JP2019154381A - ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤 - Google Patents

ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2019154381A
JP2019154381A JP2018048602A JP2018048602A JP2019154381A JP 2019154381 A JP2019154381 A JP 2019154381A JP 2018048602 A JP2018048602 A JP 2018048602A JP 2018048602 A JP2018048602 A JP 2018048602A JP 2019154381 A JP2019154381 A JP 2019154381A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lignin
low
radical
spin
denatured
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018048602A
Other languages
English (en)
Inventor
一洋 敷中
Kazuhiro Shikinaka
一洋 敷中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2018048602A priority Critical patent/JP2019154381A/ja
Publication of JP2019154381A publication Critical patent/JP2019154381A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】従来の方法で単離したリグニンよりもラジカル捕捉能に優れた、ラジカル捕捉剤を提供する。【解決手段】アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする、ラジカル捕捉剤。【選択図】なし

Description

本発明は、ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤、並びにこれに用いる低変性リグニンの超純水分散液及び低変性リグニン粉末、これらの調製方法に関する。
木材の90%以上は細胞壁成分で構成され、細胞壁は主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンから構成されている。前記主成分のうちリグニンは、木材中に通常20〜30%程度存在し、細胞膜同士を接着して中間層を構成する。また木材中のリグニンの一部は、細胞膜にも存在する。
リグニンは、ヒドロキシフェニルプロパンを基本単位とし、縮合してできた、網状高分子化合物である。リグニンはπ共役が連なっており、芳香族の網目構造と有機ラジカルとなり得るフェノール性水酸基を有する。そのためリグニンは、抗酸化作用を示すとされている。例えば電子スピン共鳴(以下、「ESR」ともいう)測定では、リグニンは、安定な有機ラジカルによるピークを示し、ラジカル量(spin/g)も同定されている(非特許文献1参照)。よってリグニンは、スピントラップ剤や活性酸素除去剤としての利用が期待されている。さらに、リグニンによるラジカル捕捉のメカニズムも明らかとなっている(非特許文献2参照)。
しかし、木材中のリグニンは、セルロース、ヘミセルロースなどの他の成分と互いに複雑に結合している。そのため、これらの成分を分離し、リグニンを単離、回収することは容易ではない。
例えば、木材からリグニンを単離する方法としては、炭水化物を溶かしリグニンを不溶解残渣として分離する方法や、リグニンを溶解して分離する方法が一般的である。しかしこれらの方法は、強アルカリや強酸などの薬剤の使用や、高温煮沸などを行うため、環境に対する負荷が大きく、単離したリグニンの利用の妨げとなっている。さらに、このような条件で抽出処理を行うと、植物に存在するリグニン(プロトリグニン)が著しく変性する。さらに、分離方法や分離条件によってリグニンの性状に差異が生じるため、一定の性質のリグニンを単離することは困難である。そのため、従来の方法による単離したリグニンの用途は非常に限定されている。
このような問題の解決のため、本発明者らが、環境に与える負荷を低減し、かつ低変性のリグニンを単離する方法を提案している(特許文献1、非特許文献3及び4参照)。
特開2011−92151号公報
ChemSusChem, 2017, vol. 10, p. 3284-3303 Bioresources, 2013, vol. 8, p. 864-886 Green Chem., 2016, vol. 18, p. 5962-5966 J. Mater. Chem. A, 2018, vol. 6, p. 837-839
前述のように、本来各種植物中に存在するリグニンは、スピントラップ剤や活性酸素除去剤など、ラジカル捕捉剤としての利用の可能性が期待されている。しかし、従来の方法で単離したリグニンは、著しく変性し、性状が安定しないため、その要求に十分応えることができなかった。
また、特許文献1、並びに非特許文献3及び4に記載の方法により得られる低変性リグニンは、様々な用途での応用が期待されている。しかし、低変性リグニンの性質について研究が進んでいないため、産業分野での応用が進んでいない。
そこで本発明は、リグニンを利用した、ラジカル捕捉能に優れた、ラジカル捕捉剤の提供を課題とする。
さらに本発明は、環境に与える負荷が低く、ラジカル捕捉能に優れたラジカル捕捉剤に使用できるリグニンを調製する方法の提供を課題とする。
本発明者は上記課題に鑑み、特許文献1、並びに非特許文献3及び4に記載の方法により得られる低変性リグニンの性質について検討を重ねた。その結果、低変性リグニンはリグニン(プロトリグニン)に近い性質を有し、従来の方法で単離したリグニンよりも、ラジカル捕捉能が高いことを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成されるに至ったものである。
本発明の上記課題は、下記の手段により解決された。
(1)アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする、ラジカル捕捉剤。
(2)アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする、スピントラップ剤。
