以下、本発明の実施形態に係る自動ドアシステムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合があり、また、構成の一部が図面から省略される場合がある。
図1は、本実施形態による自動ドアシステム1を示す図である。図2は、本実施形態による自動ドアシステム1を示す鳥瞰図である。図1に示すように、自動ドアシステム1は、自動ドア装置2と自動ドアセンサ3とを備える。自動ドアシステム1は、図2に示すドア21を通行しようとする通行者を自動ドアセンサ3で検知し、自動ドアセンサ3の検知に応じて、通行者を通行させるためにドア21を開動作させるシステムである。以下、自動ドアシステム1の構成部について詳しく述べる。
(自動ドア装置2)
図1に示すように、自動ドア装置2は、ドア21と、モータ22と、ドア制御器の一例であるドア制御部23とを備える。モータ22は、図示しない電源から供給された電力によって、ドア21を自動で開閉するための回転力を発生させる。モータ22の回転力は、図示しないプーリやタイミングベルトなどの動力伝達部材を介して図2に示す開閉方向d1への並進力としてドア21に伝達される。図2の例において、2つのドア21は、引き分けタイプの引戸である。ドア21の態様は図2の例に限定されず、例えば、片引きタイプの引戸、開き戸、折り戸、回転扉、グライドドアなどの様々な態様のドアを採用してもよい。
ドア制御部23は、モータ22および自動ドアセンサ3に接続されている。ドア制御部23は、自動ドアセンサ3およびモータ22から取得された信号または情報に基づいて、モータ22への駆動信号の出力によるモータ22の駆動制御を行う。モータ22の駆動制御は、モータ22の駆動の有無、駆動速度、駆動トルクおよび回転方向の少なくとも1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせの制御である。
ドア制御部23は、センサ制御部32との通信が可能であれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、ドア制御部23は、PWM(Pulse Width Modulation)信号を出力し、PWM信号のデューティ比によってモータ22の駆動速度を制御するCPUと、PWM信号によってオンオフ制御される4つの半導体スイッチ(例えば、FET)をアームとして有するとともに、モータ22に接続されたHブリッジ回路と、Hブリッジ回路に接続され、半導体スイッチのオン状態に応じて、モータ22に正回転または逆回転用の電流信号(すなわち、駆動信号)を印加する直流電源とを備えていてもよい。
ドア制御部23には、自動ドアセンサ3から、後述する有効検知エリア内の通行者の検知に応じた開信号が入力される。ドア制御部23は、開信号の入力に応じてドア21を開方向に駆動するためのモータ22の駆動の制御(以下、開駆動制御とも呼ぶ)を行う。
(自動ドアセンサ3)
図2に示すように、自動ドアセンサ3は、ドア21の通行者を検知するために、無目部24の中央、より具体的には、全閉状態の2枚のドア21の境界部の上方に設けられている。自動ドアセンサ3は、天井などの無目部24以外の場所に設けられていてもよい。
図1に示すように、自動ドアセンサ3は、検知部31と、取得手段、設定手段またはセンサ制御器の一例であるセンサ制御部32と、記憶部33とを備える。検知部31は、投光部311と受光部312とを有する。センサ制御部32は、検知部31、記憶部33およびドア制御部23に接続されている。センサ制御部32は、例えば、CPU(すなわち、プロセッサ)などのハードウェアで構成される。センサ制御部32の少なくとも一部をソフトウェアで構成してもよい。記憶部33は、ROM、RAM、ハードディスクなどで構成してもよい。
センサ制御部32は、有効検知エリアを有する。有効検知エリアとは、図2に示すように、自動ドアセンサ3が検知可能な床面6上の領域である検知エリア5のうち、ドア21の通行者の検知のために設定された少なくとも一部の範囲の領域である。
投光部311は、図示しない複数の投光素子を有する。投光部311は、複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5にパルス状の近赤外光を投光すなわち照射する。受光部312は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれに光学的に対応する図示しない複数の受光素子を有する。受光部312は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから検知エリア5に投光された近赤外光を複数の受光素子のそれぞれによって受光し、受光素子毎に近赤外光の受光量を検知する。受光部312は、検知された受光量を、受光量に応じた信号値を有する検知信号としてセンサ制御部32に出力する。なお、投光部311及び受光部312は、近赤外光以外の光を投光および受光してもよい。
図2の例において、検知エリア5は、2枚のドア21の正面においてドア21の開閉方向d1およびこれに直交する前後方向d2に間隔を空けて配置された複数の小検知エリア51で構成されている。具体的には、図2において、小検知エリア51は、6列×12個の計72個存在する。
個々の小検知エリア51は、投光部311の複数の投光素子のそれぞれから投光され、受光部312の複数の受光素子によってそれぞれ受光される近赤外光の照射スポットに対応している。
図2の例における有効検知エリアは、複数の小検知エリア51のうち少なくとも1つの小検知エリア51で構成される。なお、図2の例において、各小検知エリア51は、円形状を有する。この場合の小検知エリア51の床面6における直径は、例えば、10cmから30cmの間の任意の値に設定することができる。小検知エリア51は、楕円形状、矩形状および多角形状などの円形状以外の形状を有していてもよい。
複数の小検知エリア51のうちいずれの小検知エリア51を有効検知エリアに設定するかについては、具体的な態様は特に限定されない。例えば、有効検知エリアは、自動ドアシステム1の使用開始前に予め設定されてもよい。また、有効検知エリアは、ドア位置等に応じて可変であってもよい。
センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に、それぞれに対応する小検知エリア51に向けて近赤外光を投光させる。そして、センサ制御部32は、受光部312の全ての受光素子に、各小検知エリア51からの近赤外光の反射光をそれぞれ受光させる。
そして、センサ制御部32は、受光部312から入力された小検知エリア51毎の検知信号のうち、有効検知エリアの検知信号を抽出する。そして、センサ制御部32は、抽出された有効検知エリアの検知信号に基づいて、通行者を検知する。
