JP2019153785A - 発光装置の製造方法および発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の封止部材の形成の点でより効率の良い発光装置の製造方法を提供すること。【解決手段】基板上に複数の発光部を備えた発光装置を製造する方法であって、複数のノズル25を有する吐出デバイス20から封止原料を基板に供給して、複数の光源それぞれを被覆する複数の封止部材を形成する封止部材形成工程を有し、封止部材形成工程は、第1の封止部材形成工程と、後続する第2の封止部材形成工程とを含み、第1の封止部材形成工程において、後に封止原料が複数のノズルのそれぞれから懸下した糸状懸下体10として残るように、封止部材を形成しており、糸状懸下体を吐出デバイスから懸下させた状態から、第2の封止部材形成工程を開始することを特徴とする製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、発光装置の製造方法および発光装置に関する。特に、光源を被覆する封止部材を有する発光装置の製造方法に関するとともに、かかる製造方法で得られる発光装置にも関する。
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、一般的に低電力で高輝度の発光が可能であり、長寿命であることから発光素子として好適に利用されている。かかる発光素子を光源に用いた発光装置は、例えば一般照明器具およびバックライトなどとして実用化されている。
発光装置に用いられる発光素子は、一般に封止部材により被覆されている。かかる封止部材の形状によって、いわゆるバットウイング型の配光特性を実現することが提案されている(例えば特許文献1および2参照)。
特開2016−171227号公報 特開2016−154204号公報
発光装置は、薄型化などが求められるところ、効率よく製造できることも重要である。
発光部を複数備えた発光装置の製造の場合、吐出デバイスから封止原料を供給して複数の発光部の封止部材をそれぞれ形成する。かかる複数の封止部材形成を行うには封止原料を基板上に順次供給していく。このため、各封止部材の形成に際して吐出デバイスを移動させる必要があり、そのための時間が製造時間に含まれることになる。特に、各封止部材の形成に伴って吐出デバイスを水平方向駆動させるだけでなく鉛直方向駆動させたり、封止原料の供給停止および供給再開などを行ったりする必要があり、封止部材形成を複数回実施するのに要する時間というものは決して無視できるものではない。
つまり、吐出デバイスで封止原料を順次供給して複数の封止部材を形成する発光装置の製造においては、さらなる効率化が求められる。
本開示はかかる課題に鑑みて為されたものである。即ち、本開示の主たる目的は、複数の封止部材の形成の点でより効率の良い発光装置の製造方法を提供することである。
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された製造方法の発明に至った。
本開示は、基板と、前記基板上に配置された複数の光源と、前記複数の光源それぞれを被覆する封止部材とを備えた発光装置を製造する方法であって、
複数のノズルを有する吐出デバイスから封止原料を前記基板に供給して、前記複数の光源それぞれを被覆する複数の封止部材を形成する封止部材形成工程を有し、
前記封止部材形成工程は、第1の封止部材形成工程と、後続する第2の封止部材形成工程と、を含み、
前記第1の封止部材形成工程において、後に前記封止原料が前記複数のノズルのそれぞれから懸下した糸状懸下体として残るように、前記封止部材を形成し、
前記糸状懸下体を前記吐出デバイスから懸下させた状態から、前記第2の封止部材形成工程を開始する、製造方法である。
本開示の発光装置の製造方法では、複数の封止部材をより効率の良く形成することが可能となる。
具体的には、本開示の製造方法は、糸状懸下体に起因して、後続する発光部の封止部材形成をより効率良く実施できる。糸状懸下体は、後続する封止部材形成に先立って設けるところ、その存在によって、後続の封止部材形成をより早く開始できる。
より具体的にいえば、糸状懸下体の存在によって、後続の封止部材形成のため先行の封止部材形成から吐出デバイスを鉛直方向駆動する距離がより少なくて済み、より短い所要時間で後続の封止部材形成を開始することができる。これは、ある封止部材形成と後続の封止部材形成との間に要する時間をより短くでき、複数の封止部材をより短時間で形成できることを意味している。
また、本開示の製造方法は、吐出デバイスから糸状懸下体を懸下させるので、吐出デバイスを用いた封止原料の供給開始をよりスムーズかつ正確に行うことができる。従前においては、吐出デバイスのノズルが通常小径ノズルであること等に起因して、吐出の開始に際しては封止原料がノズルから勢いよく一時に噴出する虞があった。つまり、周囲に散逸するように封止原料が供給開始される虞があった。この点、本開示においては、吐出デバイスのノズルから糸状懸下体を懸下させており、かかる懸下状態から封止原料の吐出を開始するので、封止原料をよりスムーズに基板へと供給できる。また、本開示では、封止原料がノズルから既に露出した状態となっている糸状懸下体を介すことで吐出を行うので、“ノズルから勢いよく一時に噴出する”といった事象が生じにくい。つまり、より正確に封止原料の供給開始を行うこともできる。
糸状懸下体を模式的に表した斜視図および一部拡大断面図 後続する封止部材形成に先立って残す糸状懸下体を説明するための模式的斜視図 封止原料の供給開始のため吐出デバイスを下降させる態様を説明するための模式的断面図 糸状懸下体の形成を例示した模式的断面図 糸状懸下体の形成をより具体的に例示した模式的断面図 吐出デバイスのノズル設置例を示した模式的平面図 吐出デバイスのノズル設置例を示した模式的平面図 吐出デバイスのノズル設置例を示した模式的平面図 吐出デバイスのノズル設置例を示した模式的平面図 “ダミー供給の態様”を説明するための模式的断面図 本開示の一実施態様に係る発光装置を示した模式的平面図、およびかかる装置に設けられた発光部を示した模式的斜視図 本開示の一実施態様に係る発光装置(特にその発光部)を例示した模式的平面図および断面図 本開示の一実施態様に係る発光装置(特にその発光部)をより具体的に例示した模式的平面図および断面図 パッケージとして供される発光素子の構成を示した模式的断面図 パッケージとして供される発光素子の構成を示した模式的断面図 本開示の一実施態様に係る発光装置に設けられた発光部の配光特性を例示した図 封止部材における突起の設置位置およびサイズを説明するための模式的断面図
以下では、本開示の一実施形態に係る製造方法およびかかる製造方法で得られる発光装置をより詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図面における各種の要素は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
