JP2019151603A - ピレンを基本骨格とした無洗浄タンパク質ゲル染色剤 - Google Patents

ピレンを基本骨格とした無洗浄タンパク質ゲル染色剤 Download PDF

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Abstract

【課題】泳動後のタンパク質の検出において、バックグラウンドノイズを低くし、十分な検出感度を得ることができる無洗浄タンパク質ゲル染色剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、無洗浄タンパク質ゲル染色剤としてピレン誘導体を提供するものであり、より具体的には、1−ピレンメタノール、ピレニルメチルエーテル誘導体、1−ピレンカルボン酸誘導体、糖修飾ピレニルメチル誘導体、又はピレン−フルオレセイン結合体を使用することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電気泳動によるタンパク質の泳動ゲルを検出するための、脱色及び洗浄が不要なピレンを基本骨格としてゲル染色剤、及び該染色剤を用いたタンパク質染色検出方法に関する。
発明の背景
ペプチド及びタンパク質は通常、ゲル電気泳動を使用して、溶液定量化アッセイによって、又は固体支持体、例えば、フィルター膜上における検出によって、検出かつ評価される。少量のタンパク質は目視できないが、通常、それらを同定する前に染色されなければならない。
ゲル中のタンパク質を染色する最も一般的な2つの方法は、クマシーブリリアントブルー(CBB)染色、及び銀染色である。特定のタンパク質に関して、銀染色は、CBB染色よりも100〜1000倍高感度であるが、いずれの方法も不利な点を有する。対照的にタンパク質の検出のために、発光性試薬、例えば蛍光性、リン光性、又は化学発光性試薬の使用は、非常に感度を向上させ、そして直線的な定量化範囲を増大させる可能性があり、一方で染色試薬の使用の容易性を同時に増大させ得る。
2次元電気泳動の泳動パターンの検出法として蛍光染色剤を用いる方法(蛍光検出システム)が広く行われている。例えば、蛍光検出システムにおいて、電気泳動させたタンパク質をゲル染色試薬としてSypro(登録商標)Ruby(ロンザジャパン株式会社)を用いて染色することが知られているが、このような既存の蛍光染色剤は泳動層のゲル自体も強く染色してしまうことから、蛍光色素による染色後に一度ゲルを洗浄し、脱色操作を行うことが必要であり、通常この洗浄脱色操作には30分以上の時間を要する。一方、染色後にゲル表面をリンスするだけで検出可能な蛍光染色剤(非特許文献1〜3)も報告されているが、研究現場では洗浄やリンスを必要としない迅速で簡便な検出法が望まれている。
Suzuki, Y.; Takagi, N.; Chimuro, T.; Shinohara, A.; Sakaguchi, N.; Hiratsuka, A.; Yokoyama, K., Electrophoresis 2011, 32, 1403-1413 Suzuki, Y., Analytical Methods 2013, 5, 2174 Suzuki, Y.; Takagi, N.; Sano, T.; Chimuro, T., Electrophoresis 2013, 34, 2464-2472.
本発明は、泳動後のタンパク質の検出において、バックグラウンドノイズを低くし、十分な検出感度を得ることができる、ピレンを基本骨格とした無洗浄タンパク質ゲル染色剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、泳動後のタンパク質の検出において、種々のピレン誘導体が、ゲル自体の染色が従来の蛍光染色剤を用いた場合と比較して生じず、かつ洗浄脱色操作が不要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]ピレン誘導体を含有する、無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[2]前記ピレン誘導体が、1−ピレンメタノール、ピレニルメチルエーテル誘導体、1−ピレンカルボン酸誘導体、糖修飾ピレニルメチル誘導体、及びピレン−フルオレセイン結合体からなる群から選択される、[1]に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[3]前記ピレニルメチルエーテル誘導体が、以下の構造:
(式中、
1は、−OH、−C1-6アルキル、−OC1-6アルキル、−OTs、−N3、−NH2からなる群から選択され;そして
mは、0〜10の整数である)
を有する、[2]に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[4]前記ピレニルメチルエーテル誘導体が、以下:
である、[3]に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[5]前記1−ピレンカルボン酸誘導体が、以下の構造:
(式中、
2は、−OH、−C1-6アルキル、−OC1-6アルキル、−OTs、−N3、−NH2からなる群から選択され;そして
nは、0〜10の整数である)
