JP2019159079A - レンズ、および、レンズユニット - Google Patents

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Yuji Sasaki
勇治 佐々木
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Abstract

【課題】屋外使用を前提とするレンズやレンズユニットにおいて、雨などにより表面がぬれた場合でも良好な視野を維持することができるレンズと、レンズユニットを得る。【解決手段】撮像装置に用いられ、レンズ光学系10の最表面に配置されるレンズ12であって、レンズの被写体側の表面に形成された表面処理膜17が、中央部分に形成された第1の親水性領域17aと第1の親水性領域の周囲に形成された第2の親水性領域17bとを備え、第1の親水性領域における水との接触角aと、第2の親水性領域における水との接触角bとが、a>bの関係にある。【選択図】図2

Description

本開示は、カメラなどの撮像装置に用いられるレンズ、および、レンズを備えたレンズユニットに関し、特に、表面に雨水などの水滴がかかるような屋外で使用されても、良好な光学特性を維持することができるレンズ、および、レンズユニットに関する。
CCD(Charge−Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子の技術開発が進み、これらの撮像素子で静止画や動画を撮像する撮像装置として、各種のカメラが製品化されている。
近年では、撮像素子の小型化、高感度化、低コスト化が進展し、さらに、軽量かつ低コストのプラスチック製レンズ技術、撮像データを圧縮して記録するデータ処理技術、高速で大容量のデータを記録できるメモリ素子の技術も発展したため、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラといった、静止画像、動画像を記録する専用機器を用いるのではなく、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、携帯用ゲーム機などのいわゆるポータブルな電子情報機器を用いて、静止画像、動画像を撮像することが当たり前となっている。また、画像を撮像する撮影装置の普及に伴って、従来は精密製品であるカメラが持ち込まれなかった環境でも使用する機会が増え、水中撮影が可能なカメラ、自動で装置を制御するための情報取得カメラ、ロボットなどに搭載されるモニタカメラ、定点観測が行われる監視カメラなどの用途も増えている。
特に、モニタカメラや監視カメラは、主として屋外で使用されることが多いため、カメラレンズの中で、最も被写体側である最表面に配置されたレンズに雨粒などの水滴や埃が付着する。また、周囲の温度環境の変化などによって光学素子の表面に曇りや結露が生じる場合がある。このため、モニタカメラや監視カメラなどにおいて、カメラレンズの中で最表面に配置されるレンズには、外部環境によらずに常に良好な視野が確保するための表面処理が施されている。
このような表面処理が施されたレンズとして、レンズと撮像素子とを備えた撮像ユニットにおいて、最表面に位置するレンズ(1番玉)の表面に、実使用時にレンズの下端部分となる周辺部分の縁面に撥水処理を施し、撥水処理を施していない縁面以外の部分には親水処理を施したものが記載されている(特許文献1参照)。
特開2009−265473号公報
上記従来の撮像ユニットでは、レンズの表面に付着した雨粒が、親水処理を施した領域において雨滴とならずに広がる一方、レンズ下側に流れ落ちた際には撥水処理を施した領域で弾かれることで水だまりができず、雨の中でも全体として鮮明な撮像画像を得ることができる、というものである。
しかし、上記従来のレンズユニットでは、親水処理を施した領域に形成される水の膜が親水性の故にそのままの状態で残りやすく、水の膜の自重や振動等によって流れ落ちない限りレンズの表面に留まって撮像画像がぼやけた状態が続く。また、親水処理を施した領域と撥水処理を施した領域との境界部分では、親水処理が施された部分側に水滴が残りやすく、残った水滴はレンズの劣化や部分的な汚れの原因となる。このような部分的な劣化や汚れの付着部分がアンカーとなることで、さらに雨に濡れたときの排水の妨げとなってしまうという問題があった。
