JP2019153408A - 送電線 - Google Patents

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加々美 智博
Tomohiro Kagami
智博 加々美
豊光 熊田
Toyomitsu Kumada
豊光 熊田
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Abstract

【課題】カーボンコンポジットを含む中心部の損傷に係る危険性を送電線の外観から検知することができる技術を提供する。【解決手段】カーボンコンポジットを含む中心部と、中心部の外周を覆うように複数の外部素線を撚り合わせて設けられる外部撚線層と、を有する送電線であって、中心部は、複数の外部素線と異なる色を呈し、常温で流動性を有する着色剤を、内部に保持する着色剤保持管を有し、着色剤保持管は、中心部のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に送電線が曲げられたときに割れ、着色剤を外部に放出するよう構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、送電線に関する。
架空送電線(以下、送電線という)としては、鋼心アルミニウム撚線(ACSR:Aluminum Conductor Steel Reinforced)が知られている。一般に、ACSRなどの送電線では、電流を増加させたときにジュール熱による送電線の温度上昇に伴って、送電線が熱膨張し、送電線の弛度が大きくなる傾向がある。
そこで、近年では、既設の送電線路の電流容量を増大させるため、電流が増加し送電線の温度が上昇したときの弛度の増加を抑制した、いわゆる低弛度増容量電線が開発されている。低弛度増容量電線としては、例えば、中心部(鋼心部)がインバーを含むインバー電線、高強度鋼線を用いたギャップ電線、中心部に予め張力を付与してから外部素線(アルミ素線)を撚り合わせることで外部素線に余長を生じさせたプレストレッチ電線、または中心部がカーボンコンポジットを含むカーボンコンポジットコア電線などが知られている。
なかでも、カーボンコンポジットは、線膨張係数が小さく、比重が小さく、また引張強度が高い。このことから、カーボンコンポジットコア電線では、その用途に応じて、送電線の弛度を小さくしたり、外部撚線層(アルミ層)の径を太くすることで抵抗を低くしたりすることが可能となる(例えば、特許文献1および2)。
特開平4−308610号公報 特開平4−87212号公報
しかしながら、中心部が含むカーボンコンポジットは、曲げ応力に弱い。カーボンコンポジットが所定の曲げ半径以下に曲げられると、ひびや割れ等の損傷が生じる可能性がある。
本発明の目的は、カーボンコンポジットを含む中心部の損傷に係る危険性を送電線の外観から検知することができる技術を提供することである。
本発明の一態様によれば、
カーボンコンポジットを含む中心部と、
前記中心部の外周を覆うように複数の外部素線を撚り合わせて設けられる外部撚線層と、
を有する送電線であって、
前記中心部は、前記複数の外部素線と異なる色を呈し常温で流動性を有する着色剤を、内部に保持する着色剤保持管を有し、
前記着色剤保持管は、前記中心部のうち前記カーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に前記送電線が曲げられたときに割れ、前記着色剤を外部に放出するよう構成される
送電線が提供される。
本発明によれば、カーボンコンポジットを含む中心部の損傷に係る危険性を送電線の外観から検知することができる。
本発明の一実施形態に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。 本発明の一実施形態の送電線のうち着色剤保持管が割れたときを示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る送電線が曲げられたときの軸方向に沿った断面図である。 本発明の一実施形態の変形例1に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。 本発明の一実施形態の変形例2に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。 本発明の一実施形態の変形例3に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。
<発明者の得た知見>
上述のように、中心部が含むカーボンコンポジットは、曲げ応力に弱く、カーボンコンポジットが所定の曲げ半径以下に曲げられると、ひびや割れ等の損傷が生じる可能性がある。カーボンコンポジットに損傷が生じると、カーボンファイバ同士の繋がりが断ち切られることとなる。仮にカーボンコンポジットを含む中心部にひび等の損傷が生じたまま、送電線が鉄塔間に架線されると、中心部に生じた損傷が経時的に拡大し、中心部の全体が破断したり屈折したりしてしまうおそれがある。その結果、送電線が架線時の張力に耐えられなくなるおそれがある。
このような事態を回避するため、送電線が架線される以前に中心部の損傷を検知することが望まれる。
しかしながら、中心部は外部撚線層によって覆われているため、送電線の製造後から架線するまでの間に中心部に損傷が生じたとしても、送電線の外観から当該中心部の損傷を確認することは困難であった。
このため、従来では、送電線の製造後から送電線を架線するまでの間に、中心部が所定の曲げ半径以下に曲げられることがないよう、各工程を管理していた。具体的には、例えば、送電線を巻き取るドラムの直径を大きくしたり、送電線を鉄塔間に架線する際に用いられる金車の直径を大きくしたりしていた。
しかしながら、中心部の曲げ半径の管理を、送電線を製造する製造メーカから、送電線を架線する施工業者に至るまで、一貫して徹底させることは困難であった。また、たとえ中心部の曲げ半径を管理していたとしても、送電線の製造後から架線するまでの間には、送電線を工具で掴むなどの様々なプロセスを経るため、意図せずに中心部が所定の曲げ半径以下に曲げられる可能性があった。その結果、中心部の損傷を抑制することが困難となっていた。
本発明は、発明者等が見出した上記新規課題に基づくものである。
<本発明の一実施形態>
(1)送電線
本発明の一実施形態に係る送電線(架空送電線)について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。
本実施形態の送電線10は、いわゆる低弛度増容量電線として構成され、例えば、中心部100と、外部撚線層300と、を有している。
なお、以下において、送電線10の「軸方向」とは、送電線10の中心軸の方向のことをいい、送電線10の長手方向と言い換えることができる。また、送電線10の「径方向」とは、送電線10の軸方向に垂直な方向のことをいい、場合によっては送電線10の短手方向と言い換えることができる。また、送電線10の「周方向」とは、送電線10の外周に沿った方向のことをいう。
(中心部)
