JP2019151788A - 樹脂組成物および樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物の提供。【解決手段】セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、分子量250以上2000以下のエステル化合物と、を含み、前記セルロースアシレートの質量に対する前記ポリ乳酸の質量の比が0.05以上0.5以下であり、前記セルロースアシレートの質量に対する前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量の比が0.02以上0.2以下であり、前記セルロースアシレートの質量に対する前記エステル化合物の質量の比が0.05以上0.15以下である樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物および樹脂成形体に関する。
従来、樹脂組成物としては種々のものが提供され、各種用途に使用されている。樹脂組成物は、特に、家電製品や自動車の各種部品、筐体等に使用されている。また、事務機器、電子電気機器の筐体などの部品にも熱可塑性樹脂が使用されている。
近年では、植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロース誘導体がある。
近年では、植物由来の樹脂が利用されており、従来から知られている植物由来の樹脂の一つにセルロース誘導体がある。
例えば、特許文献1には、「セルロースエステル樹脂と、アジピン酸エステルを含む化合物と、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂と、を含有する樹脂組成物。」が開示されている。
セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレート、ポリ乳酸、及び分子量250以上2000以下のエステル化合物を含む樹脂組成物から形成した樹脂成形体は、荷重たわみ温度が低く、熱変形しやすい場合があった。また、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含ませても、荷重たわみ温度が低く、熱変形しやすい場合があった。
セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレート、ポリ乳酸及びポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエート、並びに分子量250以上2000以下のエステル化合物を含む樹脂組成物において、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸の質量の比が0.05未満若しくは0.5超、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量の比が0.02未満若しくは0.2超、若しくはセルロースアシレートの質量に対する分子量250以上2000以下のエステル化合物の質量の比が0.05未満若しくは0.15超である場合、又は荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80未満である場合に比べ、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、
ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、
分子量250以上2000以下のエステル化合物と、
を含み、
前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸の質量(B)の比((B)/(A))が0.05以上0.5以下であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量(C)の比((C)/(A))が0.02以上0.2以下であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記エステル化合物の質量(D)の比((D)/(A))が0.05以上0.15以下である樹脂組成物。
<2>
セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、
ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、
分子量250以上2000以下のエステル化合物と、
を含み、
荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80以上である樹脂組成物。
セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、
ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、
分子量250以上2000以下のエステル化合物と、
を含み、
前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸の質量(B)の比((B)/(A))が0.05以上0.5以下であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量(C)の比((C)/(A))が0.02以上0.2以下であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記エステル化合物の質量(D)の比((D)/(A))が0.05以上0.15以下である樹脂組成物。
<2>
セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、
ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、
分子量250以上2000以下のエステル化合物と、
を含み、
荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80以上である樹脂組成物。
<3>
前記エステル化合物が脂肪酸エステル化合物である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>
前記脂肪酸エステル化合物がアジピン酸エステルを含有する化合物である<3>に記載の樹脂組成物。
前記エステル化合物が脂肪酸エステル化合物である<1>又は<2>に記載の樹脂組成物。
<4>
前記脂肪酸エステル化合物がアジピン酸エステルを含有する化合物である<3>に記載の樹脂組成物。
<5>
さらに、コア層および前記コア層の表面上に(メタ)アクリル重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体を含み、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記コアシェル構造の重合体の質量(E)の比((E)/(A))が0.01以上0.2以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<6>
前記コアシェル構造の重合体のシェル層が、アルキル鎖の炭素数が1以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(メタ)アクリル重合体を含む<5>に記載の樹脂組成物。
<7>
前記コアシェル構造の重合体のシェル層が、アルキル鎖の炭素数が異なる2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体を含む<5>に記載の樹脂組成物。
さらに、コア層および前記コア層の表面上に(メタ)アクリル重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体を含み、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記コアシェル構造の重合体の質量(E)の比((E)/(A))が0.01以上0.2以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<6>
前記コアシェル構造の重合体のシェル層が、アルキル鎖の炭素数が1以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(メタ)アクリル重合体を含む<5>に記載の樹脂組成物。
<7>
前記コアシェル構造の重合体のシェル層が、アルキル鎖の炭素数が異なる2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体を含む<5>に記載の樹脂組成物。
<8>
さらに、(メタ)アクリル重合体を含む<1>〜<7>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<9>
前記(メタ)アクリル重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有する重合体であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有する重合体の質量(F)の比((F)/(A))が0.01以上0.1以下である<8>に記載の樹脂組成物。
<10>
前記(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量が30000以下である<8>又は<9>に記載の樹脂組成物。
さらに、(メタ)アクリル重合体を含む<1>〜<7>のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
<9>
前記(メタ)アクリル重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有する重合体であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有する重合体の質量(F)の比((F)/(A))が0.01以上0.1以下である<8>に記載の樹脂組成物。
<10>
前記(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量が30000以下である<8>又は<9>に記載の樹脂組成物。
<11>
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂成形体。
<12>
前記樹脂成形体が、射出成形体である<11>に記載の樹脂成形体。
<1>〜<10>のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂成形体。
<12>
前記樹脂成形体が、射出成形体である<11>に記載の樹脂成形体。