本開示は、上記従来の課題を解決するもので、屋外使用を前提とするレンズやレンズユニットにおいて、雨などにより表面がぬれた場合でも良好な視野を維持することができるレンズと、レンズユニットを得ることを目的とする。
上記課題を解決するため本願で開示するレンズは、撮像装置に用いられ、レンズ光学系の最表面に配置されるレンズであって、前記レンズの被写体側の表面に形成された表面処理膜が、中央部分に形成された第1の親水性領域と前記第1の親水性領域の周囲に形成された第2の親水性領域とを備え、前記第1の親水性領域における水との接触角aと、前記第2の親水性領域における水との接触角bとが、a>bの関係にあることを特徴とする。
また、本願で開示されるレンズユニットは、レンズ光学系と、撮像素子と、前記レンズ光学系と前記撮像素子とを収容した筐体とを含み、前記レンズ光学系において最表面に配置されるレンズが、前記筐体の表面から前方に突出するように配置されたレンズユニットであって、前記レンズの表面に形成された親水性の第1の表面処理膜と、前記レンズの周囲部分の前記筐体の表面に形成された親水性の第2の表面処理膜とを備え、前記第1の表面処理膜の水との接触角cと、前記第2の表面処理膜の水との接触角dとが、c>dの関係にあることを特徴とする。
本願で開示するレンズは、その表面の中央部分に水との接触角がa、周辺部分に水との接触角がbの2つの親水性領域が形成され、a>bの関係にある。このため、レンズ表面の水が中央部分に溜まらずに周辺部分へと移動して良好な視野を確保することができる。
また、本願で開示するレンズユニットは、光学系と撮像素子とが収容された筐体から光学系の最表面に配置されたレンズが突出するように配置され、最表面のレンズに形成された第1の表面処理膜の水との接触角cと、レンズの周囲の筐体表面に形成された第2の表面処理膜の水との接触角dとが、c>dの関係にある。このため、レンズ表面から筐体表面への水の流れが生じて、良好な視野を確保することができる。
第1の実施形態にかかるレンズを備えた、撮像装置の構成を説明するイメージ図である。 レンズ表面に形成された表面処理膜における、第1の親水性領域と第2の親水性領域とを説明するための模式図である。 第2の実施形態にかかるレンズユニットにおける、レンズの表面に形成された第1の表面処理膜と筐体の表面に形成された第2の表面処理膜とを説明するための斜視図である。
本願で開示するレンズは、撮像装置に用いられ、レンズ光学系の最表面に配置されるレンズであって、前記レンズの被写体側の表面に形成された表面処理膜が、中央部分に形成された第1の親水性領域と前記第1の親水性領域の周囲に形成された第2の親水性領域とを備え、前記第1の親水性領域における水との接触角aと、前記第2の親水性領域における水との接触角bとが、a>bの関係にある。
このようにすることで、本願で開示するレンズでは、被写体側の最表面に付着した水分が、中央の第1の親水性領域で広がるとともに、より水との接触角が小さな周辺部の第2の親水性領域に引き込まれるように流れる。このため、レンズ表面に雨粒などがかかっても、水分は水滴状とはならずにレンズ表面に広がり、さらに広がった水分がレンズの中央部分に留まってしまうことを効果的に回避して、水分の影響のない良好な視野を確保することができる。
本開示のレンズにおいて、前記第1の親水性領域における水との接触角aと、前記第2の親水性領域における水との接触角bとの差が3°以上であることが好ましく、5°以上であることがさらに好ましい。レンズ表面中央部分の親水性領域と周辺部の親水性領域とにおける水との接触角の差が大きいほど、中央部分に広がった水の膜を周辺部分に引き出す作用が大きくなり、レンズ表面に付着した水分を効率よく排除することができる。
また、本願で開示するレンズユニットは、レンズ光学系と、撮像素子と、前記レンズ光学系と前記撮像素子とを収容した筐体とを含み、前記レンズ光学系において最表面に配置されるレンズが、前記筐体の表面から前方に突出するように配置されたレンズユニットであって、前記レンズの表面に形成された親水性の第1の表面処理膜と、前記レンズの周囲部分の前記筐体の表面に形成された親水性の第2の表面処理膜とを備え、前記第1の表面処理膜の水との接触角cと、前記第2の表面処理膜の水との接触角dとが、c>dの関係にある。
