JP2019157621A - 合成セグメント - Google Patents

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健一郎 今福
Kenichiro Imafuku
健一郎 今福
石田 宗弘
Munehiro Ishida
宗弘 石田
幸夫 阿部
Yukio Abe
幸夫 阿部
正整 中島
Masanari Nakajima
正整 中島
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Abstract

【課題】大深度や変形断面トンネル等、過酷な負荷荷重が予想されるシールドトンネルにも適用できる水密止水性能の高い合成セグメントを提供する。【解決手段】コンクリート60と鋼殻6と止水材とを有するトンネル用合成セグメント1であって、鋼殻は、合成セグメントのトンネルの軸方向側の端面である主桁面3と、トンネルの周方向側の端面である継手面4で構成される外周面の少なくとも一部に配置され、合成セグメントの主桁面および継手面に少なくとも一つの外周止水溝100を設け、外周止水溝内に外周止水材82が配置され、鋼殻の前記コンクリートに対する内面側に少なくとも一つの内面止水材が配置されている合成セグメント。【選択図】図2

Description

本発明は、トンネル建設、特にシールド工法によるトンネル建設時に使用されるセグメントに関する。より詳しくは、鋼殻内部にコンクリートを充填した合成セグメントに関する。
山岳トンネルや海底トンネルの他、浅深度地下への新設が難しい都市部の地下道路、鉄道トンネルや下水道トンネル、地下河川トンネル等については、シールドマシンによる掘削を行い、掘り進んだトンネル内にセグメントと呼ばれる断面扇形の部材を縦横に連結して、トンネルを構築していく方法が採用される。
トンネル内空間を道路や鉄道として利用する場合においても、また、トンネル内空間を、雨水路や下水道として利用する場合においても、トンネル壁面を境界として、内外面に作用する水圧や土圧に差異があるため、トンネル壁の防水構造は、完成後の漏水対策費や、環境に与える影響を考慮すると、重要な問題である。
特に、多数のセグメントを縦横に連結して、トンネル壁を構成するシールドトンネルにおいては、セグメント間の継ぎ目部分(セグメントの継ぎ目)における止水構造が最も重要視されている。
シールドトンネルの止水構造は、
(a)セグメントの背面側、即ち地山側に位置する裏込め注入材による防水、
(b)セグメントの継手面に施す防水、及び
(c)トンネルの内側に施す二次覆工による防水、
等がある。
裏込め注入材による防水は、シールド掘削時における地山地層の乱れ等を適切な裏込め材の注入により、トンネル構造物に作用する水圧を均等化することを主目的として実施される。
一方、二次覆工による止水は、最近まで最も一般的に実施されているが、二次覆工における打継ぎ目や、覆工施工時の乾燥収縮によるひび割れ等の発生により、長期間に渡って信頼性の高い止水効果を期待することは困難となっている。
最近の傾向として、セグメント性能の信頼性が向上したことから二次覆工を省略する場合が多く、したがって、トンネル構造物の防水構造は、トンネル壁面を構成するセグメントの継ぎ目における防水対策を如何に確実に実施できるかに係っているといえる。
特許文献1に記載の合成セグメントの製造方法では、コンクリートの周縁部を緻密化するために、該コンクリート打設の際に鋼殻を下に凸状に置く、いわゆる舟打ちに代えて、上に凸状に置く、いわゆる伏せ打ちを採用し、その際、セグメントの地山側中央部に設けたコンクリート充填用孔周囲に止水部材を配置し、鋼殻とコンクリートの境界面における止水性を向上させて、これらの間に水が入るのを防止する方法が開示されている。
さらに、特許文献2に示される技術では、中空枠状に形成された枠部材を有する外殻体と、該外殻体内に形成されたコンクリート製の中詰め部材とが一体化された合成セグメントにおいて、前記枠部材の内周面部に固定された弾性材からなる止水部材を備え、前記枠部材内側面と前記コンクリートとの間を止水部材により止水したことで、外殻体とコンクリートとの間に円弧径方向に作用する強いせん断力に対して高い耐力を発揮すると共に、従来のようなスキンプレートを具備せずとも止水できる構造を安価に製造できる技術が開示されている。
特開2014−88658号公報 特開2014−88720号公報
しかしながら、上記従来の技術は何れも、
・止水性能が十分とは言えない。
・水圧とコンクリート強度の双方との関係条件を満足する止水材の弾性反力が不十分となりがちである。
・外殻を構成する鋼殻は止水材の弾性反力を受けて面外に変形し、コンクリートから剥離するために、コンクリートとの間の拘束力が低下することから、腹圧力の作用によって、コンクリートが鋼殻から抜け出てしまい、止水性能やセグメントの力学性能を計算値通りに発揮することができない。
・止水材の弾性反力が不十分の場合、鋼殻によるコンクリートの拘束力に影響を及ぼし、コンクリートが滑動することでコンクリートの損傷が発生しやすい。
・そのため、地下水圧の小さい浅深度トンネルに適用が限定されがちである。
・セグメントに掛る負荷荷重が小さく、均一な、浅深度トンネルや小断面トンネル、或いは円形トンネルに適用が限定され、負荷荷重の大きな大深度トンネルや、トンネル断面部位により、不均一な荷重が作用する非円形トンネルへの適用が困難である、
等の欠点を有している。
本発明は、シールドトンネル建設等に使用される合成セグメントの鋼殻とコンクリートとの接合面に高い止水性能を具備するとともに、鋼殻によるコンクリートの拘束力を高めて、鋼殻とコンクリートの一体化を図るとともに、隣接するセグメント間の止水性も同時に向上させることを課題とし、高荷重や不均一な負荷が掛る大深度或いは非円形断面トンネルにも適用可能な合成セグメントを提供することを目標とする。
本発明者らは、セグメント強度と止水性能を向上させるため、種々の検討を行った結果、
・合成セグメントにおける鋼殻とコンクリートとの異種材料界面の止水性能を高め、