<1>に係る発明によれば、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレート、ポリ乳酸及びポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエート、並びに分子量250以上2000以下のエステル化合物を含む樹脂組成物において、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸の質量の比が0.05未満若しくは0.5超、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量の比が0.02未満若しくは0.2超、又はセルロースアシレートの質量に対する特定エステル化合物の質量の比が0.05未満若しくは0.15超である場合に比べ、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<2>に係る発明によれば、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレート、ポリ乳酸及びポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエート、並びに分子量250以上2000以下のエステル化合物を含む樹脂組成物において、荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80未満である場合に比べ、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<3>、<4>に係る発明によれば、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸の質量の比が0.05未満若しくは0.5超、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量の比が0.02未満若しくは0.2超、若しくはセルロースアシレートの質量に対する分子量250以上2000以下のエステル化合物の質量の比が0.05未満若しくは0.15超である場合、又は荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80未満である場合に比べ、分子量250以上2000以下のエステル化合物が脂肪酸エステルであり、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<5>、<6>、<7>に係る発明によれば、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸の質量の比が0.05未満若しくは0.5超、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量の比が0.02未満若しくは0.2超、若しくはセルロースアシレートの質量に対する特定エステル化合物の質量の比が0.05未満若しくは0.15超である場合、又は荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80未満である場合に比べ、コア層および前記コア層の表面上に(メタ)アクリル重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体を含み、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
<8>、<9>、<10>に係る発明によれば、樹脂組成物が、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレート、ポリ乳酸、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)、並びに分子量250以上2000以下のエステル化合物のみ含む場合に比べ、熱変形が抑制される樹脂成形体が提供される。
<11>、<12>に係る発明によれば、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレート、ポリ乳酸及びポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエート、並びに分子量250以上2000以下のエステル化合物を含む樹脂成形体において、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸の質量の比が0.05未満若しくは0.5超、セルロースアシレートの質量に対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量の比が0.02未満若しくは0.2超、若しくはセルロースアシレートの質量に対する分子量250以上2000以下のエステル化合物の質量の比が0.05未満若しくは0.15超である場合、又は荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80未満である場合に比べ、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の樹脂組成物および樹脂成形体の一例である実施形態(本明細書中において、第1の実施形態及び第2の実施形態に共通する事項については、「本実施形態」と称する)について説明する。
<樹脂組成物>
第1の実施形態に係る樹脂組成物は、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと(以下、「特定セルロースアシレート」と称する場合がある)、ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、分子量250以上2000以下のエステル化合物(以下、「特定エステル化合物」と称する場合がある)と、を含む。
そして、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸の質量(B)の比((B)/(A))が0.05以上0.5以下である。また、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量(C)の比((C)/(A))が0.02以上0.2以下である。さらに、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記エステル化合物の質量(D)の比((D)/(A))が0.05以上0.15以下である。
第1の実施形態に係る樹脂組成物は、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと(以下、「特定セルロースアシレート」と称する場合がある)、ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、分子量250以上2000以下のエステル化合物(以下、「特定エステル化合物」と称する場合がある)と、を含む。
そして、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸の質量(B)の比((B)/(A))が0.05以上0.5以下である。また、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量(C)の比((C)/(A))が0.02以上0.2以下である。さらに、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記エステル化合物の質量(D)の比((D)/(A))が0.05以上0.15以下である。
第2の実施形態に係る樹脂組成物は、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、分子量250以上2000以下のエステル化合物と、を含む。
そして、荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における硬球の落下高さ(m)との積が80以上である。
そして、荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における硬球の落下高さ(m)との積が80以上である。
従来、水酸基の一部がアシル基で置換されたセルロースアシレート(アシル化セルロース誘導体)は、非可食資源からなり、化学重合を必要としない一次誘導体であるため、環境に優しい樹脂材料である。セルロースアシレートの中でも、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレート(特定セルロースアシレート)は、透明性に優れた材料である。
特定セルロースアシレートの高い透明性を生かし、特定セルロースアシレートを透明で耐割れ性が求められる用途へ展開する場合がある。この場合、特定セルロースアシレートに対し、ポリ乳酸、及び特定エステル化合物を混合した樹脂組成物とすることで、樹脂成形体の耐割れ性は改善される。しかし、この樹脂組成物から形成した樹脂成形体は、荷重たわみ温度が低く、熱変形しやすい場合があった。
これに対し、本実施形態に係る樹脂組成物では、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、及び特定エステル化合物の混合物に、さらに、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を加えている。ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)自体の荷重たわみ温度は、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、及び特定エステル化合物の混合物の荷重たわみ温度よりも低い。それにもかかわらず、本実施形態に係る樹脂組成物は、上記構成により、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる。この理由は定かではないが、以下のように推測される。
特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、及び特定エステル化合物を混合すると、特定エステル化合物は、親和性の差から、特定セルロースアシレートの相に選択的に溶け込む。この状態の樹脂組成物は、特定エステル化合物を含む特定セルロースアシレートの相と、ポリ乳酸の相とが存在し、両相に界面が生じる。そして、両相の界面での破壊が支配的となることから、荷重たわみ温度が低下すると考えられる。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)は、特定エステル化合物を含む特定セルロースアシレートと、ポリ乳酸との両者と同程度の親和性を有する。そのため、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、及び特定エステル化合物の混合物に、さらに、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を混合すると、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)が、特定エステル化合物を含む特定セルロースアシレートの相と、ポリ乳酸の相とを相溶化し、両相の界面を結着させることで、両相の界面での破壊が抑制される。そのため、耐割れ性が確保されるとともに、荷重たわみ温度の低下が抑制されると考えられる。また、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)が両相の界面に存在することで、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の結晶化が促進されると考えられる。そのため、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の結晶化に起因して、耐割れ性が確保されるとともに、荷重たわみ温度の低下が抑制されると考えられる。すわなち、上記作用により、耐割れ性が確保されるとともに、熱変形が抑制された樹脂成形体が得られると考えられる。
