JP2019204644A - フロー電池及びフロー電池システム - Google Patents

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一重 河野
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渉太 伊藤
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明博 織田
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Abstract

【課題】電析反応を用いるフロー電池において、容量維持率の低下を抑制可能なフロー電池を提供する。【解決手段】正極1と、負極2と、電析反応が可能な負極活物質を含む負極電解液と、正極活物質を含む正極電解液と、活物質反応槽3と、活物質反応槽3における前記負極電解液を流出させる流出口及び負極電解液を流入させる流入口を連結し、負極電解液を循環させる負極電解液循環経路12と、活物質反応槽3における正極電解液を流出させる流出口及び正極電解液を流入させる流入口を連結し、正極電解液を循環させる正極電解液循環経路11と、負極電解液循環経路12上に設けられ、負極電解液のpHを計測するpH計測器4と、pH計測器4と流入口との間の負極電解液循環経路12上に設けられ、負極電解液にpH調整剤を注入するpH調整剤注入器6とを備えるフロー電池。【選択図】図1

Description

フロー電池及びフロー電池システムに関する。
近年、地球環境問題は深刻さを増しており、化石燃料に依存しない持続可能な社会の実現が強く求められている。特に大気中の二酸化炭素増加による地球温暖化は、地球規模での大きな課題となっている。そのため、ガソリン車等の内燃機関を備える自動車に対する環境規制は厳しさを増しており、今後、二酸化炭素を排出しない電気自動車等の蓄電デバイスを備える自動車が広く普及することが予想される。特に、電気自動車等の移動体用途においては、体積エネルギー密度の高い蓄電デバイスが求められている。
電析反応を用いる二次電池は、電極へのイオンの脱挿入反応を用いる二次電池に対して、電極を軽く小さくしやすいため、体積エネルギー密度が高くなる傾向にある。電析反応を用いる二次電池のうち、リチウム、亜鉛等の各種金属の電析反応を用いる電池としては、リチウム金属電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池、亜鉛空気電池、亜鉛臭素電池、亜鉛ヨウ素電池などが挙げられる。また、金属化合物の電析反応を用いる電池としては、ニッケル亜鉛電池、ハロゲン化物電池等が挙げられる。
電析反応を用いる二次電池の中でも、電解液を流動させて活物質の酸化還元反応を生じさせることで充電と放電とを行うフロー電池は、充放電サイクル寿命が長く、用途に応じた出力及び容量の設計が可能なことから、注目されている。
ここで、特許文献1には、ハロゲンオキソ酸化合物の少なくとも1種類の塩の水溶液の形態にある陰極液と、陰極液塩との酸化還元反応に関与可能な、電気化学的に活性な物質を含有する陽極液とを、その間にイオン透過膜が介在する状態で含むフロー電池が開示されている。また、特許文献1には、選択的な塩素酸塩の形成及びアノード溶解の防止のために、緩衝剤として共役塩基を陽極液に添加することで、ハロゲン酸陰極液のpHを維持することについても開示されている。
特許文献2には、正極と負極を隔膜で分離した構成を備え、正極活物質及び負極活物質のいずれか、又は双方の酸化還元反応に水酸化物イオンが寄与しており、正極電解液のpHより負極電解液のpHが高い水溶液系蓄電池が開示されている。
特許文献3には、電解液を循環させる循環経路の接液部の少なくとも一部にカーボンを含む材料からなる触媒素子を設け、この触媒素子により電解液の水素イオン濃度を所定の値に維持する金属−ハロゲン系電池が開示されている。
特表2016−520982号公報 特開2017−123222号公報 特開昭62−211874号公報
しかしながら、電気自動車等の移動体などの用途を考えると、より容量維持率が安定しているフロー電池が求められている。そこで本発明では、電析反応を用いるフロー電池において、容量維持率の低下を抑制可能なフロー電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 正極と、
負極と、
電析反応が可能な負極活物質を含む負極電解液と、
正極活物質を含む正極電解液と、
活物質反応槽と、
前記活物質反応槽における前記負極電解液を流出させる流出口及び前記負極電解液を流入させる流入口を連結し、前記負極電解液を循環させる負極電解液循環経路と、
前記活物質反応槽における前記正極電解液を流出させる流出口及び前記正極電解液を流入させる流入口を連結し、前記正極電解液を循環させる正極電解液循環経路と、
前記負極電解液循環経路上に設けられ、前記負極電解液のpHを計測するpH計測器と、
前記pH計測器と前記流入口との間の前記負極電解液循環経路上に設けられ、前記負極電解液にpH調整剤を注入するpH調整剤注入器と、
を備えるフロー電池。
<2> 前記pH調整剤注入器は、前記pH計測器により求めた前記負極電解液のpHが予め定める範囲を外れる場合に、前記負極電解液に前記pH調整剤を注入する、
前記<1>に記載のフロー電池。
<3> 前記pH調整剤注入器は、前記予め定める範囲を外れないように、前記pH調整剤の注入量を調節する、前記<2>に記載のフロー電池。
<4> 前記予め定める範囲が5.3未満の範囲である、
前記<2>又は<3>に記載のフロー電池。
<5> 前記予め定める範囲が2.0を超える範囲である、
前記<2>〜<4>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<6> 前記pH調整剤が酸性水溶液を含む、