を有する、[2]に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[6]前記1−ピレンカルボン酸誘導体が、以下:
である、[2]に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[7]前記糖修飾ピレニルメチル誘導体が、以下:
である、[2]に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[8]
前記ピレン−フルオレセイン結合体が、以下:
である、[2]に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
[9]ゲル上を電気泳動させたタンパク質を、固定液を用いて前記ゲル上に固定し、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤を含む染色液を用いて、ゲル上に固定されたタンパク質を染色し、染色後の脱色及び洗浄を伴わずに、紫外(UV)光を照射後、ゲル画像を得ることを特徴とするタンパク質染色検出方法。
[10][1]〜[8]のいずれか1つに記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤を含む、タンパク質染色検出用キット。
本発明によれば、泳動後のタンパク質の検出において、種々のピレン誘導体が、ゲル自体の染色が従来の蛍光染色剤を用いた場合と比較して生じず、かつ洗浄脱色操作が不要である。
1次元ゲルを用いてピレン誘導体(19種)の染色能スクリーニングを行った結果を示す。染色能スクリーニングでは、ピレン誘導体は10μMになるよう懸濁させた水溶液を用いた(ただし、化合物2については22μMの水溶液を用いた)。 ピレン誘導体の染色能と疎水性度(予測Log値)の関係を示す図である。図中の番号は、実施例において合成した化合物の番号に対応する。 2次元電気泳動ゲルの染色を行った結果を示す。Aは、比較対照としてSypro Ruby(Sigma−Aldrich)溶液を用いて染色した撮影画像であり、B及びCは、それぞれメチルエーテル(化合物2)及び1−ピレンメタノール(化合物1)を用いて染色した撮影画像である。
本発明によれば、ピレン誘導体を含有する、無洗浄タンパク質ゲル染色剤が提供される。本発明のタンパク質用のゲル染色剤は、ゲルをピレン誘導体によって染色後に、通常のゲル染色では必須となる洗浄工程を要しないことを特徴とする。
1.ピレン誘導体
本発明のゲル染色剤に含まれるピレン誘導体としては、限定されないが、1−ピレンメタノール、ピレニルメチルエーテル誘導体、1−ピレンカルボン酸誘導体、糖修飾ピレニルメチル誘導体、及びピレン−フルオレセイン結合体などが挙げられる。これらのピレン誘導体は、市販のものを用いるか、又は後述する実施例1に記載のように、常法により合成したものを使用に合わせて適宜用いてもよい。
本明細書中で使用するとき、「ピレニルメチルエーテル誘導体」とは、ピレンの1位にメチレン基を介して−(O−CH2−CH2n−なる基を有する誘導体を指す。典型的には、ピレニルメチルエーテル誘導体は、以下の構造:
を有することができる。ここで、上記式中、mは、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜3である。また、R1は、限定されないが、−OH、−C1-6アルキル、−OC1-6アルキル、−N3、−NH2からなる群から選択される基であってもよい。また、R1は、−OHに保護基(例えば、トシル基(Ts))が導入された基であってもよい。
ピレニルメチルエーテル誘導体は、典型的には、下記の構造であり得る。
なお、上記化合物の合成については、後述する実施例1を参照されたい。
本明細書中で使用するとき、「1−ピレンカルボン酸誘導体」とは、ピレンの1位にカルボニル基を介して−(O−CH2−CH2n−なる基を有する誘導体を指す。典型的には、1−ピレンカルボン酸誘導体は、以下の構造:
を有することができる。ここで、上記式中、nは、0〜10の整数であり、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜3である。また、R1は、限定されないが、−OH、−C1-6アルキル、−OC1-6アルキル、−N3、−NH2からなる群から選択される基であってもよい。また、R1は、−OHを保護基(例えば、トシル基(Ts))で保護して基であってもよい。
さらに、1−ピレンカルボン酸誘導体は、1分子内にピレンを2つ有する構造であってもよう、すなわち、R2が、以下の構造:
であってもよい。
1−ピレンカルボン酸誘導体は、典型的には、下記の構造であり得る。
なお、上記化合物の合成については、後述する実施例1を参照されたい。
本明細書中で使用するとき、「糖修飾ピレニルメチル誘導体」とは、ピレンの1位にメチレン基を介して糖を有する誘導体を指す。「糖」とは、アルデヒド官能基又はケトン官能基を有してもよい1又は複数個のアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖類、オリゴ糖類又は多糖類であってもよい。ピレンを修飾するための糖としては、単糖類が好ましく、例えば、グルコース、マンノース、ガラクトースが挙げられる。
糖修飾ピレニルメチル誘導体は、典型的には、下記の構造であり得る。
なお、上記化合物の合成については、後述する実施例1を参照されたい。