通行者を検知するため、センサ制御部32は、有効検知エリアの検知信号の信号値(すなわち、受光量)の基準値と、検知の有無を判断するための基準値に対する信号値の変化量の閾値とを記憶部33に記憶させておく。ここで、閾値は、自動ドアセンサ3の感度であり、閾値が低いほど自動ドアセンサ3の感度が高い。センサ制御部32は、信号値が閾値以上である場合に、通行者が検知されたと判断して開信号を出力する。
また、センサ制御部32は、自動ドアシステム1の電源投入直後に基準値を初期設定した後、一定時間信号値の変化が示されなかった場合に、都度、基準値を更新する。
また、センサ制御部32は、有効検知エリアに応じて、検知信号の信号値の閾値を異ならせる。例えば、センサ制御部32は、ドア21の起動に用いる有効検知エリア(以下、起動検知エリアとも呼ぶ)の閾値よりも、ドア21による押圧から人を保護するために用いる有効検知エリア(以下、保護検知エリアとも呼ぶ)の閾値を低くする。言い換えれば、センサ制御部32は、起動検知エリアよりも保護検知エリアのセンサの感度を高くする。
本実施形態において、センサ制御部32は、ドア21の停止位置(以下、ドア停止位置とも呼ぶ)を取得する。そして、センサ制御部32は、取得されたドア停止位置に基づいて、ドア21の停止後にドア21の少なくとも一部がドア21の停止時のドア進行方向に向かって移動することが予定される移動予定領域の少なくとも一部に、保護検知エリアを設定する。移動予定領域の具体的な態様については後述する。移動予定領域の少なくとも一部に保護検知エリアを設定することで、ドアの位置が全開位置であるとき以外にも高いセンサの検知能力で通行者を検知することができる。
なお、センサ制御部32は、保護検知エリア以外の有効検知エリアについては、起動検知エリアに設定してもよい。
また、図1の例において、センサ制御部32は、ドア21を駆動制御するドア制御部23から、ドア21の位置情報を示す位置信号を取得する。また、センサ制御部32は、ドア制御部23から、ドア21が停止したことを示す停止情報を取得する。そして、センサ制御部32は、ドア21が停止したときにドア制御部23から取得された位置信号(すなわち、位置情報)および停止情報に基づいて、ドア停止位置を取得する。具体的には、センサ制御部32は、停止情報が取得されたときに取得された位置信号に示されるドア21の位置を、ドア停止位置と決定する。位置信号および停止情報に基づいてドア停止位置を取得することで、正確なドア停止位置を簡便に取得することができる。また、停止情報が取得されたときに取得された位置信号に示されるドア21の位置を、ドア停止位置と決定することで、ドア停止位置を更に簡便に取得することができる。
センサ制御部32は、ドア制御部23との間の通信によって位置信号および停止情報を受信してもよい。この場合、通信は、耐ノイズ性に優れたCAN通信であってもよい。
位置信号は、ドア21の位置情報を示す信号であれば具体的な態様は特に限定されない。例えば、モータ22は、ブラシレスモータであり、位置信号は、ブラシレスモータのホール素子の位相をもとに生成された信号であってもよい。または、位置信号は、モータ22の回転を検知する回転エンコーダに基づく信号や、ドア21の開閉位置を検知するために設けられるリニアエンコーダに基づく信号であってもよい。あるいは、位置信号は、ドア21のレールに設けられたリミットスイッチからの位置信号であってもよい。これらの構成により、既存の構成を活用してドア停止位置を取得することができるので、コストの増加を抑制することができる。
停止情報は、ドア制御部23によってドア21が停止したと判定された場合に、ドア制御部23からセンサ制御部32に出力される。例えば、ドア制御部23は、モータ22から得られた位置信号が一定時間経過しても変化しない場合、ドア21が停止したと判定して停止情報を出力してもよい。なお、ドア21が停止する具体的な態様は特に限定されない。例えば、ドア21は、正常な動作とは異なる動作として停止してもよく、または、予め決められた動作モードにしたがって停止してもよい。
または、ドア制御部23は、モータ22に出力される駆動信号(すなわち、電流や電圧)値がほぼゼロになった場合に、ドア21が停止したと判定して停止情報を出力してもよい。
あるいは、ドア制御部23は、ドア21を停止するための停止スイッチがオンした場合や、人の衝突等の異常発生時に予め決められた安全処理としてドア21が停止(すなわち、セーフティストップ)したことが検知された場合に、ドア21が停止したと判定して停止情報を出力してもよい。
ここで、人の衝突によってドア21が停止する場合、停止したときの実際のドア停止位置は、位置信号に基づいて取得される計算上のドア停止位置に対してずれる虞がある。したがって、人の衝突によってドア21が異常停止する場合、センサ制御部32は、ドア停止位置に基づいた保護検知エリアの設定として、計算上のドア停止位置からの実際のドア停止位置のずれを推定した保護検知エリアの調整を行うことが好ましい。
また、図1の例において、記憶部33には、予め行われた記録作業(すなわち、学習)により、ドア停止位置と、ドア21がドア停止位置で停止したときに設定すべき保護検知エリアとが互いに対応付けて記憶されている。ドア制御部23は、ドア21が停止したとき、ドア制御部23から取得された位置信号に基づいてドア停止位置を取得し、取得されたドア停止位置に対応する保護検知エリアを記憶部33から読み込む。そして、ドア制御部23は、読み込まれた保護検知エリアを移動予定領域の少なくとも一部に設定する。これにより、ドア停止位置に応じた保護検知エリアを迅速に設定することができる。
記憶部33に記憶されるドア停止位置および保護検知エリアの具体的な態様は特に限定されない。例えば、記憶部33には、全開位置と半開位置との2つのドア停止位置が記憶され、また、全開位置および半開位置のそれぞれに対応する2つのパターンの保護検知エリアが記憶されてもよい。この場合、ドア21の位置が全開位置以外の半開位置である場合においても、半開位置に応じた移動予定領域に設定される保護検知エリアによって、高いセンサの検知能力で通行者を検知することができる。
または、記憶部33には、100mm等の所定の間隔で複数のドア停止位置が記憶され、また、各ドア停止位置のそれぞれに対応する複数のパターンの保護検知エリアが記憶されていてもよい。この場合、全開位置以外のドア停止位置のバリエーションを増やすことができるので、半開モードのような予め決められた動作モードにしたがってドア21が停止する以外の原因でドア21が停止する場合にも、ドア停止位置に応じた保護検知エリアを設定して、停止後に高いセンサの検知能力で通行者を検知することができる。
