JP2019157053A - 焼却灰からの重金属類の溶出防止剤およびそれを用いた溶出防止方法 - Google Patents

焼却灰からの重金属類の溶出防止剤およびそれを用いた溶出防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼却灰に含まれる鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる金属とを含む重金属類の溶出量を埋立処分判定基準値未満に低減できる経済的かつ効率的な処理技術を提供する。【解決手段】カルシウムアルミネート100質量部、硫酸アルミニウム5〜100質量部、硫酸第一鉄20〜200質量部、及びアルカリ金属リン酸塩0.5〜10質量部を含有することを特徴とする焼却灰からの鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる金属とを含む重金属類の溶出防止剤。【選択図】なし

Description

本発明は、各産業より発生する焼却灰からの重金属類の溶出を効果的に防止できる溶出防止剤およびそれを用いた溶出防止方法に関する。
都市ごみや産業廃棄物は各種の焼却炉で燃焼され、ばいじんや飛灰等の焼却灰として減容化し、そのほとんどが管理型最終処分場で埋立処分されている。その際、産業廃棄物として埋立処分する場合には、産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法(環境庁告示第13号)に準拠して溶出試験を行い、重金属類等の溶出量が埋立処分判定基準値を満足しなければならない。
都市ごみや産業廃棄物の焼却灰からは、鉛やカドミウムをはじめとした重金属類が溶出する恐れがあり、近年、カドミウムについては環境保全の観点から基準値が0.3mg/Lから0.09mg/Lに強化された。一般に焼却灰からの重金属類の溶出防止対策にはセメントやキレート剤による薬剤処理が行われている。しかしながら、セメントによる固化処理を行うことによって焼却灰が高アルカリ性となり、鉛の溶出量が増加するケースがある。またキレート剤はジチオカルバミン酸系やピペラジン系等の有機系のキレート剤が主に用いられるが、有機系であることから埋立処分後の安定性に問題がある。このため、埋立後も重金属類が再溶出することなく、安定的に処理されることが望まれている。具体的には表1に示すように焼却灰からの重金属類(鉛、カドミウム、砒素、セレン、6価クロム、総水銀)の溶出量を埋立処分判定基準値以下にする必要がある。
Figure 2019157053
前記6種の重金属類のうち、鉛は両性元素といわれており、pHが酸性あるいはアルカリ性の領域で溶出量が増加する傾向があり、カドミウム等、その他の重金属類とは異なる溶出挙動を示すことが知られている。一般に清掃工場等の焼却場では、都市ごみ等の焼却によって発生する酸性ガス(塩化水素や硫黄酸化物)の排出対策のため、集塵装置内に消石灰等の石灰系薬剤が噴霧される。このため、焼却灰のpHはアルカリ性となり、鉛が溶出しやすくなる。一方、産業廃棄物の種類や焼却炉によっては、消石灰を噴霧しない場合もあり、その焼却灰のpHは弱酸性から中性領域(pH5〜8程度)を示すこともある。このように焼却灰のpHが一定ではなく、広範囲(pH5〜12)となる場合もあり、特に、鉛と共にカドミウムや、砒素、セレン、6価クロム、水銀という溶出挙動が異なる重金属類が焼却灰に含まれる場合は、それら複数の重金属類の溶出を同時に抑制することは極めて困難であった。
このような状況において、各種焼却灰や有害廃棄物における重金属類の様々な溶出抑制方法が提案されている。すなわち、都市ごみや産業廃棄物等の焼却プラントから排出される焼却灰中に含有される鉛、水銀、クロム、カドミウム、亜鉛、銅等の重金属類をキレート剤であるピペラジンカルボジチオ酸又はその塩で固定化する技術(特許文献1)、アロフェン含有火山灰を原料とし、乾燥・粒度調整・鉛吸着特性確認試験を実施することで、焼却灰中の鉛を不溶化する技術(特許文献2)、汚染土壌や焼却灰にチオ硫酸化合物を添加するとともに焼却灰を加熱することで、焼却灰などに含まれる砒素やセレンなどの重金属類を不溶化する装置に関する技術(特許文献3)、下水汚泥焼却灰にポルトランドセメントのような固化材および水を添加混合し、転動造粒法又は圧縮造粒法により造粒した後、該造粒物の表面にアスファルト・水エマルジョンを用いてアスファルト皮膜を形成させることで、砒素などの重金属類の溶出を物理的に抑制する技術(特許文献4)、鉄粉、酸化カルシウム、酸化アルミニウムを必須成分として含む有害元素の溶出抑制剤を用いることで、フライアッシュからのふっ素、ほう素および砒素やセレンなどの重金属類の溶出を抑制する技術(特許文献5)が報告されている。
