以下、添付図面を参照して、本発明に係るレーザ加工用ノズル及びレーザ加工装置の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態のレーザ加工装置を表す概略構成図である。
第1実施形態において、図1に示すように、レーザ加工装置10は、被切断部材(被加工部材)Aを切断するものであって、レーザ加工用ノズル11と、レーザ光照射装置12と、アシストガス供給装置13,14とを備えている。
レーザ加工用ノズル11は、レーザ加工ヘッド(図示略)に装着されるものであり、ノズル本体20と、ノズル本体20の中心位置にレーザ光LとアシストガスG1が通る第1ノズル21と、ノズル本体20の中心位置から径方向にずれた位置にアシストガスG2が通る第2ノズル22が設けられている。
レーザ光照射装置12は、レーザ加工用ノズル11の第1ノズル21にレーザ光(レーザビーム)Lを照射可能である。第1アシストガス供給装置13は、レーザ加工用ノズル11の第1ノズル21にアシストガスG1を供給可能である。第2アシストガス供給装置14は、レーザ加工用ノズル11の第2ノズル22にアシストガスG2を供給可能である。なお、第1アシストガス供給装置13と第2アシストガス供給装置14を一つのアシストガス供給装置とし、兼用してもよい。
そのため、図示しない移動装置によりレーザ加工用ノズル11を矢印T方向に移動する。このとき、レーザ光照射装置12は、レーザ加工用ノズル11の第1ノズル21を通して被切断部材Aの表面A1に向けてレーザ光Lを照射する。また、第1アシストガス供給装置13は、レーザ加工用ノズル11の第1ノズル21を通して被切断部材Aの表面A1におけるレーザ光Lの照射位置の周囲にアシストガスG1を噴出する。また、第2アシストガス供給装置14は、レーザ加工用ノズル11の第2ノズル22を通して被切断部材Aの表面A1におけるレーザ光Lの照射位置の隣接位置にアシストガスG2を噴出する。
すると、被切断部材Aは、レーザ光Lにより表面A1から溶融され、第1ノズル21から噴出されるアシストガスG1によりレーザ光Lの照射位置の周囲にある溶融部材が吹き飛ばされて排出されることで、第1ノズル21の先端部の閉塞が防止される。また、被切断部材Aは、第2ノズル22から噴出されるアシストガスG2によりレーザ光Lの照射位置よりレーザ加工用ノズル11の移動方向の下流側にある溶融部材が吹き飛ばされて排出される。
図2は、第1実施形態のレーザ加工用ノズルを表す斜視図、図3は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図2のIII−III断面図、図4は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図2のIV−IV断面図、図5は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図2のV−V断面図である。
図2から図5に示すように、レーザ加工用ノズル11は、ノズル本体20と、第1ノズル21と、第2ノズル22とを有している。ノズル本体20は、円柱形状をなし、内部に軸方向Zに沿って第1ノズル21と第2ノズル22が設けられている。ノズル本体20は、軸方向Zにおける前端部20aに第1ノズル21と第2ノズル22の先端部が開口し、軸方向Zなおける後端部20bに第1ノズル21と第2ノズル22の後端部が開口し、レーザ加工ヘッド(図示略)に固定される。
第1ノズル21と第2ノズル22は、ノズル本体20の軸方向Zに沿ってほぼ平行をなすように配置されている。そして、第1ノズル21と第2ノズル22は、ノズル本体20の第1径方向Xに沿って配置される。このとき、第1ノズル21は、ノズル本体20の中心O1に位置し、第2ノズル22は、ノズル本体20の中心O1から第1径方向Xの一方側にずれた中心O2に位置する。なお、レーザ加工用ノズル11は、レーザ加工ヘッド(図示略)に固定されたとき、第2ノズル22が移動方向(切断方向)における下流側だけに位置するように配置されるものであり、その他の位置には配置されていない。
第1ノズル21は、ノズル本体20の中心O1と同心状に軸方向Zに沿って形成され、真円形状をなしている。第1ノズル21は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路31と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第2通路32とを有している。第1通路31は、軸方向Zに沿って内径寸法が一定で同径である。第2通路32は、軸方向Zの前端部20a側に向けて内径寸法が徐々に小径となる先細形状をなしている。第1ノズル21は、第2通路32から第1通路31に向けてレーザ光が通過可能であると共に、アシストガスが通過して前端部20aから噴出可能である。
第2ノズル22は、ノズル本体20の中心O1から第1径方向Xの一方側にずれた中心O2の位置に軸方向Zに沿って形成され、第1径方向Xに長い矩形形状をなしている。第2ノズル22は、ラバール形状をなしている。この場合、第2ノズル22は、第1ノズル21と第2ノズル22が配列する第1径方向Xに交差(直交)する第2径方向Yの内径が軸方向Zにおいて変動することで、ラバール形状をなしている。