(3)アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする、活性酸素除去剤。
(4)酸素ラジカル吸収能が10〜30μmolTE/gである、前記(3)項記載の活性酸素除去剤。
(5)セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンを含有する植物系原料をセルロースおよびヘミセルロースの糖化酵素の存在下に湿式粉砕して粉砕物を得、該粉砕物を、糖類を含む液状成分とアルカリ性ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物単量体の収率が15%以上である低変性リグニンを含む含溶媒固形成分とに固液分離し得られる、含溶媒固形成分である前記(1)〜(4)のいずれか1項記載のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、又は活性酸素除去剤。
(6)前記低変性リグニンの粒径が20〜1000 nmである、前記(1)〜(5)のいずれか1項記載のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、又は活性酸素除去剤。
(7)ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上であり、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを超純水に分散させてなる、低変性リグニンの分散液。
(8)ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上であり、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを溶媒に分散させる、低変性リグニンの分散液の調製方法。
(9)ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上であり、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンからなる、低変性リグニン粉末。
(10)前記(8)項に記載の方法で得られた低変性リグニンの分散液を乾燥させ、低変性リグニン粉末を得る、低変性リグニン粉末の調製方法。
(11)前記低変性リグニンの粒径が20〜1000 nmである、前記(7)〜(10)のいずれか1項記載の低変性リグニンの分散液、低変性リグニンの分散液の調製方法、低変性リグニン粉末、又は低変性リグニン粉末の調製方法。
本発明のラジカル捕捉剤は、従来の方法で単離したリグニンよりもラジカル捕捉能の高い低変性リグニンを有効成分とする。そのため、本発明のラジカル捕捉剤は、ラジカル捕捉能に優れ、スピントラップ剤、活性酸素除去剤として用いることができる。
さらに本発明のリグニンを調製する方法によれば、環境に与える負荷が低く、ラジカル捕捉能に優れたラジカル捕捉剤に使用できるリグニンを調製することができる。
本発明のラジカル捕捉剤は、アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする。
以下、本発明のラジカル捕捉剤について好ましい態様に基づいて説明する。しかし本発明は、これらに制限するものではない。
リグニンは、植物の細胞壁や細胞膜に存在する、網状高分子化合物である。リグニンは、ヒドロキシフェニルプロパンを基本単位として構成される。リグニンは、針葉樹、広葉樹、イネ科植物などの植物種により、その構成単位である置換芳香族物質の種類や組成を異にする。本発明で用いるリグニンは、いずれの植物から得られたものであってもよい。
また本発明で用いるリグニンは、粒径が数十〜数百ナノメートルのナノ粒子状であることが好ましい。ナノ粒子状のリグニンを用いることで、細胞やミトコンドリアへの取込みを抑制し、生体毒性の低いラジカル捕捉剤などを提供することができる。本発明においてリグニンの粒径は、20〜1000nmが好ましく、40〜200nmがより好ましい。
本発明で用いるリグニンは、低変性リグニンである。ここで、本発明における「低変性リグニン」とは、アルカリ性ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率(以下、「ニトロベンゼン酸化分解率」ともいう)が15%以上であるリグニンを意味する。ニトロベンゼン酸化分解率は酸化分解で得られるバニリン、バニリン酸ないしシリンガアルデヒドの重量の植物原料中の総リグニン重量に対する比で定義される。アルカリ性ニトロベンゼン酸化は、1939年にドイツのフロイデンベルグが提案した分解方法であり、針葉樹リグニンから20〜28%、広葉樹リグニンからは多くて50%程度の単量体芳香族化合物成分を生成する分解方法である。予め水酸化ナトリウムなどの試薬によりアルカリ性にした水溶液中に木粉もしくはリグニンを添加し、そこにニトロベンゼンをリグニンの0.1〜2.0倍量相当添加し、オートクレーブにて100〜200℃の任意の温度で1〜3時間攪拌しながら加熱する分解法である。酸化分解で得られるバニリン、バニリン酸ないしシリンガアルデヒドの重量よりニトロベンゼン酸化分解率を算出する。
本発明で用いる低変性リグニンが針葉樹由来である場合は、ニトロベンゼン酸化分解率は、18%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、22%以上がさらに好ましく、25%以上がさらに好ましく、27%以上が特に好ましい。本発明で用いる低変性リグニンが広葉樹由来である場合は、ニトロベンゼン酸化分解率は、18%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、22%以上がさらに好ましく、25%以上がさらに好ましく、27%以上がさらに好ましく、30%以上がさらに好ましく、35%以上がさらに好ましく、40%以上がさらに好ましく、45%がさらに好ましく、50%以上が特に好ましい。また、リグニンのアルカリニトロベンゼン酸化反応により生成する芳香族化合物としては、バニリン、バニリン酸、シリンガアルデヒド等が挙げられる。 なお本発明において、アルカリニトロベンゼン酸化反応は、J. Amer. Chem. Soc., 1944, vol. 66, p. 32-37を参照して行う。
本発明で用いるリグニンの調製方法は、後述するリグニンのラジカル量が所定の範囲となる限り、特に制限されないが、植物系原料の細胞壁に含まれるセルロース及びヘミセルロースを糖化酵素で糖化して得られる固形成分から得ることができる。具体的には、特開2011−92151号公報、Green Chem., 2016, vol. 18, p. 5962-5966、J. Mater. Chem. A, 2018, vol. 6, p. 837-839に記載の方法(同時酵素糖化粉砕法)を参照することができる。
