JP2019151721A - 1,2−ポリブタジエン及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高融点1,2−ポリブタジエンを量産することができる、1,2−ポリブタジエンの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法は、(a1)遷移金属化合物、(b1)アルミノキサン化合物及び(c1)ホスフィン化合物を含有する第1の触媒系で1,3−ブタジエンを重合する第1の工程と、前記第1の工程の反応物に、さらに、(a2)遷移金属化合物、(b2)アルミノキサン化合物、(c2)前記(c1)以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上を含有する第2の触媒系、並びに、1,3−ブタジエンを添加し、該1,3−ブタジエンを重合する第2の工程と、を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、1,2−ポリブタジエン及びその製造方法に関する。更に詳しくは、1,2−ビニル結合含量が70質量%以上であり、かつ、高融点を有する、新規な1,2−ポリブタジエンの製造方法に関する。
適度に結晶化度を制御できる1,2−ポリブタジエンは、結晶性に富んだ領域と非晶性部とからなる構造を有するため、熱可塑性エラストマーとしての機能を有し、さらに分子中に化学反応性に富んだ炭素−炭素二重結合を有しているため、従来の加硫ゴムや架橋密度を高めた熱硬化性樹脂の機能も有する。また、この1,2−ポリブタジエンは、加工性に優れることから、他の樹脂や熱可塑性エラストマーの改質材(例えば、強度向上を目的としたタイヤ用途)、医療用高分子材料としても利用されている。
従来の1,2−ポリブタジエンの製造方法としては、シス重合触媒の存在下に、1,3−ブタジエンを重合してシス−1,4−ポリブタジエンを生成させ、続いてこの重合系に1,2−重合触媒を存在させて1,3−ブタジエンを重合して最終ポリブタジエンを生成させる方法(例えば特許文献1参照)や、コバルト化合物及びアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエン又はブタジエンとブタジエン以外の共役ジエンとを重合する方法が開示されている(例えば特許文献2参照)。
特公昭49−017667号公報 特開2006−089759号公報
近年、例えばタイヤの強度向上を目的とした高融点1,2−ポリブタジエンに対する要求が高まっているが、従来の1,2−ポリブタジエンの製造方法では、高融点1,2−ポリブタジエンを生産することが困難であった。特に、ラボスケールでは、再沈殿などの工程数を増やすことで高融点1,2−ポリブタジエンを回収できる場合があるが、プラントでの大量生産という視点から高融点1,2−ポリブタジエンを量産できる方法はこれまでに存在しなかった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、高融点1,2−ポリブタジエンを量産することができる、1,2−ポリブタジエンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法の一態様は、
(a1)遷移金属化合物、(b1)アルミノキサン化合物及び(c1)ホスフィン化合物を含有する第1の触媒系で1,3−ブタジエンを重合する第1の工程と、
前記第1の工程の反応物に、さらに、(a2)遷移金属化合物、(b2)アルミノキサン化合物、(c2)前記(c1)以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1
種以上、を含有する第2の触媒系、並びに、1,3−ブタジエンを添加し、該1,3−ブタジエンを重合する第2の工程と、
を有する。
[適用例2]
上記適用例において、
前記第1の触媒系が、1,2−ポリブタジエンの融点が100℃以下となる触媒系であり、
前記第2の触媒系が、1,2−ポリブタジエンの融点が100℃を超えて250℃以下となる触媒系であることができる。
[適用例3]
本発明に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法の一態様は、
(a)遷移金属化合物、(b)アルミノキサン化合物、(c)2種以上のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上、を含有する触媒系で、1,3−ブタジエンを重合する工程を有する。
[適用例4]
本発明に係る1,2−ポリブタジエンの一態様は、
ブタジエンの結合単位における1,2−ビニル結合含量が70質量%以上であり、融点が126℃超であり、融解熱量が30J/g以下である。
本発明に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法によれば、高融点1,2−ポリブタジエンを量産することができる。また、本発明に係る製造方法によって得られた1,2−ポリブタジエンは、1,2−ビニル結合含有量が70質量%以上となり、高融点でありながら融解熱量が小さくなるという特性を有する。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。
本明細書において、「〜」を用いて記載された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。
本明細書において、「高融点1,2−ポリブタジエン」とは、126℃超の融点を有する1,2−ポリブタジエンのことをいう。
1.ポリブタジエンの製造方法
本発明に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法は、大別すると二つの実施形態がある。以下、本発明に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法について実施形態ごとに説明する。