・同時に隣接する合成セグメント同士の接合面における止水性能を高め、
・水圧とコンクリート強度の双方との関係条件を満足する止水材の弾性反力を実現し、
・コンクリートに対する鋼殻の拘束力を高めて、腹圧力の作用によって、コンクリートが鋼殻から抜け出ないようにする、
ことで、優れたセグメント強度と止水性能を発揮できる、との知見に達した。
上記知見が実現された本発明に係る合成セグメントは、
・地下水圧の高い大深度トンネルへの適用が可能となり、
・負荷荷重や断面力の大きな大深度トンネルや、大断面トンネル、或いは非円形断面トンネルへの適用が可能となり、
・高い止水性能が長期間期待できるため、トンネルの長寿命化・低維持費化が実現し、
・鋼殻とコンクリートとの拘束力の増大により、地震時のコンクリートのひび割れ、或いは地下河川等のトンネルに作用する内水圧によるひび割れを防止する、
等の効果が期待できるものである。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記に示す通りである。
(1)コンクリートと鋼殻と止水材とを有するトンネル用合成セグメントであって、前記鋼殻は、前記合成セグメントのトンネルの軸方向側の端面である主桁面と、トンネルの周方向側の端面である継手面で構成される外周面の少なくとも一部に配置され、前記合成セグメントの主桁面および継手面に少なくとも一つの外周止水溝を設け、前記外周止水溝内に外周止水材が配置され、前記鋼殻の前記コンクリートに対する内面側に少なくとも一つの内面止水材が配置されている合成セグメント。
(2)前記コンクリートのひび割れ強度と、前記内面止水材の弾性反力と、トンネルに作用する水圧とが、以下の関係式を満足することを特徴とする前記(1)に記載の合成セグメント。
(コンクリートひび割れ強度)>(内面止水材弾性反力)>(トンネルに作用する水圧)
(3)前記内面止水材が、鋼殻内面に設けられた内面止水溝内に配置されている前記(1)または(2)のいずれかに記載の合成セグメント。
(4)前記内面止水材の端部と前記外周止水材とが接する状態で配置されている前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の合成セグメント。
(5)前記合成セグメントの両主桁面に鋼殻が配置されており、前記鋼殻同士を連結する連結材と、該連結材に当接して鉄筋が配置されている前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の合成セグメント。
(6)前記連結材が、前記鉄筋の地山側と内空側の双方に当接して設けられていることを特徴とする前記(5)に記載の合成セグメント。
(7)前記止水材の少なくとも一部が、水膨潤性止水材である前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の合成セグメント。
(8)前記外周止水材が水膨潤性止水材であり、前記内面止水材が非水膨潤性止水材である前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の合成セグメント。
(9)前記合成セグメントの主桁面、継手面のうち、いずれか1つ以上が、凹凸部を有する波型面を具備する前記鋼殻であるとともに、該波型面の凹部が外周止水溝もしくは前記鋼殻内面止水溝である前記(1)ないし(8)のいずれかに記載の合成セグメント。
(10)前記主桁面に、前記トンネルの前記周方向において他の合成セグメントと連結するためのピース継手を有する、前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の合成セグメント。
(11)前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、前記ピース継手が、前記主桁面の前記鋼殻と一体に形成されている、前記(10)に記載の合成セグメント。
(12)前記継手面に、前記トンネルの前記周方向において他の合成セグメントと連結するためのピース継手を有する、前記(1)ないし(9)のいずれかに記載の合成セグメント。
(13)前記合成セグメントの両継手面に前記コンクリートが配置されており、前記ピース継手が、前記継手面の前記コンクリートに定着されている、前記(12)に記載の合成セグメント。
(14)前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、前記合成セグメントは、前記主桁面の前記鋼殻同士を連結する連結材を有し、前記ピース継手が、前記連結材に対して固定されている、前記(13)に記載の合成セグメント。
(15)前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、前記ピース継手が、前記主桁面の前記鋼殻の端部に対して補強部材によって固定されている、前記(13)に記載の合成セグメント。
(16)前記主桁面に、前記トンネルの前記軸方向において他の合成セグメントと連結するためのリング継手を有する、前記(1)ないし(15)のいずれかに記載の合成セグメント。
(17)前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、前記リング継手が、前記主桁面の前記鋼殻と一体に形成されている、前記(16)に記載の合成セグメント。
(18)前記合成セグメントの両主桁面に前記コンクリートが配置されており、前記リング継手が、前記主桁面の前記コンクリートに定着されている、前記(16)に記載の合成セグメント。
本発明は、鋼殻とコンクリートとの間の水密止水性能や拘束力に優れ、セグメント同士の継ぎ目における止水性能が長期間に亘って継続する、内外面への負荷荷重に対する耐力が大きな合成セグメントに関し、鋼殻とコンクリートの一体性を向上させるだけでなく、隣接合成セグメント間の止水性も向上させることができ、大深度、大断面、非円形断面シールドトンネルへの適用が可能となる合成セグメントを提供するものである。