また、単に、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を混合するのみでは、上記作用が発現し難い場合があることがわかった。さらに、特定セルロースアシレートに対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の比率のみ検討しても、上記作用が発現し難い場合があることがわかった。そのため、第1の実施形態では、特定セルロースアシレートに対する各成分(ポリ乳酸、特定エステル化合物、及びポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸))の質量比を前述の範囲とすることで、樹脂成形体の耐割れ性が確保されるとともに、熱変形が抑制されるものと考えられる。これは、特定セルロースアシレートに対する各成分の質量比が、前述の範囲であることで、各成分のそれぞれの役割を発揮するバランスになっているため、上記作用が発現するものと推測される。
また、第2の実施形態に係る樹脂組成物は、荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験の鋼球高さ(m)との積が80以上を示す樹脂成形体が得られる。この数値が80以上であることで、樹脂成形体は、耐割れ性が確保されるとともに、熱変形しにくい特性を有する。これは、前述のように、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)が、特定エステル化合物を含む特定セルロースアシレートの相と、ポリ乳酸の相との界面に存在することで、上記作用が発現するためと推測される。
以上から、本実施形態に係る樹脂成形体は、耐割れ性が確保されるとともに、荷重たわみ温度の低下が抑制されると推測される。
以下、本実施形態に係る樹脂組成物の成分を詳細に説明する。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも含むことを意味する。「(メタ)アクリレート」とは、「アクレート」及び「メタクリレート」のいずれをも含むことを意味する。
[特定セルロースアシレート]
本実施形態に係る樹脂組成物において、特定セルロースアシレートは、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含む。つまり、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートのいすれかを含有していてもよく、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートの両者を併用してもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物において、特定セルロースアシレートは、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含む。つまり、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートのいすれかを含有していてもよく、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートの両者を併用してもよい。
セルロースアセテートプロピオネートは、水酸基の一部がアセチル基およびプロピオニル基で置換されたセルロース誘導体である。また、セルロースアセテートブチレートは、水酸基の一部がアセチル基およびブチル基で置換されたセルロース誘導体である。特定セルロースアシレートは、具体的には、下記一般式(1)で表されるセルロース誘導体である。
一般式(1)中、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、又はアシル基(アセチル基及びプロピオニル基、又はアセチル基及びブチリル基)を表す。nは2以上の整数を表す。ただし、n個のR1、n個のR2、及びn個R3のうちの少なくとも一部はアシル基を表し、セルロースアセテートプロピオネートの場合、アシル基は、アセチル基及びプロピオニル基を表す。また、セルロースアセテートブチレートの場合、アシル基は、アセチル基及びブチリル基を表す。
一般式(1)中、nの範囲は特に制限されず、例えば、200以上1000以下が挙げられる。nの範囲は500以上1000以下であってもよい。
−重量平均重合度−
特定セルロースアシレートの重量平均重合度は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、200以上1000以下が好ましく、500以上1000以下がより好ましい。
特定セルロースアシレートの重量平均重合度は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、200以上1000以下が好ましく、500以上1000以下がより好ましい。
ここで、重量平均重合度は、以下の手順で重量平均分子量(Mw)から求める。
まず、特定セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)を、テトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。次いで、特定セルロースアシレートの構成単位分子量で割ることで、特定セルロースアシレートの重合度を求める。
まず、特定セルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)を、テトラヒドロフランを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ装置(GPC装置:東ソー社製、HLC−8320GPC、カラム:TSKgelα−M)にてポリスチレン換算で測定する。次いで、特定セルロースアシレートの構成単位分子量で割ることで、特定セルロースアシレートの重合度を求める。
−置換度−
特定セルロースアシレートの置換度は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、2.1以上2.8以下が好ましく、置換度2.2以上2.8以下がより好ましく、2.3以上2.75以下がさらに好ましく、2.35以上2.75以下が特に好ましい。
特定セルロースアシレートの置換度は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、2.1以上2.8以下が好ましく、置換度2.2以上2.8以下がより好ましく、2.3以上2.75以下がさらに好ましく、2.35以上2.75以下が特に好ましい。
ここで、置換度とは、セルロースが有する水酸基がアシル基により置換されている程度を示す指標である。つまり、置換度は、特定セルロースアシレートのアシル化の程度を示す指標となる。具体的には、置換度は、セルロースアシレートのD−グルコピラノース単位に3個ある水酸基がアシル基で置換された置換個数の分子内平均を意味する。
そして、置換度は、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来ピークの積分比から測定する。
そして、置換度は、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)にて、セルロース由来水素とアシル基由来ピークの積分比から測定する。
−プロピオニル基の含有量−
セルロースアセテートプロピオネートにおいて、セルロースアセテートプロピオネートに対するプロピオニル基の含有量は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、39質量%以上51質量%以下であることがよく、40質量%以上50質量%以下であることが好ましく、41質量%以上49質量%以下であることがより好ましい。
セルロースアセテートプロピオネートにおいて、セルロースアセテートプロピオネートに対するプロピオニル基の含有量は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、39質量%以上51質量%以下であることがよく、40質量%以上50質量%以下であることが好ましく、41質量%以上49質量%以下であることがより好ましい。
−プロピオニル基の含有量とアセチル基の含有量との比−
セルロースアセテートプロピオネートにおいて、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、アセチル基とプロピオニル基との置換度の比(アセチル基/プロピオニル基)は、5/1以上1/20以下が好ましく、3/1以上1/15以下がより好ましい。
セルロースアセテートプロピオネートにおいて、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、アセチル基とプロピオニル基との置換度の比(アセチル基/プロピオニル基)は、5/1以上1/20以下が好ましく、3/1以上1/15以下がより好ましい。
−ブチリル基の含有量−
セルロースアセテートブチレートにおいて、セルロースアセテートブチレートに対するプロピオニル基の含有量は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、15質量%以上55質量%以下であることがよく、16質量%以上54質量%以下であることが好ましい。
セルロースアセテートブチレートにおいて、セルロースアセテートブチレートに対するプロピオニル基の含有量は、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形を抑制する点で、15質量%以上55質量%以下であることがよく、16質量%以上54質量%以下であることが好ましい。
−ブチリル基の含有量とアセチル基の含有量との比−
セルロースアセテートブチレートにおいて、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される点で、アセチル基とブチリル基との置換度の比(アセチル基/ブチリル基)は、5/1以上1/20以下が好ましく、4/1以上1/15以下がより好ましい。
セルロースアセテートブチレートにおいて、樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される点で、アセチル基とブチリル基との置換度の比(アセチル基/ブチリル基)は、5/1以上1/20以下が好ましく、4/1以上1/15以下がより好ましい。
ここで、アセチル基の含有量、プロピオニル基の含有量、及びブチリル基の含有量は、以下の方法により求められる。セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートを、H1−NMR(JMN−ECA/JEOL RESONANCE社製)によって分析する。セルロースアセテートプロピオネートの場合、アセチル基由来ピークとプロピオニル基由来ピークおよび水酸基由来ピークの積分値から算出する。セルロースアセテートブチレートの場合、アセチル基由来ピークとブチリル基由来ピークおよび水酸基由来ピークの積分値から算出する。
そして、この方法によって求められたプロピオニル基又はブチリル基の含有量、及びアセチル基の含有量から、両者の質量比を求める。
そして、この方法によって求められたプロピオニル基又はブチリル基の含有量、及びアセチル基の含有量から、両者の質量比を求める。
特定セルロースアシレートの製造方法は、特に制限はなく、例えば、セルロースに対し、アシル化、及び、低分子量化(解重合)、並びに、必要に応じて、脱アセチル化を行う方法が挙げられる。また、市販品のセルロースアセテートプロピオネート又は市販品のセルロースアセテートブチレートを、予め定められた重量平均分子量となるように、低分子量化(解重合)等を行って製造してもよい。
[ポリ乳酸]