また、上記で列挙したピレン誘導体の他に、ピレン−フルオレセイン結合体を用いることができる。このようなピレン−フルオレセイン結合体としては、限定されないが、下記の構造を有するものであってもよい。
2.ゲル染色剤
本発明によれば、ゲル上で電気泳動後に分離された生物学的試料を視認できるようにする染色剤として、上記のピレン誘導体を用いることを特徴とする。本発明中で使用するとき、「ゲル」とは、生物学、化学、医学、薬学、バイオサイエンス等の分野において、生体物質や化学物質を分離分析するための分子ふるい素材のことをいい、好ましくは、電気泳動法による試料成分の分布支持体をいう。ゲルの素材としては、特に制限されないが、例えば、ポリアクリルアミドやアガロース等が挙げられる。本発明の染色方法に用いるゲルとしては、好ましくは、タンパク質の1次元又は2次元の電気泳動後のゲルが挙げられる。ここで、タンパク質の電気泳動としては、特に制限されないが、従来電気泳動、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)、ドデシル硫酸ナトリウムを添加したポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、オファーレルの2次元電気泳動法、RFHRの二次元電気泳動法等が挙げられる。ゲルの大きさや形状もまた制限されず、ディスク式の円柱状のものであっても、スラブ式のシート状のものであってもよい。なお、ゲルを用いた各種電気泳動用の装置及び手段は、当業者に周知である。
ピレン誘導体をゲル染色剤として用いる場合、ゲルへの浸透性を考慮して、水溶液であることが好ましい。このようなゲル染色剤は、前述のピレン誘導体を1〜100μM、好ましくは1〜50μM、より好ましくは1〜10μMとなるように水又は水性緩衝液に溶解させて得ることができる。以下、このようにして調製した、ピレン誘導体の水溶液を単に「ピレン誘導体水溶液」ということがある。
3.ゲル染色法及び画像化
本発明によれば、ゲル上を電気泳動させたタンパク質を、固定液を用いて該ゲル上で固定し、上記ゲル染色剤を含む染色液、すなわち、ピレン誘導体水溶液を用いてタンパク質を染色し、染色後の脱色及び洗浄を伴わずに、紫外(UV)光を照射後、ゲル画像を得ることができる。ここで、固定液として用いることができる固定化剤としては、生体試料を腐敗から保護するために使用される化学薬品が挙げられる。このような固定化剤は、試料に生じる生物学的反応を防ぐことができ、試料の機械的強度と安定性を増加させる。一実施形態において、種々の固定化剤を固定液に含めることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、EDTA、界面活性剤、金属塩、金属イオン、尿素、及びアミノ化合物などが挙げられる。また、上記の固定化剤は、酸性条件下で使用することができる。より具体的には、電気泳動後のゲル上のタンパク質の固定化は、限定されないが、容器中でゲルを1〜10%酢酸水溶液を含む40〜70%メタノール中に浸し、5分〜1時間程度の振とうさせることによって達成することができる。さらに、固定化工程は、1回に限定されず、数回繰り返してもよい。
タンパク質がゲルに固定化された後であって、ゲル染色の前の最終洗浄は、水、特に蒸留水、脱塩水、又は脱イオン水(例えば、Millipore社からのMilli−Qシステムにて精製された水、以降「ミリQ水」と記載する)を用いて行うことが好ましい。該最終洗浄は、例えば、脱イオン水に浸し、5〜30分程度、振とうさせて行うことができる。その後、上記のピレン誘導体水溶液を用いて、ゲルを染色する。ゲル染色は、ゲルをピレン誘導体水溶液に浸し、一晩振とうすることにより行うことができる。本発明によれば、染色後に洗浄及び脱色工程を必要とせず、撮影し、画像化を行うことができる。一方、本発明によるピレン誘導体水溶液以外の染色剤を使用する場合は、一般的に、染色後、例えば、洗浄及び脱色工程を必要として、そのための水溶液(例えば、メタノール+酢酸水溶液)を別途調製し、該水溶液にゲルを浸し、30分〜数時間振とうする操作を行わなければならない。
ゲル上のタンパク質の可視化には、使用される染色剤の特性に応じて適宜選択することができる。本発明によれば、染色剤としてピレン誘導体を用いているため、例えば、UVトランスイルミネーターを用いて、UV光の照射によってタンパク質を検出することができる。さらに、得られた泳動像を画像解析ソフト(例えば、ImageJ)を用いて、スポット又はバンドのシグナル強度を算出することができる。
4.キット
本発明によれば、タンパク質染色検出用キットが提供される。該タンパク質染色検出用キットは、染色剤として本発明のピレン誘導体水溶液の他、タンパク質を固定するための固定液、染色前に使用する洗浄液を含むことができる。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1:ピレン誘導体の合成