本明細書で直接的または間接的に用いる「上下方向」および「左右方向」などは、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。そして、かかる“上下方向”に直交する方向が水平方向、すなわち「左右方向」に相当すると捉えることができる。
本明細書において「断面視」は、発光部または発光装置の厚み方向に沿って切り取った仮想断面に基づいている。換言すれば、発光部が設けられる基板の主面に直交する方向に沿って切り取った断面の見取図が「断面視」に相当する。また、本明細書で用いる「平面視」とは、上記厚みの方向に沿って対象物を上側または下側からみた場合の見取図に相当する。
[発光装置の製造方法]
本開示に係る製造方法は、基板上に複数の発光部を備えた発光装置を製造する方法である。本開示の製造方法は、吐出デバイスを用いた複数の発光部の封止部材形成の点で特徴を有している。特に、ある発光部の封止部材の形成と、後続する別の発光部の封止部材形成との間における封止原料の扱いに特徴がある。
具体的には、複数のノズルを有する吐出デバイスから封止原料を基板に供給して発光部の光源を被覆する封止部材を形成するところ、本開示の製造方法では「発光部の封止部材形成」(第1の封止部材形成工程)と「後続する別の発光部の封止部材形成」(第2の封止部材形成工程)とを有し、第1の封止部材形成工程において、後に封止原料が複数のノズルのそれぞれから懸下した糸状懸下体として残るようにする。
本明細書で用いる「第1の封止部材形成工程」および「第2の封止部材形成工程」とは、それぞれ互いに異なる発光部の封止部材を形成するための工程を意味している。つまり、第1の封止部材形成工程を通じて得られた発光部と、第2の封止部材形成工程を通じて得られた発光部とは、互いに別個の発光部を成す。端的にいえば、これらの封止部材形成工程は、同じ光源に対してではなく、それぞれ別の光源に対して施す封止工程であるといえる。
本明細書において「基板」とは、発光部を載置するための発光装置部材のことを指している。本開示の製造方法に用いる基板は、好ましくは、発光部の光源が設けられた基板である。つまり、吐出デバイスによる封止部材形成に用いられる基板として、発光部の光源(好ましくは、複数の発光部のための複数の光源)が予め設けられた基板であることが好ましい。ある好適な態様では、本開示の製造方法に用いる基板は、その主面にて複数の光源がアレイ状に設けられている。例えば、そのような基板においては、複数の光源が少なくとも1つの方向に沿って整列しており、および/または、複数の光源が略一定のピッチ間隔で設けられている。なお、本開示の製造方法に用いる基板には、光源とともに、かかる光源に電力を供給するための導電配線が設けられていてもよい。
本明細書において「光源」とは、光を発する部材のことを指している。本開示における光源は、光を発するものであれば、その形状および/または構造などは特に限定されない。例えば、光源はLEDに代表される発光素子であってよく、あるいは、発光素子と波長変換部材とを組み合わせたもの(たとえば発光ダイオードパッケージ)であってもよい。ここでいう「波長変換部材」は、発光素子が発する光の一部または全部を他の波長の光に変換する部材のことを指しており、例えば蛍光体部材を挙げることができる。
本開示の製造方法で供される糸状懸下体は、吐出デバイスから封止原料を懸下することで形成するところ、特に、後続する発光部の封止部材形成(第2の封止部材形成工程)に先立って設けておく。これにより、後続の封止部材形成をより早く開始できる。本明細書において「封止原料」は、発光部の光源を被覆する封止部材の原料を指しており、特に流体状(好ましくはペースト状)の原料を指している。封止原料は、電気的絶縁性を有し、光源から出射される光に対して透過可能(例えば、透過率70%以上)であって、固化前(例えば硬化完了前)は流動性を有する材料であってよい。例示すると、封止原料は樹脂原料(例えば硬化性樹脂原料)を含んで成っていてよく、かかる場合、糸状懸下体を“糸状樹脂体”または“樹脂懸下体”などと称すことができる。このような樹脂原料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂、又はこれらの変性樹脂やハイブリッド樹脂等を挙げることができる。なかでも、シリコーン樹脂は、耐熱性および/または耐光性に優れているので好ましい(本明細書でいう「シリコーン樹脂」は、その変性樹脂またはシリコーン骨格を少なくとも有する樹脂などを包括的に含む“シリコーン系樹脂”のことを指している)。このような封止原料は、必要に応じて、フィラーおよび/または蛍光体などを付加的に含有していてもよい。
本明細書における「糸状懸下体」は、広義には、吐出デバイスから垂れ下がる封止原料体を指しており、狭義には、吐出デバイスのノズルから下方向に細長く垂れ下がる封止原料体を指している。よって、図1に示すように、本開示で形成する糸状懸下体10は、少なくとも鉛直方向寸法Lが水平方向寸法L(水平方向寸法が一定でない場合には、その最大の寸法)よりも大きくなっている。例えば、鉛直方向寸法Lが水平方向寸法Lの1.5倍以上、2倍以上または3倍以上などとなっている。好ましくは、糸状懸下体10は、図示するように先端に向かうにつれ漸次細くなって垂れ下がる形態を有する(例示にすぎないが、鉛直下側に位置する最先部10Aが先尖形を有するように垂れ下がる形態となっていてよい)。
図2に示すように、第1の封止部材形成工程30において、後に封止原料が複数のノズルのそれぞれから懸下した糸状懸下体10として残るようにする。このようにすると、吐出デバイス20から垂れ下がる糸状懸下体10を、後続する第2の封止部材形成工程35に供すことができる。好ましくは、かかる糸状懸下体10を吐出デバイス20のノズル25から懸下させた状態を維持しつつ、後続の別の発光部の封止部材形成を開始する。これは、先行の封止部材形成後に吐出デバイスから懸下するように形成した糸状懸下体をそのまま維持しつつ、引き続いて設けられる封止部材のため封止原料の供給を行うことを意味している。本開示の製造方法では、糸状懸下体の存在ゆえ、一旦供給停止した封止原料の供給再開を後続の封止部材形成のためより早く実施することができ、また、望ましくはよりスムーズかつ正確に供給再開を行うことができる。
吐出デバイスは、後続する第2の封止部材形成工程35のために所望の位置にまで動かすが、図3に示すように封止原料の供給を開始するに際しては吐出デバイス20を一旦下げることが好ましい。例えば、先行の封止部材形成では封止原料を供給しながら吐出デバイスを上方に漸次移動させ、引き続いて行う後続の封止部材形成に際しては、水平方向に移動させるだけでなく吐出デバイスの鉛直方向の位置を下げることが好ましい。つまり、基板に対して吐出デバイスをより近位な位置にまで下降させてから次の封止原料の供給を開始することが好ましい。なぜなら、封止部材の形成が行われる基板により近づけて封止原料の供給を開始した方がより正確に原料を基板上に吐出でき、ひいては、所望の封止部材をより精度良く形成できるからである。
