[1]クランプオン式超音波流量センサの概略構成
本発明の一実施の形態に係るクランプオン式超音波流量センサ(以下、流量センサと略記する。)について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る流量センサの外観斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係る流量センサ1は、主としてヘッド部10、中継部20および本体部30から構成される。
ヘッド部10は、第1ヘッド部11、第2ヘッド部12およびヘッド固定機構13を含む。第1ヘッド部11および第2ヘッド部12は、それぞれケーシング11c,12cを含み、それらのケーシング11c,12cがヘッド固定機構13により保持された状態で配管Pの外周面に取り付けられる。本実施の形態においては、配管Pは、比較的小型の樹脂配管であり、例えば2mm以上20mm以下の直径(外径)を有する。配管P内には流体が流れる。
第1ヘッド部11と中継部20との間に第1ヘッド用ケーブルCA1が接続され、第2ヘッド部12と中継部20との間に第2ヘッド用ケーブルCA2が接続されている。中継部20と本体部30との間に中継ケーブルCA3が接続されている。中継部20および本体部30は、それぞれケーシング20c,30cを含む。本体部30のケーシング30cおよび中継ケーブルCA3には、コネクタCN1,CN2がそれぞれ設けられている。コネクタCN1,CN2は、互いに着脱可能に構成されている。本体部30には、さらに本体ケーブルCA4の一端が接続されている。本体ケーブルCA4の他端は、流量センサ1の外部装置(図示せず)に接続される。外部装置は、例えばパーソナルコンピュータまたはプログラマブルロジックコントローラである。
図2は図1の流量センサ1の電気系統の構成を示すブロック図である。図2に示すように、ヘッド部10において、第1ヘッド部11は第1超音波素子101および表示灯103を含み、第2ヘッド部12は第2超音波素子102を含む。
第1ヘッド部11の第1超音波素子101は、図1のケーシング11c内に収容され、後述する第1送信回路202により生成される第1の駆動信号に応答して超音波を送信する。また、第1超音波素子101は、超音波を受信するとともに、受信した超音波に応じたアナログ形式の超音波信号を出力する。
一方、第2ヘッド部12の第2超音波素子102は、図1のケーシング12c内に収容され、後述する第2送信回路203により生成される第2の駆動信号に応答して超音波を送信する。また、第2超音波素子102は、超音波を受信するとともに、受信した超音波に応じたアナログ形式の超音波信号を出力する。表示灯103は、第1超音波素子101とともに図1のケーシング11c内に収容される。表示灯103は、例えば異なる色彩で発光する複数の発光ダイオードを含み、後述する表示灯駆動回路210により生成される第3の駆動信号に応答して複数種類の態様で点灯または点滅する。
中継部20は、切替回路201、第1送信回路202、第2送信回路203、増幅回路204、A/D(アナログデジタル)変換器205、中継制御部206、校正情報記憶部207、通信回路208、電源回路209および表示灯駆動回路210を含む。これらの構成要素は、図1のケーシング20c内に収容される。
切替回路201は、図1の第1ヘッド用ケーブルCA1を介して第1超音波素子101に接続されるとともに、図1の第2ヘッド用ケーブルCA2を介して第2超音波素子102に接続される。また、中継部20において、切替回路201は増幅回路204に接続される。切替回路201は、中継制御部206の制御に基づいて、第1および第2超音波素子101,102と増幅回路204との接続状態を第1の状態と第2の状態との間で切り替える。
第1の状態は、第2超音波素子102と増幅回路204とが接続されかつ第1超音波素子101と増幅回路204とが接続されない状態である。第1の状態においては、第2超音波素子102が超音波を受信することにより第2超音波素子102から出力される超音波信号が増幅回路204に与えられる。
第2の状態は、第1超音波素子101と増幅回路204とが接続されかつ第2超音波素子102と増幅回路204とが接続されない状態である。第2の状態においては、第1超音波素子101が超音波を受信することにより第1超音波素子101から出力される超音波信号が増幅回路204に与えられる。
第1送信回路202および第2送信回路203の各々は、トライステートドライバを含む。第1送信回路202においては、中継制御部206の制御に基づいてトライステートドライバの出力状態が3つの状態(Hレベル状態、Lレベル状態およびハイインピーダンス状態)の間で切り替えられる。それにより、第1の駆動信号が生成される。第2送信回路203においても、中継制御部206の制御に基づいてトライステートドライバの出力状態が3つの状態の間で切り替えられる。それにより、第2の駆動信号が生成される。
増幅回路204は、予め定められた信号処理として、第1送信回路202または第2送信回路203から与えられた超音波信号を所定の利得で増幅し、信号処理後の超音波信号をA/D変換器205に与える。A/D変換器205は、予め定められた信号処理として、与えられた超音波信号のA/D変換処理を行い、信号処理後のデジタル形式の超音波信号を中継制御部206に与える。
中継制御部206は、例えばFPGA(Field−Programmable Gate Array)またはCPU(中央演算処理装置)およびメモリにより構成され、機能部として超音波制御部206a、測定情報生成部206bおよび表示灯制御部206cを含む。中継制御部206がCPUおよびメモリにより構成される場合、これらの機能部は、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。なお、超音波制御部206a、測定情報生成部206bおよび表示灯制御部206cの一部がFPGA等の電子回路(ハードウェア)により実現され、CPUがプログラムを実行することにより残りの部分が実現されてもよい。