セグメントで構築されるトンネルを示す透視図である。 本発明の合成セグメントの主桁面と継手面の全体を鋼殻とした場合の斜視図である。 本発明の合成セグメントの四隅を鋼殻とした場合の斜視図と、鋼殻の拡大図である。 本発明の合成セグメントの主桁面を鋼殻とした場合の概念図である。 本発明の合成セグメントにおける内面止水材と外周止水材の接続構造を示す平面概念図である。 本発明の主桁面同士を連結する連結材と鉄筋との接続構造を示す断面図である。 非膨潤性と膨潤性の止水材にコンクリート打設圧が作用する状態を示す模式図である。 コンクリートひび割れ強度、コンクリート打設圧及び設計水圧の関係を示すグラフである。 主桁面における止水材の膨潤性等を変化させた場合の概念図である。 主桁鋼板、継手鋼板等の接合面に嵌合可能な波型形状を付与した形態の模式図である。 図10のA部拡大図である。 ピース継手及びリング継手が一体化された合成セグメントの例を示す概略的な斜視図である。 ピース継手が一体化された合成セグメントの他の例を示す概略的な断面図である。 ピース継手が一体化された合成セグメントの他の例を示す概略的な断面図である。 ピース継手が一体化された合成セグメントの他の例を示す概略的な断面図である。 ピース継手が一体化された合成セグメントの他の例を示す概略的な断面図である。 リング継手が一体化された合成セグメントの他の例を示す概略的な断面図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の合成セグメントは、図1に示すように、複数の合成セグメント1がトンネル断面の軸方向X及びトンネル断面の円周方向Yで連結されることで、トンネル7が構築されるものである。
トンネル7は、シールド工法により、地山を掘削して形成された掘削孔に設けられる。図1に示す例では、トンネル断面の円周方向(Y方向)に11基のセグメントを連結することにより、円形断面のセグメントリング70が形成されているが、これに限らず、略角筒形状や楕円断面形状に形成することもできる。セグメントリング70によって、トンネル7の法線外側(Z1方向)の地山と遮断することで、トンネル7の法線内側(Z2方向)にトンネル内空が形成される。
図2に示すように、合成セグメントは、トンネル断面の外形を画定する1対の主桁面3、3と、この1対の主桁面の端部同士を連結し、トンネル断面の円周方向に隣接する合成セグメントとの接合面を画定する1対の継手面4、4とで湾曲矩形状に構成されている。
本発明においては、合成セグメントの外形を画定する四辺について、鋼材で形成されるか、コンクリート成形面で形成されるかを問わずに、主桁面、或いは継手面と称することとする。
図2に示す形態においては、この合成セグメントの主桁面3と、継手面4のそれぞれを主桁鋼板31、32と、継手鋼板41、42とで形成し、主桁鋼板と継手鋼板で画定される合成セグメント外周面に、該合成セグメントの高さ方向(Z方向)2段に渡って、外周止水溝100が設けられ、止水溝のなかに外周止水材82が設置されている。止水材を止水溝のなかに設置することで止水材が拘束されて止水効果が高まる。同様に内面止水材81も内面止水溝を設けて設置することで止水効果の向上が図れる。
この形態の合成セグメントを製造する場合には、主桁鋼板と継手鋼板で形成された鋼殻6を、トンネル内面側を画定するかまぼこ状の型枠台上に載置すると共に、地山側を画定する型枠で蓋をして、枠内6aにコンクリート60を充填し、矩形状の鋼殻とコンクリートとからなる合成セグメントとしている。なお、鋼殻6は、主桁面3、3および継手面4、4の少なくとも1面に設けられてもよく、その場合には主桁面もしくは継手面を拘束する型枠を用いることでコンクリート60を充填する。なお、内面止水材81はコンクリート打設前に事前に鋼殻6に設置しておき、外周止水材82は型枠の脱型後に設置すればよい。
<コンクリートのバリエーションについて>
また、コンクリート60の種類としては、通常のコンクリートの他、無収縮コンクリートや、適宜の膨張材を添加したコンクリートを選択して、コンクリートの充填率の向上を図ってもよい。
<鋼殻の形態のバリエーションについて>
上記図2に示した実施形態においては、セグメントの矩形状外面を画定する主桁面と継手面の全部を鋼板で形成したが、他の本発明の実施形態としては、図3に示すように、主桁面と継手面とが接する合成セグメントのコーナー部(四隅部)のみを隅角部鋼板5で形成してもよい。この例では、内面止水材81と外周止水材82は、合成セグメントの高さ方向(Z方向)中央に一重で配置しているものであり、内面止水材81と外周止水材82が隅角部鋼板5の両面の合成セグメントの高さ方向(Z方向)の同じ位置に設けられた内面止水溝101と外周止水溝100内に設置されている。
該コーナー部のみを鋼殻製とすることにより、合成セグメントの重量を軽減することが可能となる他、セグメント施工時に、既設のセグメント部分と接触・衝突して割れや欠け等の欠損が生じやすいセグメントのコーナー部の強度向上を図ることができる。さらには、隣接する合成セグメント同士の接合面における止水性能において、最も弱点となるセグメントのコーナー部の止水性能を適切に高めることができる。
また、図4(a)に示すように主桁面3のみを、主桁鋼板31、32で形成してもよい。図4(b)にA−A断面を示すように、この例においては、合成セグメント1の厚み方向に2段に渡って外周止水材82と内面止水材81とが合成セグメント1の高さ方向(Z方向)の同じ位置かつ鋼殻内外面に対向して設けられた止水溝100、101のなかにペアで配置しており、鋼殻とコンクリートの境界面の止水性の向上を図るとともに、隣接するセグメントとの間の止水性も同時に向上させている。一方、鋼殻を具備しないコンクリートで形成された継手面には、図4(c)に示すように、前記主桁面3の外周止水材82および内面止水材81とZ方向が同じ位置に設けられた止水溝100に、外周止水材82のみが合成セグメントの厚み方向に2段に配置されている。図4(d)は、主桁面の鋼殻に設けられた止水溝と該溝に配置された止水材の断面拡大図である。
一方、合成セグメントの継手面のみに鋼殻を採用することも可能である。
