JP2019157243A - 成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガス供給電極を用いる、ロール・トゥ・ロール方式でのプラズマCVDによる成膜において、ガス供給電極への生成物の付着を防止することを、課題とする。【解決手段】 ガス供給孔を基板との対向面に有するガス供給電極を用いて、基板に成膜を行うものであり、ガス供給孔の半径をx、ガス供給孔からのガスの流量をy、ガス供給孔からのガスの流速をv、流速vで定義されるパラメータをLとして、『v=y/(π×x2)』、『L=[(1.2×10-4)×v]+x−0.3』であり、『4000≦v≦5500』を満たし、最外周のガス供給孔の中心を結ぶ領域の90%以上を、ガス供給孔を中心とし、パラメータLを半径とする円が覆うことにより、課題を解決する。【選択図】 図5

Description

本発明は、ロール・トゥ・ロール方式でプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって成膜を行う成膜方法に関する。
光学素子、液晶ディスプレイおよび有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示装置、半導体装置、ならびに、薄膜太陽電池など、各種の装置に、ガスバリアフィルム、保護フィルム、光学フィルタおよび反射防止フィルム等の光学フィルムなど、各種の機能性フィルム(機能性シート)が利用されている。
これらの機能性フィルムの製造に、プラズマCVDによる成膜方法が利用されている。
また、生産性の高い成膜方法として、いわゆるロール・トゥ・ロール方式(Roll to Roll方式 以下、RtoRとも言う)が知られている。周知のように、RtoRとは、長尺な基板をロール状に巻回してなるロールから基板を送り出して、長手方向に搬送しつつ成膜を行ない、成膜済の基板を、再度、ロール状に巻回する成膜方法である。
プラズマCVDによって成膜を行なう場合には、成膜対象である基板のみならず、成膜装置内の各部にも生成物が堆積してしまう。特に、CCP−CVD((Capacitively Coupled plasma−CVD)容量結合型プラズマCVD)のように電極対を用いるプラズマCVDでは、プラズマを形成するための成膜用の電極対の、基板と対向する側の電極の基板との対向面に、生成物が多く堆積する。
さらに、RtoRでは、連続的な成膜を、長時間、行うために、電極への生成物の堆積量も多くなる。
成膜用の電極に堆積した生成物は、内部応力によって自壊して、一部が電極から剥離して、基板および成膜した膜に異物として付着し、また、成膜装置内を汚染する。
基板、基板の表面、膜中、膜の表面に存在する異物は、ガスバリアフィルム等の製品の品質低下の原因となる。特に、RtoRによる成膜においては、電極から剥離した膜が、基板の表面、膜中、膜の表面に異物として存在すると、基板の搬送および巻取り時に、異物の存在部の膜に応力が集中して、成膜した膜が押し割れて、欠陥となる。
このような不都合を解消するために、電極の基板との対向面を粗面化することで、電極の基板との対向面に付着および堆積した生成物の剥離を抑制することが、一般的に行われている。
例えば、特許文献1には、RtoRでCCP−CVDによって基板に成膜を行う装置として、シャワー電極(シャワープレート)と円柱状のドラム電極とからなる電極対を用いる成膜装置が記載されている。この成膜装置では、ドラム電極とシャワー電極とを対向して配置して、長尺な基板をドラム電極に巻き掛けて長手方向に搬送しつつ、ドラム電極とシャワー電極との間の成膜領域において、プラズマCVDによって基板に成膜を行う。
周知のように、シャワー電極とは、ガス供給電極の一種で、例えば、中空部と、この中空部に連通する多数のガス供給孔とを有して構成される。シャワー電極を用いる成膜装置では、ガス供給孔の開口の形成面を他方の電極に対向した状態でシャワー電極を配置して、シャワー電極の中空部に成膜ガスを供給することで、ガス供給孔から、電極間の成膜領域に成膜ガスを供給する。
特許文献1に記載される成膜装置では、シャワー電極として、基板との対向面に溶射膜を有し、さらに、溶射膜の基板との対向面、および、溶射膜の基板との対向面からガス供給孔の内面の溶射膜とシャワープレート本体との境界を超える位置まで形成される、導電性の非酸化物からなる被覆膜を有する、シャワー電極を用いている。
特許文献1に記載されるシャワー電極は、基板との対向面に溶射膜を形成することで、シャワー電極の基板との対向面を粗面化して、堆積した生成物の剥離を防止すると共に、導電性の非酸化物からなる被覆膜を有することで、溶射膜の剥離を防止すると共に、異常放電も防止できる。
特開2016−8315号公報
特許文献1に記載されるシャワー電極によれば、基板との対向面に溶射膜を形成することで、シャワー電極の基板との対向面を粗面化して、堆積した生成物の剥離を防止すると共に、導電性の非酸化物からなる被覆膜を有することで、成膜する膜の緻密化および成膜レートの向上のために、プラズマ励起電力の向上および成膜ガス供給量の増加を行っても、溶射膜の剥離を抑制することができ、さらに、異常放電に起因してプラズマが不安定になることも抑制できる。
しかしながら、シャワー電極に生成物が付着および堆積する以上、シャワー電極からの生成物の剥離を完全に防止することは困難であり、さらなる改良が望まれている。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、シャワー電極を用いて、RtoRでプラズマCVDによって成膜を行うに際し、シャワー電極への生成物の付着を抑制できる成膜方法を提供することにある。
この課題を解決するために、本発明の成膜方法は、以下の構成を有する。
[1] 長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、基板に成膜を行うに際し、
