開示のフロー電池の第2の実施形態における一例を表す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
また、本開示に記載された具体的かつ詳細な内容の一部又は全てを利用せずとも本発明を実施可能であることは、当業者には明らかである。また、本発明の側面をあいまいにすることを避けるべく、公知の点については詳細な説明又は図示を省略する場合もある。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
≪フロー電池≫
本開示のフロー電池は、正極と、負極と、活物質を含有する電解液と、前記正極及び前記負極が内部に設けられる活物質反応槽と、を備え、前記活物質反応槽内への前記電解液の流入位置が移動可能に構成されている。本開示のフロー電池は、制御部、電解液循環経路、隔膜、電解液貯蔵部、電解液送液ポンプ、生成物貯蔵部、生成物循環経路、電位計測部、記憶部、表示装置等をさらに備えてもよい。
本開示のフロー電池は、長寿命化が可能である。上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えることができる。
一般に、フロー電池は、流路の構造に起因して流速が変化しやすく、活物質反応槽内において活物質の濃度が偏りやすい傾向にある。例えば、金属が析出するときに、生成した析出層の厚みにムラが生じ、不均一な金属成長が起きやすい。不均一な金属成長は、デンドライトを生成し、最終的には、短絡の発生又は電池容量の低下を引き起こす。例えば、デンドライトが電解液内に脱落し、電気化学反応に寄与しない金属として系外に孤立し、活物質量が減少することで、電池容量の低下が生じると考えられる。また、負極表面のデンドライトが成長して正極と接触すると、短絡が発生すると考えられる。
デンドライトは、特に電解液の流入口付近において成長しやすい傾向にある。その結果、電解液の流入口付近における局所的な短絡が発生しやすくなる。また、これにより、フロー電池の充放電効率の低下が起こり、寿命が短くなる傾向にある。
一方、本開示のフロー電池は、活物質反応槽における電解液の流入位置が移動可能に構成されているため、電極上に析出するデンドライトの局所的な成長を抑制して、析出箇所を分散させることができる。その結果、デンドライトの剥離による活物質量の減少、及び短絡が抑制され、寿命の低下が抑えられると考えられる。
活物質反応槽内への電解液の流入位置が移動可能となるように構成される態様は特に制限されない。例えば、電解液の流入位置が活物質反応槽の壁面に沿って移動可能に構成されていてもよい。また、フロー電池が電解液の流路を切り替え可能な切替弁を備え、当該切替弁の切り替え動作により電解液の流入位置が移動可能となるように構成されていてもよい。
本開示において電解液の流入位置の「移動」とは、例えば、電解液の流入口自体が活物質反応槽の壁面に沿って移動する場合、及び電解液が流入する流入口が切り替わる場合のいずれも包含する概念である。本開示において活物質反応槽の「壁面」とは活物質反応槽の外周部分を便宜的に表し、平面でなくてもよく、変形するものであってもよい。「活物質反応槽の壁面に沿って移動可能」とは、活物質反応槽の壁面上を位置的に連続して移動可能であることを意味する。
電解液の流入位置を活物質反応槽の壁面に沿って移動可能に構成する方法は特に制限されない。例えば、活物質反応槽の壁面に伸縮性のある材料を用いて、活物質反応槽の壁面と流入口を一体成形する方法が挙げられる。
活物質反応槽の壁面に伸縮性のある材料を用いて、活物質反応槽の壁面と流入口を一体成形して移動可能な流入口を形成する場合、活物質反応槽にセンサーを設けてもよい。活物質反応槽の伸縮可能な部位にセンサーを設けることで、例えば、活物質反応槽の壁面の収縮の度合い、活物質反応槽の壁面の強度、電解液の温度等を経時的にモニターすることができる。これにより、電解液を循環させても、活物質反応槽の壁面の収縮性及び強度を担保することができる。センサーとしては、例えば、伸縮性を有する樹脂シート上にセンサー及び伸縮可能に加工された配線を配置したデバイスを用いてもよい。
フロー電池が電解液の流路を切り替え可能な切替弁を備え、当該切替弁の切り替え動作により電解液の流入位置が移動可能となるように構成する方法は特に制限されない。この場合、例えば、電解液の流路を形成する配管(電解液循環経路)を2以上の流路に分岐させて、分岐部分に切替弁を設けてもよい。電解液循環経路における分岐部分の下流の流路の数、すなわち活物質反応槽における流入口の数は特に制限されず、2個以上であってもよく、3個以上であってもよく、4個以上であってもよい。また、当該電解液の流入口の数は50個以下であってもよい。切替弁は、電解液の流入口の数に応じて、分岐部分に2個以上、3個以上、4個以上等、複数設けてよく、50個以下としてもよい。
上記の2態様、すなわち、電解液の流入位置が活物質反応槽の壁面に沿って移動可能に構成される態様、及びフロー電池が電解液の流路を切り替え可能な切替弁を備え、当該切替弁の切り替え動作により電解液の流入位置が移動可能となるように構成される態様において、さらに、電解液循環経路中に、電解液の流入方向と流出方向を反転可能な切替弁を設けて、電解液の流入方向と流出方向を反転可能な構成としてもよい。これにより、電極上に析出するデンドライトの成長しやすい箇所が反転するため、デンドライトの析出箇所をより効率的に分散させることが可能となる。
移動可能に構成される電解液の流入位置の、活物質反応槽に設けられる部位は特に制限されない。隔膜を備えないフロー電池の場合には、例えば、負極の近傍に、当該移動可能に構成される電解液の流入位置が設けられてもよい。また、隔膜を備えるフロー電池の場合には、正極電解液の流入位置が移動可能に構成されていてもよく、負極電解液の流入位置が移動可能に構成されていてもよく、正極電解液の流入位置及び負極電解液の流入位置の両方が移動可能に構成されていてもよい。充放電によって金属が析出する側の電解液の流入位置が移動可能に構成されていることが好ましい。例えば、負極活物質が還元されて負極に析出する場合、負極電解液の流入位置が移動可能であることが好ましい。なお、本開示において、フロー電池が隔膜を備える場合には、隔膜の正極側の電解液を正極電解液と称し、隔膜の負極側の電解液を負極電解液と称する。
フロー電池は、一液型の電解液を用いてもよく、二液型の電解液を用いてもよい。