本開示においては、封止原料体から成る糸状懸下体を形成し、その先端から封止原料を供給できるので、封止原料の供給開始のため吐出デバイスを下げる量は少なくて済む(図3参照)。つまり、糸状懸下体の存在によって、後続の封止部材形成のために吐出デバイスを鉛直下方に駆動させる距離は、その糸状懸下体の長さの分(図1の“鉛直方向寸法L”の分)だけ少なくて済み、より短い所要時間でもって後続の封止部材形成を開始できる。したがって、後続する封止部材形成の開始までに要する時間をより短くでき、複数の封止部材の形成をより短時間で完了することが可能となる。このような視点に立てば、糸状懸下体の長さ寸法はより大きい方が好ましいといえる。
また、本開示の製造方法では、糸状懸下体の先端から間接的に封止原料を供給できるので、封止原料の供給開始をよりスムーズかつ正確に行うことができる。仮に糸状懸下体を設けない場合を想定すると、吐出デバイスのノズルから直接的に封止原料が吐出されることになるが、その場合にはノズルから勢いよく一時に原料が噴出する虞がある。特定の理論に拘束されるわけではないが、これは封止原料の供給を一旦停止したノズルにおいては、その内部に貯留して外部には露出していない封止原料自体が“栓”のように作用して再供給の抵抗となり得るからである。かかる再供給の抵抗は、吐出デバイスのノズル径がより小さい場合、および/または封止原料の粘度がより高い場合などにおいて顕著となり得る。
本開示においては、糸状懸下体は封止原料体から成り、そのような封止原料体がノズル内の封止原料と連続的につながってノズルから露出していることから、上記“再供給の抵抗”は小さくなっている。よって、よりスムーズかつ正確に封止原料の供給開始を行うことができる。つまり、本開示では、上記“ノズルから勢いよく原料が一時に噴出する”虞は回避されており、後続の封止部材形成のため封止原料の供給再開をよりスムーズかつ正確に行うことができる。
ある好適な態様では、封止原料の連続的な供給流れを断つことで糸状懸下体を形成する。例えば図4および図5に示すように、基板40に一旦供給された既供給封止原料12と吐出デバイス20との間で封止原料の供給流れ15’が連続的に繋がるように封止原料の供給を行い、かかる供給流れの連続的な繋がり15を断つことで糸状懸下体10を形成する。このような態様では、先行する封止部材形成に伴って糸状懸下体10を残すので、より効率的に糸状懸下体の形成が可能である。なお、図4は、本開示における好適な糸状懸下体形成をより概念的な態様で示した模式図であり、図5は、同様の本開示における好適な糸状懸下体形成をより具体的な例示態様で示した模式図である。
連続的な供給流れを断つために、既供給封止原料と吐出デバイスとの間の離隔距離を広げてよい。これは、基板40からより遠位となるように吐出デバイス20を上方に駆動してよく(図4および図5参照)、あるいは、吐出デバイス20からより遠位となるように基板40をより下方に移動させてもよい。このようにして既供給封止原料12と吐出デバイス20(特にそのノズル25)との間の離隔距離を徐々に広げていくと、供給流れの連続的な繋がり部分15が次第に細くなり、最終的にはその繋がり部分15が切れて糸状懸下体10が形成される。なお、既供給封止原料と吐出デバイスとの間の離隔距離を広げることに加えて又はそれに代えて、吐出デバイスからの封止原料の供給を停止してよく、それによっても連続的な供給流れの繋がりを切ることができる。特に、既供給封止原料と吐出デバイスとの間の離隔距離を広げつつ、吐出デバイスからの封止原料の供給を停止すると、より効率的に糸状懸下体を形成することが可能となる。
本開示の製造方法では、供給流れの連続的な繋がり15を断つことに起因して、封止部材50には突起55が形成される(図4および図5参照)。つまり、糸状懸下体10の形成に伴って封止部材50に突起55を設けることができる。より具体的な態様でいえば、連続的な供給流れの繋がりが切れる際、切れ箇所の上側に「連続的な供給流れに基づく糸状懸下体」がもたらされる一方、切れ箇所の下側には「連続的な供給流れに基づく突起」がもたらされる。このような“突起”は、本開示の製造方法に特有であって、糸状懸下体を意図的に残すからこそ、封止部材の表面に突起が形成されるといえる。
図4および図5に示すように、本開示の製造方法で用いる吐出デバイス20は、複数のノズル25を有している。本開示では、複数のノズル25の各々において封止原料を吐出デバイスから懸下させた糸状懸下体10を残すことが好ましい。つまり、複数のノズルの各々から細長く垂れ下がる封止原料体を形成することが好ましい。なお、吐出デバイス20は、少なくとも3つのノズル25を有しており、好ましくは3以上10以下のノズル25を有している。あくまでも例示にすぎないが、6以上8以下のノズル(一例として8つのノズル)を有する吐出デバイス20を用いて封止原料の供給を行ってよい(図6参照)。
複数のノズル25から懸下する糸状懸下体10のそれぞれは、図1に示すように、先端に向かうにつれ漸次細くなる形態を有し得る(例えば、複数のノズルから懸下する糸状懸下体のそれぞれは、鉛直下方に位置する最先端が先尖形を有するように漸次細くなって垂れ下がった形態を有し得る)。また、図4および図5に示すように、「基板40に一旦供給された既供給封止原料12」と「吐出デバイス20の複数のノズル25のそれぞれ」との間で封止原料の複数の供給流れ15’が連続的に繋がるように原料供給を並行的に行うことが好ましく、そのようにして並列的に設けられる複数の連続的繋がり15をそれぞれ断つことで糸状懸下体10を複数形成することが好ましい。
このような本開示の製造方法では、糸状懸下体を複数設けるので、封止部材には複数の突起が形成されることになる。つまり、複数の糸状懸下体のそれぞれに起因した複数の突起が封止部材に形成される。図4および図5に示すように、供給流れの複数の連続的な繋がり15を断つことで糸状懸下体10を形成するところ、その各々の連続的な繋がりに起因して複数の突起55が封止部材50に形成される。なお、吐出デバイス20の複数のノズル25から封止原料がそれぞれ供給されるので、各封止部材50は、複数の隆起57の形状を有し得、その複数の隆起57のそれぞれに突起55が形成され得る(つまり、後述で参照する図8および図9に示すように、各封止部材50に複数の隆起57が形成され、その複数の隆起57の各々に突起55が1つずつ設けられることが好ましい)。
本開示の製造方法は、種々の態様で具現化され得る。
(より好適な糸状懸下体形成の態様)