超音波制御部206aは、本体部30からの後述する送信制御信号に応答して切替回路201、第1送信回路202および第2送信回路203を制御する。例えば、超音波制御部206aは、第1および第2超音波素子101,102と増幅回路204との間の接続状態を第1の状態に移行させると同時に、第1の駆動信号を生成するように第1送信回路202を動作させる。この場合、第1超音波素子101から超音波が送信される。送信された超音波は、図1の配管Pおよび配管P内の流体を通して第2超音波素子102により受信される。これにより、第2超音波素子102から出力された超音波信号が、増幅回路204およびA/D変換器205により信号処理されつつ中継制御部206に与えられる。
また、超音波制御部206aは、第1および第2超音波素子101,102と増幅回路204との間の接続状態を第2の状態に移行させると同時に、第2の駆動信号を生成するように第2送信回路203を動作させる。この場合、第2超音波素子102から超音波が送信される。送信された超音波は、図1の配管Pおよび配管P内の流体を通して第1超音波素子101により受信される。これにより、第1超音波素子101から出力された超音波信号が、増幅回路204およびA/D変換器205により信号処理されつつ中継制御部206に与えられる。
測定情報生成部206bは、第1および第2超音波素子101,102から出力される超音波信号に基づいて、第1超音波素子101から第2超音波素子102に送信される超音波の伝播時間と第2超音波素子102から第1超音波素子101に送信される超音波の伝播時間との差(以下、時間差と呼ぶ。)を測定情報として生成する。具体的には、測定情報生成部206bは、与えられた2つの超音波信号の信号波形の相互相関関数のピークから上記の時間差を算出する。
なお、測定情報生成部206bは、第1超音波素子101から送信された超音波が第2超音波素子102により受信されるまでの時間と、第2超音波素子102から送信された超音波が第1超音波素子101により受信されるまでの時間とをそれぞれ測定し、それらの時間の差分を上記の時間差として算出してもよい。
表示灯制御部206cは、本体部30からの後述する表示制御信号に応答して、表示灯駆動回路210を制御する。表示灯駆動回路210は、図1の第1ヘッド用ケーブルCA1を介して表示灯103に接続され、表示灯制御部206cの制御に基づいて表示灯103を駆動する第3の駆動信号を生成する。
校正情報記憶部207は、例えば不揮発性メモリにより構成され、測定情報生成部206bにより生成される測定情報と配管P内の流体の流量との間の予め定められた関係を校正するための校正情報を記憶する。校正情報の詳細は後述する。
通信回路208は、図1の中継ケーブルCA3の一端に接続され、測定情報生成部206bにより生成されたデジタル形式の測定情報と校正情報とを中継ケーブルCA3を通して本体部30へ出力する。また、通信回路208は、中継ケーブルCA3を通して本体部30から入力される送信制御信号および表示制御信号を中継制御部206に与える。送信制御信号は第1送信回路202および第2送信回路203を制御するための制御信号であり、表示制御信号は表示灯駆動回路210を制御するための制御信号である。
電源回路209は、本体部30から中継ケーブルCA3を通して供給される電力を受けるとともに、受けた電力を中継部20に設けられる他の構成要素に供給する。
本体部30は、通信回路301、本体制御部302、表示部303、操作部304、記憶部305、出力回路306および電源回路307を含む。これらの構成要素は、図1のケーシング30c内に収容される。通信回路301は、図1の中継ケーブルCA3の他端にコネクタCN1,CN2を介して接続され、中継部20から中継ケーブルCA3を通して出力される測定情報および校正情報を本体制御部302に与える。また、通信回路301は、後述するように本体制御部302において生成される送信制御信号および表示制御信号を中継ケーブルCA3を通して中継部20へ出力する。
表示部303は、例えばセグメント表示器またはドットマトリクス表示器を含み、本体制御部302の制御に基づいて配管P内を流れる流体の流量等を表示する。操作部304は、複数の操作ボタンを含む。使用者は、操作部304を操作することにより、流量の測定に用いられる各種情報を入力することができる。流量の測定に用いられる各種情報には、ヘッド部10の取付対象となる配管Pの材質、配管Pの内径、配管Pの外径、流体内での超音波の速度、流体への超音波の入射角および後述する流量補正係数等が含まれる。また、使用者は、操作部304を操作することにより、流量センサ1の外部に出力されるべき流量値の出力条件を入力することができる。記憶部305は、不揮発性メモリまたはハードディスクドライブにより構成される。
本体制御部302は、例えばCPUおよびメモリを含み、第1超音波素子101、第2超音波素子102および表示灯103をそれぞれ駆動するために中継部20に与えるべき送信制御信号および表示制御信号を生成する。また、本体制御部302は、操作部304により入力された各種情報の設定を行う。具体的には、本体制御部302は、操作部304により入力された各種情報を記憶部305に記憶させる。さらに、本体制御部302は、通信回路301から与えられる測定情報および校正情報と予め設定された各種情報とに基づいて、配管P内を流れる流体の流量を算出する。また、本体制御部302は、算出された流量(流量値)を予め設定された出力条件に従って出力する。
なお、本体部30においては、使用者は、操作部304を操作することにより、流量の測定に関する補正値等を入力することができる。この場合、本体制御部302は、入力された情報に基づいて流量の算出結果を補正することが可能である。
出力回路306は、図1の本体ケーブルCA4の一端に接続され、本体制御部302から出力される流量値を本体ケーブルCA4を通して流量センサ1の外部装置に出力する。
電源回路307は、図示しない電源ケーブルを通して商用電源から供給される電力を受けるとともに、受けた電力の一部を本体部30に設けられる他の構成要素に供給する。また、電源回路307は、受けた電力の残りを中継ケーブルCA3を通して中継部20の電源回路209に供給する。