特開1996−224560号公報 特開2016−077940号公報 特開2006−000746号公報 特開1995−060222号公報 特開2005−279413号公報
しかしながら、これら従来の重金属類の溶出防止技術は、キレート剤が有機物であるため長期安定性に問題があり再溶出が起こる可能性がある、高価な成分を使用する、溶出防止剤製造工程の煩雑化や加熱装置など大がかりな装置を使用する、さらに一部の有害物質だけの溶出抑制ができる手段にすぎず、前記鉛と他の金属とを含む複数の重金属類の溶出を同時に抑制できるものではない等の課題があった。
従って本発明の課題は、各産業より発生する焼却灰に含まれる鉛と、カドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上とを含む重金属類の溶出量を埋立処分判定基準値未満に低減できる経済的かつ効率的な処理技術を提供することである。
そこで本発明者は、検討を重ねた結果、重金属類として、鉛と、カドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上とを含む焼却灰を処理するに際し、カルシウムアルミネート、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄及びアルカリ金属リン酸塩を組み合わせた組成物、またさらに消石灰を組み合わせて使用することで、焼却灰のpHが弱酸性からアルカリ性を示す広範囲であっても前記2種以上の重金属類の溶出量を同時に埋立処分判定基準値未満に低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、次の[1]〜[5]を提供するものである。
〔1〕カルシウムアルミネート100質量部、硫酸アルミニウム5〜100質量部、硫酸第一鉄20〜200質量部、及びアルカリ金属リン酸塩0.5〜10質量部を含有することを特徴とする焼却灰からの鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上の金属とを含む重金属類の溶出防止剤。
〔2〕さらに、消石灰を100〜1200質量部を含有するものである〔1〕記載の溶出防止剤。
〔3〕カルシウムアルミネートが、CaOとAl23が等モル比の結晶質カルシウムアルミネートと、CaOとAl23の含有モル比がCaO/Al23=1.6〜2.6の非晶質カルシウムアルミネートとを含むものである〔1〕又は〔2〕記載の溶出防止剤。
〔4〕焼却灰100質量部に対して、〔1〕〜〔3〕のいずれかの溶出防止剤を0.5〜10質量部添加する焼却灰からの鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上の金属とを含む重金属類の溶出防止方法。
〔5〕対象焼却灰が、鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上とを含む重金属類の溶出量が埋立処分判定基準を超える焼却灰である〔4〕記載の溶出防止方法。
本発明の溶出防止剤で処理した焼却灰は、経済的かつ効率的な処方で焼却灰に含まれる、鉛と、カドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる金属を含む複数の重金属類の溶出量を埋立処分判定基準値未満に低減されるため、本発明は最終処分場の円滑な管理運営に極めて有用な技術である。
本発明の溶出防止剤に用いるカルシウムアルミネートは、基本的にはCaO原料とAl23原料を熱処理することにより得られる物質である。カルシウムアルミネートは化学成分としてCaOとAl23からなる結晶質やガラス化が進んだ構造の水和活性物質であれば良く、CaOとAl23に加えて他の化学成分が加わった化合物、固溶体、ガラス質物質又はこれらの混合物等でもよい。前者(結晶質)としては例えば12CaO・7Al23、CaO・Al23、3CaO・Al23、CaO・2Al23、11CaO・7Al23・CaF2、Na2O・8CaO・3Al23等が挙げられ、後者(ガラス質)としては、例えば、12CaO・7Al23、CaO・Al23等が挙げられる。
