JP2019157158A - めっき層を有する成形品の製造方法 - Google Patents

めっき層を有する成形品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】めっき層とプライマーインク層の間のアンカー効果による密着強度を確保しつつ、プライマーインク層と非導電性基材との密着強度を確保できるめっき層を有する成形品を製造する方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の成形品の製造方法は、非導電性基材10Aの表面に樹脂材料とめっきに対する触媒粒子を含むプライマ層を形成する工程(a)と、工程(a)により形成されたプライマ層の表面にめっき層を形成する工程(b)と、を備える。本発明の製造方法は、工程(a)において、非導電性基材10Aに接する、触媒粒子CPを含まない第一プライマ前駆層を形成し、次いで、第一プライマ層に接する、触媒粒子CPを含む第二プライマ前駆層を形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、非導電性の基材の表面にめっき層が形成された成形品に関する。
樹脂材料や複合材などの非導電性の基材に、基材では得られない特性を付与するために、その表面に無電解による金属めっき層が形成される。基材では得られない特性としては、耐摩耗性、耐エロージョン性などの機械的な特性の他に、金属光沢による意匠性も含まれる。
なお、ここでいう複合材とは、母材中に機械的な強度を付与するための強化材料を含めたものをいい、代表的なものとして繊維強化プラスチック(FRP:Fiber-Reinforced Plastics)が知られている。この複合材も母材が樹脂であることから、本願において樹脂材料というときは、母材が樹脂材料からなる複合材を含むものとする。また、本願において、単にめっきというときは、金属めっきを意味するものとする。
非導電性基材は、めっき層との界面に金属結合を得ることができない。非導電性基材とめっき層との間の密着性を確保するためには、非導電性基材の表面に化学的または物理的に微細な凹凸を形成してアンカー効果を付与する必要があった。しかし、凹凸形成方法の一つであるエッチングは工程が煩雑である上、クロム酸等の環境負荷の高い薬品を使用しなければならないという問題があった。また、めっき不要箇所へのマスキング工程が必要である課題があった。
そこで、例えば特許文献1,2に開示されるように、めっき層が形成される非導電性基材の表面にプライマーインクと称されるめっき前処理材を塗工することが提案されている。このプライマーインクは、Pd粒子と分散剤との複合体、溶媒及びバインダ樹脂を含有し、プライマーインクからなる層を非導電性基材に形成した後に無電解めっきが施される。このプライマーインクを用いると、めっきの触媒粒子であるPd粒子と樹脂の複合体からなる塗膜にアンカー効果を生じさせ、エッチングと同等の効果を得ることができる。このプライマーインクを用いることにより、非導電性基材に対してエッチングを行うことなく、高いめっき密着性を得ることができる。
特許第5422812号公報 特許第6072330号公報
特許文献1などによるめっき層の形成は、非導電性基材の表面にプライマーインク層を設けた後に、プライマーインク層に無電解めっきを施す。非導電性基材とプライマーインク層の間の密着強度は、プライマーインクに含まれるバインダ樹脂と非導電性基材との化学結合による。
プライマーインク層は凹凸構造を有しているために、無電解めっき工程において、めっき液がプライマーインクの凹凸構造に浸透して、プライマーインク層中の触媒粒子によってめっき反応が起こり、アンカー効果によってめっき層がプライマーインク層に密着する。
めっき層とプライマーインク層の間のアンカー効果による密着強度を確保するには、めっきをプライマーインク層の凹凸構造に深く浸透させる必要がある。ところが、本発明者らの検討によると、プライマーインク層の厚さに対してめっきが浸透する深さが深くなると、非導電性基材とプライマーインク層の間の密着強度が低下することを確認した。