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含有する。ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合した高分子化合物である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含有する。ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合によって重合した高分子化合物である。
ポリ乳酸としては、L−乳酸に由来する構造単位を有するポリL−乳酸、D−乳酸に由来する構造単位を有するポリD−乳酸、及びL−乳酸およびD−乳酸に由来する構造単位を有するポリDL−乳酸等、並びに、これらの混合物が挙げられる。また、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも一方には、L−乳酸及びD−乳酸以外のL−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な単量体が共重合されていてもよい。
上記のL−乳酸又はD−乳酸と共重合可能な単量体としては、特に限定されず、例えば、以下の単量体が挙げられる。具体的には、グリコール酸、ジメチルグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシプロパン酸、3−ヒドロキシプロパン酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、テレフタル酸等の多価カルボン酸及びこれらの無水物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコール、1,4−ヘキサンジメタノール等の多価アルコール;セルロース等の多糖類;α−アミノ酸等のアミノカルボン酸;5−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、6−ヒドロキシメチルカプロン酸、マンデル酸等のヒドロキシカルボン酸;グリコリド、β−メチル−δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状エステル;等が挙げられる。
ポリ乳酸の重合法は特に限定されず、縮重合法、開環重合法など公知の方法が挙げられる。例えば、ポリ乳酸は、乳酸の環状二量体であるラクチドを用いる開環重合法;L−乳酸およびD−乳酸の少なくとも一種を直接脱水縮重合する縮重合法;などによって製造すればよい。
ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)は、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、5万以上30万以下であることがよく、7.5万以上25万以下であることが好ましく、10万以上20万以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸の平均重合度は、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、700以上4200以下であることがよく、1400以上2800以下が好ましい。
ポリ乳酸の平均重合度は、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、700以上4200以下であることがよく、1400以上2800以下が好ましい。
ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製、HLC−8320GPCを用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量(Mw)は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
[ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)]
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含有する。ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)は、具体的に、例えば、一般式(2)で表される化学構造を有する樹脂が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含有する。ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)は、具体的に、例えば、一般式(2)で表される化学構造を有する樹脂が挙げられる。
(一般式(2)中、R11は、炭素数2以上10以下のアルキレン基を表す。pは、2以上の整数を表す。)
一般式(2)中、R11が表すアルキレン基としては、炭素数3以上6以下のアルキレン基が好ましい。R11が表すアルキレン基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。樹脂成形体の引張弾性率の低下を抑制しつつ、引張破断伸度が向上している樹脂成形体が得られる点から、分岐状が好ましい。
ここで、一般式(2)中、R11がアルキレン基を表すとは、1)R11が同じアルキレン基を表す[O−R11−C(=O)−]構造を有すること、2)R11が異なるアルキレン基(R11が炭素数又は分岐が異なるアルキレン基)を表す複数の[O−R11−C(=O)−]構造(即ち、[O−R11A−C(=O)−][O−R11B−C(=O)−]構造)を有することを示している。
つまり、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)は、1種のポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の単独重合体であってもよいし、2種以上のポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の共重合体であってもよい。
つまり、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)は、1種のポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の単独重合体であってもよいし、2種以上のポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の共重合体であってもよい。
一般式(2)中、pの上限は特に限定されないが、例えば、20000以下が挙げられる。pの範囲は、引張弾性率の低下を抑制しつつ、引張破断伸度が向上している樹脂成形体が得られる点から、500以上10000以下が好ましく、1000以上8000以下がより好ましい。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を形成するヒドロキシアルカン酸としては、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオン酸、3−ヒドロキシヘキサン酸、2−ヒドロキシ−n−オクタン酸等が挙げられる。
これらの中でも、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)は、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、炭素数3以上4以下のヒドロキシアルカン酸と炭素数5以上7以上の分岐状のヒドロキシアルカン酸との共重合体(但し、炭素数はカルボキシ基の炭素も含む数である。)が好ましい。特に、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシカプロン酸との共重合体(3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体)がより好ましい。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)が、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体である場合、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体に対する3−ヒドロキシヘキサノエートの共重合比は、3モル%以上20モル%以下であることがよく、4モル%以上15モル%以下であることが好ましく、5モル%以上12モル%以下であることがより好ましい。3−ヒドロキシヘキサノエートの共重合比が3モル%以上20モル%以下の範囲であることで、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られやすくなる。
なお、3−ヒドロキシブチレートと3−ヒドロキシヘキサノエートとの共重合体に対する3−ヒドロキシヘキサノエートの共重合比の測定方法は、以下のようにして測定する。
H1−NMRを用い、ヘキサノエート末端とブチレート末端由来のピークの積分値からヘキサノエート比率を算出する。
H1−NMRを用い、ヘキサノエート末端とブチレート末端由来のピークの積分値からヘキサノエート比率を算出する。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の重量平均分子量(Mw)は、10,000以上1,000,000以下(好ましくは50,000以上800,000以下、より好ましくは100,000以上600,000以下)であることがよい。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、引張弾性率の低下を抑制しつつ、引張破断伸度が向上している樹脂成形体が得られる点が得られやすくなる。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の重量平均分子量(Mw)が上記範囲であると、引張弾性率の低下を抑制しつつ、引張破断伸度が向上している樹脂成形体が得られる点が得られやすくなる。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー(株)製、HPLC1100を用い、東ソー(株)製カラム・TSKgel GMHHR−M+TSKgel GMHHR−M(7.8mmI.D.30cm)を使用し、クロロホルム溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
[特定エステル化合物]
特定エステル化合物は、エステル基(−C(=O)O−)を有し、分子量250以上2000以下(好ましくは250以上1000以下、より好ましくは250以上600以下)の化合物である。本実施形態に係る樹脂組成物は、特定エステル化合物は、少なくとも1種含む。なお、2種以上の特定エステル化合物を併用する場合、各々、分子量が250以上2000以下のエステル化合物を併用する。
特定エステル化合物は、エステル基(−C(=O)O−)を有し、分子量250以上2000以下(好ましくは250以上1000以下、より好ましくは250以上600以下)の化合物である。本実施形態に係る樹脂組成物は、特定エステル化合物は、少なくとも1種含む。なお、2種以上の特定エステル化合物を併用する場合、各々、分子量が250以上2000以下のエステル化合物を併用する。
特定エステル化合物としては、脂肪酸エステル化合物、芳香族カルボン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの中でも、得られる樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、特定エステル化合物としては、脂肪酸エステル化合物が好ましい。