例えば、一液型の電解液を用いるフロー電池は、電解液貯蔵タンク、電解液循環経路、及び電解液送液ポンプを備えていてもよい。この場合、電解液は、電解液送液ポンプの推進力により、電解液貯蔵タンクから電解液循環経路を経由して活物質反応槽に流入し、再度電解液循環経路を経由して電解液貯蔵タンクに戻るように循環する。電解液貯蔵タンクを設けずに、電解液送液ポンプを用いて電解液を循環させてもよい。
また、二液型の電解液を用いる場合には、フロー電池は、正極電解液と負極電解液とがそれぞれ別個の経路を循環するように構成される。例えば、二液型の電解液を用いるフロー電池は、正極電解液貯蔵タンク、正極電解液循環経路、及び正極電解液送液ポンプ、並びに負極電解液貯蔵タンク、負極電解液循環経路、及び負極電解液送液ポンプを備えていてもよい。この場合、正極電解液は、正極電解液送液ポンプの推進力により、正極電解液貯蔵タンクから正極電解液循環経路を経由して活物質反応槽の隔膜よりも正極側に流入し、再度正極電解液循環経路を経由して正極電解液貯蔵タンクに戻る。同様に、負極電解液は、負極電解液送液ポンプの働きにより、負極電解液貯蔵タンクから負極電解液循環経路を経由して活物質反応槽の隔膜よりも負極側に流入し、再度負極電解液循環経路を経由して負極電解液貯蔵タンクに戻る。正極電解液貯蔵タンク及び負極電解液貯蔵タンクの一方又は両方を設けずに、正極電解液送液ポンプ又は負極電解液送液ポンプの一方又は両方を用いて電解液を循環させてもよい。
以下、本開示のフロー電池を構成する必須又は任意の構成について詳述する。
<正極及び負極>
フロー電池は、正極及び負極を備える。正極は、正極活物質と酸化還元反応を行う電極であり、負極は、負極活物質と酸化還元反応を行う電極である。正極及び負極としては、従来公知の電池(二次電池、フロー電池等)に用いられる正極及び負極を用いてもよい。
正極及び負極としては、使用する電位範囲において電気化学的に安定な材質を用いることが好ましい。正極及び負極としては、カーボンフェルト、グラファイトフェルト、カーボンペーパー等の炭素電極;カーボンブラックとバインダを用いて平板としたカーボンプラスチック電極;ステンレス鋼、アルミニウム、銅、亜鉛、チタン、ニッケル等の金属又は合金からなる金属板、金属メッシュ等の金属電極;などが挙げられる。
正極としては、ヨウ化物イオン、ヨウ素分子、三ヨウ化物イオン及び五ヨウ化物イオン等に対する耐食性に優れる観点から、チタン等の耐食性の高い金属の電極及び炭素電極が好ましく、コストの観点から、炭素電極がより好ましい。
負極としては、亜鉛等の金属が表面に好適に析出する観点から、金属電極及び炭素電極が好ましく、亜鉛電極又は亜鉛メッキした金属電極がより好ましい。さらに、電解液が後述の水溶性有機化合物を含有する場合には、負極に金属電極を用いることが好ましい。
正極及び負極の形状は特に制限されず、メッシュ、多孔体、パンチングメタル、平板、フェルト、ペーパー等の形状であってよい。正極及び負極の少なくとも一方は、比表面積が大きく、電池の出力に優れる観点から、多孔体、フェルト、ペーパー等の形状であることが好ましい。
フロー電池における正極と負極の位置関係は特に制限されない。例えば、正極と負極が互いに水平方向に対向して配置されていてもよい。負極が鉛直方向上部となり正極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよい。正極が鉛直方向上部となり負極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよい。正極及び負極は任意に傾いた状態で対向して配置されていてもよい。
フロー電池において、電解液に気泡が混入する、又は活物質の酸化還元反応によって気泡が発生することがある。この場合、正極及び負極が上下に対向して配置されるフロー電池では、気泡が電極表面に滞留して電極と電解液との接触を阻害し、電極における酸化還元反応を妨げるおそれがある。ここで、電極を任意に傾いた状態、例えば水平面に対して20°≦θ≦70°、又は30°≦θ≦60°傾いた状態で対向して配置させると、気泡を効率的に除去することができる。
<電解液>
フロー電池は、活物質を含有する電解液を備える。電解液は一液型の電解液であっても二液型の電解液であってもよい。一液型の電解液は、正極活物質及び負極活物質をいずれも含有する。二液型の電解液は、正極活物質を正極電解液に含有し、負極活物質を負極電解液に含有する。電解液は、水溶性有機化合物、支持電解質、pH緩衝剤、導電材等をさらに含有してもよい。
(正極活物質)
正極活物質の種類は特に制限されない。例えば、正極活物質はハロゲン化物イオンを含んでもよい。ハロゲン化物イオンは標準酸化還元電位が高いため、正極活物質がハロゲン化物イオンを含むと、フロー電池の発電効率が向上する傾向にある。ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、及びヨウ化物イオン(I)が挙げられる。ハロゲン化物イオンは、臭化物イオン(Br)及びヨウ化物イオン(I)の少なくとも一方を含むことが好ましい。ハロゲン化物イオンは、より高い出力電圧が得られる観点からは、臭化物イオンを含むことが好ましく、毒性が低い観点からは、ヨウ化物イオンを含むことが好ましい。電解液は、ハロゲン化物イオン以外の正極活物質を含有してもよい。正極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電解液がハロゲン化物イオンを含有する場合、電解液は、水に任意の成分を溶解又は分散したものにハロゲン化合物を溶解又は分散させて調製してもよい。ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化合物及びヨウ素化合物が挙げられる。
臭素化合物としては、具体的には、CuBr、ZnBr、NaBr、KBr、HBr、LiBr、NHBr、BaBr、CaBr、MgBr、SrBr、CBr、AgBr、NBr、テトラアルキルアンモニウムブロミド、ピリジニウムブロミド、ピロリジニウムブロミド、スルフォニウムブロミド等が挙げられる。
ヨウ素化合物としては、具体的には、CuI、ZnI、NaI、KI、HI、LiI、NHI、BaI、CaI、MgI、SrI、CI、AgI、NI、テトラアルキルアンモニウムヨージド、ピリジニウムヨージド、ピロリジニウムヨージド、スルフォニウムヨージド等が挙げられる。
電解液が臭化物イオンを含有する場合、電解液中の臭化物イオンの濃度は特に制限されず、0.01M(mol/L)〜10Mであることが好ましく、0.1M〜5Mであることがより好ましい。臭化物イオンの濃度が0.01M以上であると充分なエネルギー密度が得られる傾向にあり、10M以下であると電解液中に後述する水溶性有機化合物を充分に溶解できる傾向にある。