ここで、記憶部305には、出力条件として流量のしきい値が記憶されてもよい。この場合、本体制御部302は、算出された流量と予め設定された流量のしきい値との比較結果に基づいてオンオフ信号を生成してもよい。オンオフ信号は、本体ケーブルCA4を通して本体部30に接続された外部装置のオン状態とオフ状態とを切り替えるための信号である。出力回路306が生成されたオンオフ信号を外部装置に出力することにより、流量センサ1が流量スイッチとして機能する。また、通信回路301は、生成されたオンオフ信号を表示制御信号として中継部20に出力してもよい。この場合、中継部20において、表示灯制御部206cはオンオフ信号に基づいて第3の駆動信号を生成する。それにより、流量および外部装置の状態に応じた態様で表示灯103の表示態様を制御することができる。
[2]流量の算出方法
図3は、図1の流量センサ1における流量の算出方法を説明するための第1超音波素子101、第2超音波素子102およびそれらの周辺部材を示す模式的断面図である。
図3に示すように、図1のヘッド部10においては、配管Pの外周面の一部に接触するように固体の弾性カプラントCP1が設けられ、配管Pの外周面の他の部分に接触するように固体の弾性カプラントCP2が設けられる。弾性カプラントCP1,CP2は、固体の高分子ゴムまたは固体のゲル状物質等からなる軟質弾性体材料により形成される。弾性カプラントCP1,CP2の硬度は、例えば20度〜40度である。また、弾性カプラントCP1,CP2は、配管Pの外周面を取り囲むように形成され、その内周面が配管Pの外周面に密着するように、配管Pに押圧されつつ固定される。
第1ヘッド部11は、超音波を伝達するウェッジ材111を含み、ウェッジ材111が弾性カプラントCP1の外周面に接するように設けられる。第2ヘッド部12は、第1ヘッド部11と同様に、超音波を伝達するウェッジ材111を含み、当該ウェッジ材111が弾性カプラントCP2の外周面に接するように設けられる。ウェッジ材111は、非金属でかつ高い剛性および高い音響透過性を有する材料により形成される。ウェッジ材111は、高い耐環境性を有する材料により形成されることが好ましい。
弾性カプラントCP1,CP2は、ウェッジ材111と配管Pとに接触するように配置されることにより、ウェッジ材111と配管Pとの音響インピーダンスを整合させる。
第1ヘッド部11および第2ヘッド部12が配管Pに取り付けられた状態で配管P内を流体が流れることにより、第1超音波素子101と第2超音波素子102との間の超音波の送受信が可能となる。図2の中継部20においては、第1超音波素子101から第2超音波素子102に超音波が送信されるとともに第2超音波素子102から出力される超音波信号が増幅回路204へ入力されるように各種回路が制御される。また、第2超音波素子102から第1超音波素子101に超音波が送信されるとともに第1超音波素子101から出力される超音波信号が増幅回路204へ入力されるように各種回路が制御される。その後、2つの超音波信号に基づいて時間差が算出される。
流量の測定前には、流量センサ1には少なくとも配管Pの内径、流体内での超音波の速度、流体への超音波の入射角および流量補正係数が設定される。ここで、流量補正係数は、配管Pの断面内で所定の分布を有する流体の速度を平均速度に換算するための係数である。
この場合、図2の本体制御部302においては、理論上下記式(1)に基づいて配管P内を流れる流体の流量Qを算出することができる。Δtは中継部20において算出される時間差であり、dは配管Pの内径であり、θは流体中の超音波の入射角であり、Vsは流体中の超音波の速度であり、Kは流量補正係数である。
Q=(1/K)・(πdVs 2/8tanθ)・Δt …(1)
ところで、ヘッド部10および中継部20の各構成要素の動作特性によっては、中継部20において算出される時間差と配管Pを流れる流体の流量との間で式(1)の関係が満たされない場合がある。
そこで、本実施の形態では、ヘッド部10および中継部20により算出される時間差と実際に測定されるべき流量との間の固有の関係を正確に取得するために、上記の校正情報を用いて式(1)が校正される。すなわち、本体制御部302は、測定情報と流体の流量との間の予め定められた関係としての上記式(1)を、校正情報を用いて校正する。校正により得られる数式(時間差と流量との関係)に基づいて、実際の流量が算出される。このように、校正情報は、ヘッド部10および中継部20に応じて式(1)を校正するための情報である。この場合、校正情報は、例えば式(1)における時間差Δtの係数を調整する値と、式(1)のうち時間差Δtを含む項に加算されるべきオフセット値(流量0に対する調整値)とを含む。
[3]ヘッド部10の具体的な構成と配管Pへの取付例
図4は配管Pの軸心に平行な図1のヘッド部10の断面図である。図4の断面図は図3の模式的断面図に対応する。図4に示すように、第1ヘッド部11は、ケーシング11c、第1超音波素子101、表示灯103およびウェッジ材111を含む。ケーシング11cは、樹脂により形成され、一方向に延びる細長形状(本例では、略直方体形状)を有する。
ここで、配管Pに取り付けられる各部材において、配管Pの軸心を向く方向(配管Pの軸心に近づく方向)を内方と呼び、その逆方向(配管Pの軸心から離間する方向)を外方と呼ぶ。
外方を向くケーシング11cの外側端部には透明部材により形成された窓部119が設けられている。透明部材は、例えば樹脂により形成される。ケーシング11cの内部には、窓部119に近接する位置に表示灯103が配置されている。この状態で、表示灯103は、ケーシング11cの外部から窓部119を通して使用者により視認可能となっている。
内方を向くケーシング11cの内側端部には、ケーシング11cの内部空間とケーシング11cの外部空間とを連通する開口118が形成されている。開口118を閉塞するようにケーシング11cの内側端部にウェッジ材111が取り付けられる。これにより、ケーシング11cの内部に水および油等の液体が浸入不可能な空間が形成される。
ウェッジ材111の外側部分には、斜め外方を向く接合面111aが形成されている。ウェッジ材111の内側部分には、開口118を閉塞する状態でケーシング11cの内側端部から内方に突出する突出部111pが形成されている。突出部111pの先端には、内方を向く平坦な入出射面111bが形成されている。