このようにすることで、本願で開示するレンズユニットでは、レンズユニットの筐体から前方へ突出して配置されたレンズの表面に付着した水分が、レンズ上に形成された第1の表面処理膜で広がるとともに、より水との接触角が小さなレンズ周囲の筐体の表面に形成された第2の表面処理膜に引き込まれるように流れる。このため、レンズ表面に雨粒などがかかっても、水滴のまま残ることがなく、レンズ上の水分は周辺の筐体表面に速やかに流れる。この結果、水分の影響のない良好な視野を確保することができる。
本開示のレンズユニットにおいて、前記第1の表面処理膜の水との接触角cと、前記第2の表面処理膜の水との接触角dとの差が3°以上であることが好ましく、5°以上であることがさらに好ましい。レンズの表面に形成された親水性の第1の表面処理膜と、周辺の筐体表面に形成された第2の表面処理膜とにおける水との接触角の差が大きいほど、レンズ表面に広がった水の膜を筐体側に引き出す作用が大きくなり、レンズ表面に付着した水分を効率よく排除することができる。
以下、本開示にかかるレンズとレンズユニットの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施形態として、本願で開示するレンズについて、監視カメラの撮像ユニットとして用いられる撮像装置を例示して説明する。
図1は、本願で開示するレンズが用いられた撮像装置の概略構成を説明する図である。
図1に示すように、監視カメラの撮像ユニットとして用いられる撮像装置100は、1枚また複数枚のレンズにより構成されたレンズ光学系10と画像を撮像する撮像部20とから構成されている。
撮像部20で撮像される光を照射するレンズ光学系10は、略円筒形の筒体11の内部に複数のレンズ12〜16が配置されて構成される。なお、以下本願明細書においては、単体のレンズを単に「レンズ」と称し、全体として撮像部20の撮像素子21への被写体像の照射を行うレンズの複合体を「レンズ光学系」と称することとする。このため、図1に示したような、筐体内に複数枚の単体レンズが配置されたものは「レンズ光学系」であり、また、「レンズ光学系」を構成する「レンズ」の枚数に制約はなく、1枚のレンズのみから構成される場合も「レンズ光学系」という概念に含まれる。
図1に示したレンズ光学系10の例では、図1中に矢印Aとして示す被写体側(カメラの視野方向)から順に、対物レンズ群を構成する第1レンズ12、第2レンズ13、中間レンズとしての第3レンズ14、接眼(撮像素子側)レンズ群を構成する第4レンズ15、および、第5レンズ16という5つのレンズが、所定の間隔を介して、また、各レンズ12〜16の光軸が一致するように配置されている。
本実施形態にかかるレンズ光学系10では、複数のレンズのうち最も被写体の近くに位置する第1レンズ12の外側、すなわち、レンズ光学系10における最表面に位置する面に、親水性の膜が形成された表面処理膜17が形成されている。
なお、本明細書において親水性の膜とは、当該膜における水との接触角が30°程度までのものをいう。
図1に示す撮像装置のレンズ光学系10では、3群5枚のレンズ12〜16による構成を例示した。一般に、レンズ光学系を構成するレンズの枚数を増やし、かつ、凸レンズ、凹レンズ、非球面レンズなどの異なる種類のレンズを積層して配置することで、広視野角でありながら画像のひずみが少ない広角レンズや、高倍率の望遠レンズ、中間レンズを前後に移動可能としたズームレンズなど、より高い光学特性を備えたレンズ光学系を実現することができる。一方で、レンズの枚数が増えればレンズ光学系の高コスト化につながるため、実際には、レンズ光学系が使用される撮像装置として求められる光学特性によって、具体的なレンズ構成が定められる。例えば、比較的低い解像度の画像や若干のひずみを残した画像でも問題が無いカメラの場合には、2枚、または多くても3枚のレンズでレンズ光学系が構成される場合もある。一方で、高解像度で、なおかつ、高いズーム倍率を有するレンズ光学系では、4群7枚構成など、多数のレンズを組み合わせたレンズ群を複数群備えたレンズ設計が採用される。
本実施形態にかかるレンズ光学系10としては、レンズの枚数やレンズ群の配列にかかわらず、図1におけるレンズ12のように、レンズ10光学系の最表層(最外層)に位置するレンズ12、すなわち、各レンズの中で最も被写体に近い位置にあるレンズ12の被写体側の面である表面に表面処理膜17が形成されていればよい。たとえば、レンズ筐体内で迷光が画像に悪影響を与えることを回避するために、レンズ光学系を構成するレンズの最表層以外の面に表面処理膜が形成される場合があるが、このような膜は、本実施形態にかかる表面処理膜17とは異なる。
