JP2011092151A - 植物系原料の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リグニンの変性を抑え、穏和な条件で植物原料から糖類等を含む成分と低変性リグニンを含む成分に分離する植物原料の処理方法を提供する。
【解決手段】糖化酵素の存在下にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含有する植物系原料を水又は緩衝液中湿式粉砕機で粉砕し、液状成分と固形成分とを含有する粉砕物を得、該粉砕物を固液分離し、糖類、オリゴ糖及び多糖類を含む液状成分と低変性リグニンを含む固形成分に分離することを特徴とする植物系原料の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物系原料から糖類等を含む成分と低変性リグニンを含む成分に分離する植物系原料の処理方法に関するものである。
木材の90%以上は細胞壁成分で構成され、細胞壁成分は主にセルロース、ヘミセルロース、リグニンから構成されている。これら3つの成分は細胞壁中ではお互いに複雑に結合しているため、それらをそのまま分離することは容易ではない。細胞壁成分の分離技術は、紙・パルプの製造分野でいくつか開発され行われているが、これらの方法では酸・アルカリもしくは高熱等、非常に強い反応条件で成分分離を行う為、セルロース・ヘミセルロースは良好に得られるもののリグニンは著しく変性してしまう為に、その用途は非常に限定されている。
60℃以下の条件で強酸もしくは強アルカリを用いることなく、細胞壁成分から低変性リグニンを取り出す技術は確立されていない。木材を乾式粉砕により微粉末化した後にセルラーゼ・ヘミセルラーゼにより多糖類を分解する技術は報告されているものの、その処理によるセルロース・ヘミセルロースの除去率は50%程度であり、さらに得られるリグニンはメカノケミカル反応により著しく変性している(非特許文献1〜3)。
また、湿式粉砕方式による木材の微粉砕においては、スラリー粘度が急激に上昇し粉砕機が停止してしまう問題があった。
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本発明が解決しようとする課題はリグニンの変性を抑え、穏和な条件で植物原料から糖類等を含む成分と低変性リグニンを含む成分に分離する植物原料の処理方法を提供することにある。
湿式粉砕方式による粘度上昇は、木材中の繊維質(セルロース・ヘミセルロース)の露出によると考えられ、これら繊維質を分解しながら木粉を湿式粉砕することが出来れば、粘度上昇の問題は解決できると考えられた。
そこで、セルラーゼ・ヘミセルラーゼの存在下で木材の湿式粉砕を行ったところ、粘度の上昇は見られず約200nmの超微粉末を得ることが出来た。得られた微粉末の性状を分析した結果、85%以上のセルロース・ヘミセルロースが除去されていることが明らかとなり、高効率に低変性リグニンを得ることが出来ることが判明した。
上記課題を解決するための本発明は、以下に関するものである。
(1) 糖化酵素の存在下にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含有する植物系原料を水又は緩衝液中湿式粉砕機で粉砕し、液状成分と固形成分とを含有する粉砕物を得、両成分を固液分離し、糖類、オリゴ糖及び多糖類を含む液状成分と低変性リグニンを含む固形成分に分離することを特徴とする植物系原料の処理方法。
(2) 糖化酵素がセルラーゼ及びヘミセルラーゼである(1)に記載の処理方法。
(3) 緩衝液がリン酸緩衝液であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の処理方法。
(4) 湿式粉砕機がビーズミルであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の処理方法。
(5) 得られた固形成分をニトロベンゼン酸化して芳香族化合物を製造することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の処理方法。
(6) 得られた液状成分をエタノール発酵してエタノールを製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理方法。
本発明方法により、穏和な条件で植物系原料から低変性のリグニンを含む成分と糖類等を含む成分に分離でき、以下のような効果を奏する。
(1)本発明は強酸・強アルカリ・高熱を必要としないため、環境に与える負荷を低減し、低コストに木材成分を分離できる。
(2)低変性リグニンの安定的生産により、リグニンの高付加価値を利用することができる。
(3)液状成分として得られる糖及びオリゴ糖の高度利用(バイオエタノール生産等)を図ることができる。