例えば、セルラーゼやヘミセルラーゼなどの糖化酵素の存在下で植物原料を水又は緩衝液中で湿式粉砕機を用いて粉砕し、液状成分と固形成分とを含有する粉砕物を得る。そして、得られた粉砕物を固液分離し、糖類、オリゴ糖及び多糖類を含む液状成分と低変性リグニンを含む固形成分とに分離することで、本発明で用いる低変性リグニンを調製することができる。この方法によれば、未変性のリグニン(プロトリグニン)と性質の近い低変性リグニンを得ることができる。この方法は、石油由来有害薬品など毒性の高い薬品等を使用することなく低変性リグニンを得ることができるため、好ましい。
本発明で用いるリグニンの調製方法について、具体的に説明する。しかし本発明はこれに制限するものではない。
同時酵素糖化粉砕に用いる植物系原料は、湿式粉砕の前に、予め5mm以下に粗粉砕しておくのが好ましい。粗粉砕は、カッターミル、チッパー、ロータリーカッター等の公知の粉砕機を用い得る。
糖化酵素は、植物系原料の細胞壁に含まれるセルロースやヘミセルロース等を糖化する酵素であり、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼを挙げることができる。本発明においては、セルラーゼ及びヘミセルラーゼを組み合わせて用いることが好ましい。湿式粉砕時に用いられる糖化酵素の量は特に限定されず、用いる植物原料の量等に応じて適宜設定することができる。
セルラーゼは、β-1,4-グルカンのグルコシド結合を加水分解する酵素である。セルラーゼは、セルロースの分子内部から切断するエンドグルカナーゼ及びセルロースの還元末端もしくは非還元末端から分解しセロビオースを遊離するエキソグルカナーゼ、さらにはセロビオースのグルコシド結合を切断しグルコースへと変換するβ-グルコシダーゼを含む。
また、ヘミセルラーゼは、植物体の細胞壁を構成する多糖類のうちセルロース、ペクチン以外の多糖類を分解する酵素である。ペクチナーゼは、ペクチンを分解する触媒機能を持つポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼなどの酵素を含む。
湿式粉砕の際、糖化酵素の他に、例えば、タンパク質分解酵素等の酵素を併せて用いてもよい。
湿式粉砕は、粉砕対象物を液体中に懸濁させたスラリー状態で粉砕するものであり、たとえばボールミルやビーズミルを用いることができる。
湿式粉砕に用いる液体としては、糖化酵素を失活させることなく粉砕対象物をスラリー状態で保持できるものであれば制限はない。好適には水、およびアルコール等の有機溶媒が挙げられる。
湿式粉砕する条件は、媒体pH2.0〜11.0、媒体と粉砕対象物の質量比1:1〜100:1、粉砕機のビーズ径0.1〜20mm、ビーズ周速0.3〜50m/sec、スラリー流速0.1〜10L/min、ベッセル内温度0〜100℃程度の範囲内で適宜選択し得、経時的に粉砕物の粒度及びスラリー粘度を測定しながら、たとえば好ましくは平均粒度1μm以下となった時点で終了し得る。
湿式粉砕終了後、得られた粉砕物を遠心分離等の固液分離手段により、糖類を含む液状成分と低変性リグニンを含む固形成分とに固液分離される。得られた液状成分に溶出した糖類の量をたとえばソモギーネルソン法など公知の方法により測定し、糖化度が十分でない場合は必要に応じて固形成分に緩衝液と酵素を添加し、任意の温度で攪拌することによりさらに糖化を促進してもよい。
固液分離により得られる固形成分は、水で洗浄し、乾燥させることにより低変性リグニンを得ることができる。得られる低変性リグニンは、既存の抽出法によって得られるリグニンと比較して、β-エーテル結合が良好に保持され、縮合型の炭素-炭素結合が少ない。そのため、アルカリ性ニトロベンゼン酸化のような物理化学的リグニン分解反応を行うことにより良好に低分子化され、バニリン、バニリン酸、シリンガアルデヒド、シリンガ酸などの芳香族化合物単量体を高効率に得ることができる。
さらに、本発明で用いるリグニンのラジカル量は、0.3×1017〜4.0×1017spin/gとする。本発明においては、前記ラジカル量は、0.7×1017〜2.0×1017spin/gであることが好ましい。なお、リグニンのラジカル量の測定方法については、ChemSusChem, 2017, vol. 10, p. 3284-3303に記載の方法を参照して行うことができる。
リグニンによるラジカル捕捉のメカニズムについて、下記に示すスキームを参照して説明する。しかし本発明は、これに制限するものではない。
リグニンが有する、構造式(1)などで表される芳香族化合物残基(以下、「長寿命有機ラジカル」、「分極ラジカル量」ともいう))が、活性酸素などの外的要因で発生する短寿命ラジカルを捕捉すると、構造式(2)で表される芳香族化合物残基となる。その後、構造式(2)で表される芳香族化合物残基が、構造式(1)ないし(3)で表される芳香族化合物残基となることで、反応系の短寿命ラジカルを解消する(Bioresources, 2013, vol. 8, p. 864-886参照)。構造式(1)で表される芳香族化合物残基の長寿命有機ラジカルはESRで検出可能であるが、構造式(2)で表される芳香族化合物残基の短寿命ラジカルはESRでは検出できない。
従来法で単離したリグニンは、構造式(1)で表される芳香族化合物残基の長寿命有機ラジカルに関わるフェノール性水酸基が変性するためラジカル捕捉能は低下する。これに対して、本発明で用いる低変性リグニンは構造式(1)で表される芳香族化合物残基のフェノール性水酸基が保持されるため、ラジカル捕捉能に優れる。具体的には、本発明で用いる低変性リグニンのラジカル量は10×1016spin/gであり、既存の有機溶媒抽出で得られるオルガノソルブリグニンではラジカル量が3×1016spin/g(Eur. Polym. J. 1993, vol. 29, p1495-1497)に比して多い。また既存のリグニンは抽出の際に有害な化学物質(酸、アルカリ、低分子フェノール類、フラン誘導体等)が混入するため活性酸素除去剤として用いることが困難である。さらに、有機変性処理無しに他の有機分子と混和できず、処理過程で構造式(1)に表される芳香族化合物残基が変性するため、スピントラップ剤として用いることができない。
本発明のラジカル捕捉剤が捕捉するラジカル種に特に制限はなく、各種ラジカルから適宜選択することができる。例えば本発明のラジカル捕捉剤は、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素活性酸素などの活性酸素を捕捉することができる。