中心部100は、例えば、架線時に送電線10の張力を負担するテンションメンバとして機能するよう構成されている。中心部100は、送電線10の径方向の中心に設けられ、送電線10の軸方向に延在している。
中心部100は、例えば、カーボンコンポジットを含んでいる。カーボンコンポジットの線膨張係数は、ACSRに用いられるアルミニウム(Al)の線膨張係数(23×10−6/K)や、亜鉛メッキ鋼の線膨張係数(11.5×10−6/K)よりも低く、0.8×10−6/Kである。また、カーボンコンポジットの比重は、ACSRに用いられるAlの比重(約2.7g/cm)や、亜鉛メッキ鋼の比重(約7.8g/cm)よりも小さく、約1.5〜1.8g/cm程度である。これにより、送電線10の弛度を小さくすることが可能となる。
本実施形態の中心部100は、例えば、1つのカーボンコンポジット素線120からなっている。カーボンコンポジット素線120は、例えば、素線コア部122と、コア保護層124と、を有している。
素線コア部122は、中心部100のなかでも主に送電線10の張力を負担する線状部材として構成され、カーボンコンポジットからなっている。具体的には、素線コア部122は、例えば、カーボンファイバ(炭素繊維)と、カーボンファイバを束ねて固める樹脂と、を有している。素線コア部122を構成する樹脂は、例えば、束ねられたカーボンファイバ間に介在して設けられ、または、束ねられたカーボンファイバの外周を囲むように設けられている。当該樹脂は、例えば、熱硬化型樹脂であり、具体的には、熱硬化型のエポキシ樹脂などである。なお、素線コア部122は、例えば、ガラス繊維をさらに含んでいてもよい。
コア保護層124は、例えば、素線コア部122の外周を覆うように設けられ、該素線コア部122を保護するよう構成されている。これにより、カーボンコンポジットからなる素線コア部122と、後述のAl等からなる外部素線320とが直接接することを抑制することができる。その結果、これらの接触を起因とした外部素線320の電食を抑制することができる。
コア保護層124は、例えば、カーボンファイバを含まず、ガラスファイバと、ガラスファイバを固める樹脂と、を有している。具体的には、コア保護層124を構成する樹脂としては、例えば、素線コア部122と同様に、熱硬化型のエポキシ樹脂などである。このような構成により、コア保護層124の強度を向上させることができる。
ここで、本実施形態の中心部100は、例えば、着色剤保持管400を有している。着色剤保持管400については、詳細を後述する。
(外部撚線層)
外部撚線層300は、送電時に主に電流を流す導体部分として構成されている。外部撚線層300は、中心部100の外周を覆うように複数の外部素線320を撚り合わせて設けられている。外部撚線層300を構成する複数の外部素線320は、例えば、AlまたはAl合金からなっている。本実施形態では、当該外部素線320は、例えば、耐熱アルミニウム合金線(日本ではTAL、IEC62004ではAT1)、超耐熱アルミニウム合金線(日本ではZTAL、IEC62004ではAT3)、または軟アルミニウム線などである。これにより、送電線10を高い温度範囲で使用することができ、送電線10の電流容量を大きくすることができる。
外部撚線層300は、例えば、中心部100の中心軸を中心として同心円状に複数積層されている。本実施形態では、例えば、外部撚線層300は、2層設けられている。具体的には、送電線10は、例えば、中心部100側から外側に向けて、第1外部撚線層300aと、第2外部撚線層300bと、を有している。
なお、本実施形態では、外部撚線層300を構成する全ての外部素線320のそれぞれの断面形状は、例えば、円形である。
(着色剤保持管)
本実施形態の中心部100は、例えば、上述のように、着色剤保持管400を有している。着色剤保持管400は、例えば、円管状(チューブ状)部材からなり、内部に中空部(符号不図示)を有している。
着色剤保持管400は、例えば、複数の外部素線320と異なる色を呈し、常温(例えば23℃)で流動性を有する着色剤(塗料、インク)420を、中空部内に保持している。着色剤420は、例えば、着色剤420を早く外部に露出させる観点から、常温で液状であることが好ましい。また、着色剤420が呈する色は、少なくとも複数の外部素線320と異なる色であれば特に限定されないが、目立つ色が好ましい。具体的には、着色剤420が呈する色の色度および明度は、外部素線320のそれらと離れていることが好ましい。さらには、着色剤420は、例えば、蛍光材料を含んでいることが好ましい。これにより、着色剤420の視認性を向上させることができる。
着色剤保持管400は、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に送電線10が曲げられたときに割れ、着色剤420を外部に放出するよう構成されている。なお、ここでいう「中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部」とは、本実施形態では、素線コア部122の少なくとも一部のことである。また、ここでいう「中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部」に生じる「損傷」とは、曲げにより生じる欠陥部のことを意味し、例えば、ひびや割れなどのことである。
本実施形態では、着色剤保持管400は、例えば、カーボンコンポジット素線120のコア保護層124内に設けられている。これにより、カーボンコンポジット素線120を構成する素線コア部122の断面形状を、従来の素線コア部と同様に円形とすることができる。
ここで、図2を用い、着色剤保持管400が割れたときについて説明する。図2は、本実施形態の送電線のうち着色剤保持管が割れたときを示す断面図である。
送電線10が上記所定の曲げ半径に曲げられたとき、図2に示すように、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じる。着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じると、当該着色剤保持管400の割れ部分から(コア保護層124の割れ部分を介して)外部に向けて、着色剤420が放出される。放出された着色剤420は、例えば、毛細管現象またはそれ自身の重力などによって、複数の外部素線320の間を伝播し、最終的に外部撚線層300の外周面に露出する(太矢印経路)。このように外部撚線層300の外周面に露出した着色剤420を確認することで、カーボンコンポジットを含む中心部100の損傷に係る危険性を送電線10の外観から検知することができる。
なお、着色剤420が外部撚線層300の外周面に露出した位置が、たとえ送電線10の鉛直上側であったとしても、着色剤420は、外部撚線層300を構成する外部素線320の撚り溝に沿って伝播し、送電線10の鉛直下側まで移動する。これにより、送電線10の鉛直下側に露出した着色剤420を、地上から確認することができる。
次に、図3を用い、それぞれの曲げ半径について説明する。図3は、本実施形態に係る送電線が曲げられたときの軸方向に沿った断面図である。なお、図3では、ハッチングの一部を省略している。
