JP2019151725A - エラストマーシート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、エラストマーシート及び当該エラストマーシートを製造する方法に関する。
ゴムシート、ゴムフィルム等のエラストマーシートと称されるゴム製品等の基材の表面を改質して当該表面に撥油性を付与することができる表面処理剤として、シリコーン系の重合硬化物と、フッ素結合基を有するシランカップリング剤とを部分的に縮合してなるものが提案されている(特許文献1参照)。
また、パーフルオロアルキル基を有する化合物により構成される表面処理剤が添加されたエラストマー材料の溶液を溶媒キャスト法(Solvent Casting Method)等によりベース基材等に塗布し、乾燥させることで得られる、基材の表面に撥油性が付与されてなるエラストマーシート等が知られている(非特許文献1参照)。
非特許文献1には、エラストマー材料中に存在するフルオロアルキル基が、空気界面においてその表面自由エネルギーを最小にしようとして働くドライビングフォースにより、空気界面側に偏析しやすくなるため、エラストマーシートの表面に撥油性を付与可能であることが記載されている。
Kiyofumi TAKANO et al., "Surface Modification of Polymers by Fluorosurfactants", DIC Technical Review No. 7, 2001
特許文献1に記載の表面処理剤をゴム製品等の基材の表面及び裏面に塗布して当該表面及び裏面に撥油性を有する被膜を形成することで、当該ゴム製品等の基材の表面及び裏面に対して撥油性を付与することができる。しかしながら、当該ゴム製品の長年の使用により当該被膜が剥離・劣化してしまうと、付与されている撥油性が低下してしまう。
非特許文献1に記載の表面処理剤を用いた表面改質法によれば、被膜の剥離・劣化等による問題を解消することができる。しかし、この表面処理剤を構成する化合物に含まれるフルオロアルキル基は、空気界面側に偏析しやすい一方、ベース基材側には偏析し難い。そのため、ゴム製品の基材の一方面(表面)には撥油性が付与され得るが、他方面(裏面)には撥油性が付与され難いという問題がある。
上記課題に鑑みて、本発明は、基材の表面及び裏面のいずれもが撥油性を有するエラストマーシート及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、ジエン系エラストマーと、下記式(I)で示されるフッ素含有化合物との混合物により構成される基材を備え、前記基材の表面及び裏面のいずれもが撥油性を有することを特徴とするエラストマーシートを提供する。
上記発明に係るエラストマーシートにおいて、前記表面及び前記裏面のドデカンに対する接触角が、30°以上であるのが好ましく、前記ジエン系エラストマーが、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンエラストマー(SBR)又はスチレンブタジエン共重合体であるのが好ましい。
上記発明に係るエラストマーシートにおいて、前記フッ素含有化合物の含有率(質量基準)が、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがより好ましい。
上記発明に係るエラストマーシートにおいて、前記式(I)において、yが0であればよく、R1で表されるフルオロアルキル基を含有する基が、下記式(II)で表される基であればよい。
また、本発明は、ジエン系エラストマーを含む溶液及び下記式(I)で示されるフッ素含有化合物を含む溶液を無触媒条件下で混合してシート製造用溶液を調製する工程と、所定の基材の表面に前記シート製造用溶液を塗布して成膜する工程と、前記成膜された前記シート製造用溶液を乾燥させる工程とを有することを特徴とするエラストマーシートの製造方法を提供する。
上記発明に係るエラストマーシートの製造方法において、前記基材が、フッ素含有材料により構成されているのが好ましく、前記成膜された前記シート製造用溶液を常温下で乾燥させるのが好ましい。
上記発明に係るエラストマーシートの製造方法において、前記シート製造用溶液における前記フッ素含有化合物の含有率(質量基準)が、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがより好ましい。
上記発明に係るエラストマーシートの製造方法において、前記式(I)において、yが0であればよく、R1で表されるフルオロアルキル基を含有する基が、下記式(II)で表される基であればよい。
本発明によれば、基材の表面及び裏面のいずれもが撥油性を有するエラストマーシート及びその製造方法を提供することができる。
本発明の実施の形態について説明する。
[エラストマーシート]
本実施形態に係るエラストマーシートは、ジエン系エラストマーと、下記式(I)で示されるフッ素含有化合物との混合物により構成される基材を備える。
[エラストマーシート]
本実施形態に係るエラストマーシートは、ジエン系エラストマーと、下記式(I)で示されるフッ素含有化合物との混合物により構成される基材を備える。
上記式(I)において、R1で表されるフルオロアルキル基を含有する基としては、例えば、−CF3、−C2F5、−C3F7、−C6F13、−C7F15等の−CqF2q+1(q=1〜10)で表されるフルオロアルキル基;オキシフルオロアルキレン基等を挙げることができ、これらのうち、下記式(II)で示されるオキシフルオロアルキレン基であるのが好ましい。
上記式(I)において、R2で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜2のアルキル基が挙げられ、R2で表されるアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等の炭素数2〜4のアルコキシアルキル基が挙げられる。これらのうち、R2で表される基としては、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記式(I)において、R3及びR4で表される有機基としては、例えば、下記式(i)〜(v)で示される基を挙げることができる。
上記式(I)において、トリアルコキシシリル基又はトリアルコキシアルコキシシリル基(−Si(OR2)3)が結合する中間鎖(−CH2−CH−)の数xは、1〜100であり、好ましくは1〜50、より好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜5である。また、中間鎖(−CH2−CR3R4−)の数yは、0〜100であり、好ましくは0〜50、より好ましくは0〜10である。
上記フッ素含有化合物として好適な化合物としては、下記式(III)〜(VII)で示される化合物を例示することができる。特に、上記フッ素含有化合物が下記式(III)又は式(IV)で示される化合物(上記式(I)においてy=0である化合物)であると、1分子中に占められるフッ素原子の割合が大きいことで、本実施形態に係るナノコンポジット粒子を生成する反応を効率的に進行させることができる。