前記活性酸素は、溶液中のラジカルの寿命が短い。このように短寿命な活性酸素などのフリーラジカルを低変性リグニンによりトラップすることで、より長寿命の2次遊離基を生成し、安定性の高い付加体(有機ラジカル)を与えることができる。そして、ESRスペクトルを主とする分光学的方法で得られた付加体を観測することにより、短寿命なフリーラジカルの構造とその量に関する情報を得ることができる。よって、前述の低変性リグニンを、実験用試薬としてスピントラップ剤の有効成分とすることができる。
また活性酸素は、生体の酸化ストレスや飲食品の変質、日用品、工業製品(耐熱性樹脂、難燃性樹脂など)、工業用原料などの劣化の原因をも引き起こす。このような活性酸素を、前述の低変性リグニンが捕捉することで、活性酸素の除去と、生体、飲食品、工業製品などの無毒化、無害化が可能となる。よって、前述の低変性リグニンを、活性酸素除去剤(飲食品添加剤、酸化防止剤、樹脂劣化防止剤、材料保護剤)の有効成分とすることもできる。
また、本発明の活性酸素除去剤において、酸素ラジカル吸収能が10〜30μmolTE/gであることが好ましい。酸素ラジカル吸収能をこの範囲とすることで、他成分(細胞など)の分解を起こすことなく活性酸素を好適に除去できる。前述の同時酵素糖化粉砕法を通じ調製した低変性リグニンは、上記の酸素ラジカル吸収能を有する。酸化ラジカルの測定方法については、ペルオキシラジカルに対する抗酸化力を測定する試験である水溶性ビタミンE誘導体であるTroloxを標準物質としたOxygen Radical Absorbance Capacity (ORAC) 試験により行うことができる(J. Agric. Food Chem. 2001, vol. 49, p. 4619-4626.参照)。
本発明のラジカル捕捉剤(スピントラップ剤、活性酸素除去剤)の形態に特に限定されない。石油由来有害薬品など毒性の高い薬品等を使用することなく安全性の高いラジカル捕捉剤を提供するとともに、ラジカル捕捉剤の調製により環境に与える負荷を低減する観点から、分散液又は粉末が好ましい。
以下、前述の低変性リグニンからなる、分散液及び粉末の調製方法について説明する。
低変性リグニンからなる分散液は、前述の同時酵素糖化粉砕法により得られた低変性リグニンを、溶媒に分散させることで得ることができる。本発明において、分散液濃度は0.2〜20重量%であることが好ましい。
分散液の調製に用いる溶媒に特に制限はなく、超純水、脱イオン水、蒸留水、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等、通常の溶媒から適宜選択して用いることができる。
低変性リグニンからなる粉末は、前述の方法に得られた低変性リグニンからなる分散液を常法により乾燥させることで得ることができる。分散液の乾燥温度に特に制限はなく、加熱乾燥、常温乾燥、凍結乾燥のいずれであってもよい。
本発明のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、活性酸素除去剤は、様々な用途に利用することができる。例えば、実験用試薬、飲食品添加剤、酸化防止剤、樹脂劣化防止剤、材料保護剤などに用いることができる。また、反応性フェノール基を有する、本発明のラジカル捕捉剤の分解物を、医薬品、香水、溶剤、燃料、高分子など、様々な化学製品、工業製品の前駆物質として用いることもできる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<低変性リグニンの調製>
スギないし稲わらをカッターミル又はジェットミルにより0.02〜5mm程度の大きさに粉砕し、植物粉を得た。得られた植物粉500gを100mMリン酸緩衝液(pH=5.0)4.5Lに一晩浸し、湿式粉砕装置LMZ4(商品名、アシザワ・ファインテック社製)に緩衝液とともに投入した。デュポンジェネンコア社製のセルラーゼ・ヘミセルラーゼ混合液(OptimashXL及びOptimashBGそれぞれ50mL)をさらに添加し、50℃に保ちながら、ジルコニア金属製の0.5mm径のビーズを用いて湿式粉砕を行った。
前記湿式粉砕において適宜植物粉の平均粒度を測定し、平均粒度が10μmとなった時点で、前記ビーズをジルコニア金属製の0.1mm径のビーズに交換した。
上記湿式粉砕は、合計4時間行った。湿式粉砕を進めるにつれ、植物粉懸濁液の粘度は減少した。懸濁液中粒子の平均一次粒径は30〜40nmであった。
粉砕終了後、遠心分離(10,000×g、30分)により上清と残渣とを分離し、上清中の糖をソモギーネルソン法により定量した。残渣を水で洗浄した後、残渣に再度セルラーゼ・ヘミセルラーゼ混合液及びリン酸緩衝液1Lを添加し、50℃で12時間攪拌することにより糖化反応を行った。反応終了後、遠心分離(10,000×g、30分)により上清と残渣に分離し、残渣としてリグニン(低変性リグニン)を得た。得られた上清について、同様に糖量を定量した。
二度の遠心分離により得られた上清中の糖の合計量は原料植物粉の総多糖量の約83%であった。すなわち、植物粉に含まれるセルロース・ヘミセルロースの約83%は分解され、糖として上清に溶出していることが確認された。
<ニトロベンゼン酸化分解率の測定>
前記低変性リグニンを風乾して得た粉末100mg、1N NaOH溶液7mL、及びニトロベンゼン0.4mLを10mL容のステンレスオートクレーブに投入し、170℃で攪拌しながら2.5時間反応させた。反応終了後、内部標準としてp-ヒドロキシ安息香酸15mgを添加した。等量のジエチルエーテルで3回抽出し、ニトロベンゼンと副反応物であるアニリン及びアゾベンゼンを除去した。残った水層に塩酸を添加してpH1.0に調製し、再度等量のジエチルエーテルで3回抽出した。得られた抽出液を減圧下で乾燥し、低変性リグニンから生成した芳香族化合物を得た。得られた芳香族化合物を、10%アセトニトリルを含む10mMリン酸溶液に溶解し、高速液体クロマトグラフィーにより、生成した芳香族化合物の定性及び定量を行った。
その結果、芳香族化合物としてバニリンが20.926mg、バニリン酸が1.72mg、シリンガアルデヒドが1.87mg得られ、用いた低変性リグニンから24.5%の割合で低分子量の芳香族化合物が得られた。すなわち低変性リグニンのニトロベンゼン酸化分解率は、24.5%であった。
一方、従来のサルファイト蒸解法およびアルカリソーダ蒸解法(原口隆英他、「木材の化学」、1985年、文永堂出版参照)で得られるサルファイトリグニン及びクラフトリグニンについて同様にニトロベンゼン酸化分解率を測定した。その結果、ニトロベンゼン分解率は7〜11%であった。また、スギ木粉についても同様にニトロベンゼン酸化分解率を測定した結果、約27%であった。