前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<7> 前記酸性水溶液が硫酸を含む、前記<6>に記載のフロー電池。
<8> 前記酸性水溶液が塩酸を含む、前記<6>に記載のフロー電池。
<9> 前記pH調整剤がアルカリ性水溶液を含む、
前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<10> 前記アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウムを含む、
前記<9>に記載のフロー電池。
<11> 前記負極活物質は、ナトリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、及び鉛イオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、
前記<1>〜<10>のいずれか1項に記載のフロー電池。
<12> 前記<1>〜<11>のいずれか1項に記載のフロー電池と、
発電装置と、
を備えるフロー電池システム。
本発明の一形態によれば、電析反応を用いるフロー電池において、容量維持率の低下を抑制可能なフロー電池を提供することができる。
本開示のフロー電池の一例を示す概略断面図である。 実施例1及び比較例1における容量維持率と充放電サイクル数の関係を表すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を限定するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率及び含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
また、本開示に記載された具体的かつ詳細な内容の一部又は全てを利用せずとも本発明を実施可能であることは、当業者には明らかである。また、本発明の側面をあいまいにすることを避けるべく、公知の点については詳細な説明又は図示を省略する場合もある。
また、図面における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
[フロー電池]
本開示のフロー電池は、正極と、負極と、電析反応が可能な負極活物質を含む負極電解液と、正極活物質を含む正極電解液と、活物質反応槽と、前記活物質反応槽における前記負極電解液を流出させる流出口及び前記負極電解液を流入させる流入口を連結し、前記負極電解液を循環させる負極電解液循環経路と、前記活物質反応槽における前記正極電解液を流出させる流出口及び前記正極電解液を流入させる流入口を連結し、前記正極電解液を循環させる正極電解液循環経路と、前記負極電解液循環経路上に設けられ、前記負極電解液のpHを計測するpH計測器と、前記pH計測器と前記流入口との間の前記負極電解液循環経路上に設けられ、前記負極電解液にpH調整剤を注入するpH調整剤注入器と、を備える。本開示のフロー電池は、隔膜、制御部、電解液送液ポンプ、電解液貯蔵部、生成物貯蔵部、生成物循環経路、電位計測部等を更に備えてもよい。
一般に、負極において電析反応を用いたフロー電池では、フロー電池が水溶液を含む構成である場合、電位によっては、目的とする電析反応の他に、溶媒である水が分解する反応が競合する傾向にある。水の分解が生じると、目的とする電析反応に用いられる電気量が減少するため、電流効率が下がり、フロー電池における容量維持率が低下すると考えられる。また、この水の分解反応では、水素が発生し、この水素の発生とともに水酸化物イオンが発生する。そのため、水酸化物等の沈殿物が形成され易い傾向にある。この沈殿物は、目的とする電析反応に寄与しないため、活物質の量が減少し、最終的には、フロー電池における容量維持率の低下を引き起こすと考えられる。
一方で、上記構成を有する本開示のフロー電池は、容量維持率の低下が抑制可能である。上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えることができる。
本開示のフロー電池は、負極電解液循環経路上に、負極電解液のpHを計測するpH計測器と、負極電解液に対しpH調整剤を注入するpH調整剤注入器を備える。このpH計測器により、活物質反応槽から流出される負極電解液におけるpHを計測する。これにより、負極電解液のpHが、水素発生反応を促進するpH又は沈殿物を形成するpHとなる前に、負極電解液に対しpH調整剤注入器からpH調整剤を注入し、負極電解液のpHを調整することができる。そのため、負極電解液におけるpHの変動に伴って生じる水素発生反応及び沈殿物の形成が抑制され、負極活物質の含有量の減少が抑えられる。その結果、フロー電池における容量維持率の低下が抑制されると考えられる。
以下では、まず、本開示のフロー電池の部品等について説明し、pH計測器を用いた負極電解液におけるpHの計測、及びpH調整剤注入器を用いたpHの調整に関する動作については、図面を参照しながら後述する。
(正極及び負極)
本開示のフロー電池は、正極及び負極を備える。
正極は、正極活物質と酸化還元反応を行う電極であり、負極は、負極活物質と酸化還元反応を行う電極である。正極及び負極としては、従来公知の電池(二次電池、フロー電池等)に用いられる正極及び負極を用いてもよい。
正極及び負極としては、使用する電位範囲において電気化学的に安定な材質を用いることが好ましい。
正極及び負極としては、導電性材料であればよく、カーボンフェルト、グラファイトフェルト、カーボンペーパー等の炭素電極;カーボンブラックとバインダを用いて平板としたカーボンプラスチック電極;ステンレス鋼、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、カドミウム、インジウム、錫、白金、金、鉛等の金属又は合金からなる金属板、金属メッシュ等の金属電極;などが挙げられる。
正極としては、チタン等の耐食性の高い金属の電極及び炭素電極が好ましく、コストの点から、炭素電極がより好ましい。