さらに、本発明で用いるカルシウムアルミネートとしては、CaOとAl23が等モル比の結晶質カルシウムアルミネートと、CaOとAl23の含有モル比がCaO/Al23=1.7の非晶質カルシウムアルミネートとを含むものが好ましい。
CaOとAl23が等モル比の結晶質カルシウムアルミネートは、前記のようなCaO源とAl23源をそれぞれCaO換算及びAl23換算して等モル比となるよう混合したものを、例えば1600℃で加熱し、これを徐冷すれば得られる。また、徐冷は加熱装置内での自然放冷が一般的に採用できるが、加熱装置の構造上急激な温度低下が起こる場合は、概ね10℃/分以下の降温速度になるよう加熱調整するのが好ましい。CaO源は特に限定されないが、例えば石灰石粉、消石灰や生石灰粉を好適に挙げることができ、Al23源は例えばボーキサイト粉、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、アルミ残灰、アルミナ粉末等を好適に挙げることができる。該結晶質カルシウムアルミネートのブレーン比表面積は、3000〜10000cm2/gが好ましく、これと共に使用する非結晶質カルシウムアルミネートのブレーン比表面積と概ね同じものとするのが好ましい。
CaOとAl23の含有モル比がCaO/Al23=1.7の非晶質カルシウムアルミネートは、CaO源とAl23源をそれぞれCaO換算及びAl23換算して当該モル比の範囲に混合したものを、例えば1400〜1900℃で加熱溶融し、これを急冷することによって得られる。急冷は、例えば溶融物の該加熱温度からの炉外取り出し、水中急冷、冷却ガスの吹き付け等の公知の急冷手法で行うことができる。また前記非晶質カルシウムアルミネートは、粉砕・分級・篩い分け等を適宜行うことによって粒度を調整し、ブレーン比表面積で3000〜10000cm2/gにしたものを用いるのが好ましい。なお、CaO源及びAl23源は、前記結晶質カルシウムアルミネートの場合と同じものが使用できる。
本発明で用いるカルシウムアルミネートは、前記のCaOとAl23が等モル比の結晶質カルシウムアルミネートと、前記のCaOとAl23の含有モル比がCaO/Al23=1.7の非晶質カルシウムアルミネートを任意の割合で配合し混合物として用いても、前記複数の重金属類を含む焼却灰に対する溶出防止効果を良好に発揮することができる。
本発明に用いる硫酸アルミニウムは、化学成分としてAl2(SO43・nH2Oで表される水和物、あるいはAl2(SO43で表される無水塩の何れでも良い。好ましくは、前記複数の重金属類の溶出防止効果に優れていることからnが14〜18の水和物が良い。
本発明の溶出防止剤中の硫酸アルミニウムの含有量は、前記複数の重金属類の溶出防止効果の観点から、カルシウムアルミネート100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましく、5〜50質量部であることがさらに好ましい。
本発明においては、還元成分として取扱いが容易で、比較的安価であることから硫酸第一鉄が好適に使用できる。硫酸第一鉄としては、結晶水を7つ有する硫酸第一鉄七水和物と結晶水を1つ有する硫酸第一鉄一水和物があるが、保存安定性が高い硫酸第一鉄一水和物を用いるのがより好ましい。
本発明の溶出防止剤中の硫酸第一鉄の含有量は、前記複数の重金属類の溶出防止効果の観点から、カルシウムアルミネート100質量部に対して20〜200質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましく、50〜150質量部であることがさらに好ましい。
本発明に用いるアルカリ金属リン酸塩としては、リン酸ナトリウムやリン酸カリウムなどの易溶性の塩が挙げられる。本発明では、アルカリ金属リン酸塩を配合することにより、前記複数の重金属類の良好な溶出防止効果が得られる。アルカリ金属リン酸塩としては下記式(1)〜(3)で表されるリン酸カリウムが好ましく、溶出抑制効果に優れていることから下記式(2)で表されるリン酸二水素カリウムがより好ましい。
2HPO4 (1)
KH2PO4 (2)
3PO4 (3)