よって、前記方法により調製した低変性リグニンは、処理されていない未変性のリグニンの状態(性質)に近いことが確認された。
<低変性リグニン超純水分散液の調製>
前記方法で得られた低変性リグニンについて、緩衝剤や酵素などの不純物を除去するため、以下の工程で洗浄した。
低変性リグニンを含む残渣について、21,000×g、90分の条件の遠心分離処理により1〜2回上清の除去と超純水への分散を繰り返し、低変性リグニン超純水分散液を得た。低変性リグニン超純水分散液は7〜10重量パーセントで冷蔵状態にて半年間は沈降を起こさない均一な分散液であった。
<低変性リグニン粉末の調製>
上述の方法で得られた低変性リグニン超純水分散液について、他成分への良好な分散を達成するため、加熱乾燥(80℃、12時間)又は凍結乾燥(-45℃、15Pa、4時間)を行い、粉体化した。得られた粉体の粒径を測定したところ、5〜100μmであった。
乾燥状態のスギ由来リグニンないし稲わら由来リグニンについてRigaku社製TG-8120を用いて熱質量分析を行ったところ、200℃までの加熱で質量減少が11重量%ないし13重量%であり、これは付着した水の脱着に由来するものと考えられた。既報(RSC Adv.2013, vol. 3, p. 3946-3956)においてリグニンを構成する三種のモノマー(バニリン・シリンガアルデヒド・p-ヒドロキシベンズアルデヒド)の割合が植物種で異なることが知られている。稲わら由来リグニンは架橋点を作り得る官能基が最も多いシリンガアルデヒドをスギ由来リグニンに比して多量に含むため含水量が異なると考えられる。
得られた低変性リグニン粉末について電子スピン共鳴(ESR)測定よりラジカル量を評価した。Bruker E500(Bruker社製)を用いて測定モードcw mode、マイクロ波周波数約9.4GHzにて測定を行った。その結果、21℃ないし180℃で15分加熱した後のラジカル量は1.0×1017spin/gないし0.71×1017spin/gであった。
試験例1 フィルムにおける、低変性リグニンのスピントラップ能評価
ポリエチレンカーボネート(PEC, Empower Materials社製)とスギ由来低変性リグニンとを熱混錬にて混合した。混錬射出成型機(井元製作所製、18D0)を用いて120℃、50rpmの条件で90分溶融混錬を行い、その後さらに120℃、50rpmの条件で120分溶融混錬を行い、低変性リグニンとポリエチレンカーボネートとを混合後、ホットプレスをおこない、2cm×2cm角、厚み約100μmのフィルム状複合体を得た。低変性リグニンの配合量は混合物全体量に対し5重量%とした。
フィルムを粉体にした複合体についてESR測定より、ラジカル量を評価した。Bruker E500(Bruker社製)を用いて測定モードcw mode、マイクロ波周波数約9.4GHzにて測定を行った。その結果、21℃ないし180℃で15分加熱した後のラジカル量は1.7×1016spin/gないし0.94×1016spin/gであった。低変性リグニン単体の加熱処理後よりも大幅なラジカル量の減少が確認された。
この結果は、ポリエチレンカーボネートから加熱によって生じたラジカルのトラップによる、リグニン内の安定な有機ラジカルの減少を示唆している。すなわち、低変性リグニンがスピントラップ剤として作用していることを意味する。
試験例2 フィルムにおける、低変性リグニンのスピントラップ能評価
セルロースナノファイバー(直径:3〜100nm、長さ数μm)とスギ由来低変性リグニンとをキャスト法にて混合した。セルロースナノファイバー水分散液(1.62重量%;20mL)をスギ由来低変性リグニン超純水分散液(7.0重量%;1.99mL)と混合し、60℃、3時間のエパポレーションにより水を除去した後、80℃、12時間で加熱乾燥をおこない、2cm×2 cm角、厚み約100μmのフィルム状ないし粉末状のセルロースナノファイバーと低変性リグニンの複合物を回収した。低変性リグニンの配合量は混合物全体量に対し30重量%とした。
フィルムを粉体にした複合体についてESR測定より、ラジカル量を評価した。Bruker E500(Bruker社製)を用いて測定モードcw mode、マイクロ波周波数約9.4GHzにて測定を行った。その結果、21℃ないし200℃で、60分加熱した後におけるラジカル量は2.1×1016spin/gないし5.4×1016spin/gであった。つまり加熱処理により複合物内の低変性リグニンにおける長寿命有機ラジカル量の増加が確認された。
これはセルロース熱分解で生じるセルロース分解物のラジカルとヒドロキシルラジカルによる、リグニン内バニリル基ないしシリンギル基由来キノンの長寿命有機ラジカル化、すなわち低変性リグニン内における長寿命有機ラジカルの量の増加(ChemSusChem, 2017,vol. 10, p. 3284-3303;J. Am. Chem. Soc., 1963, vol. 85, p. 4048-4049参照)を示唆し、低変性リグニンのスピントラップ剤としての働きを意味する。
試験例3 低変性リグニン水分散液の酸素ラジカル吸収能の評価
低変性リグニン超純水分散液について酸素ラジカル吸収能を評価した。具体的には親水性酸素ラジカル吸収能(H-ORAC)を測定した。
スギないし稲わら由来の低変性リグニン超純水分散液を10,000×g、10分遠心分離し得た残渣を75mMリン酸緩衝液(pH 7.4)に37℃で分散させた。そこにFluorescein(30.6nM;Sigma社製)、2,2’-Azobis(2-amidino-propane)dihydrochloride(31.25mM;Aldrich社製)を混合した。
6-Hydroxy-2,5,7,8-tetramethylchromane-2-carboxylic acid(Torlox;6.25〜50μM)を用いて引いた検量線を元にペルオキシラジカル量を同定した。具体的には37℃でインキュベートしたマイクロプレートに入れた試料溶液をMulti Grating Microplate Reader SH-9000Lab(CORONA Electric社製)で読み取り、480nmの蛍光で励起した520nmの蛍光強度の時間変化を測定した。ここではTroloxを標準物質とした値(μmol TroloxEquivalent[TE])をH-ORAC値とした。
スギ由来ないし稲わら由来低変性リグニン超純水分散液についてH-ORACの値は25.3 ないし22.7 μmolTE/gとなった。この値はリンゴのH-ORAC値(Food Sci. Technol. Res., 2016, vol. 22, p. 563-568)に匹敵し、低変性リグニンの活性酸素除去剤としての機能を意味する。