なお、図3は、送電線10の曲げ中心側を1つの着色剤保持管400が通る場合を示している。「送電線10の曲げ中心側」とは、送電線10が曲げられることで形成される円弧の内側のことを意味している。また、図3において、送電線10の曲げ半径をRとし、中心部100のうちの素線コア部122の曲げ半径をrcとし、着色剤保持管400(本実施形態ではコア保護層124)の曲げ半径をrdとする。
図3に示すように、送電線10の曲げ半径Rは、例えば、送電線10が曲げられたときの、送電線10の曲げ中心から、送電線10の外周面のうち曲げ中心側の位置までの距離として定義される。
送電線10の曲げ半径Rに関して、上述の「中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径」とは、送電線10を徐々に曲げていった場合に、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じ始めたときの送電線10の曲げ半径Rの最大値のことを意味している。
中心部100のうちの素線コア部122の曲げ半径rcは、例えば、送電線10が曲げられたときの、送電線10の曲げ中心から、素線コア部122の外周面のうち曲げ中心側の位置までの距離として定義される。なお、素線コア部122の曲げ半径rcは、およそ外部撚線層300の厚さ分だけ送電線10の曲げ半径Rよりも大きい。
着色剤保持管400の曲げ半径rdは、例えば、送電線10が曲げられたときの、送電線10の曲げ中心から、着色剤保持管400の外周面のうち曲げ中心側の位置までの距離として定義される。なお、図3に示すように、送電線10の曲げ中心側を着色剤保持管400が通る場合では、当該着色剤保持管400の曲げ半径rdは、素線コア部122の曲げ半径rcよりも小さい。
ここで、本実施形態の着色剤保持管400は、上述のように、送電線10の曲げ半径Rが中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径であるときに割れるように構成されている。言い換えれば、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じるときの送電線10の曲げ半径Rは、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上である。
着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じるときの送電線10の曲げ半径Rが上記臨界曲げ半径未満であると、送電線10が上記臨界曲げ半径に曲げられたとしても、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じているにもかかわらず、着色剤保持管400に割れが生じない。このため、着色剤保持管400から着色剤420が放出されず、中心部100のうちのカーボンコンポジットの損傷を検知することができない可能性がある。
これに対し、本実施形態では、例えば、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じるときの送電線10の曲げ半径Rを上記臨界曲げ半径と等しくすることにより、送電線10が上記臨界曲げ半径に曲げられたときに、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じるのと同等のタイミングで、着色剤保持管400の少なくとも一部においても、割れを生じさせることができる。これにより、着色剤保持管400の割れ部分から外部に向けて、着色剤420を放出させることができる。このようにして放出された着色剤420を送電線10の外観から検知することにより、カーボンコンポジットを含む中心部100に損傷が生じたおそれがあることを把握することができる。
また、本実施形態では、例えば、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じるときの送電線10の曲げ半径Rを上記臨界曲げ半径よりも大きくすることにより、送電線10が上記臨界曲げ半径より大きい所定の曲げ半径Rに曲げられたときに、中心部100に損傷が生じていなくても、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを生じさせることができる。ここで、送電線10が上記臨界曲げ半径より大きい所定の曲げ半径Rに曲げられたときであっても、当該送電線10の曲げ半径Rが上記臨界曲げ半径に近い場合などには、中心部100に対して損傷を生じさせるに相当する曲げ応力が印加されたおそれがある。そこで、本実施形態では、このような段階であっても、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを生じさせ、着色剤保持管400の割れ部分から外部に向けて、着色剤420を放出させることができる。このようにして放出された着色剤420を送電線10の外観から検知することにより、中心部100に損傷が生じうる危険性を未然に把握することができる。
なお、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じるときの送電線10の曲げ半径Rの上限値については、特に限定されるものではないが、着色剤保持管400に過度に(頻繁に)割れが生じない程度に設計されることが好ましい。
また、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させる観点では、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れが生じるときの送電線10の曲げ半径Rは、上記臨界曲げ半径に限りなく近いことが好ましく、上述のように臨界曲げ半径と等しいことがより好ましい。
本実施形態のように、中心部100が1つのカーボンコンポジット素線120からなる場合では、着色剤保持管400の曲げ強さは、例えば、カーボンコンポジット素線120のうちの素線コア部122の曲げ強さ以下である。ここでいう「曲げ強さ」とは、所定の素線(または管)を曲げることで、当該素線の少なくとも一部に損傷が生じたときに、素線に印加されていた最大曲げ応力のことをいう。当該「曲げ強さ」は、例えば、いわゆる3点曲げ試験等により測定可能である。着色剤保持管400の曲げ強さが素線コア部122の曲げ強さ以下であることで、送電線10の曲げ半径Rが、カーボンコンポジット素線120のうちの素線コア部122の少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径であるときに、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを生じさせることができる。
なお、着色剤保持管400の曲げ強さは、例えば、送電線10が通電されたときに着色剤420の膨張に耐えうる強度以上であることが好ましい。これにより、中心部100の損傷の誤検出を抑制することができる。
本実施形態では、着色剤保持管400は、例えば、カーボンコンポジット素線120のうちのコア保護層124を構成する材料のうち少なくともいずれかを含んでいる。着色剤保持管400を構成する材料は、コア保護層124を構成する材料と全く同じであってもよいし、コア保護層124を構成する材料以外の材料を含んでいてもよい。