基板と対面して配置される、成膜ガスを供給するガス供給孔を基板との対向面に有するガス供給電極と、ガス供給電極と電極対を構成する対向電極と、を用いて、基板に成膜を行うものであり、
ガス供給孔の半径をx[cm]、1個のガス供給孔から吹き出す成膜ガスの流量をy[sccm]、1個のガス供給孔から吹き出す成膜ガスの流速をv[sccm/cm2]、および、流速vで定義されるパラメータをL[cm]、とした際に、
v=y/(π×x2)、
L=[(1.2×10-4)×v]+x−0.3、
であり、
4000≦v≦5500を満たし、さらに、
ガス供給電極の基板との対向面においてガス供給孔が形成される領域であるガス供給領域の90%以上を、ガス供給孔の中心を中心とし、かつ、パラメータLを半径とする円が覆うことを特徴とする、成膜方法。
[2] 対向電極が、基板を周面に巻き掛けて長手方向に搬送する円筒状のドラムである、[1]に記載の成膜方法。
[3] ガス供給電極において、ガス供給孔が規則的に配列される、[1]または[2]に記載の成膜方法。
[4] ガス供給孔が、正方格子状または六角格子状に配列される、[3]に記載の成膜方法。
[5] ガス供給孔の半径が50〜250μmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の成膜方法。
[6] 流速vが4500≦v≦5000を満たす、[1]〜[5]のいずれかに記載の成膜方法。
[7] ガス供給電極の基板との対向面において、ガス供給領域の95%以上を、ガス供給孔の中心を中心とし、かつ、パラメータLを半径とする円が覆う、[1]〜[6]のいずれかに記載の成膜方法。
本発明によれば、シャワー電極を用いて、RtoRでプラズマCVDによって成膜を行う成膜において、シャワー電極への生成物の付着を抑制し、剥離物による成膜対象物の欠陥を抑制できる。
本発明の成膜方法を実施する成膜装置の一例を概念的に示す図である。 図1に示される成膜装置に設けられるシャワー電極の概略断面図である。 図1に示される成膜装置に設けられるシャワー電極の概略平面図である。 本発明におけるガス供給領域を説明するための概念図である。 本発明の成膜方法を説明するための概念図である。 本発明の成膜方法を説明するための概念図である。 本発明の成膜方法を説明するための概念図である。
以下、本発明の成膜方法ついて、添付の図面を用いて、詳細に説明する。
図1に、本発明の成膜方法を実施する成膜装置の一例を概念的に示す。
図1に示す成膜装置10は、上述したRtoRで、CCP−CVDによって、基板Zに成膜を行う装置であり、真空チャンバ12と、真空チャンバ12の上部側に構成される基板室14と、真空チャンバ12の下部側に構成される成膜室16と、真空チャンバ12内に配置されるドラム18とを有して構成される。また、成膜室16には、ドラム18に対向してシャワー電極20が設けられる。成膜装置10においては、シャワー電極20とドラム18とで、CCP−CVDにおける電極対を構成する。
なお、成膜装置10において、上部および下部は図面上における上部および下部であり、本発明の本質とは無関係である。
なお、本発明の成膜方法で成膜する膜には、特に限定はなく、CCP−CVDによって成膜可能な膜が、全て、利用可能である。
また、本発明の成膜方法によって成膜を行う基板Zも、RtoRでCCP−CVDによって成膜が可能なものであれば、樹脂フィルム、樹脂フィルムに有機層を形成した積層体、樹脂フィルムに有機層と無機層とを形成した積層体など、可撓性を有する長尺なシート状物(ウェブ)が、全て、利用可能である。
ドラム18は、円柱状の部材で、円柱の中心線を回転中心にして、図中反時計方向に回転する。
ドラム18は、基板ロール26から供給された基板Zを、周面の所定領域に掛け回して、所定位置に保持しつつ長手方向に搬送する。
また、ドラム18は、後述する成膜室16のシャワー電極20の対向電極としても作用する。すなわち、図示例の成膜装置10においては、ドラム18とシャワー電極20とで、CCP−CVDによる成膜を行うための電極対を構成する。従って、ドラム18は、少なくとも外周面は、金属などの導電性を有する材料で形成される。
ドラム18は、必要に応じて、アース(接地)されてもよく、あるいは、バイアスを印加するためのバイアス電源が接続されてもよく、あるいは、アースとバイアス電源とを切り替え可能に接続してもよい。バイアス電源は、成膜装置で利用されている、バイアスを印加するための高周波電源およびパルス電源等の公知の電源が、各種、利用可能である。
さらに、必要に応じて、ドラム18は、基板Zを加熱および/または冷却するための温度調節手段を内蔵してもよい。温度調節手段も、ペルチェ素子を用いる温度調節手段、ヒータを用いる温度調節手段、チラーユニット等を用いる温度調節媒体の循環による温度調節手段等、公知の温度調節手段が、各種、利用可能である。
なお、図1に示す成膜装置10は、好ましい態様として、基板Zを、電極対を構成するドラム18に巻き書けて搬送しつつ、CCP−CVDによって成膜を行うが、本発明は、これに制限はされない。
例えば、ドラム18に変えて平板状の電極を用いて、シャワー電極と平板状の電極とで電極対を構成して、搬送ローラ対等を用いて、基板Zを平面状に維持しつつ電極対の間を搬送して、CCP−CVDによって成膜を行ってもよい。この場合には、シャワー電極の基板Zとの対向面も、平板状にする。
真空チャンバ12内には、上述のドラム18に加え、真空チャンバ12の図中横側の内壁面12aからドラム18の周面の近傍まで延在する隔壁28aおよび28bが配置される。隔壁28aおよび28bは、その先端(内壁面12aと逆端)が、搬送される基板Zに接触しない可能な位置まで、ドラム18の周面に近接している。
成膜装置10は、この隔壁28aおよび28bと、ドラム18とで、真空チャンバ12内を上下に略気密に分離しており、上側が基板室14となり、下側が成膜室16となる。
基板室14は、回転軸32と、巻取り軸34と、ガイドローラ36aおよび36bと、真空排気装置40とを有する。