実施例1の糖化粉砕における粘度及び粒度の経時変化を示すグラフ。 実施例1の糖化粉砕における糖化率を示すグラフ。 実施例1の糖化粉砕により得られた固形分をニトロベンゼン酸化した生成物の高速液体クロマトグラフィーのチャート。 実施例1の糖化粉砕により得られた固形分をニトロベンゼン酸化した生成物のニトロベンゼン酸化分解率を示すグラフ。 実施例1の糖化粉砕により得られた液状成分をエタノール発酵した生成物の高速液体クロマトグラフィーのチャート。
本発明において、原料として用いられる植物系原料とは、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含む植物系のバイオマスであり、例えば杉、檜等に代表される針葉樹、ポプラ、白樺等に代表される広葉樹、またイネ、トウモロコシ等に代表される草本類を挙げることができる。また、これら植物系バイオマスは生体に限らず例えば建築廃材や農産廃棄物といったものでも構わない。本発明おける植物系原料はこれらに限定されず、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含む植物体であれば広く用いることができる。
これらの植物系原料は湿式粉砕しやすいように、あらじめ5mm以下に粗粉砕しておくのが好ましい。粗粉砕は、カッターミル、チッパー、ロータリーカッター等の公知の粉砕機を用いればよい。
まず本発明では、糖化酵素の存在下に湿式粉砕する。
本発明で用いられる糖化酵素とは、植物系原料の細胞壁に含まれるセルロースやヘミセルロース等を糖化する酵素であり、セルラーゼ、ヘミセルラーゼペクチナーゼを挙げることができる。
セルラーゼとは、β-1,4-グルカンのグルコシド結合を加水分解する酵素のことで、セルロースの分子内部から切断するエンドグルカナーゼ及びセルロースの還元末端もしくは非還元末端から分解しセロビオースを遊離するエキソグルカナーゼ、さらにはセロビオースのグルコシド結合を切断しグルコースへと変換するβ-グルコシダーゼを含む酵素であり、ヘミセルラーゼとは、植物体の細胞壁を構成する多糖類のうちセルロース、ペクチン以外の多糖類を分解する酵素であり、ペクチナーゼとは、ペクチンを分解する触媒機能を持つポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ペクチンメチルエステラーゼなどの酵素である。
本発明における湿式粉砕手段とは、粉砕対象物を液体中に懸濁させたスラリー状態で粉砕するものであり、たとえばボールミルやビーズミルを挙げることができる。
以下、糖化酵素存在下における湿式粉砕を「糖化粉砕」と称することがある。
湿式粉砕に用いる媒体としては、水(塩等の添加物が含まれていても構わない)、有機溶媒、イオン液体などが挙げられるが、添加する酵素を失活させることなく粉砕対象物をスラリー状態で保持できる液状のものであれば何でも構わない。
本発明において湿式粉砕する条件は、媒体pH2.0〜11.0、媒体と粉砕対象物の重量比1:1〜100:1、粉砕機のビーズ径0.1〜20mm、ビーズ周速0.3〜50m/sec、スラリー流速0.1〜10L/min、ベッセル内温度0〜100℃の範囲内で適宜選択すればよく、経時的に粉砕物の粒度及びスラリー粘度を測定しながら、任意の数値(平均粒度1μm以下が望ましい)となったところで終了すればよい。
湿式粉砕終了後、得られた粉砕物を遠心分離等の固液分離手段により液状成分と固形成分に分離すればよい。得られた液状成分に溶出した糖量を例えばソモギーネルソン法など公知の方法により測定し、糖化度が十分でない場合は必要であれば固形成分に緩衝液と酵素を添加し、任意の温度で攪拌することによりさらに糖化を促進しても良い。
固液分離により得られる固形成分は、水など適当な液体で数回洗浄し、乾燥させることにより低変性リグニンを得ることが出来る。得られた低変性リグニンを粉末化することにより、例えばプラスチックなどへ混ぜ込むことにより著しく機能を損なうことなくバイオマス価を上げることが出来るだけでなく、リグニン特有のUV吸収能を利用したUVカットプラスチックの作成が可能になる。
また、本発明によって得られる低変性リグニンは、木材から緩衝液と酵素のみを用いて作成する為に、抗酸化剤としての食品添加物もしくは医薬品として抗ウイルス剤、抗ガン剤としての用途に使用することが出来る。
さらに、本発明によって得られる低変性リグニンは、既存の抽出法によって得られるリグニンと比較して、β-エーテル結合が良好に保持され、縮合型の炭素-炭素結合が少ないことから、例えばアルカリ性ニトロベンゼン酸化のような物理化学的リグニン分解反応を行うことにより良好に低分子化され、バニリン、バニリン酸、シリンガアルデヒド、シリンガ酸などの単量体芳香族化合物を高効率に得ることが出来る。
アルカリ性ニトロベンゼン酸化とは、1939年にドイツのフロイデンベルグが発案した分解方法で針葉樹リグニンから20〜28%、広葉樹リグニンからは多くて50%程度の単量体芳香族化合物を得ることが出来る分解方法である。予め水酸化ナトリウムなどの試薬によりアルカリ性にした水溶液中に木粉もしくはリグニンを添加し、そこにニトロベンゼンをリグニンの0.1〜2.0倍量相当加えオートクレーブにて100〜200℃の任意の温度で1〜3時間攪拌しながら加熱する分解法である。現在のところアルカリ性ニトロベンゼン酸化が最も効率よく木粉やリグニンから単量体芳香族化合物を得る方法であるが、この方法以外にも過マンガン酸カリウムや金属酸化物、金属を担持したヘテロポリ酸などを触媒とする分解法によっても単量体芳香族化合物を得ることが出来る。
