JP2019155112A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収体の端部からの漏れを防止する。【解決手段】防漏用圧搾部11は、領域Hの近位側から遠位側に向けた中心線Lの両側にそれぞれ配置されるとともに、遠位側に向かうにしたがって中心線Lを挟んだ互いの離隔距離が小さくなる部分を有し、体液を中心線L側に誘導する液誘導部12と、液誘導部12より領域Hの遠位側における中心線L上に位置し液誘導部12によって誘導された体液を集約する集液部13と、集液部13から中心線Lの両側にそれぞれ延び、集約された体液を中心線Lの両側に向けて拡散させる液拡散部14とを備え、前記液誘導部は、前記中心線の両側にそれぞれ離隔して配置されており、前記集液部は、前記液誘導部の前記中心線側の端縁より、前記体液排出部対応領域の遠位側における前記中心線上に位置し、前記中心線の両側に離隔して配置された前記液誘導部の間隙を塞ぐように、前記液誘導部の端縁に隣接して位置している。【選択図】図1

Description

本発明は、主には生理用ナプキン、おりものシート、失禁パッド、トイレタリー等に使用される吸収性物品であって、詳しくは着用者の体液排出部対応領域から拡散する体液の拡散方向を変化させることにより吸収体の端部からの漏れを防止した圧搾部が所定のパターンで形成された吸収性物品に関する。
従来より、前記吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に綿状パルプ等からなる吸収体を介在したものが知られている。
体液の漏れを確実に防止するには、前記吸収体として体液を吸収し保持する機能に優れたものを用いるのが効果的であるが、吸収体が本来備える体液の吸収容量を最大限に活用するには、体液の拡散領域が一部に偏ることなく吸収体の広い範囲に拡散させることが特に重要となる。
吸収体に吸収された体液は、繊維間の空隙に入り込み、毛管作用により繊維間を拡散する。このとき、繊維間を拡散する体液は、繊維間空隙が大きな部位から小さな部位へ拡散しやすい性質を有している。すなわち、吸収体に圧搾部を形成することにより、この圧搾部に向けて体液が拡散しやすくなることが知られている。
このような圧搾部を形成した吸収性物品として、例えば、下記特許文献1においては、少なくとも吸収コアを圧搾し、吸収性物品の幅方向の中心を通る中心線を挟んで互いに離間して設けられた一対の後側圧搾部が、後側域に前後方向に沿って形成されており、前記一対の後側圧搾部が、幅方向におけるヒップフラップの最大幅の位置よりも後側に位置し、前記一対の後側圧搾部は、後側に向かうにつれて幅方向の距離が広がる幅広区間を有する吸収性物品が開示されている。
また、下記特許文献2の段落[0031]においては、前方に向かって凸の形状を有する中央部と、該中央部に連続し、それぞれ後方に向かって延びる一対の側部とから形成された前方溝を備えた吸収性物品が開示されている。
特開2017−328号公報 特開2007−275491号公報
上記特許文献1に記載された吸収性物品では、後側へ向かうにつれて、幅方向の外側に傾斜している後側圧搾部が設けられているが、この後側圧搾部は、吸収性物品の幅方向の中心を通る中心線を挟んで互いに離間して設けられているため、この一対の後側圧搾部の間を通って後側圧搾部より後側に体液が拡散しやすく、吸収体の端部からの漏れを生じる可能性があった。
一方、上記特許文献2に記載された吸収性物品では、前記前方溝の幅方向の中央が、前方に向かって尖っており且つ吸収性物品の縦中心線上にほぼ位置する連続線状に形成されているため、前方溝に沿って拡散する体液が、前方溝の幅方向中央部に集約される結果、前方に向かって尖った先端部において体液が溢れて、前方溝より前側に拡散しやすく、吸収体の端部からの漏れを生じる可能性があった。
そこで本発明の主たる課題は、体液排出部対応領域から拡散する体液の拡散方向を変化しやすくしたパターンで圧搾部を形成することにより、吸収体の端部からの漏れを防止した吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、少なくとも吸収体が備えられた吸収性物品において、
少なくとも前記吸収体を窪ませた窪み部からなるとともに、体液排出部対応領域の少なくとも両側部にそれぞれ吸収性物品の長手方向に沿って、排出された体液を塞き止める体液排出部用圧搾部が形成され、かつ少なくとも前記吸収体を窪ませた窪み部からなるとともに、着用者の体液排出部に対応する領域から拡散する体液の拡散方向を変化させることにより吸収体の端部からの漏れを防止した防漏用圧搾部が、当該体液排出部対応領域の外側であって、前記体液排出部用圧搾部から離隔する外側に所定のパターンで形成され、
前記防漏用圧搾部は、前記体液排出部対応領域の近位側から遠位側に向けた中心線の両側にそれぞれ配置されるとともに、前記体液排出部対応領域の近位側から遠位側に向かうにしたがって前記中心線を挟んだ互いの離隔距離が小さくなる部分を有し、前記体液排出部対応領域から外側に向けて拡散する体液を前記中心線側に誘導する液誘導部と、前記液誘導部より前記体液排出部対応領域の遠位側における前記中心線上に位置し、前記液誘導部によって誘導された体液を集約する集液部と、前記集液部から前記中心線の両側にそれぞれ延び、集約された体液を前記中心線の両側に向けて拡散させる液拡散部とを備え
