JP2019153710A - 有機電界発光パネルおよび電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光効率を向上させることの可能な有機電界発光パネルおよび電子機器を提供する。【解決手段】本開示の一実施の形態の有機電界発光パネルは、複数の赤色画素、複数の緑色画素および複数の青色画素を備えている。各赤色画素、各緑色画素および各青色画素は、第1電極層、電子ブロッキング性を有する中間層、発光層および第2電極層をこの順に有している。各緑色画素の中間層の厚さが、各赤色画素の中間層の厚さよりも薄くなっている。【選択図】図5

Description

本開示は、有機電界発光パネルおよび電子機器に関する。
有機電界発光素子を用いた有機電界発光装置(有機電界発光ディスプレイ)として、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−237038号公報 特開2009−164236号公報
ところで、有機電界発光装置では、一般的に、有機電界発光素子の発光効率を向上させることが求められている。そのため、発光効率を向上させることの可能な有機電界発光パネル、およびそのような有機電界発光パネルを備えた電子機器を提供することが望ましい。
本開示の一実施の形態の有機電界発光パネルは、複数の赤色画素、複数の緑色画素および複数の青色画素を備えている。各赤色画素、各緑色画素および各青色画素は、第1電極層、電子ブロッキング性を有する中間層、発光層および第2電極層をこの順に有している。各緑色画素の中間層の厚さが、各赤色画素の中間層の厚さよりも薄くなっている。
本開示の一実施の形態の電子機器は、上記の有機電界発光パネルと、上記の有機電界発光パネルを駆動する駆動回路とを備えている。
本開示の一実施の形態の有機電界発光パネルおよび電子機器では、各緑色画素の中間層の厚さが、各赤色画素の中間層の厚さよりも薄くなっている。これにより、各緑色画素の中間層の厚さを、各赤色画素の中間層の厚さよりも厚くしたときのような、緑色画素における発光効率の低下が抑制される。
本開示の一実施の形態の有機電界発光パネルおよび電子機器によれば、各緑色画素の中間層の厚さを、各赤色画素の中間層の厚さよりも薄くしたので、発光効率を向上させることができる。なお、本開示の効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されず、本明細書中に記載されたいずれの効果であってもよい。
本開示の一実施の形態に係る有機電界発光装置の概略構成例を表す図である。 図1の各画素に含まれる副画素の回路構成例を表す図である。 図1の有機電界発光パネルの概略構成例を表す図である。 図3の有機電界発光パネルのA−A線での断面構成例を表す図である。 図4の各有機電界発光素子の層構成例を表す図である。 図4の各有機電界発光素子の各層の膜厚例を表す図である。 青色の副画素の発光効率の一例を表す図である。 緑色の副画素の発光効率の一例を表す図である。 赤色の副画素の発光効率の一例を表す図である。 赤色の副画素の有機物層の厚みと光取り出し効率との関係の一例を表す図である。 緑色の副画素の有機物層の厚みと光取り出し効率との関係の一例を表す図である。 青色の副画素の有機物層の厚みと光取り出し効率との関係の一例を表す図である。 図1の有機電界発光パネルの概略構成の一変形例を表す図である。 本開示の有機電界発光装置を備えた電子機器の外観の一例を斜視的に表す図である。 本開示の有機電界発光素子を備えた照明装置の外観の一例を斜視的に表す図である。
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る有機電界発光装置1の概略構成例を表したものである。図2は、有機電界発光装置1に設けられた各画素11に含まれる副画素12の回路構成の一例を表したものである。有機電界発光装置1は、例えば、有機電界発光パネル10、コントローラ20およびドライバ30を備えている。ドライバ30は、例えば、有機電界発光パネル10の外縁部分に実装されている。有機電界発光パネル10は、行列状に配置された複数の画素11を有している。コントローラ20およびドライバ30は、外部から入力された映像信号Dinおよび同期信号Tinに基づいて、有機電界発光パネル10(複数の画素11)を駆動する。
(有機電界発光パネル10)
有機電界発光パネル10は、コントローラ20およびドライバ30によって各画素11がアクティブマトリクス駆動されることにより、外部から入力された映像信号Dinおよび同期信号Tinに基づく画像を表示する。有機電界発光パネル10は、行方向に延在する複数の走査線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTLおよび複数の電源線DSLと、行列状に配置された複数の画素11とを有している。
走査線WSLは、各画素11の選択に用いられるものであり、各画素11を所定の単位(例えば画素行)ごとに選択する選択パルスを各画素11に供給するものである。信号線DTLは、映像信号Dinに応じた信号電圧Vsigの、各画素11への供給に用いられるものであり、信号電圧Vsigを含むデータパルスを各画素11に供給するものである。電源線DSLは、各画素11に電力を供給するものである。
各画素11は、例えば、赤色光を発する副画素12、緑色光を発する副画素12、および青色光を発する副画素12を含んで構成されている。なお、各画素11は、例えば、さらに、他の色(例えば、白色や、黄色など)を発する副画素12を含んで構成されていてもよい。各画素11において、複数の副画素12は、例えば、所定の方向に一列に並んで配置されている。
各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端に接続されている。各画素列には、例えば、複数の信号線DTLが1本ずつ、割り当てられている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端に接続されている。各画素行には、例えば、複数の走査線WSLが1本ずつ、割り当てられている。各電源線DSLは、電源の出力端に接続されている。各画素行には、例えば、複数の電源線DSLが1本ずつ、割り当てられている。
各副画素12は、画素回路12−1と、有機電界発光素子12−2とを有している。有機電界発光素子12−2の構成については、後に詳述する。
画素回路12−1は、有機電界発光素子12−2の発光・消光を制御する。画素回路12−1は、後述の書込走査によって各副画素12に書き込んだ電圧を保持する機能を有している。画素回路12−1は、例えば、駆動トランジスタTr1、書込トランジスタTr2および保持容量Csを含んで構成されている。