負極としては、電析反応により金属が表面に好適に析出する点から、金属電極及び炭素電極が好ましく、亜鉛電極又は亜鉛メッキした金属電極がより好ましい。
正極及び負極の形状としては、特に限定されず、メッシュ、多孔体、不織布、フェルト、ペーパー、パンチングメタル、平板等が挙げられる。正極及び負極の少なくとも一方は、比表面積が大きく、電池の出力に優れる点から、多孔体、フェルト、ペーパー等の形状の電極であることが好ましい。
(正極電解液)
本開示のフロー電池は、正極電解液を含む。
正極電解液は、正極活物質を含有する。正極電解液は、支持電解質、pH緩衝剤、導電材、水溶性有機化合物等を更に含んでもよい。
正極電解液は、溶媒を含んで構成されていてもよく、溶媒としては、水、水溶性有機化合物、イオン液体等を用いてもよい。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質としては、負極活物質よりも、標準酸化還元電位の高いもの(貴のもの)であれば特に限定されない。正極活物質としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、銀、カドミウム、インジウム、錫、白金、金、鉛等の各種金属及びこれらのイオン;各種金属化合物及びこれらのイオン;ビオロゲン(C1214Cl)等の窒素含有化合物及びそのイオン;酸素、アントラキノン等の酸素含有化合物及びそのイオン;硫黄、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化銀、硫化亜鉛、硫化鉄、硫化アンチモン等の硫黄含有化合物及びそのイオン;塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)、ヨウ化物イオン(I)等のハロゲン化物及びそのイオン、その他有機化合物及びそのイオン;などを含んでいてもよい。
上記の中でも、正極活物質としては、酸素、硫黄、又はハロゲン化物イオンであることが好ましい。
硫黄は、酸化還元反応に寄与する電子数が、他の原子に比べて多い。そのため、硫黄を正極活物質として用いるフロー電池は、体積エネルギー密度を高く、かつ、コストを低く抑えることができる傾向にある。
酸素は空気中に含まれるため、予め活物質として正極電解液内に組み込まなくてもよい。そのため、酸素を正極活物質として用いるフロー電池は、簡便に体積エネルギー密度を高くすることができる傾向にある。なお、空気中の酸素を正極活物質とする場合、正極は、空気と接触する部位を有する。
ハロゲン化物イオンは、水溶液を用いた酸化還元反応が可能である。そのため、発火の危険性が低く、安全性が高い傾向にある。また、ハロゲン化物イオンは標準酸化還元電位が高い傾向にある。そのため、ハロゲン化物イオンを正極活物質として用いるフロー電池は、出力電圧がより高く得られる傾向にある。
ハロゲン化物イオンとしては、臭化物イオン(Br)及びヨウ化物イオン(I)の少なくとも一方であることが好ましい。なお、ハロゲン化物イオンを含む正極電解液は、水に必要な成分を溶解又は分散したものにハロゲン化合物を溶解又は分散させて調製してもよい。
−支持電解質−
正極電解液は、更に支持電解質を含んでいてもよい。支持電解質は、正極電解液のイオン伝導率を高めるための助剤である。正極電解液が支持電解質を含むことで、正極電解液のイオン伝導率が高まり、フロー電池の内部抵抗が低減する傾向にある。
支持電解質としては、正極電解液中で解離してイオンを形成する化合物であれば特に限定されない。支持電解質としては、HCl、HNO、HSO、HClO、NaCl、NaSO、NaClO、KCl、KSO、KClO、NaOH、LiOH、KOH、アルキルアンモニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アルキルピペリジニウム塩、アルキルピロリジニウム塩等が挙げられる。また、ハロゲン化合物等は、正極活物質と支持電解質とを兼ねていてもよい。これらの支持電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−pH緩衝剤−
正極電解液は、更にpH緩衝剤を含んでいてもよい。pH緩衝剤としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液等が挙げられる。
−導電材−
正極電解液は、更に導電材を含んでいてもよい。導電材としては、炭素材料、金属材料、有機導電性材料等が挙げられる。炭素材料及び金属材料は、例えば、粒子状であっても繊維状であってもよい。
炭素材料としては、活性炭(水蒸気賦活又はアルカリ賦活);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック;天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛;カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンファイバー、ハードカーボン、ソフトカーボンなどが挙げられる。
金属材料としては、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の粒子、繊維などが挙げられる。
有機導電性材料としては、ポリフェニレン誘導体等が挙げられる。
これらの導電材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−水溶性有機化合物−
正極電解液は、更に水溶性有機化合物を含んでいてもよい。
正極活物質としてハロゲン化物イオンを用いる場合、正極電解液は、ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な水溶性有機化合物を含有することが好ましい。正極電解液がハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を分離可能な水溶性有機化合物を含有すると、正極表面に形成されるハロゲン分子被膜の溶解が促進されるとともに、正極電解液から分離されたハロゲン化物イオンの酸化反応生成物を正極の還元反応(放電反応)に好適に利用できる傾向にある。なお、本開示において「ハロゲン化物イオンの酸化反応生成物」とは、ハロゲン化物イオンの酸化反応によって生成する物質を意味する。