なお、センサ制御部32は、投光部311の全ての投光素子に近赤外光を投光させる代わりに、有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせてもよい。この場合、近赤外光が投光された小検知エリア51の全てが有効検知エリアとなる。有効検知エリアに対応する投光素子のみに投光を行わせることで、電力消費量を削減できる。また投光素子の寿命を長くすることもできる。
また、ドア制御部23を取得手段および設定手段として機能させ、保護検知エリアをドア制御部23に設定してもよい。この場合、センサ制御部32は、受光部312から入力された全ての小検知エリア51の検知信号をドア制御部23に出力し、ドア制御部23は、センサ制御部32から入力された小検知エリア51の検知信号のうち、予め設定された保護検知エリアの検知信号に基づいて通行者を検知してもよい。
(動作例)
次に、自動ドアシステム1の動作例について説明する。図3は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、必要に応じて繰り返される。
図3に示すように、先ず、センサ制御部32は、ドア制御部23との通信によってドア制御部23から位置信号を受信することで、位置信号に示される位置情報を取得する(ステップS1)。
位置情報を取得した後、センサ制御部32は、ドア制御部23から停止情報が取得されたか否かに基づいて、ドア21が停止したか否かを判定する(ステップS2)。
ドア21が停止した場合(ステップS2:Yes)、センサ制御部32は、ドア21が停止したとき(すなわち、位置信号および停止情報が取得されたとき)のドア21の位置をドア停止位置として取得する(ステップS3)。一方、ドア21が停止していない場合(ステップS2:No)、センサ制御部32は、ドア制御部23との通信によって新たな位置情報を取得する(ステップS1)。
ドア停止位置を取得した後、センサ制御部32は、記憶部33から、ドア停止位置に対応する保護検知エリアを読み込む(ステップS4)。
保護検知エリアを読み込んだ後、センサ制御部32は、読み込まれた保護検知エリアを移動予定領域の少なくとも一部に設定する(ステップS5)。なお、記憶部33内にドア停止位置に対応する保護検知エリアが無い場合、センサ制御部32は、移動予定領域7に保護検知エリアを設定しなくてもよい。すなわち、センサ制御部32は、予め記憶された停止位置でドア21が停止する場合の保護検知エリアを設定し、一方、予め記憶された停止位置以外でドア21が停止する場合の保護検知エリアを設定しなくてもよい。保護検知エリアを設定しない場合、ドア制御部23は、ドア21の停止時のドア進行方向に向かって低速でドア21を駆動してもよい。すなわち、ドア制御部23は、停止位置に応じた保護検知エリアが設定されない場合に、ドア21の停止後に、ドア21の停止時のドア進行方向に向かってドア21の停止前よりも低速でドア21を駆動してもよい。これにより、メモリの消費を抑えながら、従来よりも高い検知能力で検知することができる。
このように、本実施形態によれば、移動予定領域の少なくとも一部に保護検知エリアを設定することで、ドアの位置が全開位置であるとき以外にも高いセンサの検知能力で通行者を検知することができる。
図4は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、図2に示した引き分け型の引き戸における保護検知エリア50Aの設定例を示す平面図である。図4に示すように、引き分け型の引き戸における移動予定領域7は、ドア21の停止後にドア21の戸先21aがドア21の停止時のドア進行方向dsに向かって移動することが予定される領域7となる。すなわち、引き分け型の引き戸における移動予定領域7は、引き戸の2枚のドア21の戸先21a間の領域7となる。なお、図4の例におけるドア停止位置は、予め設定された半開モードにしたがった半開位置であってもよく、または、異常停止による停止位置であってもよい。
図4の例において、センサ制御部32は、ドアウェイ上における引き戸の戸先21a間の領域7に対応する小検知エリア51群を、保護検知エリア50Aとして設定する。図4に示すように、保護検知エリア50Aは、移動予定領域7の少なくとも一部を含むのであれば、移動予定領域7と重ならない部分を有していてもよい。
図4の例によれば、引き分け型の引き戸において、ドア21の位置が全開位置以外の場合においても、保護検知エリア50Aによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後に引き分け型の引き戸の戸先21a間に通行者が進入して立ち止まっている場合に、ドア停止後の閉動作を禁止することで、いずれか一方または双方の戸先21aに通行者が衝突することを防止して、通行者の安全性を確保することができる。
なお、図4の例では、ドア21の停止時のドア進行方向dsが閉方向であるため、センサ制御部32は、ドア停止位置における戸先21aから閉方向に向かう移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定する。これに対して、ドア21の停止時のドア進行方向dsが開方向である場合、センサ制御部32は、ドア停止位置における戸尻21bから開方向に向かう移動予定領域7に保護検知エリア50Aが設定してもよい。これにより、ドア21の動きに応じた領域に保護検知エリア50Aを設定することができる。
図5は、本実施形態による自動ドアシステム1の動作例において、片引き型の引き戸における保護検知エリア50Aの設定例を示す平面図である。図5に示すように、片引き型の引き戸における移動予定領域7は、ドア21の停止後にドア21の戸先21aがドア21の停止時のドア進行方向dsに向かって移動することが予定される領域7となる。ただし、引き分け型の引き戸と異なり、片引き型の引き戸における移動予定領域7は、1枚のドア21の戸先21aと戸先21a側の隣接構造物8との間の領域7となる。
図5の例において、センサ制御部32は、引き戸のドア21の戸先21aと戸先21a側の隣接構造物8との間の領域7に対応する小検知エリア51群を、保護検知エリア50Aとして設定する。図5の例によれば、片引き型の引き戸において、ドア21の位置が全開位置以外の場合においても、保護検知エリア50Aによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後に片引き型の引き戸の戸先21aと隣接構造物8との間に通行者が進入して立ち止まっている場合に、ドア停止後の閉動作を禁止することで、戸先21aに通行者が衝突することを防止して、通行者の安全性を確保することができる。
(第1の変形例)