監視カメラに用いられる撮像装置100の撮像部20は、図1中矢印Bとして示すレンズ光学系10の後方側に配置されていて、CMOS、CCDなどの撮像素子21が回路基板22上に配置された構成となっている。回路基板22には、撮像素子21を駆動する電源ライン、撮像素子21を制御して各画素での電気信号を画像データとして取得する駆動制御回路、撮像された画像データを外部へと送出する信号ラインなどが搭載されているが、図示は省略する。
また、図1での図示は省略するが、撮像装置100は、レンズ光学系10と撮像部20とを保持してレンズ光学系10の焦点位置に正しく撮像素子21が配置されるように規制するとともに、レンズ光学系10と撮像部20とを、撮像画像のノイズとなる外部からの迷光を遮蔽するユニット筐体によってモジュールとして一体化されている。このため、ユーザは、撮像ユニットに所定の電圧値の電源を供給することで、撮像素子21で撮像された画像を信号出力線から画像信号として取得することができる。
図2は、本実施形態にかかるレンズの表面に形成された表面処理膜の平面構成を説明する模式図である。
本実施形態にかかる撮像装置100のレンズ光学系10のうち最も被写体側に配置されているレンズ12を平面視したときに、レンズ12の外表面に形成された表面処理膜17は、図2に示すように、レンズ12の中央部分の第1の親水性領域17aと第2の親水性領域17bとを備えている。
より具体的には、レンズ12の中心軸から所定の距離、一例として、レンズ12の半径の3/4の大きさの半径を有する円形の領域が、第1の親水性領域17aとなっている。また、第1の親水性領域17aの外側の領域が第2の親水性領域17bとなっている。
本実施形態にかかるレンズ光学系10のレンズ12の表面に形成される親水性領域17a、17bの水との接触角は、第1の親水性領域17aの水との接触角をa、第2の親水性領域17bの水との接触角をbとしたときに、a>bの関係が成り立つように、すなわち、外側に形成される第2の親水性領域17bの水との接触角が内側に形成される第1の親水性領域17aの水との接触角よりも小さくなるように構成される。
このようにすることで、レンズ12の表面に雨粒がかかった場合でも、レンズ12の表面が全体として親水性の表面処理膜17で覆われていることで、雨粒は水滴形状を保てずに広がって膜状となってレンズ12の表面を覆う。さらに、外側に形成される第2の親水性領域17bの水との接触角が、内側に形成される第1の親水性領域17aの水との接触角よりも小さいために、レンズ12の表面に広がった水の膜は、レンズ12の外側に形成された第2の親水性領域17bの側に移動しようとするため、結果として、レンズ中心部の水膜はなくなって撮像部20に対して乱れのない入射光が照射される。
また、レンズ12の周辺部分は、中央部分と比較して水平面に対する傾斜角度が大きいため、レンズ12の周辺部には水膜は残りにくく、筐体11との境界部分に集まって筐体11の枠外へと排出されることとなる。
第1の親水性領域17aと第2の親水性領域17bとは、いずれも親水性の表面処理膜として、親水性部位を有する、シリカ系粒子、アルコキシシラン、オルガノシロキサン等を用いて形成されたシロキサン結合膜、有機ポリマー膜、さらに有機物による汚染を分解する光触媒(TiO2)や無機触媒(リン酸チタニア)、これらの混合物の被膜として形成することができる。より具体的には、親水性処理液である、株式会社トレードサービス製の水性無機コート剤である「AD−Tech COAT K−504(製品名)」、大阪有機化学工業株式会社の「LAMBIC−771W(製品名)」、中央自動車工業株式会社の「エクセルピュア(製品名)」などをレンズ12の表面に擦りつけることによって、親水性の表面処理膜17を形成することができる。
第1の親水性領域17aの水との接触角aは、目安として20°以下であることが好ましく、10〜15°程度であることがより好ましい。また、第2の親水性領域17bの水との接触角bは、5〜10°程度とすることが好ましい。
なお、第1の親水性領域17aの水との接触角aと、第2の親水性領域17bの水との接触角bとの差が大きいほど、第2の親水性領域17bが形成されている周辺部分に水を引き寄せる効果が高くなり、レンズ12の表面の水膜が撮像画像に与える影響を、より速やかに解消することができる。この観点では、第1の表面処理膜の水との接触角aと、前記第2の表面処理膜の水との接触角bとの差が3°以上であることが好ましく、5°以上であることがさらに好ましい。