書込トランジスタTr2は、駆動トランジスタTr1のゲートに対する、映像信号Dinに対応した信号電圧Vsigの印加を制御する。具体的には、書込トランジスタTr2は、信号線DTLの電圧をサンプリングするとともに、サンプリングにより得られた電圧を駆動トランジスタTr1のゲートに書き込む。駆動トランジスタTr1は、有機電界発光素子12−2に直列に接続されている。駆動トランジスタTr1は、有機電界発光素子12−2を駆動する。駆動トランジスタTr1は、書込トランジスタTr2によってサンプリングされた電圧の大きさに応じて有機電界発光素子12−2に流れる電流を制御する。保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に所定の電圧を保持するものである。保持容量Csは、所定の期間中に駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間電圧Vgsを一定に保持する役割を有する。なお、画素回路12−1は、上述の2Tr1Cの回路に対して各種容量やトランジスタを付加した回路構成となっていてもよいし、上述の2Tr1Cの回路構成とは異なる回路構成となっていてもよい。
各信号線DTLは、後述の水平セレクタ31の出力端と、書込トランジスタTr2のソースまたはドレインとに接続されている。各走査線WSLは、後述のライトスキャナ32の出力端と、書込トランジスタTr2のゲートとに接続されている。各電源線DSLは、電源回路と、駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインに接続されている。
書込トランジスタTr2のゲートは、走査線WSLに接続されている。書込トランジスタTr2のソースまたはドレインが信号線DTLに接続されている。書込トランジスタTr2のソースおよびドレインのうち信号線DTLに未接続の端子が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインが電源線DSLに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち電源線DSLに未接続の端子が有機電界発光素子21−2の陽極21に接続されている。保持容量Csの一端が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。保持容量Csの他端が駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち有機電界発光素子21−2側の端子に接続されている。
(ドライバ30)
ドライバ30は、例えば、水平セレクタ31およびライトスキャナ32を有している。水平セレクタ31は、例えば、制御信号の入力に応じて(同期して)、コントローラ20から入力されたアナログの信号電圧Vsigを、各信号線DTLに印加する。ライトスキャナ32は、複数の副画素12を所定の単位ごとに走査する。
(コントローラ20)
次に、コントローラ20について説明する。コントローラ20は、例えば、外部から入力されたデジタルの映像信号Dinに対して所定の補正を行い、それにより得られた映像信号に基づいて、信号電圧Vsigを生成する。コントローラ20は、例えば、生成した信号電圧Vsigを水平セレクタ31に出力する。コントローラ20は、例えば、外部から入力された同期信号Tinに応じて(同期して)、ドライバ30内の各回路に対して制御信号を出力する。
次に、図3、図4、図5、図6を参照して、有機電界発光素子12−2について説明する。図3は、有機電界発光パネル10の概略構成例を表したものである。図4は、図3の有機電界発光パネル10のA−A線での断面構成例(つまり副画素12の列方向の断面構成例)を表したものである。図5は、画素11内の各副画素12の層構成の一例を表したものである。図6は、図5の各層の厚さの一例を表したものである。
有機電界発光パネル10は、行列状に配置された複数の画素11を有している。各画素11は、例えば、上述したように、赤色光を発する副画素12(12R)、緑色光を発する副画素12(12G)、および青色光を発する副画素12(12B)を含んで構成されている。副画素12Rが本開示の「赤色画素」の一具体例に相当する。副画素12Gが本開示の「緑色画素」の一具体例に相当する。副画素12Bが本開示の「青色画素」の一具体例に相当する。
副画素12Rは、赤色の光を発する有機電界発光素子12−2(12r)を含んで構成されている。副画素12Gは、緑色の光を発する有機電界発光素子12−2(12g)を含んで構成されている。副画素12Bは、青色の光を発する有機電界発光素子12−2(12b)を含んで構成されている。副画素12R,12G,12Bは、例えば、ストライプ配列となっている。各画素11において、例えば、副画素12R,12G,12Bが、列方向に並んで配置されている。さらに、各画素行において、例えば、同一色の光を発する複数の副画素12が、行方向に並んで配置されている。
有機電界発光パネル10は、基板16上に、行方向に延在する複数のラインバンク13と、列方向に延在する複数のバンク14とを有している。複数のラインバンク13および複数のバンク14は、各副画素12Rを区画する。複数のラインバンク13は、各画素11において、各副画素12を区画する。複数のバンク14は、各画素行において、各画素11を区画する。つまり、複数の副画素12は、複数のラインバンク13および複数のバンク14によって区画されている。各バンク14は、列方向において互いに隣接する2つのラインバンク13の間に設けられている。各バンク14の両端部が、列方向において互いに隣接する2つのラインバンク13に連結されている。
基板16は、例えば、各有機電界発光素子12−2や各ラインバンク13などを支持する基材と、基材上に設けられた配線層とによって構成されている。基板16内の基材は、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラスまたは石英などによって形成されている。基板16内の基材は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、シリコーン系樹脂、またはアルミナなどによって形成されていてもよい。基板16内の配線層には、例えば、各画素11の画素回路12−1が形成されている。