いずれの場合においても、鋼殻のコンクリートと接する内面側に内面止水材を設置するとともに、セグメントの外周面においては、鋼殻からなる部分とコンクリートからなる面とに跨って、連続的に形成した外周止水溝100内に外周止水材を設置することで、鋼殻内面とコンクリートとの接合面及び、隣接する合成セグメント同士の接合面における高い止水・防水構造を達成することができる。トンネル外側の地山から作用する水圧は、セグメントリングに作用し、鋼殻内面とコンクリートの接合面に水路を形成しようとする。これに抵抗する止水・防水構造を設けることで水路を遮断することができる一方、隣接する合成セグメント同士の接合面にも同様に水圧が作用する。そのため内面止水材と外周止水材をセグメントの高さ方向(Z方向)の位置を合わせてペアで配置することで、合成セグメントの外周と内面を相乗的に止水・防水することができ、優れたセグメント強度と止水性能を発揮できる。
図5(a)に平面図で概念的に示すように、主桁面と継手面の全体を主桁鋼板31、32と継手鋼板41、42で形成した場合には、外周止水材82と同様に、内面止水材81も四辺形をなす環状に連続的に形成することができるが、主桁面或いは継手面のみ、又は隅角部のみを鋼殻で形成する形態においては、これらの部分的な鋼殻端部において、内面止水材81端部をセグメント外縁に向かって延在させて、セグメント外周面の外周止水材82に接するように構成することで、鋼殻内面とコンクリートの接触面における止水性能を向上させることができる。
すなわち、主桁鋼板と継手鋼板を用いて、セグメントの外周全体を鋼殻で形成する形態図5(a)を除き、内面止水材81は、主桁鋼板31、32、継手鋼板41、42、或いは隅角部鋼板5で形成された鋼殻の内面にのみ設置され、夫々の鋼板の端部において、セグメント本体外面に向かって延在する端部が矩形状の外周止水材82に接するように構成される。この状態を図5(b)〜(d)に示す。
具体的には、図3の拡大図に示すように、内面止水材81の端部を延長して中詰めされたコンクリートにより形成された主桁面と継手面から突出するようにしておき、この突出部分を、後付けの外周止水材82の内側に折り込むようにして、内面止水材81端部が外周止水材82と接するようにしてもよい。
この内面止水材81により、主桁鋼板、継手鋼板、或いは隅角部鋼板の内面とコンクリート60との接合面の止水性能が確実なものとなり、経年劣化や地震等による負荷荷重の変化があっても、鋼殻とコンクリートとの接合状態が維持される。
主桁鋼板と継手鋼板を用いて、セグメントの外周全体を鋼殻で形成する形態、及び主桁面のみ鋼板で形成する形態、及び継手面のみ鋼板で形成する形態等においては、合成セグメントのコンクリート部分の強度向上と、鋼殻とコンクリートとの付着力を高めるために、主桁鋼板方向に延在する鉄筋と、継手鋼板方向に延在する鉄筋からなる通常の補強鉄筋構造の他、連結材を設置して、セグメント自体の強度向上と、鋼殻とコンクリートとの付着強度を高めることができる。さらに、合成セグメントの地山面や内空面をなす表層近傍に、コンクリート表面のひび割れ防止を目的として、鉄筋等からなる格子状部材等を埋設することもできる。
<連結材の適用と鉄筋構造のバリエーションについて>
図6に示す形態においては、主桁鋼板31、32同士をトンネル軸方向に延在する軸方向の連結材61で連結している。図6の(a)〜(d)において、左側の図は主桁面に直行する方向の断面図、右側は主桁面に平行な方向の断面図である。
本形態のうち、図6(a)では、上記連結材61のトンネル空間側(Z2方向側)に、これらの連結材と直交する鉄筋64を配置して、トンネル内を満たす雨水等の水圧がセグメントに及ぼす膨張力(コンクリート抜け出し力)に対する抗力を増大している。
一方、図6(b)に示す形態では、同様に配置した連結材61の地山側(Z1方向側)に鉄筋64を配置して、地山側からトンネル内空間方向に向かう圧力(腹圧力)に対する耐久力を増大している。
さらに、本発明の他の形態においては、図6(c)に示すように、同様に配置した鉄筋64に対して連結材61をトンネル地山側と、トンネル内空間側の双方に、例えば交互に配置して、地山側からの圧力とトンネル内空間を満たす流体等からの内圧の双方に対して、高い耐久力を実現させている。
さらに、他の形態においては、図6(d)と、その部分拡大図に示すように、連結材に開口63を形成し、この孔に鉄筋64を貫通させることで、コンクリート抜け出し力と腹圧力の双方に抵抗することができる。さらに、設計厚みの小さい合成セグメントにおいても、密な鉄筋構造を、コンクリート打設への悪影響を抑制しつつ実現することが可能となり、セグメント全体の強度を向上させることができる。なお、開口63に替えて、鉄筋の位置決めや篏合を容易とするための切欠きを設けてもよい。
上述した連結材は、トンネル軸方向に延在して、主桁鋼板同士を連結するが、同様の連結材を、1対の継手鋼板間を連結するように配置することもできる。即ち、1対の継手鋼板同士を、円周方向に連結する、主桁鋼板と同様のカーブを備える連結材を配置し、これと直交する鉄筋を各円周方向の連結材のトンネル空間側、地山側、或いはトンネル空間側と地山側の双方に配置するか、或いは連結材に開口を設けて、これに貫通させるか、切欠きを設けてこれに篏合させる形態の何れも、採用することができる。
各種連結材と鉄筋との位置関係は、鉄筋の外側、即ち地山側(Z1方向側)に連結材を配置すれば、トンネル内空間を満たす流体圧力等に対して、高い抗力を発揮することができ、鉄筋のトンネル内空間側(Z2方向側)に配置すれば、地山側からの腹圧力に対して高い耐力を発揮できる。また、例えば交互に、双方に配置すれば、トンネル内外面の双方からの圧力に対する高い抗力が期待できる。これらの効力は、トンネルの地山側にスキンプレートを設けず、主桁鋼板と継手鋼板で鋼殻を形成する、いわゆる4面鋼殻セグメントの場合においては、コンクリートがスキンプレートに拘束されていないことから、特に重要になる。