即ち、第2ノズル22は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路33と、ノズル本体20の前端部20aと後端部20bの間に位置する第2通路34と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第3通路35とを有している。図3に示すように、第1通路33と第2通路34と第3通路35は、第1ノズル21と第2ノズル22が配列する第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。なお、第2ノズル22は、中心O2がノズル本体20の後端部20bに向けてノズル本体20の外周側に傾斜しているが、第1ノズル21の形状に応じて中心O2が中心O1に平行なすようにしてもよい。
一方、図5に示すように、第1通路33は、第1ノズル21と第2ノズル22が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて大径となる先太形状をなしている。第2通路34は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路35は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて小径となる先細形状をなしている。即ち、第2ノズル22は、ノズル本体20の後端部20b側から前端部20a側に向けて、第1ノズル21と第2ノズル22が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yが、第3通路35で先細形状であり、第2通路34で絞り形状であり、第1通路33で先太形状となっている。そして、第2ノズル22は、アシストガスを噴出可能である。
なお、図3に示すように、第1ノズル21の前端面21aと第2ノズル22の前端面22aは、ノズル本体20の軸方向Zにおける同位置に設けられている。そして、第2ノズル22における先端部の通路面積は、第1ノズル21における先端部の通路面積より小さい通路面積に設定されている。この場合、第2ノズル22は、第1径方向Xの長さに対して第2径方向Yの長さを短く設定することが好ましいが、第1径方向Xの長さを非常に長く設定することで、第2ノズル22における先端部の通路面積を、第1ノズル21における先端部の通路面積より大きく設定してもよい。また、第2ノズル22における第2径方向Yの長さは、レーザ光Lの外径とほぼ同径に設定することが好ましい。
そのため、図2から図5に示すように、レーザ加工用ノズル11が矢印Tで表す移動方向に移動するとき、第1ノズル21からレーザ光が照射されると共に、レーザ光の照射位置の周囲にアシストガスが噴出される。このアシストガスは、先細形状をなす第2通路32で音速まで加速されて第1通路31の先端部から噴出される。また、このとき、第2ノズル22からレーザ光の照射位置よりレーザ加工用ノズル11の移動方向Tの下流側にアシストガスが噴出される。このアシストガスは、先細形状をなす第3通路35で加速されて第2通路34で音速に至り、先太形状をなす第1通路33で更に超音速まで加速されてこの第1通路33の先端部から噴出される。
すると、図1に示すように、レーザ光Lにより被切断部材Aが溶融され、第1ノズル21から噴出されるアシストガスG1によりレーザ光の照射位置の周囲にある溶融部材が吹き飛ばされる。そして、第2ノズル22から噴出されるアシストガスG2より高速のアシストガスによりレーザ光Lの照射位置よりレーザ加工用ノズル11の移動方向Tの下流側にある溶融部材が吹き飛ばされて排出される。
このように第1実施形態のレーザ加工用ノズルにあっては、ノズル本体20と、ノズル本体20に軸方向に沿って設けられてレーザ光を通す第1ノズル21と、第1ノズル21からずれた位置に軸方向に沿って設けられると共にラバール形状をなしてアシストガスを噴出する第2ノズル22とを設けている。
従って、第1ノズル21から被切断部材Aに向けてレーザ光が照射され、第2ノズル22からレーザ光の照射位置の隣接位置にアシストガスが噴出される。アシストガスは、ラバール形状をなす第2ノズル22から噴出されることで、超音速まで加速されて噴出されることとなり、レーザ光により被切断部材Aが溶融した溶融部材を安定して適切に吹き飛ばして排出することができる。その結果、溶融部材の排出を円滑に行うことで被切断部材Aの安定した加工を行うことができる。
第1実施形態のレーザ加工用ノズルでは、ノズル本体20を円柱形状とし、第1ノズル21をノズル本体20の中心O1に設け、第2ノズル22をノズル本体20の中心O1からずれた中心O2に設け、第1ノズル21と第2ノズル22をノズル本体20の第1径方向Xに沿って配置している。従って、レーザ光を通す第1ノズル21をノズル本体20の中心O1に設け、アシストガスを噴出する第2ノズル22をノズル本体20の中心O1からずれた中心O2に設けることから、レーザ光による加工精度を向上することができると共に、アシストガスによる溶融部材の排出性を向上することができる。