正極電解液が水溶性有機化合物を含有すると、例えば、正極活物質としてハロゲン化物イオンを用いる場合、正極電解液をハロゲン化物イオンの酸化反応生成物が含まれる疎水性の物質と、バルク液体とに分離しやすくなると考えられる。また、疎水性の物質は、バルク液体よりも比重が大きく沈殿するため、負極を正極よりも上側に配置すると、隔膜を設けていない場合であっても、正極にて生成される酸化反応生成物が負極に触れることが抑制される傾向にある。
水溶性有機化合物は、ケトン、カルボン酸エステル、及び炭酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含有してもよい。
ケトンとして具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン等が挙げられる。中でも、メチルエチルケトンが好ましい。
カルボン酸エステルとして具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル等が挙げられる。中でも、酢酸メチル、酢酸エチル等が好ましい。
炭酸エステルとして具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。中でも、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸プロピレン等が好ましい。
これら水溶性有機化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(負極電解液)
本開示のフロー電池は、負極電解液を含む。
負極電解液は、電析反応が可能な負極活物質を含有する。負極電解液は、支持電解質、pH緩衝剤、導電材、水溶性有機化合物等を更に含んでもよい。なお、支持電解質、pH緩衝剤、導電材及び水溶性有機化合物としては、正極電解液にて例示した支持電解質、pH緩衝剤、導電材及び水溶性有機化合物と同様のものを適用してもよい。
負極電解液は、溶媒を含んで構成されていてもよい。溶媒としては、水、水溶性有機化合物、イオン液体等を用いてもよい。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
−負極活物質−
負極活物質としては、反応系の標準酸化還元電位が、正極の標準酸化還元電位よりも低く、電析反応が可能なものであれば、特に限定されない。
負極活物質としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、チタンイオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、ジルコニウムイオン、ニオブイオン、モリブデンイオン、銀イオン、カドミウムイオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、金イオン、鉛イオン等の各種金属イオン;各種金属合金のイオン;窒化物;酸化物;硫化物;ハロゲン化物イオン;キノン系材料、ビオロゲン等のイオン;などが挙げられる。
上記の中でも、負極活物質は、ナトリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン及び鉛イオンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
負極活物質として、上記からなる群より選択される少なくとも1種を含むと、電析反応の標準酸化還元電位が低いため体積エネルギー効率を高くし易く、かつ、コストを低く抑えられる傾向にある。
リチウムイオンは、電析反応の標準酸化還元電位が低く(−3.045V)、かつ、原子量が金属の中で最も軽い(6.941g/mol)。そのため、リチウムイオンを負極活物質に用いるフロー電池は、電池電圧を高くし、体積エネルギー密度を高くすることができる傾向にあり、好ましい。
ナトリウムイオンは、電析反応の標準酸化還元電位が低く(−2.714V)、かつ、資源量が豊富なため安価であり、好ましい。
亜鉛イオンは、水への溶解度が高く(例えば、塩化亜鉛の溶解度は30M以上)、電析反応の標準酸化還元電位が低く(−0.76V)、かつ、資源量が豊富なため安価であり、好ましい。
金属イオンを含む負極電解液は、当該金属の化合物を電解液に溶解することで調製することができる。亜鉛イオンを含む負極電解液は、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物を電解液に溶解することで調製することができる。
これらの負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(pH計測器)
本開示のフロー電池は、負極電解液循環経路上に、負極電解液のpHを計測するpH計測器を備える。
pH計測器は、特に限定されず、電池スケールに応じて公知のpH計測器を適宜選択し用いてもよい。
pH計測器の数は、負極電解液のpHを計測することができれば特に限定されず、複数のpH計測器を備えていてもよい。複数のpH計測器を備える場合、pH計測器の互いの位置は特に限定されない。
pH計測器は、必要に応じて、正極電解液のpHを計測するために、正極電解液循環経路上に更に備えていてもよい。
(pH調整剤注入器)
本開示のフロー電池は、pH計測器と活物質反応槽における負極電解液の流入口との間の負極電解液循環経路上に、負極電解液にpH調整剤を注入するpH調整剤注入器を備える。
pH調整剤は、予めpH調整剤注入器に収容していてもよく、pH計測器により負極電解液のpHを計測した後に適宜必要に応じてpH調整剤注入器に収容してもよい。また、pH調整剤は、必要に応じて制御部等と接続し、計測した負極電解液のpHを、所定の範囲とするために、pH調整剤注入器から注入するpH調整剤の量を求めてもよい。