次に、ドア21が開き戸である第1の変形例について説明する。図6は、本実施形態の第1の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、開き戸における保護検知エリア50Aの設定例を示す平面図である。
図6に示すように、開き戸における移動予定領域7は、ドア停止位置から予め設定された移動停止予定位置まで開き戸が移動する場合の開き戸の予定される移動軌跡に示される2つの扇形状の領域7である。図6の例において、ドア停止位置は、実線のドア21で示されている。また、移動停止予定位置は、二点鎖線のドア21で示されている。図6の例において、移動停止予定位置は、全閉位置である。開き戸は、全閉位置以外の位置を移動停止予定位置としてもよい。
図6の例において、センサ制御部32は、扇形状の領域7に保護検知エリア50Aを設定する。具体的には、センサ制御部32は、扇形状の領域7に対応する小検知エリア51群を保護検知エリア50Aとして設定する。図6の例によれば、開き戸において、ドア21の位置が全開位置以外の場合においても、保護検知エリア50Aによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後に扇形状の領域7に通行者が進入して立ち止まっている場合に、ドア停止後におけるドア21の停止時のドア進行方向へのドア21の回動を禁止することで、回動するドア21に通行者が衝突することを防止して、通行者の安全性を確保することができる。
なお、図6においては、両開きの開き戸を例示しているが、第1の変形例は、片開きの開き戸にも適用可能である。
(第2の変形例)
次に、ドア21が折り戸である第2の変形例について説明する。図7は、本実施形態の第2の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、折り戸における保護検知エリア50Aの設定例を示す平面図である。
図7に示すように、折り戸における移動予定領域7は、ドア停止位置から予め設定された移動停止予定位置まで折り戸が移動する場合の折り戸の予定される移動軌跡に示される三角形状の領域7である。図7の例において、ドア停止位置は、実線のドア21で示されている。また、移動停止予定位置は、二点鎖線のドア21で示されている。図7の例において、移動停止予定位置は、全閉位置である。折り戸は、全閉位置以外の位置を移動停止予定位置としてもよい。
図7の例において、センサ制御部32は、三角形状の領域7に保護検知エリア50Aを設定する。具体的には、センサ制御部32は、三角形状の領域7に対応する小検知エリア51群を保護検知エリア50Aとして設定する。図7の例によれば、折り戸において、ドア21の位置が全開位置以外の場合においても、保護検知エリア50Aによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後に三角形状の領域7に通行者が進入して立ち止まっている場合に、ドア停止後にドア21の停止時のドア進行方向へのドア21の移動を禁止することで、ドア21に通行者が衝突することを防止して、通行者の安全性を確保することができる。また、ドア21の停止時のドア進行方向が閉方向である場合には、折り畳まれるドア21に通行者の身体や指が挟み込まれることを防止することができる。
なお、図7においては、2枚戸の折り戸を例示しているが、第2の変形例は、4枚戸の折り戸にも適用可能である。また、第2の変形例は、2枚戸や4枚戸に限らず任意の複数枚構成の折り戸にも適用可能である。
(第3の変形例)
次に、ドア21が回転扉である第3の変形例について説明する。図8は、本実施形態の第3の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、回転扉における保護検知エリア50Aの設定例を示す平面図である。
図8の例において、回転扉は、出入口91が設けられた筒状のケーシング9の内部で回転する複数のドア21(すなわち、扉)を有する。図8の例において、複数のドア21は、ケーシング9の同心上に設けられた回転軸20を中心として周方向に所定の角度間隔を設けて放射状に配置されている。各ドア21の戸先21a、21Aaは、ケーシング9の内周面の内側近傍または出入口91の内側近傍に位置する。
図8に示すように、回転扉における移動予定領域7は、出入口91に隣接するケーシング9の複数の端部のうち、ドア21の停止時のドア21の回転方向dsの逆方向側の端部9aと、複数のドア21のうちケーシング9の端部9aに対してドア21の回転方向dsの逆方向において直近のドア21Aの戸先21Aaとの間の領域7である。より具体的には、図8の例において、ケーシング9は、図8における上下の2つの出入口91で分割された図8における左右の2つの円弧状の壁部92を有している。そして、移動予定領域7は、右側の円弧状の壁部92のうち、ドア21の停止時のドア21の回転方向dsの逆方向側の端部9aと、この端部9aに対してドア21の回転方向dsの逆方向において直近のドア21Aの戸先21Aaとの間の領域7である。なお、図8では、右側の壁部92の端部9aと戸先21Aaとの間の移動予定領域7を例示しているが、移動予定領域7は、左側の壁部92の端部9aとドア21の戸先との間の領域ともなり得る。
図8の例において、センサ制御部32は、ケーシング9の端部9aと、端部9aに対してドア21の停止時の回転方向dsの逆方向において直近のドア21Aの戸先21Aaとの間の領域7に保護検知エリア50Aを設定する。具体的には、センサ制御部32は、ケーシング9の端部9aと戸先21Aaとの間の領域7に対応する小検知エリア51群を保護検知エリア50Aとして設定する。図8の例によれば、回転扉において、ドア21の位置が全開位置以外の場合においても、保護検知エリア50Aによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後にケーシング9の端部9aと戸先21Aaとの間の領域7に通行者が進入して立ち止まっている場合に、ドア停止後にドア21の停止時の回転方向へのドア21の回転を禁止することで、戸先21Aaに通行者が衝突することを防止して、通行者の安全性を確保することができる。
なお、図8においては、3枚戸の回転扉を例示しているが、第3の変形例は、2枚戸、4枚戸、長円形、および2軸形の回転扉にも適用可能である。
(第4の変形例)
次に、ドア21がグライドドアである第4の変形例について説明する。図9は、本実施形態の第4の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、グライドドアにおける保護検知エリア50Aの設定例を示す平面図である。