ケーシング11cの長手方向における一端部には、ケーブル挿入孔CHが形成されている。ケーブル挿入孔CHには、第1ヘッド用ケーブルCA1の一端が挿入されている。第1ヘッド用ケーブルCA1は、シールドケーブルと非シールドケーブルとが束ねられた構成を有する。より具体的には、第1ヘッド用ケーブルCA1の一部を構成するシールドケーブルは、第1超音波素子101に接続されるツイストペア芯線とそれらのツイストペア芯線を覆うシールド層とを含む。一方、第1ヘッド用ケーブルCA1の他の部分を構成する非シールドケーブルは、表示灯103に接続される1または複数の芯線を含み、シールド層を含まない。
ケーシング11c内には、第1ヘッド用ケーブルCA1と第1超音波素子101との電気的な接続点、および第1ヘッド用ケーブルCA1と表示灯103との電気的な接続点が埋め込まれるように樹脂部材113が充填されている。それにより、第1ヘッド用ケーブルCA1と第1超音波素子101および表示灯103との電気的な接続点が樹脂部材113により保護される。これにより、接続点の劣化が抑制され、流量センサ1の信頼性が向上するとともに長寿命化が実現される。
第2ヘッド部12は、ケーシング12c、第2超音波素子102およびウェッジ材111を含む。第2ヘッド部12は、表示灯103を含まない点、ケーシング12cに窓部119が設けられない点、およびケーシング12cに取り付けられるウェッジ材111の向きが当該ケーシング12cの長手方向に関して逆である点を除いて第1ヘッド部11と同じ構成を有する。
ケーシング12cのケーブル挿入孔CHには、第2ヘッド用ケーブルCA2の一端が挿入されている。第2ヘッド用ケーブルCA2は、シールドケーブルにより構成される。より具体的には、第2ヘッド用ケーブルCA2を構成するシールドケーブルは、第2超音波素子102に接続されるツイストペア芯線とそれらのツイストペア芯線を覆うシールド層とを含む。ケーシング12c内には、第1ヘッド部11の内部構成と同様に、第2ヘッド用ケーブルCA2と第2超音波素子102との電気的な接続点が埋め込まれるように樹脂部材113が充填されている。
ヘッド固定機構13は、クランプ部材131,132、弾性カプラントCP1,CP2、複数(本例では2つ)のナット部材133、複数(本例では4つ)のグランドナットゴム140および複数(本例では4つ)の仮固定用ゴム150を含む。
クランプ部材131,132は、同じ形状を有し、カーボン強化樹脂により形成される。各クランプ部材131,132には、弾性カプラントCP1,CP2、2つのグランドナットゴム140および2つの仮固定用ゴム150が、例えば接着剤を用いて予め接続される。また、クランプ部材131,132には、第1および第2ヘッド部11,12が取り付けられる。その上で、配管Pを挟み込むようにクランプ部材131,132が連結される。なお、クランプ部材131,132は、強化剤を含まない通常の樹脂により形成されてもよい。
クランプ部材131,132を代表して、一方のクランプ部材132における各部品の接続状態を説明する。図5は、図4のヘッド固定機構13のうち一方のクランプ部材132およびそのクランプ部材132に接続される複数の部材を示す分解斜視図である。
図5に示すように、クランプ部材132は、第2ヘッド部12よりも長く延びる細長形状を有する。クランプ部材132の両端部には、半円筒形状を有し、クランプ部材132の長手方向に延びる連結部132pがそれぞれ形成されている。連結部132pの外周面には、ねじ切り加工が施されている。図5に白抜きの矢印A1で示すように、連結部132pの内周面上に、略半円筒形状を有するグランドナットゴム140が取り付けられる。
クランプ部材132の略中央部には、内方を向く固定内面FSが形成されている。図5に白抜きの矢印A2で示すように、固定内面FS上に弾性カプラントCP2が取り付けられる。弾性カプラントCP2は、略半円筒形状を有する超音波伝達部CPaと2つのフランジ部CPbとを有する。2つのフランジ部CPbは、超音波伝達部CPaの周方向における両端部から互いに離間する方向に一定距離延びるように形成されている。弾性カプラントCP2の超音波伝達部CPaは、接触面CSおよび外面OSを有する。接触面CSは配管Pに接触することになる面であり、外面OSはクランプ部材132の固定内面FSおよび第2ヘッド部12のウェッジ材111に接触することになる面である。
なお、固定内面FSを形成するクランプ部材132の一部分には、第2ヘッド部12の入出射面111bを弾性カプラントCP2の外面OSの一部に接触させるための開口132oが形成されている。
クランプ部材132における固定内面FSと一方の連結部132pとの間および固定内面FSと他方の連結部132pとの間の部分に、ゴム嵌め込み部132gがそれぞれ形成されている。ゴム嵌め込み部132gは、クランプ部材132の短手方向に一定の距離をおいて互いに対向するように形成された2つの支持片wsを有する。図5に白抜きの矢印A3で示すように、ゴム嵌め込み部132gの2つの支持片wsの間に、略U字形状の断面を有する仮固定用ゴム150が嵌め込まれる。
クランプ部材132が配管Pに取り付けられた状態で配管Pの外方を向くことになるクランプ部材132の外側部分に、保持面132sが形成されている。保持面132s上に第2ヘッド部12が配置された状態で、図5に太い矢印A4で示すように、クランプ部材132と第2ヘッド部12とが、2つのねじSを用いて接続される。このとき、2つのねじSの頭部は、クランプ部材132の内方に位置する。また、第2ヘッド部12の突出部111pがクランプ部材132の開口132oに挿入され、第2ヘッド部12の入出射面111bが弾性カプラントCP2の外面OSに接触する。
このようにして、第2ヘッド部12がクランプ部材132に保持されることにより、第2ヘッド部12およびクランプ部材132を含む構成を配管Pに対して一体的に取り扱うことができる。