そこで本発明は、めっき層とプライマーインク層の間のアンカー効果による密着強度を確保しつつ、プライマーインク層と非導電性基材との密着強度を確保できるめっき層を有する成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、非導電性基材とプライマーインク層の間の密着強度が低下する原因を検討した。その結果、めっき層を構成する金属成分が、プライマーインク層を貫通して非導電性基材の表面に到達していること、この表面に達している金属成分、つまりめっきが非導電性基材とプライマーインク層との化学的な結合を阻害しているために、両者の密着強度が低下することを知見した。
そこでなされた本発明のめっき層が形成された成形品の製造方法は、非導電性基材に支持される、樹脂材料と樹脂材料に支持されるめっきに対する触媒粒子を含むプライマ層を非導電性基材の表面に形成する工程(a)と、工程(a)により形成されたプライマ層の表面に金属めっき層を形成する工程(b)と、を備える。
本発明の製造方法は、工程(a)において、非導電性基材に接する、触媒粒子を含まない第一プライマ前駆層を形成し、次いで、第一プライマ層に接する、触媒粒子を含む第二プライマ前駆層を形成する、ことを特徴とする。
本発明の製造方法は二つの形態を含んでいる。一つ目の形態は塗料組成物の塗布を二回に分けて行い、二つ目の形態は塗料組成物の塗布が一度で足りる。
一つ目の形態は、工程(a)において、未乾燥状態の第一塗料組成物を非導電性基材の表面に塗布して第一プライマ前駆層を形成し、次いで、触媒粒子を含む未乾燥状態の第二塗料組成物を、半乾燥状態の第一塗料組成物の上に塗布して第二プライマ前駆層を形成してから、第一塗料組成物と第二塗料組成物を乾燥させることで、触媒粒子を含まない第一プライマ層と触媒粒子を含む第二プライマ層を形成する。その後に、めっき層を形成する工程である工程(b)を行う。
一つ目の形態において、第一塗料組成物と第二塗料組成物の樹脂成分が同じ材質であることが好ましい。
二つ目の形態は、工程(a)において、未乾燥状態の塗料組成物を非導電性基材の表面に塗布して第一プライマ前駆層を形成し、次いで、未乾燥状態の塗料組成物の表層に、触媒粒子を供給して、第二プライマ前駆層を形成する。次いで、塗料組成物を乾燥させることで、触媒粒子を含まない第一プライマ層と触媒粒子を含む第二プライマ層を形成する。その後に、めっき層を形成する工程である工程(b)を行う、第二プライマ層の組成によっては、工程(b)の前にアルカリ処理を行ってもよい。
なお、非導電性基材の表面に塗布される段階で塗料組成物は触媒粒子を含まない。
二つ目の形態における工程(a)の第二プライマ前駆層の形成において、触媒粒子は、好ましくは、塗料組成物に対する溶媒とともにスプレーすることにより、塗料組成物の表層に供給される。
本発明の成形品の製造方法において、非導電性基材は、樹脂材料からなる場合には、非導電性基材と第一プライマ層が化学結合しており、かつ、第一プライマ層と第二プライマ層が化学結合している。
本発明の成形品によれば、第二プライマ層がめっきを生じさせる触媒粒子を含むのに対して、第一プライマ層は触媒粒子を含まない。これにより、第二プライマ層がめっき層との接合強度を担い、第一プライマ層が非導電性基材と第二プライマ層の間の接合強度を担う。特に、本発明における第一プライマ層は触媒粒子を含まないので、めっきを構成する金属成分が第一プライマ層を貫通して非導電性基材の表面に到達するのを防止することができる。これにより、第一プライマ層と第二プライマ層との接合強度を担保する。
本発明の第1実施形態に係る成形品の横断面の構成を模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態に係る成形品の製造工程を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る成形品の横断面の構成を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態に係る成形品の製造工程を示す図である。 図4に引き続き、本発明の第2実施形態に係る成形品の製造工程を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るめっき層が形成された樹脂成形品の製造方法について説明する。