本実施例では、各種ピレン誘導体を合成した。合成に使用した有機合成試薬は、和光純薬工業株式会社、東京化学工業株式会社、Aldrich Chemical Co.、関東化学より購入した。また、有機合成反応の追跡及び確認、並びに所望のピレン誘導体の精製及び合成確認には、シリカゲル薄層クロマトグラフィー、1H NMR測定、13C NMR測定、及びシリカゲルクロマトグラフィーにより行った。より具体的には、シリカゲル薄層クロマトグラフィーでは、Silica gel 60 F254(Merck)を用い、反応の追跡、確認には、UV(254nm)、(365nm)の照射、又は発色試薬として1%Ce(SO42−1.5%(NH46Mo724・4H2O−10%H2SO4水溶液に浸し、電熱器を用いて発色させ、検出した。また、単離精製には、Silica Gel C−60、又はWako Gel C−300、Silica Gel 60Nを用いた。さらに、合成確認においては、1H NMR測定では、OXFORD NMR AS500(500MHz)、又はJEOLJNX−EX−270(270MHz)を用いて測定した。化学シフトは、CDCl3中のテトラメチルシラン(δ 1H=0ppm)溶媒ピークを用い内部標準として示した。
(1)化合物2の合成
ピレニルメチルブロミド(201mg、0.680mmol、1当量)にメタノール 3.4mL、1Mナトリウムメトキシドのメタノール溶液(3.4mL、3.4mmol、5当量)を加え、室温で2時間撹拌した。その後、DMF 0.7mLを加え、終夜撹拌した。反応終了後、水を加えてクエンチした。酢酸エチルを加え水で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過を行い、減圧留去を行った。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った(収率64%、107mg)。
化合物2:Rf 0.54 (Hexane-EtOAc, 5:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.37 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 8.20 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 8.18-8.13 (m, 2H), 8.08-7.99 (m, 4H), 5.19 (s, 2H), 3.52 (s, 3H).
(2)化合物4の合成
ジクロロメタン3mLを溶媒に用い、エチレングリコール(345mg、3.25mmol、10当量)、1−ピレンカルボン酸(50mg、0.325mmol、1当量)を加えた。次に、EDC(75mg、0.39mmol、1.2当量)を加え、DMAP(40mg、0.325mmol、1.2当量)を加えて室温で16時間撹拌した。水でクエンチした後、酢酸エチルで希釈し、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過を行い、減圧留去を行った。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った(収率34%、109mg)。
化合物4:Rf 0.17 (Hexane-EtOAc, 1:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 9.26 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.30-8.22 (m, 3H), 8.20-8.16 (m, 2H), 8.12-8.04 (m, 2H), 4.72-4.67 (m, 2H), 4.00-3.96 (m, 2H), 3.84-3.79 (m, 2H), 3.75-3.72 (m, 2H), 2.10 (s, 1H).
(3)化合物5の合成
ジエチレングリコール(16mg、0.155mmol、1当量)をジクロロメタン 3mLに懸濁させ、1−ピレンカルボン酸(50mg、0.325mmol、2.1当量)を加えた。次に、EDC(89mg、0.465mmol、3.0当量)を加え、DMAP(38mg、0.31mmol、2.0当量)を加えて室温で24時間撹拌した。水を加えてクエンチした後、ジクロロメタンで希釈し、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過を行い、減圧留去を行った。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った(収率41%、36mg)。
化合物5:Rf 0.50 (Hexane-EtOAc, 1:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 9.12 (d, J = 9.5 Hz, 2H), 8.50 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 8.10 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.06 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 9.4 Hz, 2H), 7.96- 7.91 (m, 4H), 7.77 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.73 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.74 (t, J = 4.6 Hz, 4H), 4.12-4.08 (m, 4H).