ここで、上記の仮固定用ゴム152は、互いに対向する2つの壁部wを有する。仮固定用ゴム152がゴム嵌め込み部132gに嵌め込まれた状態で、2つの壁部wは、ゴム嵌め込み部132gの2つの支持片wsにより支持される。このとき、当該仮固定用ゴム152の2つの壁部wの間隔は、配管Pの外径よりもやや小さい。これにより、第2ヘッド部12を配管Pに取り付ける際には、配管Pを各仮固定用ゴム152の2つの壁部wの間に容易に挿入することができる。
上記のように、クランプ部材131は、クランプ部材132と同じ形状を有し、クランプ部材132と同様に、弾性カプラントCP1、2つのグランドナットゴム140および2つの仮固定用ゴム150が接続される。クランプ部材131の外側部分には、保持面131s(図4)が形成されている。保持面131s上に第1ヘッド部11が配置された状態で、クランプ部材131と第1ヘッド部11とが2つのねじSを用いて接続される。これにより、第1ヘッド部11およびクランプ部材131を含む構成を配管Pに対して一体的に取り扱うことができる。
その後、第1ヘッド部11を保持するクランプ部材131と第2ヘッド部12を保持するクランプ部材132とが、配管Pを挟んで対向するように配置される。このとき、クランプ部材131の一端部に形成される連結部131pとクランプ部材132の一端部に形成される連結部132pとが一の雄ねじ(中空ねじ)を形成する。また、クランプ部材131の他端部に形成される連結部131pとクランプ部材132の他端部に形成される連結部132pとが一の雄ねじ(中空ねじ)を形成する。その後、対向配置された連結部131p,132pにより構成される雄ねじに、図4に示すように、ナット部材133が締結される。それにより、クランプ部材131,132が連結される。
ここで、ナット部材133は、カーボン強化樹脂により形成された第1の部材および第2の部材からなる。第1の部材および第2の部材の各々は、それぞれ略半円筒形状を有し、その内周面にはねじ切り加工が施されている。また、第1の部材および第2の部材は、配管Pを挟み込むように互いに接続可能でかつ互いに取り外し可能に構成されている。それにより、簡単な構成で配管Pを切断することなくクランプ部材131,132を連結することができる。
[4]中継部20の具体的な構成と中継部20の設置方法
図6は図1の中継部20の平面図であり、図7は図1の中継部20の側面図であり、図8は図6のB−B線断面図である。図6〜図8に示すように、中継部20のケーシング20cは、樹脂により形成され、一方向に延びる細長形状を有する。具体的には、本例のケーシング20cは、略直方体形状を有し、互いに対向する上面部2aおよび底面部2bと、互いに対向する一方側面部2cおよび他方側面部2dと、互いに対向する一方端面部2eおよび他方端面部2fとを含む。
ケーシング20c内には、図2の切替回路201、第1送信回路202、第2送信回路203、増幅回路204、A/D変換器205、中継制御部206、校正情報記憶部207、通信回路208、電源回路209および表示灯駆動回路210が実装された基板SUが収容されている。図6および図7においては、ケーシング20c内の基板SUが二点鎖線で示される。
ケーシング20cの一方端面部2eには、2つのケーブル挿入孔CH1が形成されている。これらのケーブル挿入孔CH1には、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2の他端がそれぞれ挿入されている。また、ケーシング20cの他方端面部2fには、1つのケーブル挿入孔CH2が形成されている。このケーブル挿入孔CH2には、中継ケーブルCA3の一端が挿入されている。中継ケーブルCA3は、基板SUに接続される複数の芯線を含む非シールドケーブルである。非シールドケーブルはシールド層を有しない。それにより、中継ケーブルCA3の重量の増加が抑制されるとともに、低コスト化が実現される。なお、中継ケーブルCA3として、シールドケーブルが用いられてもよい。
図8に示すように、ケーシング20c内には、基板SU、第1ヘッド用ケーブルCA1と基板SUとの電気的な接続点、第2ヘッド用ケーブルCA2と基板SUとの電気的な接続点、および中継ケーブルCA3と基板SUとの電気的な接続点が埋め込まれるように樹脂部材211が充填されている。それにより、基板SUおよびその基板SU上に実装された各種部品が樹脂部材211により保護される。また、基板SUと各ケーブルとの接続点が樹脂部材113により保護される。したがって、基板SUに実装される各種部品および基板SU上の配線回路の接続点の劣化が抑制され、流量センサ1の信頼性が向上するとともに長寿命化が実現される。
上記のように、中継部20においては、細長形状を有するケーシング20cの一端に第1ヘッド用ケーブルCA1および第2ヘッド用ケーブルCA2が接続され、ケーシング20cの他端に中継ケーブルCA3が接続される。このような構成により、中継部20を疑似的なケーブルとして取り扱うことができる。
図6に示すように、ケーシング20cの長手方向における両端部近傍には一定幅を有する取付溝280がそれぞれ形成されている。各取付溝280は、ケーシング20cの一方側面部2cの下端部近傍から上方に延び、上面部2aを横切って他方側面部2dの下端部近傍まで延びるように形成されている。
ケーシング20cの一端部近傍には、一方側面部2cのうち取付溝280の下方に位置する部分に固定部270が形成されている。また、ケーシング20cの他端部近傍には、他方側面部2dのうち取付溝280の下方に位置する部分に固定部270が形成されている。各固定部270には、上下に貫通する取付孔290が形成されている。
図9は、図6の取付孔290の拡大平面図である。図9に示すように、取付孔290は、円形孔部291および2つの矩形溝部292から構成される。2つの矩形溝部292は、円形孔部291の内周面のうち互いに対向する一部分を切り欠くように形成されている。これにより、取付孔290は、断面円形の部材を挿入可能な丸孔として用いるとともに、断面矩形の部材を挿入可能な長孔として用いることができる。
中継部20は、例えば工場に予め固定的に設けられた固定部材に取り付けられる。図10は、中継部20の設置方法の一例を示す外観斜視図である。図10の例では、中継部20が、固定部材として中継部20の設置用に設けられた支持台510上に、2つのねじ512を用いて取り付けられる。