1.1.第1実施形態
第1実施形態に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法は、(a1)遷移金属化合物、(b1)アルミノキサン化合物及び(c1)ホスフィン化合物を含有する第1の触媒系で1,3−ブタジエンを重合する第1の工程と、前記第1の工程の反応物に、さらに、(a2)遷移金属化合物、(b2)アルミノキサン化合物、(c2)前記(c1)以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上、を含有する第2の触媒系、並びに、
1,3−ブタジエンを添加し、該1,3−ブタジエンを重合する第2の工程と、を有する。
1.1.1.第1の工程
先ず、第1の工程では、(a1)遷移金属化合物、(b1)アルミノキサン化合物及び(c1)ホスフィン化合物を含有する第1の触媒系で1,3−ブタジエンを重合する。
(a1)遷移金属化合物としては、例えば、マンガン化合物、鉄化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物等が挙げられるが、コバルト化合物が特に好ましい。
マンガン化合物の具体例としては、フッ化マンガン(II)、塩化マンガン(II)、臭化マンガン(II)、ヨウ化マンガン(II)等のハロゲン化物;硫酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、硫酸アンモニウムマンガン(II)、炭酸マンガン(II)、ホウ酸マンガン(II)、酸化マンガン(IV)等の無機酸塩;シュウ酸マンガン(II)、ギ酸マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(III)、安息香酸マンガン(II)、4−シクロヘキシル酪酸マンガン(II)、2−エチルヘキサン酸マンガン(II)、マンガン(II)アセチルアセトナート、マンガン(III)アセチルアセトナート等の有機酸マンガン塩が挙げられる。これらの水和物を使用することもできる。
鉄化合物の具体例としては、フッ化鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、フッ化鉄(III)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(III)等のハロゲン化物;硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、リン酸鉄(III)、二リン酸鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、硫化鉄(II)等の無機塩;シュウ酸鉄(II)、酢酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)、乳酸鉄(II),グルコン酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)ナトリウム、クエン酸鉄(III)、安息香酸鉄(II)、ステアリン酸鉄(II)、鉄(II)アセチルアセトナート、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機酸鉄塩が挙げられる。これらの水和物を使用することもできる。
コバルト化合物の具体例としては、フッ化コバルト(II)、塩化コバルト(II)、臭化コバルト(II)、ヨウ化コバルト(II)、フッ化コバルト(III)、塩化コバルト(III)、臭化コバルト(III)、ヨウ化コバルト(III)等のハロゲン化物;硫酸コバルト(II)、硫酸コバルト(III)、硝酸コバルト(III)、リン酸コバルト(III)、二リン酸コバルト(III)、過塩素酸コバルト(III)、硫化コバルト(II)等の無機塩;シュウ酸コバルト(II)、酢酸コバルト(II)、フマル酸コバルト(II)、乳酸コバルト(II)、グルコン酸コバルト(II)、クエン酸コバルト(III)、安息香酸コバルト(II)、ステアリン酸コバルト(II)、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機酸コバルト塩が挙げられる。これらの水和物を使用することもできる。
ニッケル化合物の具体例としては、フッ化ニッケル(II)、塩化ニッケル(II)、臭化ニッケル(II)、ヨウ化ニッケル(II)等のハロゲン化物;硫酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、過塩素酸ニッケル(II)、硫化ニッケル(II)等の無機塩;ギ酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、フマル酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)、グルコン酸ニッケル(II)、安息香酸ニッケル(II)、ステアリン酸ニッケル(II)、スルファミン酸ニッケル(II)、アミド硫酸ニッケル(II)、炭酸ニッケル(II)、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機酸ニッケル塩が挙げられる。これらの水和物を使用することもできる。
(b1)アルミノキサン化合物としては、例えば下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2019151721
Figure 2019151721
この一般式(1)あるいは一般式(2)で表されるアルミノキサン化合物において、Rは各々独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは5以上、より好ましくは10〜100の整数である。