以下説明する実施形態は、第1実施形態と第2実施形態の二つの形態を含んでいる。
第1実施形態は、第一プライマ層20Aを形成するための第一塗料組成物20aを塗布した後に、第一プライマ層20Aの上に第二プライマ層30Aを形成するための第二塗料組成物30aを塗布する。第1実施形態は、未乾燥状態の樹脂材料が個別に二回に分けて塗布される。
第2実施形態は、第一プライマ層20Aを形成するための第一塗料組成物20aを塗布した後に、めっきを生じさせる触媒粒子CPを第一塗料組成物20aの表層に供給する。この供給は、好ましくは、第一塗料組成物20aの乾燥がある程度進んだ段階で行うことで、触媒粒子CPが第一塗料組成物20aの上方に留まるように行われる。第2実施形態は、未乾燥状態の樹脂材料の塗布は一回で足りる。
以下、第1実施形態、第2実施形態の順に説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る樹脂成形品1Aは、図1に示すように、非導電性基材10Aと、非導電性基材10Aの表面に形成、支持される第一プライマ層20Aと、第一プライマ層20Aの表面に形成される第二プライマ層30Aと、第二プライマ層30Aの表面に形成されるめっき層40Aと、を備えている。
第一プライマ層20Aと第二プライマ層30Aは、いずれも樹脂材料から構成され、第二プライマ層30Aが触媒粒子CPを含むのに対して、第一プライマ層20Aは触媒粒子CPを含まない。そうすることにより、第二プライマ層30Aはめっき層40Aとの接合強度を確保し、第一プライマ層20Aは非導電性基材10Aと第二プライマ層30Aの両者との接合強度を確保する。
以下、非導電性基材10A〜めっき層40Aの各要素について順に説明する。
[非導電性基材10A]
非導電性基材10Aは、めっき層40Aを形成する対象物である。
非導電性基材10Aは、典型的には樹脂材料が適用される。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があるが、いずれも非導電性基材10Aに適用できる。また、樹脂中に炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を含有させた繊維強化樹脂も適用できる。
熱可塑性樹脂は、加熱すると軟化・流動して可塑性を示し、冷却すると固化する。
主要な熱可塑性樹脂は汎用プラスチックとも称され、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルおよびスチレン系樹脂(汎用ポリスチレン)、アクリロニトリル(Acrylonitrile)・ブタジエン(Butadiene)・スチレン(Styrene)共重合合成樹脂(ABS)が代表的な汎用プラスチックである。これらは非導電性基材10Aに適用できる熱可塑性樹脂の一例である。以下に具体例を示す樹脂も同様である。
また、汎用プラスチックよりも強度と耐熱性に優れるエンジニアリングプラスチック、さらにエンジニアリングプラスチックわりも耐熱性、その他の特性が優れるスーパーエンジニアリングプラスチックを非導電性基材10Aに適用できる。
次に、熱硬化性樹脂は架橋型の三次元高分子であり、化学結合により高分子鎖が網目状に繋がっている。加熱による流動は無いが、更に加熱すると硬化や分解が起こる。
代表的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂が挙げられ、いずれも非導電性基材10Aに適用できる。
非導電性基材10Aは、樹脂材料に限らず、ガラス、アルミナなどのセラミックス、木質繊維、ガラス繊維、石綿、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、レーヨン繊維、ポリオレフィン繊維等の不織布から構成してもよい。