第1実施形態のレーザ加工用ノズルでは、第2ノズル22は、第1ノズル21と第2ノズル22が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径が軸方向Zにおいて変動する。従って、第1ノズル21に対して第2ノズル22を干渉させることなく、ノズル本体20内に第2ノズル22を容易に形成することができると共に、最適なラバール形状に設定することができる。
第1実施形態のレーザ加工用ノズルでは、第1ノズル21の先端面と第2ノズル22の先端面をノズル本体20の軸方向Zにおける同位置に設けている。従って、溶融部材を効率良く排出することができる。
第1実施形態のレーザ加工用ノズルでは、第2ノズル22における先端部の通路面積を第1ノズル21における先端部の通路面積より小さい通路面積に設定している。従って、第2ノズル22から噴射されるアシストガスを容易に超音速で噴出することができる。
また、第1実施形態のレーザ加工装置にあっては、レーザ加工用ノズル11と、第1ノズル21にレーザ光を挿通させるレーザ光照射装置12と、第1ノズル21にアシストガスを供給するアシストガス供給装置13と、第2ノズル22にアシストガスを供給するアシストガス供給装置14とを備えている。
従って、レーザ光照射装置12により第1ノズル21から被切断部材Aに向けてレーザ光を照射し、アシストガス供給装置13により第1ノズル21からレーザ光の照射位置の周囲にアシストガスを噴出し、アシストガス供給装置14により第2ノズル22からレーザ光の照射位置の隣接位置にアシストガスを噴出する。レーザ光の照射位置に隣接した位置に噴出されたアシストガスは、ラバール形状をなす第2ノズル22から噴出されることで、超音速まで加速されて噴出されることから、レーザ光により被切断部材Aが溶融した溶融部材を安定して的確に吹き飛ばして排出することができる。その結果、溶融部材の排出を円滑に行うことで被切断部材の安定した加工を行うことができる。
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態のレーザ加工用ノズルを表す斜視図、図7は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図6のVII−VII断面図、図8は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図6のVIII−VIII断面図、図9は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図6のIX−IX断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図6から図9に示すように、レーザ加工用ノズル11Aは、ノズル本体20と、第1ノズル41と、第2ノズル42とを有している。ノズル本体20は、円柱形状をなし、内部に軸方向Zに沿って第1ノズル41と第2ノズル42が設けられている。第1ノズル41と第2ノズル42は、ノズル本体20の軸方向Zに沿ってほぼ平行をなすように配置されている。そして、第1ノズル41と第2ノズル42は、ノズル本体20の第1径方向Xに沿って配置される。このとき、第1ノズル41は、ノズル本体20の中心O1に位置し、第2ノズル42は、ノズル本体20の中心O1から第1径方向Xの一方側にずれた中心O2に位置する。
第1ノズル41は、ノズル本体20の中心O1と同心状に軸方向Zに沿って形成され、真円形状をなしている。第1ノズル41は、第1通路51を有し、第1通路51は、軸方向Zの前端部20a側に向けて内径寸法が徐々に小径となる先細形状をなしている。第1ノズル41は、軸方向Zの前端部20a側に向けてレーザ光が通過可能であると共に、アシストガスが通過して前端部20aから噴出可能である。
第2ノズル42は、ノズル本体20の中心O1から径方向の一方側にずれた中心O2の位置に軸方向Zに沿って形成され、第1径方向Xに長い円形状をなしている。なお、第2ノズル42は、長円形状や楕円形状、または、矩形の角部を湾曲させた形状であってもよい。第2ノズル42は、ラバール形状をなしている。この場合、第2ノズル42は、第1ノズル41と第2ノズル42が配列する第1径方向Xと、第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径が軸方向Zにおいて変動することで、ラバール形状をなしている。
即ち、第2ノズル42は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路52と、ノズル本体20の前端部20aと後端部20bの間に位置する第2通路53と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第3通路54とを有している。図7に示すように、第1通路52は、第1ノズル41と第2ノズル42が配列する第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて大径となる先太形状をなしている。第2通路53は、第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路54は、第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。
