JP2019152061A - 建築用柱材および柱端部接合構造 - Google Patents

建築用柱材および柱端部接合構造 Download PDF

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Abstract

【課題】ジョイント部の加工手間を削減できるともに、角形鋼管の外面からの突条部の突出を抑制できる建築用柱材および柱端部接合構造を提供する。【解決手段】角形鋼管11の長手方向の端部に設けられたジョイント部12が、角形鋼管11の長手方向に延び、かつ、角形鋼管11の軸回りに等間隔で角形鋼管11と一体的に形成された4本の突条部15を備えているので、角形鋼管11とジョイント部12を溶接する必要がない。このためジョイント部12の加工手間を削減できる。また、角形鋼管11の軸回りに隣り合う突条部15,15の間にスリット17が設けられているので、突条部15の外周長が短くなる。このため、角形鋼管11の外面(側面11a)からの突条部15の突出を抑制できる。【選択図】図1

Description

本発明は、建築用柱材および柱端部接合構造に関する。
住宅建築に用いる鉄骨プレハブでは、軽量形鋼が使用され、柱には角形鋼管、梁にはH形鋼が使用されることが多い。角形鋼管で形成された角形鋼管柱にH形鋼で形成された梁をボルト締結するために、角形鋼管柱の上下端に正方形板状のボルト孔付きのプレートを取り付ける必要がある。
プレートの径を角形鋼管柱の径より大きい寸法にするとプレートが梁からはみ出てしまい、また、プレートの径を角形鋼管柱の径と同等の寸法にするとボルト締結スペースを確保できない。この状況を避けるため、角形鋼管柱とプレートの間にボルト取付け用ブロックを設置する構造が用いられているが、ボルト取付け用ブロックを作製する加工手間、ボルト取付け用ブロックを介して角形鋼管柱とプレートを溶接接合する加工手間が大きく、省力化の要求がある。
そこで、ボルト取付け用ブロックを使用することなく、角形鋼管柱と梁を接合する技術として特許文献1〜3に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の柱用角形鋼管部材では、柱となる角形鋼管の上下端に、筒状のジョイント本体(ジョイント部)が溶接接合部(溶接ビードの位置)で接合され、ジョイント本体の他端側にエンドプレートが溶接されている。ジョイント本体のプレート接合部が、少なくともボルト孔の位置に応じた部位において、溶接接合部よりもその内側に狭まって形成され、これによってボルト接合のスペースを確保している。また、ジョイント本体はハイドロフォームによって形成されている。
また、特許文献2に記載の建築用柱材では、角形鋼材からなる柱材本体の上下各端部がプレス加工により圧潰されて、各端部に圧潰軸状部が4つの突条部からなる断面略十字形に形成されている。また、各圧潰軸状部の端面に、複数のボルト孔を有する柱材取付プレートが固着されている。
また、特許文献3に記載の建築用柱材では、平面壁部と隅角部からなる角形鋼材製の柱材本体の端部において、プレス加工で各隅角部を均等に圧潰して、中空状の4つの突条部からなる断面略十字状の圧潰軸状部を同心状に形成している。また、各突条部は、平面壁部と面一に又はそれよりも低く収まるように形成されている。また、圧潰軸状部の端面に柱材取付プレートが固着されている。
特開2010−59625号公報 特開平10−292556号公報 特開2001−27011号公報
しかしながら、特許文献1に記載の柱用角形鋼管部材は、角形鋼管とは別部品として、短く切断した円形鋼管をハイドロフォームで加工してジョイント本体を成形し、角形鋼管とジョイント本体を溶接接合する必要があり、加工手間が大きい、という課題がある。
また、特許文献2に記載の建築用柱材では、角形鋼管の隅角部をプレス加工で圧潰して形成した十字断面の突条部が、角形鋼管の外面に突出し、運搬時や仕上げ材の配設時に突条部が干渉してしまい、また、十字断面の突条部が細幅である、つまり突条部の幅が狭いため曲げに対する抵抗を確保することができない、という課題がある。
また、特許文献3に記載の建築用柱材では、突条部を、角形鋼管の平面壁部と面一に、またはそれよりも低く収まるように形成するために、突条部を中空状として根本の幅を絞って形成すると加工の難易度が上がる、という課題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ジョイント部の加工手間を削減できるともに、角形鋼管の外面からの突条部の突出を抑制でき、また、突条部の曲げに対する抵抗を確保できる建築用柱材および柱端部接合構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の建築用柱材は、角形鋼管の長手方向の端部にジョイント部が設けられた建築用柱材であって、