非導電性基材10Aの形状は任意であり、矩形、多角形、楕円形などの単純な形状の他、例えばタービンブレードなどの複雑な形状についても適用できる。
[第一プライマ層20A]
次に、第一プライマ層20Aについて説明する。
第一プライマ層20Aは、非導電性基材10Aと第二プライマ層30Aの間に設けられ、めっきが非導電性基材10Aに到達するのを防止することを主目的に形成される。したがって、次に説明する第二プライマ層30Aとは異なり、めっきを実現するための触媒粒子CPを含まない。
第一プライマ層20Aは、触媒粒子CPを含まないことを除けば、好ましくは、第二プライマ層30Aの母相と同じ材質の樹脂材料から構成される。よって、第一プライマ層20Aを構成する樹脂材料の説明は、第二プライマ層30Aの説明に任せる。
第一プライマ層20Aは、樹脂材料から構成される非導電性基材10Aと化学的に結合されている。
[第二プライマ層30A]
次に、第二プライマ層30Aについて説明する。
第二プライマ層30Aは、樹脂からなる母相MXと母相MXに保持される触媒粒子CPからなる。第二プライマ層30Aの母相MXと第一プライマ層20Aは、化学的に結合されており、物理的な境界は存在しない。
母相MXは、具体的な樹脂としては、非導電性基材10Aの欄で説明した樹脂材料から選択されるが、好ましくは、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂から選択される。
触媒粒子CPは、貴金属、つまり金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)及びパラジウム(Pd)の一種又は二種以上が選択される。
触媒粒子CPは、特に限定されないが、0.1〜30nmの平均粒径を有するのが好ましく、0.5〜20nmの平均粒径を有するのがより好ましく、2〜10nmの平均粒径を有するのがさらに好ましい。
第二プライマ層30Aは、図示を省略するが、その表面にクレータ状の凹凸が形成され、この凹凸の上層に触媒粒子CPが比較的多く存在する。これにより、第二プライマ層30Aの上層と無電解めっき液との反応性に優れる。加えて、塗膜表面に凹凸が形成されているため、めっき層40Aと第二プライマ層30Aの間のアンカー効果に優れる。
特許文献1によれば、触媒粒子は分散剤との複合体として塗料組成物に含まれるこの複合体の内部の溶媒が乾燥することにより塗膜全体が形成され、その後に塗膜中に存在する複合体の内部の溶媒が乾燥することにより塗膜表面にクレータ状の凹凸が形成される。
第二プライマ層30Aは、触媒粒子と、溶媒及びバインダ樹脂を含有する塗料組成物(プライマーインク)を第一プライマ層20Aの表面に塗布した後に、溶媒を乾燥させることにより形成される。プライマーインクは、特許文献1に開示された仕様に従えばよい。また、プライマーインクは上市されているので、それを用いればよい。
[めっき層40A]
次に、めっき層40Aについて説明する。
めっき層40Aは、無電解めっきにより形成される。無電解めっきは、金属イオンと還元剤との化学反応によって金属イオンをめっき対象物上に金属として還元析出させる方法である。
本実施形態による第二プライマ層30Aは無電解めっきの反応性がよく、得られるめっき層40Aはむらがなく、密着性及び外観性に優れる。
めっき層40Aは、第二プライマ層30Aの上に形成されるが、めっき層40Aの一部は第二プライマ層30Aのクレータ状の凹凸構造に浸透している。つまり、めっき層40Aの一部は第二プライマ層30Aの内部に存在しており、第二プライマ層30Aとめっき層40Aの間に直線的な境界が存在するわけではない。
めっき層40Aを構成する金属の種類は任意であり、樹脂成形品1Aが適用される具体的な製品に対応して定めることができる。例えば、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いることができるし、これらのいずれかの元素と他の元素との合金を用いることができる。