図9に示すように、グライドドア21における移動予定領域7は、ドア停止位置から予め設定された移動停止予定位置までグライドドアが移動する場合のグライドドアの予定される移動軌跡に示される略三角形状の領域7である。図9の例において、ドア停止位置は、実線のドア21で示されている。また、移動停止予定位置は、二点鎖線のドア21で示されている。図9の例において、移動停止予定位置は、全閉位置である。グライドドアは、全閉位置以外の位置を移動停止予定位置としてもよい。
図9の例において、センサ制御部32は、グライドドアの予定される移動軌跡に示される領域7に保護検知エリア50Aを設定する。具体的には、センサ制御部32は、グライドドアの予定される移動軌跡に示される領域7に対応する小検知エリア51群を保護検知エリア50Aとして設定する。図9の例によれば、グライドドアにおいて、ドア21の位置が全開位置以外の場合においても、保護検知エリア50Aによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後にグライドドアの移動予定領域7に通行者が進入して立ち止まっている場合に、ドア停止後にドア21の停止時のドア進行方向へのドア21の移動を禁止することで、ドア21に通行者が衝突することを防止して、通行者の安全性を確保することができる。
なお、第4の変形例は、スライドグライドドアにも適用可能である。
(第5の変形例)
次に、引き戸の周辺に第2の保護検知エリア50Bを設定する第5の変形例について説明する。図10は、本実施形態の第5の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、引き分け型の引き戸における第2の保護検知エリア50Bの設定例を示す平面図である。
図4においては、引き分け型の引き戸の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定する例について説明した。これに対して、図10の例では、引き分け型の引き戸の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定することに加えて、引き戸周辺領域71に第2の保護検知エリア50Bを設定する。
図10に示すように、引き戸周辺領域71は、引き戸の面Sに垂直な方向において移動予定領域7に隣接する領域である。センサ制御部32は、引き戸周辺領域71に対応する小検知エリア51群を、第2の保護検知エリア50Bとして設定する。
なお、図10の例において、1列目の小検知エリア51群は、移動予定領域7および引き戸周辺領域71の双方に属している。この場合、1列目の小検知エリア51群は、保護検知エリア50Aとして設定しておけばよい。
図10の例によれば、引き分け型の引き戸において、戸先21a間だけでなく引き戸の周辺においても、第2の保護検知エリア50Bによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後に引き戸の戸先21a間に進入しようとする通行者を検知して閉動作を禁止することで、通行者の安全性を更に有効に確保することができる。
図11は、本実施形態の第5の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、片引き型の引き戸における第2の保護検知エリア50Bの設定例を示す平面図である。
図11の例において、センサ制御部32は、片引き型の引き戸の引き戸周辺領域71に第2の保護検知エリア50Bを設定する。具体的には、センサ制御部32は、片引き型の引き戸の引き戸周辺領域71に対応する小検知エリア51群を、第2の保護検知エリア50Bとして設定する。図11の例によれば、片引き型の引き戸の周辺においても、第2の保護検知エリア50Bによって高いセンサの検知能力で検知することができる。
(第6の変形例)
次に、開き戸の周辺に第2の保護検知エリア50Bを設定する第6の変形例について説明する。図12は、本実施形態の第6の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、開き戸における第2の保護検知エリア50Bの設定例を示す平面図である。
図6においては、開き戸の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定する例について説明した。これに対して、図12の例では、開き戸の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定することに加えて、第1の開き戸周辺領域72Aおよび第2の開き戸周辺領域72Bに第2の保護検知エリア50Bを設定する。
第1の開き戸周辺領域72Aは、移動予定領域7に対してドア21の停止時のドア進行方向dsに交差する方向dcにおいて隣接する領域72Aである。第2の開き戸周辺領域72Bは、移動予定領域7に対してドア21の停止時のドア進行方向dsの逆方向において隣接する領域72Bである。
センサ制御部32は、第1の開き戸周辺領域72Aおよび第2の開き戸周辺領域72Bのそれぞれに対応する小検知エリア51群を第2の保護検知エリア50Bとして設定する。
図12の例によれば、開き戸の周辺においても、第2の保護検知エリア50Bによって高いセンサの検知能力で検知することができる。
具体的には、第1の開き戸周辺領域72Aに設定される第2の保護検知エリア50Bにより、開き戸の2枚のドア21の戸先21a間に存在する通行者を検知することができる。
また、第2の開き戸周辺領域72Bに設定される第2の保護検知エリア50Bにより、開き戸がドア停止位置から停止時の進行方向dsに動き出そうとする場合に、移動予定領域7内または第1の開き戸周辺領域72A内で人が検知されたことによって停止時の進行方向dsの逆方向に移動しなければならなくなった場合に、逆方向側の検知精度を確保できる。また、ドア停止後に開き戸の移動予定領域7に進入しようとする通行者を検知して閉動作を禁止することで、通行者の安全性を更に有効に確保することができる。
(第7の変形例)
次に、折り戸の周辺に第2の保護検知エリア50Bを設定する第7の変形例について説明する。図13は、本実施形態の第7の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、折り戸における第2の保護検知エリア50Bの設定例を示す平面図である。
図7においては、折り戸の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定する例について説明した。これに対して、図13の例では、折り戸の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定することに加えて、折り戸周辺領域73に第2の保護検知エリア50Bを設定する。