一方、図9に示すように、第1通路52は、第1ノズル41と第2ノズル42が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第2通路53は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路54は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて小径となる先細形状をなしている。即ち、第2ノズル42は、ノズル本体20の後端部20b側から前端部20a側に向けて、第1ノズル41と第2ノズル42が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yが第3通路54で先細形状であり、第1径方向X及び第2径方向Yが第2通路53で絞り形状であり、第1径方向Xが第1通路52で先太形状となっている。そして、第2ノズル42は、アシストガスを噴出可能である。
そのため、図6から図9に示すように、第2ノズル42からレーザ光の照射位置よりレーザ加工用ノズル11Aの移動方向Tの下流側にアシストガスが噴出される。このアシストガスは、先細形状をなす第3通路54で加速されて第2通路53で音速に至り、先太形状をなす第1通路52で更に超音速まで加速されてこの第1通路52の先端部から噴出される。すると、第2ノズル42から噴出されるアシストガスによりレーザ光の照射位置よりレーザ加工用ノズル11Aの移動方向Tの下流側にある溶融部材が吹き飛ばされて排出される。
このように第2実施形態のレーザ加工用ノズルにあっては、第2ノズル42は、第1ノズル41と第2ノズル42が配列する第1径方向Xの内径が軸方向Zにおいて変動する。この場合、第2ノズル42は、第1通路52の内径が第1径方向Xに変動し、第3通路54の内径が第2径方向Yに変動している。
従って、ラバール形状をなす第2ノズル42を容易に形成することができる。
[第3実施形態]
図10は、第3実施形態のレーザ加工用ノズルを表す斜視図、図11は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図10のXI−XI断面図、図12は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図10のXII−XII断面図、図13は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図10のXIII−XIII断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態において、図10から図13に示すように、レーザ加工用ノズル11Bは、ノズル本体20と、第1ノズル61と、複数の第2ノズル62,63とを有している。ノズル本体20は、円柱形状をなし、内部に軸方向Zに沿って第1ノズル61と第2ノズル62,63が設けられている。第1ノズル61と第2ノズル62,63は、ノズル本体20の軸方向Zに沿ってほぼ平行をなすように配置されている。そして、第1ノズル61と第2ノズル62,63は、ノズル本体20の第1径方向Xに沿って配置される。このとき、第1ノズル61は、ノズル本体20の中心O1に位置し、第2ノズル62,63は、ノズル本体20の中心O1から第1径方向Xの一方側にずれた中心O2,O3に位置する。この複数の第2ノズル62,63は、同形状をなし、第1径方向Xに所定間隔で空けて設けられている。
第1ノズル61は、ノズル本体20の中心O1と同心状に軸方向Zに沿って形成され、真円形状をなしている。第1ノズル61は、ラバール形状をなしている。この場合、第1ノズル61は、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xと、第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径が軸方向Zにおいて変動することで、ラバール形状をなしている。
即ち、第1ノズル61は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路71と、ノズル本体20の前端部20aと後端部20bの間に位置する第2通路72と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第3通路73とを有している。図11に示すように、第1通路71は、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて大径となる先太形状をなしている。第2通路72は、第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路73は、第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて小径となる先細形状をなしている。