脂肪酸エステル化合物としては、脂肪族モノカルボン酸エステル(酢酸エステル等)、脂肪族ジカルボン酸エステル(コハク酸エステル、アジピン酸エステル含有化合物、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、ステアリン酸エステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸エステル、イソクエン酸エステル等)、エステル基含有エポキシ化化合物(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化菜種脂肪酸イソブチル、エポキシ化脂肪酸2−エチルヘキシル)、脂肪酸メチルエステル、ショ糖エステルなどが挙げられる。
芳香族カルボン酸エステル化合物としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、テレフタル酸エステル等が挙げられる。
芳香族カルボン酸エステル化合物としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、テレフタル酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、得られる樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、脂肪族ジカルボン酸エステル及び脂肪族トリカルボン酸エステルが好ましく、アジピン酸エステル含有化合物及びクエン酸エステルがより好ましく、アジピン酸エステル含有化合物がさらに好ましい。
アジピン酸エステル含有化合物(アジピン酸エステルを含む化合物)とは、アジピン酸エステル単独の化合物、又は、アジピン酸エステルとアジピン酸エステル以外の成分(アジピン酸エステルとは異なる化合物)との混合物であることを示す。ただし、アジピン酸エステル含有化合物は、アジピン酸エステルを全成分に対して50質量%以上で含むことがよい。
アジピン酸エステルとしては、例えば、アジピン酸ジエステルが挙げられる。具体的には、下記一般式(AE)で示されるアジピン酸ジエステル等が挙げられる。
一般式(AE)中、RAE1及びRAE2は、それぞれ独立に、アルキル基、又はポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1](ただし、RA1はアルキル基を、xは1以上10以下の整数を、yは1以上10以下の整数を、それぞれ表す。)を表す。
一般式(AE)中、RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RAE1及びRAE2が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれでもよいが、直鎖状及び分岐状が好ましい。
一般式(AE)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれでもよいが、直鎖状及び分岐状が好ましい。
一般式(AE)中、RAE1及びRAE2が表すポリオキシアルキル基[−(CxH2X−O)y−RA1]において、RA1が表すアルキル基は、炭素数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基がより好ましい。RA1が表すアルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれでもよいが、直鎖状及び分岐状が好ましい。
一般式(AE)中、各符号が表す基は、置換基で置換されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、及びヒドロキシル基等が挙げられる。
一方、クエン酸エステルとしては、クエン酸の炭素数1以上12以下(好ましくは1以上8以下)のアルキルエステルが挙げられる。クエン酸エステルは、アルキルカルボン酸無水物(例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸等の直鎖状又は分岐鎖状で炭素数2以上6以下(好ましくは2以上3以下)のアルキルカルボン酸無水物)でアシル化されたクエン酸エステルであってもよい。
[コアシェル構造の重合体]
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、コア層と前記コア層の表面上に(メタ)アクリル重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体を含有していてもよい。耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、コアシェル構造の重合体は、例えば、常温(25℃)において弾性を有し、高温において熱可塑性樹脂と同じく軟化する性質を有する(熱可塑性エラストマー)ことがよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、コア層と前記コア層の表面上に(メタ)アクリル重合体を含むシェル層とを有するコアシェル構造の重合体を含有していてもよい。耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、コアシェル構造の重合体は、例えば、常温(25℃)において弾性を有し、高温において熱可塑性樹脂と同じく軟化する性質を有する(熱可塑性エラストマー)ことがよい。
コアシェル構造の重合体は、コア層と前記コア層の表面上にシェル層とを有するコアシェル構造の重合体である。
コアシェル構造の重合体は、コア層を最内層とし、シェル層を最外層とする重合体(例えば、コア層となる重合体に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体をグラフト重合してシェル層とした重合体であってもよい。)である。
なお、コア層とシェル層との間には、1層以上の他の層(例えば1層以上6層以下の他の層)を有してよい。なお、他の層を有する場合、コアシェル構造の重合体は、コア層となる重合体に、複数種の重合体をグラフト重合して多層化した重合体であってもよい。
コアシェル構造の重合体は、コア層を最内層とし、シェル層を最外層とする重合体(例えば、コア層となる重合体に、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体をグラフト重合してシェル層とした重合体であってもよい。)である。
なお、コア層とシェル層との間には、1層以上の他の層(例えば1層以上6層以下の他の層)を有してよい。なお、他の層を有する場合、コアシェル構造の重合体は、コア層となる重合体に、複数種の重合体をグラフト重合して多層化した重合体であってもよい。
コア層は、特に限定されるものではないが、ゴム層であることがよい。ゴム層は、(メタ)アクリルゴム、シリコーンゴム、スチレンゴム、共役ジエンゴム、α−オレフィンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、これら2種以上の共重合体ゴム等の層が挙げられる。
これらの中も、ゴム層は、(メタ)アクリルゴム、シリコーンゴム、スチレンゴム、共役ジエンゴム、α−オレフィンゴム、これら2種以上の共重合体ゴム等の層が好ましい。
なお、ゴム層は、架橋剤(ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート等)を共重合して架橋させたゴム層であってもよい。
これらの中も、ゴム層は、(メタ)アクリルゴム、シリコーンゴム、スチレンゴム、共役ジエンゴム、α−オレフィンゴム、これら2種以上の共重合体ゴム等の層が好ましい。
なお、ゴム層は、架橋剤(ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート等)を共重合して架橋させたゴム層であってもよい。
(メタ)アクリルゴムとしては、例えば、(メタ)アクリル成分(例えば、(メタ)アクリル酸の炭素数2以上6以下のアルキルエステル等)を重合した重合体ゴムが挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、シリコーン成分(ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサン等)で構成されたゴムが挙げられる。
スチレンゴムとしては、例えば、スチレン成分(スチレン、α−メチルスチレン等)を重合した重合体ゴムが挙げられる。
共役ジエンゴムとしては、例えば、共役ジエン成分(ブタジエン、イソプレン等)を重合した重合体ゴムが挙げられる。
α−オレフィンゴムは、α−オレフィン成分(エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン)を重合した重合体ゴムが挙げられる。
共重合体ゴムとしては、例えば、2種以上の(メタ)アクリル成分を重合した共重合体ゴム、(メタ)アクリル成分とシリコーン成分を重合した共重合体ゴム、(メタ)アクリル成分と共役ジエン成分とスチレン成分との共重合体等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、シリコーン成分(ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサン等)で構成されたゴムが挙げられる。
スチレンゴムとしては、例えば、スチレン成分(スチレン、α−メチルスチレン等)を重合した重合体ゴムが挙げられる。
共役ジエンゴムとしては、例えば、共役ジエン成分(ブタジエン、イソプレン等)を重合した重合体ゴムが挙げられる。
α−オレフィンゴムは、α−オレフィン成分(エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン)を重合した重合体ゴムが挙げられる。
共重合体ゴムとしては、例えば、2種以上の(メタ)アクリル成分を重合した共重合体ゴム、(メタ)アクリル成分とシリコーン成分を重合した共重合体ゴム、(メタ)アクリル成分と共役ジエン成分とスチレン成分との共重合体等が挙げられる。
シェル層に含有される(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル鎖の水素の少なくとも一部が置換されていてもよい。その置換基としては、例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン基等が挙げられる。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体として、得られる樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、アルキル鎖の炭素数が1以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体が好ましく、アルキル鎖の炭素数が1以上2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体がより好ましく、アルキル鎖の炭素数が1の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体がさらに好ましい。特に、アルキル鎖の炭素数が異なる2種以上のアクリル酸アルキルエステルの共重合体が好ましい。
コアシェル構造の重合体におけるシェル層の重合体の含有量は、コアシェル構造の重合体全体に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、3質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係るコアシェル構造の重合体は、市販品を用いてもよく、また、公知の方法により作製してもよい。