前記液誘導部は、前記中心線の両側にそれぞれ離隔して配置されており、前記集液部は、前記液誘導部の前記中心線側の端縁より、前記体液排出部対応領域の遠位側における前記中心線上に位置し、前記中心線の両側に離隔して配置された前記液誘導部の間隙を塞ぐように、前記液誘導部の端縁に隣接して位置していることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の発明では、体液排出部対応領域の少なくとも両側部にそれぞれ吸収性物品の長手方向に沿って、排出された体液を塞き止める体液排出部用圧搾部を形成するとともに、着用者の体液排出部に対応する領域(体液排出部対応領域)から外側に拡散する体液の拡散方向を変化させることにより吸収体の端部からの漏れを防止するため、体液排出部対応領域の外側に所定のパターンで防漏用圧搾部を形成している。前記防漏用圧搾部のパターンとしては、体液排出部対応領域の近位側から遠位側に向けた中心線の両側にそれぞれ配置されるとともに、体液排出部対応領域の近位側から遠位側に向かうにしたがって前記中心線を挟んだ互いの離隔距離が小さくなる部分を有する液誘導部と、この液誘導部より体液排出部対応領域の遠位側における前記中心線上に位置する集液部と、この集液部から前記中心線の両側にそれぞれ延びる液拡散部とを含んでいる。このようなパターンで形成された防漏用圧搾部では、体液排出部対応領域から外側に向けて拡散する体液が、前記液誘導部によって防漏用圧搾部の前記中心線側に誘導され、この液誘導部によって誘導された体液が前記集液部に集約された後、この集約された体液が前記液拡散部によって中心線の両側に向けて拡散されるようになる。したがって、このようなパターンの防漏用圧搾部を設けることにより、体液排出部対応領域から拡散する体液の拡散方向が吸収体の端部に向けた方向とは異なる方向、つまり前記中心線が延びる方向とは異なる方向に変化するため、吸収体の端部からの漏れが防止できるようになる。また、前記液誘導部において前記集約部に誘導できず液誘導部を横断して体液排出部対応領域より遠位側に拡散する体液があった場合でも、その遠位側に前記液拡散部が設けられているため、この液拡散部が堤防の役割を果たし、体液を確実に塞き止めることにより、吸収体の端部に向けた拡散が防止できるようになる。
また、上記請求項記載の発明では、前記液誘導部を前記中心線の両側にそれぞれ離隔して配置しており、前記集液部を、前記液誘導部の前記中心線側の端縁より、前記体液排出部対応領域の遠位側における前記中心線上に位置し、前記中心線の両側に離隔して配置された前記液誘導部の間隙を塞ぐように、前記液誘導部の端縁に隣接して位置することによって、体液排出部対応領域から外側に拡散する体液が、両側の液誘導部の離隔する部分を通って前記集液部に直接拡散しやすくしている。
請求項2に係る本発明として、前記防漏用圧搾部は、少なくとも前記体液排出部対応領域の前側及び後側のいずれか一方又は両方に配置されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の発明では、前記防漏用圧搾部を、少なくとも体液排出部対応領域の前側及び後側のいずれか一方又は両方に配置することによって、吸収体の前後端部からの漏れが防止できる。
請求項に係る本発明として、前記液誘導部と前記集液部とは、連続するか、離隔して配置されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、前記液誘導部と前記集液部とを連続して配置した場合には、液誘導部から集液部に体液が移行しやすくなる。一方、これらの圧搾部を離隔して配置した場合には、液誘導部と集液部との間に繊維間空隙が大きな非圧搾部が存在することとなるため、液誘導部から集液部への体液の移行が緩やかとなり、集液部に急激に体液が集約されるのが防止できる。
請求項に係る本発明として、前記液誘導部は、前記中心線に近づくにしたがって徐々に繊維の平均密度が高くなるように形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、液誘導部を前記中心線に近づくにしたがって徐々に繊維の平均密度が高くなるように形成することにより、繊維の毛管作用によって前記中心線側に向けた体液の流れを生じやすくしている。前記中心線に近づくにしたがって徐々に繊維の平均密度を高くするには、前記液誘導部を低圧搾部と高圧搾部とから構成し、高圧搾部の間隔を、前記中心線に近づくにしたがって徐々に狭くすることにより成すことができる。
請求項に係る本発明として、前記集液部は、低圧搾部と高圧搾部とを有し、前記高圧搾部の平面形状が円形、X形、菱形のいずれかで形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、前記集液部に集約された体液を液拡散部に分散して拡散しやすくするため、前記高圧搾部を所定の平面形状で形成している。
請求項に係る本発明として、前記液拡散部は、前記集液部から前記中心線の両側にそれぞれ、異なる方向に複数延びている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、前記液拡散部を集液部から前記中心線の両側にそれぞれ、異なる方向に複数延びるように形成することにより、集液部に集約された体液が前記中心線の両側に複数の方向に向けて拡散しやすくなり、液拡散部に沿った体液の拡散が生じやすくなる。
請求項に係る本発明として、前記中心線の両側に延びる複数の前記液拡散部のうち、少なくとも2本の前記液拡散部が、先端部で接続されている請求項記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、前記中心線の両側に延びる複数の液拡散部のうち、少なくとも2本の液拡散部を先端部で接続することにより、ループ状に形成されたこれら2本の液拡散部の内部に体液が拡散しやすくなり、これより外側への体液の拡散が抑制できる。
請求項に係る本発明として、前記防漏用圧搾部は、前記中心線に対して左右対称又は左右非対称で形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項記載の発明では、前記防漏用圧搾部を前記中心線に対して左右対称に形成した場合には、着用者が立位や座位、仰臥位などの体位において体液拡散の抑制効果を高めることができ、左右非対称で形成した場合には、着用者が側臥位などの特定の体位において体液拡散の抑制効果を高めることができる。