(4)化合物6の合成
エチレングリコール(9.2mg、0.148mmol、1当量)をジクロロメタンに溶解し、1−ピレンカルボン酸(50mg、0.325mmol、2.2当量)を加えた。次に、EDC(85mg、0.444mmol、3.0当量)を加え、DMAP(1.8mg、0.0148mmol、0.1当量)を加え、室温で29時間撹拌した。水でクエンチした後、ジクロロメタンで希釈し、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過を行い、減圧留去を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、副生成物として化合物6の生成を確認した(収率46%、32mg)。
化合物6:Rf 0.73 (Hexane-EtOAc, 1:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 9.54 (d, J = 9.4 Hz, 2H), 8.92 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.40-8.33 (m, 6H), 8.30-8.24 (m, 4H), 8.18-8.11 (m, 4H).
(5)化合物7の合成
水素化ナトリウム(24mg、1.02mmol、1.5当量)にTHF 3mLを加え氷冷下撹拌し、THF 3mLに溶かしたジエチレングリコール(719mg、6.78mmol、10当量)を加え、30分撹拌させた。その後、THF 3mLに溶かした1−(ブロモメチル)ピレン(200mg、0.678mmol、1.0当量)を加え、室温で終夜反応させた。反応終了後、水を加えて水素化ナトリウムをクエンチした。酢酸エチルを加え、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過を行い、減圧留去を行った。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った(収率84%、183mg)。
化合物7:Rf 0.38 (EtOAc) 1H NMR(500 MHz, Chloroform-d) δ 8.40 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.23-8.13 (m, 4H), 8.09-7.99 (m, 4H), 5.29 (s, 2H), 3.78-3.70 (m, 6H
), 3.61 (t, J = 4.5 Hz, 2H), 2.30 (s, 1H).
(6)化合物8及び化合物9の合成
対応する原料のアルコール体(化合物8の前駆体、13mg、0.428mmol、1当量;化合物9の前駆体、147mg、0.403mmol、1当量)をピリジン 4mLに溶かし、パラトルエンスルホニルクロリド(化合物8の合成、122mg、0.641mmol、1.5当量;化合物9の合成、115mg、0.605mmol、1.5当量)を加え、アルゴン雰囲気下、室温で16時間撹拌した。水を加えクエンチを行い、溶媒を減圧留去した。次に酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で2回洗浄を行った。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過を行い、減圧留去を行った。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った。(収率、化合物8:51%、103mg;化合物9:52%、109mg)
化合物8:Rf 0.15 (Hexane-EtOAc, 4:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.37 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 8.23-8.18 (m, 2H), 8.17-8.12 (m, 2H), 8.08-7.99 (m, 4H), 7.78-7.74 (m, 2H), 7.22 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.25 (s, 2H), 4.19-4.15 (m, 2H), 3.72-3.68 (m, 4H), 3.67-3.63 (m, 2H), 2.33 (s, 3H).
化合物9:Rf 0.70 (Hexane-EtOAc, 1:4) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.40 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 8.23-8.17 (m, 2H), 8.17-8.12 (m, 2H), 8.08-7.99 (m, 4H), 7.75 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.25-7.23 (m, 2H, with CHCl3), 5.28 (s, 2H), 4.13-4.09 (m, 2H), 3.76-3.72 (m, 2H), 3.69-3.63 (m, 4H), 3.61-3.55 (m, 4H), 2.36 (s, 3H).
(7)化合物10及び化合物11の合成
対応する原料(化合物8、98mg、0.207mmol;化合物9、91mg、0.175mmol)をDMF 2mLに溶かし、アジ化ナトリウム(化合物10の合成、16.3mg、0.248mmol、1.2当量;化合物11の合成、13.7mg、0.211mmol、1.2当量)を加え、60℃で17時間撹拌した。水を加えクエンチした。その後、酢酸エチルで希釈し、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄を行った。その後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過を行い、溶媒を減圧留去した。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った。(収率、化合物10:93%、66mg;化合物11:96%、66mg)
化合物10:Rf 0.56 (Hexane-EtOAc, 2:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.41 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.20 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 8.17-8.13 (m, 2H), 8.08-7.99 (m, 4H), 5.30 (s, 2H), 3.80-3.76 (m, 2H), 3.75-3.71 (m, 2H), 3.70-3.66 (m, 2H), 3.39 (t, J = 5.1 Hz, 2H).