ラインバンク13およびバンク14は、例えば、絶縁性の有機材料によって形成されている。絶縁性の有機材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などが挙げられる。ラインバンク13およびバンク14は、例えば、耐熱性、溶媒に対する耐性を持つ絶縁性樹脂によって形成されていることが好ましい。ラインバンク13およびバンク14は、例えば、絶縁性樹脂をフォトリソグラフィおよび現像によって所望のパターンに加工することによって形成される。ラインバンク13の断面形状は、例えば、図4に示したような順テーパ型であってもよく、裾が狭くなった逆テーパ型であってもよい。バンク14の断面形状は、例えば、順テーパ型であってもよく、裾が狭くなった逆テーパ型であってもよい。
互いに平行で、かつ互いに隣接する2つのラインバンク13および両端のバンク14によって囲まれた領域が、溝部15なっている。各副画素12において、各有機電界発光素子12−2は、互いに平行で、かつ互いに隣接する2つのラインバンク13の間隙に1つずつ配置されている。つまり、各副画素12において、各有機電界発光素子12−2は、溝部15の中に1つずつ配置されている。
各有機電界発光素子12−2は、例えば、基板16上に、陽極21、正孔注入層22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25、電子注入層26および陰極27をこの順に備えたものである。陽極21が本開示の「第1電極」の一具体例に相当する。発光層24が本開示の「発光層」の一具体例に相当する。陰極27が本開示の「第2電極」の一具体例に相当する。
有機電界発光素子12−2は、例えば、発光層24と、発光層24を挟み込むように配置された、陽極21および陰極27を備えている。有機電界発光素子12−2は、例えば、さらに、陽極21と、発光層24との間に、正孔注入層22および正孔輸送層23を陽極21側からこの順に備えている。正孔輸送層23が本開示の「中間層」の一具体例に相当する。このとき、正孔輸送層23は発光層24に接している。有機電界発光素子12−2は、例えば、さらに、発光層24と、陰極27との間に、電子輸送層25および電子注入層26を発光層24側からこの順に備えている。なお、電子輸送層25および電子注入層26のうち少なくとも一方が省略されていてもよい。有機電界発光素子12−2は、例えば、陽極21、正孔注入層22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25、電子注入層26および陰極27を基板16側からこの順に含んで構成された素子構造となっている。有機電界発光素子12−2において、さらに他の機能層が含まれていてもよい。
正孔注入層22は、正孔注入効率を高めるための層である。正孔輸送層23は、陽極21から注入された正孔を発光層24へ輸送するための層である。発光層24は、電子と正孔との再結合により、所定の色の光を発する層である。電子輸送層25は、陰極27から注入された電子を発光層24へ輸送するための層である。電子注入層26は、電子注入効率を高めるための層である。
陽極21は、例えば、基板16の上に形成されている。さらに、陽極21は、例えば、副画素12ごとに別個に形成されている。なお、陽極21は、例えば、画素11内の各副画素12で共有されていてもよい。このとき、陽極21は、ラインバンク13およびバンク14で囲まれた領域だけでなく、画素11内における、基板16とラインバンク13との間にも形成されている。また、陽極21の端縁がバンク14内に埋め込まれていてもよいし、バンク14を避けて形成されていてもよい。
陽極21は、例えば、反射性を有する反射電極である。陽極21は、例えば、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、金(Au)、クロム(Cr)、タングステン(W)もしくはアルミニウム合金等の導電性材料からなる反射導電膜である。この場合には、陽極21の反射面が、アノード反射面(後述の反射界面S1)となっている。陽極21は、例えば、透明電極の上に反射電極が積層されたものであってもよい。
陰極27は、例えば、半透過性を有する反射電極となっている。陰極27は、例えば、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、またはこれらの合金により構成されている。この場合には、陰極27の反射面が、カソード半透過面となっている。陰極27は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)又はIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明導電性材料からなる透明導電膜と、その透明導電膜の表面上に形成されたAl薄膜とにより構成されていてもよい。このように、陽極21が反射性を有し、陰極27が透光性を有している場合には、有機電界発光素子12−2は、陰極27側から光を放出するトップエミッション構造となっている。
なお、陽極21が、半透過性を有する反射電極となっており、かつ、陰極27が、光反射性を有する反射電極となっていてもよい。このように、陽極21が透光性を有し、陰極27が反射性を有している場合には、有機電界発光素子12−2は、陽極21側から光が放出するボトムエミッション構造となっている。
正孔注入層22は、陽極21から発光層24へ正孔の注入を促進させる機能を有する。正孔注入層22は、例えば、金属酸化物層22Aと、金属酸化物層22Aに積層された有機物層22Bとを含んで構成されている。
金属酸化物層22Aは、酸化タングステン(組成式WOxにおいて、xは概ね2<x<3の範囲における実数)を含んで構成されている。金属酸化物層22Aの膜厚は、2nm以上となっており、例えば、10nmとなっている。金属酸化物層22Aには、通常混入し得る程度の極微量の不純物が含まれていてもよい。
金属酸化物層22Aの膜厚を2nm以上とすることにより、均一な酸化タングステン膜を成膜しやすくなり、また、以下に示す陽極21と金属酸化物層22Aとの間のショットキーオーミック接続を形成しやすくなる。ショットキーオーミック接続は、酸化タングステン膜の膜厚が2nm以上で安定して形成される。そのため、これより厚く酸化タングステン膜を形成すれば、ショットキーオーミック接続を利用して、陽極21から金属酸化物層22Aへの安定したホール注入効率を期待できる。なお、「ショットキーオーミック接続」とは、陽極21のフェルミレベルと、金属酸化物層22Aのフェルミ面近傍の占有準位で最も低い結合エネルギーとの差が所定値以下に収まっている接続を言う。
各副画素12において、金属酸化物層22Aの厚さが互いに等しくなっており、例えば、5nm以上20nm以下となっている。さらに、各副画素12において、金属酸化物層22Aが互いに共通の層で形成されている。