電解液がヨウ化物イオンを含有する場合、電解液中のヨウ化物イオンの濃度は特に制限されず、0.01M〜20Mであることが好ましく、0.1M〜10Mであることがより好ましい。ヨウ化物イオンの濃度が0.01M以上であると充分なエネルギー密度が得られる傾向にあり、20M以下であると電解液中に後述する水溶性有機化合物を充分に溶解できる傾向にある。
(負極活物質)
負極活物質としては、反応系の標準酸化還元電位が、正極の標準酸化還元電位(正極活物質がヨウ化物イオンである場合は0.536V)よりも低い物質であれば特に制限されない。
負極活物質としては、亜鉛、クロム、チタン、鉄、スズ、バナジウム、鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、リチウム、キノン系材料、ビオロゲン等のイオンが挙げられる。これらの負極活物質の中でも金属イオンが好ましく、より具体的には、亜鉛イオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉛イオン及びリチウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。負極活物質が上記から選択される少なくとも1種の金属イオンは、安価であり、溶解析出反応の標準酸化還元電位が低くなりやすい。また、上記から選択される金属イオンの還元反応生成物は金属であり、負極表面に析出して留まる傾向にある。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、負極活物質は、亜鉛イオンを含むことがより好ましい。亜鉛イオンは他の金属イオンに比べて水への溶解度が高く(例えば、塩化亜鉛の溶解度は30M以上)、溶解析出反応の標準酸化還元電位が低く(−0.76V)、安価である。また、亜鉛イオンの還元反応生成物は金属亜鉛であり、負極表面に析出して留まるため好ましい。
金属イオンを含有する負極電解液は、当該金属の化合物を電解液に溶解することで調製することができる。例えば、亜鉛イオンを含有する負極電解液は、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物を電解液に溶解することで調製することができる。
電解液は、負極活物質として硫黄化合物を含有してもよい。硫黄化合物は、例えば硫化リチウムの場合約1600mAh/gという高い放電容量を有し、フロー電池のエネルギー密度を高めることができ、且つ、安価である。また、酸化還元反応が金属の析出反応とは異なり、負極表面に金属が析出せず、デンドライトの成長による短絡を抑制できるため好ましい。なお、負極活物質として硫黄化合物を用いる場合、硫黄化合物の還元反応生成物の堆積により電解液の流量が低下し、これに伴い反応効率も低下することがある。しかしながら、活物質反応槽への電解液の流入位置を適宜移動させることで、硫黄化合物の還元反応生成物の堆積の速度が抑えられ、適宜必要な流量を確保できる傾向にある。その結果、高容量で安定した出力を得ることができると考えられる。なお、負極活物質として硫黄化合物を用いる場合、フロー電池は、自己放電を抑制する観点から、正極と負極との間に後述する隔膜を備えることが好ましい。
硫黄化合物としては、硫化リチウム(Li)、硫化ナトリウム(Na)、硫化カリウム(K)、硫化銀(Ag)、硫化亜鉛(Zn)、硫化鉄(Fe)、硫化アンチモン(Sb)等が挙げられる(x及びyは、任意の正の数を表す)。
(水溶性有機化合物)
電解液は、水溶性有機化合物を含有してもよい。電解液が水溶性有機化合物を含有すると、デンドライトの成長が抑制される傾向にある。例えば、金属イオンを負極活物質として用いるフロー電池では、還元反応により負極表面に析出する金属(還元反応生成物)に対し、水溶性有機化合物が配位すると考えられる。これにより、金属のデンドライトの成長を効果的に抑制できると考えられる。または、水溶性有機化合物には金属の析出自体を抑制する作用があると考えられる。
正極活物質としてハロゲン化物イオンを用いる場合、電解液は、ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な水溶性有機化合物を含有することが好ましい。電解液がハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な水溶性有機化合物を含有すると、正極表面に形成されるハロゲン分子被膜の溶解が促進されるとともに、電解液から分離されたハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を正極の還元反応(放電反応)に好適に利用できる傾向にある。本開示において「ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物」とは、ハロゲン化物イオンの酸化反応によって生成する物質を意味する。臭化物イオンの酸化反応生成物としては、例えば、臭素(Br)、三臭化物イオン(Br )及びこれらの組み合わせが挙げられる。ヨウ化物イオンの酸化反応生成物としては、例えば、ヨウ素分子(I)、三ヨウ化物イオン(I )、五ヨウ化物イオン(I )及びこれらの組み合わせが挙げられる。
電解液が水溶性有機化合物を含有すると、電解液をハロゲン化物イオンの酸化反応生成物が含まれる疎水性の物質と、バルク液体とに分離しやすくなると考えられる。また、疎水性の物質は、バルク液体よりも比重が大きく沈殿するため、負極を正極よりも上側に配置すると、隔膜を設けていない場合であっても、正極にて生成される酸化反応生成物が負極に触れることが抑制される傾向にある。
正極活物質としてヨウ化物イオンを用いる場合、電解液が水溶性有機化合物を含有すると、酸化反応生成物であるヨウ素分子皮膜の溶解が促進されて流路の目詰まりが抑制される傾向にある。また、酸化反応生成物が選択的に分離されやすくなり、ヨウ素分子の昇華が抑制され、充電生成物が電極近傍に留まる傾向にある。
また、負極活物質として亜鉛イオンを用いる場合、電解液が水溶性有機化合物を含有すると、負極の亜鉛析出形態が安定化される傾向にある。
水溶性有機化合物は、ケトン、カルボン酸エステル、及び炭酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含有してもよい。水溶性有機化合物が上記からなる群より選択される少なくとも1種を含有すると、デンドライトの成長が抑制される傾向にある。また、カルボン酸エステルは、ハロゲンに対して化学的により安定であり、クーロン効率を高める傾向にある。炭酸エステルは、比重が大きく、疎水性の物質としてハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離しやすくする傾向にある。