一方、図12に示すように、第1通路71は、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて大径となる先太形状をなしている。第2通路72は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路73は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて小径となる先細形状をなしている。即ち、第1ノズル61は、ノズル本体20の後端部20b側から前端部20a側に向けて、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yが第3通路73で先細形状であり、第1径方向X及び第2径方向Yが第2通路72で絞り形状であり、第1径方向X及び第2径方向Yが第1通路71で先太形状となっている。第1ノズル61は、軸方向Zの前端部20a側に向けてレーザ光が通過可能であると共に、アシストガスが通過して前端部から噴出可能である。
第2ノズル62,63は、ノズル本体20の中心O1から径方向の一方側にずれた中心O2,O3の位置に軸方向Zに沿って形成され、四角形状をなしている。なお、第2ノズル62,63は、正方形や長方形の多角形状、または、円形状であってもよい。第2ノズル62,63は、ラバール形状をなしている。この場合、第2ノズル62,63は、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径が軸方向Zにおいて変動することで、ラバール形状をなしている。
即ち、第2ノズル62,63は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路74,77と、ノズル本体20の前端部20aと後端部20bの間に位置する第2通路75,78と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第3通路76,79とを有している。図11に示すように、第1通路74,77と第2通路75,78と第3通路76,79は、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。
一方、図13に示すように、第1通路74,77は、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて大径となる先太形状をなしている。第2通路75,78は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路76,79は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて小径となる先細形状をなしている。即ち、第2ノズル62,63は、ノズル本体20の後端部20b側から前端部20a側に向けて、第1ノズル61と第2ノズル62,63が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yが第3通路76,79で先細形状であり、第2径方向Yが第2通路75,78で絞り形状であり、第2径方向Yが第1通路74,77で先太形状となっている。そして、第2ノズル62,63は、アシストガスを噴出可能である。
そのため、図10から図13に示すように、第1ノズル61からレーザ光が照射されると共に、レーザ光の照射位置の周囲にアシストガスが噴出される。このアシストガスは、先細形状をなす第3通路73で加速されて第2通路72で音速に至り、先太形状をなす第1通路71で更に超音速まで加速されてこの第1通路71の先端部から噴出される。すると、第1ノズル61から噴出されるアシストガスによりレーザ光の照射位置の周囲にある溶融部材が吹き飛ばされて排出される。また、第2ノズル62,63からレーザ光の照射位置よりレーザ加工用ノズル11Bの移動方向Tの下流側にアシストガスが噴出される。このアシストガスは、先細形状をなす第3通路76,79で加速されて第2通路75,78で音速に至り、先太形状をなす第1通路74,77で更に超音速まで加速されてこの第1通路74,77の先端部から噴出される。すると、第2ノズル62,63から噴出されるアシストガスによりレーザ光の照射位置よりレーザ加工用ノズル11Bの移動方向Tの下流側にある溶融部材が吹き飛ばされて排出される。
なお、第2ノズル62,63の形状は、上述した形状に限定されるものではない。図14−1は、第3実施形態の第1変形例のレーザ加工用ノズルを表す正面図、図14−2は、第3実施形態の第2変形例のレーザ加工用ノズルを表す正面図である。
第3実施形態の第1変形例において、図14−1に示すように、第2ノズル64,65は、第1ノズル61の第1径方向X側にずれて設けられている。第2ノズル64は、正方形状をなし、第2ノズル65は、長方形状をなし、第2ノズル65の通路面積が第2ノズル64の通路面積より大きく設定されている。また、第3実施形態の第2変形例において、図14−2に示すように、第2ノズル66,67は、第1ノズル61の第1径方向X側にずれて設けられている。第2ノズル66は、円形状をなし、第2ノズル67は、長円(楕円)形状をなし、第2ノズル66の通路面積が第2ノズル67の通路面積より大きく設定されている。なお、第2ノズルの数は、3個以上であってもよく、第2ノズルの周方向に複数個並べてもよい。