有機物層22Bは、金属酸化物層22Aに接触して形成されている。有機物層22Bは、導電性ポリマー材料などの有機材料によって形成されている。有機物層22Bは、例えば、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料の有機高分子溶液を、金属酸化物層22A上に塗布し乾燥させることにより形成されている。この場合、有機物層22Bは、塗布膜によって構成されている。有機物層22Bは、さらに、例えば、溶解性および不溶化の機能のために、その分子構造中に、可溶性基と、熱解離可溶性基、架橋性基または脱離性保護基などの不溶化基とを有している。つまり、有機物層22Bは、不溶化層となっている。
赤色の有機電界発光素子12rの有機物層22Bの厚さは、青色の有機電界発光素子12bの有機物層22Bの厚さよりも厚くなっている。また、赤色の有機電界発光素子12rの有機物層22Bの厚さは、緑色の有機電界発光素子12gの有機物層22Bの厚さよりも厚くなっている。赤色の有機電界発光素子12rの有機物層22Bの厚さは、例えば、20nm以上50nm以下となっている。緑色の有機電界発光素子12gの有機物層22Bの厚さは、例えば、0nmよりも厚く、30nm以下となっている。青色の有機電界発光素子12bの有機物層22Bの厚さは、例えば、0nmよりも厚く、25nm以下となっている。
正孔輸送層23は、陽極21から注入された正孔を発光層24へ輸送する機能を有する。正孔輸送層23は、さらに、電子ブロッキング性を有している。正孔輸送層は、例えば、塗布膜である。正孔輸送層は、例えば、正孔輸送性および電子ブロッキング性を有する有機材料(以下、「正孔輸送性材料23M」と称する。)を溶質の主成分とする溶液を塗布および乾燥することにより形成されている。正孔輸送層は、正孔輸送性材料23Mを主成分として含んで構成されている。つまり、正孔輸送層23は、不溶化層となっている。
正孔輸送層の原料(材料)である正孔輸送性材料23Mは、例えば、アリールアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン化合物、ポリスチレン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体等、または、これらの組み合わせからなる材料である。正孔輸送性材料23Mは、さらに、例えば、溶解性および不溶化の機能のために、その分子構造中に、可溶性基と、熱解離可溶性基、架橋性基または脱離性保護基などの不溶化基とを有している。
青色の有機電界発光素子12bの正孔輸送層23の厚さは、赤色の有機電界発光素子12rの正孔輸送層23の厚さよりも薄くなっており、発光効率の観点からは、例えば、図7に示したように、20nm以上となっていることが好ましい。なお、青色の有機電界発光素子12bの正孔輸送層23の厚さは、色度の観点からは、例えば、図7に示したように、30nm以下となっていることが好ましい。緑色の有機電界発光素子12gの正孔輸送層23の厚さは、赤色の有機電界発光素子12rの有機物層22Bの厚さよりも薄くなっており、発光効率の観点からは、例えば、図8に示したように、10nm以上20nm以下となっていることが好ましい。緑色の有機電界発光素子12gの正孔輸送層23の厚さは、青色の有機電界発光素子12bの正孔輸送層23の厚さとほぼ同じか、または、それよりも薄くなっている。赤色の有機電界発光素子12rの正孔輸送層23の厚さは、発光効率の観点からは、例えば、図9に示したように、30nm以上となっていることが好ましい。赤色の有機電界発光素子12rの正孔輸送層23の厚さは、光取り出しの観点からは、例えば、図9に示したように、50nm以下となっていることが好ましい。なお、図7〜図9の縦軸は、光学シミュレーションから予測される発光効率に対する実測効率の到達度を表している。すなわち、図7〜図9の縦軸の数値が100%に到達していない場合には、それは、何らかの要因(例えば、電子ブロック性不足による再結合確率の低下)により、光学シミュレーションで予測される効率を実現できていないことを示唆している。
発光層24は、正孔と電子との再結合により、所定の色の光を発する機能を有する。発光層24は、塗布膜である。発光層24は、正孔と電子との再結合により励起子を生成し発光する有機材料(以下、「有機発光材料24M」と称する。)を溶質の主成分とする溶液の塗布および乾燥により形成されている。発光層24は、有機発光材料24Mを主成分として含んで構成されている。副画素12Rに含まれる有機電界発光素子12rでは、有機発光材料24Mが赤色有機発光材料を含んで構成されている。副画素12Gに含まれる有機電界発光素子12gでは、有機発光材料24Mが緑色有機発光材料を含んで構成されている。副画素12Bに含まれる有機電界発光素子12bでは、有機発光材料24Mが青色有機発光材料を含んで構成されている。
発光層24は、例えば、単層の有機発光層、または、積層された複数の有機発光層によって構成されている。発光層24が積層された複数の有機発光層によって構成されている場合には、発光層24は、例えば、主成分が互いに共通の複数の有機発光層を積層したものである。このとき、複数の有機発光層は、ともに、塗布膜である。複数の有機発光層は、ともに、有機発光材料24Mを溶質の主成分とする溶液の塗布および乾燥により形成されている。
発光層24の原料(材料)である有機発光材料24Mは、例えば、ドーパント材料単独であってもよいが、より好ましくは、ホスト材料とドーパント材料との組み合わせがよい。つまり、発光層24は、有機発光材料24Mとして、ホスト材料およびドーパント材料を含んで構成されている。ホスト材料は、主に電子又は正孔の電荷輸送の機能を担っており、ドーパント材料は、発光の機能を担っている。ホスト材料およびドーパント材料は1種類のみに限られるものではなく、2種類以上の組み合わせであってもよい。ドーパント材料の量は、ホスト材料に対して、0.01重量%以上30重量%以下であるとよく、より好ましくは、0.01重量%以上10重量%以下である。
発光層24のホスト材料としては、例えば、アミン化合物、縮合多環芳香族化合物、ヘテロ環化合物が用いられる。アミン化合物としては、例えば、モノアミン誘導体、ジアミン誘導体、トリアミン誘導体、テトラアミン誘導体が用いられる。縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン誘導体、ナフタレン誘導体、ナフタセン誘導体、フェナントレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、トリフェニレン誘導体、ペンタセン誘導体、または、ペリレン誘導体等が挙げられる。ヘテロ環化合物としては、例えば、カルバゾール誘導体、フラン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロール誘導体、インドール誘導体、アザインドール誘導体、アザカルバゾール、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、または、フタロシアニン誘導体等が挙げられる。