ケトンとして具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトンが好ましい。
カルボン酸エステルとして具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル等が挙げられる。中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等が好ましい。
炭酸エステルとして具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。中でも、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン等が好ましい。
上述した中でも、水溶性有機化合物は、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、及び炭酸プロピレンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、水溶性有機化合物は、ガンマブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、及びポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。これらの中でも、デンドライトの成長を抑制する観点からは、水溶性有機化合物としては、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド、ポリエチレングリコール等を用いることがより好ましい。水溶性有機化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(支持電解質)
電解液は、さらに支持電解質を含有してもよい。支持電解質は、電解液のイオン伝導率を高めるための助剤である。電解液が支持電解質を含有することで、電解液のイオン伝導率が高まり、フロー電池の内部抵抗が低減する傾向にある。
支持電解質は、電解液中で解離してイオンを形成する化合物であれば特に制限されない。支持電解質としては、HCl、HNO、HSO、HClO、NaCl、NaSO、NaClO、KCl、KSO、KClO、NaOH、LiOH、KOH、アルキルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アルキルピペリジニウム塩、アルキルピロリジニウム塩等が挙げられる。また、ハロゲン化合物等は、正極活物質と支持電解質とを兼ねていてもよい。支持電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(pH緩衝剤)
電解液は、さらにpH緩衝剤を含有してもよい。pH緩衝剤としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液等が挙げられる。
(導電材)
電解液は、さらに導電材を含有してもよい。導電材としては、炭素材料、金属材料、有機導電性材料等が挙げられる。炭素材料及び金属材料は、例えば、粒子状であっても繊維状であってもよい。
炭素材料としては、活性炭(水蒸気賦活又はアルカリ賦活);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛;カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンファイバー、ハードカーボン、ソフトカーボンなどが挙げられる。
金属材料としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の粒子、繊維などが挙げられる。
有機導電性材料としては、ポリフェニレン誘導体等が挙げられる。
導電材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<活物質反応槽>
フロー電池は、正極及び負極が内部に設けられる活物質反応槽を備える。活物質反応槽は電解液を貯留する。本開示のフロー電池において活物質反応槽内への上記電解液の流入位置は移動可能に構成されている。
活物質反応槽は一液型電解液用であっても、二液型電解液用であってもよい。
一液型電解液用の活物質反応槽の場合、例えば、正極側の充電生成物を正極近傍に留める観点から、正極が鉛直方向下部に配置され、負極が鉛直方向上部に配置されていてもよい。二液型電解液用の場合には、活物質反応槽内に正極電解液と負極電解液を分ける隔膜を設ける。
<制御部>
フロー電池は、電解液の流入位置の移動を制御する制御部を備えていてもよい。制御部は、電解液の流入位置を活物質反応槽の壁面に沿って任意の速度又は頻度で移動させるよう制御してもよい。フロー電池が電解液の流路を切り替え可能な切替弁を備える場合、制御部は、任意の頻度で当該切替弁の切り替え動作を制御してもよい。
制御部による電解液の流入位置の移動のタイミングは特に制限されず、充電時及び放電時のいずれに行われてもよい。電解液の流入位置の移動速度又は移動頻度は、1回の充電又は放電プロセスを通して、予め定められた一定の移動速度又は移動頻度としてもよく、経時的に変動させてもよい。
制御部は、充電開始後の予め定められた時間において電解液の流入位置を移動させる、又は充電開始後の予め定められた時間毎に電解液の流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。これにより、簡便な制御によって局所的なデンドライトの成長を抑制することができる傾向にある。
制御部は、電解液の流速に基づいて決定される速度又は頻度で、電解液の流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。電解液の流入位置の移動速度又は移動頻度は、例えば、電解液の流速に基づいて決定することが可能である。電解液の流速が小さいほど、デンドライトが析出しやすい傾向にある。そのため、電解液の流速が小さいほど、電解液の流入位置の移動速度を大きく、又は移動頻度を高く設定することで、デンドライトの局所的な析出がより効率的に抑制されると考えられる。例えば、電解液の電解液循環経路を移動する流速v(cm/s)と、単位時間内に析出したデンドライトの長さl(mm)とに基づき予め作成された検量情報により、操作時の流速から、その操作条件でのデンドライトの伸張速度を把握することができる。これにより、デンドライトが一定の長さとなるまでの時間を推測することができ、電解液の流入位置を移動させるための速度を見積もることができる。