これらの芳香族単量体は、香料や工業原料として利用することが出来る。加えて、大塚らの文献(微生物機能を用いたリグニン低分子化芳香族化合物からの新規ポリマー原料の生産と高機能性ポリマー開発への挑戦 環境バイオテクノロジー学会誌;Vol.6,(2),93-103, 2006)に記載される微生物発酵技術を用いることにより、低変性リグニンから得られる芳香族単量体混合物を高効率に2-ピロン-4,6-ジカルボン酸(以下PDCと略すことがある)へと変換することが可能となる。PDCはポリマー原料として広く利用することが出来、近年の研究ではフィルムシートやプラスチックス、強力な接着剤などがPDCから作成できることが明らかとなっている。
固液分離による得られる液状成分は、木材中のセルロースやヘミセルロースなどから酵素によって遊離した、グルコース、キシロース、アラビノース、セロビオース、マンノース、ガラクトース、ウロン酸、O-メチル-ウロン酸、さらにこれらの糖が2〜9個繋がったオリゴ糖や10以上繋がった多糖類が含まれている。この液状成分に例えば公知の酵母などのエタノール発酵用の微生物を添加し、適当な温度(15〜50℃)、pH(3.0〜9.0)等の条件下で微生物を培養してアルコール発酵を行い、糖をエタノールに変換し、エタノールを製造することができる。このとき、必要に応じて、糖液にさらに、窒素やリンなどの微生物発酵基質を加えても良い。
ここで、エタノール発酵に用いられる微生物としては、Zymomonas菌、Saccharomyces属酵母、Pichia属酵母、Candida属酵母などに属する従来公知の各種エタノール発酵微生物や、遺伝子組換え大腸菌等のエタノール発酵能を遺伝子操作的に付与した微生物を用いることができる。これらは必要に応じて組み合わせてもよい。微生物の具体例としては、Saccharomyces属酵母としてはSaccharomyces cerevisiae NBRC2347株(NBRC保存株)、Pichia属酵母としてはPichia stipitis NBRC10063株(NBRC保存株)などが挙げられる。
さらに得られた発酵液を蒸留し、脱水することによって燃料用のバイオエタノールを得ることが出来る。また、液状成分からキシロースやオリゴ糖などを精製することによって甘味料や保存料としての食品添加物を得ることが出来る。例えばオリゴ糖を得る場合は、糖化粉砕処理によって得られた液状成分に活性炭を液量に対して0.1〜5%重量相当添加し数分〜24時間攪拌、その後活性炭を濾過等により除去することによって単量体の糖及び低分子有機物が除去され、良好にオリゴ糖を得ることが出来る。その他、限外濾過膜やゲル濾過担体を用いることによっても精製することが出来る。キシロースなどの単量体の糖を得る場合は、例えば上記方法によりオリゴ糖を得た後に得られる活性炭をアルコールなどの有機溶媒を含む水溶液に添加攪拌することにより、良好に分離することが出来る。また、必要であれば各種分離担体を充填したカラムを用いて分離精製することも可能である。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、この実施例により本発明が限定されるものではない。
スギ木材をカッターミルにより2〜5mm程度に粉砕した木粉500gを4.5Lの100mMリン酸緩衝液(pH5.0)に一晩浸した後、アシザワファインテック社製の湿式粉砕装置LMZ4に投入した。LMZ4に用いるビーズはジルコニア金属製の2mm径のものを用いた。木粉をLMZ4に投入後、ジェネンコア社製のセルラーゼ・ヘミセルラーゼ混合液(OptimashXL及びOptimashBGそれぞれ50mL)を添加し50℃に保ちながら、湿式粉砕を開始した。平均粒度が10μmとなった時点で、ビーズを0.5mm径に交換し、湿式粉砕を継続した。その後30分おきに試料を20mLずつ採取し、粘度及び粒度を測定した。糖化粉砕における粘度及び粒度の経時変化を図1に示す。これらの結果から、通常木材の湿式粉砕では急激な粘度上昇が起こるが、糖化湿式粉砕では逆に粘度が減少することがわかった。また、この処理により平均粒度約279nmの超微粉末が得られることが明らかとなった。
粉砕終了後、遠心分離により上清と残渣を分離した。投入した酵素により木材中のセルロース・ヘミセルロースが分解され糖となって上清に遊離していると考えられる為、上清に遊離した糖をソモギーネルソン法により定量した。残渣には、未分解のセルロース・ヘミセルロースがまだ多く含まれていることが考えられた為、水で洗浄した後セルラーゼ・ヘミセルラーゼ混合液とリン酸緩衝液1Lを添加し、50℃で12時間攪拌することにより糖化反応を完了させた。反応終了後、遠心分離により上清と残渣に分離し、上清は同様に遊離糖量を定量した。また、残渣には酵素によって分解されないリグニンが残っていると考えられる為、クラーソン法により残渣のリグニン量を定量した。これらの結果から、木材中に含まれるセルロース・ヘミセルロースの約85%は分解され糖として上清に溶出していることが明らかとなった(図2)。