さらに、連結材に設けた開口を貫通させるか、切欠きに篏合させる構造とすれば鉄筋の位置決めや仮固定が容易となる他、鉄筋構造体、ひいては合成セグメントの薄肉化設計が容易となる利点もある。
<鋼殻内面の防水構造について>
本発明においては、前述したように、型枠の一部を成す鋼殻の内面、即ち、コンクリートとの接触面側に、必要に応じて内面止水溝を形成しておき、内面止水材を設置して、鋼殻6とコンクリート60との接合面の隙間からの漏水を防止する。止水材を止水溝のなかに設置することで止水材が拘束されて止水効果が高まる。
内面側の止水材としては、通常の弾性ゴム製のものの他、適切な膨潤速度を備えた水膨潤性止水材を採用することができるが、防水設計にあたっては、コンクリートのひび割れ強度と、内面溝の止水材の弾性反力、及び合成セグメントにより施工されるトンネルの設計水圧等を勘案して、
(コンクリートひび割れ強度)>(内面止水材弾性反力)>(トンネルに作用する水圧)
の関係が満たされるように、コンクリートの材料特性、止水材の材料特性や寸法仕様等を適切に設定する必要がある。コンクリートひび割れ強度よりも内面止水材の弾性反力が大きい場合においては、内面止水材に接するコンクリートが局所的に過大に支圧され、コンクリートの支圧破壊を起こしてコンクリートにひび割れが発生し、水路が形成されて漏水を引き起こす。内面止水材の弾性反力よりもトンネルに作用する水圧が大きい場合は、止水材の止水効果が不足して漏水を引き起こす。
<内面止水材の弾性反力の設定>
鋼殻内周面の内面溝に設置する止水材の弾性反力については、合成セグメントを構成するコンクリートの強度や、トンネルに作用する設計水圧を考慮し、さらには合成セグメントの製造プロセスを考慮して決定する。
即ち、合成セグメントの製造プロセスにおいて、止水材として、水膨潤性の材料を採用した場合、図7に示す様に、内面止水材の弾性反力には、材料の弾性反力に加えて、水分吸収による膨潤圧が加わるところ、止水材はコンクリート打設圧に抗して形状を維持するものの、この膨潤圧は図8に示す様に、時間の経過と共に増大する。また、コンクリートの硬化速度はコンクリートの配合やコンクリートを打設した後の養生方法・養生時間に依存する。それらを勘案の上、コンクリート中の水分による膨潤圧の増大を考慮して、(弾性反力+膨潤圧)が、硬化したコンクリート強度以下に収まるように、止水材の材料特性、大きさ(断面積や形状)等を決定する。
例えば、コンクリートの設計基準強度が42MPa、トンネルに作用する水圧が0.5MPaの場合、コンクリートのひび割れ強度は、支圧強度で評価すると15MPaとなる。従って、内面止水材弾性反力は0.5MPa<弾性反力<15MPaの範囲で設定する必要がある。止水材の材料特性は、材料が圧縮される際の圧縮率や圧縮速度、さらには膨張速度をもとに材質や形状を設定、一般的には止水材の材料特性試験を行い、製造プロセスを満足する特性を確認して設定することが望ましい。一例としては、合成セグメントの製造工程において、コンクリートの打設からコンクリートの初期強度が発現するまで1〜2日に対して、止水材の膨張速度をコンクリートの初期強度が発現する速度に応じて調整することで、製造工程中のひび割れ発生を抑えることができる。水密性を高めるために、弾性反力を強く作用させたい場合は、止水材の膨張速度をコンクリートの初期強度が発現する期間よりも長く、かつコンクリートのひび割れ強度よりも小さくなるように設定すると良い。また、コンクリートへの過度の弾性反力を避けるために、圧縮率を40%程度以下にすると良い。止水材の高さは5mm〜50mm程度、止水材の厚さは5mm〜20mm程度に設定すると良い。
<セグメント接合面の防水構造について>
上記内面止水構造と同様に、同鋼板及びコンクリート製の主桁面と継手面の外周面には、外周止水溝が連続的に形成され、この溝内に外周止水材が設置されて、隣接セグメントとの接合面における止水構造を形成している。このように連続的に外周止水溝を設けることによって、水の流路が遮断されて止水性能が向上する。
図2と図4に示した例においては、セグメント高さ方向(Z方向)に距離を隔てて、上下2段に外周止水材82を設けて隣接セグメントと接合した際に、シール構造を形成するようにしている。
主桁鋼板31、32と継手鋼板41、42との接続部も、溶接等により水密に接合されていること、ひび割れや剥離等の生じやすい鋼殻とコンクリートとの接合面に全周に亘って内面止水材が設置されていること、さらには、合成セグメントの外周面(接合面)に設置された外周止水材によって、セグメント同士の接合面におけるシール構造が設置されていること等により、完成したトンネルの内外面間で、高い止水・防水構造を構築することができる。
<内面止水材のバリエーションについて>
本発明に係る合成セグメントを製造する、特に、コンクリートを充填する場合には、セグメント外側面中央を床面に置く、いわゆる舟打ちではなく、セグメントの円周方向両端の継手面を床面に置く、いわゆる伏せ打ちで、コンクリートを充填するのが好ましい。伏せ打ちの場合は、トンネル内面側を画定するかまぼこ状の型枠台上に載置することから、トンネル内面側のコンクリート表面の仕上げ処理が不要となり製造コストが抑えられる。また、伏せ打ちを採用することによって、隣接するセグメントとの継手面を構成する継手面部近傍のコンクリートが高い充填圧により、緻密なものとなり、完成したトンネルの強度向上に寄与する。
前述したように、コンクリート打設の際には、鋼殻内面に内面止水材を溝内に配置してコンクリートを充填するが、伏せ打ちした場合、継手面に近い部位の内面止水材は、コンクリートの充填開始後、短時間でコンクリート充填圧を受け始め、充填の進行と共に高い充填圧を受けるのに対して、セグメント本体中央部近傍の内面止水材は、コンクリート充填工程後段の段階で、比較的小さな充填圧を受けることになる。
上述した充填圧の不均衡に対応するために、主桁面に沿って配置した内面止水材の性状を、部位によって変化させることができる。