以上詳説のとおり本発明によれば、体液排出部対応領域から拡散する体液の拡散方向を変化させやすくしたパターンで圧搾部を形成することにより、吸収体の端部からの漏れが防止できるようになる。
本発明に係る生理用ナプキン1の一部破断展開図である。 図1のII−II線矢視図である。 図1のIII−III線矢視図である。 防漏用圧搾部11の平面図である。 変形例に係る液誘導部12の平面図である。 集液部13の高圧搾部13aを示す平面図である。 変形例に係る防漏用圧搾部11の平面図である。 変形例に係る防漏用圧搾部11の平面図である。 変形例に係る生理用ナプキン1の平面図である。 他の形態例に係る生理用ナプキン1の平面図(その1)である。 他の形態例に係る生理用ナプキン1の平面図(その2)である。 他の形態例に係る生理用ナプキン1の平面図(その3)である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、図1〜図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、経血やおりものなど(以下、まとめて体液ともいう。)を速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、肌当接面側の両側部に長手方向のほぼ全長に亘って設けられたサイド不織布7、7とを備え、かつ前記吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では前記裏面シート2と表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール、超音波シール等の接合手段によって接合され、ほぼ着用者の体液排出部に対応する領域(以下、「体液排出部対応領域H」ともいう。)の吸収体側部位置に左右一対のウイング状フラップW、Wが形成されたものである。なお、図示例では、前記吸収体4の形状保持および拡散性向上のために、前記吸収体4をクレープ紙又は不織布などからなる被包シート5で囲繞しているが、この被包シート5は設けなくてもよい。また、図示例では、前記表面シート3の非肌側に隣接して、前記表面シート3とほぼ同形状の親水性の不織布などからなるセカンドシート6を配設しているが、このセカンドシート6は設けなくてもよい。
なお、前記体液排出部対応領域Hとは、生理用ナプキン1の装着時に着用者の体液排出部(膣口を含む)に対向して配置される領域である。そのナプキン長手方向の範囲は、本生理用ナプキン1のように両側部にウイング状フラップW、Wが形成される場合には、ウイング状フラップWの基端部におけるナプキン長手方向の範囲であり、前記ウイング状フラップWが形成されない場合には、生理用ナプキン1の前側端縁から後方に60〜80mmの位置からナプキン長手方向に70〜90mmの長さの範囲である。また、そのナプキン幅方向の範囲は、本生理用ナプキン1のように体液排出部対応領域Hの両側部にナプキン長手方向に沿う体液排出部用圧搾部10、10が形成される場合には、これら体液排出部用圧搾部10、10の離隔幅内であり、前記体液排出部用圧搾部10が形成されない場合には、生理用ナプキン1の長手方向中心線を中心に30〜50mmの幅内である。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、蒸れ防止の観点から透湿性を有するものを用いるのが望ましい。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記裏面シート2の非肌側面(外面)にはナプキン長手方向に沿って1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記裏面シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
次いで、前記表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、本生理用ナプキン1では、繊維間空隙が大きな、エアスルータイプのサーマルボンド不織布(熱融着繊維を原料として、熱風処理機により不織布構造を形成したもの)が特に好ましい。前記表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、体液が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。不織布の繊維は、長繊維または短繊維のいずれでもよいが、好ましくはタオル地の風合いを出すため短繊維を使用するのがよい。また、エンボス処理を容易とするために、比較的低融点のポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系繊維のものを用いるのがよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維の複合繊維を好適に用いることもできる。
前記裏面シート2と表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばパルプと高吸水性ポリマーとにより構成されている。前記高吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