一方で、中央部分の第1の親水性領域17aの水との接触角aが大きくなりすぎると、雨粒がかかったときに広がった水膜とはならずに、水滴状のまま残りやすくなってしまう。この観点からは、第1の親水性領域17aの水との接触角aは、より小さい角度であることが好ましい。
これらを踏まえると、第2の親水性領域17bを、水との接触角bがなるべく小さい値(一例として、5〜10°程度)となるように形成して、第1の親水性領域17aの水との接触角aを、接触角bに対して5°程度大きな値(一例として10〜15°程度)となるように形成することが好ましいということができる。
このような水との接触角a、接触角bを実現する材料としては、株式会社トレードサービス製の「AD−Tech COAT K−504(製品名)」、大阪有機化学工業株式会社の「LAMBIC−771W(製品名)」、中央自動車工業株式会社の「エクセルピュア(製品名)」などが好適である。また、適宜、上述した親水性の表面処理膜材料を添加することにより、接触角を変化させることができる。などが好適である。
なお、レンズ12の表面に、第1の親水性領域17aと第2の親水性領域17bとを形成する方法としては、それぞれの領域を規定するマスキング材等を用いる周知の方法が採用できる。なお、第1の親水性領域17aと第2の親水性領域17bとの2つの領域の間に表面処理膜17が形成されていない部分が生じることを避けるために、いずれか一方の親水性領域を形成する材料をレンズ12の表面全面に塗布形成した後に、当該一方の親水性領域部分を覆うマスキングを行って、残りの部分に他方の親水性領域を重ねて形成することが好ましい。
本実施形態で説明するレンズ12の表面に、親水性の表面処理膜を形成する方法としては、最初にUVイオン洗浄を行ってレンズ表面の清浄度を高くするなどの、従来から親水成膜の形成に用いられている工法を採用することができる。また、親水性領域を所定の形状で形成するためのマスキング工程としては、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、または、でんぷん等を原料とする水溶性樹脂などの有機性材料の水溶液などを用いてマスキング膜を塗布形成するなどの、従来からの工法を採用することができる。また、マスキング膜は、インクジェット方式等による印刷法、スタンプ等により該水溶液のマスキングパターンを形成し、これを乾燥させるなどの手法を用いて形成することが可能である。
このようにすることで、最も表面側に位置するレンズ12の外表面に、中央部分に形成された第1の親水性領域17aと第1の親水性領域の周囲に形成された第2の親水性領域17bとを備え、第1の親水性領域における水との接触角aと、第2の親水性領域における水との接触角bとが、a>bの関係にある表面処理膜17を備えることができる。
このように形成されたレンズ12に雨粒がかかった場合でも、水滴状とはならず、さらに、形成された水膜も速やかにレンズ12の周辺部分と移動して解消されるため、撮像部に入射する入射光が編め粒の影響を受けることを効果的に防止し、高い画像品質の撮像画像を得ることができる撮像装置を実現することができる。
(第2の実施形態)
次に、本願で開示するレンズユニットについて、第2の実施形態として説明する。
図3に、第2の実施形態にかかるレンズユニットの外観を説明する斜視図を示す。
第2の実施形態にかかるレンズユニット200は、筐体120と、筐体120の表面から前方に突出するように配置されたレンズ110とを有している。
なお、レンズユニット200は、レンズ光学系と、撮像素子を備えた撮像部とが一つの筐体の中に収容されたものであり、たとえば、第1の実施形態で図1に示したようなレンズ光学系10と、撮像部20と備えた撮像装置100が、筐体内に収容されたものとして構成することができる。ただし、第2の実施形態にかかるレンズユニット200では、レンズ光学系において最も被写体側である最表面に配置されたレンズ110が、筐体120から前方に突出するように配置されている点が、最表面側に位置する第1レンズ12の周囲がレンズ筐体11で囲まれた状態である、図1で示した第1の実施形態の撮像装置100とは異なっている。