かかる態様は、糸状懸下体をより好適に形成する態様である。本開示の製造方法では、後続する封止部材形成に先立って懸下体を形成するが、この懸下体の形成に特に資する条件でもって封止部材形成を実施してよい。
本開示の製造方法で用いる吐出デバイスに設けられたノズルは、好ましくは小径ノズルである。換言すれば、特に糸状懸下体の形成のため、吐出デバイスのノズルは、より細い方が好ましい。例えば、吐出デバイスのノズルは、好ましくは0.1mm以上0.9mm以下の内径、より好ましくは0.2mm以上0.7mm以下の内径、さらに好ましくは0.2mm以上0.5mm以下の内径を有する。あくまでも一例にすぎないが、ノズル外径をも考慮していえば、吐出デバイスのノズルは、0.6mm以上0.7mm以下の外径および0.3mm以上0.4mm以下の内径を有していてよい。
糸状懸下体の形成のためには、より細いノズルに加えて又はそれに代えて、封止原料の粘度がより高い方が好ましい。すなわち、ノズルから吐出される封止原料は、好ましくは高粘性流体となっている。例えば、供給流れの連続的繋がり15を断った際(図4および図5参照)にノズルからの原料懸下体が“糸を引くような”現象を伴う程の粘度を封止原料が有することが好ましい。より具体的にいうと、封止原料は、好ましくは180Pa・s以上260Pa・s以下の粘度、より好ましくは200Pa・s以上240Pa・s以下の粘度、さらに好ましくは210Pa・s以上230Pa・s以下の粘度を有する。ここでいう粘度は、吐出デバイスに用いられる封止原料を回転粘度計法で測定したものを指している。特に上記粘度の値については、室温(20℃)の温度条件の下、VISCOMATER TVE-35H(東機産業)で6回測定した平均(相加平均)の値を指している。また、粘度は樹脂中のフィラーの濃度で調整することができ、たとえば「樹脂:フィラー=10:1」程度の割合で混合したものを封止原料とすることができる。
(ダミー供給の態様)
かかる態様は、糸状懸下体の形成のために模擬的に封止原料の供給を行う態様である。つまり、発光部の封止部材形成に先立って、そのような封止部材の形成に用いない封止原料の供給を行い、糸状懸下体を吐出デバイスから懸下させ、そのように懸下させた状態から発光部の封止部材形成(第1の封止部材形成工程)を開始する。
例えば、図7に示すように、基板40上において発光素子が設けられていない非発光部領域44に吐出デバイス20から封止原料を供給することを通じて糸状懸下体を懸下させた状態としてよい。つまり、基板の非発光部領域44に供給された既供給封止原料12と吐出デバイス20(特にそのノズル25)との間で封止原料の供給流れ15’が連続的に繋がるように封止原料の供給を行い、そのような供給流れの連続的な繋がり15を断つことで糸状懸下体10を懸下させた状態としてよい。
本態様では、基板の複数の発光部のうちで最初に設ける発光部に対して効率よく封止部材を形成することができる。つまり、“ダミー供給”の態様では、最初の封止部材形成に対して封止原料の供給開始をよりスムーズかつ正確に実施できる。
なお、本開示の製造方法では、ある発光部の封止部材の形成と後続する別の発光部の封止部材形成において封止原料の供給が逐次的に行われることが好ましいが、それらの形成間で封止原料の供給停止時間を長く取る場合(つまり、封止原料の供給再開までの時間をより多く取る場合など)においてダミー供給の態様を利用してもよい。つまり、ある発光部の封止部材の形成後から別の発光部の封止部材形成までの期間のいずれかの時点において、基板の非発光部領域に封止原料を供給することで糸状懸下体を懸下させた状態とすることもできる。かかる場合であっても、後続する封止部材形成に糸状懸下体を好適に利用することが可能となる。
(ノズルの周状配置の態様)
かかる態様は、吐出デバイス20として複数のノズル25が周状配置されたものを用いる態様である。例えば図6A〜Dに示すように、吐出デバイス20の吐出側から見た平面視において、周状配置された複数のノズル25を備えた吐出デバイス20を本開示で用いてよい。複数のノズル25は環状に整列していることが好ましい。例示にすぎないが、図6Aでは3つのノズル25、図6Bでは4つのノズル25、図6Cでは6つのノズル25、図6Dでは8つのノズル25が周状配置されている。図示する態様から分かるように、周状配置された複数のノズル25は、吐出デバイス20の平面視において、それぞれ点対称に配置されていることが好ましい。また、特に“6つのノズル”または“8つのノズル”などのより多くのノズル25を有する吐出デバイス20では、それぞれのノズル25が互いに隣り合うように環状に整列することが好ましい。
このような態様では、周状配置の複数のノズルの各々から封止原料を供給するとともに、かかる複数のノズルの各々から糸状懸下体を懸下させることができる。よって、封止部材の各々に形成される複数の隆起は周状に整列し、好ましくはそれら複数の隆起が互いに隣接することになる。換言すれば、図8および図9に示すように、かかる複数のノズルを用いて形成される封止部材50は、窪み部分が真ん中に位置付けられるように周囲に複数の隆起57が設けられた形態を有し得る。かかる複数の隆起57の各々には、上述した如く突起55が好ましくは形成されている。
(個片化の態様)
かかる態様は、個片化によって、発光部を1つのみ備えた発光装置を得る態様である。具体的には、上述した製造方法で得られた複数の光源および封止部材を備えた基板に対して切断処理を施して、発光部を1つ備えた発光装置を得る。基板の切断処理には、ダイシングなどの機械的手法を用いてよく、また、レーザ照射による切断などの物理的手法を用いてもよい。
個片化に際しては、第1の封止部材形成工程および第2の封止部材形成工程でそれぞれ得られた封止部材が互いに分かれるように基板の切断を行ってよい。つまり、第1の封止部材形成工程で得られた封止部材を備えた発光部と、第2の封止部材形成工程で得られた封止部材を備えた発光部とが互いに分かれるように基板を切断してよい。
このような態様は、単一の発光部を備えた発光装置を製造する方法に相当し、上述の製造方法で得られる“複数の光源それぞれを被覆する封止部材を備えた基板”に対して個片化処理を施す製造方法に相当する。
[本開示の発光装置]
本開示の発光装置は、上述の製造方法によって又はそれを利用して得ることができる発光装置であり、“糸状懸下体”を通じて封止部材が形成された発光装置である。よって、本開示の発光装置は、光源を被覆する封止部材を有する発光部を基板上に備え、かかる封止部材が、窪み部分を囲む周囲部分に突起を有している。
かかる本開示の発光装置は、基板40上において発光部100が少なくとも1つ設けられている。よって、本開示の発光装置は、複数の発光部100を備えている場合もあれば、単一の発光部100を備えている場合もある。