回転軸32は、長尺な基板Zが巻回された基板ロール26が装填される、公知の回転軸である。他方、巻取り軸34は、成膜済みの基板Zを巻き取って成膜済基板ロール42とする、公知の長尺物の巻取り軸である。
ガイドローラ36aおよび36bは、基板Zを所定の搬送経路で案内する通常のガイドローラである。基板Zは、ガイドローラ36aおよび36bによって案内されて、ドラム18の所定領域に巻き掛けられる。
真空排気装置40は、基板室14内を所定の真空度に減圧するための真空ポンプである。真空排気装置40は、基板室14内を、成膜室16における成膜に影響を与えない圧力に減圧する。
真空排気装置40は、ターボポンプ、メカニカルブースターポンプ、ロータリーポンプ、ドライポンプなどの真空ポンプ等を利用する、真空成膜装置に用いられている公知の真空排気装置が、各種、利用可能である。この点に関しては、後述する成膜室16の真空排気装置52も同様である。
成膜装置10において、基板ロール26は、回転軸32に装着される。また、基板ロール26が、回転軸32に装着されると、基板Zは、ガイドローラ36a、ドラム18、および、ガイドローラ36bを経て、巻取り軸34に至る、所定の経路を通される(通紙される)。
成膜装置10においては、基板ロール26からの基板Zの送り出しと、巻取り軸34における成膜済みの基板Zの巻き取りとを同期して行なって、長尺な基板Zを所定の搬送経路で長手方向に搬送しつつ、成膜室16において基板Zに成膜を行なう。
基板室14の下には、成膜室16が形成される。
上述のように、成膜室16はRtoRによってCCP−CVDで基板Zに成膜を行なうもので、シャワー電極20と、ガス供給部48と、高周波電源50と、真空排気装置52とを有する。
上述のように、シャワー電極20は、ドラム18と共にCCP−CVDによる成膜を行うための電極対を構成する、ガス供給電極である。
シャワー電極20は、内部に中空部70を有し、かつ、ドラム18との対向面である放電面20aに、中空部70と連通するガス供給孔62を多数有する。この中空部70には、ガス供給部48から成膜ガスが供給される。
シャワー電極20は、基本的に、CCP−CVDによる成膜に用いられる公知のシャワー電極である。すなわち、成膜室16においては、ガス供給部48からシャワー電極20に成膜ガスを供給することにより、シャワー電極20の放電面20aのガス供給孔62から成膜ガスを排出して、シャワー電極20とドラム18(基板Z)との間の成膜領域に成膜ガスを供給する。
シャワー電極20に関しては、後に図2を参照して詳述する。
シャワー電極20には、ガス供給管48aによってガス供給部48が接続されている。ガス供給部48は、CVD装置に用いられる公知の成膜ガス(原料ガス、プロセスガス)の供給手段で、シャワー電極20の中空部70に、成膜ガスを供給する。
また、シャワー電極20には、高周波電源50が接続されている。高周波電源50も、CVD装置に用いられる公知の高周波電源である。
本発明の成膜方法を実施する成膜装置10は、RtoRで、CCP−CVDによって基板Zに成膜を行うものである。
すなわち、成膜装置10は、基板室14の回転軸32に装填された基板ロール26から基板Zを送り出し、ガイドローラ36aによってドラム18に案内して、ドラム18の所定領域に巻き掛けて基板Zを搬送しつつ、成膜室16において、ドラム18とシャワー電極20との間の成膜領域においてCCP−CVDによって基板Zに成膜を行い、成膜済の基板Zをガイドローラ36bによって巻取り軸34に案内して、巻取り軸34でロール状に巻き取って、成膜済基板ロール42とする。
図2に、シャワー電極20の概略断面図を示す。
なお、以下の説明では、ドラム18による基板Zの搬送方向(図中矢印t方向)すなわち基板Zの長手方向を搬送方向、ドラム18の回転軸の方向すなわち基板Zの搬送方向と直交する方向を幅方向、とも言う。幅方向は、図1および図2においては、紙面に垂直な方向であり、後述する図3では、図中矢印w方向である。
シャワー電極20は、電極本体56と電極台58とを有する。
電極本体56は、導電性材料で形成される直方体状の板状部材で、一方の主面には、中央部に直方体状の凹部が形成される。ドラム18と対向する他方の主面は、放電面20aであり、ドラム18の周面と平行になるように、曲面となっている。なお、主面とは、板状物(シート状物)の最大面である。
また、電極本体56には、凹部から放電面20a(ドラム18との対向面)まで貫通して、多数のガス供給孔62が形成される。ガス供給孔62は、電極本体56となる直方体(曲面の無い電極本体)の主面に対して、垂直な円筒状の貫通孔である。
電極台58は、導電性材料で形成される電極本体56の主面と同形状の主面を有する矩形の板状部材である。電極台58は、電極本体56の凹部を閉塞するように、電極本体56と主面同士を一致させて設けられる。また、電極本体56と電極台58とは、ボルト68によって締結される。
電極台58によって電極本体56の凹部を閉塞することで、中空部70が形成される。
電極本体56の凹部と電極台58とによって形成される中空部70には、ガス供給部48に接続するガス供給管48aが接続される。これにより、シャワー電極20の中空部に、ガス供給部48から成膜ガスが供給される。
図示例の成膜装置10では、中空部70に成膜ガスを供給するガス供給管48aは1本であるが、必要に応じて、複数本のガス供給管48aによって、中空部70に成膜ガスを供給してもよい。
シャワー電極20は、ドラム18と離間して、上述のように曲面側を放電面20aとして、ドラム18と対向して、設けられる。従って、ガス供給孔62は、シャワー電極20の放電面20aに開口する。
シャワー電極20では、ドラム18との対向面である放電面20a、すなわち、ガス供給孔62が開口する主面で放電する。
ガス供給部48からガス供給管48aを経て、中空部70に成膜ガスが供給されると、シャワー電極20の放電面のガス供給孔62の開口から、シャワー電極20とドラム18との間の成膜領域に、成膜ガスが供給される。
上述のように、シャワー電極20(電極本体56)の放電面20aは、ドラム18の周面に沿った曲面となっており、この曲面に、ガス供給孔62が開口する。