上記式(I)で示されるフッ素含有化合物は、下記式(Ia)で示されるフッ素含有過酸化物の存在下に、下記式(Ib)で示される単量体と、下記式(Ic)で示される単量体とを重合させることにより得られる。なお、この反応生成物(フッ素含有化合物)中には、フルオロアルキル基を含有する基(R1)が片末端のみに導入されているオリゴマーが任意の割合で含まれていてもよい。
ジエン系エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンブタジエン共重合体(SBS)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)等が挙げられる。これらのジエン系エラストマーにおいては、上記フッ素含有化合物による撥油性向上効果が顕著に現われやすい。
基材におけるジエン系エラストマーと上記フッ素含有化合物との含有比(質量基準)は、特に限定されるものではないが、上記フッ素含有化合物の含有比(質量基準)が0.1質量%以上であるのが好ましく、0.1〜10質量%であるのがより好ましく、0.3〜5質量%であるのが特に好ましい。上記フッ素含有化合物の含有比(質量基準)が0.1質量%未満であると、エラストマーシートの表面及び裏面に撥油性を付与することができなくなるおそれがある。また、上記フッ素含有化合物の含有比(質量基準)が10質量%を超えても、エラストマーシートの表面及び裏面における撥油性の向上が見られず、ジエン系エラストマーの含有比(質量基準)が相対的に小さくなることでエラストマーシートの弾性を低下させるおそれがある。さらに、上記フッ素含有化合物の含有比(質量基準)が20質量%を超えると、エラストマーシートが凝集物を含みやすくなるとともに、エラストマーシートが白濁して透明性が失われてしまうおそれがある。
上述したように、本実施形態に係るエラストマーシートは、ジエン系エラストマーと上記フッ素含有化合物との混合物により構成される基材を備える。この基材において、上記フッ素含有化合物の反応生成物は、ラダー(梯子)状の構造を有するものとして存在していると推察される。これにより、エラストマーシートにおいて、上記フッ素含有化合物に含まれるフルオロアルキル基が表面及び裏面に出現しやすくなり、表面及び裏面のいずれにおいても撥油性を発揮することができる。また、フッ素含有化合物の反応生成物において未反応のアルキル基が存在することで、ジエン系エラストマーとの親和性が高まるため、フッ素含有化合物の反応生成物が、エラストマーシート中に略均一に分散され、表面及び裏面のいずれにおいても撥油性を発揮し得ると推察される。
本実施形態において、撥油性とは、例えば、上記エラストマーシートの表面及び裏面のそれぞれについて接触角計(例えば、協和界面科学社製のDropMaster300(製品名)等)を用いてドデカンの接触角(°)を測定したとき、ドデカンの接触角が相対的に大きいことを意味する。具体的には、ドデカンの接触角が好ましくは30°以上、より好ましくは40°以上である。
本実施形態に係るエラストマーシートの大きさや厚さは、その用途に応じて適宜設定され得るものであって、特に限定されるものではない。本実施形態に係るエラストマーシートにおいては、表面及び裏面の双方に撥油性が付与されているため、例えば、シール材(パッキン、テープ等の他、ビーカー、フラスコ、シャーレ等に蓋をするために用いられるフィルム等)、レンズ(照明等の光学部品に用いられるレンズ等)等の用途に好適に用いられ得る。
〔エラストマーシートの製造方法〕
本実施形態に係るエラストマーシートの製造方法は、エラストマー溶液とフッ素含有化合物溶液とを無触媒条件下で混合してシート製造用溶液を調製する工程と、所定のベース基材の表面にシート製造用溶液を塗布して成膜する工程と、ベース基材の表面に成膜されたシート製造用溶液を乾燥させる工程とを有する。
本実施形態に係るエラストマーシートの製造方法は、エラストマー溶液とフッ素含有化合物溶液とを無触媒条件下で混合してシート製造用溶液を調製する工程と、所定のベース基材の表面にシート製造用溶液を塗布して成膜する工程と、ベース基材の表面に成膜されたシート製造用溶液を乾燥させる工程とを有する。
エラストマー溶液は、ジエン系エラストマーと所定の溶剤とを含む。ジエン系エラストマーとしては、例えば、ジエン系エラストマーとしてのアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンブタジエン共重合体(SBS)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)等が挙げられる。エラストマー溶液に含まれる溶剤としては、上記ジエン系エラストマーを溶解可能、好ましくは上記式(I)で示されるフッ素含有化合物を溶解可能なものであればよく、例えば、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ヘキサン等が挙げられる。エラストマー溶液におけるジエン系エラストマーの濃度としては、例えば、0.1〜10質量%程度であればよく、0.3〜5質量%程度であればよい。エラストマー溶液は、例えば、上記溶剤にジエン系エラストマーを添加して攪拌することにより調製され得る。
フッ素含有化合物溶液は、上記式(I)で示されるフッ素含有化合物と所定の溶剤とを含む。フッ素含有化合物溶液に含まれる溶剤としては、上記フッ素含有化合物を溶解可能、好ましくは上記ジエン系エラストマーを溶解可能なものであればよく、例えば、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、ヘキサン等が挙げられる。フッ素含有化合物溶液に含まれる溶剤と、エラストマー溶液に含まれる溶剤とは、互いに同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。フッ素含有化合物溶液における上記フッ素含有化合物の濃度としては、例えば、0.1〜10質量%程度であればよく、0.3〜5質量%程度であればよい。フッ素含有化合物溶液は、上記溶剤に上記フッ素含有化合物を添加して攪拌することにより調製され得る。
上記エラストマー溶液と上記フッ素含有化合物溶液とを無触媒条件下で混合してシート製造用溶液を調製する。シート製造用溶液が、上記エラストマー溶液と上記フッ素含有化合物溶液とを無触媒条件下にて混合して調製されることで、透明なエラストマーシートを後述する工程により製造することができる。なお、透明とは、エラストマーシートを介して文字を視認可能な程度であることを意味する。
上記エラストマー溶液と上記フッ素含有化合物溶液とを、例えばアルカリ触媒条件下で混合してシート製造用溶液を調製すると、当該シート製造用溶液を用いて製造されるエラストマーシートが白濁しやすくなり、透明性に欠けるものとなってしまう。これは、シート製造用溶液中で上記フッ素含有化合物が粒化してしまうことに起因するものと推察される。