このような着色剤保持管400の構成は、着色剤保持管400の曲げ強さが素線コア部122の曲げ強さ以下となるよう、例えば、以下のようにして実験的に最適化される。例えば、着色剤保持管400を構成する材料、組成比および厚さ等が異なる複数の送電線10を製造した後、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の所定の半径を有する金車に、それぞれの送電線10を通す。当該金車通過試験後、着色剤保持管400に割れが生じずに、中心部100のうちカーボンコンポジットに損傷が生じてしまった送電線10などを不良品として判定する。これに対し、中心部100のうちカーボンコンポジットに損傷が生じておらず、着色剤保持管400のみに割れが生じたことが確認された送電線10を良品として判定する。その結果、良品として判定された送電線10のなかから、着色剤保持管400の構成を最適化することができる。
また、図1に示すように、本実施形態では、着色剤保持管400は、例えば、複数設けられている。複数の着色剤保持管400は、コア保護層124内で素線コア部122の外周を囲むように設けられている。複数の着色剤保持管400は、例えば、素線コア部122に沿って互いに平行に設けられていてもよいし、或いは、素線コア部122を中心としてその外周に撚り合わせられていてもよい。
本実施形態では、送電線10の軸方向に直交する断面において、複数の着色剤保持管400は、例えば、中心部100の周方向に均等に配置されている。複数の着色剤保持管400は、例えば、中心部100の中心軸を中心として回転対称に配置されていると考えてもよい。具体的には、例えば、着色剤保持管400は6つ設けられ、6つの着色剤保持管400は中心部100の周方向に均等に配置されている。6つの着色剤保持管400は中心部100の中心軸を中心として2回、3回または6回の回転対称に配置されていると考えることができる。さらに、6つの着色剤保持管400は、送電線10の中心軸に対して対称に配置されていると考えることもできる。このような着色剤保持管400の配置により、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、コア保護層124内の径方向の着色剤保持管400の位置は、例えば、コア保護層124の表面よりも径方向の内側である。言い換えれば、着色剤保持管400は、コア保護層124の外側に露出していない。これにより、着色剤保持管400が外部素線320と接触すること等に起因して、着色剤保持管400が誤って割れることを抑制することができる。その結果、中心部100の損傷の誤検出を抑制することができる。
一方で、本実施形態では、例えば、着色剤保持管400の少なくとも一部が、コア保護層124の外側に露出していてもよい。これにより、着色剤保持管400を割れ易くすることができ、着色剤保持管400内の着色剤420を中心部100の外部に放出させ易くすることができる。その結果、中心部100の損傷に対する着色剤保持管400の応答性を向上させることができる。
なお、コア保護層124内の径方向の着色剤保持管400の位置についても、上述のように実験的に最適化することができる。
以上により、本実施形態の送電線10が構成される。
送電線10の具体的な寸法の一例としては、中心部100を構成するカーボンコンポジット素線120の直径は、例えば、6mm以上15mm以下である。カーボンコンポジット素線120のうち、素線コア部122の直径は、例えば、4mm以上11mm以下であり、コア保護層124の厚さは、例えば、1mm以上2mm以下である。本実施形態での着色剤保持管400の直径は、例えば、コア保護層124の厚さ以下であり、すなわち、1mm以上2mm以下である。着色剤保持管400の厚さは、例えば、0.3mm以下である。例えば、外部素線320の直径は、例えば、2mm以上6mm以下である。また、送電線10全体の直径は、14mm以上50mm以下である。
また、送電線10に適用される電圧(公称電圧)は、例えば、30kV以上1000kV以下であり、送電線10の許容電流は、例えば、400A以上3000A以下である。
なお、送電線10の具体的な寸法等はあくまで一例であって、本実施形態の送電線10は、上記構成に限定されるものではない。上記寸法以外の寸法等において本実施形態の送電線10を適用しても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
(2)送電線の製造方法
次に、本実施形態に係る送電線10の製造方法について説明する。
(中心部形成工程)
まず、着色剤420を内部に保持する着色剤保持管400を準備する。
具体的には、例えば、所定の樹脂により円管状部材を押出成型することで、着色剤保持管400を形成する。なお、所定の樹脂からなるフィルムを円筒状に接合することで、着色剤保持管400を形成してもよい。着色剤保持管400を形成したら、着色剤保持管400の中空部内に、着色剤420を充填する。例えば、着色剤保持管400の中空部内を排気しながら、該中空部内に着色剤420を加圧充填する。なお、これ以外の方法で、着色剤保持管400の中空部内に着色剤420を充填してもよい。
このとき、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に送電線10が曲げられたときに割れ、着色剤420を外部に放出するよう、着色剤保持管400を構成する。具体的には、事前に実験的に最適化された条件を満たすように、着色剤保持管400の材料、組成比および厚さ等を調整する。
また、素線コア部122を準備する。具体的には、例えば、カーボンファイバを束ね、樹脂により線状に押出成型することにより、素線コア部122を形成する。
着色剤保持管400および素線コア部122を準備したら、素線コア部122の外周を覆うように所定の樹脂を被覆することで、コア保護層124を形成する。このとき、コア保護層124内に素線コア部122の外周を囲むように複数の着色剤保持管400を配置しながら、コア保護層124を形成する。コア保護層124を形成したら、所定の加熱処理によりコア保護層124を構成する樹脂を硬化させる。
以上により、本実施形態の中心部100が形成される。
(外部撚線層形成工程)
外部撚線層300を構成する外部素線320を準備する。具体的には、円形の開口を有するダイスを設けた伸線機を用い、所定のAl合金材を伸線することにより、外部素線320を形成する。
外部素線320を準備したら、所定の撚線機により外部撚線層300を形成する。具体的には、まず、第1撚線機を用い、中心部100の外周を覆うように複数の外部素線320を撚り合わせることにより、第1外部撚線層300aを形成する。次に、第2撚線機を用い、第1外部撚線層300aの外周を覆うように複数の外部素線320を撚り合わせることにより、第2外部撚線層300bを形成する。
以上により、本実施形態に係る送電線10が製造される。
(3)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