(b1)アルミノキサン化合物の具体例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン等が挙げられ、メチルアルミノキサンが特に好ましい。
第1の触媒系は、(a1)遷移金属化合物及び(b1)アルミノキサン化合物に加えて、(c1)ホスフィン化合物をさらに含有することにより、融点が100℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下、の1,2−ポリブタジエンを合成することができる。
このような(c1)ホスフィン化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−エチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−メチル−5−エチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−フェニルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ-(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(4−メチルフェニルホスフィン)、トリ(4−エチルフェニルホスフィン)、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン等が挙げられる。
前記例示した(c1)ホスフィン化合物のうち、アリール基を3つ有するトリフェニルホスフィン系化合物を選択した場合には、低結晶性1,2−ポリブタジエンが得られる。一方、シクロヘキシル基を3つ有するトリシクロヘキシルホスフィン系化合物を選択した場合には、非晶アタクチック構造を有する1,2−ポリブタジエンが得られる。
また、第1の触媒系では、(a1)遷移金属化合物及び(c1)ホスフィン化合物に代えて、下記一般式(3)、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表される化合物を用
いることができる。下記一般式(3)、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表される化合物は、塩化コバルトに対し前記(c1)ホスフィン化合物を配位子に持つ錯体である。これらの化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトと(c1)ホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られる1,2−ポリブタジエンの1,2−ビニル結合含量や結晶化度の制御を行うことができる。
Figure 2019151721
Figure 2019151721
Figure 2019151721
上記一般式(3)、上記一般式(4)及び上記一般式(5)において、Rは各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。
上記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス[トリス(3−メチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3−エチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3,4−ジメチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3−イソプロピルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3−t−ブチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3,5−ジエチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3−メチル−5−エチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3−フェニルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3,4,5−トリメチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(4−メトキシフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(3−メトキシフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルトビス[トリス(4−エチルフェニルホスフィン)]ジクロライド、コバルト[ビス(n−オクチルジフェニル)フェニルホスフィン]ジクロライド等が挙げられる。
上記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、コバルトビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロライド等が挙げられる。
上記一般式(5)で表される化合物の具体例としては、コバルトビス(ジシクロヘキシルフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス[ジシクロヘキシル(4−ジアルキルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロライド等が挙げられる。
触媒の使用量は、ブタジエン1モル当たり、(a1)遷移金属化合物を、遷移金属原子換算で0.001〜1ミリモル使用することが好ましく、0.01〜0.5ミリモル使用することがより好ましい。また、(b1)アルミノキサンの使用量は、(a1)遷移金属化合物の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)の比(Al/M)として、4〜10であることが好ましく、10〜10であることがより好ましい。更に、(c1)ホスフィン化合物の使用量は、(a1)遷移金属化合物の遷移金属原子(M)に対するリン原子(P)の比(P/M)として、0.1〜50であることが好ましく、0.5〜20であることがより好ましく、1〜20であることが特に好ましい。