本生理用ナプキン1は、吸収体4の目付を低くした薄型のスリムナプキンであるのが好ましい。吸収体4の目付を低くすることにより、吸収体4の単位面積当たりの吸収容量が小さくなり、平面方向に体液が拡散しやすくなるという性質を有する。このため、この体液の拡散方向を変化させることにより、吸収体4の端部からの漏れを防止するという本発明の効果が充分に発揮できる。前記パルプの目付は、50〜300g/m、好ましくは80〜220g/mとするのがよく、前記高吸水性ポリマーの目付は、30〜180g/m、好ましくは50〜160g/mとするのがよい。これらパルプ及び高吸水性ポリマーの目付は、一定である必要はなく、吸収体の部位によって変化させても良い。例えば、着用者の体液排出部Hに対応する領域においてパルプと高吸水性ポリマーの目付を高くした高吸収部を形成することができる。
前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
必要に応じて前記表面シート3の非肌側に隣接して配置される親水性のセカンドシート6は、体液に対して親水性を有するものであればよい。具体的には、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることにより素材自体に親水性を有するものを用いるか、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維を親水化剤によって表面処理し親水性を付与した繊維を用いることができる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイド−バイ−サイド型繊維、分割型繊維等の複合繊維を用いることができる。前記セカンドシート6と吸収体4(被包シート5)とは、ホットメルト接着剤等により接合するのが望ましい。前記セカンドシート6と吸収体4とを接合することにより、体液を前記セカンドシート6から吸収体4に速やかに移行させることができるようになる。
前記表面シート3の幅寸法は、図示例では、図2及び図3の横断面図に示されるように、吸収体4の幅よりも若干長めとされ、吸収体4を覆うだけに止まり、それより外方側は前記表面シート3とは別のサイド不織布7、具体的には経血やおりもの等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの目的に応じて、適宜の撥水処理または親水処理を施した不織布素材を用いて構成されたサイド不織布7が配設されている。
かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができるが、好ましくは体液の隠蔽性を高めるため、坪量を高めた不織布を用いるのがよい。具体的には、坪量を13〜23g/mとして作製された不織布を用いるのが望ましく、かつ体液の透過を確実に防止するためにシリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布が好適に使用される。
前記サイド不織布7は、図2及び図3に示されるように、幅方向中間部より外側部分を所定の内側位置から裏面シート2の外縁までの範囲に亘ってホットメルトなどの接着剤によって接着し、これら前記サイド不織布7と裏面シート2との積層シート部分により吸収体4の両側部に吸収体4が介在しないフラップ部が形成されている。このフラップ部によって、ほぼ前記体液排出部対応領域Hに相当する吸収体側部位置に左右一対のウイング状フラップW、Wを形成することができる。このウイング状フラップW、Wの外面側にはそれぞれ粘着剤層(図示せず)が備えられ、ショーツに対する装着時に、前記ウイング状フラップW、Wを基端部の折返し線RL位置にて反対側に折り返し、ショーツのクロッチ部分に巻き付けて止着するようになっている。一方、前記サイド不織布7の内方側部分は表面シート3の肌側に積層された状態で吸収体4側(表面シート3の肌側面)に接着されている。
〔圧搾部〕
本生理用ナプキン1では、少なくとも前記吸収体4を窪ませた窪み部からなる圧搾部が所定の領域に所定のパターンで形成されている。前記圧搾部は、吸収体4の肌側面(表面シート3側の面)からの圧搾により、吸収体4のみを窪ませてもよいし、吸収体4の肌側面を覆う被包シート5の肌側面からの圧搾により、前記被包シート5及び吸収体4を一体的に窪ませてもよいし、吸収体4の肌側面に表面シート3及び必要に応じてセカンドシート6を積層した状態で、前記表面シート3の肌側面からの圧搾により、前記表面シート3から吸収体4にかけて一体的に窪ませてもよい。これらのうち、吸収体4に吸収された体液の拡散に加えて、表面シート3に吸収された体液の拡散も抑制するとともに、表面シート3の表面を流れる体液の漏れを防止するため、表面シート3から吸収体4にかけて一体的に窪ませた窪み部によって前記圧搾部を形成するのが好ましい。
図1に示される生理用ナプキン1では、前記圧搾部として、体液排出部対応領域Hの少なくとも両側部にそれぞれナプキン長手方向に沿って配設され、排出された体液を塞き止める体液排出部用圧搾部10と、体液排出部対応領域Hより外側に配設され、体液排出部対応領域Hから拡散する体液の拡散方向を変化させることにより吸収体4の端部からの漏れを防止した防漏用圧搾部11とが設けられている。
前記体液排出部用圧搾部10は、体液排出部対応領域Hの両側部において、装着時に、両側から幅方向内側に向けて作用する脚の付け根の内側部分による脚圧などに対する抵抗力を発現し、該体液排出部用圧搾部10、10で囲まれた領域内を着用者の体液排出部にフィットさせるとともに、吸収体4に吸収された体液又は表面シート3の表面を流れる体液を塞き止めて、該体液排出部用圧搾部10より外側に体液が拡散するのを抑制するために設けられるものである。
前記体液排出部用圧搾部10としては、体液排出部対応領域Hの少なくとも両側部に配設される公知の形態を広く用いることができる。例えば、図示例では、体液排出部対応領域Hの周囲を囲む環状の楕円形によって形成されている。この他に、体液排出部対応領域Hの両側部にそれぞれ独立的に配置された左右対の弧状線によって形成してもよいし、後端又は前端が開放した略コの字型のパターンで形成してもよい。また、前記体液排出部用圧搾部10は、図示例では全長に亘って圧搾した連続線からなるが、非圧搾部が間欠的に設けられた間欠線で形成してもよい。