(a)中心部100は、着色剤保持管400を有している。着色剤保持管400は、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に送電線10が曲げられたときに割れ、着色剤420を外部に放出するよう構成されている。送電線10の製造後から架線するまでの間に送電線10が曲げられる毎に、着色剤保持管400から放出された着色剤420を送電線10の外観から検知することで、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部が損傷したおそれがあることを把握することができる。或いは、中心部100のカーボンコンポジットに対して損傷を生じさせるに相当する曲げ応力が印加されたおそれがあることを、実際に中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が発生する以前に把握することができる。このように、本実施形態では、送電線10が架線される以前に、カーボンコンポジットを含む中心部100の損傷に係る危険性を送電線10の外観から検知することが可能となる。
送電線10が架線される以前に、中心部100の損傷に係る危険性を送電線10の外観から検知することで、中心部100のカーボンコンポジットが損傷したおそれがある送電線10や、中心部100のカーボンコンポジットに対して損傷を生じさせるに相当する曲げ応力が印加されたおそれがある送電線10を排除することができる。これにより、中心部100のうちカーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じたまま送電線10が架線されることを防ぐことができる。その結果、中心部100のカーボンコンポジットの損傷を起因として送電線10が架線時の張力に耐えられなくなる事態を回避することが可能となる。
なお、送電線10が架線された後では中心部100に過大な曲げ応力が加わることは少ないが、送電線10が架線された後であっても、着色剤保持管400から放出された着色剤420を検知することで、カーボンコンポジットを含む中心部100の損傷に係る危険性を送電線10の外観から検知することも可能である。
(b)着色剤保持管400内に保持される着色剤420が、複数の外部素線320と異なる色を呈し、常温で流動性を有していることで、着色剤保持管400が割れ、着色剤420が送電線10の外側に放出されたことを確認し易くすることができる。これにより、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させることができる。
(c)着色剤保持管400が割れた位置付近の送電線10の径方向の外側に着色剤420が露出することで、着色剤保持管400が割れた位置を送電線10の外観から明確に把握することができる。これにより、着色剤420が露出した位置付近、すなわち着色剤保持管400が割れた位置と重なる位置付近で、中心部100のカーボンコンポジットに対して損傷を生じさせるに相当する曲げ応力が印加されたと予測することができる。その結果、送電線10の不良部分として排除すべき部分を特定することが可能となる。
(d)中心部100が1つのカーボンコンポジット素線120からなり、着色剤保持管400がカーボンコンポジット素線120のコア保護層124内に設けられていることで、カーボンコンポジット素線120を構成する素線コア部122の断面形状を、従来の素線コア部と同様に円形とすることができる。これにより、中心部100が着色剤保持管400を有することに起因した送電線10の引張強度の低下を抑制することができる。
(e)カーボンコンポジット素線120の最外層であるコア保護層124内に着色剤保持管400が設けられていることで、着色剤保持管400が割れた際に、着色剤保持管400内の着色剤420を中心部100の外部に放出させ易くすることができる。これにより、中心部100の損傷に対する着色剤保持管400の応答性を向上させることができる。
(f)着色剤保持管400の曲げ強さは、カーボンコンポジット素線120のうちの素線コア部122の曲げ強さ以下である。これにより、送電線10の曲げ半径Rが、カーボンコンポジット素線120のうちの素線コア部122の少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径であるときに、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを生じさせ、着色剤保持管400の割れ部分から外部に向けて、着色剤420を放出させることができる。その結果、カーボンコンポジット素線120の損傷に係る危険性を、送電線10の外観から検知することが可能となる。
(g)複数の着色剤保持管400が中心部100の周方向に均等に配置されることで、送電線10が曲げられたときに複数の着色剤保持管400がどのように配置されていたとしても、複数の着色剤保持管400のうちの1つの曲げ半径rdは、素線コア部122の曲げ半径rcよりも小さくなる。つまり、複数の着色剤保持管400のうちの1つは、素線コア部122よりも曲げに対して不利な状態となる。これにより、送電線10が曲げられたときに、素線コア部122の少なくとも一部に損傷が生じる以前に、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを確実に生じさせることができる。その結果、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させることができる。
(4)本実施形態の変形例
上述の実施形態は、必要に応じて、以下に示す変形例のように変更することができる。以下、上述の実施形態と異なる要素についてのみ説明し、上述の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
(変形例1)
図4を用い、変形例1に係る送電線について説明する。図4は、本実施形態の変形例1に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。
変形例1では、着色剤保持管400の配置箇所が、上述の実施形態と異なっている。
図4に示すように、本変形例の中心部100は、例えば、1つのカーボンコンポジット素線120からなっている。カーボンコンポジット素線120は、例えば、素線コア部122と、コア保護層124と、を有している。
本変形例の着色剤保持管400は、例えば、素線コア部122内に設けられている。具体的には、着色剤保持管400は、例えば、素線コア部122内の外周側に埋め込まれている。素線コア部122の断面形状は、例えば、円形となっている。コア保護層124は、素線コア部122の外周を覆うように設けられ、着色剤保持管400を保護している。
着色剤保持管400の曲げ強さは、例えば、素線コア部122のうち着色剤保持管400以外の他部の曲げ強さ以下である。さらに、コア保護層124の曲げ強さも、例えば、素線コア部122のうち着色剤保持管400以外の他部の曲げ強さ以下である。これにより、送電線10の曲げ半径Rが、素線コア部122のうち着色剤保持管400以外の他部の少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径であるときに、着色剤保持管400およびコア保護層124にそれぞれ割れを生じさせ、着色剤保持管400の割れ部分からコア保護層124の割れ部分を介して外部に向けて、着色剤420を放出させることができる。