図13に示すように、折り戸周辺領域73は、ドア21の停止時のドア進行方向dsの逆方向において移動予定領域7に隣接する領域73である。
センサ制御部32は、折り戸周辺領域73に対応する小検知エリア51群を第2の保護検知エリア50Bとして設定する。
図13の例によれば、折り戸の周辺においても、第2の保護検知エリア50Bによって高いセンサの検知能力で検知することができる。具体的には、折り戸がドア停止位置から停止時の進行方向dsに動き出そうとする場合に、移動予定領域7内で人が検知されたことによって停止時の進行方向dsの逆方向に移動しなければならなくなった場合に、逆方向側の検知精度を確保できる。
(第8の変形例)
次に、回転扉の周辺に第2の保護検知エリア50Bを設定する第8の変形例について説明する。図14は、本実施形態の第8の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、回転扉における第2の保護検知エリア50Bの設定例を示す平面図である。
図8においては、回転扉の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定する例について説明した。これに対して、図14の例では、回転扉の移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定することに加えて、第1の回転扉周辺領域74Aおよび第2の回転扉周辺領域74Bに第2の保護検知エリア50Bを設定する。
図14に示すように、第1の回転扉周辺領域74Aは、ケーシング9の内側において移動予定領域7に隣接する領域74Aである。第2の回転扉周辺領域74Bは、ケーシング9の外側において移動予定領域7に隣接する領域74Bである。
センサ制御部32は、第1の回転扉周辺領域74Aおよび第2の回転扉周辺領域74Bのそれぞれに対応する小検知エリア51群を第2の保護検知エリア50Bとして設定する。
図14の例によれば、回転扉の周辺においても、第2の保護検知エリア50Bによって高いセンサの検知能力で検知することができる。また、ドア停止後に回転扉の移動予定領域7に進入しようとする通行者を検知して閉動作を禁止することで、通行者の安全性を更に有効に確保することができる。
(第9の変形例)
次に、グライドドアの周辺に第2の保護検知エリア50Bを設定する第9の変形例について説明する。図15は、本実施形態の第9の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、グライドドアにおける第2の保護検知エリア50Bの設定例を示す平面図である。
図9においては、グライドドアの移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定する例について説明した。これに対して、図15の例では、グライドドアの移動予定領域7に保護検知エリア50Aを設定することに加えて、グライドドア周辺領域75に第2の保護検知エリア50Bを設定する。
図15に示すように、グライドドア周辺領域75は、ドア21の停止時のドア進行方向dsの逆方向において移動予定領域7に隣接する領域75である。
センサ制御部32は、グライドドア周辺領域75に対応する小検知エリア51群を第2の保護検知エリア50Bとして設定する。
図15の例によれば、グライドドアの周辺においても、第2の保護検知エリア50Bによって高いセンサの検知能力で検知することができる。具体的には、グライドドアがドア停止位置から停止時の進行方向dsに動き出そうとする場合に、移動予定領域7内で人が検知されたことによって停止時の進行方向dsの逆方向に移動しなければならなくなった場合に、逆方向側の検知精度を確保できる。
(第10の変形例)
次に、撮像画像に基づいた検知を行う第10の変形例について説明する。図16は、本実施形態の第10の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。図16に示すように、第10の変形例の自動ドアセンサ3は、投光部311および受光部312の代わりに、検知部の一例として撮像部313を有する。撮像部313は、例えば、可視光域に感度を有するCCDもしくはCMOSカメラである。撮像部313は、赤外線領域に感度を有する赤外線カメラであってもよい。
撮像部313は、検知エリア5を撮像し、検知エリア5の撮像画像を示す検知信号をセンサ制御部32に出力する。センサ制御部32は、撮像部313から入力された検知信号に基づいて通行者を検知し、通行者の検知に応じてドア制御部23に開信号を出力する。
なお、第10の変形例においても、通行者の検知はドア制御部23側で行ってもよい。
第10の変形例によれば、センサ制御部32は、撮像部313の撮像画像に基づいて、撮像画像に映り込んでいるドア21の位置を認識し、認識されたドア21の位置に基づいて、ドア停止位置を取得することができる。これにより、ドア21の動きを直接的に検知することができるので、ドア停止位置をより正確に取得することができる。
(第11の変形例)
次に、自動ドア装置2側で保護検知エリアを設定する第11の変形例について説明する。図17は、本実施形態の第11の変形例による自動ドアシステム1を示すブロック図である。これまでは、自動ドアセンサ3側に記憶部33を備え、センサ制御部32が記憶部33に記憶されたドア停止位置に対応する保護検知エリアを設定する例について説明した。
これに対して、図17の例では、自動ドア装置2側に記憶部33が備えられている。また、図17の例では、ドア制御部23が取得手段および設定手段として機能し、位置信号に基づいて取得されたドア停止位置に基づいて、記憶部33に記憶されたドア停止位置に対応する保護検知エリアを設定する。そして、ドア制御部23は、自動ドアセンサ3に備えられた検知部31の検知情報を送信するための検知情報送信部34から検知情報を受信し、受信された検知情報に基づいて保護検知エリア内に通行者が検知された場合に、例えば、ドア21を閉動作させないように制御する。
第11の変形例によれば、自動ドア装置2側に保護検知エリアの設定機能を持たせることができるので、自動ドアセンサ3の構成を簡素化し、自動ドアセンサ3のコスト、サイズおよび重量を低減させることができる。
なお、ドア制御部23で保護検知エリアを設定する場合、ドア制御部23(設定手段)は、予め記憶部33に記憶されたドア停止位置でドア21が停止する場合の保護検知エリアを設定し、一方、予め記憶部33に記憶されたドア停止位置以外でドア21が停止する場合の保護検知エリアを設定しなくてもよい。ドア停止位置に応じた保護検知エリアが設定されない場合に、ドア制御部23は、ドア21の停止後に、ドア21の停止時のドア進行方向に向かってドア21の停止前よりも低速でドア21を駆動してもよい。このような構成によれば、メモリの消費を抑えながら、従来よりも高い検知能力で検知することができる。