めっき層40Aを得る方法及び条件は、常法に従うことができる。第二プライマ層30Aは無電解めっきの反応性が優れるので、めっき液の還元剤濃度やアルカリ成分濃度を抑えることができる。そのため、めっき液の寿命が長持ちするだけでなく、塗料のパターン通りにめっきが選択的に析出される。
[樹脂成形品1Aの製造工程]
次に、樹脂成形品1Aを製造する工程を、図2を参照して説明する。
<第一プライマ層20Aの形成>
はじめに、図2(a)に示すように、非導電性基材10Aに第一プライマ層20Aを形成するための第一塗料組成物20aを塗布する。この塗料組成物は、第一プライマ層20Aを構成する樹脂と溶媒を含んでおり、本発明における第一プライマ前駆層に該当する。
非導電性基材10Aに第一塗料組成物20aを塗布する方法は任意であるが、例えばグラビア印刷機(グラビアオフセット)、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機、ディッピング、スプレー、スピンコーター、ロールコーター、リバースコーター、スクリーン印刷機を用いて、印刷またはコーティングすることができる。また、人手によって塗布することができる。
第一塗料組成物20aは、第二プライマ層30Aのための第二塗料組成物30aを塗布する前に半乾燥される。ここで、第一塗料組成物20aに含まれる溶媒が抜け去った状態を乾燥するというとすると、半乾燥とは溶媒の一部が未だ第一塗料組成物20aに含まれる状態をいう。特に、溶媒が50%以下になったときに、第二塗料組成物30aを塗布することが好ましい。
<第二プライマ層30Aの形成>
次に、図2(b)に示すように、第二プライマ層30Aを形成するための第二塗料組成物30aを、第一塗料組成物20aの上に塗布する。このとき、第一塗料組成物20aの溶媒のほとんどは乾燥されておらず残っている。また、塗布された第二塗料組成物30aは、本発明における第一プライマ前駆層に該当する。
第二塗料組成物30aを塗布した後に、図2(c)に示すように、溶媒の乾燥処理を行う。この処理によって、無電解めっきを行う際に不必要な溶媒を除去するとともに、第一プライマ層20Aと非導電性基材10Aの間、第一プライマ層20Aと第二プライマ層30Aの間の密着性を向上させることができる。また、この乾燥処理により、第一プライマ層20Aと第二プライマ層30Aの強度を向上できる。
乾燥処理は、好ましくは60〜400℃程度の温度で行われる。さらに好ましくは80〜150℃である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常0.1〜60分程度である。さらに好ましくは10〜30分程度である。
乾燥後における第一プライマ層20A、第二プライマ層30Aのそれぞれの厚さは、通常0.05〜3μm程度であることが好ましい。乾燥後における厚さがこの範囲内であれば、非導電性基材10Aとの密着性およびめっき層40Aとの密着性が優れる。ただし、第一プライマ層20Aよりも第二プライマ層30Aの方が厚いのが好ましく、さらに好ましくは第一プライマ層20Aと第二プライマ層30Aの厚さが1:5以上であることが好ましい。
乾燥処理の後に、硬化処理を行う。
硬化処理により、第一プライマ層20Aおよび第二プライマ層30Aに含まれるバインダ樹脂が硬化される。また、非導電性基材10Aが樹脂材料の場合には、非導電性基材10Aの表面に存在する水酸基やカルボキシル器等の官能基とバインダ樹脂を化学的に結合させる。
硬化処理の温度は第一プライマ層20A、第二プライマ層30Aに含まれるバインダの種類に合わせて調整することができる。硬化処理の温度は40〜400℃程度が好ましい。ただし、非導電性基材10Aとして樹脂材料を用いる場合には、樹脂材料の軟化温度を考慮し、硬化処理の温度を40〜200℃程度に設定することが好ましい。
硬化処理のタイミングはめっき層40Aの形成前に限らず、めっき層40Aの形成後に行ってもよい。バインダ樹脂を完全に硬化させてしまうと、後のめっき層40Aの形成時にめっき液が第二プライマ層30Aに浸透しにくくなることがあるからである。