また、発光層24のドーパント材料としては、例えば、ピレン誘導体、フルオランテン誘導体、アリールアセチレン誘導体、フルオレン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アントラセン誘導体、または、クリセン誘導体が用いられる。また、発光層24のドーパント材料としては、金属錯体が用いられてもよい。金属錯体としては、例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、金(Au)、レニウム(Re)、もしくは、ルテニウム(Ru)等の金属原子と配位子とを有するものが挙げられる。
電子輸送層25は、陰極27から注入された電子を発光層24へ輸送する機能を有する。電子輸送層25は、電子輸送性を有する有機材料(以下、「電子輸送性材料25M」と称する。)主成分として含んで構成されている。
電子輸送層25は、発光層24と陰極27との間に介在し、陰極27から注入された電子を発光層24へ輸送する機能を有する。電子輸送層25の原料(材料)である電子輸送性材料25Mは、例えば、分子内にヘテロ原子を1個以上含有する芳香族ヘテロ環化合物である。芳香族ヘテロ環化合物としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ベンズイミダゾール環、フェナントロリン環、キナゾリン環等を骨格に含む化合物が挙げられる。また、電子輸送層25は、電子輸送性を有する金属を含んでもよい。電子輸送層25は、電子輸送性を有する金属を含むことで、電子輸送層25の電子輸送性を向上できる。電子輸送層25に含まれる金属としては、例えば、バリウム(Ba)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、セシウム(Cs)、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)、イットリビウム(Yb)等を用いることができる。
本実施の形態では、有機電界発光素子12−2を構成する各層(例えば、正孔注入層22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25および電子注入層26)が、溝部15を共有する各副画素12で共有されている。つまり、有機電界発光素子12−2を構成する各層(例えば、正孔注入層22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25および電子注入層26)が、例えば、溝部15内において、行方向に延在して形成されており、陽極21およびバンク14の表面に連続して形成されている。
また、本実施の形態では、有機電界発光素子12−2内の一部の層(例えば、正孔注入層22、正孔輸送層23および発光層24)が、1つの画素11内の各副画素12で共有されておらず、1つの画素11内の副画素12ごとに別個に形成されている。つまり、有機電界発光素子12−2内の一部の層(例えば、正孔注入層22、正孔輸送層23および発光層24)は、例えば、図4に示したように、ラインバンク13を避けて形成されている。また、本実施の形態では、有機電界発光素子12−2内の一部の層(例えば、電子輸送層25および電子注入層26)が、1つの画素11内の各副画素12で共有されている。つまり、有機電界発光素子12−2内の一部の層(例えば、電子輸送層25および電子注入層26)は、例えば、図4に示したように、ラインバンク13を乗り越えて形成されている。
また、本実施の形態では、陰極27は、有機電界発光パネル10の画素領域全体に渡って形成されている。具体的には、陰極27は、電子注入層26、ラインバンク13およびバンク14の表面全体に渡って連続して形成されている。
有機電界発光素子12−2は、さらに、例えば、図4に示したように、有機電界発光素子12−2を構成する各有機層(例えば、正孔注入層22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25および電子注入層26)を保護および封止する封止層28を有している。封止層28は、例えば、各有機電界発光素子12−2の陰極27の表面に接して設けられている。
次に、本実施の形態に係る有機電界発光素子12−2の特徴について説明する。
副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて、有機電界発光素子12−2には、マイクロキャビティ構造が設けられている。マイクロキャビティ構造は、例えば、陽極21と陰極27との間で生じる光の共振を利用し、特定波長の光を増強させる効果を有する。発光層24から発せられた光は、陽極21と陰極27との間で多重反射する。このとき、発光層24から発せられた光のうちの特定の波長成分が強められる。
本実施の形態では、副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bから射出される光の波長は、それぞれ異なる。そのため、陽極21と陰極27との間の光路長は、各色の発光スペクトルピーク波長に対応している。マイクロキャビティ構造により、発光層24から出射された光は、陽極21と陰極27との間で所定の光学長の範囲内で反射を繰り返し、光路長に対応した特定の波長の光は共振して増強される一方、光路長に対応しない波長の光は弱められる。その結果、外部に取り出される光のスペクトルが急峻でかつ高強度になり、輝度および色純度が向上する。
マイクロキャビティ構造では、膜厚が大きくなるにつれて、1次干渉(ファーストキャビティ)、2次干渉(セカンドキャビティ)、3次干渉(サードキャビティ)などが発生する。副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて、マイクロキャビティ構造は、例えば、セカンドキャビティが生じる光路長を有している。副画素12Rのマイクロキャビティ構造において、陽極21と陰極27との間の距離が、例えば、副画素12Rの発光層24から出射される光(赤色光)の波長においてセカンドキャビティが生じる光路長となっている。また、副画素12Gのマイクロキャビティ構造において、陽極21と陰極27との間の距離が、例えば、副画素12Gの発光層24から出射される光(緑色光)の波長においてセカンドキャビティが生じる光路長となっている。また、副画素12Bのマイクロキャビティ構造において、陽極21と陰極27との間の距離が、例えば、副画素12Bの発光層24から出射される光(青色光)の波長においてセカンドキャビティが生じる光路長となっている。