pH調整剤注入器は、pH測定器で計測した負極電解液のpHが所定の範囲を外れる場合に、負極電解液にpH調整剤を注入することができる。
負極電解液のpHが予め定めた範囲を外れる場合において、pH調整剤注入器が負極電解液にpH調整剤を注入すると、フロー電池の容量維持率の低下が抑制される傾向にある。
pH調整剤注入器は、予め定める範囲を外れないように、pH調整剤の注入量を調節してもよい。
負極電解液のpHが予め定めた範囲を外れないように、pH調整剤注入器が負極電解液にpH調整剤を注入すると、フロー電池の容量維持率の低下が抑制される傾向にある。
上記の予め定めた範囲は、5.3未満の範囲であることが好ましく、4.0以下の範囲であることがより好ましく、3.5以下の範囲であることが更に好ましく、3.0以下の範囲であることが最も好ましい。
予め定めた範囲が5.3未満の範囲である場合に、つまり、pH計測器で測定される負極電解液のpHが5.3未満の範囲である場合に、pH調整剤注入器から負極電解液にpH調整剤を注入すると、電析反応に寄与しない沈殿物の生成が抑制される傾向にある。そのため、負極活物質の含有量の減少が抑えられ、充放電サイクルに伴う容量維持率の低下がより抑制されると考えられる。
また、上記の予め定めた範囲は、2.0を超える範囲であることが好ましく、2.05以上であることが好ましく、2.1以上であることがより好ましい。
予め定めた範囲が2.0を超える範囲である場合に、つまり、pH計測器で測定される負極電解液のpHが2.0を超える範囲である場合に、pH調整剤注入器から負極電解液にpH調整剤を注入すると、水素の発生が抑制される傾向にある。そのため、電析反応に用いられる電気量の減少が抑えられ、電流効率の低下がより抑制されると考えられる。
pH調整剤としては、特に限定されず、使用する活物質等に応じて適宜設定してよい。
pH調整剤としては、酸性水溶液、アルカリ性水溶液等が挙げられる。
酸性水溶液としては、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、塩酸、過塩素酸、硝酸、テトラフルオロホウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、固体酸(クエン酸、炭酸、シュウ酸、リン酸、ホウ酸、次亜塩素酸等)を溶解した水溶液などが挙げられる。上記の中でも、酸性水溶液としては、硫酸又は塩酸を含むことが好ましい。
アルカリ性水溶液としては、アルカリ性物質(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、ピリジン、トリエチルアミン、グアニジン、1,8−ジアザビシクロ−〔5.4.0〕−7−ウンデセン等)を溶解した水溶液などが挙げられる。上記の中でも、アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記の中でも、pH調整剤は、酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を含んでもよい。
pH調整剤が酸性水溶液を含むと、フロー電池が水溶液を含む構成である場合、負極側における水の分解により負極電解液のpHが予め定める範囲から外れる際に、負極電解液のpHを該範囲内に調整することができる傾向にある。
酸性水溶液は、硫酸又は塩酸を含んでもよい。
硫酸又は塩酸は強酸であるため、酸性水溶液が硫酸又は塩酸を含む場合、酸性水溶液の使用量が少量でも効率的に、負極電解液のpHを予め定める範囲内に調整することができる傾向にある。
一方、pH調整剤がアルカリ性水溶液を含むと、負極電解液に酸性水溶液を注入しすぎたときに、負極電解液のpHを予め定める範囲内へと効率的に戻すことができる傾向にある。
アルカリ性水溶液は、水酸化ナトリウムを含んでもよい。
水酸化ナトリウムは強アルカリであるため、アルカリ性水溶液として水酸化ナトリウムを含む場合、アルカリ性水溶液の使用量が少量でも効率的に、負極電解液のpHを予め定める範囲内に調整することができる傾向にある。
正極電解液のpHを調整するために、pH調整剤注入器を正極電解液循環経路上に更に備えていてもよい。pH調整剤注入器を正極電解液循環経路上に設ける場合、例えば、pH計測器と活物質反応槽における正極電解液の流入口との間の正極電解液循環経路上に、正極電解液にpH調整剤を注入するpH調整剤注入器を更に備えていてもよい。
(活物質反応槽)
本開示のフロー電池は、活物質反応槽を備える。
活物質反応槽内には、正極及び負極が配置されている。更に、活物質反応槽内には、正極と負極との間に、電解液を正極電解液と負極電解液とに分ける隔膜が配置されていてもよい。
(負極電解液循環経路)
本開示のフロー電池は、活物質反応槽における負極電解液を流出させる流出口及び負極電解液を流入させる流入口を連結し、負極電解液を循環させる負極電解液循環経路を備える。負極電解液循環経路は、活物質反応槽の外側に設けられる。
負極電解液循環経路を備えると、負極電解液が循環しているため、負極電解液のpHを効率的に調整することができると考えられる。
なお、本開示のフロー電池は、負極電解液循環経路上に、負極電解液を貯蔵する負極電解液貯蔵部を更に備えていてもよい。また、本開示のフロー電池は、負極電解液循環経路上に、負極電解液循環経路内の負極電解液を送液する負極電解液送液ポンプを更に備えていてもよい。
(正極電解液循環経路)
本開示のフロー電池は、活物質反応槽における正極電解液を流出させる流出口及び正極電解液を流入させる流入口を連結し、正極電解液を循環させる正極電解液循環経路を備える。正極電解液循環経路は、活物質反応槽の外側に設けられる。
なお、本開示のフロー電池は、正極電解液循環経路上に、正極電解液を貯蔵する正極電解液貯蔵部を更に備えていてもよい。また、本開示のフロー電池は、正極電解液循環経路上に、正極電解液循環経路内の正極電解液を送液する正極電解液送液ポンプを更に備えていてもよい。