市販品としては、例えば、三菱ケミカル製「メタブレン」、カネカ製「カネエース」、ダウケミカル製「パラロイド」などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
市販品としては、例えば、三菱ケミカル製「メタブレン」、カネカ製「カネエース」、ダウケミカル製「パラロイド」などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
公知の方法としては、乳化重合法が挙げられる。製造方法として具体的には次の方法が例示される。まず単量体の混合物を乳化重合させてコア粒子(コア層)を形成した後、他の単量体の混合物をコア粒子(コア層)の存在下において乳化重合させてコア粒子(コア層)の周囲にシェル層を形成するコアシェル構造の重合体を得る。
また、コア層とシェル層との間に他の層を形成する場合は、他の単量体の混合物の乳化重合を繰り返して、目的とするコア層と他の層とシェル層とから構成されるコアシェル構造の重合体を得る。
また、コア層とシェル層との間に他の層を形成する場合は、他の単量体の混合物の乳化重合を繰り返して、目的とするコア層と他の層とシェル層とから構成されるコアシェル構造の重合体を得る。
本実施形態に係るコアシェル構造の重合体の平均一次粒子径は、特に限定されるものではないが、得られる樹脂成形体の耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される点で、50nm以上500nm以下であることが好ましく、さらに、50nm以上400nm以下であることがより好ましく、100nm以上300nm以下であることが特に好ましく、150nm以上250nm以下であることが最も好ましい。
なお、平均一次粒径とは、次の方法により測定された値をいう。走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、一次粒子の最大径を一次粒子径とし、粒子100個について、一次粒子径を測定し、平均した数平均一次粒子径である。具体的には、樹脂組成物中のコアシェル構造の重合体の分散形態を走査型電子顕微鏡により観察することにより求めることができる。
なお、平均一次粒径とは、次の方法により測定された値をいう。走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、一次粒子の最大径を一次粒子径とし、粒子100個について、一次粒子径を測定し、平均した数平均一次粒子径である。具体的には、樹脂組成物中のコアシェル構造の重合体の分散形態を走査型電子顕微鏡により観察することにより求めることができる。
[(メタ)アクリル重合体]
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、(メタ)アクリル重合体を含有していてもよい。なお、(メタ)アクリル重合体を含有させると、得られる樹脂成形体の熱変形が抑制されやすくなる傾向がある。
本明細書中において、(メタ)アクリル重合体は、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体であることがよい。中でも、(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を1種類のみを含む単独重合体でもよく、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を1種または2種以上を含む共重合体でもよい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、(メタ)アクリル重合体を含有していてもよい。なお、(メタ)アクリル重合体を含有させると、得られる樹脂成形体の熱変形が抑制されやすくなる傾向がある。
本明細書中において、(メタ)アクリル重合体は、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含む重合体であることがよい。中でも、(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル重合体は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を1種類のみを含む単独重合体でもよく、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を1種または2種以上を含む共重合体でもよい。
(メタ)アクリル重合体が、例えば、(メタ)アクリル重合体アルキルエステルに由来する構造単位を含む共重合体である場合、(メタ)アクリル重合体アルキルエステルに由来する構造単位は、共重合体の全質量に対し、50質量%以上99質量%以下(好ましくは60質量%以上95質量%以下、好ましくは70質量%以上95質量%以下)であることがよい。また、(メタ)アクリル重合体アルキルエステルに由来する構造単位以外の構造単位としては、1質量%以上50質量%以下(好ましくは5質量%以上40質量%以下、好ましくは5質量%以上30質量%以下)であることがよい。
(メタ)アクリル重合体が有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位としては、例えば、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリレート酸n−オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位;(メタ)アクリレート酸フェニル、(メタ)アクリレート酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸フェニルエステルに由来する構造単位;など挙げられる。
(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量の上限は、特に限定されるものではない。耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、30000以下であることがよい。また、重量平均分子量の上限は、30000未満であってもよく、28000以下であってもよい。また、(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量の下限値は特に限定されず、例えば、15000以上であることが挙げられる。重量平均分子量の下限は、20000以上であってもよい。また、重量平均分子量が30000以下の(メタ)アクリル重合体を用いることで、熱変形がより抑制されやすくなる。
(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定される値である。具体的には、GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー社製、HLC−8320GPCを用い、東ソー社製カラム・TSKgelα−Mを使用し、テトラヒドロフラン溶媒で行う。そして、重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
[その他の成分]
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。
また、必要に応じて、酢酸放出を防ぐための受酸剤、反応性トラップ剤などの成分(添加剤)を添加してもよい。受酸剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;などが挙げられる。
反応性トラップ剤としては、例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミドなどが挙げられる。
これらの成分の含有量は、樹脂組成物全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、必要に応じて、さらに、上述した以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、難燃剤、相溶化剤、酸化防止剤、離型剤、耐光剤、耐候剤、着色剤、顔料、改質剤、ドリップ防止剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドガラス、ガラスビーズ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等)などが挙げられる。
また、必要に応じて、酢酸放出を防ぐための受酸剤、反応性トラップ剤などの成分(添加剤)を添加してもよい。受酸剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどの金属水酸化物;炭酸カルシウム;タルク;などが挙げられる。
反応性トラップ剤としては、例えば、エポキシ化合物、酸無水物化合物、カルボジイミドなどが挙げられる。
これらの成分の含有量は、樹脂組成物全量に対してそれぞれ、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。ここで、「0質量%」とはその他の成分を含まないことを意味する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記樹脂(セルロースアセテートプロピオネート、及びポリメチルメタクリレート)以外の他の樹脂を含有していてもよい。但し、他の樹脂を含む場合、樹脂組成物の全量に対する他の樹脂の含有量は、5質量%以下がよく、1質量%未満であることが好ましい。他の樹脂は、含有しないこと(つまり0質量%)がより好ましい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、およびシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。また、コアシェル型のブタジエン−メチルメタクリレート共重合体も挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリカーボネート樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエステルカーボネート樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリーレン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリケトン樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリアリールケトン樹脂;ポリエーテルニトリル樹脂;液晶樹脂;ポリベンズイミダゾール樹脂;ポリパラバン酸樹脂;芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、およびシアン化ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上のビニル単量体を、重合若しくは共重合させて得られるビニル系重合体若しくは共重合体;ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;シアン化ビニル−ジエン−芳香族アルケニル化合物共重合体;芳香族アルケニル化合物−ジエン−シアン化ビニル−N−フェニルマレイミド共重合体;シアン化ビニル−(エチレン−ジエン−プロピレン(EPDM))−芳香族アルケニル化合物共重合体;塩化ビニル樹脂;塩素化塩化ビニル樹脂;などが挙げられる。また、コアシェル型のブタジエン−メチルメタクリレート共重合体も挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[特定セルロースアシレートに対する各成分の質量比]