図8に示すように、ある好適な態様の発光装置200では、基板40上において発光部100が複数設けられている。つまり、光源60が基板40上に複数設けられ、その複数の光源60をそれぞれ被覆する封止部材50が基板40上に設けられている。封止部材50は、窪み部分50Aを有しているところ、図8および図9に示すように、窪み部分50Aが光源60の上方に好ましくは位置付けられている。換言すれば、窪み部分50Aは、平面視にて封止部材50の略中央に位置付けられていることが好ましい。本開示の発光装置では、各発光部100の封止部材50が、窪み部分50Aを囲む周囲部分50Bに突起55を備えている。
このような封止部材を備えた発光部は、バットウイング配光を呈し得る。したがって、本開示では、装置厚さが薄くても(例えば、発光部と発光部の上方に設けられる拡散板との離隔距離がより小さいような場合であっても)、光ムラの少ない発光装置、特に輝度ムラの少ない発光装置が実現され得る。
図8および図9に示すように、本開示の発光装置における封止部材50は、全体として扁平形状を有している(特に、図9に示すような断面視にて基板面から上方に位置する封止部材の輪郭線が丸みまたは曲線を有しつつも、全体としては封止部材の厚みが比較的小さくなっている)。各発光部の形状は各封止部材によって決定付けられるので、これは発光部の全体形状が扁平形状となっていることを意味している。より具体的には、封止部材では、少なくとも厚さ寸法(特に最大厚さ寸法T)が幅寸法(特に最大幅寸法W)よりも小さくなっている(図9参照)。例えば、2T≦Wの関係を満たす封止部材形状となっている。このような扁平形状の封止部材によって、より低い高さの発光部がもたらされるので、本開示の発光装置では「偶発的な外力が発光部に加わること等によって発光部が折れてしまう又は基板から取れてしまうといった不都合な事象」が生じにくい。
ある好適な態様では、突起が封止部材の周囲部分の上側に設けられている。つまり、図9および図10に示すように、発光部100の封止部材50では、窪み部分50Aを囲む周囲部分50Bの上側に突起55が設けられている。これは、封止部材形成に際して“糸状懸下体”10が設けられたことに起因する(図10参照)。ここでいう「上側」とは、発光部の断面視において封止部材の厚み(高さ)の上半分側の領域を意味している。特に、後述する隆起57の高さを“H”とすると(図12参照)、隆起最頂レベル(突起高さを含まないレベル、以下同じ)からH/3の高さ分だけ下方に至るまでの間の封止部材領域、好ましくは隆起最頂レベルからH/4の高さ分だけ下方に至るまでの間の封止部材領域、さらに好ましくは隆起最頂レベルからH/5の高さ分だけ下方に至るまでの間の封止部材領域に突起が設けられている。なお、図9は、本開示の発光装置の構成をより概念的な態様で示した模式図であり、図10は、本開示の発光装置の構成をより具体的な例示態様で示した模式図である。
本開示の発光装置において、“突起”は、糸状懸下体に起因するものであり、それゆえ特異な形態を有している。具体的には、突起55は、好ましくは上側に向かって突出している。また、突起55は、好ましくはその先端に向かって漸次幅寸法を減じるような形状を有している。ある好適な態様では、図9に示すように、突起55が先尖形状を有している。つまり、封止部材の周囲部分に設けられた突起は、先端が尖ったような形状を好ましくは有している。図示する形態から分かるように、かかる突起55は、上方に向かって “角張った”先端を有しているともいえる。また、複数の突起55は、それぞれ糸状懸下体に起因するものであり、好ましくは、平面視にて互いに隣接するように環状に整列している。
各封止部材50では、窪み部分50Aを囲む周囲部分50Bが複数の隆起57の形状を有している。複数の隆起57のそれぞれは、吐出デバイスの複数のノズルからの原料供給に起因するものである。よって、隆起57の個数はノズルの数に対応したものとなる。具体的には、封止部材50は、周囲部分50Bに3以上10以下の隆起57を有し得る。あくまでも例示にすぎないが、6以下8以下の個数のノズル(一例として8つのノズル)を備えた吐出デバイスを用いて封止原料供給を行った場合、そのノズルの個数に応じて、封止部材の周囲部分50Bは6〜8つの隆起57(一例として8つの隆起57)を有し得る。図8〜図10に示すように、周囲部分50Bは、全体としてドーム形状を有しているものの、互いに隣接する複数の隆起57の形状を好ましくは有している。つまり、ある好適な態様では、周囲部分50Bが、いわゆる略房状に連続した隆起形状を有している。特に、封止部材50において、互いに隣接する複数の隆起57は、環状に配列されており、その中心部に窪み部分50Aが位置付けられていることが好ましい。ここで、窪み部分自体は、図示する断面視から分かるように、中央に向かって漸次深さを増す形態を有し得る(つまり、窪み部分50Aでは、より内側に向かうにつれ封止部材厚さが漸次減じられるようになっている)。
本開示の発光装置では、複数の隆起57の各々に突起55が設けられている。つまり、各発光部100の封止部材50においては、窪み部分50Aを囲む周囲部分50Bの複数の隆起57の各々に突起55が設けられている(図8〜図10参照)。好ましくは、周囲部分50Bにて互いに隣接する複数の隆起57の各々に突起55(好ましくは、先尖形状の突起55)が設けられている。このような形態は、吐出デバイスの複数のノズルから原料供給して封止部材を形成したことに起因しており、特にその複数のノズルの各々に糸状懸下体を設けたことに起因している。このように糸状懸下体に起因するので、突起55は、好ましくは複数の隆起57の各々の最頂レベルに位置付けられている。つまり、図10に示すように、複数の隆起57の各々のうちで最も高い位置に突起55が設けられていることが好ましい。図示する形態(特に図9に示す形態)では、微小サイズの突起55が隆起57の各々の最頂レベルに位置付けられており、かかる突起55の各々が好ましくは尖った先端を有している。
本開示の発光装置を構成する各種要素・部材について詳述しておく。
本開示の発光装置に用いられている基板40は、光源60を有する発光部100を載置するものであり、好ましくは複数の発光部100を載置する絶縁性基板である(図8参照)。基板の材質は、樹脂材および/またはセラミックス材を含んで成るものであってよい。具体的な基板の樹脂材を例示すると、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)およびポリエチレンテレフタレート(PET)から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。このような樹脂材から成る基板は、絶縁性の点から望ましいだけでなく、低コストおよび成型容易性などの点からも望ましい。なお、樹脂材から成る基板は、ガラス繊維が樹脂材に混ぜられたものであってもよく、ならびに/または、SiO、TiOおよび/もしくはAl等の無機フィラーが樹脂材に混ぜられたものであってもよい。基板の機械的強度の向上、熱膨張率の低減および/または光反射率の向上等を図ることができるからである。一方、具体的な基板のセラミックス材を例示すれば、アルミナ、ムライト、フォルステライト、ガラスセラミックス、窒化物系(例えば、AlN)および炭化物系(例えば、SiC)から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。このようなセラミックス材から成る基板は、特に耐熱性および耐光性に優れた発光装置を実現し易くなる点で望ましい。あくまでも一例にすぎないが、セラミックス材から成る基板はアルミナからなる又はアルミナを主成分とするセラミックスであってよい。