また、残渣として得られた低変性リグニンから芳香族化合物の生産性を評価する為に、ニトロベンゼン酸化反応を行った。風乾した低変性リグニン粉末100mg、1N NaOH溶液7mL、ニトロベンゼン0.4mLを10mL容のステンレスオートクレーブに投入し、170℃で攪拌しながら2.5時間反応させた。反応終了後、内部標準としてp-ヒドロキシ安息香酸を15mg添加した。等量のジエチルエーテルで3回抽出しニトロベンゼンと副反応物であるアニリン、アゾベンゼンを除去した。残った水層に塩酸を添加し、pH1.0に調製した後、再度等量のジエチルエーテルで3回抽出した。得られた抽出液を減圧下で乾燥し、低変性リグニンから生成した芳香族化合物を得た。得られた芳香族化合物を10%アセトニトリルを含む10mMリン酸溶液に溶解し、高速液体クロマトグラフィーにより生成した芳香族化合物の定性と定量を行った。図3の結果から、芳香族化合物としてバニリンが20.926mg、バニリン酸が1.72mg、シリンガアルデヒドが1.87mg得られ、低変性リグニンから24.5%の割合で単量体の芳香族化合物が得られることが明らかとなった(図3)。
また、従来のパルプ製造過程で得られるサルファイトリグニンやクラフトリグニンにおけるニトロベンゼン酸化分解率(7〜11%)と比較して、約24%の分解率を示したことから、変性の非常に少ないリグニンが高効率かつ容易に得られることが明らかとなった(図4)。
糖化湿式粉砕終了後、遠心分離によって得られた上清をそのままエタノール発酵に用いることが出来るか試験した。酵母(Saccharomyces cerevisiae NBRC 2347)をYM broth培地100mLにて30℃、pH5.0で、24時間前培養した。得られた前培養菌体を遠心分離によりペレット状菌体として回収し、糖化湿式粉砕上清液50mLに懸濁した。その後32℃で3日間ゆっくり攪拌しながら発酵させた。発酵前の0時間サンプルと発酵3日後のサンプルについて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりグルコース量とエタノール量を測定した。HPLC分析は以下の条件で行った。SUGER KS-802 カラムをタンデムに2本つなぎ、溶出液としてはイオン交換水を用いた。流速は1mL/min、カラム温度は80℃で、検出器はrefractometerを用いて糖及びエタノールを検出した。0時間サンプル及び発酵3日後のサンプルの分析結果を図5に示す。この結果から、0時間サンプルでは約13.07mg/mLのグルコースが検出され、エタノールが検出されていないのに対し、発酵3日後ではグルコースが全量消費されエタノールが7.13mg/mLの濃度で検出された。このことは糖化粉砕処理上清に含まれるグルコースが発酵理論値としてほぼ100%エタノールへと変換されていることを示している。以上の結果から、糖化粉砕処理後の上清に遊離した糖はそのままエタノール発酵に用いることが出来ることが明らかとなった。
本発明方法により、穏和な条件で植物系原料から低変性のリグニンを含む成分と糖類等を含む成分に分離できるので、植物系原料を有効に活用することが可能となり、極めて有用である。

Claims (6)

  1. 糖化酵素の存在下にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンを含有する植物系原料を水又は緩衝液中湿式粉砕機で粉砕し、液状成分と固形成分とを含有する粉砕物を得、該粉砕物を固液分離し、糖類、オリゴ糖及び多糖類を含む液状成分と低変性リグニンを含む固形成分に分離することを特徴とする植物系原料の処理方法。
  2. 糖化酵素がセルラーゼ及びヘミセルラーゼである請求項1に記載の処理方法。
  3. 緩衝液がリン酸緩衝液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理方法。
  4. 湿式粉砕機がビーズミルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の処理方法。
  5. 得られた固形成分をニトロベンゼン酸化して芳香族化合物を製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理方法。
  6. 得られた液状成分をエタノール発酵してエタノールを製造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の処理方法。
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