本発明の溶出防止剤中のアルカリ金属リン酸塩の含有量は、前記複数の重金属類の溶出防止効果の観点から、カルシウムアルミネート100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることがさらに好ましい。
本発明においては、さらに消石灰を組み合わせて使用すると、弱酸性の焼却灰を対象とした場合でも鉛やカドミウム等の重金属類の溶出量を十分に低減できる。
本発明に用いる消石灰は、化学式Ca(OH)2で表されるカルシウムの水酸化物を主成分とするものであれば好適に使用できる。溶出防止効果を良好に発揮させるためには、ふるい径600μmを全通する消石灰が特に好ましい。
本発明の溶出防止剤中の消石灰の含有量は、弱酸性の焼却灰を対象とした場合の前記複数の重金属類の溶出防止効果の観点から、カルシウムアルミネート100質量部に対して100〜1200質量部であることが好ましく、200〜1200質量部であることがより好ましく、200〜1000質量部であることがさらに好ましい。
また、本発明の溶出防止剤には、溶出防止効果を損なわない限り、還元剤、セメント等の固化材、高炉スラグやタンカル粉末等の増量材などを配合しても良い。
本発明の溶出防止剤が対象とする焼却灰は、鉛と、カドミウム、砒素、6価クロム、セレン及び総水銀から選ばれる1種以上の金属とを含む焼却灰であり、これら複数の重金属類の溶出量が埋立処分判定基準を超える焼却灰であるのがより好ましい。このような複数の重金属類を含む焼却灰としては、都市ごみ焼却灰、産業廃棄物焼却灰、下水汚泥焼却灰、バイオマスボイラー焼却灰、災害廃棄物焼却灰等の焼却灰類などが挙げられる。都市ごみ焼却灰は、一般家庭などから排出された都市ごみなどを減量化・安定化させるために焼却処理がなされたものである。産業廃棄物焼却灰は、自動車シュレッダーダスト(ASR)や建設系廃棄物等を燃焼焼却あるいは溶融処理した際に発生する焼却灰である。下水汚泥焼却灰は、下水汚泥を脱水し、さらに減量化・安定化させるために焼却処理がなされたものである。バイオマスボイラー焼却灰は、間伐材や剪定枝等の木質チップやペレット、もみ殻、コーヒーかすペレット等を燃料として燃焼した際に発生する焼却灰である。災害廃棄物焼却灰は、東日本大震災や熊本地震等の大規模自然災害で発生した可燃性災害廃棄物を焼却・減容化する際に発生した焼却灰である。
前記複数の重金属類を含む焼却灰、特に前記複数の重金属類が埋立処分判定基準を超える焼却灰を本発明の溶出防止剤で処理するには、焼却灰に溶出防止剤を添加し、水を加えて混合すればよい。焼却灰に対する溶出防止剤の添加量は、重金属類の含有量によるが、焼却灰100質量部に対して0.5〜10質量部とするのが好ましく、経済性、均一混合性および溶出防止性能の面から、0.5〜8質量部とするのがより好ましく、1〜5質量部とするのがさらに好ましい。ここで添加する水の量は、特に規定はなく、溶出防止剤を添加した焼却灰が水と均一に混合され、粒状化あるいは団粒化する程度であればよい。
本発明の溶出防止剤と焼却灰と水との混合方法は特に制限されず、パン型ミキサーや強制二軸ミキサーなどの一般的なミキサーを用いて本発明の溶出防止剤と焼却灰と水を混合して、重金属類の溶出防止処理を行うことができる。
このように溶出防止処理された焼却灰は、前記複数の重金属類の溶出性が前記埋立処分判定基準未満に防止されているので、そのまま埋立処分することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
(溶出防止剤)
CaO源に石灰石(CaO含有量;56質量%)、Al23源にバン土頁岩(Al23含有量;88質量%)のそれぞれ粗砕粒(粒径約1mm以下)を用い、以下のA1、A2で表すカルシウムアルミネートの粉末を作製した。その作製方法は、CaO源とAl23源を所定のモル比に配合したものを、電気炉で1800℃(±50℃)に加熱し、60分間保持した後、加熱を停止して炉内で自然放冷して得た(A1)。同様に1800℃(±50℃)に加熱し、60分間保持した後、温度1800℃の電気炉から加熱物を常温下に取り出し、取り出し後は直ちに加熱物表面に流量約100cc/秒で窒素ガスを吹き付けて急冷して得た(A2)。得られた冷却物はボールミルで粉砕し、ブレーン比表面積が5000±500cm2/gとなるよう粉砕時間を変えて粉末度を調整した。
A1;CaO/Al23=モル比1.0の結晶質カルシウムアルミネート
A2;CaO/Al23=モル比1.7の非晶質カルシウムアルミネート