シート製造用溶液を調製するにあたり、当該シート製造用溶液中における上記ジエン系エラストマーと上記フッ素含有化合物との含有比(質量基準)が、所定の割合、例えば、99.9:0.1〜90:10程度となるように、好ましくは99.7:0.3〜95.0:5.0程度となるように、エラストマー溶液とフッ素含有化合物溶液との混合割合を決定すればよい。
次に、所定のベース基材の表面にシート製造用溶液を塗布して成膜し、当該成膜されたシート製造用溶液を乾燥させる。いわゆる、溶媒キャスト法(Solvent Casting Method)により、エラストマーシートを製造する。
ベース基材としては、製造されるエラストマーシートを剥離可能な材料により構成されていればよく、特に制限されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリビニリデンフルオライド、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー等により構成されているのが好ましい。当該ベース基材が、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素を含有する樹脂材料により構成されていることで、上記フッ素含有化合物を含むエラストマーシートを容易に剥離することができる。
ベース基材の表面へのシート製造用溶液の成膜厚さは、特に制限されるものではなく、製造するエラストマーシートの用途等に応じて要求される膜厚等に応じて適宜設定されればよく、例えば、0.2mm程度であればよい。
ベース基材の表面に成膜されたシート製造用溶液を乾燥させる時間(乾燥時間)は、シート製造用溶液に含まれる溶剤(例えば、1,2−ジクロロエタン等)を留去させ得る限りにおいて特に制限されるものではない。本実施形態において、ベース基材の表面に成膜されたシート製造用溶液の乾燥工程は常温環境下(20℃程度)で行われ得る。したがって、通常、当該シート製造用溶液の乾燥時間は、24時間程度に設定され得る。なお、本実施形態において製造されるエラストマーシートの表面及び裏面に撥油性を付与可能な限りにおいて、ベース基材の表面に成膜されたシート製造用溶液を加熱により乾燥させてもよい。ただし、当該シート製造用溶液の加熱温度が高すぎると、製造されるエラストマーシートにおいて上記フッ素含有化合物が粒化し、当該エラストマーシートが白濁してしまうおそれがあるため、透明なエラストマーシートが得られる程度においてシート製造用溶液を加熱してもよい。
本実施形態におけるシート製造用溶液は、触媒を含まない。すなわち、ベース基材の表面に成膜されたシート製造用溶液を乾燥させることで、上記ジエン系エラストマーと上記フッ素含有化合物とを無触媒条件下で反応させることになる。この無触媒条件下での反応により、上記フッ素含有化合物の反応生成物がラダー(梯子)状の構造を有することになると推察される。一般に、上記フッ素含有化合物に含まれるフルオロアルキル基は、空気界面側、すなわちエラストマーシートの表面側に偏析しやすい特性を有するが、上記フッ素含有化合物の反応生成物がラダー(梯子)状の構造を有することで、当該フルオロアルキル基が空気界面側(エラストマーシートの表面側)に偏析し難くなると考えられる。また、未反応のアルキル基も存在することで、得られるエラストマーシートにおいて上記フッ素含有化合物の反応生成物が略均一に分散すると考えられる。よって、エラストマーシートの表面及び裏面のいずれにも撥油性を付与することができると推察される。
一方で、シート製造用溶液にアルカリ触媒を含有せしめ、アルカリ触媒条件下で上記ジエン系エラストマーと上記フッ素含有化合物とを反応させると、上記フッ素含有化合物の反応生成物が粒状の構造を有すると考えられる。そして、フルオロアルキル基はジエン系エラストマーとの親和性が低いことで、上記フッ素含有化合物の反応生成物が相分離を起こすと推察される。フッ素含有化合物(フルオロアルキル基)は、ジエン系エラストマーよりも空気層との親和性が高いことから、上記フッ素含有化合物の反応生成物に含まれるフルオロアルキル基は、得られるエラストマーシートの表面側に偏析しやすくなる一方、エラストマーシートの裏面側には偏析し難くなる。よって、アルカリ触媒条件下で上記ジエン系エラストマーと上記フッ素含有化合物とを反応させることでエラストマーシートを製造しようとすると、当該エラストマーシートの表面(一方面)には撥油性を付与することができるものの、裏面(他方面)には撥油性を効果的に付与することができ難いと考えられる。
よって、本実施形態に係るエラストマーシートの製造方法によれば、基材の表面及び裏面のいずれもが撥油性を有するエラストマーシートを容易に製造することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属するすべての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例、試験例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
上記式(III)で示されるフッ素含有化合物(RF−VM)10mgを溶媒としての1,2−ジクロロエタン(DE)10mLに添加し、室温で30分間攪拌することで、フッ素含有化合物溶液を調製した。スチレンブタジエンゴム(SBR)990mgを溶媒としての1,2−ジクロロエタン(DE)10mLに添加し、室温で攪拌することで、エラストマー溶液を調製した。得られたフッ素含有化合物溶液とエラストマー溶液とを室温で1日攪拌することで、シート製造用溶液を調製した。
上記式(III)で示されるフッ素含有化合物(RF−VM)10mgを溶媒としての1,2−ジクロロエタン(DE)10mLに添加し、室温で30分間攪拌することで、フッ素含有化合物溶液を調製した。スチレンブタジエンゴム(SBR)990mgを溶媒としての1,2−ジクロロエタン(DE)10mLに添加し、室温で攪拌することで、エラストマー溶液を調製した。得られたフッ素含有化合物溶液とエラストマー溶液とを室温で1日攪拌することで、シート製造用溶液を調製した。
上記シート製造用溶液をポリテトラフルオロエチレン製シャーレに塗布して、室温で乾燥させて溶媒としての1,2−ジクロロエタンを留去することで、エラストマーシートを製造した。
[実施例2]
上記フッ素含有化合物の添加量を50mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を950mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を50mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を950mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例3]