このように第3実施形態のレーザ加工用ノズルにあっては、第2ノズル62,63は、第1ノズル61と第2ノズル62,62が配列する第1径方向Xに所定間隔で複数設けられている。
従って、第2ノズル62,63の形状を簡素化することができる。
第3実施形態のレーザ加工用ノズルでは、第1ノズル61をラバール形状としてアシストガスを噴出可能としている。従って、第1ノズル61からアシストガスを超音速で噴出することができ、溶融部材を効率良く排出することができる。
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態のレーザ加工用ノズルを表す斜視図、図16は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図15のXVI−XVI断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第4実施形態において、図15及び図16に示すように、レーザ加工用ノズル11Cは、ノズル本体20と、第1ノズル81と、第2ノズル82,83,84,85とを有している。ノズル本体20は、円柱形状をなし、内部に軸方向Zに沿って第1ノズル81と第2ノズル82,83,84,85が設けられている。第1ノズル81と第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の軸方向Zに沿ってほぼ平行をなすように配置されている。そして、第1ノズル81と第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の第1径方向X及び第2径方向Yに沿って配置される。このとき、第1ノズル81は、ノズル本体20の中心O1に位置し、第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の中心O1から第1径方向Xの一方側にずれた中心O2にそれぞれ位置する。即ち、複数の第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の周方向に所定間隔(好ましくは、均等間隔)で設けられている。
第1ノズル81は、ノズル本体20の中心O1と同心状に軸方向Zに沿って形成され、真円形状をなしている。第1ノズル81は、第1通路91を有し、第1通路91は、軸方向Zに沿って内径寸法が一定で同径である。第1ノズル81は、軸方向Zの前端部20a側に向けてレーザ光が通過可能であると共に、アシストガスが通過して前端部から噴出可能である。
第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の中心O1から径方向の一方側にずれた中心O2の位置に軸方向Zに沿ってそれぞれ形成され、径方向X,Yに長い矩形状をなしている。なお、第2ノズル82,83,84,85は、この形状に限定されるものではなく、上述した各実施形態の形状としてもよい。また、第2ノズル82,83,84,85は、それぞれが同形状であっても、異形状であってもよい。第2ノズル82,83,84,85は、ラバール形状をなしている。この場合、第2ノズル82,83,84,85は、第1ノズル81と第2ノズル82,83,84,85が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径が軸方向Zにおいて変動することで、ラバール形状をなしている。
即ち、第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路92と、ノズル本体20の前端部20aと後端部20bの間に位置する第2通路93と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第3通路94とを有している。第1通路92は、図示しないが、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて大径となる先太形状をなしている。第2通路93は、内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路94は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて小径となる先細形状をなしている。即ち、第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の後端部20b側から前端部20a側に向けて、第3通路94で先細形状であり、第2通路93で絞り形状であり、第1通路92で先太形状となっている。そして、第2ノズル82,83,84,85は、アシストガスを噴出可能である。