成膜装置10においては、放電面20aが曲面であることにより、成膜ガスを供給するガス供給孔62を有する領域における、ドラム18の周面と放電面との間隔を一定に保っている。
放電面20aとドラム18との距離には制限は無いが、通常、5〜40mm程度である。
なお、本発明の成膜装置において、シャワー電極の構成は、図示例のように、凹部を有する直方体状の電極本体56と、板状の電極台58とから構成されるのに限定はされず、RtoRでCCP−CVDによって成膜を行うCCP−CVD装置において利用されている公知のシャワー電極の構成が、全て、利用可能である。
例えば、シャワー電極は、ガス供給管が接続される一面が開放する筐体の開放面を、ガス供給孔(厚さ方向の貫通孔)を有する板状物で閉塞したような構成でもよい。あるいは、中空状の矩形の筐体の一方の主面にガス供給孔を穿孔し、他方の主面(あるいは側面)にガス供給管を接続したような構成でもよい。
図3に、シャワー電極20(電極本体56)の放電面20aを概念的に示す。図3は、シャワー電極20をドラム18側から見た図であり、シャワー電極20の平面図である。なお、図3において、搬送方向は矢印t方向であり、幅方向は矢印w方向である。
上述のように、シャワー電極20は、放電面20aに開口するように、放電面20aから中空部70に連通する円筒状のガス供給孔62が、多数、形成される。
本発明において、ガス供給孔62は、シャワー電極20(電極本体56)の主面に対して二次元的に配列して形成される。図示例のシャワー電極20において、ガス供給孔62は、一例として、図3に示すように、正方格子状に配列されている。
なお、本発明において、シャワー電極20におけるガス供給孔62の配列は、規則的でも、不規則でもよい。しかしながら、後述するパラメータLを半径とする円による被覆率を高くし易い、成膜領域における成膜ガスの供給を制御しやすい、異常放電を抑制しやすい等の点で、規則的であるのが好ましい。
また、ガス供給孔62を規則的に配列する場合、ガス供給孔62の配列は、図示例の正方格子(四方格子)状に制限はされず、各種の配列が利用可能である。一例として、六角格子(正三角格子、六方格子)、斜方格子(菱形格子、中心矩形格子、二等辺三角格子)、矩形格子(原始矩形格子)、および、平行体格子(歪斜格子)などの、いわゆる平面格子状(周期格子状)の配列が、各種、利用可能である。
中でも、ガス供給孔62同士の距離を均等かつ小さくでき、ガス供給孔62の形成密度を上げやすい点で、六角格子および図示例の正方格子は、好適に利用される。
なお、本発明において、シャワー電極20におけるガス供給孔62を規則的に配列する場合には、基本的に、ガス供給孔62は、全面的に均一な密度で規則的に配列する。しかしながら、本発明においては、必要に応じて、ガス供給孔62を規則的に配列する場合でも、例えば、幅方向の中央から両端に向かって、ガス供給孔62の密度が漸次または段階的に高くなる、および/または、搬送方向に向かって、ガス供給孔62の密度が漸次または段階的に低くなる等、放電面20aの面方向で、ガス供給孔62の形成密度が異なってもよい。
ここで、本発明の成膜方法においては、シャワー電極20におけるガス供給孔62の半径をx[cm]、1個のガス供給孔62から吹き出す成膜ガスの流量をy[sccm]、1個のガス供給孔62から吹き出す成膜ガスの流速をv[sccm/cm2]、とした際に、
『v=y/(π×x2)』
であり、流速vが
『4000≦v≦5500』を満たす。
さらに、流速vで定義されるパラメータをL[cm]とした際に、
『L=[(1.2×10-4)×v]+x−0.3』
であり、シャワー電極20の放電面20aにおけるガス供給領域Sの90%以上が、ガス供給孔62の中心を中心とし、パラメータLを半径とする円によって覆われる。
本発明において、ガス供給領域Sとは、シャワー電極20(ガス供給電極)の放電面20aにおける、ガス供給孔62が形成される領域である。前述のように、放電面20aとは、シャワー電極20におけるドラム18(基板Z)との対向面である。
具体的には、ガス供給領域Sとは、図4に不規則にガス供給孔62が形成されたシャワー電極20Aを例示して概念的に示すように、
シャワー電極20Aの搬送方向(矢印t方向)の最上流の位置から、幅方向(矢印w方向)と一致するラインa(一点鎖線)を搬送方向に移動していき、最初に接触したガス供給孔62の中心まで移動した位置におけるラインaを第1辺(図中の1st)、
シャワー電極20Aの搬送方向の最下流の位置から、幅方向と一致するラインbを搬送方向と逆に移動していき、最初に接触したガス供給孔62の中心まで移動した位置におけるラインbを第2辺(図中の2nd)、
シャワー電極20Aの幅方向の右端から、搬送方向と一致するラインcを左端に向かって移動していき、最初に接触したガス供給孔62の中心まで移動した位置におけるラインcを第3辺(図中の3rd)、
シャワー電極20Aの幅方向の左端から、搬送方向と一致するラインdを右端に向かって移動していき、最初に接触したガス供給孔62の中心まで移動した位置におけるラインdを第4辺(図中の4th)、
として、第1辺、第2辺、第3辺および第4辺で囲まれた、矩形の領域である。ガス供給領域Sとなる矩形には、正方形を含む。
なお、上述の定義において、幅方向の右および左とは、搬送方向に向かって右および左である。
すなわち、ガス供給孔62が正方格子状に設けられる図3に示すシャワー電極20であれば、図中に一点鎖線で示す、搬送方向の最上流に配列されるガス供給孔62の中心を結ぶ線と、幅方向の右端側に配列されるガス供給孔62の中心を結ぶ線と、搬送方向の最下流に配列されるガス供給孔62の中心を結ぶ線と、幅方向の左端側に配列されるガス供給孔62の中心を結ぶ線と、で形成される長方形が、ガス供給領域Sとなる。本発明では、このようなガス供給領域Sの90%以上が、図5に概念的に示す、ガス供給孔62の中心を中心とする、パラメータLを半径とする円Cによって覆われる。以下の説明では、『ガス供給孔62の中心を中心とする』を、単に『ガス供給孔62を中心とする』ともいう。