例えば、主桁面に設置する内面止水材に水膨潤性のものを採用する場合、両側の継手面に近い部分の止水材として、膨潤速度が比較的小さなものを採用し、セグメント中央部を、コンクリートに含まれる水分との接触開始が遅いことを鑑みて、相対的に膨潤速度の速い止水材とすることで、主桁面内面に設置された止水材の膨潤の程度を、部位に拘わらず略均一化して、主桁面内面全体に亘って、鋼殻とコンクリートとの間の防水構造を均一なものとすることができる。同様の考え方により、両側の継手面に近い部分の止水材として、膨潤量もしくは膨潤圧が比較的小さなものを採用、セグメント中央部には膨潤量もしくは膨潤圧が比較的大きなものを採用することもできる。
前述した実施形態では、異なる止水材として、止水材の膨潤速度に差のある材料を採用したが、他にも、継手面に近い部分を非水膨潤性の素材とし、残りのセグメント中央部を水膨潤性素材とすることで、同様に、膨潤性の有無によって、セグメント全体として、鋼殻とコンクリートとの間の防水性能を高めることができる。
これらの実施形態の概念図を図9に示した。図示した例では、目安として、主桁面の中央1/3と両端各1/3で、膨潤速度の大小や、膨潤性の有無を変化させている。
隣接セグメントとの接合面にはトンネルの水圧が直接作用する。さらにはトンネルに外力が作用することで隣接セグメントの接合面に目違いや目開きが生じる可能性があるので、水圧と隙間に対応するために、外周止水材には水膨潤型の止水材を設けることで、外周面に比べてコンクリートとの隙間が大きくない内面側には非水膨潤型の止水材を採用することで製造コストを抑えることができる。
<合成セグメント連結面の形状について>
合成セグメント同士の接合面、即ち、主桁面同士及び継手面同士の連結面については、単なる平板状とするよりも、連結面自体に相互に嵌合可能な形状・構造を採用することで、より強固な連結面とし、セグメント間の水密連結性を高めることができる。同時に鋼殻とコンクリートとの間においては、コンクリートが嵌合の凹凸形状に密実に充填されることで止水性と一体性が同時に高められ、合成セグメントの性能が高められる。
例えば、上記連結面に、図10に示すような波型断面をもつ主桁鋼板31、32を採用することができる。この主桁鋼板は、鋼板の内外面同士で嵌合する形状を有しており、1対の主桁鋼板について、内外面を反転させることにより、1種類の断面形状で相互に嵌合する主桁面を構成するとともに嵌合部に凹凸空間を形成することができるため、合理的であり、製造コストも削減できる。
本例においては、合成セグメントの地山側とトンネル空間側とに、それぞれ波型の嵌合凹凸部が設けられ、合成セグメント同士を連結した時に各嵌合凹凸部に2本1対の外周止水材82が設置される。
この外周止水材82は、単なる弾性体でも、膨潤性弾性体でもよいが、何れの場合においても、図11に拡大図を示すように、連結面を嵌合した際に、(弾性変形)+(膨潤変形)が可能な空間を形成できるように、その形状及び大きさを決定しなければならない。
同様に鋼殻のコンクリートと接する内面部側において、各嵌合凹凸部における凹部はそのまま止水溝として用いることができるので、凹部に内面止水材を配置すれば止水材が拘束されて水密性が高まる。また、凸部はセグメント高さ(Z)方向に対してコンクリートが抜け出すことに抵抗する、ずれ止めとして機能するため、合成セグメントの耐荷性能が飛躍的に向上する。
<外面開口孔の防水について>
前記した嵌合凹凸面の他、合成セグメントの四辺を構成する主桁面と継手面には、それぞれ隣接するセグメントと連結するためのボルト締め構造や、その他の嵌合構造が設置される場合がある。
これらの構造を内蔵するために、セグメントの主桁面或いは継手面の表面には開口孔が設置される。
開口孔内には、隣接セグメントとの連結構造自体が配置されており、この部分に水分等が侵入して発錆すると、セグメント連結強度が損なわれ、トンネル自体に強度上、極めて深刻な問題を生じるので、該開口孔の周囲に、内面止水材や外周止水材を環状に設置して、開口孔内への水分侵入を防ぎ、連結継手構造の発錆を防止してもよい。
本発明においては、図2に示すように、合成セグメントの地山側に薄鋼板製のスキンプレート9を配置して、合成セグメントの外表面強度と止水性能を高めることもできる。
さらに、該スキンプレートの表面、或いは、スキンプレートを具備しない形態においても、合成セグメントの最外表面に樹脂層を設けて、セグメントの耐摩耗性と止水性能を向上させてもよい。
樹脂層を構成する樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリルゴム系樹脂、ポリブタジエンゴム系樹脂、クロロブレンゴム系樹脂、クロロスルホン化ポリエチレン樹脂、樹脂モルタル、繊維補強モルタル、及び、非加硫ブチルゴム、並びに、これらの材料うちのいくつかによる複合材料が適用できるが、何れも、シールドマシンのテーブルブラシによる表面摩耗への対処が必要となる。
次に、ピース継手及びリング継手が一体化された合成セグメント1について説明する。
図12は、ピース継手及びリング継手が一体化された合成セグメントの例を示す概略的な斜視図である。図12の合成セグメント1では、両主桁面3及び両継手面4に鋼殻6が配置されている。すなわち、図12の合成セグメント1は、主桁鋼板31、32及び継手鋼板41、42を有する。合成セグメント1は、隣接する合成セグメント1同士を連結するためのピース継手20及びリング継手21を有することができる。図1を参照して、「ピース継手」は、トンネルの円周方向Yにおいて、隣接する合成セグメント1(すなわち、「ピース」)同士を連結する。複数の合成セグメント1を円周方向Yに連結することによって、セグメントリング70が形成される。「リング継手」は、トンネルの軸方向Xにおいて、隣接するセグメントリング70同士を連結するために、軸方向Xにおいて隣接する合成セグメント1同士を連結する。