制御部は、例えば、電解液の電解液循環経路を移動する流速v(cm/s)と、単位時間内に析出したデンドライトの長さl(mm)とに基づき作成された検量情報に基づいて決定される速度又は頻度で、電解液の流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。
制御部は、予め定められた充電状態(SOC:State of Charge)において、電解液の流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。充電継続中又は予め定められたSOCにおいて、電解液の流入位置を移動させることで、放電容量の低下が抑えられ、フロー電池の長寿命化が可能になる傾向にある。
具体的には、電位計測部等により計測された電位に基づいてSOC(%)を推定し、推定されたSOCに応じて、電解液の流入位置の移動を行うように制御してもよい。例えば、酸化還元物質としてヨウ化物イオン、三ヨウ化物イオン、五ヨウ化物イオン及びヨウ素分子のみを考慮する場合、SOCが0%とは、基本的に正極電解液中に五ヨウ化物イオン、三ヨウ化物イオン及びヨウ素分子が含まれず、ヨウ化物イオンのみとなっている状態を示す。また、SOCが100%とは、基本的に正極電解液中にヨウ化物イオンが含まれず、五ヨウ化物イオン、三ヨウ化物イオン及びヨウ素分子のみとなっている状態を示す。
制御部は、電流積算期間における充電率変化量(ΔSOC)に基づいて、予め定められた充電率変化量となったときに、電解液の流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。電流積算期間におけるΔSOCを求めると、放電容量をより正確に推定することができる。さらに、予め定められたΔSOCの値となったときに、電解液の流入位置を移動させることで、放電容量の低下が抑えられ、長寿命化が可能になる。
なお、ΔSOCは、例えば電解液送液ポンプを用いて適宜調整することができ、電池スケールに応じて適宜調整することができる。
制御部は、電解液の流速と活物質反応槽における電解液の圧力損失との関係を表す検量情報に基づいて決定される速度又は頻度で、電解液の流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。活物質反応槽での電解液の圧力損失を考慮することで、活物質反応槽内での電解液の流速をより正確に把握することができる。
活物質反応槽における電解液の圧力損失は、例えば、活物質反応槽に対して上流側の電解液循環経路に設けられた計測器により測定された流速と、下流側の電解液循環経路に設けられた計測器により測定された流速との差により求めることができる。
制御部は、電解液の温度に基づいて決定される速度又は頻度で流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。例えば、制御部は、電解液の温度の上昇に従い電解液の流入位置の移動速度又は移動頻度を上昇させるように制御を行い、電解液の温度の低下に従い電解液の流入位置の移動速度又は移動頻度を低下させるように制御を行ってもよい。制御部は、例えば、電解液の温度(℃)と、単位時間内に析出したデンドライトの長さ(mm)とに基づき作成された検量情報に基づいて決定される速度又は頻度で、電解液の流入位置を移動させるように制御を行ってもよい。また、制御部は、電解液の温度が予め定められた温度以上に上昇したときに電解液の流入位置の移動速度又は移動頻度を上昇させるように制御を行ってもよく、電解液の温度が予め定められた温度以下に低下したときに電解液の流入位置の移動速度又は移動頻度を低下させるように制御を行ってもよい。
制御部は、電解液の単位時間当たりの温度変化量(ΔT)が予め定められた値以上となったときに、電解液の流入位置の移動の速度又は頻度を変化させるように制御を行ってもよい。電流又は電圧の急速な変化による反応熱の影響等により、電解液の温度に急速な変化が生じた場合に、電解液の流入位置の移動の速度又は頻度を変化させることで、デンドライトの伸張速度に応じて効率的に電解液の流入位置を移動させることができる。例えば、制御部は、電解液の温度が予め定められた温度変化量(ΔT)以上で上昇したときに、電解液の流入速度又は流入頻度を上昇させるように制御を行ってもよく、電解液の温度が予め定められた温度変化量(ΔT)以上で低下したときに、電解液の流入速度又は流入頻度を低下させるように制御を行ってもよい。
なお、フロー電池は、制御部による電解液の流入位置の移動を制御するための検量情報等を記憶する記憶部を備えていてもよい。また、制御部による制御の内容等を表示する表示装置を備えていてもよい。
<隔膜>
フロー電池は、正極と負極との間に配置される隔膜を備えていてもよい。なお、フロー電池は隔膜を備えなくてもよい。
隔膜の材質は、水分子、イオン等が透過するものであれば特に制限されない。例えば、耐酸性に優れ、高いイオン伝導率を有するイオン交換膜が好ましい例として挙げられ、数十ナノメートルから数百マイクロメートルの孔径を有する多孔膜、ガラスフィルター等、不織布なども好適に用いることができる。
<電解液循環経路>
フロー電池は、活物質反応槽内の電解液を循環させる電解液循環経路を備えてもよい。この場合、電解液は、活物質反応槽内及び電解液循環経路内に貯蔵されることになり、フロー電池の高容量化が可能となる。
電解液循環経路には電解液の流路を切り替え可能な切替弁が備えられていてもよい。当該切替弁の切り替え動作により、電解液の流入位置を移動させることが可能となる。
また、電解液循環経路に、活物質反応槽における電解液の流入方向と流出方向を反転可能な切替弁が設けられていてもよい。活物質反応槽の電解液の流入方向と流出方向を反転可能な構成とすることにより、電極上に析出するデンドライトの成長しやすい箇所を反転させて、デンドライトの析出箇所をより効率的に分散することが可能となる。電解液の流入方向と流出方向を反転可能な切替弁の数は、電解液の流入出方向を反転させることができれば特に限定されず、例えば、複数の切替弁を用いてもよい。切替弁の数は、3つ以上であることが好ましく、部品数を最小にする観点から、3つであることがより好ましい。
電解液の流路を切り替え可能な切替弁、又は電解液の流入方向と流出方向を反転可能な切替弁は、例えば、回転式の切替弁であることが好ましい。回転式の切替弁を用いると、活物質反応槽に流入出する電解液の流量が連続的に変更できる。これにより、電解液の流量を調節することで、デンドライトの成長に起因する寿命の低下が抑えられる傾向にある。切替弁の種類は、電磁弁でも3方弁でもよく、例えば、電解液の流量を連続的に変更する観点から、3方弁であることが好ましい。