第2の実施形態にかかるレンズユニット200では、レンズ110の表面に親水性の第1の表面処理膜111が形成され、レンズ110の周囲に位置する筐体120の表面120aに親水性の第2の表面処理膜121が形成されている。そして、第1の表面処理膜111の水との接触角cと、第2の表面処理膜121の水との接触角dとが、c>dの関係にある。
このように構成することで、第2の実施形態にかかるレンズユニット200において、レンズ110の表面に雨粒がかかった場合でも、親水性の表面処理膜111の作用によって水滴状とはならずに膜状に広がる。そして、レンズ110の周囲を取り囲む筐体120の表面120aに、より水との接触角が小さな親水性の第2の表面処理膜121が形成されているため、レンズ110上の水膜が周辺の筐体120側に引き寄せられて、レンズ110の表面に水膜が長く残ることが回避される。このため、レンズ110を通して筐体120内に配置された撮像部に照射される画像が雨粒の影響で不鮮明な状態となることを効果的に回避することができる。
なお、水との接触角が異なる2つの親水性の表面処理膜を設け、周辺部分の表面処理膜の水との接触角を中央部分の表面処理膜の水との接触角よりも小さくして、中央部分の水膜を周辺部側に引き寄せて解消するという作用を発揮させる点において、第2の実施形態にかかるレンズユニット200は、第1の実施形態にかかるレンズ12と同様である。
このため、第1の表面処理膜111の水との接触角cが、目安として20°以下であることが好ましく、10〜15°程度であることがより好ましい点、また、第2の表面処理膜121の水との接触角dは、2〜3°程度とすることが好ましい点は、第1の実施形態の接触角a、接触角bと同じである。
また、第1の表面処理膜111の水との接触角cと、第2の表面処理膜121の水との接触角dとの差が大きいほど周辺部分に水を引き寄せる効果が高くなるためより好ましく、第1の表面処理膜111の水との接触角cと、前記第2の表面処理膜121の水との接触角dとの差が3°以上であることが好ましく、5°以上であることがさらに好ましい点、さらには、レンズ110の表面処理膜111の水との接触角cが大きくなりすぎると、雨粒がかかったときに水滴状のまま残りやすくなってしまうため、第1の表面処理膜111の水との接触角cは大きくなりすぎないことが好ましい点も、上記第1の実施形態のレンズ12の表面処理膜17と同様である。
このため、第2の実施形態にかかるレンズユニット200においても、第2の表面処理膜121を、水との接触角dがなるべく小さい値(一例として、5〜10°程度)となるように形成して、第1の表面処理膜111の水との接触角cを、接触角dに対して5°程度大きな値(一例として10〜15°程度)となるように形成することが好ましいということができる。
このような水との接触角c、接触角dを実現する材料としては、株式会社トレードサービス製の「AD−Tech COAT K−504(製品名)」、大阪有機化学工業株式会社の「LAMBIC−771W(製品名)」、中央自動車工業株式会社の「エクセルピュア(製品名)」などが好適である点、また、適宜、親水性の表面処理膜材料を添加して水との接触角を変化させることができることも、上記第1の実施形態のレンズに形成された表面処理膜17と同様である。
なお、第2の実施形態では、第1の表面処理膜111と第2の表面処理膜121とを形成する部材が、レンズ110と筐体120という異なる別々の部材であるため、第1の実施形態で説明したように、マスキング材を用いて一つの部材表面に2つの膜を形成するような困難性はない。また、たとえば、筐体120のレンズ110が突出するように形成された開口部分に微細な段差を設けるようにすることで、レンズ110上の水分を筐体120に形成された第2の表面処理膜121に引き寄せる効果を、より高めることができるようになる場合がある。
以上説明したように、第2の実施形態で説明したレンズユニット200では、レンズ110に雨粒がかかった場合でも、親水性の表面処理膜11が形成されているために水滴状とはならず、さらに、形成された水膜も速やかにレンズ110の周辺に配置された筐体120の表面に移動するため、レンズ110上の水分が効果的に除去される。この結果、筐体120内に収容された撮像部の撮像素子に入射する入射光が雨粒の影響を受けることを効果的に防止し、高い画像品質の撮像画像を得ることができるレンズユニットを実現することができる。
なお、以上の説明において、レンズは、所定の水との接触角を備えた親水性の表面処理膜を形成することができればよく、レンズ材料としてガラス製、樹脂製とは問わない。