なお、上記一般式(3)、上記一般式(4)又は上記一般式(5)で表される錯体を用いる場合には、(c1)ホスフィン化合物の使用量が、遷移金属原子(M)に対するリン原子(P)の比(P/M)が2であるとし、アルミノキサンの使用量は、上記の記載に従う。
重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素及びこれらの混合物が挙げられる。
重合温度は、通常−50℃〜120℃であり、好ましくは−20℃〜100℃である。重合反応は、複数基直列に連結した連続式重合が好ましい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。また、1,2−ポリブタジエンを製造するために、触媒及び重合体を失活させないように、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガス等の失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。
1.1.2.第2の工程
次いで、第2の工程では、前記第1の工程の反応物に、さらに、(a2)遷移金属化合物、(b2)アルミノキサン化合物、(c2)前記(c1)以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上、を含有する第2の触媒系、並びに、1,3−ブタジエンを添加し、該1,3−ブタジエンを重合する。
(a2)遷移金属化合物としては、前記(a1)遷移金属化合物として例示した化合物等が挙げられるが、コバルト化合物が好ましく、塩化コバルト(II)であることがより好ましい。
(b2)アルミノキサン化合物としては、前記(b1)アルミノキサン化合物として例示した化合物が挙げられるが、メチルアルミノキサンであることが好ましい。
第2の触媒系は、(a2)遷移金属化合物及び(b2)アルミノキサン化合物に加えて、(c2)前記(c1)以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上をさらに含有することにより、融点が100℃を超えて250℃以下の高結晶性1,2−ポリブタジエンが得られる。
前記(c1)以外のホスフィン化合物の具体例としては、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、シクロヘキシルジ(4−ジアルキルアミノフェニル)ホスフィン;イソプロピルジフェニルホスフィン、s−ブチルジフェニルホスフィン等の第2級アルキルジフェニルホスフィン等が挙げられる。
また、第2の触媒系では、(a2)遷移金属化合物及び(c2)ホスフィン化合物に代えて、下記一般式(6)で表される化合物を用いることができる。下記一般式(6)で表される化合物は、塩化コバルトに対し前記(c2)ホスフィン化合物を配位子に持つ錯体である。これらの化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトと(c2)ホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られる1,2−ポリブタジエンの1,2−ビニル結合含量や結晶化度の制御を行うことができる。
Figure 2019151721
上記一般式(6)において、Rは各々独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は炭素数6〜12のアリール基を表す。
上記一般式(6)で表される化合物の具体例としては、コバルトビス(シクロヘキシル
ジフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス[シクロヘキシルジ(4−ジアルキルアミノフェニル)ホスフィン]ジクロライド等が挙げられる。
触媒の使用量は、添加するブタジエン1モル当たり、(a2)遷移金属化合物を、遷移金属原子換算で0.001〜1ミリモル使用することが好ましく、0.01〜0.5ミリモル使用することがより好ましい。また、(b2)アルミノキサンの使用量は、(a2)遷移金属化合物の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)の比(Al/M)として、4〜10であることが好ましく、10〜10であることがより好ましい。更に、(c2)成分の使用量は、(a2)遷移金属化合物の遷移金属原子(M)に対するリン原子(P)の比(P/M)として、0.1〜50であることが好ましく、0.5〜20であることがより好ましく、1〜20であることが特に好ましい。
なお、上記一般式(6)で表される錯体を用いる場合には、(c2)成分の使用量が、遷移金属原子(M)に対するリン原子(P)の比(P/M)が2であるとし、アルミノキサンの使用量は、上記の記載に従う。
第1実施形態において、第1工程で使用する(c1)ホスフィン化合物と第2工程で使用する(c2)(c1)以外のホスフィン化合物とのモル比は、高融点かつ高1,2−ビニル結合含有量の1,2−ポリブタジエンを得るために、(c1):(c2)=1:9〜9:1であることが好ましく、2:8〜8:2であることがより好ましく、1:3〜3:1であることが特に好ましい。
重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素及びこれらの混合物が挙げられる。