すなわち、図3に一点鎖線で示す領域Sの面積の90%以上が、図5に概念的に示す、ガス供給孔62を中心とする、パラメータLを半径とする円Cによって覆われる。言い換えれば、図5に斜線で示すような、ガス供給孔62を中心とする、半径がパラメータLである円Cで覆われない領域の面積の合計が、ガス供給領域Sの面積の10%未満となる。
本発明の成膜方法は、このような構成を有することにより、シャワー電極20の放電面20a(基板Z(対向電極となるドラム18)との対向面)に生成物が付着し、堆積することを防止して、シャワー電極20から剥離した生成物が基板Zに成膜した膜等に混入して、品質低下を引き起こすことを防止できる。
上述のように、シャワー電極を用いて、RtoRでCCP−CVDによって成膜を行うと、シャワー電極、特にシャワー電極の放電面に、生成物が、付着して堆積してしまう。しかも、RtoRでは、長時間、連続的に成膜を行うため、シャワー電極に堆積する生成物の量は、非常に多くなる。
シャワー電極に付着した生成物は、自身の内部横領によって自壊して、シャワー電極から剥離し、基板および成膜した膜に付着、混入して製品品質を悪化させ、また、成膜装置の内部を汚染する。
ここで、本発明者らは、鋭意検討の結果、ガス供給孔62から吹き出す成膜ガスの流速を向上することで、ガス供給孔62の周辺において、シャワー電極20の放電面20a(基板Zとの対向面)に生成物が付着することを防止できることを見出した。
成膜ガスは、ガス供給孔62の高さ方向(円筒の高さ方向)に向かって吹き出されるが、一部の成膜ガスは、ガス供給孔62の開口の端部で回り込んで、シャワー電極20の放電面20aに沿って進行する。成膜中、成膜ガスは、同じ流速でガス供給孔62から吹き出され続ける。従って、シャワー電極20の放電面20aにおいて、ガス供給孔62の周辺では、常に、成膜ガスの流れが、ガス供給孔62から外方向に向かって生じている。
ガス供給孔62から排出された直後の成膜ガスは、活性化されておらず、この成膜ガスによって成膜が行われることはない。
上述のように、成膜中、成膜ガスは、ガス供給孔62から吹き出され続ける。従って、シャワー電極20の放電面20aにおいて、ガス供給孔62の周辺は、常に、ガス供給孔62から外方向に、活性化されていない、すなわち成膜には供されない、新規な成膜ガスが流れている。この新規な成膜ガスが流れている領域では、シャワー電極20の放電面20aに成膜が行われることはない。
シャワー電極20の放電面における、ガス供給孔62から外方向に向かう成膜ガスの流れの速度は、ガス供給孔62から噴射される成膜ガスの流速vのみに依存する。
すなわち、活性化されていない、成膜に供されない状態の成膜ガスが、ガス供給孔62を中心とする外方向に、どの領域まで到るかも、ガス供給孔62から噴射される成膜ガスの流速vのみに依存する。
本発明者らは、実験および経験、ならびに、これらの結果を用いた検討から、ガス供給孔62の中心から外方向に
『L=[(1.2×10-4)×v]+x−0.3』
までの距離では、シャワー電極20の放電面20aには成膜が行われず、生成物が付着して、堆積することが無いことを見出した。すなわち、ガス供給孔62を中心とし、パラメータLを半径とする円Cの範囲では、シャワー電極20の放電面20aに成膜されず、生成物が付着して、堆積することが無いことを見出した。
本発明は、このような知見を基に成されたものである。すなわち、パラメータLとは、ガス供給孔62から噴射される成膜ガスの流速vに依存して、シャワー電極20の放電面20aにおいて、活性化されていない、成膜に供されない成膜ガスが、ガス供給孔62の周辺のどの位置まで到達するかを示すパラメータである。
言い換えれば、パラメータLとは、図6に概念的に示すように、ガス供給孔62の半径xに、成膜されない領域aを足した長さである。
領域aは、活性化されていない成膜ガスがガス供給孔62の近傍に存在しないほど大きくなり、放電面20aのガス供給孔62周辺における成膜ガスの流速のみに依存する。また、放電面20aのガス供給孔62周辺における成膜ガスの流速は、ガス供給孔62から排出される成膜ガスの流速vのみに依存する。
すなわち、
『L=a+x−0.3』
であり、
『a=(1.2×10-4)×v』
である。
上述のように、パラメータLが大きくなるほど、シャワー電極20の放電面20aにおいて、ガス供給孔62を中心とする生成物が付着しない領域が広くなる。従って、パラメータLが大きいほど、シャワー電極20の放電面20aへの生成物の付着および堆積を抑制できる。
ここで、パラメータLは、成膜ガスの流速vのみに依存する関数である。従って、成膜ガスの流速vを早くするほど、生成物が付着しない領域が広くなる。
しかしながら、成膜ガスの流速vが速すぎると、成膜領域において、活性化した成膜ガスの滞在時間が短くなってしまい、成膜速度(成膜レート)が低下する。
本発明は、このような知見を得て成されたものであり、ガス供給孔62の半径をx[cm]、1個のガス供給孔62から吹き出す成膜ガスの流量をy[sccm]、1個のガス供給孔62から吹き出す成膜ガスの流速をv[sccm/cm2]、とした際に、
『v=y/(π×x2)』
であり、流速vで定義されるパラメータL[cm]が
『L=[(1.2×10-4)×v]+x−0.3』
であり、流速vが4000≦v≦5500』を満たし、さらに、シャワー電極20の放電面20aにおけるガス供給領域Sの90%以上が、ガス供給孔62を中心とし、パラメータLを半径とする円によって覆われる。
なお、1個のガス供給孔62から吹き出す成膜ガスの流量yは、ガス供給部48からシャワー電極20に供給される成膜ガスの総流量[sccm]を、シャワー電極20が有するガス供給孔62の数で割ることで算出すればよい。
また、以下の説明では、半径がパラメータLである、ガス供給孔62を中心とする円も、便宜的に『パラメータLを半径とする円』ともいう。