図12を参照して、ピース継手20は、主桁面3に設けられており、主桁鋼板31、32と一体に形成されている。具体的には、ピース継手20は、雌ピース継手20aと、雄ピース継手20bと、を含む。雌ピース継手20aは、主桁鋼板31、32の一方の端部から円周方向Yに延びたプレートを含み、当該プレートには軸方向Xに沿って貫通孔が設けられている。プレートは、主桁鋼板31、32と一体に形成されている。雄ピース継手20bは、主桁鋼板31、32の他方の端部から軸方向Xに延びた突起を含む。突起は、主桁鋼板31、32と一体に形成されている。一方の合成セグメント1Aの雌ピース継手20aの貫通孔及び雄ピース継手20bの突起を、それぞれ、他方の合成セグメント1Bの雄ピース継手20bの突起及び雌ピース継手20aの貫通孔と嵌合させることによって、合成セグメント1A、1Bを円周方向Yにおいて連結することができる。ピース継手20は、上記の形式に限られず、円周方向Yにおいて隣接する合成セグメント1同士を連結可能ないかなる形式(例えば、チャックピン又はボルト等)であってもよい。
リング継手21は、主桁面3に設けられており、主桁鋼板31、32と一体に形成されている。具体的には、リング継手21は、雌リング継手21aと、雄リング継手21bと、を含む。雄リング継手21bは、一方の主桁鋼板31の任意の位置から軸方向Xに突出したピンを含む。ピンは、主桁鋼板31と一体に形成されている。雌リング継手21aは、他方の主桁鋼板32において雄リング継手21bに対応する位置に設けられたチャックを含み、チャックは軸方向Xに開口している。雌リング継手21aのチャックは、雄ピース継手20bのピンを挟んで固定できるように構成されている。一方の合成セグメント1Aの雌リング継手21aのチャックを、他方の合成セグメント1Bの雄リング継手21bのピンと嵌合させることによって、合成セグメント1A、1Bを軸方向Xにおいて連結することができる。なお、合成セグメント1A、1Bは、図1に示されるように、円周方向Yにおいて半ピース分だけずらされて配置されてもよい。リング継手21は、上記の形式に限られず、軸方向Xにおいて隣接する合成セグメント1同士を連結可能ないかなる形式(例えば、ボルト等)であってもよい。
図13〜図16は、ピース継手が一体化された合成セグメントの他の例を示す概略的な断面図である。図13〜図16は、軸方向X及び円周方向Yに沿った断面図であり、一方の継手面4のみを示している。図13〜図16の合成セグメント1では、両主桁面3に鋼殻6が配置されており、継手面4はコンクリート60により構成されている。すなわち、図13〜図16の合成セグメント1は、主桁鋼板31、32のみを有する。図13〜図16の合成セグメント1では、ピース継手20は、継手面4に設けられており、コンクリート60に埋め込まれている。なお、図13〜図16では、一方の継手面4に設けられた例えばピン等の雄ピース継手のみが示されているが、不図示の他方の継手面4には、対応する例えばチャック等の雌ピース継手が設けられていることに留意されたい。
図13の合成セグメント1では、ピース継手20は、主桁鋼板31、32を連結する連結材61に固定されている。トンネル内では、地山側及び内空側から様々な圧力が合成セグメント1に作用する。その結果、ピース継手20には、ピース継手20の軸方向(円周方向Y)に沿って、隣接する合成セグメント1同士を引き離すように軸力が作用する場合がある。このような軸力によってピース継手20がコンクリート60から部分的に又は全体的に抜けた場合、隣接する合成セグメント1同士の間に隙間が形成されて、止水性が低下する可能性がある。ピース継手20を連結材61に固定することによって、ピース継手20はこのような軸力に対抗することができるとともに、ピース継手の開きに対する剛性を高めることが出来るので、高い止水性を維持することができる。
図14及び図15の合成セグメント1では、ピース継手20は、主桁鋼板31、32に対して補強部材23によって固定されている。ピース継手20を補強部材23によって主桁鋼板31、32に固定することによっても、ピース継手20は、上記のような軸力に対抗することができるとともに、ピース継手の開きに対する剛性を高めることが出来るので、高い止水性を維持することができる。
補強部材23は、様々な形式であることができる。例えば、図14の合成セグメント1では、ピース継手20は、ピンを支持するベース部20cを含んでおり、補強部材23は、主桁鋼板31、32とベース部20cとを連結する、リブである。リブは、軸方向X及び円周方向Yに延在している。また、例えば、図15の合成セグメント1では、補強部材23は、主桁鋼板31、32とピース継手20のピンとを連結する、直方体状のブロックである。補強部材23は、例えば金属等の様々な材料で形成されることができる。
図16の合成セグメント1では、ピース継手20は、円周方向Yに延在する鉄筋64に対して固定されている。具体的には、ピース継手20はベース部20cを含んでおり、ベース部20cが複数の鉄筋64に対して固定されている。ピース継手20を鉄筋64に固定することによっても、ピース継手20は、上記のような軸力に対抗することができるとともに、ピース継手の開きに対する剛性を高めることが出来るので、高い止水性を維持することができる。
図17は、リング継手が一体化された合成セグメントの他の例を示す概略的な断面図である。図17は、上記の図13〜図16と同様に、軸方向X及び円周方向Yに沿った断面図であり、一方の継手面4のみを示している。図17の合成セグメント1では、両継手面4に鋼殻6が配置されており、主桁面3はコンクリート60により構成されている。すなわち、図17の合成セグメント1は、継手鋼板41、42のみを有する。図17の合成セグメント1では、リング継手21は、主桁面3に設けられており、コンクリート60に埋め込まれている。リング継手21は、例えば、ピン及びチャックを支持するベース部21cを含んでいてもよく、ベース部21cが、X方向に配列された複数の鉄筋65に対して固定されていてもよい。地震などの作用によってシールドトンネルはトンネルの軸方向(X方向)に伸び縮みすることがあるが、リング継手21を鉄筋65に固定することによっても、リング継手21は、上記のようなトンネル軸方向(X方向)の軸力に対抗することができ、高い止水性を維持することができる。
本発明に係る合成セグメントをシールドトンネルの構築に採用すれば、