(隔膜)
本開示のフロー電池は、正極と負極との間に配置される隔膜を備えていてもよい。
隔膜の材質は、水分子、イオン等が透過するものであれば特に限定されない。例えば、耐酸性に優れ、高いイオン伝導率を有するイオン交換膜が好ましい例として挙げられる。また、数十ナノメートルから数百マイクロメートルの孔径を有する多孔膜、ガラスフィルター等、不織布なども好適に用いることができる。
(電解液貯蔵部)
本開示のフロー電池は、正極電解液及び負極電解液をそれぞれ貯蔵する電解液貯蔵部を備えていてもよい。電解液貯蔵部としては、例えば、電解液貯蔵タンクが挙げられる。
活物質反応槽と電解液貯蔵部との間で循環させる正極電解液及び負極電解液の量は、例えば、電解液送液ポンプを用いて適宜調整すればよく、電池スケールに応じて適宜設定することができる。
(生成物貯蔵部及び生成物循環経路)
本開示のフロー電池は、正極にて生成される酸化反応生成物を貯蔵する生成物貯蔵部、及び、活物質反応槽と生成物貯蔵部との間で酸化反応生成物を循環させる生成物循環経路を備えていてもよい。酸化反応生成物は高濃度に濃縮されるため、従来のフロー電池における正極電解液貯蔵タンクと比較して、生成物貯蔵部を小型化することができる傾向にある。生成物貯蔵部としては、例えば、生成物貯蔵タンクが挙げられる。
(電位計測部)
本開示のフロー電池は、正極電解液中の活物質の濃度に基づく電位を計測する電位計測部を備えていてもよい。電位計測部は、例えば、活物質の濃度に基づく電位を計測するための集電電極と、電気化学電位の基準となる参照電極とを有し、参照電極基準の電気化学電位を計測する。電気化学電位に関するネルンストの式を用いることにより、計測された参照電極基準の電気化学電位から活物質の濃度を求めることができる。集電電極としては、白金電極、グラファイト電極等が挙げられ、参照電極としては、Ag/AgCl電極等が挙げられる。
電位計測部は、正極電解液貯留部に配置されていてもよく、正極電解液が循環する循環経路に配置されていてもよい。
[フロー電池の構成例]
図1は、本開示のフロー電池の一例を示す概略断面図である。
図1に示すフロー電池は、正極1と、負極2と、活物質反応槽3と、pH計測器4と、負極電解液貯蔵タンク5と、pH調整剤注入器6と、正極電解液送液ポンプ7と、負極電解液送液ポンプ8と、隔膜9と、正極電解液貯蔵タンク10と、正極電解液循環経路11と、負極電解液循環経路12と、を備える。
正極電解液循環経路11は、活物質反応槽3における正極電解液を流出させる流出口と正極電解液を流入させる流入口とを連結している。
負極電解液循環経路12は、活物質反応槽3における負極電解液を流出させる流出口と負極電解液を流入させる流入口とを連結している。
図示はしないが、正極電解液送液ポンプ7及び負極電解液送液ポンプ8は、外部電源により駆動してもよく、フロー電池による電力そのものを電源に用い、外部からの電力供給がない自立系の構成としてもよい。
図1に示す活物質反応槽中の実線の矢印は、電子の流れを示している。活物質反応槽中の点線の矢印は、充電時におけるイオンの反応を示している。
図1に示すフロー電池では、負極電解液が電析可能な負極活物質(X)を含んでいる。負極活物質(X)の還元反応により、電析物である還元反応生成物(X)が生成される。また、正極電解液が正極活物質(Y)を含んでいる。正極活物質(X)の酸化反応により、酸化反応生成物(Y)が生成される。
図1において、上方向が鉛直上方向を表し、下方向が鉛直下方向を表す。正極1と負極2は向かい合うように水平に配置され、正極1が負極2よりも鉛直方向下部、負極2が正極1よりも鉛直方向上部に配置されている。図1のフロー電池では、正極1が負極2よりも鉛直方向下部に位置しているが、正極1と負極2との位置関係は、特に限定されるものではなく、活物質反応槽3は任意に傾いていてもよい。
図1には図示しないが、気泡を負極2の表面から効率的に除去する点から、活物質反応槽3における負極電解液の流入口側の側面を、活物質反応槽3における負極電解液の流出口側の側面よりも鉛直方向下部に位置するように、活物質反応槽3が水平面に対してθ(θは角度を表し、0°<θ≦90°を満たす)傾いて配置してもよい。「活物質反応槽3が水平面に対してθ傾いている」とは、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面及び鉛直方向下部の面(底面)の少なくとも一方が、水平面に対してθ傾いていることを意味する。
なお、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面が水平面に対して傾いている角度と、活物質反応槽3内の鉛直方向下部の面(底面)が水平面に対して傾いている角度は、同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面と、活物質反応槽3内の鉛直方向下部の面とが平行でなくてもよく、この場合、2つの面の水平面に対して傾いている角度が相違することになる。
また、負極2の表面から効率よく気泡を除去する点から、活物質反応槽3内の鉛直方向上部の面が水平面に対して、好ましくは20°≦θ≦70°傾いていればよく、より好ましくは30°≦θ≦60°傾いていればよい。
また、正極1にて生成される酸化反応生成物の濃度に偏りが発生することを抑制する点から、活物質反応槽3内の鉛直方向下部の面(底面)が水平面に対して、好ましくは20°≦θ≦70°傾いていればよく、より好ましくは30°≦θ≦60°傾いていればよい。
正極電解液循環経路11に沿って付した実線の矢印は、正極電解液循環経路11内を流通する正極電解液の流れを表している。正極電解液は、活物質反応槽3内において、隔膜9と正極1との間に流入するように構成されている。
負極電解液循環経路12に沿って付した実線の矢印は、負極電解液循環経路12内を流通する負極電解液の流れを表している。負極電解液は、活物質反応槽3内において、隔膜9と負極2との間に流入するように構成されている。