前記体液排出部用圧搾部10は、圧搾深さがほぼ均一な圧搾溝によって構成してもよいが、図示例のように、低圧搾部と、この低圧搾部より溝深さを大きくした高圧搾部とから構成するのが好ましい。図において、黒く塗りつぶした部分が高圧搾部であり、それ以外の部分が低圧搾部である。前記高圧搾部は、所定の間隔を空けて複数配置されている。前記高圧搾部の平面形状としては、公知の形状を広く用いることができ、例えば、円形、半円形、楕円形、ハート形、星形のいずれか又はこれらのうちの2以上の組み合わせとすることができる。
次に、前記防漏用圧搾部11について説明する。本生理用ナプキン1では、この防漏用圧搾部11が設けられている点が特徴的である。前記防漏用圧搾部11は、体液排出部対応領域Hから吸収体4の内部を拡散する体液の拡散方向を変化させることにより吸収体4の端部からの漏れを防止するためのものである。
前記防漏用圧搾部11は、体液排出部対応領域Hの外側、望ましくは前記体液排出部用圧搾部10から離隔する外側に設けられている。これにより、体液排出部用圧搾部10を越えて外側に拡散する体液が、吸収体4の端部に向けて拡散するのが防止でき、吸収体4の端部からの漏れ防止効果を高めることができるようになる。前記体液排出部用圧搾部10との離隔距離(直線での最小離隔長さ)は、特に限定しないが、近すぎると体液排出部用圧搾部10からの連続的な流れが生じやすくなり、遠すぎると体液の拡散範囲が広がって集約するのが難しくなるため、5〜30mm、好ましくは7〜15mmであるのがよい。一方、防漏用圧搾部11と吸収体4の端縁との離隔距離(直線での最小離隔長さ)は、特に限定しないが、近すぎると吸収体4の端縁からの漏れが懸念されるため、10mm以上であるのがよい。
前記防漏用圧搾部11についても、上述の体液排出部用圧搾部10と同様に、溝深さがほぼ均一な圧搾溝によって構成してもよいが、図示例のように、低圧搾部と、この低圧搾部より溝深さを大きくした高圧搾部とから構成するのが好ましい。
前記防漏用圧搾部11の平面パターンとしては、詳細には図4に示されるように、体液排出部対応領域Hの近位側から遠位側に向けた中心線Lの両側にそれぞれ配置されるとともに、体液排出部対応領域Hの近位側から遠位側に向かうにしたがって前記中心線Lを挟んだ互いの離隔距離が小さくなる部分を有する液誘導部12と、この液誘導部12より体液排出部対応領域Hの遠位側における前記中心線L上に位置する集液部13と、この集液部13から前記中心線Lの両側にそれぞれ延びる液拡散部14とを備えることにより、全体として略リボン形を成している。
前記液誘導部12は、体液排出部対応領域Hから外側に向けて拡散する体液を中心線L側に誘導する作用を有する。体液排出部対応領域Hから拡散する体液は、防漏用圧搾部11のうち先ずはじめに液誘導部12に到達し、この液誘導部12に沿って中心線L側に誘導される。
前記液誘導部12、12は、図4に示されるように、前記中心線Lの両側にそれぞれ1本ずつ配置され、これら液誘導部12、12の間は前記中心線Lを挟んで互いに離隔しているのが好ましい。図4に示されるように、体液排出部対応領域Hの近位側を下側、遠位側を上側に向けて配置した場合、両側の液誘導部12、12は、略ハの字形に配置されている。中心線Lの両側にそれぞれ離隔して配置することにより、中央部に設けられた離隔部を通って、体液排出部対応領域Hから外側に拡散する体液が通液しやすくなる。この離隔幅Aとしては、2〜10mm、好ましくは2〜7mmとするのがよい。2mmより小さいと両側の液誘導部12、12の間の離隔部を体液が通液しにくくなり、10mmより大きいと集液部13を大きな形状で形成しないと集液部13で体液を受け止めることができず、防漏用圧搾部11の外側に体液が流れやすくなる。
前記液誘導部12はそれぞれ、体液排出部対応領域Hの側に膨出する曲線によって形成するのが、中心線Lに向けて体液を拡散させやすくする点で好ましいが、これに限るものではなく、体液排出部対応領域Hの遠位側に膨出する曲線又は直線などで形成してもよい。
前記液誘導部12は、少なくとも中心線Lの側に、体液排出部対応領域Hの近位側から遠位側に向かうにしたがって中心線Lを挟んだ互いの離隔距離が小さくなる部分を有していればよく、これより外側部分は、図示例のように、先端が体液排出部対応領域Hの遠位側に湾曲するように形成してもよい。前述の体液排出部対応領域Hの近位側から遠位側に向かうにしたがって中心線Lを挟んだ互いの離隔距離が小さくなる部分の長さ(中心線Lに直交する方向の長さ)は任意であるが、拡散する体液を液誘導部12に沿って中心線L側に誘導する効果を充分に得るため、液誘導部12の全体の長さ(中心線Lに直交する方向の長さ)に対して、1/2以上、好ましくは2/3以上であるのが好ましい。また、体液排出部対応領域Hの近位側から遠位側に向けて拡散する体液が直接液拡散部14に到達しないように、中心線Lから液誘導部12の先端までの長さBは、液拡散部14の中心線Lにから先端までの長さCより長いのが好ましい(B>C)。
前記液誘導部12は、前記中心線Lに近づくにしたがって徐々に繊維の平均密度が高くなるように形成するのが好ましい。これによって、液誘導部12において、繊維の毛管作用により体液が中心線Lに向けて拡散しやすくなり、前記集液部13に体液が集約しやすくなる。繊維の平均密度とは、単位面積当たりにおける繊維の密度の平均値である。繊維の平均密度を徐々に高くするには、相対的に繊維密度が高い高圧搾部12aの間隔を狭めることによって、繊維の平均密度を高くすることができるため、図5に示されるように、液誘導部12を低圧搾部と高圧搾部12aとから構成し、高圧搾部12aの間隔を、中心線Lに近づくにしたがって徐々に狭くすることにより成すことができる。