<めっき層40Aの形成>
次に、図2(d)に示すように、めっき層40Aを第二プライマ層30Aの上に無電解めっきにより形成する。無電解めっきによるめっき層40Aは、第二プライマ層30Aが形成された領域だけに形成される。
[効 果]
次に、第1実施形態に係る樹脂成形品1Aが奏する効果について説明する。
樹脂成形品1Aは、触媒粒子CPを含まない第一プライマ層20Aが、めっきが非導電性基材10Aに到達するのが防止される。これにより、樹脂成形品1Aによれば、第二プライマ層30Aに対するめっき層40Aの浸透を深くしても、めっき金属が非導電性基材10Aと第一プライマ層20Aの接合強度を低下させることがない。したがって、第一プライマ層20Aおよび第二プライマ層30Aを介して、めっき層40Aを強固に非導電性基材10Aに接合できる。
第一プライマ層20Aを設けることなく、触媒粒子CPを含む第二プライマ層30Aを非導電性基材10Aの表面に直に形成しても、第二プライマ層30Aの膜厚を厚くすれば、めっきが非導電性基材10Aまで到達するのをふせぐことができる。ところが、この手法は、めっきに寄与しない極めて高価な触媒粒子CPを無駄に使用することになる。
以上に対して、樹脂成形品1Aは、めっきの非導電性基材10Aへの到達を防止する第一プライマ層20Aが触媒粒子CPを含まないので、低価格な樹脂成形品1Aにおいて、第一プライマ層20Aおよび第二プライマ層30Aを介して、めっき層40Aを強固に非導電性基材10Aに接合できる。
[第2実施形態]
次に、本発明による第2実施形態に係る樹脂成形品1Bを説明する。
図3に示すように、樹脂成形品1Bは、樹脂成形品1Aと同様に、第一プライマ層20B、第二プライマ層30Bおよびめっき層40Bがこの順で非導電性基材10Bの上に積層されている。ただし、樹脂成形品1Bは、第一プライマ層20Bと第二プライマ層30Bを構成する樹脂部分が、未乾燥状態の樹脂材料を一度だけ塗布することで作製される。以下、図4及び図5を参照しながら樹脂成形品1Bを製造する工程を説明する。
<塗料組成物の塗布/半乾燥>
はじめに、図4(a)に示すように、非導電性基材10Bの表面に未乾燥状態の塗料組成物20bを塗布する。この塗料組成物20bは、第1実施形態において第一プライマ層20Aを形成するために用いた第一塗料組成物20aと同様に、触媒粒子CPを含まない。また、この塗料組成物20bは、本発明における第一プライマ前駆層に該当するが、触媒粒子CPが供給され塗料組成物20bの表層に分散されると、当該領域が本発明における第二プライマ前駆層に置き換わる。
塗料組成物20bを塗布した後に、図4(b)に示すように、乾燥する。ただし、ここでは全ての溶媒を取り除いて乾燥を完了させるのではなく、いくらかの溶媒を残すいわば半乾燥に留める。
<触媒粒子CPの供給>
次に、図4(c)に示すように、触媒粒子CPを半乾燥の塗料組成物20bの表面にスプレー塗布により供給する。より具体的には、塗料組成物20bに含まれているのと同じ溶媒と触媒粒子CPからなるスプレー組成物SPをノズルNから吐出して塗料組成物20bに塗布する。
塗布されたスプレー組成物SPは、半乾燥の塗料組成物20bの表層の部分と混合される。その結果、図5(a)に示すように、触媒粒子CPは塗料組成物20bの表層の部分に分散して存在するが、そこよりも非導電性基材10Bに近い側には存在しない。しかも、スプレー組成物がスプレー塗布された結果として、塗料組成物20bの表層には凹凸が形成される。
<塗料組成物20bの乾燥>
次に、塗料組成物20bを乾燥して含まれていた溶媒を取り除く。そうすると、図5(a)に示すように、触媒粒子CPを含まない第一プライマ層20Bと触媒粒子CPを含む第二プライマ層30Bが形成される。なお、第1実施形態と同様に、第一プライマ層20Bと第二プライマ層30Bの境界は存在しない。
<めっき層40Bの形成>
以後は、第1実施形態と同様にして、めっき層40Bを形成することで、図5(b)に示される樹脂成形品1Bが得られる。
[効 果]