本実施形態に係る樹脂組成物は、特定セルロースアシレートの質量(A)に対するポリ乳酸の質量(B)の比((B)/(A))が0.05以上0.5以下である。
また、セルロースアシレートの質量(A)に対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量(C)の比((C)/(A))が0.02以上0.2以下である。
さらに、セルロースアシレートの質量(A)に対する分子量250以上2000以下のエステル化合物の質量(D)の比((D)/(A))が0.05以上0.15以下である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、特定セルロースアシレートの質量(A)に対するポリ乳酸の質量(B)の比((B)/(A))が0.05以上0.5以下である。
また、セルロースアシレートの質量(A)に対するポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量(C)の比((C)/(A))が0.02以上0.2以下である。
さらに、セルロースアシレートの質量(A)に対する分子量250以上2000以下のエステル化合物の質量(D)の比((D)/(A))が0.05以上0.15以下である。
本実施形態に係る樹脂組成物は、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、上記の(B)/(A)が0.05以上0.3以下であることが好ましく、0.05以上0.2以下がより好ましい。同様の点で、(C)/(A)は、0.02以上0.1以下であることが好ましく、0.05以上0.1以下がより好ましい。(D)/(A)は、0.06以上0.12以下であることが好ましく、0.08以上0.1以下がより好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、コアシェル構造の重合体を含む場合、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、特定セルロースアシレートの質量(A)に対するコアシェル構造の重合体の質量(E)の比((E)/(A))が0.02以上0.2以下であることがよく、0.05以上0.1以下が好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、(メタ)アクリル重合体を含む場合、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、特定セルロースアシレートの質量(A)に対する(メタ)アクリル重合体の質量(F)の比((F)/(A))が0.01以上0.2以下であることがよく、0.03以上0.15以下が好ましい。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、(メタ)アクリル重合体を含む場合、耐割れ性を確保しつつ、熱変形が抑制される樹脂成形体が得られる点で、特定セルロースアシレートの質量(A)に対する(メタ)アクリル重合体の質量(F)の比((F)/(A))が0.01以上0.2以下であることがよく、0.03以上0.15以下が好ましい。
なお、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)、分子量250以上2000以下のエステル化合物、及びコアシェル構造の重合体の含有量、並びに特定セルロースアシレートに対するこれら各成分の質量比は、測定対象となる樹脂組成物及び樹脂成形体を、核磁気共鳴法(NMR)、赤外分光法(IR)、液体クロマトグラフ質量分析(LC−MS)、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)等の質量分析法などの各種分析方法により求められる。樹脂組成物及び樹脂成形体が、コアシェル構造の重合体及び(メタ)アクリル重合体の少なくとも一方を含む場合も同様である。
[荷重たわみ温度×耐割れ性試験の鋼球高さ]
第2の実施形態に係る樹脂組成物は、前述のように、荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における鋼球高さ(m)との積が80以上を示す樹脂成形体が得られる。荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験の鋼球高さ(m)との積は85以上であることがよく、90以上であることが好ましい。荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における鋼球高さ(m)との積の上限は特に限定されず、例えば、200以下が挙げられる。熱たわみ温度のみが高くても、樹脂組成物の割れやすさは改善されにくく、耐割れ性試験の鋼球高さ(m)が大きくても、熱変形が抑制されにくい。そのため、荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における鋼球高さ(m)との積が80以上であることで、熱変形しにくく、割れにくい樹脂成形体(つまり、耐久性に優れ、かつ、熱変形しにくい樹脂成形体)が得られる。
第2の実施形態に係る樹脂組成物は、前述のように、荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における鋼球高さ(m)との積が80以上を示す樹脂成形体が得られる。荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験の鋼球高さ(m)との積は85以上であることがよく、90以上であることが好ましい。荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における鋼球高さ(m)との積の上限は特に限定されず、例えば、200以下が挙げられる。熱たわみ温度のみが高くても、樹脂組成物の割れやすさは改善されにくく、耐割れ性試験の鋼球高さ(m)が大きくても、熱変形が抑制されにくい。そのため、荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験における鋼球高さ(m)との積が80以上であることで、熱変形しにくく、割れにくい樹脂成形体(つまり、耐久性に優れ、かつ、熱変形しにくい樹脂成形体)が得られる。
なお、熱変形しにくい樹脂成形体が得られる点で、荷重たわみ温度(℃)の下限値は、例えば、70℃以上であることがよい。また、割れにくい樹脂成形体が得られる点で、耐割れ性試験における鋼球高さの下限値は、例えば、0.9m以上であることがよい。荷重たわみ温度(℃)の測定及び耐割れ性試験の鋼球高さ(m)は、後述の実施例で説明する方法で測定される。
荷重たわみ温度(℃)と耐割れ性試験の鋼球高さ(m)との積が80以上を示す樹脂成形体を得るには、例えば、次のようにすることがよい。樹脂組成物中の組成として、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、特定エステル化合物、及びコアシェル構造の重合体をバランスよい比率で含有させることがよい。具体的には、前述の特定セルロースアシレートに対する各成分の質量比(ポリ乳酸/特定セルロースアシレート((B)/(A))、特定エステル化合物/特定セルロースアシレート((C)/(A))、及びコアシェル構造の重合体/特定セルロースアシレート((D)/(A)))を前述の比率で含有することが好ましい。
本実施形態に係る樹脂組成物は、特定セルロースアシレートの含有量が樹脂組成物全体の50質量%以上であることがよく、70質量%以上であることがよく、90質量%以上であることがよい。また、本実施形態に係る樹脂組成物は、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)、及び分子量が250以上2000以下のエステル化合物、並びに、必要に応じて含んでもよいコアシェル構造の重合体及び(メタ)アクリル重合体の合計含有量が樹脂組成物全体に対して95質量%以上であることがよく、99質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)、及び分子量250以上2000以下のエステル化合物を含む樹脂組成物を準備する工程を有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、分子量250以上2000以下のエステル化合物、及びコアシェル構造の重合体と、必要に応じて、コアシェル構造の重合体および(メタ)アクリル重合体の少なくとも一方、並びにその他の成分等と、を含む混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによっても製造される。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には、例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)、及び分子量250以上2000以下のエステル化合物を含む樹脂組成物を準備する工程を有する。
本実施形態に係る樹脂組成物は、特定セルロースアシレート、ポリ乳酸、分子量250以上2000以下のエステル化合物、及びコアシェル構造の重合体と、必要に応じて、コアシェル構造の重合体および(メタ)アクリル重合体の少なくとも一方、並びにその他の成分等と、を含む混合物を溶融混練することにより製造される。他に、本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば、上記成分を溶剤に溶解することによっても製造される。
溶融混練の手段としては公知の手段が挙げられ、具体的には、例えば、二軸押出機、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機、コニーダ等が挙げられる。
<樹脂成形体>
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含む。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物を含む。つまり、本実施形態に係る樹脂成形体は、本実施形態に係る樹脂組成物と同じ組成で構成されている。
本実施形態に係る樹脂成形体の成形方法は、特に限定されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、熱プレス成形、カレンダ成形、コーティング成形、キャスト成形、ディッピング成形、真空成形、トランスファ成形などの公知の成形方法が挙げられる。樹脂成形体は、射出成形および押出成形のいずれかの成形法によって得られた射出成形体および押し出し成形体であることがよい。形状の自由度が高い点で、樹脂成形体は、射出成形によって得られた射出成形体であることが好ましい。
射出成形のシリンダ温度は、例えば200℃以上300℃以下であり、好ましくは240℃以上280℃以下である。射出成形の金型温度は、例えば40℃以上90℃以下であり、60℃以上80℃以下がより好ましい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業社製NEX500、日精樹脂工業社製NEX150、日精樹脂工業社製NEX70000、日精樹脂工業社製PNX40、住友機械社製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