前記集液部13は、両側の液誘導部12、12によって中心線L側に誘導された体液を受け止めて集約する作用を有する。この集液部13は、その後の液拡散部14に拡散させる基点となっている。
前記集液部13は、前記液誘導部12の中心線L側の端縁より、体液排出部対応領域Hの遠位側における中心線L上に位置している。すなわち、中心線Lの両側に離隔して配置された液誘導部12、12の間隙を塞ぐように、液誘導部12、12の端縁に隣接して前記集液部13が位置している。このため、液誘導部12、12間の離隔する隙間を通って外側に拡散する体液は、前記集約部13によって、これより外側に拡散するのが阻止されている。
前記集約部13は、前記液誘導部12の中心線L側の端縁に、連続して配置してもよいし、図4に示されるように、離隔して配置してもよい。連続して配置した場合には、液誘導部12から集液部13に体液が移行しやすくなり、その後の液拡散部14への拡散がスムーズに行われるようになる。一方、離隔して配置した場合には、液誘導部12と集液部13との間に繊維間空隙が相対的に大きな非圧搾部が存在することとなるため、液誘導部12から集液部13への体液の移行が緩やかとなり、集約部13に急激に体液が集約され、集約部13に体液が溢れて外側に拡散することによる漏れが防止できるようになる。前記集約部13と液誘導部12との離隔距離(直線での最小離隔長さ)は、特に限定しないが、0〜5mm程度であるのが好ましい。
前記集液部13の平面形状は、特に限定しないが、体液を受け止め、集約した体液を分散させやすいように、ほぼ円形であるのが好ましい。図4に示される例では、ほぼ円形に形成された低圧搾部の中央に、1つの高圧搾部13aが配置されている。これにより、体液の拡散方向が限定されることなく、任意の方向にほぼ均等に分散して体液を拡散させやすくなる。
前記集液部13に配置された高圧搾部13aの平面形状は、特に限定されないが、前記液拡散部14に沿った液拡散を生じやすい形状で形成するのが好ましい。具体的には、図4に示される円形の他、図6に示されるように、X形や菱形などで形成することもできる。円形とした場合には、全ての方向にほぼ均等に拡散しやすくなる。X形とした場合には、中心線Lに沿った方向への体液拡散が抑えられ、斜め方向に拡散しやすくなる。菱形の場合には、体液の拡散を斜め方向に誘導しやすくなる。なお、前記菱形は、中心線Lに沿った方向への体液拡散を抑え、中心線Lの両側方向への拡散を誘導しやすいように正方形を45°傾斜して配置したもので構成するのが好ましい。
前記集約部13に配置された高圧搾部13aは、他の部位に配置された高圧搾部とほぼ同等の面積で形成してもよいが、他の部位に配置された高圧搾部より大きな面積で形成するのが好ましい。これにより、集液部13の障壁としての機能を強化でき、集液部13を通過して体液排出部対応領域Hの近位側から遠位側に体液が移行するのが防止できる。
前記液拡散部14は、前記集液部13に集約された体液を中心線Lの両側に向けて拡散させる作用を有する。これによって、体液排出部対応領域Hから外側に拡散する体液の方向(ほぼ前記中心線Lに沿って拡散する体液の方向)を中心線Lの両側方向に分散させることができ、吸収体4の端部に向けた体液の拡散を生じ難くし、体液の漏れが防止できるようになる。
前記液拡散部14は、集液部13に集約された体液を素早く拡散させるため、前記集液部13から連続して延在しているのが好ましい。液拡散部14が集液部13に連続するとは、前記低圧搾部同士が連続していることである。また、後述のように液拡散部14が前記中心線Lの両側にそれぞれ複数配置される場合には、少なくとも2本の液拡散部14、14が連続していれば、連続せずに離隔して配置された液拡散部14が存在していても構わない。
前記液拡散部14が延びる方向は、前記中心線Lが延びる方向と平行でなければよいが、体液を吸収体4の端部に向けて拡散しにくくするとともに、液誘導部12に近接して液誘導部12から直接液拡散部14に体液が拡散するのを防止するため、中心線Lに対して所定の角度を有しているのが好ましい。具体的には、前記中心線Lに対して、30°〜150°、好ましくは60°〜120°であるのがよい。
前記液拡散部14は、集液部13から前記中心線Lの両側にそれぞれ、1本だけ延びるように配置してもよいが、異なる方向に複数延びているのが好ましい。これにより、集液部13に集約された体液が液拡散部14に沿って両側に素早く拡散でき、集液部13に体液が溢れて吸収体4の端部に向けて拡散するのが防止できる。液拡散部14の本数としては、図4に示されるように2本ずつでもよいし、図7に示されるように3本ずつでもよく、図示しないが4本ずつ以上でもよい。
前記液拡散部14の平面形状は、直線や曲線、折れ線、波状線など、任意であるが、液拡散部14に沿って体液を拡散しやすくするとともに、図示例のように中心線Lの両側にそれぞれ複数条の液拡散部14…が配置されたとき、液拡散部14で囲われた領域の面積が大きくなり、この領域により多くの体液が保持できるようにするため、図4及び図7に示されるように、曲線であるのが好ましい。特に、図4及び図7に示されるように、中心線Lの両側にそれぞれ複数条の液拡散部14…が配置される場合、少なくとも最も体液排出部対応領域Hの近位側に配置される液拡散部14が体液排出部対応領域Hの側に膨出する曲線によって形成するとともに、少なくとも最も体液排出部対応領域Hの遠位側に配置される液拡散部14が体液排出部対応領域Hの遠位側に膨出する曲線によって形成するのが好ましい。これによって、これらの液拡散部14、14で囲われた領域の面積が大きくなり、この領域により多くの体液が保持できるようになる。