重合温度は、通常−50℃〜120℃であり、好ましくは−20℃〜100℃である。重合反応は、複数基直列に連結した連続式重合が好ましい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。また、1,2−ポリブタジエンを製造するために、触媒及び重合体を失活させないように、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガス等の失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥することにより、高融点1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
以上のように、第1実施形態に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法によれば、第1の工程及び第2の工程を経ることによって、高融点1,2−ポリブタジエンをプラントで量産することができる。
1.2.第2実施形態
第2実施形態に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法は、(a)遷移金属化合物、(b)アルミノキサン化合物、(c)2種以上のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上、を含有する触媒系で、1,3−ブタジエンを重合する工程を有する。第2実施形態では、第1実施形態と異なり、一段重合法で高融点1,3−ポリブタジエンを合成することができる。
(a)遷移金属化合物としては、前記(a1)遷移金属化合物として例示した化合物等が挙げられるが、コバルト化合物が好ましく、塩化コバルト(II)であることがより好ましい。
(b)アルミノキサン化合物としては、前記(b1)アルミノキサン化合物として例示した化合物が挙げられるが、メチルアルミノキサンであることが好ましい。
(c)成分としては、前記(c1)ホスフィン化合物、前記(c2)前記(c1)ホスフィン化合物以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素が挙げられるが、前記(c1)ホスフィン化合物から1種以上を選択し、かつ、前記(c2)前記(c1)ホスフィン化合物以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素よりなる群から1種以上を選択することが好ましい。
第2実施形態において、(c1)ホスフィン化合物と(c2)(c1)以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上の化合物とのモル比は、高融点かつ高1,2−ビニル結合含有量の1,2−ポリブタジエンを得るために、(c1):(c2)=1:9〜9:1であることが好ましく、2:8〜8:2であることがより好ましく、1:3〜3:1であることが特に好ましい。
また、第1実施形態と同様に、(a)遷移金属化合物及び(c)ホスフィン化合物に代えて、上記一般式(3)〜(6)で表される化合物(錯体)を用いることもできる。これらの化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトと(c)ホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られる1,2−ポリブタジエンの1,2−ビニル結合含量や結晶化度の制御を行うことができる。
触媒の使用量は、ブタジエン1モル当たり、(a)遷移金属化合物を、遷移金属原子換算で0.001〜1ミリモル使用することが好ましく、0.01〜0.5ミリモル使用することがより好ましい。また、(b)アルミノキサンの使用量は、(a)遷移金属化合物の遷移金属原子(M)に対するアルミニウム原子(Al)の比(Al/M)として、4〜10であることが好ましく、10〜10であることがより好ましい。更に、(c)成分の使用量は、(a)遷移金属化合物の遷移金属原子(M)に対するリン原子(P)の比(P/M)として、0.2〜100であることが好ましく、1〜40であることがより好ましく、1.5〜40であることが特に好ましい。
なお、上記一般式(3)〜(6)で表される錯体を用いる場合には、(c)成分の使用量が、遷移金属原子(M)に対するリン原子(P)の比(P/M)が2であるとし、アルミノキサンの使用量は、上記の記載に従う。
重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素及びこれらの混合物が挙げられる。
重合温度は、通常−50℃〜120℃であり、好ましくは−20℃〜100℃である。重合反応は、複数基直列に連結した連続式重合が好ましい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。また、1,2−ポリブタジエンを製造するために、触媒及び重合体を失活させないように、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガス等の失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥することにより、高融点1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
以上のように、第2実施形態に係る1,2−ポリブタジエンの製造方法によれば、一段重合法で、高融点1,2−ポリブタジエンをプラントで量産することができる。
1.3.生成物
第1実施形態及び第2実施形態に係る製造方法によって得られた1,2−ポリブタジエンは、1,2−ビニル結合含有量が70質量%以上となり、高融点であっても融解熱量が小さくなるという特性を有する。
このようにして得られた1,2−ポリブタジエンのブタジエン結合単位における1,2−ビニル結合含有量は、70質量%以上であり、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。1,2−ビニル結合含有量の測定方法は、後述の実施例に記載の方法に準ずる。