試験例4 低変性リグニン水分散液の生物毒性の評価
低変性リグニン超純水分散液について生物毒性を評価した。具体的には最小発育阻止濃度(MIC)測定試験をおこなった。
スギないし稲わら由来の低変性リグニン超純水分散液を0.2μmのフィルターでろ過したものを原液とし、この原液の最高濃度が10%(100,000ppm)になるようMuller Hinton Broth(MHB)で調整したものを試験試料とし、その2倍希釈10段階を、MHBを用いてそれぞれ作成した。また、検体の代わりに滅菌水を用いて同様に調製した条件を陽性コントロールとした。
試験菌(大腸菌NBRC3972)をソイビーン・カゼイン・ダイジェスト寒天培地に接種し、35℃24時間後、滅菌生理食塩水を用いて、菌数が106/mLになるように作成したものを試験菌液とした。
調製した試験試料とコントロール4.95mLに試験菌液をそれぞれ0.05mL接種し、35℃24時間培養した。また菌液を接種しない試験試料を陰性コントロールとし、同様に培養した。培養後、試験菌の発育医務を肉眼で観察し、MICを判定した。
その結果、MIC値はスギ由来低変性リグニン及び稲わら由来低変性リグニンのいずれの場合も100,000以上となり、生物に対する毒性は無いことが示唆された。また陽性コントロールは試験菌の発育を認め、陰性コントロールは試験菌の発育を認めなかった。
以上のように、本発明のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤で有効成分とする低変性リグニンは、従来法で単離したリグニンと比べて、ラジカル捕捉能が高い。よって、本発明のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤は、生物毒性を認めないながらもラジカル捕捉能に優れる。
さらに、前記低変性リグニンは、石油系溶媒や強酸、強アルカリなどの有毒な薬品を用いることなく、温和な条件で調製することができる。加えて本発明で用いる低変性リグニンは粒径が数十〜数百ナノメートルのナノ粒子であり、細胞やミトコンドリアへの取り込みが困難であるため、生体毒性も少ないと期待される。よって、環境や人体に大きな影響(負荷)を与えることなく、本発明のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤に用いることができる、低変性リグニンの分散液及び粉末を調製することができる。

Claims (11)

  1. アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする、ラジカル捕捉剤。
  2. アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする、スピントラップ剤。
  3. アルカリニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上である、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを有効成分とする、活性酸素除去剤。
  4. 酸素ラジカル吸収能が10〜30μmolTE/gである、請求項3記載の活性酸素除去剤。
  5. セルロース、ヘミセルロースおよびリグニンを含有する植物系原料をセルロースおよびヘミセルロースの糖化酵素の存在下に湿式粉砕して粉砕物を得、該粉砕物を、糖類を含む液状成分とアルカリ性ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物単量体の収率が15%以上である低変性リグニンを含む含溶媒固形成分とに固液分離し得られる、含溶媒固形成分である請求項1〜4のいずれか1項記載のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、又は活性酸素除去剤。
  6. 前記低変性リグニンの粒径が20〜1000nmである、請求項1〜5のいずれか1項記載のラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、又は活性酸素除去剤。
  7. ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上であり、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを溶媒に分散させてなる、低変性リグニンの分散液。
  8. ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上であり、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンを溶媒に分散させる、低変性リグニンの分散液の調製方法。
  9. ニトロベンゼン酸化反応により得られる芳香族化合物の収率が15%以上であり、ラジカル量が0.3×1017〜4.0×1017spin/gの低変性リグニンからなる、低変性リグニン粉末。
  10. 請求項7に記載の方法で得られた低変性リグニンの分散液を乾燥させ、低変性リグニン粉末を得る、低変性リグニン粉末の調製方法。
  11. 前記低変性リグニンの粒径が20〜1000nmである、請求項7〜10のいずれか1項記載のリグニンの分散液、低変性リグニンの分散液の調製方法、低変性リグニン粉末、又は低変性リグニン粉末の調製方法。
JP2018048602A 2018-03-15 2018-03-15 ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤 Pending JP2019154381A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018048602A JP2019154381A (ja) 2018-03-15 2018-03-15 ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018048602A JP2019154381A (ja) 2018-03-15 2018-03-15 ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019154381A true JP2019154381A (ja) 2019-09-19

Family

ID=67992145

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018048602A Pending JP2019154381A (ja) 2018-03-15 2018-03-15 ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019154381A (ja)