前記ジョイント部が、前記角形鋼管の長手方向に延び、かつ、前記角形鋼管の軸回りに等間隔で前記角形鋼管と一体的に形成された4本の突条部を備え、
前記角形鋼管の軸回りに隣り合う前記突条部の間にスリットが設けられていることを特徴とする。
本発明においては、角形鋼管の長手方向の端部に設けられたジョイント部が、前記角形鋼管の長手方向に延び、かつ、前記角形鋼管の軸回りに等間隔で前記角形鋼管と一体的に形成された4本の突条部を備えているので、角形鋼管とジョイント部を溶接する必要がない。このためジョイント部の加工手間を削減できる。
また、角形鋼管の軸回りに隣り合う突条部の間にスリットが設けられているので、スリットが設けられておらず、隣り合う突条部が接続されている場合に比して突条部の外周長が短くなる。このため、突条部を角形鋼管の外面とほぼ面一または内側に配置できるので、角形鋼管の外面からの突条部の突出を抑制できる。
また、本発明の前記構成において、前記突条部は、前記角形鋼管の径方向内側に向けて開口する断面略コ字形に形成され、
前記突条部の前記角形鋼管の径方向外側を向く外面が、前記角形鋼管の側面と面一でかつ前記側面の幅方向中央部から延在して設けられているのが好ましい。
このような構成によれば、突条部が角形鋼管の径方向内側に向けて開口する断面略コ字形に形成されているので、従来の十字断面の突条部に比して、突条部に所定の幅を形成できる。つまり、突条部に外面を有する平坦部が形成されるので、突条部の曲げに対する抵抗を確保できる。
また、突条部の外面が角形鋼管の側面と面一でかつ当該側面の幅方向中央部から延在して設けられているので、高い伸び性能の確保が難しい角形鋼管の角部を加工する必要がなく、よって角部での割れ発生を抑制できる。
また、本発明の柱端部接合構造は、前記建築用柱材の4本の前記突条部の先端部に接合プレートが固定され、
前記接合プレートと鋼製梁とがボルト締結されていることを特徴とする。
本発明においては、建築用柱材の4本の突条部の先端部に接合プレートが固定されているので、角形鋼管の軸方向視で角形鋼管の軸回りに隣り合う突条部の間において接合プレートにボルト締結スペースを確保できる。そして、この接合プレートと鋼製梁とがボルト締結されているので、建築用柱材と鋼製梁とを確実に締結できる。
本発明によれば、ジョイント部の加工手間を削減できるともに、角形鋼管の外面からの突条部の突出を抑制でき、また、突条部の曲げに対する抵抗を確保できる。
また、建築用柱材と鋼製梁とを確実に締結できる。
本発明の実施の形態に係る建築用柱材の一端部を示すもので、その斜視図である。 同、側面図である。 同、平面図である。 同、底面図である。 本発明の実施の形態係る柱端部接合構造を示す正面図である。
以下、図面を参照して本発明に係る建築用柱材および柱端部接合構造の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る建築用柱材10の一端部(下端部)を示す斜視図、図2は同側面図、図3は同平面図、図4は同底面図である。
建築用柱材10は、角形鋼管11によって形成されたものであり、この角形鋼管11の長手方向の一端部(図1および図2では下端部)に、角形鋼管11と一体的に形成されたジョイント部12を備えている。なお、図示は省略するが、建築用柱材10の他端部(上端部)を鋼製梁に接合する場合、角形鋼管11の長手方向の他端部(上端部)にジョイント部12が設けられる。
ジョイント部12は、建築用柱材10の端部を鋼製梁に接合する際に使用されるものであり、4本の突条部15を備えている。所定の幅を有した突条部15は、角形鋼管11の長手方向(図1および図2において上下方向)に延び、かつ、角形鋼管11の軸回りに等間隔で角形鋼管11と一体的に形成されており、4本の突条部15は建築用柱材10の軸方向視において、略十字形に配置されている。
また、突条部15は角形鋼管11の径方向内側に向けて開口する断面略コ字形に形成されている。
具体的には、突条部15はその長手方向略半分の先端側が断面コ字形に形成された先端部15aと、長手方向略半分の基端部15bとを備えている。基端部15bはその側面15eが先端部15aの側面15fに対して捩れているような略断面コ字形から略断面一字形に遷移する形状として形成されていている。
先端部15aと基端部15bとの境界部は滑らかに連続しているが、図1および図2では境界を示す線が記載されている。また、先端部15aは断面コ字形に形成され、その角部は滑からな曲面となっているが、図1および図2では当該曲面と先端部15aの外面との境界部に境界を示す線が記載されている。