化合物11:Rf 0.40 (Hexane-EtOAc, 2:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.41 (dd, J = 9.3, 1H), 8.20 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 8.17-8.13 (m, 2H), 8.08-7.99 (m, 4H), 5.30 (s, 2H), 3.79-3.75 (m, 2H), 3.74-3.70 (m, 2H), 3.69-3.61 (m, 6H), 3.32 (t, J = 5.1 Hz, 2H).
(8)化合物12及び化合物13の合成
対応する種々の原料(化合物10、52mg、0.15mmol;化合物11、55mg、0.141mmol、1当量)をTHF 2mLに溶かし、トリフェニルホスフィン(化合物12の合成、50.3mg、0.191mmol、1.3当量;化合物13の合成、41.3mmol、0.16mmol、1.1当量)をそれぞれの原料に対して加え、室温で25時間撹拌した。水を加え、さらに7.5h室温で反応を行い、50℃で15時間撹拌させた。反応終了後、減圧留去を行った。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った。(収率、化合物12:92%、44mg;化合物13:94%、48mg)
化合物12:Rf 0.05 (DCM-MeOH, 95:5) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.41 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.20 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 8.17-8.12 (m, 2H), 8.08-7.98 (m, 4H), 5.29 (s, 2H), 3.77-3.73 (m, 2H), 3.70-3.64 (m, 2H), 3.49 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.84 (t, J = 5.2, 2H).
化合物13:Rf 0.05 (DCM-MeOH, 95:5) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.41 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.20 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 8.17-8.12 (m, 2H), 8.08-7.98 (m, 4H), 5.29 (s, 2H), 3.79-3.74 (m, 2H), 3.74-3.69 (m, 2H), 3.68-3.63 (m, 2H) 3.63-3.58 (m, 2H), 3.46 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.84-2,76 (m, 2H).
(9)化合物15及び化合物16の合成
対応する種々の原料のアミノ体(化合物12、37mg、0.114mmol、1.0当量;化合物13、40mg、0.111mmol、1.0当量)をDMF 1mLに溶解させ、TEA(化合物15の合成、79μL、0.57mmol;化合物16の合成、77μL、0.56mmol、全て5当量)を加え、FITC(化合物15の合成、49mg、0.125mmol、1.1当量;化合物16の合成、48mg、0.122mmol、1.1当量)を加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後メタノールを加えクエンチした。その後、溶媒を減圧留去した。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った(収率、化合物15:63mg、78%;化合物16:74%、62mg)。
化合物15:Rf 0.51 (DCM-MeOH, 9:1) 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.4-9.94 (m, 3H), 8.39 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.31-8.21 (m, 5H), 8.18-8.03 (m, 5H), 7.69 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.13 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 6.57 (d, J = 8.8 Hz 2H), 6.55-6.51 (m, 2H), 5.23 (s, 2H), 3.81-3.76 (m, 2H), 3.74-3.62 (m, 6H).
化合物16:Rf 0.44 (DCM-MeOH, 9:1) 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.1(s, 2H), 10.0 (s, 1H), 8.38 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.32-8.21 (m, 5H), 8.16 (s, 2H), 8.11-8.04 (m, 3H), 7.69 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.66 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 6.57 (d, 8.7 Hz, 2H), 6.53 (dd, J = 8.7 Hz, 2.3 Hz, 2H), 5.20 (s, 2H), 3.75-3.70 (m, 2H), 3.70-3.55 (m, 10H).
なお、比較化合物として以下の化合物14及び化合物17を用いた。
化合物14は、以下の通りに合成し、化合物17(FITC)は市販品を使用した。原料のアミノ体(2−(2−アミノエトキシ)エタノール、41mg、0.386mmol、1.5当量)をDMF 3mLに溶解させ、TEA(180μL、1.29mmol、5当量)を加え、FITC(100mg、0.257mmol、1.0当量)を加え、室温で終夜撹拌した。反応終了後メタノールを加えクエンチした。その後、溶媒を減圧留去した。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより行った(収率、40%、51mg)。
化合物14:1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 10.10 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.72 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.64-6.59 (m, 4H), 6.53 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 2H), 3.61-3.57 (m, 2H), 3.54-3.51 (m, 2H), 3.50-3.36 (m, 4H).