本変形例では、着色剤保持管400は、例えば、複数設けられている。複数の着色剤保持管400は、例えば、素線コア部122内でその外周に沿って配置されている。複数の着色剤保持管400は、例えば、素線コア部122の中心軸に沿って互いに平行に設けられていてもよいし、或いは、素線コア部122の中心軸の周りに撚り合わせられていてもよい。
本変形例では、送電線10の軸方向に直交する断面において、複数の着色剤保持管400は、例えば、中心部100(素線コア部122)の周方向に均等に配置されている。本変形例の複数の着色剤保持管400の対称性は、該着色剤保持管400が素線コア部122内に設けられている点を除いて、上述の実施形態の複数の着色剤保持管400の対称性と同様である。
(効果)
(a)着色剤保持管400が素線コア部122内に設けられていることで、着色剤保持管400が素線コア部122の一部となっている。これにより、素線コア部122に対して損傷を生じさせるに相当する曲げ応力が実際に印加されたときに、素線コア部122内の着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを確実に生じさせ、着色剤保持管400の割れ部分から外部に向けて、着色剤420を放出させることができる。その結果、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させることができる。
(b)着色剤保持管400が素線コア部122内に設けられていることで、着色剤保持管400は、コア保護層124によって保護されている。これにより、着色剤保持管400が外部素線320と接触すること等に起因して、着色剤保持管400が誤って割れることを抑制することができる。その結果、中心部100の損傷の誤検出を抑制することができる。
(変形例2)
図5を用い、変形例2に係る送電線について説明する。図5は、本実施形態の変形例2に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。
変形例2では、中心部100の構成が、上述の実施形態と異なっている。
図5に示すように、本変形例の中心部100は、例えば、カーボンコンポジット素線120を複数束ねることにより構成されている。複数のカーボンコンポジット素線120は、直線状に束ねられていてもよいし、或いは、螺旋状に撚り合わせられていてもよい。
着色剤保持管400は、中心部100内に複数のカーボンコンポジット素線120とともに束ねられている。つまり、中心部100内に、1つのカーボンコンポジット素線120の代わりに着色剤保持管400が設けられている。着色剤保持管400の直径は、例えば、カーボンコンポジット素線120の直径とほぼ等しい。
図5の具体例では、中心部100は、6つのカーボンコンポジット素線120と、1つの着色剤保持管400と、を有し、1つのカーボンコンポジット素線120を中心として、その外周を覆うように5つのカーボンコンポジット素線120および1つの着色剤保持管400が撚り合わせられている。
本変形例では、着色剤保持管400の曲げ強さは、例えば、複数のカーボンコンポジット素線120のうちの少なくとも1つのカーボンコンポジット素線120の曲げ強さ以下である。なお、「1つのカーボンコンポジット素線120の曲げ強さ」とは、解かれた状態での1つのカーボンコンポジット素線120の曲げ強さを意味している。
または、本変形例では、着色剤保持管400の曲げ強さは、例えば、複数のカーボンコンポジット素線120の全体(すなわち、中心部100)としての曲げ強さ以下としてもよい。なお、「複数のカーボンコンポジット素線120の全体としての曲げ強さ」とは、複数のカーボンコンポジット素線120が束ねられた状態での曲げ強さであってもよいし、複数のカーボンコンポジット素線120のそれぞれの曲げ強さを合計した値であってもよい。
なお、本変形例の具体的な寸法の一例としては、着色剤保持管400の直径は、例えば、2mm以上6mm以下であり、着色剤保持管400の厚さは、例えば、1mm以下である。
(効果)
(a)着色剤保持管400を、中心部100内に複数のカーボンコンポジット素線120とともに束ねることで、着色剤保持管400を有する中心部100を容易に形成することができる。
(b)中心部100内に、1つのカーボンコンポジット素線120の代わりに着色剤保持管400が設けられていることで、カーボンコンポジット素線120に対して損傷を生じさせるに相当する曲げ応力が実際に印加されたときに、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを確実に生じさせ、着色剤保持管400の割れ部分から外部に向けて、着色剤420を放出させることができる。その結果、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させることができる。
(c)着色剤保持管400の曲げ強さが複数のカーボンコンポジット素線120のうちの少なくとも1つのカーボンコンポジット素線120の曲げ強さ以下であることで、送電線10の曲げ半径Rが、1つのカーボンコンポジット素線120の少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径であるときに、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを生じさせることができる。これにより、中心部100に生じた損傷が、1つのカーボンコンポジット素線120の少なくとも一部に生じるような微小な損傷であったとしても、当該損傷に係る危険性を送電線10の外観から検知することができる。その結果、中心部100の損傷を起因として送電線10が架線時の張力に耐えられなくなる事態を確実に回避することが可能となる。
(d)または、着色剤保持管400の曲げ強さが複数のカーボンコンポジット素線120の全体としての曲げ強さ以下であることで、送電線10の曲げ半径Rが、複数のカーボンコンポジット素線120の少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径であるときに、着色剤保持管400の少なくとも一部に割れを生じさせることができる。これにより、複数のカーボンコンポジット素線120が束ねられた状態で生じた損傷に係る危険性を送電線10の外観から検知することができる。
また、この場合、着色剤保持管400の曲げ強さが、実際の複数のカーボンコンポジット素線120が束ねられた中心部100の曲げ強さに基づいて設計されていることで、中心部100に損傷が生じる危険性がないのにもかかわらず、着色剤保持管400に過度に割れが生じることを抑制することができる。
(変形例3)
図6を用い、変形例3に係る送電線について説明する。図6は、本実施形態の変形例3に係る送電線の軸方向と直交する断面図である。
変形例3では、着色剤保持管400の構成が、上述の実施形態と異なっている。