また、突条部15の先端部15aの角形鋼管11の径方向外側を向く外面15cと、基端部15bの角形鋼管11の径方向外側を向く外面15dとは面一に形成され、さらに、外面15c,15dは角形鋼管11の側面11aと面一に形成されている。
また、突条部15の外面15c,15dは、角形鋼管11の側面11aの幅方向中央部から延在して所定の幅を有する面として設けられている。
また、突条部15の基端部15bの側面15eはその上端縁が角形鋼管11の側面11aの下端縁と連続し、下端縁が先端部15aの側面15fの上端縁と連続している。一本の突条部15において、角形鋼管11の側面11aの下端縁と側面15fの上端縁とは建築用柱材10の軸方向視において直交しているので、側面15eは側面15fの上端縁から突条部15の軸方向に対して捩れながら角形鋼管11の側面11aに繋がるような曲面となっている。このような曲面である側面15eと外面15dとの角部は滑かな曲面15gとなっており、この曲面15gの幅は上方(角形鋼管11側)に向かうほどしだいに狭くなっている。
また、角形鋼管11の軸回りに隣り合う突条部15,15の間にスリット17が設けられている。
すなわち、突条部15,15の先端部15a,15aの間と、基端部15b,15bとの間に上下方向(角形鋼管11の長手方向)に延在する所定幅のスリット17が設けられている。スリット17は、先端部15a,15aの間において上下方向において略同幅に、かつ上下方向に延びるようにして形成され、基端部15b,15bの間において、上下方向において略同幅に、かつ上方(角形鋼管11側)に向かうしたがってしだいに角形鋼管11の断面中心軸から離間するように当該軸に対して斜めに形成されている。なお、スリット17の幅は、角形鋼管11の径と板厚、形成する突条部15の形状に応じて、上下方向において幅を変化させてもよい。
また、スリット17の上端は角形鋼管11の隣り合う側面11a,11aの角部(側面11a,11aを滑らかに接続する曲面で形成された角部)より角形鋼管11の側面11aの幅方向内側に一段低くなっている。
このようなスリット17、突条部15等を有するジョイント部12を形成する場合、例えば、角形鋼管11とジョイント部12とを合わせた全長を有する角形鋼管を用意し、まず、この角形鋼管の4つの角部それぞれに、前記スリット17を形成するためのスリットを形成する。つまり、角形鋼管の4つの角部をスリット17に見合う所定幅、所定長さに切断することで、角形鋼管の4つの角部それぞれにスリットを形成する。
次に、凹金型と凸金型とを用意し、凹金型をスリットが形成された角形鋼管の側壁の表面側(径方向の外側)に配置するとともに、凸金型を同角形鋼管の側壁の裏面側(径方向の内側)に配置する。
凹金型は、断面略コ字形の突条部15を形成するための凹部を有している。突条部15の先端部15aを形成するための凹部は断面コ字形に形成され、基端部15bを形成するための凹部は断面略コ字形から断面略一字形に遷移しながら角形鋼管の幅方向中央部からしだいに拡がるような形状に形成される。
一方、突条部15の先端部15aを形成するための凸部は前記凹部の内側に所定の隙間(先端部15aを形成する壁の厚さに相当する隙間)をもって嵌まり込む形状に形成され、基端部15bを形成するための凸部は、突条部15を形成した後の離型に対応するため、先端部15aを形成するための凸部を延伸した形状に形成されている。
そして、上述したような凹金型を角形鋼管の側壁を挟んで凸金型に向けて押し込むことによって、角形鋼管の端部に前記スリット17、突条部15等を有するジョイント部12を形成する。
この場合、凹金型をスリットが形成された角形鋼管の4つの側壁のそれぞれの表面側に配置するとともに、凸金型を同角形鋼管の4つの側壁のそれぞれの裏面側に配置して1回で成形してもよいし、角形鋼管の4つの側壁に、順次凹金型と凸金型を配置して、1つずつ成形してもよいし、角形鋼管の4つの側壁のうちの対面する2つの側壁に、2つの凹金型と2つの凸金型を対面させて配置して、2つずつ成形してもよい。
図5は、上述した本実施の形態の建築用柱材10とH形鋼からなる鋼製梁20とを接合してなる柱端部接合構造を示す正面図である。
建築用柱材10の4本の突条部15の先端部には、矩形板状または正方形板状の接合プレート21が固定されている。
鋼製梁20はH形鋼によって形成され、上下のフランジ20a,20aとこれらフランジ20a,20aを繋ぐウエブ20bとを備えている。上のフランジ20aには4つのボルト挿通孔が平面視においてウエブ20bを挟んで対称な位置に、かつ鋼製梁20の長手方向(図5において紙面と直交する方向)に所定間隔で形成されている。