上記フッ素含有化合物の添加量を100mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を900mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を100mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を900mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例4]
上記フッ素含有化合物の添加量を200mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を800mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を200mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を800mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例5]
上記フッ素含有化合物の添加量を300mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を700mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を300mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を700mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例6]
上記フッ素含有化合物の添加量を400mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を600mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を400mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を600mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例7]
上記フッ素含有化合物の添加量を500mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を500mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を500mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を500mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例8]
上記フッ素含有化合物の添加量を600mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を400mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を600mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を400mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例9]
上記フッ素含有化合物の添加量を700mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を300mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を700mgとし、スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を300mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[比較例1]
スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を1000mgとしたエラストマー溶液を調製し、当該エラストマーシート溶液をシート製造用溶液の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエンゴム(SBR)の添加量を1000mgとしたエラストマー溶液を調製し、当該エラストマーシート溶液をシート製造用溶液の代わりに用いた以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[試験例1]
実施例1〜9及び比較例1のエラストマーシートの表面(エラストマーシートの製造時に空気に接触していた面)及び裏面(エラストマーシートの製造時にシャーレに接触していた面)のそれぞれにおけるドデカンの接触角(deg)を、接触角計(協和界面科学社製,製品名:DropMaster300)を用いて測定した。結果を表1に示す。
実施例1〜9及び比較例1のエラストマーシートの表面(エラストマーシートの製造時に空気に接触していた面)及び裏面(エラストマーシートの製造時にシャーレに接触していた面)のそれぞれにおけるドデカンの接触角(deg)を、接触角計(協和界面科学社製,製品名:DropMaster300)を用いて測定した。結果を表1に示す。
表1に示すように、スチレンブタジエンゴム(SBR)を含むエラストマー溶液に上記式(III)にて示されるフッ素含有化合物を含むフッ素含有化合物溶液を添加し、無触媒条件下にて成膜して製造されたエラストマーシート(試料1〜9)においては、表面及び裏面のいずれにも優れた撥油性が付与されることが確認された。
[実施例10]
スチレンブタジエンゴム(SBR)に代えてスチレンブタジエン共重合体(SBS)を用い、上記フッ素含有化合物の添加量を1mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を999mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエンゴム(SBR)に代えてスチレンブタジエン共重合体(SBS)を用い、上記フッ素含有化合物の添加量を1mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を999mgとした以外は、実施例1と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例11]
上記フッ素含有化合物の添加量を3mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を997mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を3mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を997mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例12]