図6に示すように、着色剤保持管400が複数設けられている。複数の着色剤保持管400は、例えば、異なる曲げ半径で割れるよう構成されている。具体的には、例えば、複数の着色剤保持管400は、3種類で構成されており、3つの異なる曲げ半径で割れるよう構成されている。なお、3種類の着色剤保持管400を、第1着色剤保持管400a、第2着色剤保持管400bおよび第3着色剤保持管400cとする。
3種類の着色剤保持管400は、例えば、第1着色剤保持管400a、第2着色剤保持管400bおよび第3着色剤保持管400cの順で割れ易くなっている。すなわち、着色剤保持管400が割れるときの曲げ半径は、第1着色剤保持管400a、第2着色剤保持管400bおよび第3着色剤保持管400cの順で大きい。例えば、着色剤保持管400の厚さは、第1着色剤保持管400a、第2着色剤保持管400bおよび第3着色剤保持管400cの順で薄くなっている。これにより、第1着色剤保持管400a、第2着色剤保持管400bおよび第3着色剤保持管400cの順で割れ易くすることができる。
なお、例えば、第1着色剤保持管400a、第2着色剤保持管400bおよび第3着色剤保持管400cのそれぞれは、素線コア部122を挟んで一対設けられている。
また、本変形例では、複数の着色剤保持管400が有する着色剤420の色は、例えば、互いに異なっている。例えば、着色剤420の色は、着色剤保持管400が割れるときの曲げ半径が小さいほど、危険度が増していることを示す色となっている。具体的には、着色剤420の色は、例えば、JIS Z9101に準拠している。第1着色剤保持管400aの着色剤420の色が黄色であり、第2着色剤保持管400bの着色剤420の色が黄赤色(オレンジ色)であり、第3着色剤保持管400cの着色剤420の色が赤色である。
なお、着色剤420の色は全て赤色であり、第1着色剤保持管400a、第2着色剤保持管400bおよび第3着色剤保持管400cの順で、着色剤420の色が濃くなっていてもよい。
(効果)
(a)複数の着色剤保持管400が異なる曲げ半径で割れるよう構成され、複数の着色剤保持管400が有する着色剤420の色が、互いに異なっている。これにより、着色剤保持管400から放出された着色剤420の色を識別することで、中心部100に対して、どの工程で、どの程度の曲げ半径の曲げ応力が加わったかを把握することができる。
(b)着色剤420の色は、着色剤保持管400が割れるときの曲げ半径が小さいほど、危険度が増していることを示す色となっている。これにより、着色剤保持管400から放出された着色剤420の色が示す危険度を識別することで、中心部100を損傷させるような強い曲げ応力が加わったか否かを把握することができる。その結果、送電線10の断線に至る前に、その危険性を的確に把握することができる。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、外部撚線層300が2層設けられている場合について説明したが、外部撚線層300は、1層のみ、または3層以上設けられていてもよい。
上述の実施形態では、外部撚線層300を構成する外部素線320の断面形状が円形である場合について説明したが、外部素線320の断面形状は、扇形や異形であってもよい。
上述の実施形態では、着色剤保持管400が円管状部材からなる場合について説明したが、着色剤保持管400は、中空部内に着色剤420を保持することができれば、円管状以外の形状を有する部材からなっていてもよい。具体的には、着色剤保持管400は、例えば、楕円管状部材、矩形管状部材、多角形管状部材、または扇形管状部材などからなっていてもよい。
上述の実施形態では、着色剤保持管400がコア保護層124を構成する材料のうち少なくともいずれかを含んでいる場合について説明したが、着色剤保持管400は、所定の曲げ強さを有していれば、コア保護層124を構成する材料を含まず、コア保護層124と異なる材料により構成されていてもよい。具体的には、着色剤保持管400は、例えば、金属により構成されていてもよい。着色剤保持管400を構成する金属としては、例えば、ステンレスなどが挙げられる。着色剤保持管400がステンレスにより構成されている場合では、着色剤保持管400を、ジェル状の着色剤420を注入しながら製管してもよい。
上述の実施形態では、着色剤保持管400が複数設けられている場合について説明したが、着色剤保持管400は1つのみ設けられていてもよい。ただし、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させる観点では、着色剤保持管400は複数設けられているほうが好ましい。
上述の実施形態では、着色剤保持管400が6つ設けられている場合について説明したが、着色剤保持管400は、少なくとも1つ設けられていればよく、6つより少なく設けられていてもよいし、或いは、6つより多く設けられていてもよい。
上述の実施形態では、着色剤保持管400がコア保護層124内に設けられ、また、上述の変形例1では、着色剤保持管400が素線コア部122内に設けられている場合について説明したが、着色剤保持管400は、素線コア部122およびコア保護層124の両方にそれぞれ設けられていてもよい。これにより、着色剤保持管400による中心部100の損傷検知精度を向上させることができる。
上述の実施形態では、中心部100が着色剤保持管400を有している場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、外部撚線層300が、複数の外部素線320とともに撚り合わせられる着色剤保持管400を有していてもよい。これにより、着色剤保持管400から放出された着色剤420を送電線10の外周面に確実に露出させ、該着色剤420を検知し易くすることができる。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様を付記する。
(付記1)
カーボンコンポジットを含む中心部と、
前記中心部の外周を覆うように複数の外部素線を撚り合わせて設けられる外部撚線層と、
を有する送電線であって、
前記中心部は、前記複数の外部素線と異なる色を呈し常温で流動性を有する着色剤を、内部に保持する着色剤保持管を有し、
前記着色剤保持管は、前記中心部のうち前記カーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に前記送電線が曲げられたときに割れ、前記着色剤を外部に放出するよう構成される
送電線。
(付記2)
前記中心部は、1つのカーボンコンポジット素線からなり、
前記カーボンコンポジット素線は、
カーボンコンポジットを含む素線コア部と、
前記素線コア部の外周を覆うように設けられるコア保護層と、
を有し、
前記着色剤保持管は、前記コア保護層内に設けられる
付記1に記載の送電線。
(付記3)
前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記素線コア部の曲げ強さ以下である
付記2に記載の送電線。
(付記4)
前記中心部は、1つのカーボンコンポジット素線からなり、
前記カーボンコンポジット素線は、
カーボンコンポジットを含む素線コア部と、
前記素線コア部の外周を覆うように設けられるコア保護層と、
を有し、