具体的には、図10に点線で示すように、本例の支持台510上には予め中継部20を取り付けるための設置領域が設定されている。また、設置領域の内側には、中継部20の2つの取付孔290に対応する2つのねじ孔511がそれぞれ形成されている。中継部20が支持台510の設置領域上に配置されるとともに、2つのねじ512がケーシング20cの2つの取付孔290を通して支持台510の2つのねじ孔511にそれぞれ取り付けられる。それにより、中継部20が支持台510上に固定される。この場合、取付孔290は、ねじ512に対応する丸孔として用いられる。
図11は、中継部20の設置方法の他の例を示す外観斜視図である。図11の例では、中継部20が、固定部材として中継部20の設置用に設けられた支持管520上に、2本の結束バンド521を用いて取り付けられる。
具体的には、2本の結束バンド521が、ケーシング20cの2つの取付孔290にそれぞれ挿入される。この状態で、ケーシング20cと支持管520とを束ねるように、各結束バンド521が支持管520の周方向に巻き付けられ、当該結束バンド521が絞め込まれる。この場合、取付孔290は、結束バンド521に対応する長孔として用いられる。
ここで、結束バンド521の絞め込み時には、結束バンド521の一部はケーシング20cに形成された取付溝280に嵌め込まれる。それにより、結束バンド521の絞め込み作業が安定化する。また、支持管520上での中継部20の固定状態が安定化する。
図12は、中継部20の設置方法のさらに他の例を示す外観斜視図である。図12の例では、中継部20が、中継ケーブルCA3により固定部材として工場内に設けられる梁530に吊り下げられる。具体的には、中継部20から延びる中継ケーブルCA3が、梁530に取り付けられたフック531に掛けられる。この場合、中継部20を第1ヘッド用ケーブルCA1および第2ヘッド用ケーブルCA2と中継ケーブルCA3とをつなぐより疑似的なケーブルとして取り扱うことができる。
なお、中継部20は、中継ケーブルCA3に代えて、第1ヘッド用ケーブルCA1および第2ヘッド用ケーブルCA2のうち少なくとも一方により梁530に吊り下げられてもよい。すなわち、中継部20から延びる第1ヘッド用ケーブルCA1および第2ヘッド用ケーブルCA2のうち少なくとも一方が、梁530に取り付けられたフック531に掛けられてもよい。
[5]延長ケーブル
流量センサ1は、中継ケーブルCA3と本体部30との間に接続可能に構成された延長ケーブルを含んでもよい。図13は、図1の流量センサ1における延長ケーブルの一使用例を示す模式図である。
本例の延長ケーブルCA5は、中継ケーブルCA3と同じ構成を有する非シールドケーブルであり、図13に示すように、その両端部にコネクタCN3,CN4が設けられている。延長ケーブルCA5の一方のコネクタCN3は、中継ケーブルCA3のコネクタCN2に着脱可能に構成されている。延長ケーブルCA5の他方のコネクタCN4は、本体部30のコネクタCN1に着脱可能に構成されている。
このような構成により、延長ケーブルCA5の取り付けおよび取り外しを行うことにより、中継部20と本体部30との間の距離を容易に調整することができる。したがって、流量センサ1のヘッド部10および中継部20の設置の自由度が向上する。
[6]効果
(a)本実施の形態に係る流量センサ1においては、ヘッド部10のケーシング11cと中継部20のケーシング20cとの間に第1ヘッド用ケーブルCA1が接続されている。また、ヘッド部10のケーシング12cと中継部20のケーシング20cとの間に第2ヘッド用ケーブルCA2が接続されている。
この場合、ヘッド部10が配管Pに取り付けられた状態で、中継部20を配管Pから離間した位置に配置することができる。それにより、中継部20内の第1送信回路202、第2送信回路203、増幅回路204およびA/D変換器205がそれぞれ熱源として機能する場合でも、それらの熱源から発生する熱が配管Pの測定対象部分に伝達されることが防止される。したがって、配管P内の流体の温度が上昇することによる測定精度の低下が抑制される。
また、ヘッド部10と中継部20との間に第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2が接続されるとともに中継部20と本体部30との間に中継ケーブルCA3が接続されている。この場合、中継部20の構成を本体部30に設けるとともにヘッド部10と本体部30との間に第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2のみを接続する場合に比べて、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2の長さを短くすることができる。それにより、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2を伝達されるアナログ形式の超音波信号の減衰が低減される。また、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2を伝達される超音波信号が外乱の影響を受けることが低減される。
また、ヘッド部10に第1送信回路202、第2送信回路203、増幅回路204およびA/D変換器205が設けられないので、ヘッド部10の小型化が可能となる。したがって、作業スペースが制限される場合であっても、配管Pに対するヘッド部10の取り付けを比較的容易に行うことができる。
また、中継ケーブルCA3と本体部30とは、コネクタCN1,CN2により着脱可能となっている。したがって、ヘッド部10と、中継部20と、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2を含む構成は、本体部30に対して一体的に交換することが可能である。流量センサ1においては、測定情報と校正情報とに基づいて流量値が高い精度で算出される。この場合、中継部20に設けられる校正情報記憶部207に校正情報が記憶されているので、上記の交換時に校正情報の設定を行う必要がない。