本実施の形態では、副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて、電子輸送層25は、互いに共通の層で構成されている。例えば、副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて、電子輸送層25は、蒸着やスパッタなどによって一括成膜されている。副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて、正孔注入層22、正孔輸送層23、発光層24、電子輸送層25および電子注入層26は、例えば、陽極21と陰極27との間の距離が、セカンドキャビティが生じる光路長となるように調整された膜厚となっている。
有機電界発光素子12−2の設計では、陽極21と発光層24の発光中心との距離(下部層の厚さ)や、陰極27と発光層24の発光中心との距離(上部層の厚さ)が非常に重要である。これらの距離の基準点は、厳密には発光再結合が起こる位置である。図6には、副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて発光層24の発光中心が発光層24内の正孔輸送層23側に位置しているときの、各層の膜厚の一例が示されている。図6には、各副画素12のマイクロキャビティ構造が、セカンドキャビティが生じる光路長を有しているときの数値例が示されている。
副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて、金属酸化物層22Aの膜厚は理想的には5nm以上20nm以下となっている。副画素12Rにおいて、有機物層22Bの膜厚が理想的には20nm以上50nm以下となっている。副画素12Gにおいて、有機物層22Bの膜厚が理想的には0nmよりも厚く、30nm以下となっている。副画素12Bにおいて、有機物層22Bの膜厚が理想的には0nmよりも厚く、25nm以下となっている。有機物層22Bの膜厚は、発光層24の発光中心から発せられた光がマイクロキャビティ構造によって共振するような光路長となっている。
なお、副画素12R、副画素12Gおよび副画素12Bにおいて、マイクロキャビティ構造が、サードキャビティが生じる光路長を有していてもよい。
ところで、マイクロキャビティ構造において、発光層24の発光中心から、陽極21および陰極27で反射されることなく直接、陰極27側から外部に出射する光(直接光)と、発光層24の発光中心から、陽極21で反射されて、陰極27側から外部に出射する光(反射光)との干渉が、有機電界発光素子12−2の発光に対して最も支配的である。そのため、上記直接光と、上記反射光との光学距離の差に対応する光学膜厚(陽極21から発光中心までの光学距離)について説明する。なお、以下では、上記直接光と、上記反射光との光学距離の差に対応する光学膜厚をLxと称する。
発明者らは、正孔輸送層23の膜厚を、適宜設定して光取り出し効率を調整した場合、所定の電流密度を得るために必要とされる駆動電圧が、膜厚が厚くなるにつれて増加することを確認した。
また、発光層24の発光色ごとに正孔注入層22の膜厚を異ならせることで、正孔注入層22を、発光層24に適したキャリア密度に相応する正孔供給を可能な構成とすることが好ましい。そこで、発明者らは、光学膜厚Lxの調整についても、正孔注入層22の膜厚を適宜設定することにより、光取り出し効率を調整することが好ましいと考えた。
正孔注入層22のうち、金属酸化物層22Aの膜厚を調整することにより共振器構造を実現しようとすると、気相成長法で成膜する金属酸化物層22Aの厚みを副画素12ごとに異ならせるには、各副画素12の領域のみ開口したシャドウマスクを用いて金属酸化物層22Aを副画素12ごとに別個に成膜してパターンニングする必要がある。そのため、製造プロセス上タクトが増加するとともに、量産上コストの増加を伴う。
そこで、本実施の形態では、光学膜厚Lxの調整を、正孔注入層22のうち上部層である有機物層22Bの膜厚を調整することにより行う。
具体的には、R、G、B各色の正孔注入層22の膜厚は、光学シミュレーションに基づき、5nm以上70nm以下に調整されていることが好ましい。図10A,図10B,図10Cは、RGB各色の有機物層22Bの厚みと光取り出し効率との関係を示す光学シミュレーション結果を示す図である。図10Aは赤色の副画素12Rの有機物層22Bの厚みと光取り出し効率との関係、図10Bは緑色の副画素12Gの有機物層22Bの厚みと光取り出し効率との関係、図10Cは青色の副画素12Gの有機物層22Bの厚みと光取り出し効率との関係を示したものである。図10A,図10B,図10Cから、RGB各色の光取り出し効率が最大値の80%以上になる有機物層22Bの膜厚を好ましい範囲として算出した。その結果、赤色の副画素12Rの有機物層22Bの膜厚は、20nm以上50nm以下であることが好ましく、緑色の副画素12Gの有機物層22Bの膜厚は、0nmより大きく30nm以下であることが好ましく、青色の副画素12Gの有機物層22Bの膜厚は、0nmより大きく25nm以下であることが好ましいことが判明した。また、同様の検討により、金属酸化物層22Aの膜厚は、5nm以上20nm以下であって、かつ、各色において金属酸化物層22Aの膜厚が互いに等しいことが好ましいことがわかった。
[効果]
次に、本実施の形態の有機電界発光パネル10およびそれを備えた有機電界発光装置1の効果について説明する。
本実施の形態では、各緑色の副画素12Gの正孔輸送層23の厚さが、各赤色の副画素12Rの正孔輸送層23の厚さよりも薄くなっている。これにより、各緑色の副画素12Gの正孔輸送層23の厚さを、各赤色の副画素12Rの正孔輸送層23の厚さよりも厚くしたときのような、各緑色の副画素12Gにおける発光効率の低下が抑制される。これにより、発光効率を向上させることができる。また、発光効率の向上の伴い、高寿命化を図ることもできる。
また、本実施の形態において、各赤色の副画素12R、各緑色の副画素12Rおよび各青色の副画素12Bにおいて、正孔輸送層23が発光層24に接している場合には、陰極27から注入された電子を発光層24に閉じ込めることができ、各副画素12における発光層24内での再結合確率の低下を防ぐことができる。その結果、発光効率を向上させることができる。