本開示の発光装置に用いられている基板40は、光源60とともに、その光源60に電力を供給するための導電配線70を好ましくは備えている(図10参照)。よって、導電配線70は、光源60(例えば発光素子の電極)と電気的に接続され、外部からの電流(電力)を供給するための部材に相当する。換言すれば、導電配線は、外部から通電させるための電極またはその一部としての役割を担うものと捉えることもでき、正と負として離間して設けられ得る。導電配線は、発光素子の載置面となる基板上面に少なくとも設けられてよい。かかる導電配線の材質は、基板として用いられる材料および/または製造方法等に応じて適宜選択できる。例えば、セラミックス材から成る基板の場合、導電配線の材質は、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有するものが好ましい。例えば、導電配線の材質が、タングステンおよび/またはモリブデンのような高融点の金属を含んで成るものであってよい。さらに、その上に鍍金やスパッタリング、蒸着などにより、ニッケル、金および/または銀など他の金属材料が被覆材として設けられたものであってもよい。また、樹脂材から成る基板の場合、導電配線の材質は、加工し易いものが好ましい。例えば、射出成型された樹脂から成る基板の場合、導電配線の材質は、打ち抜き加工、エッチング加工または屈曲加工などの加工がし易く、かつ、比較的大きい機械的強度を有するものが好ましい。具体的な導電配線の材質を例示しておくと、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、ロジウム、鉄、ニッケル、およびモリブデン等の金属、ならびに、鉄−ニッケル合金、りん青銅、および鉄入り銅などを挙げることができる。
本開示の発光装置に用いられている光源60は、上記の製造方法で説明したように、例えば、発光素子65であってよく、あるいは、発光素子65と波長変換部材67とを組み合わせたものであってもよい(図10参照)。ある好適な態様では、光源60が、少なくとも1つの発光素子であってもよい。
発光素子自体は、組成、発光色、形状および/または大きさなどの点で特に限定されない。発光素子65が発光ダイオード(LED)の形態であってもよい。発光素子の発光色としては、用途に応じて任意の波長を発するものを選択できる。青色の発光素子としては、例えばいわゆるGaN系やInGaN系を用いることができる。また、青色または緑色の発光素子としては、ZnSeや窒化物系半導体(InAlGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)および/またはGaP等を用いたものを用いることができる。赤色の発光素子としては、GaAlAsおよび/またはAlInGaPなどを用いることができる。これらは例示にすぎず、発光素子として、上記以外の半導体発光素子を利用することも可能である。
ある好適な態様では、光源60は、発光素子65を覆う波長変換部材67を有している(図10参照)。波長変換部材67は、発光素子65が発する光の一部または全部を他の波長の光に変換する部材であり、例えば、蛍光体部材であってよい。かかる場合、蛍光体部材は、蛍光体樹脂(蛍光体を含む樹脂)の形態であってもよい。よって、本開示の発光装置では、発光素子65が蛍光体樹脂67’によって覆われ、その発光素子65と蛍光体樹脂67’とから成る光源60が封止部材50によって被覆されていてよい(図10参照)。あくまでも1つの例示にすぎないが、青色光を発する発光素子65と、かかる青色光により励起して黄色光を発する蛍光体樹脂67’とが組み合わされた光源60であってよく、それによって発光部からは白色光(青色と黄色との混色)を取り出すことが可能となる。
光源として波長変換部材を備える場合、発光素子は、波長変換部材を効率良く励起できる短波長を出射する半導体発光素子であることが好ましい。あくまでも1つの例示であるが、例えば半導体発光素子が、窒化物半導体(InAlGa1−x−yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を含んで成るものであってよい。かかる発光素子では、その半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を種々に選択することができる。同一面側に正負の電極を有するものであってよいし、異なる面に正負の電極を有するものであってもよい。
本開示の発光装置において、発光素子65は、例えば、成長用基板と、その成長用基板の上に積層された半導体層を有していてよい。かかる半導体層には、順にn型半導体層、活性層、p型半導体層が形成されており、n型半導体層にn型電極が形成されており、p型半導体層にp型電極が形成されている。成長用基板は、透光性のサファイア基板等であってよい。あくまでも例示にすぎないが、これらの発光素子の電極は、接続材料を介して基板の表面の導電配線にフリップチップ実装されていてよく、電極の形成された面と対向する面、すなわち透光性のサファイア基板の主面を光取り出し面とするものであってよい。発光素子は、正と負とに絶縁分離された2つの導電配線に跨って配置され、導電性の接続材料で接合されていてもよい。このような発光素子の実装方法としては、半田ペーストを用いた実装方法の他、例えばバンプを用いた実装方法も挙げることができる。
また、本開示の発光装置に用いられる発光素子は、例えば図11Aおよび11Bに示すような発光素子パッケージ68,69として供されてもよい。図11Aおよび11Bの発光素子パッケージ68,69は、発光素子68A、69Aが一対の電極68B、69Bを同一面側に備えており、蛍光体を含む波長変換部材68C、69Cをさらに備えており、双方ともチップ・サイズ・パッケージとして供されている。図11Aにおいて、発光素子68Aは、一対の電極を有する面とは反対の面と、側面の一部とが波長変換部材68Cで被覆されている。さらに、波長変換部材68Cの下方に接して、フィラーなどの光反射性粒子を含有した樹脂部材68Dを有し、さらに下方に、発光素子の一対の電極と電気的に接続された発光素子パッケージの一対の電極68Eを有している。一方、図11Bにおいて、発光素子69Aは、一対の電極を有する面とは反対の面が波長変換部材69Cで被覆されている。さらに、発光素子の側面から出た光が波長変換部材69Cに入射するように透光性のフィレット部69Fを備えるとともに、波長変換部材69Cの下方とフィレット部69Fに接して、フィラーなどの光反射性粒子を含有した樹脂部材69Dを有し、さらに下方に、発光素子の一対の電極と電気的に接続された発光素子パッケージの一対の電極69Eを有している。図11A、図11Bのいずれのパッケージ68,69でも、主にパッケージの上面および側面の一部から光が取り出される。