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07300422A (ja) * 1994-05-02 1995-11-14 Pola Chem Ind Inc 活性酸素消去剤及びこれを含む組成物
JP2008284312A (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Tohoku Univ 病原性微生物の殺滅方法
JP2011092151A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Forestry & Forest Products Research Institute 植物系原料の処理方法
JP2012058222A (ja) * 2010-09-13 2012-03-22 Keiichi Mitsuda 競争反応の解析方法
JP2013192519A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 木質系バイオマスからバイオマテリアル及び糖を製造する方法
JP2015006997A (ja) * 2013-06-24 2015-01-15 花王株式会社 紫外線吸収剤
JP2015157792A (ja) * 2014-02-25 2015-09-03 国立研究開発法人産業技術総合研究所 リグニン分解物の製造方法
WO2016123520A2 (en) * 2015-01-29 2016-08-04 Washington State University Novel process for producing value-added lignin-based chemicals from alkaline effluent of chemical treatment of lignocellulosic biomass
JP2016204664A (ja) * 2015-04-24 2016-12-08 花王株式会社 樹脂用添加剤
JP2017084722A (ja) * 2015-10-30 2017-05-18 ダイハツ工業株式会社 フリーラジカル測定方法
JP2018178012A (ja) * 2017-04-17 2018-11-15 国立大学法人東京農工大学 樹脂用改質剤、樹脂組成物、固体電解質、リチウムイオン二次電池、及び樹脂用改質剤の製造方法
JP2019151681A (ja) * 2018-02-28 2019-09-12 国立研究開発法人産業技術総合研究所 リグニン粘土複合膜およびその製造方法

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07300422A (ja) * 1994-05-02 1995-11-14 Pola Chem Ind Inc 活性酸素消去剤及びこれを含む組成物
JP2008284312A (ja) * 2007-05-21 2008-11-27 Tohoku Univ 病原性微生物の殺滅方法
JP2011092151A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Forestry & Forest Products Research Institute 植物系原料の処理方法
JP2012058222A (ja) * 2010-09-13 2012-03-22 Keiichi Mitsuda 競争反応の解析方法
JP2013192519A (ja) * 2012-03-21 2013-09-30 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology 木質系バイオマスからバイオマテリアル及び糖を製造する方法
JP2015006997A (ja) * 2013-06-24 2015-01-15 花王株式会社 紫外線吸収剤
JP2015157792A (ja) * 2014-02-25 2015-09-03 国立研究開発法人産業技術総合研究所 リグニン分解物の製造方法
WO2016123520A2 (en) * 2015-01-29 2016-08-04 Washington State University Novel process for producing value-added lignin-based chemicals from alkaline effluent of chemical treatment of lignocellulosic biomass
JP2016204664A (ja) * 2015-04-24 2016-12-08 花王株式会社 樹脂用添加剤
JP2017084722A (ja) * 2015-10-30 2017-05-18 ダイハツ工業株式会社 フリーラジカル測定方法
JP2018178012A (ja) * 2017-04-17 2018-11-15 国立大学法人東京農工大学 樹脂用改質剤、樹脂組成物、固体電解質、リチウムイオン二次電池、及び樹脂用改質剤の製造方法
JP2019151681A (ja) * 2018-02-28 2019-09-12 国立研究開発法人産業技術総合研究所 リグニン粘土複合膜およびその製造方法

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CHENGZHONG CUI ET AL., BIORESORCES, vol. 8, no. 1, JPN6021044909, 2013, pages 864 - 886, ISSN: 0004639448 *
K. SHIKINAKA ET AL., JOURNAL OF MATERIALS CHEMISTRY A, vol. 6, no. 3, JPN6021044910, 21 January 2018 (2018-01-21), pages 837 - 839, ISSN: 0004778433 *
KAZUHIRO SHIKINAKA ET AL., GREEN CHEMISTRY, vol. 18, no. 22, JPN6021044904, 21 November 2016 (2016-11-21), pages 5962 - 5966, ISSN: 0004639450 *
LIANGLIANG AN ET AL., INTERNATIONAL JOURNAL OF BIOLOGICAL MACROMOLECULES, vol. 99, JPN6021044908, 7 March 2017 (2017-03-07), pages 674 - 681, ISSN: 0004778434 *