pH計測器4は、負極電解液に浸漬して設けられる。pH計測器4は、図示はしないが、制御部と電気的に接続されていてもよい。また、pH計測器4は、図示はしないが、pH調整剤注入器と電気的に接続されていてもよい。
pH計測器4の位置は、負極電解液循環経路12上であれば、特に限定されない。例えば、活物質反応槽3における負極電解液のpHの変動を好適に計測する観点から、pH計測器4は、活物質反応槽3における負極電解液の流出口側に位置することが好ましい。なお、活物質反応槽3における負極電解液の流出口側とは、負極電解液循環経路上において、活物質反応槽3における負極電解液の流入口よりも、流出口に近い位置を表す。
pH調整剤注入器6の位置は、pH計測器4と活物質反応槽3における負極電解液の流入口との間の負極電解液循環経路上であれば、特に限定されない。pH調整剤注入器6の位置は、例えば、図1に示すように負極電解液貯蔵タンク5と活物質反応槽3における負極電解液の流入口との間の負極電解液循環経路上であってもよい。また、pH調整剤注入器6の位置は、図示しないが、活物質反応槽3における負極電解液の流出口と負極電解液貯蔵タンク5との間の負極電解液循環経路上であってもよい。
図1に示すように、活物質反応槽3から流出した負極電解液は、負極電解液に浸漬されているpH計測器4によりpHを計測され、負極電解液貯蔵タンク5へ到達する。負極電解液貯蔵タンク5から流出した負極電解液に対し、pH調整剤注入器6からpH調整剤を注入し、これにより負極電解液のpHが調整される。その後、調整されたpHを有する負極電解液は、活物質反応槽3内に流入する。
pHを調整するタイミングは、特に限定されず、充電時及び放電時のいずれでもよい。例えば、充放電を実施しながらpHを調整してもよく、充放電を一定時間行った後にpHを調整してもよい。なお、pHを調整する時間は、印加する電圧、電池スケール等に応じて適宜設定することができる。
図1は、1セル構成のフロー電池となっているが、複数のセルが積層されるセルスタック構成のフロー電池であってもよい。セルスタック構成のフロー電池である場合、負極電解液貯蔵タンク5から、各セルの活物質反応槽3へと、負極電解液を並列に分流する構成であってもよい。なお、pH計測器及びpH調整剤注入器は、各セル内の電解液循環経路上に設け各セルごとにpHを調整する構成であっても、各セルを連結し合流した後の電解液循環経路上に設けセルスタック全体のpHを調整する構成であってもよい。
[フロー電池システム]
本開示のフロー電池システムは、前述の本開示のフロー電池と、前記フロー電池の充放電を制御する制御部と、発電装置と、を備える。本開示の発電システムは、フロー電池と発電装置とを組み合わせることで、電力変動を平準化及び安定化したり、電力の需給を安定化したりすることができる。
本開示のフロー電池システムは、前述のフロー電池の充放電を制御する制御部を備える。例えば、制御部は、発電装置で発電された発電電力に応じてフロー電池の充放電を制御してもよい。
本開示のフロー電池システムは、発電装置を備える。発電装置の種類は特に限定されず、再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置、水力発電装置、火力発電装置、原子力発電装置等が挙げられる。中でも再生可能エネルギーを用いて発電する発電装置が好ましい。
再生可能エネルギーを用いた発電装置は、気象条件等によって発電量が大きく変動するが、フロー電池と組み合わせることで変動する発電電力を平準化して電力系統に平準化した電力を供給することができる。
再生可能エネルギーとしては、風力、太陽光、波力、潮力、流水、潮汐、地熱等が挙げられ、中でも風力又は太陽光が好ましい。
風力、太陽光等の再生可能エネルギーを用いて発電した発電電力は、高電圧の電力系統に供給する場合がある。通常、風力発電及び太陽光発電は、風向、風力、天気等の気象によって影響を受けるため、発電電力は一定とならず、大きく変動する傾向にある。一定ではない発電電力を高電圧の電力系統にそのまま供給すると、電力系統の不安定化を助長するため好ましくない。本開示の発電システムは、例えば、フロー電池の充放電波形を発電電力波形に重畳させることで、目標とする電力変動レベルまで発電電力波形を平準化させることができる。
フロー電池システムは、発電装置で発電された発電電力の需給に応じて、制御部がフロー電池の充放電を制御するシステムであってもよい。例えば、発電装置にて発電された発電電力の供給量が電力系統における需要量を上回る場合、フロー電池が充電を行い、かつ発電装置にて発電された発電電力の供給量が電力系統における需要量を下回る場合、フロー電池が放電を行うように制御部が充放電を制御してもよい。
以下、本発明について、実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[予備実施例]
1.5Mのヨウ化亜鉛を含む負極電解液の模擬水溶液(以下、単に「模擬水溶液」とも称す)に対し、0.2Mの水酸化ナトリウム水溶液又は硫酸(0.2M)を添加し、模擬水溶液のpHを変動させた。その後、模擬水溶液中における沈殿物の有無を評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、模擬水溶液のpHが2.0〜5.3未満である場合、沈殿物は生成されなかった。一方、模擬水溶液のpHが5.3である場合、沈殿物が生成された。
また、沈殿物が生じている模擬水溶液(pH=5.3)に対し、塩酸(0.2M)を添加し、この模擬電解液のpHを2.0へと調整した結果、模擬水溶液中の沈殿物が溶解したことを確認した。
[実施例1]
−フロー電池の作製−
下記を準備した。
正極電解液:1.5Mのヨウ化ナトリウムを含む水溶液
負極電解液:0.5Mの塩化亜鉛を含む水溶液
負極(作用極) :銅−亜鉛合金
正極(対極)及び参照極:Tiメッシュ及び亜鉛金属