本開示の発光装置に設けられた封止部材50は、少なくとも光源60を外部環境から保護するのに資する(図10参照)。また、封止部材50は、好ましくは発光素子から出力される光を光学的に制御する部材になっており、例えばいわゆるバットウイング配光に資する。封止部材の材質は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、TPX樹脂、ポリノルボルネン樹脂およびこれらの変性樹脂ならびにハイブリッド樹脂を含んで成るものであってよい。ある好適な態様では、封止部材が、エポキシ樹脂および/またはシリコーン樹脂などの透光性樹脂を含んで成る。なかでも、シリコーン樹脂は、耐熱性および/または耐光性の点で優れているのでさらに好ましい。また、封止部材が、波長変換材を有していてもよく、それゆえ、発光素子からの光を吸収して発光素子からの出射光とは異なる波長の光を発する材料(例えば蛍光体)を含んでいてよい。また、封止部材が、光拡散材を有していてもよく、それゆえ、発光素子からの光を拡散させる材料を含んでいてよい。更には、着色剤を有していてもよく、それゆえ、適当な顔料などを含んでいてよい。
本開示の発光装置では、図10に示すように、基板40が絶縁層80を有していてもよい。かかる絶縁層80は、導電配線70上に設けられるものの、光源以外および/または他の電気的接続部分以外を被覆するように設けられることが好ましい。例えば、図10に示されるように、基板40上に導電配線70を絶縁被覆するためのレジストとして絶縁層80が設けられていてもよい。絶縁層は、導電配線の絶縁を行う目的だけでなく、後述するアンダーフィル材料と同様の白色系のフィラーを含有させることによって光の漏れや吸収を防いで、発光装置の光取り出し効率を向上させるものであってもよい。絶縁層の材質は、発光素子からの光の吸収が少ない材質が好ましいものの、絶縁性を呈するものであれば特に限定されない。具体的な絶縁層の材質としては、エポキシ、シリコーン、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネイトおよびポリイミド等から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
本開示の発光装置において、光源として用いられる発光素子がフリップチップ実装される場合、発光素子65と基板40との間にいわゆるアンダーフィル90が設けられていてよい(図10参照)。アンダーフィル90の材質は、発光素子からの光の吸収が少ないものであれば、特に限定されない。具体的なアンダーフィルの材質としては、エポキシ、シリコーン、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、アクリル、ポリカーボネイトおよびポリイミド等から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。なお、アンダーフィルは、発光素子からの光をより効率よく反射できることを目的とするとともに、熱膨張率を発光素子により近づけることを目的として、フィラーを含有していてもよい。かかるフィラーは、例えば白色系のフィラーであってよい。白色系のフィラーでは、光がより反射され易くなり、光の取り出し効率の向上を図ることができる。ここでいう「白色」とは、フィラー自体が透明であった場合でもフィラーの周りの材料と屈折率差がある場合に散乱で白色に見えるものも含む。また、フィラーとしては、無機化合物を含んで成るものであってもよい。
本開示の発光装置200は、図8に示すように、好ましくは複数の発光部100を有している。かかる場合、発光装置を、一般照明器具およびバックライトなどとしてより好適に用いることができる。
本開示の発光装置では、発光部がバットウイング配光特性を好ましくは呈する。複数の発光部を有する場合、各発光部においては、その封止部材の形状に起因して配光曲線がバットウイング型となり、より広範な配光が可能となる。本開示では各発光部で封止部材が突起を有しているものの、所望のバットウイング配光が達成され得る(図12参照)。仮に発光部の配光特性への影響があるとして突起を削るなどで封止部材から突起を除去することも考えられるものの、そうすると、かえって除去部分に起因して配光特性が悪化する虞がある。この点、本開示では、封止部材に突起をそのまま設けておいたとしても、所望のバットウイング配光特性に対して特に悪影響はない。特定の理論に拘束されるわけではないが、これは、各発光部の封止部材にて好適な位置に突起が存在しており、および/または、突起が好適な小サイズになっていること等に起因する。前者についていえば、図13に示すように、封止部材50の断面視において、突起55の幅方向位置は、光軸M(発光素子の主面中央に垂直な法線)から大きく離隔しない箇所となっている。より具体的には、光軸Mと封止部材最周縁Pとの幅方向の離隔距離を“G”とすると、光軸Mから2G/3以内の幅方向位置に突起55が設けられている(1つ例示すると、光軸Mから略G/2の幅方向位置に突起が設けられている)。一方、後者については、図13に示すように、突起55は隆起57と比べてかなり小さいものとなっている。例えば、封止部材の断面視において、突起55の高さを“h”とし、隆起57の高さを“H”とすると、好ましくは0<h≦H/8、より好ましくは0<h≦H/10、さらに好ましくは0<h≦H/12となっている。また、同様に封止部材の断面視において、突起55の最大幅を“w”とし、光軸Mと封止部材最周縁Pとの幅方向の離隔距離を“G”とすると、0<w≦G/7、より好ましくは0<w≦G/10、さらに好ましくは0<w≦G/12となっている。
ちなみに、本開示においては、突起55の存在がバットウイング配光特性に仮に影響を与える場合であったとしても、その影響は通常僅かであり、複数の発光部を用いる発光装置としては実質問題ない。つまり、一般照明器具およびバックライト等のように複数の発光部を用いる発光装置においては、ある発光部の光は、隣りの他の発光部からの光と相俟うように/混じるように設けられるところ、かかる他の発光部からの光の影響の方が大きく、突起の存在による影響は実質的に無視できるようになる。