前記着色剤保持管は、前記素線コア部内に設けられる
付記1に記載の送電線。
(付記5)
前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記素線コア部のうち前記着色剤保持管以外の他部の曲げ強さ以下である
付記4に記載の送電線。
(付記6)
前記中心部は、カーボンコンポジット素線を複数束ねることにより構成され、
前記着色剤保持管は、前記中心部内に前記複数のカーボンコンポジット素線とともに束ねられる
付記1に記載の送電線。
(付記7)
前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記複数のカーボンコンポジット素線のうちの少なくとも1つのカーボンコンポジット素線の曲げ強さ以下である
付記6に記載の送電線。
(付記8)
前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記複数のカーボンコンポジット素線の全体としての曲げ強さ以下である
付記6に記載の送電線。
(付記9)
カーボンコンポジットを含む中心部と、
前記中心部の外周を覆うように複数の外部素線を撚り合わせて設けられる外部撚線層と、
を有する送電線であって、
前記外部撚線層は、前記複数の外部素線とともに撚り合わせられ、前記複数の外部素線と異なる色を呈し常温で流動性を有する着色剤を、内部に保持する着色剤保持管を有し、
前記着色剤保持管は、前記中心部のうち前記カーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に前記送電線が曲げられたときに割れ、前記着色剤を外部に放出するよう構成される
送電線。
(付記10)
前記着色剤保持管は、複数設けられ、
前記複数の着色剤保持管は、異なる曲げ半径で割れるよう構成され、
前記複数の着色剤保持管が有する前記着色剤の色は、互いに異なる
付記1〜9のいずれか1つに記載の送電線。
(付記11)
前記着色剤保持管は、複数設けられ、
前記複数の着色剤保持管は、前記中心部の周方向に均等に配置される
付記1〜10のいずれか1つに記載の送電線。
(付記12)
前記着色剤保持管は、複数設けられ、
前記複数の着色剤保持管は、前記中心部の中心軸に対して回転対称に配置される
付記1〜11のいずれか1つに記載の送電線。
(付記13)
前記着色剤保持管は、複数設けられ、
前記複数の着色剤保持管は、前記中心部の中心軸に対して対称に配置される
付記1〜12のいずれか1つに記載の送電線。
(付記14)
前記着色剤は、蛍光材料を含む
付記1〜13のいずれか1つに記載の送電線。
(付記15)
カーボンコンポジットを含む中心部を形成する工程と、
前記中心部の外周を覆うように複数の外部素線を撚り合わせて外部撚線層を形成する工程と、
を有する送電線の製造方法であって、
前記中心部を形成する工程では、
前記複数の外部素線と異なる色を呈し常温で流動性を有する着色剤を、内部に保持する着色剤保持管を前記中心部内に設け、
前記中心部のうち前記カーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に前記送電線が曲げられたときに割れ、前記着色剤を外部に放出するよう、前記着色剤保持管を構成する
送電線の製造方法。
10 送電線(架空送電線)
100 中心部
120 カーボンコンポジット素線
122 素線コア部
124 コア保護層
300 外部撚線層
300a 第1外部撚線層
300b 第2外部撚線層
320 外部素線
400 着色剤保持管
400a 第1着色剤保持管
400b 第2着色剤保持管
400c 第3着色剤保持管
420 着色剤

Claims (11)

  1. カーボンコンポジットを含む中心部と、
    前記中心部の外周を覆うように複数の外部素線を撚り合わせて設けられる外部撚線層と、
    を有する送電線であって、
    前記中心部は、前記複数の外部素線と異なる色を呈し常温で流動性を有する着色剤を、内部に保持する着色剤保持管を有し、
    前記着色剤保持管は、前記中心部のうち前記カーボンコンポジットの少なくとも一部に損傷が生じる臨界曲げ半径以上の曲げ半径に前記送電線が曲げられたときに割れ、前記着色剤を外部に放出するよう構成される
    送電線。
  2. 前記中心部は、1つのカーボンコンポジット素線からなり、
    前記カーボンコンポジット素線は、
    カーボンコンポジットを含む素線コア部と、
    前記素線コア部の外周を覆うように設けられるコア保護層と、
    を有し、
    前記着色剤保持管は、前記コア保護層内に設けられる
    請求項1に記載の送電線。
  3. 前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記素線コア部の曲げ強さ以下である
    請求項2に記載の送電線。
  4. 前記中心部は、1つのカーボンコンポジット素線からなり、
    前記カーボンコンポジット素線は、
    カーボンコンポジットを含む素線コア部と、
    前記素線コア部の外周を覆うように設けられるコア保護層と、
    を有し、
    前記着色剤保持管は、前記素線コア部内に設けられる
    請求項1に記載の送電線。
  5. 前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記素線コア部のうち前記着色剤保持管以外の他部の曲げ強さ以下である
    請求項4に記載の送電線。
  6. 前記中心部は、カーボンコンポジット素線を複数束ねることにより構成され、
    前記着色剤保持管は、前記中心部内に前記複数のカーボンコンポジット素線とともに束ねられる
    請求項1に記載の送電線。
  7. 前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記複数のカーボンコンポジット素線のうちの少なくとも1つのカーボンコンポジット素線の曲げ強さ以下である
    請求項6に記載の送電線。
  8. 前記着色剤保持管の曲げ強さは、前記複数のカーボンコンポジット素線の全体としての曲げ強さ以下である
    請求項6に記載の送電線。
  9. 前記着色剤保持管は、複数設けられ、
    前記複数の着色剤保持管は、異なる曲げ半径で割れるよう構成され、
    前記複数の着色剤保持管が有する前記着色剤の色は、互いに異なる
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の送電線。
  10. 前記着色剤保持管は、複数設けられ、
    前記複数の着色剤保持管は、前記中心部の周方向に均等に配置される
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の送電線。
  11. 前記着色剤保持管は、複数設けられ、
    前記複数の着色剤保持管は、前記中心部の中心軸に対して対称に配置される
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の送電線。
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