<電解液貯蔵部>
フロー電池は、電解液を貯蔵する電解液貯蔵部を備えていてもよい。電解液貯蔵部としては、例えば、電解液貯蔵タンクが挙げられる。フロー電池が電解液貯蔵部を備えると、フロー電池をより高容量化することができる。
<電解液送液ポンプ>
フロー電池は、電解液循環経路内の電解液を送液する電解液送液ポンプをさらに備えていてもよい。活物質反応槽と電解液貯蔵部との間で循環させる電解液の量は、例えば電解液送液ポンプを用いて適宜調整すればよく、電池スケールに応じて適宜設定することができる。
フロー電池が、活物質反応槽と、電解液貯蔵部と、電解液送液ポンプとを備える場合、物質反応槽と、電解液貯蔵部と、電解液送液ポンプとの位置関係は特に制限されない。例えば、電解液を好適に循環させる観点から、電解液送液ポンプは電解液貯蔵部よりも鉛直方向下部又は同等の高さに配置されていることが好ましい。
<生成物貯蔵部及び生成物循環経路>
フロー電池は、正極にて生成される酸化反応生成物を貯蔵する生成物貯蔵部、及び、活物質反応槽と生成物貯蔵部との間で酸化反応生成物を循環させる生成物循環経路を備えていてもよい。生成物貯蔵部としては、例えば、生成物貯蔵タンクが挙げられる。
<電位計測部>
フロー電池は、電解液中の活物質の濃度に基づく電位を計測する電位計測部を備えていてもよい。電位計測部は、例えば、活物質の濃度に基づく電位を計測するための集電電極と、電気化学電位の基準となる参照電極とを有し、参照電極基準の電気化学電位を計測する。電気化学電位に関するネルンストの式を用いることにより、計測された参照電極基準の電気化学電位から活物質の濃度を求めることができる。集電電極としては、白金電極、グラファイト電極等が挙げられ、参照電極としては、Ag/AgCl電極等が挙げられる。電位計測部は、電解液貯蔵部に配置されていてもよく、電解液が循環する循環経路に配置されていてもよい。
以下に、本開示のフロー電池の実施形態の例を図面を参照して例示するが、本開示の電池はこれらの実施形態に限定されない。
[第1の実施形態]
本開示のフロー電池の一実施形態において、電解液の流入位置が活物質反応槽の壁面に沿って移動可能に構成されている(このような実施形態を第1の実施形態と称する)。図1に、第1の実施形態の一例を表す概略断面図を示す。
図1に示すフロー電池100は、正極1と、負極2と、正極電解液5Aと、負極電解液5Bと、正極1及び負極2を内部に有する活物質反応槽3とを備える。正極1及び負極2の間には隔膜4が設けられている。
フロー電池100は、さらに正極電解液循環経路11A、正極電解液送液ポンプ12A、及び正極電解液貯蔵タンク13Aを備え、正極電解液循環経路11Aは活物質反応槽3に接続されて正極電解液5Aを循環させるように構成されている。正極電解液5Aは流入口6Aを経由して活物質反応槽3へ流入し、流出口7Aを経由して活物質反応槽3から流出する。正極電解液循環経路11Aに沿って示される実線の矢印は、正極電解液5Aの流れる方向を表す。
フロー電池100は、さらに負極電解液循環経路11B、負極電解液送液ポンプ12B、及び負極電解液貯蔵タンク13Bを備え、負極電解液循環経路11Bは活物質反応槽3に接続されて負極電解液5Bを循環させるように構成されている。負極電解液5Bは流入口6Bを経由して活物質反応槽3へ流入し、流出口7Bを経由して活物質反応槽3から流出する。負極電解液循環経路11Bに沿って示される実線の矢印は、負極電解液5Bの流れる方向を表す。負極電解液5Bの流入口6Bは活物質反応槽の壁面に沿って移動可能に構成されている。図1における白抜きの矢印は、流入口6Bの移動方向を表す。
フロー電池100では、回路に設けられるスイッチ8の切り替えによって、電源9に接続する、又は外部負荷10に接続するように切り替えが行われ、充放電の制御が行われる。
また、図示されないが、図1に示すフロー電池100は、流入口6Bの移動を制御する制御部をさらに備える。制御部は、流入口6Bの位置を、活物質反応槽3の壁面に沿って任意の速度又は頻度で移動させるように制御する。流入口6Bの移動の制御方法は前述したとおりである。
例えば、図1のフロー電池100において、負極電解液5Bが負極活物質として亜鉛イオンを含有する場合、充電時に亜鉛イオンの還元反応により負極上に金属亜鉛が析出する。このとき、充電が進行するに従い、任意の制御方法に基づいて、活物質反応槽3の壁面沿いに、流入口6Bを流出口7Bに近づく方向に移動させる。なお、移動させる方向は上記に限らず任意の方向であってよい。これにより、金属亜鉛の析出による局所的なデンドライトの発生を抑制することができる。
なお、図1のフロー電池100では二液型の電解液を用いているが、一液型の電解液を用いてもよい。
図1では、正極及び負極が互いに水平方向に対向するように配置される態様が図示されているが、負極が鉛直方向上部となり正極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよく、正極が鉛直方向上部となり負極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよい。正極及び負極は任意に傾いた状態で対向して配置されていてもよい。
図1のフロー電池100は外部電源により正極電解液送液ポンプ12A及び負極電解液送液ポンプ12Bを駆動する場合の一例であるが、フロー電池による電力そのものを正極電解液送液ポンプ12A及び負極電解液送液ポンプ12Bの電源に用い、外部からの電力供給がない自立系の構成としてもよい。
図1のフロー電池100では正極電解液貯蔵タンク13A及び負極電解液貯蔵タンク13Bが設けられているが、正極電解液貯蔵タンク13A及び負極電解液貯蔵タンク13Bを設けずに、正極電解液送液ポンプ12A及び負極電解液送液ポンプ12Bを用いて電解液を循環させてもよい。
図1に示すフロー電池100において、酸化反応生成物(ヨウ素分子、三ヨウ化物イオン、五ヨウ化物イオン等)を貯蔵する生成物貯蔵タンク、酸化反応生成物を循環させるための生成物送液ポンプ、及び生成物循環経路等をさらに備えてもよい。