このようにして得られた1,2−ポリブタジエンの融点は、126℃超であり、好ましくは130℃以上、より好ましくは135℃以上である。融点の測定方法は、後述の実施例に記載の方法に準ずる。
このようにして得られた1,2−ポリブタジエンの融解熱量は、30J/g以下であり、好ましくは28J/g以下であり、より好ましくは27J/g以下である。融解熱量の測定方法は、後述の実施例に記載の方法に準ずる。
また、このようにして得られた1,2−ポリブタジエンは、単独で、架橋を行わない状態でも十分な強度が得られるため、射出成形、押出成形等工業部品やフィルム用途等の非架橋成形用途に好適である。
また、架橋反応性にも優れるため、架橋ゴム用途や加硫用ゴムの反応助剤用途にも好適に用いられる。その際、加工方法としては特に制限はなく、通常の樹脂、ゴム加工時に用いられるロール、ニーダー、バンバリーミキサー、スクリュー押出機、フィーダールーダー押出機等を用いた溶融混練等による混合が可能である。
さらに、このようにして得られた1,2−ポリブタジエンは、他の熱可塑性エラストマーや樹脂の改質剤として好適に用いられる。
2.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
2.1.評価方法
(1)融点
融点は、DSC(示差走査熱量計)を用い、ASTM3418に準じて測定した。
(2)融解熱量
融解熱量は、DSC(示差走査熱量計)を用い、JIS K7122に準じて測定した。
(3)1,2−ビニル結合含有量
1,2−ポリブタジエンの結合単位における1,2−ビニル結合含有量は、D.Moreroらによる赤外線吸収スペクトル法(Chem.e.Ind.,41,758(1959))によって求めた。
2.2.実施例1(二段重合法)
(1)触媒1の調製
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、塩化コバルト(II)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体の0.5%塩化メチレン溶液9.31mlを仕込み打栓した。その後、メチルアルミノキサンの10%トルエン溶液3.27mlを仕込み、触媒1溶液を調製した。
(2)触媒2の調製
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、塩化コバルト(II)ビス(シクロヘキシルジフェニルホスフィン)錯体の0.5%塩化メチレン溶液9.48mlを仕込み打栓した。その後、メチルアルミノキサンの10%トルエン溶液2.29mlを仕込み、触媒2溶液を調製した。
(3)重合
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、脱水シクロヘキサン64gを仕込んだ後に打栓し、更に1,3−ブタジエン12.8gを仕込んだ。続いて触媒1溶液2.10mlを仕込み、25℃で2時間重合反応を行った(第1重合工程)。この際のブタジエンの転化率は99%以上であった。その後、新たに脱水シクロヘキサン192gと1,3−ブタジエン12.8gを仕込んだ後に触媒2溶液1.96mlを仕込み、再度25℃で2時間重合反応を行った(第2重合工程)。この際ブタジエンの転化率は99%以上であった。重合終了後に2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]51.2mg、ジラウリル3,3−チオジプロピオン酸エステル102.4mg、スミライザー(登録商標)GM(住友化学製)25.6mgを添加し、多量のメタノールに投入して凝固した後、真空乾燥することでブタジエン重合体を得た。得られた重合体のDSC測定より、融点137℃、融解熱量17J/gであった。
2.3.実施例2及び実施例3(二段重合法)
第1重合工程、第2重合工程におけるブタジエン使用比率及び触媒1、触媒2の使用量を表1に記載のように変更した以外は、実施例1と同様の手法で重合を行った。
2.4.実施例4(二段重合法)
(1)触媒3の調製
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、塩化コバルト(II)ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)錯体の0.5%塩化メチレン溶液9.82mlを仕込み打栓した。その後、メチルアルミノキサンの10%トルエン溶液3.27mlを仕込み、触媒3溶液を調製した。
(2)重合
触媒1(2.10ml)の代わりに触媒3(3.27ml)を用いた以外は、実施例1と同様の手法で重合を行った。
2.5.実施例5(触媒併用法)
(1)触媒4の調製
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、塩化コバルト(II)ビス(トリフェニルホスフィン)錯体の0.5%塩化メチレン溶液4.52ml、及び塩化コバルト(II)ビス(シクロヘキシルジフェニルホスフィン)錯体の0.5%塩化メチレン溶液1.54mlを仕込み打栓した。その後、メチルアルミノキサンの10%トルエン溶液3.39mlを仕込み、触媒4溶液を調製した。
(2)重合
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、脱水シクロヘキサン256gを仕込んだ後に打栓し、更に1,3−ブタジエン25.6gを仕込んだ。続いて触媒4溶液2.39mlを仕込み、25℃で2時間重合反応を行った。この際のブタジエンの転化率は99%以上であった
。重合終了後に2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]51.2mg、ジラウリル3,3−チオジプロピオン酸エステル102.4mg、スミライザー(登録商標)GM(住友化学製)25.6mgを添加し、多量のメタノールに投入して凝固した後、真空乾燥することでブタジエン重合体を得た。得られた重合体のDSC測定より、融点137℃、融解熱量27J/gであった。