(10)化合物18及び化合物19の合成
化合物18及び化合物19を以下の合成スキームに従って合成した。
1−ピレンメタノール(630mg、2.71mmol、1.6当量)を脱水ジクロロメタンに溶かし、炭酸銀(813mg、2.95mmol、1.7当量)を加え、その後、ブロモ2,3,4,6−O−テトラアセチル−α−D−グルコピラノシド(700mg、1.70mmol、1当量)を加え、5日間反応させた。反応終了後、セライトろ過をした後、減圧留去した。精製はシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いた。その後、THF 5mL、AcOH 0.5mL、H2O 0.5mLの混合溶液に化合物を溶解し終夜撹拌した。その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し目的物を得た(収率36%、347mg)。
化合物19:Rf 0.55 (Hexane-EtOAc, 1:1) 1H NMR (500 MHz, Chloroform-d) δ 8.32 (d, J = 9.3 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 7.7 Hz, 2H), 8.17-8.01 (m, 5H), 7.96 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 5.64 (d, J = 12.3 Hz), 5.31 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 5.16-5.01 (m, 3H), 4.53 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 4.33 (dd, J = 12.2, 4.6 Hz, 1H), 4.25 (dd, J = 12.2, 2.5 Hz, 1H), 3.68-3.63 (m,1H), 2.17 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.70 (s, 3H).
化合物19(347mg、0.62mmol)をメタノールに溶解し、1Mナトリウムメトキシド 0.5mLを加え、室温で1時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去しシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行い目的物18を得た(収率91%、223mg)。
化合物18:Rf 0.70 (DCM-MeOH, 4:1) 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.45 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.34-8.16 (m, 7H), 8.08 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 5.57 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 5.30 (d, J = 12.1 Hz, 1H), 5.11 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 5.00-4.93 (m, 2H), 4.68-4.63 (m, 1H), 4.40 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.81-3.75 (m, 1H), 3.58-3.51 (m, 1H), 3.46-3.39 (m, 1H), 3.21-3.06 (m, 4H).
実施例2:1次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)における検証
(1)各種溶液の調製
30%アクリルアミドモノマー溶液の調製:アクリルアミドモノマー 9.93g、N−N’−メチレンビスアクリルアミド 0.27g、ミリQ水を加え、合計34mLの溶液を調製した。10%アクリルアミドモノマー溶液の調製:30%アクリルアミドモノマー 33mL、ミリQ水 16mL、0.75M TrisHCl 50mL、10%SDS 1mLをそれぞれ加え、合計100mLの溶液を調製した。濃縮ゲル溶液は、30%アクリルアミドモノマー 7.5mL、ミリQ水 29mL、0.25M TrisHCl(pH6.8)37.5mL、10%SDS 0.75mLをそれぞれ加え、合計75mLの溶液として調製した。
(2)1次元SDS−PAGE、及びゲルの染色・撮影方法
10%アクリルアミドモノマー溶液20mLに、25%APS 67μL、TEMED 16μLを加え、電気泳動用ガラス板に混合溶液を流し込み、ゲル化させた。30分後、ミリQ水 2mLを加え、ゲル板を洗浄した。次に、濃縮ゲル溶液7.5mL、25%APS 25μL、TEMED 6μLを加え、濃縮ゲルとして先述のゲル層の上に濃縮ゲルを注ぎ、ゲル化させた。次に、ゲル電気泳動用サンプルとして、BSA(1mg/mL)を100μL、2×ローディングバッファー100μLの計200μLの混合溶液を調整し、99℃で5分間加熱し、SDS−PAGEに用いるサンプルとした。各レーンに10μL(BSA 5μg)ずつ導入し、150V、約100分の条件でゲル電気泳動を行った。その後、ゲルを電気泳動用ガラス板から取り出し、各レーンを短冊状に切り出し、10μM、約10mL(1%DMSO)のピレン誘導体の染色剤水溶液に浸し、1時間振とうさせた。ただし、化合物2においては濃度を22μMとした。振とう後、洗浄を行わずに泳動像を撮影した。