前記中心線Lの両側に複数の液拡散部14…が配置される場合、図4及び図7に示されるように、最も体液排出部対応領域Hの近位側及び遠位側に配置される液拡散部14、14の先端部は、集液部13から離れるにしたがって、互いの離隔距離が徐々に狭くなるように形成するのが好ましい。これにより、液拡散部14の先端まで拡散した体液が、液拡散部14…でほぼ周囲を囲まれた領域内に滞留しやすくなり、これより外側に拡散するのが抑制できる。その結果、吸収体4の端部からの漏れ防止効果を高めることができる。
図7及び図8に示されるように、前記中心線Lの両側に延びる複数の液拡散部14…のうち、少なくとも2本の液拡散部14、14は、先端部で接続(連結)してもよい。先端部で接続することにより、2本の液拡散部14、14が閉合するループ状に形成され、より一層このループ内に体液が滞留しやすくなる。
複数の液拡散部14…で囲まれた領域内に体液を滞留させやすくするため、図8に示されるように、この複数の液拡散部14…で囲われた領域内の全部又は一部、図示例では全部(図中の斜線領域)に圧搾領域15を設けてもよい。前記圧搾領域15は、前記液拡散部14の低圧搾部とほぼ同等の深さ又はこれより浅い深さで形成された、表面シート3側の面から少なくとも吸収体4、好ましくは表面シート3から吸収体4までを一体的に窪ませた窪み領域である。これにより、この圧搾領域15の繊維間空隙が、前記液拡散部14より外側の領域の繊維間空隙より小さくなり、毛管作用によって圧搾領域15に体液が滞留しやすくなる。
前記防漏用圧搾部11は、図1に示される例では、平面パターンが前記中心線Lに対してほぼ左右対称に形成されるとともに、体液排出部対応領域Hの前側及び後側にそれぞれ、前記中心線Lが生理用ナプキン1の幅方向中央部を通る長手方向中心線とほぼ一致する位置に設けられている。これにより、体液排出部対応領域Hから前側及び後側に向けて拡散する体液が、吸収体4の前端及び後端から漏れる、いわゆる前漏れ及び後漏れを防止することができる。前記防漏用圧搾部11の平面パターンを中心線Lに対して左右対称に形成した場合には、着用者の体位が立位や座位、仰臥位など、ほぼ左右対称となる姿勢においてその効果が顕著となる。
なお、前記防漏用圧搾部11は、体液排出部対応領域Hの前側及び後側の一方側にのみ設け、他方側には設けなくてもよい。また、前記防漏用圧搾部11は、それぞれの領域に、直列的又は並列的に複数配置してもよい。更に、体液排出部対応領域Hの両側及び斜め方向のいずれかに配置してもよい。
一方、前記防漏用圧搾部11は、図9に示されるように、平面パターンが前記中心線Lに対して左右非対称となるように形成してもよい。この場合、防漏用圧搾部11の配置は、図示例のように、体液排出部対応領域Hの斜め方向位置(防漏用圧搾部11の中心線Lが、生理用ナプキン1の幅方向中央部を長手方向に延びる長手方向中心線と重ならない、前記長手方向中心線に対して所定の角度で傾斜する位置)に配置するのが好ましい。これにより、前記中心線Lより生理用ナプキン1の側方側に配置される部分は、体液排出部対応領域Hから生理用ナプキン1の幅方向に拡散する体液を捕捉するのに適したパターンで形成し、前記中心線Lより生理用ナプキン1の中心側に配置される部分は、体液排出部対応領域Hから生理用ナプキン1の長手方向に拡散する体液を捕捉するのに適したパターンで形成するなどのように、中心線Lの両側でそれぞれ異なる機能を持たせることができるようになる。例えば、図9に示される例では、液誘導部12を通って誘導される体液が液拡散部14に移行しにくくするため、液拡散部14に中心線Lより生理用ナプキン1の側方側の部分の方が中心側の部分より、液誘導部12と液拡散部14との離隔距離を大きくしている。これによって、体液排出部対応領域Hの側方側に流れる体液が、液誘導部12によって確実に集約部13に集約された後、複数の拡散部14…に分散して拡散されるため、吸収体4の側方への体液の拡散量を確実に減少させることができるようになる。左右非対称のパターンで形成した場合には、着用者が側臥位などの特定の体位において、体液が側方に拡散しやすい場合に、体液拡散の抑制効果をより高めることができる。なお、図示しないが、前記中心線Lより生理用ナプキン1の中心側に配置される部分の拡散部14の本数を相対的に多くすることにより、吸収体4の側方への体液の拡散量を更に減少させるようにしてもよい。
以上の構成からなる本生理用ナプキン1では、前記防漏用圧搾部11において、体液排出部対応領域Hから外側に向けて拡散する体液を、前記液誘導部12によって前記集液部13に集約した後、前記液拡散部14…に沿って前記中心線Lの両側に向けてそれぞれ拡散させているため、前記防漏用圧搾部11を設けることによって、体液排出部対応領域Hから拡散する体液の拡散方向が吸収体4の端部に向けた方向(中心線Lが延びる方向)とは異なる方向に制御することができるため、吸収体4の端部からの漏れが防止できる。
また、図4に示されるように、前記液誘導部12において前記集約部13に誘導できず、液誘導部12を横断して体液が拡散した場合でも、その体液排出部対応領域Hの遠位側には複数の液拡散部14…が配置されているため、これら液拡散部14…が堤防の役割を果たして体液の拡散を塞き止め、防漏用圧搾部11より体液排出部対応領域Hの遠位側に体液が拡散するのが抑制できる。
〔他の形態例〕
上記形態例では、体液排出部対応領域Hが生理用ナプキン1のほぼ中央部に設けられた、いわゆる昼用の生理用ナプキン1を例に挙げて説明したが、図10〜図12に示されるように、両側部に前記ウイング状フラップW、Wが設けられた前記体液排出部対応領域Hが位置する股下域と、前記股下域より前側の生理用ナプキン1の前端までの領域であって、装着時に着用者の下腹部を覆う前側域と、前記股下域より後側の生理用ナプキン1の後端までの領域であって、装着時に着用者の臀部を覆う後側域とからなり、前記後側域が前記前側域よりナプキン長手方向に長く形成され、かつ前記後側域の両側部にそれぞれ幅方向外方側に延出する左右一対のヒップホールド用フラップW、Wが形成された、いわゆる夜用の生理用ナプキン1であってもよい。