2.6.実施例6(触媒併用法)
(1)触媒5の調製
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、塩化コバルト(II)ビス(n−オクチルジフェニルホスフィン)錯体の0.5%塩化メチレン溶液5.81ml、及び塩化コバルト(II)ビス(シクロヘキシルジフェニルホスフィン)錯体の0.5%塩化メチレン溶液1.78mlを仕込み打栓した。その後、メチルアルミノキサンの10%トルエン溶液3.92mlを仕込み、触媒5溶液を調製した。
(2)重合
触媒4(2.39ml)の代わりに触媒5(3.84ml)を用いた以外は、実施例5と同様の手法で重合を行った。
2.7.比較例1
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、脱水シクロヘキサン128gを仕込んだ後に打栓し、更に1,3−ブタジエン25.6gを仕込んだ。続いて触媒1溶液4.20mlを仕込み、50℃で2時間重合反応を行った。この際のブタジエンの転化率は99%以上であった。重合終了後に2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]51.2mg、ジラウリル3,3−チオジプロピオン酸エステル102.4mg、スミライザー(登録商標)GM(住友化学製)25.6mgを添加し、多量のメタノールに投入して凝固した後、真空乾燥することでブタジエン重合体を得た。得られた重合体のDSC測定より、融点74℃、融解熱量14J/gであった。
2.8.比較例2
窒素置換した耐圧性ガラス瓶に、脱水シクロヘキサン256gを仕込んだ後に打栓し、更に1,3−ブタジエン25.6gを仕込んだ。続いて触媒2溶液3.92mlを仕込み、50℃で2時間重合反応を行った。この際のブタジエンの転化率は99%以上であった。重合終了後に2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]51.2mg、ジラウリル3,3−チオジプロピオン酸エステル102.4mg、スミライザー(登録商標)GM(住友化学製)25.6mgを添加し、多量のメタノールに投入して凝固した後、真空乾燥することでブタジエン重合体を得た。得られた重合体のDSC測定より、融点126℃、融解熱量28J/gであった。
2.9.比較例3
重合温度を25℃にした以外は、比較例2と同様の手法で重合を行った。
2.10.評価結果
表1及び表2に各実施例及び各比較例の重合体の重合処方及び評価結果を示す。
Figure 2019151721
Figure 2019151721
表1から明らかなように、実施例1〜3の1,2−ポリブタジエンの製造方法によれば、第1重合工程で低結晶性の1,2−ポリブタジエンが得られ、第2重合工程を経ることによって高結晶性1,2−ポリブタジエンが得られた。得られた1,2−ポリブタジエンは、いずれも、1,2−ビニル結合含有量が70質量%以上であり、高融点でありながら融解熱量が小さくなるという特性を有していた。
また、実施例4の1,2−ポリブタジエンの製造方法によれば、第1重合工程で非晶アタクチック構造を有する1,2−ポリブタジエンが得られ、第2重合工程を経ることによって高結晶性1,2−ポリブタジエンが得られた。得られた1,2−ポリブタジエンは、1,2−ビニル結合含有量が70質量%以上であり、高融点でありながら融解熱量が小さくなるという特性を有していた。
さらに、実施例5及び実施例6の1,2−ポリブタジエンの製造方法によれば、触媒併用法により一括重合で、高結晶性1,2−ポリブタジエンが得られた。得られた1,2−ポリブタジエンは、1,2−ビニル結合含有量が70質量%以上であり、高融点でありながら融解熱量が小さくなるという特性を有していた。
一方、比較例1及び比較例2の1,2−ポリブタジエンの製造方法によれば、1,2−ポリブタジエンは得られるが、触媒系が本発明の構成要件を満たしていないために、高融点の1,2−ポリブタジエンは得られなかった。
比較例3の1,2−ポリブタジエンの製造方法では、重合溶液が固化し、リアクターが汚染され、量産が困難であることがわかった。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。

Claims (4)

  1. (a1)遷移金属化合物、(b1)アルミノキサン化合物及び(c1)ホスフィン化合物を含有する第1の触媒系で1,3−ブタジエンを重合する第1の工程と、
    前記第1の工程の反応物に、さらに、(a2)遷移金属化合物、(b2)アルミノキサン化合物、(c2)前記(c1)以外のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上、を含有する第2の触媒系、並びに、1,3−ブタジエンを添加し、該1,3−ブタジエンを重合する第2の工程と、
    を有する、1,2−ビニル結合含有量が70質量%以上である1,2−ポリブタジエンの製造方法。
  2. 前記第1の触媒系が、1,2−ポリブタジエンの融点が100℃以下となる触媒系であり、
    前記第2の触媒系が、1,2−ポリブタジエンの融点が100℃を超えて250℃以下となる触媒系である、請求項1に記載の1,2−ポリブタジエンの製造方法。
  3. (a)遷移金属化合物、(b)アルミノキサン化合物、(c)2種以上のホスフィン化合物及び二硫化炭素から選ばれる1種以上を含有する触媒系で、1,3−ブタジエンを重合する工程を有する、1,2−ビニル結合含有量が70質量%以上である1,2−ポリブタジエンの製造方法。
  4. ブタジエンの結合単位における1,2−ビニル結合含量が70質量%以上であり、融点が126℃超であり、融解熱量が30J/g以下である、1,2−ポリブタジエン。
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