さらに、以下の説明では、パラメータLを半径とする円が、放電面20aのガス供給領域Sを覆う面積率を、便宜的に『ガス供給領域Sにおける被覆率』ともいう。すなわち、本発明では、ガス供給領域Sにおける被覆率が90%以上である。
成膜ガスの流速vが4000未満では、ガス供給領域Sにおける被覆率を90%以上にすることが困難である、十分な成膜速度が得られない、シャワー電極20等に付着して剥離する異物が発生する等の不都合を生じる。
成膜ガスの流速vが5500を超えると、成膜ガスの流速vが速すぎて十分な成膜速度が得られない、異常放電が発生する等の不都合を生じる。
流速vは、4500≦v≦5000が好ましく、4500≦v≦4800がより好ましい。
ガス供給領域Sにおける被覆率が90%未満では、放電面20aへの生成物の付着防止効果が不十分であり、成膜装置内の汚染、基板Zおよびガスバリアフィルム等の製品への生成物の付着および混入に起因する品質低下を十分に防止できない等の不都合を生じる。
ガス供給領域Sにおける被覆率は、95%以上が好ましく、97%以上がより好ましく、100%がさらに好ましい。
本発明において、ガス供給領域Sにおける被覆率の算出は、基本的に、以下のようにして行う。
まず、上述のようにしてガス供給領域Sを設定して、その面積を算出する。
さらに、ガス供給領域Sにおける、パラメータLを半径とする円で覆われる領域の面積を算出する。または、パラメータLを半径とする円で覆われない領域の面積を算出して、その合計を算出する。
その上で、パラメータLを半径とする円で覆われる領域の面積、または、パラメータLを半径とする円で覆われない領域の面積の合計と、ガス供給領域Sの面積とを用いて、被覆率を算出する。
ここで、ガス供給孔62が、上述したような正方格子および六角格子等の平面格子状のように規則的に設けられ、かつ、形成密度が放電面20aの全面で均一である場合には、ガス供給領域Sでは、隣接するガス供給孔62の中心を角(頂部、頂角)とする、同じ三角形および同じ四角形等の同じ多角形が、全面的に配列されたような状態になる。言い換えれば、ガス供給孔62が均一な密度で規則的に設けられる場合には、隣接するガス供給孔62の中心を結ぶことで形成される同じ三角形および同じ四角形などの同じ多角形が、全面的に配列されたような状態になる。
例えば、図7の左側に概念的に示すように、ガス供給孔62が正方格子状に配列された場合には、ガス供給領域Sには、隣接する4つのガス供給孔62の中心を結んだ、隣接する4つのガス供給孔62の中心を角とする同じ正方形が、全面的に配列されたような状態となる。また、図7の右側に概念的に示すように、ガス供給孔62が六角格子状に配列された場合には、ガス供給領域Sには、隣接する3つのガス供給孔62の中心を結んだ、隣接する3つのガス供給孔62の中心を角とする同じ正三角形が、全面的に配列されたような状態となる。
同様に、ガス供給孔62が斜方格子、矩形格子および平行体格子等に配列された場合でも、ガス供給領域Sには、隣接するガス供給孔62の中心を角とする、同じ四角形が全面的に配列されたような状態となる。
従って、ガス供給孔62が規則的に配列される場合には、この配列される三角形および四角形等を形成するガス供給孔62における、パラメータLを半径とする円による被覆率を算出すれば、シャワー電極20のガス供給領域Sにおける被覆率を算出できる。
例えば、ガス供給孔62が正方格子状に配列される場合には、図5に示すように、隣接する4つのガス供給孔62の中心を結んだ、隣接する4つのガス供給孔62の中心を角とする四角形S1における、パラメータLを半径とする円Cによる被覆率、または、パラメータLを半径とする円Cで被覆されていない斜線で示す領域の面積率を算出することで、シャワー電極20の放電面20aにおけるガス供給領域Sの被覆率を算出できる。
本発明においては、配列されるガス供給孔62の間隔が近いほど、成膜ガスの流速vが遅くても、ガス供給領域Sにおける被覆率を高くできる。
本発明において、ガス供給孔62の間隔には制限はなく、シャワー電極20の大きさ、想定される成膜ガスの総流量等に応じて、適宜、設定すればよい。ガス供給孔62の間隔は、隣接するガス供給孔62の中心同士の間隔、すなわち、ガス供給孔62のピッチが、0.9cm以下であるのが好ましく、0.45cm以下であるのがより好ましく、0.35cm以下であるのがさらに好ましい。
ガス供給孔62のピッチを0.9cm以下とすることにより、好適にガス供給領域Sにおける被覆率を90%以上にできる等の点で好ましい。
なお、ガス供給孔62のピッチは、下限にも制限はないが、通常、0.2cm以上である。
なお、上述したガス供給領域Sを設定する際のガス供給孔62の中心を含めて、ガス供給孔の形状が円形(円筒状)ではない場合には、ガス供給孔62の中心は、ガス供給孔62を内接する円の中心(すなわち重心)とする。このようなガス供給孔62を内接する円は、以下に示すガス供給孔62の孔径にも用いる。
また、ガス供給孔62の孔径(円筒の径)にも制限はなく、シャワー電極20の大きさ、ガス供給孔62の数、ガス供給孔1個から供給する成膜ガスの量等に応じて、適宜、設定すればよい。ガス供給孔62は、半径が50〜250μmであるのが好ましく、100〜250μmであるのがより好ましく、150〜200μmであるのがさらに好ましい。
ガス供給孔62の半径を50μm以上とすることにより、十分な流量の成膜ガスの供給が可能になる等の点で好ましい。
また、ガス供給孔62の半径を250μm以下とすることにより、流速vを好適に向上できる、流速vの制御が容易になる等の点で好ましい。
なお、上述のように、シャワー電極20においては、ガス供給孔62は曲面状の放電面20aに開口する。ここで、上述のように、ガス供給孔62は、電極本体56を形成する直方体の主面に対して垂直な円筒状の貫通孔によって、形成される。従って、放電面20aにおけるガス供給孔62の開口の形状は、円形ではなく楕円形になる。