(第12の変形例)
次に、全開モード以外の動作モードで予定されたドアの位置に保護検知エリアを設定する第12の変形例について説明する。
従来の自動ドアシステムにおいては、全開位置と全閉位置との間でドアを移動させる動作モードである全開モードにおいて、全開位置のみにおいてドアウェイ上のセンサの感度を高めていた。このため、従来は、全開位置よりも閉方向前方の半開位置と全閉位置との間でドアを移動させる半開モードにおける半開位置などの、全開モード以外の動作モードで予定されたドアの位置において、高いセンサの検知能力で検知することができなかった。
そこで、全開モード以外の動作モードで予定されたドアの位置(例えば、半開モードにおける半開位置)において高いセンサの検知能力で検知するため、第12の変形例の自動ドアシステム1は、開閉移動するドアの全開位置以外の任意の位置であるドア位置において、ドアの閉方向前方に保護検知エリアを設定する。
ここで、第12の変形例における自動ドアシステム1の記憶部33(図1参照)には、ドア位置にドアが停止した場合にドアの閉方向前方に保護検知エリアを設定できるように、ドア位置に対応付けて保護検知エリアが記憶されている。また、ドア位置は、後述する図18の例では戸先21aであるが、ドア位置は、戸先21a以外のドア21のいずれの箇所の位置であってもよい。
以下、図1および図18を参照して、第12の変形例による自動ドアシステム1について具体的に説明する。
図18は、本実施形態の第12の変形例による自動ドアシステム1の動作例において、半開モードの半開位置における保護検知エリアの設定例を示す平面図である。なお、図18における符号25は、開閉しない固定された建具である固定部25である。第12の変形例による自動ドアシステム1は、図1の自動ドアシステム1と基本構成が類似している。したがって、第12の変形例による自動ドアシステム1は、図1を用いて図1の自動ドアシステム1との相違点を中心に説明する。
保護検知エリア設定手段の一例である図1に示されるセンサ制御部32は、図18に示すように、ドア位置の一例として、半開モードにおける半開位置において、ドア21の閉方向前方d11に保護検知エリア50Aを設定する。
具体的には、図1に示される記憶部33には、全開モード以外の動作モードで予定されたドア位置に対応する保護検知エリアの一例として、半開モードにおける半開位置に対応する保護検知エリアが記憶されている。
保護検知エリア設定手段の一例であるセンサ制御部32は、図1に示されるドア制御部23に半開モードが設定されてドア21が半開モードで動作している場合において、ドア制御部23からの位置信号に基づいて取得されたドア停止位置が半開位置となったときに、半開位置に対応する保護検知エリアを記憶部33から読み込む。そして、センサ制御部32は、読み込まれた半開位置に対応する保護検知エリアを設定する。
これにより、半開モードにおいて予定された半開位置において、高い検知能力で検知することができる。
なお、図18では、引き分け型の引き戸の半開位置において保護検知エリアを設定する例について説明した。しかしながら、第12の変形例は、引き分け型の引き戸に限らず、片引き型の引き戸(図5参照)、開き戸(図6参照)、折り戸(図7参照)、グライドドア(図9参照)等の半開モードを設定可能な種々のタイプの自動ドアに適用することもできる。
また、半開位置において、ドア21の閉方向前方d11に保護検知エリア50Aを設定するとともに、ドア21の周辺領域に第2の保護検知エリア50B(図10〜図13および図15参照)を設定してもよい。
また、第12の変形例は、半開位置以外の動作モードで予定されたドア位置において保護検知エリアを設定するために適用することもできる。
また、第12の変形例は、図16または図17に示した自動ドアシステム1で実現することもできる。
以上説明したように、第12の変形例によれば、全開モード以外の動作モードで予定されたドア位置において高いセンサの検知能力で検知することができる。
(第13の変形例)
次に、全開位置およびドア位置のそれぞれに対応する複数の保護検知エリアを設定する第13の変形例について説明する。
図19は、本実施形態の第13の変形例による自動ドアシステムの動作例において、全開モードの全開位置における保護検知エリアの設定例を示す平面図である。
図18では、センサ制御部32が、全開モード以外の動作モードで予定されたドア位置の一例である半開位置において保護検知エリアを設定する例について説明した。
これに対して、第13の変形例の自動ドアシステム1は、第12の変形例の構成に加えて、更に、センサ制御部32が全開位置およびドア位置において保護検知エリアを設定するように構成されている。
具体的には、センサ制御部32は、既述したように、半開モードにおける半開位置において、ドア21の閉方向前方d11に保護検知エリア50Aを設定する。更に、センサ制御部32は、図19に示すように、全開モードにおける全開位置において、ドア21の閉方向前方d11に保護検知エリア50Aを設定する。
具体的には、記憶部33には、半開位置に対応する保護検知エリアに加えて、更に、ドア21の動作モードで予定されたドア位置に対応する保護検知エリアとして、全開モードにおける全開位置に対応する保護検知エリアが記憶されている。
センサ制御部32は、ドア制御部23に半開モードが設定されており、ドア21が半開モードで動作している場合において、ドア制御部23からの位置信号に基づいて取得されたドア停止位置が半開位置となったときに、半開位置に対応する保護検知エリアを記憶部33から読み込む。そして、センサ制御部32は、読み込まれた半開位置に対応する保護検知エリアを設定する。
一方、センサ制御部32は、ドア制御部23に全開モードが設定されており、ドア21が全開モードで動作している場合において、ドア制御部23からの位置信号に基づいて取得されたドア停止位置が全開位置となったときに、全開位置に対応する保護検知エリアを記憶部33から読み込む。そして、センサ制御部32は、読み込まれた全開位置に対応する保護検知エリアを設定する。
なお、第13の変形例は、複数のドア位置(例えば、半開位置と半開位置以外のドア位置)においてドア21の閉方向前方に保護検知エリアを設定するために適用することもできる。この場合、センサ制御部32は、複数のドア位置のみにおいてドア21の閉方向前方に保護検知エリアを設定してもよく、または、複数のドア位置および全開位置においてドア21の閉方向前方に保護検知エリアを設定してもよい。
第13の変形例によれば、動作モードで予定された複数のドアの位置において高い検知能力で検知することができる。