A1〜A2のカルシウムアルミネートと次に示すB〜Eから選定される材料を用い、表2に示す配合割合でヘンシェル型ミキサーを用いて3分間乾式混合し、溶出防止剤を作製した。また比較として普通ポルトランドセメントを使用した。
B;硫酸アルミニウム14−18水和物:関東化学社製 粉末試薬
C;硫酸第一鉄1水和物:富士チタン工業社製
D;リン酸二水素カリウム:関東化学社製 粉末試薬
E;消石灰:関東化学社製 粉末試薬
F;普通ポルトランドセメント:太平洋セメント社製

Figure 2019157053
(焼却灰)
重金属類を含む焼却灰として焼却灰1(清掃工場A)、焼却灰2(清掃工場B)、焼却灰3(産業廃棄物焼却処理場)の3種類を使用した。これら焼却灰について、鉛、カドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀の溶出量、同法による溶出試験の検液のpHを測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2019157053
(溶出量の測定)
表3に示す焼却灰に表2の溶出防止剤と水を表5に示す配合割合で加え、モルタルミキサーで3分間混合して砂粒状となるように混合物を調整した。該混合物を20℃の温度で7日間密封養生した後に、環境庁告示第13号に準じた方法で鉛、カドミウム、砒素、セレン、6価クロム、総水銀の溶出量を測定した。溶出量の測定結果を表5に示す。
(環境庁告示第13号に準じた溶出量測定方法)
(1)7日間密封養生後した試料を解砕し、ふるい0.5〜5mm通過分を採取混合した。
(2)容積1000mLのポリ容器に試料50gを計りとり、溶媒(純水)500gを加え、振とう機(振とう回数200回/分)で6時間振とうした。
(3)振とう後、遠心分離を行い、試料液の上澄みを孔径1.0μmのメンブレンフィルターでろ過して検液とした。
(4)採取した検液の成分およびpHを表4に示す方法で測定した。
Figure 2019157053
Figure 2019157053
表5の結果より、本発明の溶出防止剤を混合した焼却灰は、いずれも鉛、カドミウム、砒素、セレン、6価クロム、総水銀の溶出量が埋立処分判定基準(環境庁告示第13号)の規定値以下に抑制されており、アルカリ性領域(pH9〜11)においても鉛の溶出防止効果が良好に発揮されていることが分かる。またカルシウムアルミネートとして、CaOとAl23が等モル比の結晶質カルシウムアルミネートと、CaOとAl23の含有モル比がCaO/Al23=1.7の非晶質カルシウムアルミネートをそれぞれ単独で配合したもの、あるいは任意に混合して配合した溶出防止剤(No.2〜4、No.14)でも、前記6種の重金属類に対する溶出抑制効果が高いことが判明した。これに対し、本発明以外の溶出防止剤を用いた場合は、前記6種の重金属類のいずれかの溶出量が埋立処分判定基準値を超過しており、溶出防止効果は不十分であった。

Claims (5)

  1. カルシウムアルミネート100質量部、硫酸アルミニウム5〜100質量部、硫酸第一鉄20〜200質量部、及びアルカリ金属リン酸塩0.5〜10質量部を含有することを特徴とする焼却灰からの鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上の金属とを含む重金属類の溶出防止剤。
  2. さらに、消石灰を100〜1200質量部を含有するものである請求項1記載の溶出防止剤。
  3. カルシウムアルミネートが、CaOとAl23が等モル比の結晶質カルシウムアルミネートと、CaOとAl23の含有モル比がCaO/Al23=1.6〜2.6の非晶質カルシウムアルミネートとを含むものである請求項1又は2記載の溶出防止剤。
  4. 焼却灰100質量部に対して、請求項1〜3のいずれかの溶出防止剤を0.5〜10質量部添加する焼却灰からの鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上の金属とを含む重金属類の溶出防止方法。
  5. 対象焼却灰が、鉛とカドミウム、砒素、セレン、6価クロム及び総水銀から選ばれる1種以上とを含む重金属類の溶出量が埋立処分判定基準を超える焼却灰である請求項4記載の溶出防止方法。
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