上記フッ素含有化合物の添加量を5mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を995mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を5mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を995mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例13]
上記フッ素含有化合物の添加量を8mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を992mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を8mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を992mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例14]
上記フッ素含有化合物の添加量を10mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を990mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を10mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を990mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例15]
上記フッ素含有化合物の添加量を50mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を950mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を50mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を950mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例16]
上記フッ素含有化合物の添加量を100mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を900mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を100mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を900mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例17]
上記フッ素含有化合物の添加量を200mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を800mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を200mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を800mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例18]
上記フッ素含有化合物の添加量を300mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を700mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
上記フッ素含有化合物の添加量を300mgとし、スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を700mgとした以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[比較例2]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を1000mgとしたエラストマー溶液を調製し、当該エラストマーシート溶液をシート製造用溶液の代わりに用いた以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)の添加量を1000mgとしたエラストマー溶液を調製し、当該エラストマーシート溶液をシート製造用溶液の代わりに用いた以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[試験例2]
実施例10〜18及び比較例2のエラストマーシートの表面(エラストマーシートの製造時に空気に接触していた面)及び裏面(エラストマーシートの製造時にシャーレに接触していた面)のそれぞれにおけるドデカンの接触角(deg)を、接触角計(協和界面科学社製,製品名:DropMaster300)を用いて測定した。結果を表2に示す。
実施例10〜18及び比較例2のエラストマーシートの表面(エラストマーシートの製造時に空気に接触していた面)及び裏面(エラストマーシートの製造時にシャーレに接触していた面)のそれぞれにおけるドデカンの接触角(deg)を、接触角計(協和界面科学社製,製品名:DropMaster300)を用いて測定した。結果を表2に示す。
表2に示すように、スチレンブタジエン共重合体(SBS)を含むエラストマー溶液に上記式(III)にて示されるフッ素含有化合物を含むフッ素含有化合物溶液を添加し、無触媒条件下にて成膜して製造されたエラストマーシート(試料10〜18)においては、表面及び裏面のいずれにも優れた撥油性が付与されることが確認された。
[実施例19]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例10と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例20]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例11と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例11と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例21]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例12と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例12と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例22]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例13と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例13と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例23]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例14と