これらの結果、高い精度で流量を測定することが可能でかつ配管Pへの取り付け時における取り扱い性および部品交換の利便性が向上された流量センサ1が実現される。
(b)中継部20においては、増幅回路204およびA/D変換器205が、切替回路201により第1および第2超音波素子101,102に共通に用いられる。これにより、第1および第2超音波素子101,102にそれぞれ対応する2つの増幅回路204および2つのA/D変換器205を設ける必要がない。したがって、複数の増幅回路204間に生じる動作特性のばらつきおよび複数のA/D変換器205間に生じる動作特性のばらつきに起因する測定精度の低下が生じない。
(c)ヘッド部10においては、第1および第2超音波素子101,102にそれぞれ対応する第1および第2ヘッド部11,12を個別に取り扱うことができる。したがって、配管Pへの第1ヘッド部11の取付作業と配管Pへの第2ヘッド部12の取付作業とを個別に行うことができる。したがって、配管Pへのヘッド部10の取付作業がより容易になる。
(d)中継部20においては、A/D変換処理後のデジタル形式の超音波信号に基づいてデジタル形式の測定情報を生成することができる。したがって、中継ケーブルCA3において、測定情報をデジタルの信号形式で伝達させることにより、測定情報のデータが外乱の影響を受けることが低減される。
(e)本実施の形態に係る流量センサ1においては、校正情報記憶部207が中継部20のケーシング20c内に収容されるので、ヘッド部10の大型化が抑制される。
(f)本体部30においては、流量センサ1の外部から供給される電力が、電源回路307によりケーシング30c内の各構成要素に供給されるとともに中継ケーブルCA3を通して中継部20に供給される。中継部20においては、本体部30から供給される電力が、電源回路209によりケーシング20c内の各構成要素に供給される。このような構成により、中継部20にはケーシング20c内の各構成要素を動作させるための電池を設ける必要がない。したがって、中継部20に対する電池の交換作業が不要となる。
(g)第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2は、シールドケーブルを含む。それにより、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2を伝達されるアナログ形式の超音波信号が外乱の影響を受けることがより低減される。
(h)上記のように、ヘッド部10に設けられる表示灯103は、第3の駆動信号に応答して点灯または点滅する。第3の駆動信号は、例えば本体部30の本体制御部302により生成されるオンオフ信号に基づいて生成される。この場合、表示灯103は、算出された流量としきい値との比較結果に応じて表示態様が制御される。したがって、使用者は、表示灯103を視認することにより、流体の流量としきい値との比較結果を容易に把握することができる。
また、上記の構成においては、表示灯103を動作させるための表示灯駆動回路210が中継部20に設けられるので、ヘッド部10の大型化が抑制される。
[7]他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、ヘッド部10の第1ヘッド部11と中継部20とを接続するように第1ヘッド用ケーブルCA1が設けられ、ヘッド部10の第2ヘッド部12と中継部20とを接続するように第2ヘッド用ケーブルCA2が設けられるが、本発明はこれに限定されない。
図14は、流量センサ1の他の構成例を示す模式図である。図14に示すように、第1ヘッド用ケーブルCA1の一部と第2ヘッド用ケーブルCA2の一部とが束ねられることにより、1本のケーブルCA6が形成されてもよい。また、形成されたケーブルCA6が中継部20に接続されてもよい。
(b)上記実施の形態では、第1および第2超音波素子101,102が2つのケーシング11c,12cにそれぞれ個別に収容されるが、本発明はこれに限定されない。第1および第2超音波素子101,102は、1つのケーシングに収容されてもよい。例えば、配管Pの一部を挟み込むように配管Pに取り付け可能なU字形状の断面を有するケーシングを想定する。この場合、当該ケーシングにおいて、配管Pを挟み込むための空間を挟んで互いに対向するように第1および第2超音波素子101,102が設けられてもよい。この構成によれば、ヘッド部10を一体的に取り扱うことができる。
(c)上記実施の形態では、第1および第2超音波素子101,102にそれぞれ対応する第1および第2送信回路202,203が中継部20に個別に設けられるが、本発明はこれに限定されない。中継部20には、第1および第2超音波素子101,102にそれぞれ対応する第1および第2の駆動信号を生成する1つの送信回路が設けられてもよい。
この場合、切替回路201が送信回路と第1および第2超音波素子101,102との接続状態を切り替え可能に構成されることにより、当該送信回路を第1および第2超音波素子101,102に共通に用いることができる。これにより、複数の送信回路間に生じる動作特性のばらつきに起因する測定精度の低下が生じない。
(d)上記実施の形態では、中継部20の測定情報生成部206bにおいて時間差が測定情報として生成されるが、本発明はこれに限定されない。
中継部20の中継制御部206には、流量の測定前に本体部30において予め設定された各種情報(配管Pの内径、流体内での超音波の速度、流体への超音波の入射角および流量補正係数等)が記憶されてもよい。この場合、測定情報生成部206bは、上記実施の形態の例と同様に測定情報を生成した後、生成された測定情報と上記の各種情報、式(1)および校正情報に基づいて流体の流量を算出してもよい。この場合、算出された流量値は、通信回路208により中継ケーブルCA3を通して本体部30に出力される。
(e)上記実施の形態に係る流量センサ1においては、中継部20において算出される時間差に基づいて配管Pを流れる流体の流量が算出されるが、流量に加えて配管Pを流れる流体の速度が算出されてもよい。この場合、流体の速度は、中継部20の測定情報生成部206bにより算出されてもよいし、本体部30の本体制御部302により算出されてもよい。