第1の実施形態の更なる一例として、一液型の電解液を用いる場合の一例を図2に示す。図2のフロー電池200では、正極電解液及び負極電解液がそれぞれ独立して循環するのではなく、正極活物質及び負極活物質を含有する一液型の電解液が循環する構成となっている点で、図1のフロー電池100と異なっている。具体的には、電解液5は、電解液送液ポンプ12の推進力により、電解液貯蔵タンク13から電解液循環経路11及び流入口6を経由して活物質反応槽3に流入し、流出口7から流出し、再度電解液循環経路11を経由して電解液貯蔵タンク13に戻るように循環する。上記流入口6が、図示されない制御部により移動可能に構成されている。
なお、図2には隔膜を有さない態様が図示されているが、フロー電池200は隔膜を有してもよい。
また、図2では負極が鉛直方向上部となり正極が鉛直方向下部となるように対向して配置される態様が図示されているが、正極が鉛直方向上部となり負極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよく、正極及び負極が互いに水平方向に対向するように配置されてもよい。正極及び負極は任意に傾いた状態で対向して配置されていてもよい。
[第2の実施形態]
本開示の一実施形態において、フロー電池は電解液の流路を切り替え可能な切替弁を備え、当該切替弁の切り替え動作により電解液の流入位置が移動可能に構成されている(このような実施形態を第2の実施形態と称する)。図3に、第2の実施形態の一例を表す概略断面図を示す。
図3に示すフロー電池300は、正極1と、負極2と、正極電解液5Aと、負極電解液5Bと、正極1及び負極2を内部に有する活物質反応槽3とを備える。正極1及び負極2の間には隔膜4が設けられている。
フロー電池300は、さらに正極電解液循環経路11A、正極電解液送液ポンプ12A、及び正極電解液貯蔵タンク13Aを備え、正極電解液循環経路11Aは活物質反応槽3に接続されて正極電解液5Aを循環させるように構成されている。正極電解液5Aは流入口6Aを経由して活物質反応槽3へ流入し、流出口7Aを経由して活物質反応槽3から流出する。正極電解液循環経路11Aに沿って示される実線の矢印は、正極電解液5Aの流れる方向を表す。
フロー電池300は、さらに負極電解液循環経路11B、負極電解液送液ポンプ12B、及び負極電解液貯蔵タンク13Bを備え、負極電解液循環経路11Bは活物質反応槽3に接続されて負極電解液5Bを循環させるように構成されている。負極電解液5Bは流入口6B−1又は流入口6B−2を経由して活物質反応槽3へ流入し、流出口7Bを経由して活物質反応槽3から流出する。負極電解液循環経路11Bに沿って示される実線の矢印は、負極電解液5Bの流れる方向を表す。
フロー電池300では、回路に設けられるスイッチ8の切り替えによって、電源9に接続する、又は外部負荷10に接続するように切り替えが行われ、充放電の制御が行われる。
フロー電池300は、負極電解液循環経路11B内に、切替弁14を備える。切替弁14は、負極電解液循環経路11Bにおける負極電解液5Bの流路を切り替える。図3に示されるR1及びR2はそれぞれ、切替弁14によって切り替わる負極電解液5Bの流路を表している。R1は流入口6B−1に繋がる流路であり、R2は流入口6B−2に繋がる流路である。
また、図示されないが、フロー電池300は、切替弁14の切り替え動作により、負極電解液5Bが活物質反応槽3へ流入する経路をR1とR2との間で切り替えるように制御する制御部をさらに備える。この切替弁の切り替え動作の制御方法は前述したとおりである。
例えば、図3のフロー電池300において、負極電解液5Bが負極活物質として亜鉛イオンを含有する場合、充電時に亜鉛イオンの還元反応により負極上に金属亜鉛が析出する。このとき、充電開始時に負極電解液5Bの流路がR1となるように切替弁14を設定しておき、充電が進行し任意の基準に達したときに、負極電解液5Bの流路がR2となるように切替弁14が切り替えられる。充電の進行に従って負極電解液5Bの流入位置が切り替わることにより、局所的な金属亜鉛の析出による局所的なデンドライトの発生を抑制することができる。
なお、図3のフロー電池300では二液型の電解液を用いているが、一液型の電解液を用いてもよい。
図3では、正極及び負極が互いに水平方向に対向するように配置される態様が図示されているが、負極が鉛直方向上部となり正極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよく、正極が鉛直方向上部となり負極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよい。正極及び負極は任意に傾いた状態で対向して配置されていてもよい。
図3では切替弁14によってR1及びR2の流路の切り替えが行われる態様を図示しているが、3以上の流路の間で切り替えが行われてもよい。また、フロー電池300は流路の切り替えを行う複数の切替弁を備えていてもよい。
図3のフロー電池300は外部電源により正極電解液送液ポンプ12A及び負極電解液送液ポンプ12Bを駆動する場合の一例であるが、フロー電池による電力そのものを正極電解液送液ポンプ12A及び負極電解液送液ポンプ12Bの電源に用い、外部からの電力供給がない自立系の構成としてもよい。
図3のフロー電池300では正極電解液貯蔵タンク13A及び負極電解液貯蔵タンク13Bが設けられているが、正極電解液貯蔵タンク13A及び負極電解液貯蔵タンク13Bを設けずに、正極電解液送液ポンプ12A及び負極電解液送液ポンプ12Bを用いて電解液を循環させてもよい。
図3に示すフロー電池300において、酸化反応生成物(ヨウ素分子、三ヨウ化物イオン、五ヨウ化物イオン等)を貯蔵する生成物貯蔵タンク、酸化反応生成物を循環させるための生成物送液ポンプ、及び生成物循環経路等をさらに備えてもよい。
第2の実施形態の更なる一例として、一液型の電解液を用いる場合の一例を図4に示す。図4のフロー電池400では、正極電解液及び負極電解液がそれぞれ独立して循環するのではなく、正極活物質及び負極活物質を含有する一液型の電解液が循環する構成となっている点で、図3のフロー電池300と異なっている。具体的には、電解液5は、電解液送液ポンプ12の推進力により、電解液貯蔵タンク13から電解液循環経路11及び流入口6−1又は流入口6−2を経由して活物質反応槽3に流入し、流出口7から流出し、再度電解液循環経路11を経由して電解液貯蔵タンク13に戻るように循環する。図示されない制御部によって、切替弁14の切り替え動作により電解液5の流路が切り替わり、流入位置が移動可能となるように構成されている。
なお、図4には隔膜を有さない態様が図示されているが、フロー電池400は隔膜を有してもよい。