一方、接合プレート21は、そのフランジ20aの幅方向における寸法がフランジ20aの幅寸法とほぼ等しいか短くなっている。
また、接合プレート21は建築用柱材10の軸方向と直交して配置されたうえで、建築用柱材10の4本の突条部15の先端面に当接され、この当接された部分を溶接することによって、突条部15の先端面に固定されている。この状態において、角形鋼管11の軸方向視で角形鋼管11の軸回りに隣り合う突条部15,15の間において接合プレート21に4つのボルト締結スペースが確保され、各ボルト締結スペースにおいて接合プレート21にボルト挿通孔が形成されている。これら4つのボルト挿通孔は鋼製梁20の上のフランジ20aに形成された4つのボルト挿通孔と同軸に配置されるようになっている。
そして、これらボルト挿通孔を同軸に配置するとともに、接合プレート21を上のフランジ20aの上面に当該フランジ20aの幅内において当接したうえで、ボルト挿通孔にボルト22を挿通してナット22aで締め付けることによって、接合プレート21と鋼製梁20とがボルト締結されている。このようにして、建築用柱材10が接合プレート21を介して鋼製梁20に接合されている。
以上のように本実施の形態によれば、角形鋼管11の長手方向の端部に設けられたジョイント部12が、角形鋼管11の長手方向に延び、かつ、角形鋼管11の軸回りに等間隔で角形鋼管11と一体的に形成された4本の突条部15を備えているので、角形鋼管11とジョイント部12を溶接する必要がない。このためジョイント部12の加工手間を削減できる。
また、角形鋼管11の軸回りに隣り合う突条部15,15の間にスリット17が設けられているので、スリット17が設けられておらず、突条部15,15が接続されている場合に比して突条部15の外周長が短くなる。このため、突条部15を角形鋼管11の外面とほぼ面一または内側に配置できるので、角形鋼管11の外面(側面11a)からの突条部15の突出を抑制できる。
また、突条部15が角形鋼管11の径方向内側に向けて開口する断面略コ字形に形成されているので、従来の十字断面の突条部に比して、突条部15の幅が大きくなる。つまり、突条部15に外面15c,15dを有する平坦部(外面15c,15dを有する壁部)が形成されるので、突条部15の曲げに対する抵抗を確保できる。
また、突条部15の外面15c,15dが角形鋼管11の側面11aと面一でかつ当該側面11aの幅方向中央部から延在して設けられているので、高い伸び性能の確保が難しい角形鋼管11の角部を加工する必要がなく、よって角部での割れ発生を抑制できる。
また、建築用柱材10の4本の突条部15の先端部に接合プレート21が固定されているので、角形鋼管11の軸方向視で角形鋼管11の軸回りに隣り合う突条部15,15の間において、接合プレート21にボルト締結スペースを確保できる。そして、この接合プレート21と鋼製梁20とがボルト締結されているので、建築用柱材10と鋼製梁20とを確実に締結できる。
なお、本実施の形態では、建築用柱材10を、接合プレート21を介してH形鋼からなる鋼製梁20にフランジに接合したが、コ字形の形鋼からなる鋼製梁のフランジに接合してもよいし、他の鋼製梁に接合してもよい。
10 建築用柱材
11 角形鋼管
11a 側面
12 ジョイント部
15 突条部
15a 先端部
15b 基端部
15c,15d 外面
15e,15f 側面
15g 曲面
17 スリット
20 鋼製梁
21 接続プレート

Claims (3)

  1. 角形鋼管の長手方向の端部にジョイント部が設けられた建築用柱材であって、
    前記ジョイント部が、前記角形鋼管の長手方向に延び、かつ、前記角形鋼管の軸回りに等間隔で前記角形鋼管と一体的に形成された4本の突条部を備え、
    前記角形鋼管の軸回りに隣り合う前記突条部の間にスリットが設けられていることを特徴とする建築用柱材。
  2. 前記突条部は、前記角形鋼管の径方向内側に向けて開口する断面略コ字形に形成され、
    前記突条部の前記角形鋼管の径方向外側を向く外面が、前記角形鋼管の側面と面一でかつ前記側面の幅方向中央部から延在して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建築用柱材。
  3. 請求項1または2に記載の建築用柱材の4本の前記突条部の先端部に接合プレートが固定され、
    前記接合プレートと鋼製梁とがボルト締結されていることを特徴とする柱端部接合構造。
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