ある好適な変更態様としては、配光特性の制御に封止部材の突起を積極的に利用する。つまり、封止部材の突起の存在が配光特性に有意な変化を及ぼすような場合、それを積極的に利用してもよい。例えば、光源からの出射光に方向依存性がある場合(1つ例示すると、発光素子の出射光の配光特性がある方向と別の方向とで異なる場合)、そのような光の方向依存性を少しでも矯正すべく封止部材の突起(「配光特性に有意な変化を及ぼす突起」)を積極的に利用することもできる。
本開示の発光装置は、各種用途などに応じて付加的な部材を有し得る。例えば、本開示の発光装置は、複数の発光部を有する基板の上方にて拡散板を備えていてよい。これにより、発光部から発せられた光を拡散して所望の光を得やすくなる。かかる場合、所望の色の光を得るべく、拡散板の手前(すなわち、より発光部に近位となる側)に蛍光体板または蛍光体シート等が設けられていてもよい。
以上、本開示の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本開示はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
例えば、上述した発光装置の製造方法では、封止原料の供給開始のために糸状懸下体を残した吐出デバイスを一旦下げる態様について説明したが、その際に吐出デバイスを特に大きく下降させてもよい。例えば、糸状懸下体の先端が基板に接するか或いは基板から僅かに離れる程度の位置にまで吐出デバイスを大きく下げてもよい。かかる場合、糸状懸下体がガイド的な役割を果たすことにもなり得、より精度良く封止原料の供給開始を行うことができる。
また、上述した発光装置の製造方法の説明では、発光部を1つ備えた発光装置を得るための個片化について触れたが、本開示は必ずしもこれに限定されない。例えば、所定の個数の発光部を備えた発光装置を得るべく個片化を行ってもよい。つまり、上述した製造方法で得られた“複数の光源それぞれを被覆する封止部材を備えた基板”に切断処理を施し、所望個数の発光部を備えた発光装置を得ることも可能である。
本開示の製造方法で得られる発光装置は、一般照明、バックライト、インジケーター、車載光源、ディスプレイ、センサー、信号機、および看板用チャンネルレター等の各種用途に用いることができる。
10 糸状懸下体
12 既供給封止原料
15 供給流れの連続的な繋がり
15’ 封止原料の供給流れ
20 吐出デバイス
25 吐出デバイスのノズル
30 第1の封止部材形成工程
35 第2の封止部材形成工程
40 基板
44 非発光部領域
50 封止部材
50A 封止部材の窪み部分
50B 封止部材の周囲部分
55 封止部材の突起
57 封止部材の隆起
60 光源
65 発光素子
67 波長変換部材
67’ 蛍光体樹脂
68,69 発光素子パッケージ
68A,69A 発光素子
68B,69B 発光素子の電極
68C,69C 波長変換部材
68D,69D 樹脂部材
68E,69E パッケージの電極
70 導電配線
80 絶縁層
90 アンダーフィル
100 発光部
200 発光装置

Claims (17)

  1. 基板と、前記基板上に配置された複数の光源と、前記複数の光源それぞれを被覆する封止部材とを備えた発光装置を製造する方法であって、
    複数のノズルを有する吐出デバイスから封止原料を前記基板に供給して、前記複数の光源それぞれを被覆する複数の封止部材を形成する封止部材形成工程を有し、
    前記封止部材形成工程は、第1の封止部材形成工程と、後続する第2の封止部材形成工程と、を含み、
    前記第1の封止部材形成工程において、後に前記封止原料が前記複数のノズルのそれぞれから懸下した糸状懸下体として残るように、前記封止部材を形成し、
    前記糸状懸下体を前記吐出デバイスから懸下させた状態から、前記第2の封止部材形成工程を開始する、発光装置の製造方法。
  2. 前記基板に一旦供給された既供給封止原料と前記吐出デバイスとの間で前記封止原料の供給流れが連続的に繋がるように該封止原料の前記供給を行っており、
    前記供給流れの前記連続的な繋がりを断つことで前記糸状懸下体を形成する、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
  3. 前記既供給封止原料と前記吐出デバイスとの間の離隔距離を広げて、前記供給流れの前記連続的な繋がりを断つ、請求項2に記載の発光装置の製造方法。
  4. 前記供給流れの前記連続的な繋がりを断つことに起因して、前記封止部材には突起が形成される、請求項2または3に記載の発光装置の製造方法。
  5. 前記封止部材形成に先立って、前記封止部材の形成に用いない前記封止原料の供給を行い、前記糸状懸下体を前記吐出デバイスから懸下させ、該懸下させた状態から前記第1封止部材形成工程を開始する、請求項1〜4のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
  6. 前記吐出デバイスは、複数のノズルが周状配置されている、請求項1〜5のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
  7. 前記封止原料が180Pa・s以上260Pa・s以下の粘度を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
  8. 単一の発光部を備えた発光装置を製造する方法であって、
    請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られる前記複数の光源それぞれを被覆する前記封止部材を備えた前記基板に対して個片化処理を施す、発光装置の製造方法。
  9. 光源を被覆する封止部材を有する発光部を基板上に備えた発光装置であって、
    前記封止部材は、窪み部分を囲む周囲部分に突起を有する、発光装置。
  10. 前記突起が前記周囲部分の上側に設けられている、請求項9に記載の発光装置。
  11. 前記周囲部分が、互いに隣接する複数の隆起の形状を有する、請求項9または10に記載の発光装置。
  12. 前記複数の隆起の各々に前記突起が設けられている、請求項11に記載の発光装置。
  13. 前記突起が、前記複数の隆起の各々の最頂レベルに位置付けられている、請求項12に記載の発光装置。
  14. 前記突起が先尖形状を有する、請求項9〜13のいずれかに記載の発光装置。
  15. 前記光源は、少なくとも1つの発光素子である、請求項9〜14のいずれかに記載の発光装置。
  16. 前記光源は、前記発光素子を覆う波長変換部材を有する、請求項15に記載の発光装置。
  17. 前記発光部が前記基板上に複数設けられている、請求項9〜16のいずれかに記載の発光装置。
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