また、本実施の形態において、正孔輸送層23は、塗布膜で形成されており、かつ、不溶化層となっている場合には、発光層24も、発光層24と同様に塗布膜で形成することができる。その結果、簡易な方法で、各副画素12における発光効率の低下を抑制することができる。従って、発光効率の高い有機電界発光パネル10およびそれを備えた有機電界発光装置1を提供することができる。
また、本実施の形態において、正孔注入層22が金属酸化物層22Aおよび有機物層22Bによって構成されており、各赤色の副画素12R、各緑色の副画素12Rおよび各青色の副画素12Bにおいて、金属酸化物層22Aの厚さが互いに等しくなっている場合には、金属酸化物層22Aを、例えば、蒸着やスパッタなどで一括して形成することができる。その結果、簡易な製法で、各副画素12における発光効率の低下を抑制することができる。従って、発光効率の高い有機電界発光パネル10およびそれを備えた有機電界発光装置1を提供することができる。
また、本実施の形態において、金属酸化物層22Aおよび有機物層22Bが陽極21から発光層24へ正孔の注入を促進させる機能を有している場合には、正孔注入層が単層で構成されているときと比べて、正孔注入性と駆動電圧の適切な調整を行うことができる。これにより、各副画素12における発光効率を向上させることができる。従って、発光効率の高い有機電界発光パネル10およびそれを備えた有機電界発光装置1を提供することができる。
また、本実施の形態では、各緑色の副画素12Gの正孔輸送層23の厚さが、各赤色の副画素12Rの正孔輸送層23の厚さよりも薄くなっている。これにより、各緑色の副画素12Gの正孔輸送層23の厚さを、各赤色の副画素12Rの正孔輸送層23の厚さよりも厚くしたときのような、各緑色の副画素12Gにおける発光効率の低下が抑制される。これにより、発光効率を向上させることができる。
また、本実施の形態において、各青色の副画素12Bの正孔輸送層23の厚さが20nm以上30nm以下となっており、各緑色の副画素12Gの正孔輸送層23の厚さが10nm以上20nm以下となっており、各赤色の副画素12Rの正孔輸送層23の厚さが30nm以上50nm以下となっている場合には、高い発光効率だけでなく、均一な色度も得ることができる。
<2.変形例>
次に、上記実施の形態に係る有機電界発光装置1の変形例について説明する。上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光装置1において、有機電界発光パネル10は、基板16上に、ラインバンク13およびバンク14の代わりに、例えば、図10に示したように、行方向および列方向に延在する格子状のピクセルバンク18を有していてもよい。なお、図10において、A−A線における断面構成は、図4の断面構成においてラインバンク13の代わりにピクセルバンク18を設けたものに相当する。
ピクセルバンク18は、各画素11の周囲に設けられている。ピクセルバンク18は、各画素11を区画するとともに、各画素11において各副画素12を区画する。ピクセルバンク18によって囲まれた領域が、副画素12なっている。各副画素12において、各有機電界発光素子12−2が1つずつ配置されている。つまり、各副画素12において、各有機電界発光素子12−2は、ピクセルバンク18によって囲まれた領域の中に1つずつ配置されている。本変形例では、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
<3.適用例>
[適用例その1]
以下では、上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光装置1の適用例について説明する。上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光装置1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、シート状のパーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
図11は、本適用例に係る電子機器2の外観を斜視的に表したものである。電子機器2は、例えば、筐体310の主面に表示面320を備えたシート状のパーソナルコンピュータである。電子機器2は、電子機器2の表示面320に、上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光装置1を備えている。上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光装置1は、有機電界発光パネル10が外側を向くように配置されている。本適用例では、上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光装置1が表示面320に設けられているので、発光効率の高い電子機器2を実現することができる。
[適用例その2]
以下では、上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光素子12−2の適用例について説明する。上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光素子12−2は、卓上用もしくは床置き用の照明装置、または、室内用の照明装置など、あらゆる分野の照明装置の光源に適用することが可能である。
図12は、上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光素子12−2が適用される室内用の照明装置の外観を表したものである。この照明装置は、例えば、上記実施の形態およびその変形例に係る1または複数の有機電界発光素子12−2を含んで構成された照明部410を有している。照明部410は、建造物の天井420に適宜の個数および間隔で配置されている。なお、照明部410は、用途に応じて、天井420に限らず、壁430または床(図示せず)など任意の場所に設置することが可能である。
これらの照明装置では、上記実施の形態およびその変形例に係る有機電界発光素子12−2からの光により、照明が行われる。これにより、発光効率の高い照明装置を実現することができる。
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示は実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
複数の赤色画素、複数の緑色画素および複数の青色画素を備え、