また、筐体の材料としても、樹脂や金属表面を備えて、親水性の表面処理膜が形成可能であれば、特に制限はない。たとえば、レンズの周囲に位置する表面部分に樹脂製のコーティングが行われるなどして、その表面に、親水性の表面処理膜が形成可能なようになっていれば、筐体の基材が木製の筐体を用いることも可能である。
また、第1の実施形態において、最表面に配置されるレンズの表面に、第1の親水性領域と、第2の親水性領域との2つの領域を形成する例を示したが、レンズの表面に形成される表面処理膜は、2つの領域により構成されるものには限られない。レンズの大きさやレンズ表面に水がかかる状況に応じて、また、水との接触角の大きさが調整できる限りにおいて、レンズの表面に3つまたはそれ以上の細かな領域にわけて親水性の表面処理膜を形成することができる。この場合には、より外側に行くほど水との接触角が小さな親水性領域とすべきことは言うまでもない。また、親水性の表面処理膜の形成方法によって、水との接触角を連的に変化させることができる場合には、表面処理膜をより周辺に行くほど水との接触角が小さくなる膜として形成することができる。
なお、第2の実施形態に示したレンズモジュールにおいても、レンズの表面に形成される表面処理膜を、水との接触角が周辺に行くほど小さくなる膜として形成することも可能である。ただし、第2の実施形態にかかるレンズモジュールでは、レンズに形成する表面処理膜はもともと一種類のものとすることができるので、レンズに複数種類の表面処理膜を形成することは、コスト的なデメリットから有効ではない場合が多いと考えられる。
本開示のレンズ、および、レンズユニットは、表面に水との接触角が異なる表面処理膜が形成されているため、雨粒がかかった場合でも、レンズの表面に水滴状に残ることがなく、また、レンズの中心部分や、レンズの表面全面に形成された水の膜が、より水との接触角が小さな周辺部分の表面処理膜に引き寄せられる。この結果、高い画像品位の撮像画像を得ることができるレンズ、および、レンズユニットとして、特に、屋外での使用を前提とした撮像装置に用いられて、極めて有用である。
10 レンズ光学系
12 (最表層の)レンズ
17 表面処理膜
17a 第1の親水性領域
17b 第2の親水性領域
20 撮像部
21 撮像素子
100 撮像装置

Claims (6)

  1. 撮像装置に用いられ、レンズ光学系の最表面に配置されるレンズであって、
    前記レンズの被写体側の表面に形成された表面処理膜が、中央部分に形成された第1の親水性領域と前記第1の親水性領域の周囲に形成された第2の親水性領域とを備え、
    前記第1の親水性領域における水との接触角aと、前記第2の親水性領域における水との接触角bとが、a>bの関係にあることを特徴とする、レンズ。
  2. 前記第1の親水性領域における水との接触角aと、前記第2の親水性領域における水との接触角bとの差が3°以上である、請求項1に記載のレンズ。
  3. 前記第1の親水性領域における水との接触角aと、前記第2の親水性領域における水との接触角bとの差が5°以上である、請求項1に記載のレンズ。
  4. レンズ光学系と、撮像素子と、前記レンズ光学系と前記撮像素子とを収容した筐体とを含み、
    前記レンズ光学系において最表面に配置されるレンズが、前記筐体の表面から前方に突出するように配置されたレンズユニットであって、
    前記レンズの表面に形成された親水性の第1の表面処理膜と、前記レンズの周囲部分の前記筐体の表面に形成された親水性の第2の表面処理膜とを備え、
    前記第1の表面処理膜の水との接触角cと、前記第2の表面処理膜の水との接触角dとが、c>dの関係にあることを特徴とする、レンズユニット。
  5. 前記第1の表面処理膜の水との接触角cと、前記第2の表面処理膜の水との接触角dとの差が3°以上である、請求項4に記載のレンズユニット。
  6. 前記第1の表面処理膜の水との接触角cと、前記第2の表面処理膜の水との接触角dとの差が5°以上である、請求項4に記載のレンズユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022230024A1 (ja) * 2021-04-26 2022-11-03 オリンパス株式会社 内視鏡の対物光学素子

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