第2実施形態に係る樹脂成形品1Bは、第1実施形態に係る樹脂成形品1Aと同じ効果を奏するのに加えて、以下の効果を奏する。
第2実施形態は、触媒粒子CPを塗料組成物20bの表層に存在させることができる。これは、めっきの触媒として必要な表層領域だけに選択的に触媒粒子CPを供給できることを意味しており、換言すれば、触媒に寄与しないであろう触媒粒子CPをむだに消費するのを避けることができる。これにより、第2実施形態は触媒粒子CPの使用量の削減を通じてコストを低減できる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、第1実施形態において、第一プライマ層20Aと第二プライマ層30Aを同じ樹脂材料から構成する例を説明したが、第一プライマ層20Aと第二プライマ層30Aの接合強度が得られるのであれば、異なる樹脂材料を用いることができる。
また、第2実施形態において、触媒粒子CPをスプレー塗布する際に、塗料組成物20bに含まれているのと同じ溶媒と触媒粒子CPからなるスプレー組成物SPを用いる例を説明したが、塗布、乾燥が適切にできる限り、溶媒の種類を問われない。
また、第2実施形態において、触媒粒子CPを塗料組成物20bの表層に供給するのにスプレー塗布の例を説明したが、適切に供給できる限り触媒粒子CPの供給手法は限定されない。
1A,1B 樹脂成形品
20A,20B 第一プライマ層
30A,30B 第二プライマ層
20a 第一塗料組成物
20b 塗料組成物
30a 第二塗料組成物
40A,40B めっき層
CP 触媒粒子
MX 母相

Claims (6)

  1. 非導電性基材に支持される、樹脂材料と樹脂材料に支持されるめっきに対する触媒粒子を含むプライマ層を形成する工程(a)と、
    工程(a)により形成された前記プライマ層の表面にめっき層を形成する工程(b)と、を備え、
    工程(a)において、
    前記非導電性基材に接する、前記触媒粒子を含まない第一プライマ前駆層を形成し、次いで、
    前記第一プライマ前駆層に接する、前記触媒粒子を含む第二プライマ前駆層を形成する、
    ことを特徴とする成形品の製造方法。
  2. 前記工程(a)において、
    未乾燥状態の第一塗料組成物を前記非導電性基材の表面に塗布して前記第一プライマ前駆層を形成し、
    次いで、前記触媒粒子を含む未乾燥状態の第二塗料組成物を、半乾燥状態の前記第一塗料組成物の上に塗布して前記第二プライマ前駆層を形成し、
    前記第一塗料組成物と前記第二塗料組成物を乾燥させることで、前記触媒粒子を含まない第一プライマ層と前記触媒粒子を含む第二プライマ層を形成し、その後に工程(b)を行う、
    請求項1に記載の成形品の製造方法。
  3. 前記第一塗料組成物と前記第二塗料組成物の樹脂成分が同じ材質である、
    請求項2に記載の成形品の製造方法。
  4. 前記工程(a)において、
    未乾燥状態の塗料組成物を前記非導電性基材の表面に塗布して前記第一プライマ前駆層を形成し、
    未乾燥状態の前記塗料組成物の表層に前記触媒粒子を供給して、前記第二プライマ前駆層を形成し、
    前記塗料組成物を乾燥させることで、前記触媒粒子を含まない第一プライマ層と前記触媒粒子を含む第二プライマ層を形成し、その後に前記工程(b)を行う、
    請求項1に記載の成形品の製造方法。
  5. 前記工程(a)の前記第二プライマ前駆層の形成において、
    前記触媒粒子は、前記塗料組成物に含まれる溶媒とともにスプレーすることにより、前記塗料組成物の表層に供給される、
    請求項4に記載の成形品の製造方法。
  6. 前記非導電性基材は、樹脂材料からなり、
    前記非導電性基材と前記第一プライマ層が化学結合しており、かつ、
    前記第一プライマ層と前記第二プライマ層が化学結合している、
    請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の成形品の製造方法。
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