しかしながら、本発明において、ガス供給孔62の半径xとは、円筒状のガス供給孔62の円筒の半径であり、曲面56aにおける開口の形状は、無関係である。また、シャワー電極20の放電面20aが、ドラム18の周面に沿った曲面である場合でも、この曲面56aは曲率が非常に小さい。すなわち、曲面におけるガス供給孔62の開口の長径と、円筒状のガス供給孔62の円筒の半径である半径xとの差は、極めて小さい。
また、シャワー電極20において、ガス供給孔62は、通常、円筒状である。本発明においては、これに対応して、流速vは、ガス供給孔62の半径xを用いた円の面積によって『v=y/(π×x2)』で算出している。
しかしながら、本発明において、ガス供給孔62は円筒状に制限はされず、例えば、四角筒および六角筒などの角筒状、楕円筒状、および不定形な上下面を有する筒状等、各種の形状が利用可能である。この場合には、流速vの算出は、『(π×x2)』に変えて、ガス供給孔62となる筒の形状に応じて、ガス供給孔となる角筒および楕円筒等の上面(下面)の面積を算出する式を用いればよい。
ガス供給孔が、不定形な上下面を有する筒状である場合には、上下面の開口を内接する円を設定して、この円の面積(すなわち内接円の半径)を流速vの算出に用いればよい。
以下、図1に示す成膜装置10の作用を説明することにより、本発明の成膜方法を説明する。
長尺な基板Zをロール状に巻回してなる基板ロール26が回転軸32に装填し、基板ロール26から基板Zが引き出して、ガイドローラ36a、ドラム18、およびガイドローラ36bを経て、巻取り軸34に至る所定の搬送経路を挿通する。
基板Zを挿通したら、真空チャンバ12を閉塞して、真空排気装置40および52を駆動して、各室の排気を開始する。
基板室14および成膜室16が、所定の真空度以下まで排気されたら、次いで、ガス供給部48を駆動して、シャワー電極20に成膜ガスを供給する。
全ての室の圧力が所定圧力で安定したら、ドラム18等の駆動を開始して、基板Zの搬送を開始し、次いで、高周波電源50を駆動してシャワー電極20にプラズマ励起電力を供給して、基板Zを長手方向に搬送しつつ、成膜室16における基板Zへの成膜を開始し、長尺な基板Zに連続的に成膜を行う。
成膜された基板Zは、ガイドローラ36bに案内されて、巻取り軸34に巻き取られ、成膜済基板ロール42とされる。
ここで、成膜装置10においては、ガス供給部48は、シャワー電極20のガス供給孔62の半径x[cm]およびガス供給孔62の数に応じて、シャワー電極20への成膜ガスの供給量[sccm]を、1個のガス供給孔62が吹き出す成膜ガスの流速v[sccm/cm2]が4000〜5500sccm/cm2となり、かつ、流速vで定義されるパラメータLを半径とし、ガス供給孔62を中心とする円による、ガス供給領域Sの被覆率が90%以上となる、供給量とする。
その結果、本発明においては、シャワー電極20の放電面20aにおいて、ガス供給孔62を中心としてパラメータLを半径とする円に覆われた、ガス供給領域Sの90%以上の領域で、生成物が付着および堆積することを防止できる。
そのため、本発明によれば、RtoRによって、長時間、連続的に基板Zに成膜を行っても、シャワー電極20に生成物が付着および堆積することを防止でき、シャワー電極20から剥離する生成物による成膜装置内部の汚染、および、シャワー電極20から剥離する生成物が基板Zおよび成膜した膜に付着および/または混入することによる、ガスバリアフィルム等の製品品質の低下を防止できる。
以上、本発明の成膜方法について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんのことである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
[実施例1〜10および比較例1〜8]
図1に示す成膜装置10のような、ドラムを用いるRtoRで、CCP−CVDによって成膜を行う一般的な成膜装置を用いて、基板にアモルファスな窒化ケイ素を主成分とする無機膜を成膜して、ガスバリアフィルムを作製した。
ドラムは、幅方向(x方向)のサイズが75cm、直径が100cmのステンレス製のものを用いた。
シャワー電極の電極本体および電極台はアルミニウム製で、放電面がドラムの周面と平行な曲面を有するものを用いた。シャワー電極の放電面とドラムとの距離は20mmとした。
シャワー電極は、放電面の大きさは同じで(75×30cm(幅方向×搬送方向))、円筒状のガス供給孔を有する、ガス供給孔の配列が、正方格子状のもの、および、六角格子状のものの、2種を用いた。加えて、シャワー電極は、表1に示すように、ガス供給孔の半径、ガス供給孔のピッチ、および、ガス供給孔の数の少なくとも1種が異なる、複数種のシャワー電極を用いた。
成膜ガスは、シランガス(SiH4)、アンモニアガス(NH3)、および、水素ガス(H2)を用いた。なお、成膜ガスは、シランガス:アンモニアガス:水素ガスの流量の比率を1:2:10で一定として、シャワー電極に供給する総流量を、表1に示すように、種々、変更して供給した。
シャワー電極に供給するプラズマ励起電力は6.5kW、成膜圧力は40Paとした。
基板は、PETフィルム(東洋紡製 コスモシャインA4300 100μm厚)の一面に、厚さ1μmの下地有機層を形成したものを用いた。無機膜は、下地有機層の上に形成した。
下地有機層は、トリメチロールプロパントリアクリレート(ダイセルサイテック社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE KTO46)を質量比率で95:5となるように秤量し、これらを固形分濃度が15質量%となるようにメチルエチルケトンに溶解して調製した重合性組成物を、塗布、乾燥して、紫外線照射によって硬化することで形成した。
なお、無機膜(窒化ケイ素膜)の膜厚を測定するために、無機膜の成膜に先立ち、基板(下地有機層)の一部に耐熱テープを貼ってマスキングした。
なお、ガス供給領域における被覆率は、前述のように、正方格子状にガス供給孔を配列したシャワー電極では、隣接する4つのガス供給孔の中心を接続した、隣接する4つのガス供給孔を角とする正方形における、ガス供給孔を中心とし、パラメータLを半径とする円による被覆率とした。