本実施形態では、第1ノズル81に対して周囲に4個の第2ノズル82,83,84,85が設けられており、第2ノズル82,83,84,85は、独立してアシストガスを噴出することができる。即ち、レーザ加工用ノズル11Cの移動方向Tに対して下流側となる第2ノズルを複数の第2ノズル82,83,84,85の中から1個選択して使用することができる。また、第2ノズル82,83,84,85のいずれかが損傷した場合、別の第2ノズルを1個選択して使用することができる。
このように第4実施形態のレーザ加工用ノズルにあっては、第2ノズル82,83,84,85は、ノズル本体20の周方向に所定間隔で複数設けられている。
従って、第2ノズル82,83,84,85をノズル本体20の周方向に所定間隔で複数設けることから、第2ノズル82,83,84,85の損傷時に別の第2ノズル82,83,84,85を使用することができ、第2ノズル82,83,84,85の使用年数を延長することができる。
[第5実施形態]
図17は、第5実施形態のレーザ加工用ノズルを表す斜視図、図18は、レーザ加工用ノズルの断面を表す図17のXVIII−XVIII断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第5実施形態において、図17及び図18に示すように、レーザ加工用ノズル11Dは、ノズル本体20と、第1ノズル101と、第2ノズル102とを有している。ノズル本体20は、円柱形状をなし、内部に軸方向Zに沿って第1ノズル101と第2ノズル102が設けられている。第1ノズル101と第2ノズル102は、ノズル本体20の軸方向Zに沿ってほぼ平行をなすように配置されている。そして、第1ノズル101と第2ノズル102は、ノズル本体20の第1径方向Xに沿って配置される。このとき、第1ノズル101は、ノズル本体20の中心O1に位置し、第2ノズル102は、ノズル本体20の中心O1から第1径方向Xの一方側にずれた中心O2に位置する。
第1ノズル101は、ノズル本体20の中心O1と同心状に軸方向Zに沿って形成され、真円形状をなしている。第1ノズル101は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路111と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第2通路112とを有している。第1通路111は、軸方向Zに沿って内径寸法が一定で同径である。第2通路112は、軸方向Zの前端部20a側に向けて内径寸法が徐々に小径となる先細形状をなしている。第1ノズル101は、第2通路112から第1通路111に向けてレーザ光が通過可能であると共に、アシストガスが通過して前端部から噴出可能である。
第2ノズル102は、ノズル本体20の中心O1から径方向の一方側にずれた中心O2の位置に軸方向Zに沿ってそれぞれ形成され、第1径方向Xに長い形状をなしている。第2ノズル102は、ラバール形状をなしている。この場合、第2ノズル102は、第1ノズル101と第2ノズル102が配列する第1径方向Xに交差する第2径方向Yの内径が軸方向Zにおいて変動することで、ラバール形状をなしている。
即ち、第2ノズル102は、ノズル本体20の前端部20a側に位置する第1通路113と、ノズル本体20の前端部20aと後端部20bの間に位置する第2通路114と、ノズル本体20の後端部20b側に位置する第3通路115とを有している。第1通路113は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて大径となる先太形状をなしている。第2通路114は、内径寸法が軸方向Zにおいて一定で同径である。第3通路115は、第2径方向Yの内径寸法が軸方向Zの前端部20a側に向けて小径となる先細形状をなしている。即ち、第2ノズル102は、ノズル本体20の後端部20b側から前端部20a側に向けて、第3通路115で先細形状であり、第2通路114で絞り形状であり、第1通路113で先太形状となっている。そして、第2ノズル102は、アシストガスを噴出可能である。
また、レーザ加工用ノズル11Dは、ノズル本体20にて、第1ノズル101の先端部と第2ノズル102の先端部との間に連通部121が設けられている。連通部121は、第1ノズル101の第1通路111の先端部と、第2ノズル102の第1通路113の先端部との隔壁を軸方向Zに所定長さだけ切り欠いて形成されている。この連通部121は、軸方向Zの長さが第2通路114に到達しない長さであることが好ましい。
このように第5実施形態のレーザ加工用ノズルにあっては、第1ノズル101の先端部と第2ノズル102の先端部との間に連通部121を設けている。
従って、第1ノズル101の先端面と第2ノズル102の先端面への溶融部材の付着を抑制して溶融部材を効率良く排出することができる。
なお、上述した実施形態では、ノズル本体を円柱形状とし、第1ノズルをノズル本体の中心O1に設け、第2ノズルをノズル本体の中心O1からずれた中心O2に設けたが、この構成に限定されるものではない。例えば、ノズル本体を楕円または長円形状としたり、角柱形状としたりしてもよい。また、第1ノズルをノズル本体の中心O1からずれて設けてもよい。