各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素は、第1電極層、電子ブロッキング性を有する中間層、発光層および第2電極層をこの順に有し、
各前記緑色画素の前記中間層の厚さが、各前記赤色画素の前記中間層の厚さよりも薄くなっている
有機電界発光パネル。
(2)
各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素において、前記中間層は、前記発光層に接している
(1)に記載の有機電界発光パネル。
(3)
前記中間層は、塗布膜で形成されており、かつ、不溶化層となっている
(1)または(2)に記載の有機電界発光パネル。
(4)
各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素は、前記第1電極層と前記中間層との間に、前記発光層へ正孔の注入を促進させる機能を有する正孔注入層を有し、
前記中間層は、正孔を前記発光層へ輸送する機能を有する
(1)から(3)のいずれか1つに記載の有機電界発光パネル。
(5)
前記正孔注入層は、金属酸化物層と、前記金属酸化物層に積層された有機物層とを含んで構成されており、
各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素において、前記金属酸化物層の厚さが互いに等しくなっている
(4)に記載の有機電界発光パネル。
(6)
各前記赤色画素の前記有機物層の厚さが、各前記緑色画素の前記有機物層の厚さよりも厚くなっている
(5)に記載の有機電界発光パネル。
(7)
各前記青色画素の前記中間層の厚さが、20nm以上30nm以下となっており、
各前記緑色画素の前記中間層の厚さが、10nm以上20nm以下となっており、
各前記赤色画素の前記中間層の厚さが、30nm以上50nm以下となっている
(6)に記載の有機電界発光パネル。
(8)
有機電界発光パネルと、前記有機電界発光パネルを駆動する駆動回路とを備え、
前記有機電界発光パネルは、複数の赤色画素、複数の緑色画素および複数の青色画素を有し、
各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素は、第1電極層、電子ブロッキング性を有する中間層、発光層および第2電極層をこの順に有し、
各前記緑色画素の前記中間層の厚さが、各前記赤色画素の前記中間層の厚さよりも薄くなっている
電子機器。
1…有機電界発光装置、2…電子機器、10…有機電界発光パネル、11…画素、12,12R,12G,12B…副画素、12−1…画素回路、12−2…有機電界発光素子、13…ラインバンク、14…バンク、15…溝部、16…基板、18…ピクセルバンク、20…コントローラ、21…陽極、22…正孔注入層、22A…金属酸化物層、22B…有機物層、23…正孔輸送層、24…発光層、24A…発光領域、25…電子輸送層、26…電子注入層、27…陰極、28…封止層、30…ドライバ、31…水平セレクタ、32…ライトスキャナ、310…筐体、320…表示面、410…照明部、420…天井、430…壁、Tr1…駆動トランジスタ、Tr2…選択トランジスタ、Cs…保持容量、DSL…電源線、DTL…信号線、Vgs…ゲート−ソース間電圧、Vsig…信号電圧、WSL…選択線。

Claims (8)

  1. 複数の赤色画素、複数の緑色画素および複数の青色画素を備え、
    各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素は、第1電極層、電子ブロッキング性を有する中間層、発光層および第2電極層をこの順に有し、
    各前記緑色画素の前記中間層の厚さが、各前記赤色画素の前記中間層の厚さよりも薄くなっている
    有機電界発光パネル。
  2. 各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素において、前記中間層は、前記発光層に接している
    請求項1に記載の有機電界発光パネル。
  3. 前記中間層は、塗布膜で形成されており、かつ、不溶化層となっている
    請求項1または請求項2に記載の有機電界発光パネル。
  4. 各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素は、前記第1電極層と前記中間層との間に、前記発光層へ正孔の注入を促進させる機能を有する正孔注入層を有し、
    前記中間層は、正孔を前記発光層へ輸送する機能を有する
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機電界発光パネル。
  5. 前記正孔注入層は、金属酸化物層と、前記金属酸化物層に積層された有機物層とを含んで構成されており、
    各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素において、前記金属酸化物層の厚さが互いに等しくなっている
    請求項4に記載の有機電界発光パネル。
  6. 各前記赤色画素の前記有機物層の厚さが、各前記緑色画素の前記有機物層の厚さよりも厚くなっている
    請求項5に記載の有機電界発光パネル。
  7. 各前記青色画素の前記中間層の厚さが、20nm以上30nm以下となっており、
    各前記緑色画素の前記中間層の厚さが、10nm以上20nm以下となっており、
    各前記赤色画素の前記中間層の厚さが、30nm以上50nm以下となっている
    請求項6に記載の有機電界発光パネル。
  8. 有機電界発光パネルと、前記有機電界発光パネルを駆動する駆動回路とを備え、
    前記有機電界発光パネルは、複数の赤色画素、複数の緑色画素および複数の青色画素を有し、
    各前記赤色画素、各前記緑色画素および各前記青色画素は、第1電極層、電子ブロッキング性を有する中間層、発光層および第2電極層をこの順に有し、
    各前記緑色画素の前記中間層の厚さが、各前記赤色画素の前記中間層の厚さよりも薄くなっている
    電子機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021044479A (ja) * 2019-09-13 2021-03-18 株式会社Joled 表示パネル及びその製造方法
CN113314586A (zh) * 2021-06-29 2021-08-27 合肥京东方卓印科技有限公司 显示面板及其制备方法、显示装置
WO2021210096A1 (ja) * 2020-04-15 2021-10-21 シャープ株式会社 発光素子

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