・地下水圧の高い大深度トンネルへの適用が可能となり、
・負荷荷重や断面力の大きな大深度トンネルや、大断面トンネル、或いは非円形断面トンネルへの適用が可能となり、
・高い止水性能が長期間期待できるため、トンネルの長寿命化が実現し、
・鋼殻とコンクリートとの拘束力の増大により、地震時のコンクリートのひび割れ、或いは地下河川等のトンネルに作用する内水圧によるひび割れを防止する、
等の効果が期待でき、合成セグメントの製造コストも低減できることから、インフラ整備上の初期費用及び維持コストの低減に大いなる効果を期待することができる。
1 :合成セグメント
20 :ピース継手
20a :雌ピース継手
20b :雄ピース継手
20c :ベース部
21 :リング継手
21a :雌リング継手
21b :雄リング継手
21c :ベース部
23 :補強部材
3 :主桁面
31 :一端側主桁鋼板
32 :他端側主桁鋼板
4 :継手面
41 :一端側継手鋼板
42 :他端側継手鋼板
5 :隅角部鋼板
6 :鋼殻
6a :枠内(空間)
60 :コンクリート
61 :連結材
63 :開口
64 :鉄筋
65 :鉄筋
7 :トンネル
70 :セグメントリング
8 :止水材
81 :内面止水材
82 :外周止水材
9 :スキンプレート
100 :外周止水溝
101 :内面止水溝

Claims (18)

  1. コンクリートと鋼殻と止水材とを有するトンネル用合成セグメントであって、
    前記鋼殻は、前記合成セグメントのトンネルの軸方向側の端面である主桁面と、トンネルの周方向側の端面である継手面で構成される外周面の少なくとも一部に配置され、
    前記合成セグメントの主桁面および継手面に少なくとも一つの外周止水溝を設け、前記外周止水溝内に外周止水材が配置され、前記鋼殻の前記コンクリートに対する内面側に少なくとも一つの内面止水材が配置されている合成セグメント。
  2. 前記コンクリートのひび割れ強度と、前記内面止水材の弾性反力と、トンネル外部から作用する水圧とが、以下の関係式を満足することを特徴とする請求項1に記載の合成セグメント。
    (コンクリートひび割れ強度)>(内面止水材弾性反力)>(トンネルに作用する水圧)
  3. 前記内面止水材が、鋼殻内面に設けられた内面止水溝内に配置されている請求項1または2のいずれかに記載の合成セグメント。
  4. 前記内面止水材の端部と前記外周止水材とが接する状態で配置されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  5. 前記合成セグメントの両主桁面に鋼殻が配置されており、前記鋼殻同士を連結する連結材と、該連結材に当接して鉄筋が配置されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  6. 前記連結材が、前記鉄筋の地山側と内空側の双方に当接して設けられている請求項5に記載の合成セグメント。
  7. 前記止水材の少なくとも一部が、水膨潤性止水材である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  8. 前記外周止水材が水膨潤性止水材であり、前記内面止水材が非水膨潤性止水材である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  9. 前記合成セグメントの主桁面、継手面のうち、いずれか1つ以上が、凹凸部を有する波型面を具備する前記鋼殻であるとともに、該波型面の凹部が外周止水溝もしくは内面止水溝である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  10. 前記主桁面に、前記トンネルの前記周方向において他の合成セグメントと連結するためのピース継手を有する、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  11. 前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、
    前記ピース継手が、前記主桁面の前記鋼殻と一体に形成されている、請求項10に記載の合成セグメント。
  12. 前記継手面に、前記トンネルの前記周方向において他の合成セグメントと連結するためのピース継手を有する、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  13. 前記合成セグメントの両継手面に前記コンクリートが配置されており、
    前記ピース継手が、前記継手面の前記コンクリートに定着されている、請求項12に記載の合成セグメント。
  14. 前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、
    前記合成セグメントは、前記主桁面の前記鋼殻同士を連結する連結材を有し、
    前記ピース継手が、前記連結材に対して固定されている、請求項13に記載の合成セグメント。
  15. 前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、
    前記ピース継手が、前記主桁面の前記鋼殻の端部に対して補強部材によって固定されている、請求項13に記載の合成セグメント。
  16. 前記主桁面に、前記トンネルの前記軸方向において他の合成セグメントと連結するためのリング継手を有する、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の合成セグメント。
  17. 前記合成セグメントの両主桁面に前記鋼殻が配置されており、
    前記リング継手が、前記主桁面の前記鋼殻と一体に形成されている、請求項16に記載の合成セグメント。
  18. 前記合成セグメントの両主桁面に前記コンクリートが配置されており、
    前記リング継手が、前記主桁面の前記コンクリートに定着されている、請求項16に記載の合成セグメント。
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