(第14の変形例)
次に、動作モードで予定されていない位置でドアが停止した場合に、動作モードで予定されたドア位置までドアを移動させて保護検知エリアを設定する第14の変形例について説明する。
図20は、本実施形態の第14の変形例による自動ドアシステムの動作例において、停止位置から半開位置に移動して保護検知エリアを設定する例を示す平面図である。
図19では、半開位置および全開位置の双方において、ドア21の閉方向前方に保護検知エリアを設定する例について説明した。
これに対して、第14の変形例の自動ドアシステム1は、第13の変形例の構成に加えて、更に、ドア駆動手段の一例であるドア制御部23が、保護検知エリアが記憶されていない位置でドア21が停止した場合に、ドア位置または全開位置までドア21を移動させるように構成されている。
例えば、ドア制御部23は、全開モードが設定されてドア21を全開モードで全開位置から全閉位置に向けて駆動している場合において、位置信号等に基づいてドア21が全開位置および半開位置以外のドア位置(以下、途中位置とも呼ぶ)で停止したか否かを判定する。
ドア21が途中位置で停止したと判定した場合、ドア制御部23は、位置信号に基づいて途中位置が全開位置と半開位置とのいずれに近いかを判定する。一方、ドア21が途中位置で停止していないと判定した場合、ドア制御部23は、ドア21の駆動を継続する。
途中位置が全開位置に近いと判定した場合、ドア制御部23は、ドア21を全開位置まで移動させる。そして、センサ制御部32は、全開位置において、ドア21の閉方向前方d11に保護検知エリア50Aを設定する。
一方、途中位置が半開位置に近いと判定した場合、図20に示すように、ドア制御部23は、ドア21を半開位置まで移動させる。なお、図20の例では、途中位置が半開位置よりも全閉位置側にあるためドア21を半開位置まで開方向前方d12に移動しているが、途中位置が半開位置よりも全開位置側にある場合には、ドア21を半開位置まで閉方向前方d11に移動すればよい。そして、センサ制御部32は、半開位置において、ドア21の閉方向前方d11に保護検知エリア50Aを設定する。
なお、ドア制御部23は、全開モードが設定されている場合には、途中位置が全開位置および半開位置のいずれに近いかを判定することなく、全開位置までドア21を移動させてもよい。また、ドア制御部23は、半開モードが設定されている場合には、途中位置が全開位置および半開位置のいずれに近いかを判定することなく、半開位置までドア21を移動させてもよい。
ドア制御部23は、半開位置までの閉方向前方d11へのドア21の移動を、通常速度よりも低速で行うことが望ましい。一方、ドア制御部23は、全開位置または半開位置までの開方向前方d12へのドア21の移動を、通常速度および通常速度よりも低速のいずれで行ってもよい。ここで、通常速度とは、ドア21が途中位置で停止しない場合のドア21の駆動速度である。
第14の変形例は、保護検知エリアが記憶されていない位置でドア21が停止した場合に、複数のドア位置および全開位置のうちの途中位置に近い位置までドア21を移動させて保護検知エリアを設定するために適用することもできる。この場合、複数のドア位置は、例えば、後述する図21に示される2つのドア位置P1、P2であってもよい。また、複数のドア位置の1つは、半開位置であってもよい。
第14の変形例によれば、ドア21が動作モードで予定されていない何れの途中位置(停止位置)で停止した場合においても、ドア21を動作モードで予定されたドア位置まで移動させて保護検知エリアを設定することができる。
また、ドア21を動作モードで予定されたドア位置まで低速で移動させることで、通行者に配慮しつつ保護検知エリアを設定することができる。
なお、図20では、停止位置に近いドア位置までドア21を移動させる例について説明した。これに対して、停止位置に近いドア位置以外のドア位置までドア21を移動させてもよい。例えば、図21に示すように、停止位置(途中位置)に近い保護検知エリアが記憶されたドア位置P1が、停止位置に対してドア21の閉方向前方d11に存在する場合には、そのドア位置P1までドア21を移動させる代わりに、停止位置に対してドア21の開方向前方d12に存在する保護検知エリアが記憶されたドア位置P2までドア21を移動させてもよい。この場合、ドア21を確実に開作動させることができるので、保護検知エリアが記憶されたドア位置P2までのドア21の移動中において、ドア21による人等の挟み込みや、ドア21への人等の衝突を有効に回避することができる。
(第15の変形例)
次に、動作モードで予定されていないドア位置でドアが停止した場合に、全閉位置までドアを移動させる第15の変形例について説明する。
図22は、本実施形態の第15の変形例による自動ドアシステムの動作例において、停止位置から全閉位置に移動する例を示す平面図である。
第14の変形例では、ドア制御部23が、動作モードで予定された複数のドア位置以外の位置でドア21が停止した場合に、停止位置に近いドア位置までドア21を移動させる例について説明した。
これに対して、第15の変形例のドア制御部23は、動作モードで予定された複数のドア位置以外の位置でドア21が停止した場合に、全閉位置までドア21を移動させるように構成されている。
例えば、ドア制御部23は、全開モードが設定されてドア21を全開モードで全開位置から全閉位置に向けて駆動している場合において、位置信号等に基づいてドア21が途中位置で停止したか否かを判定する。
ドア21が途中位置で停止したと判定した場合、図22に示すように、ドア制御部23は、全閉位置までドア21を移動させる。このとき、ドア制御部23は、全閉位置までの閉方向前方d11へのドア21の移動を通常速度よりも低速で行うことが望ましい。なお、ドア21が途中位置ではなく半開位置で停止したと判定された場合、センサ制御部32は、半開位置に対応する保護検知エリアを記憶部33から読み込み、読み込まれた半開位置に対応する保護検知エリアを設定してもよく、または、保護検知エリアを設定せずに全閉位置までドア21を移動させてもよい。
第15の変形例によれば、ドア21が動作モードで予定されていない何れの途中位置で停止した場合においても、ドア21を全閉位置まで低速で移動させることで、通行者に配慮したドア21の駆動を行うことができる。
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
また、上述した変形例を含む実施の形態で説明した構成の一部を組み合わせたり、置き換えたりすることも可能である。更に、上述した変形例を含む実施の形態で説明した構成の一部のみを適用することも可能である。これらの場合、本明細書に明示されたものの他、それぞれの構成から導かれる特有の構成を有する。