図10では、前記防漏用圧搾部11が、体液排出部対応領域Hの前側、すなわち前記前側域に1つ設けられ、後側域には設けられていない。前記防漏用圧搾部11を体液排出部対応領域Hの前側に設けることにより、後側域に比べて比較的狭い前側域において、体液がナプキン長手方向に拡散するのが抑制でき、前端からの漏れが防止できるようになる。
図11及び図12では、前記防漏圧搾部11が、体液排出部対応領域Hの前側及び後側、すなわち前記股下域から前側域にかけての領域及び前記後側域にそれぞれ1つずつ設けられている。特に、後側域に設けられた防漏用圧搾部11は、ヒップホールド用フラップWの最大幅位置(ヒップホールド用フラップWが幅方向の最も外側に突出する位置、図中の一点鎖線で示した位置)に重なるように配置するのが好ましい。これにより、長手方向に拡散した体液の一部が前記防漏用圧搾部11によって幅方向に拡散された場合でも、ヒップホールド用フラップWが幅方向の広い範囲に延びているため、幅方向端縁からの漏れが防止できるようになる。後側域に設けられた防漏用圧搾部11をヒップホールド用フラップWの最大幅位置に重なるように配置する際、(1)図11に示されるように、防漏用圧搾部11の前記集約部13が前記最大幅位置に重なるように配置してもよいし、(2)図12に示されるように、防漏用圧搾部11の前記液誘導部12が前記最大幅位置に重なるように配置してもよい。前者(1)の場合、前記集約部13に集約された体液が液拡散部14を伝って幅方向に拡散しても、ヒップホールド用フラップWの最大幅位置であるため、幅方向端縁からの漏れがより確実に防止できるようになる。後者(2)の場合、体液が液誘導部12を伝って幅方向外側に拡散しても、ヒップホールド用フラップWの最大幅位置であるため、幅方向端縁からの漏れがより確実に防止できるようになる。
なお、前記防漏用圧搾部11は、体液排出部対応領域Hの後側のみ、すなわち前記後側域のみに設け、股下域及び前側域には設けられないようにしてもよい。 図10〜図12において、低圧搾部と高圧搾部とからなる圧搾部のうち、高圧搾部を黒色の塗り潰し部分によって図示し、低圧搾部の外縁は図示を省略している。
1…生理用ナプキン、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、5…被包シート、6…セカンドシート、7…サイド不織布、10…体液排出部用圧搾部、11…防漏用圧搾部、12…液誘導部、13…集液部、14…液拡散部、15…圧搾領域、H…体液排出部対応領域、L…中心線

Claims (8)

  1. 少なくとも吸収体が備えられた吸収性物品において、
    少なくとも前記吸収体を窪ませた窪み部からなるとともに、体液排出部対応領域の少なくとも両側部にそれぞれ吸収性物品の長手方向に沿って、排出された体液を塞き止める体液排出部用圧搾部が形成され、かつ少なくとも前記吸収体を窪ませた窪み部からなるとともに、着用者の体液排出部に対応する領域から拡散する体液の拡散方向を変化させることにより吸収体の端部からの漏れを防止した防漏用圧搾部が、当該体液排出部対応領域の外側であって、前記体液排出部用圧搾部から離隔する外側に所定のパターンで形成され、
    前記防漏用圧搾部は、前記体液排出部対応領域の近位側から遠位側に向けた中心線の両側にそれぞれ配置されるとともに、前記体液排出部対応領域の近位側から遠位側に向かうにしたがって前記中心線を挟んだ互いの離隔距離が小さくなる部分を有し、前記体液排出部対応領域から外側に向けて拡散する体液を前記中心線側に誘導する液誘導部と、前記液誘導部より前記体液排出部対応領域の遠位側における前記中心線上に位置し、前記液誘導部によって誘導された体液を集約する集液部と、前記集液部から前記中心線の両側にそれぞれ延び、集約された体液を前記中心線の両側に向けて拡散させる液拡散部とを備え
    前記液誘導部は、前記中心線の両側にそれぞれ離隔して配置されており、前記集液部は、前記液誘導部の前記中心線側の端縁より、前記体液排出部対応領域の遠位側における前記中心線上に位置し、前記中心線の両側に離隔して配置された前記液誘導部の間隙を塞ぐように、前記液誘導部の端縁に隣接して位置していることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記防漏用圧搾部は、少なくとも前記体液排出部対応領域の前側及び後側のいずれか一方又は両方に配置されている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記液誘導部と前記集液部とは、連続するか、離隔して配置されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記液誘導部は、前記中心線に近づくにしたがって徐々に繊維の平均密度が高くなるように形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記集液部は、低圧搾部と高圧搾部とを有し、前記高圧搾部の平面形状が円形、X形、菱形のいずれかで形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記液拡散部は、前記集液部から前記中心線の両側にそれぞれ、異なる方向に複数延びている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
  7. 前記中心線の両側に延びる複数の前記液拡散部のうち、少なくとも2本の前記液拡散部が、先端部で接続されている請求項記載の吸収性物品。
  8. 前記防漏用圧搾部は、前記中心線に対して左右対称又は左右非対称で形成されている請求項1〜いずれかに記載の吸収性物品。
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