MARK A. WEST ET AL., BIORESOURCES, vol. 9, no. 2, JPN6021044907, 2014, pages 2782 - 2796, ISSN: 0004639449 *
敷中 一洋、大塚 祐一郎: "環境適応型プロセスにおける非可食植物バイオマスの抽出および機能素材化", ケミカルエンジニヤリング, vol. 62, no. 6, JPN6021044914, 1 June 2017 (2017-06-01), pages 66 - 70, ISSN: 0004778432 *

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6964881B2 (ja) リグニン粘土複合膜およびその製造方法
Roopan An overview of natural renewable bio-polymer lignin towards nano and biotechnological applications
JP6007081B2 (ja) リグニン分解物の製造方法
Freitas et al. Green synthesis of lignin nano-and micro-particles: Physicochemical characterization, bioactive properties and cytotoxicity assessment
Vázquez et al. Refining of autohydrolysis liquors for manufacturing xylooligosaccharides: evaluation of operational strategies
Duarah et al. Technological advancement in the synthesis and applications of lignin-based nanoparticles derived from agro-industrial waste residues: A review
Rai et al. Lignin incorporated antimicrobial chitosan film for food packaging application
Aelenei et al. Tannic acid incorporation in chitosan-based microparticles and in vitro controlled release
Guerra et al. Toward a better understanding of the lignin isolation process from wood
Ten et al. Recent developments in polymers derived from industrial lignin
Yun et al. Isolating high antimicrobial ability lignin from bamboo kraft lignin by organosolv fractionation
JP2011092151A (ja) 植物系原料の処理方法
EP2213678A1 (en) Production methods for solubilized lignin, saccharide raw material and monosaccharide raw material, and solubilized lignin
JP6182368B2 (ja) リグニン分解物の製造方法
JP2020534428A (ja) イオン性ポリマーおよびバイオマス加工への使用
CN107098803A (zh) 一种木质素的分离提纯及降解方法
Benkő et al. Heat extraction of corn fiber hemicellulose
Juttuporn et al. Ultrasound-assisted extraction of antioxidant and antibacterial phenolic compounds from steam-exploded sugarcane bagasse
Sa’don et al. The effect of p-nitrophenol toward the structural characteristics and antioxidant activity of oil palm fronds (OPF) lignin polymers
Bernhardt et al. Husks of Zea mays as a potential source of biopolymers for food additives and materials' development
JP2009051797A (ja) お茶からの成分抽出法および抽出物
Yang et al. Structure and properties of eucalyptus lignin extracted with benzenesulfonic and p-toluenesulfonic acids under mild conditions
Araújo et al. Biological activities and physicochemical characterization of alkaline lignins obtained from branches and leaves of Buchenavia viridiflora with potential pharmaceutical and biomedical applications
Fiorentini et al. High-pressure autohydrolysis process of wheat straw for cellulose recovery and subsequent use in PBAT composites preparation
JP2019154381A (ja) ラジカル捕捉剤、スピントラップ剤、及び活性酸素除去剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201126

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220112

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220524