同様に、ガス供給領域における被覆率は、六角格子状にガス供給孔を配列したシャワー電極では、隣接する3つのガス供給孔の中心を接続した、隣接する4つのガス供給孔を角とする正三角形における、ガス供給孔を中心とし、パラメータLを半径とする円による被覆率とした。
[評価]
このようにして作製したガスバリアフィルムについて、無機膜の膜厚、欠陥数およびガスバリア性能を評価した。
<無機膜の膜厚(膜厚)>
無機膜(窒化ケイ素膜)の成膜に先立って下地有機層の一部をマスキングした耐熱テープを剥離して、マスキング部と通常の成膜部とを接触式の段差計(Bruker Nano社製、DECKTAC3ST)で走査して、段差を測定することで、成膜した無機膜の膜厚を測定した。
膜厚が10nm以上のものをA、
膜厚が4nm以上10nm未満のものをB、
膜厚が4nm未満のものをC、と評価した。
<欠陥数>
レーザ顕微鏡(オリンパス社製、OLS3100)を用いて、ガスバリアフィルムの欠陥数を計測した。
1cm2当たりの欠陥数が3個以下のものをA、
1cm2当たりの欠陥数が4〜9個のものをB、
1cm2当たりの欠陥数が10個以上のものをC、と評価した。
<ガスバリア性能(バリア性)>
作製したガスバリアフィルムの水蒸気透過率[g/(m2・day)]を、カルシウム腐食法(特開2005−283561号公報に記載される方法)によって、測定した。
水蒸気透過率が3×10-5g/(m2・day)以下のものをA、
水蒸気透過率が3×10-5g/(m2・day)超、4×10-4g/(m2・day)以下のものをB
水蒸気透過率が4×10-4g/(m2・day)超のものをC、と評価した。
結果を下記の表に示す。
表1に示すように、本発明の成膜方法によれば、シャワー電極に堆積する生成物による欠陥が少ない、良好なガスバリア性を有するガスバリアフィルムを、良好な無機層の成膜速度で作製できる。
特に、実施例1と、実施例3および実施例6等とに示されるように、流速vが4500〜5000sccm/cm2とすることで、膜厚、欠陥の少なさ、およびバリア性共に、優れてたガスバリアフィルムを作製できる。また、被覆率を95%以上とすることにより、相対的に、好ましい結果が得られる。
これに対して、成膜ガスの流速vが低い比較例1および比較例2は、被覆率も低く、欠陥数が多くなり、その結果、ガスバリア性が低い。また、被覆率は90%を超えているものの、同様に成膜ガスの流速vが低過ぎる比較例3および比較例4は、欠陥数は少ないが、十分な厚さの無機層を形成できず、その結果、ガスバリア性が低い。
比較例5および6は、成膜ガスの流速vが適正であるために膜厚は十分であるが、被覆率が低いために、欠陥数が多くなり、その結果、ガスバリア性が低い。
成膜ガスの流速vが高すぎる比較例7および比較例8は、被覆率は満たすものの、十分な厚さの無機層を形成できず、その結果、ガスバリア性が低い。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
ガスバリアフィルムの製造等に、好適に用いることができる。
10 成膜装置
12 真空チャンバ
12a 内壁面
14 基板室
16 成膜室
18 ドラム
20 シャワー電極
20a 放電面
26 基板ロール
28a,28b 隔壁
32 回転軸
34 巻取り軸
36a,36b ガイドローラ
40,52 真空排気装置
42 成膜済基板ロール
48 ガス供給部
48a ガス供給管
50 高周波電源
56 電極本体
58 電極台
62 ガス供給孔
68 ボルト
70 中空部
Z 基板
S ガス供給領域
S1 四角形

Claims (7)

  1. 長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、前記基板に成膜を行うに際し、
    前記基板と対面して配置される、成膜ガスを供給するガス供給孔を前記基板との対向面に有するガス供給電極と、前記ガス供給電極と電極対を構成する対向電極と、を用いて、前記基板に成膜を行うものであり、
    前記ガス供給孔の半径をx[cm]、1個の前記ガス供給孔から吹き出す前記成膜ガスの流量をy[sccm]、1個の前記ガス供給孔から吹き出す前記成膜ガスの流速をv[sccm/cm2]、および、前記流速vで定義されるパラメータをL[cm]、とした際に、
    v=y/(π×x2)、
    L=[(1.2×10-4)×v]+x−0.3、
    であり、
    4000≦v≦5500を満たし、さらに、
    前記ガス供給電極の前記基板との対向面において前記ガス供給孔が形成される領域であるガス供給領域の90%以上を、前記ガス供給孔の中心を中心とし、かつ、前記パラメータLを半径とする円が覆うことを特徴とする、成膜方法。
  2. 前記対向電極が、前記基板を周面に巻き掛けて長手方向に搬送する円筒状のドラムである、請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記ガス供給電極において、前記ガス供給孔が規則的に配列される、請求項1または2に記載の成膜方法。
  4. 前記ガス供給孔が、正方格子状または六角格子状に配列される、請求項3に記載の成膜方法。
  5. 前記ガス供給孔の半径が50〜250μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成膜方法。
  6. 前記流速vが4500≦v≦5000を満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載の成膜方法。
  7. 前記ガス供給電極の前記基板との対向面において、前記ガス供給領域の95%以上を、前記ガス供給孔の中心を中心とし、かつ、前記パラメータLを半径とする円が覆う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の成膜方法。
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