なお、配管Pを流れる流体の速度V1は、上記の式(1)と同様に、Δtを時間差とし、dを配管Pの内径とし、Vsを超音波の速度とし、θを超音波の入射角として、理論上下記式(2)で表すことができる。
V1=(Vs 2/2dtanθ)・Δt …(2)
この場合、上記実施の形態における流量の算出方法の例と同様に、式(2)を校正することにより、校正後の数式を用いて正確な速度を算出することが可能となる。
(f)上記実施の形態では、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2の各々は、シールドケーブルを含むが、本発明はこれに限定されない。第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2の各々は、シールド層を含まない非シールドケーブルにより構成されてもよい。
(g)上記実施の形態では、本体部30のケーシング30cおよび中継ケーブルCA3にコネクタCN1,CN2がそれぞれ設けられることにより、中継ケーブルCA3と本体部30とが着脱可能に構成されているが、本発明はこれに限定されない。
本体部30のケーシング30cおよび中継ケーブルCA3にコネクタCN1,CN2がそれぞれ設けられる代わりに、中継部20のケーシング20cおよび中継ケーブルCA3に互いに着脱可能に構成された2つのコネクタが設けられてもよい。この場合、中継ケーブルCA3と中継部20とが着脱可能となる。
あるいは、本体部30のケーシング30cおよび中継ケーブルCA3にコネクタCN1,CN2がそれぞれ設けられるとともに、中継部20のケーシング20cおよび中継ケーブルCA3に互いに着脱可能に構成された2つのコネクタが設けられてもよい。この場合、中継ケーブルCA3と本体部30とが着脱可能となるとともに、中継ケーブルCA3と中継部20とが着脱可能となる。
(h)上記実施の形態では、ヘッド部10が取り付けられる配管Pは樹脂配管であるが、本発明はこれに限定されない。配管Pは、金属配管であってもよい。
(i)上記実施の形態において、第1ヘッド部11および第2ヘッド部12はいわゆるZ型配置で設けられるが、本発明はこれに限定されない。第1ヘッド部11および第2ヘッド部12は、配管Pの軸心方向に並ぶ配置(いわゆるV型配置)で設けられてもよい。
V型配置においては、第1超音波素子101により送信された超音波は、入射角θで配管P内の流体に入射された後、反射角θで配管Pの内面により反射され、第2超音波素子102により受信される。同様に、第2超音波素子102により送信された超音波は、入射角θで配管P内の流体に入射された後、反射角θで配管Pの内面により反射され、第1超音波素子101により受信される。
この場合、理論上下記式(3)に基づいて配管P内を流れる流体の流量Qが算出される。Δtは中継部20において算出される時間差であり、dは配管Pの内径であり、θは流体中の超音波の入射角であり、Vsは流体中の超音波の速度であり、Kは流量補正係数である。
Q=(1/K)・(πdVs 2/16tanθ)・Δt …(3)
この場合、上記実施の形態における流量の算出方法の例と同様に、式(3)を校正することにより、校正後の数式を用いて正確な流量を算出することが可能となる。
(j)上記実施の形態では、第1ヘッド部11のケーシング11c内および第2ヘッド部12のケーシング12c内に樹脂部材113が充填され、中継部20のケーシング20c内に樹脂部材211が充填されているが、本発明はこれに限定されない。各ケーシング11c,12c,20c内には樹脂部材113,211が充填されなくてもよい。
(k)上記実施の形態に係る流量センサ1の中継部20においては、増幅回路204およびA/D変換器205を第1および第2超音波素子101,102に共通に用いるために切替回路201が設けられるが、本発明はこれに限定されない。中継部20には、切替回路201に代えて、新たな増幅回路204およびA/D変換器205が設けられてもよい。この場合、一組の増幅回路204およびA/D変換器205を第1超音波素子101に対応するように用いるとともに、他の組の増幅回路204およびA/D変換器205を第2超音波素子102に対応するように用いる。
[8]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態においては、配管Pが配管の例であり、流量センサ1がクランプオン式超音波流量センサの例であり、第1および第2送信回路202,203が駆動回路の例であり、第1超音波素子101が第1の超音波素子の例であり、第2超音波素子102が第2の超音波素子の例であり、増幅回路204およびA/D変換器205が信号処理部の例であり、校正情報記憶部207が校正記憶部の例である。
また、測定情報生成部206bが情報生成部の例であり、本体制御部302または測定情報生成部206bが流量算出部の例であり、本体制御部302、操作部304および記憶部305が条件設定部の例であり、出力回路306が出力部の例であり、ケーシング11c,12cがヘッド筐体の例であり、ケーシング20cが中継筐体の例であり、ケーシング30cが本体筐体の例である。
また、第1および第2ヘッド用ケーブルCA1,CA2が第1のケーブルの例であり、中継ケーブルCA3が第2のケーブルの例であり、コネクタCN1,CN2,CN3,CN4および延長ケーブルCA5が接続部の例であり、延長ケーブルCA5が延長ケーブルの例であり、ケーシング11c,12c内に充填される樹脂部材113がヘッド筐体の内部に充填される樹脂の例であり、ケーシング20c内に充填される樹脂部材211が中継筐体の内部に充填される樹脂の例である。
また、梁530が固定部材の例であり、表示灯103が表示灯の例であり、表示灯駆動回路210が表示灯駆動回路の例であり、表示灯制御部206cが表示灯制御部の例であり、ケーシング11cが第1のヘッド筐体の例であり、ケーシング12cが第2のヘッド筐体の例であり、第1ヘッド用ケーブルCA1が第1ヘッド用ケーブルの例であり、第2ヘッド用ケーブルCA2が第2ヘッド用ケーブルの例であり、取付孔290が取付孔の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。