押し出し成形のシリンダ温度は、例えば、200℃以上300℃以下であり、好ましくは240℃以上280℃以下である。押出し成形は、公知の装置を適用すればよい。
射出成形は、例えば、日精樹脂工業社製NEX500、日精樹脂工業社製NEX150、日精樹脂工業社製NEX70000、日精樹脂工業社製PNX40、住友機械社製SE50D等の市販の装置を用いて行ってもよい。
押し出し成形のシリンダ温度は、例えば、200℃以上300℃以下であり、好ましくは240℃以上280℃以下である。押出し成形は、公知の装置を適用すればよい。
本実施形態に係る樹脂成形体は、電子・電気機器、事務機器、家電製品、自動車内装材、玩具、容器などの用途に好適に用いられる。より具体的には、電子・電気機器や家電製品の筐体;電子・電気機器や家電製品の各種部品;自動車の内装部品;ブロック組み立て玩具;プラスチック模型;CD−ROMやDVD等の収納ケース;食器;飲料ボトル;食品トレイ;ラップ材;フィルム;シート;などである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特に断りのない限り「部」は「質量部」を表す。
<特定セルロースアシレートの準備>
セルロースアセテートプロピオネート(CAP1〜CAP3)と、セルロースアセテートブチレート(CAB1〜CAB3)について、それぞれ3種を準備した。準備した特定セルロースアシレートを表1に示す。なお、プロピオニル基およびブチリル基の濃度の測定は、既述の方法にしたがって測定した。
セルロースアセテートプロピオネート(CAP1〜CAP3)と、セルロースアセテートブチレート(CAB1〜CAB3)について、それぞれ3種を準備した。準備した特定セルロースアシレートを表1に示す。なお、プロピオニル基およびブチリル基の濃度の測定は、既述の方法にしたがって測定した。
(ポリ乳酸の準備)
ポリ乳酸について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表2に示す。
ポリ乳酸について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表2に示す。
(ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の準備)
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表3に示す。
ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表3に示す。
(エステル化合物の準備)
エステル化合物について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表4に示す。
エステル化合物について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表4に示す。
(コアシェル構造の重合体の準備)
コアシェル構造の重合体について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表5に示す。
コアシェル構造の重合体について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表5に示す。
表4中、コアシェル構造の重合体の構造は、以下のとおりである。
「メタブレンW−600A(三菱ケミカル社製)」:コア層;アクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸n−ブチルの単独共重合体ゴム」/シェル層;メタクリル酸メチルの単独重合体ゴム;平均一次粒径=300nm
「メタブレンS−2006(三菱ケミカル社製)」:コア層;ポリシロキサンを重合成分として含む重合体ゴム/シェル層;アルキルメタクリレート;平均一次粒径=200nm
「パラロイドEXL2315(ダウケミカル社製)」:コア層;アクリル酸ブチルゴム/シェル:メタクリル酸メチル重合体;平均一次粒径=300nm
「メタブレンW−600A(三菱ケミカル社製)」:コア層;アクリル酸2−エチルヘキシルとアクリル酸n−ブチルの単独共重合体ゴム」/シェル層;メタクリル酸メチルの単独重合体ゴム;平均一次粒径=300nm
「メタブレンS−2006(三菱ケミカル社製)」:コア層;ポリシロキサンを重合成分として含む重合体ゴム/シェル層;アルキルメタクリレート;平均一次粒径=200nm
「パラロイドEXL2315(ダウケミカル社製)」:コア層;アクリル酸ブチルゴム/シェル:メタクリル酸メチル重合体;平均一次粒径=300nm
((メタ)アクリル重合体の準備)
(メタ)アクリル重合体について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表6に示す。
(メタ)アクリル重合体について、3種を準備した。準備したポリ乳酸を表6に示す。
<実施例1〜50、比較例1〜17>
−混練および射出成形−
表7および表8に示す仕込み組成比で、シリンダ温度を表9および表10にしたがって調製し、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX140III)を用い、射出ピーク圧力が180MPaを越えず、かつ表9および表10に示す成形温度(シリンダ温度)及び金型温度で、ISO多目的ダンベル(測定部幅10mm×厚み4mm)およびD2試験片(60mm×60mm×厚み2mm)を成形した。
−混練および射出成形−
表7および表8に示す仕込み組成比で、シリンダ温度を表9および表10にしたがって調製し、2軸混練装置(東芝機械社製、TEX41SS)にて混練を実施し、樹脂組成物(ペレット)を得た。
得られたペレットについて、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX140III)を用い、射出ピーク圧力が180MPaを越えず、かつ表9および表10に示す成形温度(シリンダ温度)及び金型温度で、ISO多目的ダンベル(測定部幅10mm×厚み4mm)およびD2試験片(60mm×60mm×厚み2mm)を成形した。
[評価]
−荷重たわみ温度の測定−
得られたISO多目的ダンベルを用いて、ISO75(2004)に準ずる方法で、HDT測定装置(HDT 3A−2、東洋精機製作所社製)により、荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度を測定した。
−荷重たわみ温度の測定−
得られたISO多目的ダンベルを用いて、ISO75(2004)に準ずる方法で、HDT測定装置(HDT 3A−2、東洋精機製作所社製)により、荷重0.45MPaにおける荷重たわみ温度を測定した。
得られたD2試験片を、外側100mm×100mm四方の正方形で、内側に40mm×40mm四方の正方形の開口を有する、厚さ3mmのSUS304治具2枚で挟み込み、四隅と各片の中心の計8箇所を外形5mmの薄ボルトナットで締め付けることで、試験片の40mm×40mmが露出した形で固定する。500gの鋼球を、塩化ビニル製パイプを通しD2試験片へ垂直落下させたときに、試験片に割れが生じる鋼球落下高さを評価した。
なお、表7および表8中、「AC」は、セルロースアシレートを、「PLA」は、ポリ乳酸を、「PHC」は、ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を、「ES」は、エステル化合物を、「C/S」は、コアシェル構造の重合体を、「Ac」は、(メタ)アクリル重合体を、それぞれ表す。
表9、表10中、「T×H」は、荷重たわみ温度(℃)の測定及び耐割れ性試験の鋼球高さ(m)の積を表す。
表9、表10中、「T×H」は、荷重たわみ温度(℃)の測定及び耐割れ性試験の鋼球高さ(m)の積を表す。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、荷重たわみ温度、及び耐割れ性の評価結果が良好であることがわかる。
Claims (12)
- セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、
ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、
分子量250以上2000以下のエステル化合物と、
を含み、
前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸の質量(B)の比((B)/(A))が0.05以上0.5以下であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)の質量(C)の比((C)/(A))が0.02以上0.2以下であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記エステル化合物の質量(D)の比((D)/(A))が0.05以上0.15以下である樹脂組成物。 - セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選択される少なくとも1種を含むセルロースアシレートと、
ポリ乳酸及び前記ポリ乳酸以外のポリ(ヒドロキシカルボン酸)を含むポリヒドロキシアルカノエートと、
分子量250以上2000以下のエステル化合物と、
を含み、
荷重たわみ温度と耐割れ性試験における硬球の落下高さとの積が80以上である樹脂組成物。 - 前記エステル化合物が脂肪酸エステル化合物である請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記脂肪酸エステル化合物がアジピン酸エステルを含有する化合物である請求項3に記載の樹脂組成物。
- さらに、コア層および前記コア層の表面上に(メタ)アクリル重合体を含むシェル層を有するコアシェル構造の重合体を含み、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記コアシェル構造の重合体の質量(E)の比((E)/(A))が0.01以上0.2以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記コアシェル構造の重合体のシェル層が、アルキル鎖の炭素数が1以上8以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの(メタ)アクリル重合体を含む請求項5に記載の樹脂組成物。
- 前記コアシェル構造の重合体のシェル層が、アルキル鎖の炭素数が異なる2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体を含む請求項5に記載の樹脂組成物。
- さらに、(メタ)アクリル重合体を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル重合体が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有する重合体であり、前記セルロースアシレートの質量(A)に対する前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を有する重合体の質量(F)の比((F)/(A))が0.01以上0.1以下である請求項8に記載の樹脂組成物。
- 前記(メタ)アクリル重合体の重量平均分子量が30000以下である請求項8又は請求項9に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体が、射出成形体である請求項11に記載の樹脂成形体。
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