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例14と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例24]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例15と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例15と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例25]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例16と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例16と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例26]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例17と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例17と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[実施例27]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例18と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、実施例18と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[比較例3]
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、比較例2と同様にしてエラストマーシートを製造した。
スチレンブタジエン共重合体(SBS)に代えてアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を用いた以外は、比較例2と同様にしてエラストマーシートを製造した。
[試験例3]
実施例19〜27及び比較例3のエラストマーシートの表面(エラストマーシートの製造時に空気に接触していた面)及び裏面(エラストマーシートの製造時にシャーレに接触していた面)のそれぞれにおけるドデカンの接触角(deg)を、接触角計(協和界面科学社製,製品名:DropMaster300)を用いて測定した。結果を表3に示す。
実施例19〜27及び比較例3のエラストマーシートの表面(エラストマーシートの製造時に空気に接触していた面)及び裏面(エラストマーシートの製造時にシャーレに接触していた面)のそれぞれにおけるドデカンの接触角(deg)を、接触角計(協和界面科学社製,製品名:DropMaster300)を用いて測定した。結果を表3に示す。
表3に示すように、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)を含むエラストマー溶液に上記式(III)にて示されるフッ素含有化合物を含むフッ素含有化合物溶液を添加し、無触媒条件下にて成膜して製造されたエラストマーシート(試料19〜27)においては、表面及び裏面のいずれにも優れた撥油性が付与されることが確認された。
本発明は、撥油性が要求されるゴム製品の技術分野において有用である。
Claims (14)
- 前記表面及び前記裏面のドデカンに対する接触角が、30°以上であることを特徴とする請求項1に記載のエラストマーシート。
- 前記ジエン系エラストマーが、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンエラストマー(SBR)又はスチレンブタジエン共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエラストマーシート。
- 前記フッ素含有化合物の含有率(質量基準)が、0.1質量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエラストマーシート。
- 前記フッ素含有化合物の含有率(質量基準)が、0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエラストマーシート。
- 前記式(I)において、yが0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエラストマーシート。
- 前記基材が、フッ素含有材料により構成されていることを特徴とする請求項8に記載のエラストマーシートの製造方法。
- 前記成膜された前記シート製造用溶液を常温下で乾燥させることを特徴とする請求項8又は9に記載のエラストマーシートの製造方法。
- 前記シート製造用溶液における前記フッ素含有化合物の含有率(質量基準)が、0.1質量%以上であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のエラストマーシートの製造方法。
- 前記シート製造用溶液における前記フッ素含有化合物の含有率(質量基準)が、0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載のエラストマーシートの製造方法。
- 前記式(I)において、yが0であることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載のエラストマーシートの製造方法。
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JP2018037277A JP2019151725A (ja) | 2018-03-02 | 2018-03-02 | エラストマーシート及びその製造方法 |
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JP2021134255A (ja) * | 2020-02-26 | 2021-09-13 | 藤倉コンポジット株式会社 | シリコーンエラストマー組成物、表面処理剤及びシリコーンエラストマーシート |
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2018
- 2018-03-02 JP JP2018037277A patent/JP2019151725A/ja active Pending
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JP2021134255A (ja) * | 2020-02-26 | 2021-09-13 | 藤倉コンポジット株式会社 | シリコーンエラストマー組成物、表面処理剤及びシリコーンエラストマーシート |
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