また、図4では負極が鉛直方向上部となり正極が鉛直方向下部となるように対向して配置される態様が図示されているが、正極が鉛直方向上部となり負極が鉛直方向下部となるように対向して配置されていてもよく、正極及び負極が互いに水平方向に対向するように配置されてもよい。正極及び負極は任意に傾いた状態で対向して配置されていてもよい。
本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能である。
≪フロー電池システム≫
本開示のフロー電池システムは、本開示のフロー電池と、発電装置と、を備える。本開示の発電システムは、フロー電池と発電装置とを組み合わせることで、電力変動を平準化及び安定化したり、電力の需給を安定化したりすることができる。
本開示のフロー電池システムは、発電装置を備える。発電装置の種類は特に限定されず、再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置、水力発電装置、火力発電装置、原子力発電装置等が挙げられる。中でも再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置が好ましい。再生可能エネルギーを用いる発電装置は、気象条件等によって発電量が大きく変動するが、フロー電池と組み合わせることで変動する発電電力を平準化して電力系統に平準化した電力を供給することができる。再生可能エネルギーとしては、風力、太陽光、波力、潮力、流水、潮汐、地熱等が挙げられ、中でも風力又は太陽光が好ましい。
風力、太陽光等の再生可能エネルギーを用いて発電した発電電力は、高電圧の電力系統に供給する場合がある。通常、風力発電及び太陽光発電は、風向、風力、天気等の気象によって影響を受けるため、発電電力は一定とならず、大きく変動する傾向にある。一定ではない発電電力を高電圧の電力系統にそのまま供給すると、電力系統の不安定化を助長するおそれがある。本開示の発電システムは、例えば、フロー電池の充放電波形を発電電力波形に重畳させることで、目標とする電力変動レベルまで発電電力波形を平準化させることができる。
フロー電池システムは、発電装置で発電された発電電力の需給に応じて、制御部がフロー電池の充放電を制御するシステムであってもよい。例えば、発電装置にて発電された発電電力の供給量が電力系統における需要量を上回る場合、フロー電池が充電を行い、かつ発電装置にて発電された発電電力の供給量が電力系統における需要量を下回る場合、フロー電池が放電を行うように制御部が充放電を制御してもよい。
1 正極
2 負極
3 活物質反応槽
4 隔膜
5 電解液
5A 正極電解液
5B 負極電解液
6、6A、6B、6B−1、6B−2、6−1、6−2 流入口
7、7A、7B 流出口
8 スイッチ
9 電源
10 外部負荷
11 電解液循環経路
11A 正極電解液循環経路
11B 負極電解液循環経路
12 電解液送液ポンプ
12A 正極電解液送液ポンプ
12B 負極電解液送液ポンプ
13 電解液貯蔵タンク
13A 正極電解液貯蔵タンク
13B 負極電解液貯蔵タンク
14 切替弁
100、200、300、400 フロー電池

Claims (16)

  1. 正極と、負極と、活物質を含有する電解液と、前記正極及び前記負極が内部に設けられる活物質反応槽と、を備え、前記活物質反応槽内への前記電解液の流入位置が移動可能に構成されているフロー電池。
  2. 前記流入位置は前記活物質反応槽の壁面に沿って移動可能に構成されている、請求項1に記載のフロー電池。
  3. 前記電解液の流路を切り替え可能な切替弁をさらに備え、前記切替弁の切り替え動作により前記流入位置が移動可能に構成されている、請求項1に記載のフロー電池。
  4. 前記流入位置の移動を制御する制御部をさらに備える、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフロー電池。
  5. 前記制御部は、充電開始後の予め定められた時間において前記流入位置を移動させる、又は充電開始後の予め定められた時間毎に前記流入位置を移動させるように制御を行う、請求項4に記載のフロー電池。
  6. 前記制御部は、前記電解液の流速に基づいて決定される速度又は頻度で、前記流入位置を移動させるように制御を行う、請求項4又は請求項5のいずれか1項に記載のフロー電池。
  7. 前記制御部は、予め定められた充電状態において、前記流入位置を移動させるように制御を行う、請求項4に記載のフロー電池。
  8. 前記制御部は、電流積算期間における充電率変化量(ΔSOC)に基づいて、予め定められた充電率変化量(ΔSOC)となったときに、前記流入位置を移動させるように制御を行う、請求項4に記載のフロー電池。
  9. 前記制御部は、前記電解液の流速と前記活物質反応槽における前記電解液の圧力損失との関係を表す検量情報に基づいて決定される速度又は頻度で、前記流入位置を移動させるように制御を行う、請求項4に記載のフロー電池。
  10. 前記制御部は、電解液の温度に基づいて決定される速度又は頻度で前記流入位置を移動させるように制御を行う、請求項4に記載のフロー電池。
  11. 前記制御部は、電解液の単位時間当たりの温度変化量(ΔT)が予め定められた値以上となったときに、前記流入位置の移動の速度又は頻度を変化させるように制御を行う、請求項4に記載のフロー電池。
  12. 前記活物質は、正極活物質としてハロゲン化物イオンを含む、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のフロー電池。
  13. 前記活物質は、負極活物質として、亜鉛イオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、鉛イオン及びリチウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のフロー電池。
  14. 前記電解液を循環させる電解液循環経路をさらに備え、前記電解液循環経路が前記活物質反応槽に接続している、請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のフロー電池。
  15. 前記正極と前記負極との間に隔膜をさらに備える、請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載のフロー電池。
  16. 請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載のフロー電池と、発電装置と、を備えるフロー電池システム。
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