pH計測器:株式会社堀場製作所 F−70
pH調整剤:硫酸(0.2M)
上述の正極と、負極と、正極活物質を含む正極電解液と、負極活物質を含む負極電解液と、対極と、参照極と、活物質反応槽と、負極電解液循環経路と、正極電解液循環経路と、pH計測器と、pH調整剤注入器と、負極電解液貯蔵タンクと、正極電解液貯蔵タンクと、負極電解液送液ポンプと、正極電解液送液ポンプと、を備えるフロー電池を作製した。
なお、作製したフロー電池において、pH計測器は、活物質反応槽における負極電解液の流出口と負極電解液貯蔵タンクとの間の負極電解液循環経路上に備えた。また、pH調整剤注入器は、負極電解液貯蔵タンクと負極電解液送液ポンプとの間の負極電解液循環経路上に備えた。
−容量維持率の評価−
実施例1のフロー電池について、電流密度を40mA/cmとし、充電深度を20%〜80%の範囲で充放電を100サイクル行った。そして、評価前の放電容量を100%として、各サイクル数おけるフロー電池の容量維持率を評価した。
なお、実施例1のフロー電池では、充放電サイクル数が40を経過した後、pH計測器により負極電解液のpHを計測し、負極電解液におけるpHの範囲が3.5以上である場合に、負極電解液に対しpH調整剤(硫酸)をpH調整剤注入器から注入した。
[比較例1]
−フロー電池の作製−
実施例1のフロー電池において、pH計測器及びpH調整剤注入器を備えない構成とした以外は、実施例1と同様にしてフロー電池を作製した。
−容量維持率の評価−
比較例1のフロー電池について、負極電解液におけるpHの計測及び調製を行わない以外は、実施例1と同様の条件を用いて、容量維持率を評価した。
[実施例2〜実施例7]
−フロー電池の作製−
実施例2〜実施例7のフロー電池は、実施例1のフロー電池と同様にして作製した。
−容量維持率の評価−
実施例2〜実施例7のフロー電池では、pH調整剤を注入する負極電解液のpHの範囲を、表2に示す範囲とした以外は、実施例1と同様の条件を用いた。
図2に、実施例1及び比較例1のフロー電池における、負極側の充放電サイクルと容量維持率との関係を表すグラフを示す。また、実施例1〜実施例7及び比較例1のフロー電池における容量維持率の評価にて使用したpH調整剤を注入する負極電解液のpHの範囲、pH調整剤の種類、及び容量維持率の評価結果を、表2に示す。
表2に示すように、実施例1〜実施例7に示すフロー電池は、比較例1のフロー電池に比べ、充放電サイクル数が100に到達しても、容量維持率の低下が抑制された。また、実施例1〜実施例7のフロー電池に示すように、pH調整剤は、硫酸及び塩酸のどちらを用いても、容量維持率の低下が抑制された。
1 正極
2 負極
3 活物質反応槽
4 pH計測器
5 負極電解液貯蔵タンク
6 pH調整剤注入器
7 正極電解液送液ポンプ
8 負極電解液送液ポンプ
9 隔膜
10 正極電解液貯蔵タンク
11 正極電解液循環経路
12 負極電解液循環経路

Claims (12)

  1. 正極と、
    負極と、
    電析反応が可能な負極活物質を含む負極電解液と、
    正極活物質を含む正極電解液と、
    活物質反応槽と、
    前記活物質反応槽における前記負極電解液を流出させる流出口及び前記負極電解液を流入させる流入口を連結し、前記負極電解液を循環させる負極電解液循環経路と、
    前記活物質反応槽における前記正極電解液を流出させる流出口及び前記正極電解液を流入させる流入口を連結し、前記正極電解液を循環させる正極電解液循環経路と、
    前記負極電解液循環経路上に設けられ、前記負極電解液のpHを計測するpH計測器と、
    前記pH計測器と前記流入口との間の前記負極電解液循環経路上に設けられ、前記負極電解液にpH調整剤を注入するpH調整剤注入器と、
    を備えるフロー電池。
  2. 前記pH調整剤注入器は、前記pH計測器により求めた前記負極電解液のpHが予め定める範囲を外れる場合に、前記負極電解液に前記pH調整剤を注入する、
    請求項1に記載のフロー電池。
  3. 前記pH調整剤注入器は、前記予め定める範囲を外れないように、前記pH調整剤の注入量を調節する、請求項2に記載のフロー電池。
  4. 前記予め定める範囲が5.3未満の範囲である、
    請求項2又は請求項3に記載のフロー電池。
  5. 前記予め定める範囲が2.0を超える範囲である、
    請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のフロー電池。
  6. 前記pH調整剤が酸性水溶液を含む、
    請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のフロー電池。
  7. 前記酸性水溶液が硫酸を含む、請求項6に記載のフロー電池。
  8. 前記酸性水溶液が塩酸を含む、請求項6に記載のフロー電池。
  9. 前記pH調整剤がアルカリ性水溶液を含む、
    請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のフロー電池。
  10. 前記アルカリ性水溶液が水酸化ナトリウムを含む、
    請求項9に記載のフロー電池。
  11. 前記負極活物質は、ナトリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、及び鉛イオンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、
    請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のフロー電池。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のフロー電池と、
    発電装置と、
    を備えるフロー電池システム。
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