(3)1次元ゲル電気泳動像の撮影及び染色能の算出(評価)
UVトランスイルミネーターMD−25(λex 312nm)を用い、ゲルの下側からUV光を照射し、デジタルカメラを用いてゲル画像を撮影した。得られた泳動像を、ImageJ(画像解析ソフトウェア)を用いて、BSAバンドのシグナル強度を算出した。化合物1〜19について染色実験を行ったところ、良好な染色能を示す化合物1、2、及び7を見出した(図1)。
(4)ピレン誘導体の染色能と疎水性度(予測Log値)の関係
本実施例で用いたピレン誘導体の疎水性度と染色能の相関を調べるため、疎水性パラメーターであるLog P値をChemDrawを用いて予測値として求めた。染色能が良好結果を与えた化合物2、1、及び7については、予測Log P値がおよそ3.5〜4.5の範囲にあり、疎水性度と染色能に一定の相関関係があることが示唆された(図2)。
実施例3:2次元電気泳動における検証
(1)泳動サンプル調製
CelLyicB(Sigma−Aldrich)で破砕した大腸菌の菌体サンプルを、2Dクリーンアップキット(GE Healthcare)を用いて脱塩処理した後に、2D Quantキット(GE Healthcare)を用いてタンパク質量を定量した。そのうち50μg分を1回の2次元電気泳動に用いた。
(2)2次元電気泳動
1次元目は、Immobiline Dry Strip(GE Healthcare)を用いて等電点電気泳動を行った後に、2次元目は、NuPAGE 4−12%Bis−Tris ZOOMゲル(Thermo Fisher Scientific)を用いて泳動した。
(3)2次元電気泳動ゲルのタンパク質スポットの固定化
泳動後のゲルを50%メタノール、7%酢酸水溶液に浸し、30分振とうした。この操作を2回繰り返した。その後、ミリQ水に浸し、10分振とうした。
(4)2次元電気泳動ゲルの染色及び撮影
固定化後のゲルを、Sypro Ruby(Sigma−Aldrich)溶液又は10μMピレン誘導体水溶液40mLに浸し、終夜振とうして染色した。ピレン誘導体には、ピレニルメチルメチルエーテル(化合物2)及び1−ピレンメタノール(化合物1)を使用した。その後、比較対象のSypro Rubyについてのみ、洗浄及び脱色のために、10%メタノール、7%酢酸水溶液に浸し30分震とうし、その後、ミリQ水に浸して30分振とうさせ脱色を行った。上記の通り、染色後、比較対象のSypro Rubyについては脱色を行った後に撮影を行い、一方、ピレン誘導体染色剤については洗浄を行わず撮影を行った。撮影は、Typhoon FLA9500(GE Healthcare)を用い、励起波長473nm、LPG(575nmロングパスフィルター)を使用してスキャンした。結果を図2に示す。さらに、Image Masterを用いてスポットの数をカウントすると、対照のSypro Rubyによって染色した画像では、スポット数が1,247個であるのに対して、ピレニルメチルメチルエーテル(化合物2)を用いた場合には922個であり、1−ピレンメタノール(化合物1)を用いた場合には683個であった。これらの結果から、本発明のピレン誘導体を用いると、洗浄及び脱色操作なしに2次元電気泳動ゲルを染色できることが見出された。
本発明のピレン誘導体を用いることにより、電気泳動によるタンパク質の検出において、ゲル染色後の洗浄及び脱色操作を行うことなく、タンパク質のスポットを感度よく検出できることから、より迅速で簡便なタンパク質の検出法を提供することができる。
本明細書に引用する全ての刊行物及び特許文献は、参照により全体として本明細書中に援用される。なお、例示を目的として、本発明の特定の実施形態を本明細書において説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の改変が行われる場合があることは、当業者に容易に理解されるであろう。

Claims (10)

  1. ピレン誘導体を含有する、無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  2. 前記ピレン誘導体が、1−ピレンメタノール、ピレニルメチルエーテル誘導体、1−ピレンカルボン酸誘導体、糖修飾ピレニルメチル誘導体、及びピレン−フルオレセイン結合体からなる群から選択される、請求項1に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  3. 前記ピレニルメチルエーテル誘導体が、以下の構造:
    (式中、
    1は、−OH、−C1-6アルキル、−OC1-6アルキル、−OTs、−N3、−NH2からなる群から選択され;そしてmは、0〜10の整数である)
    を有する、請求項2に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  4. 前記ピレニルメチルエーテル誘導体が、以下:
    である、請求項3に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  5. 前記1−ピレンカルボン酸誘導体が、以下の構造:
    (式中、
    2は、−OH、−C1-6アルキル、−OC1-6アルキル、−OTs、−N3、−NH2からなる群から選択され;そしてnは、0〜10の整数である)
    を有する、請求項2に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  6. 前記1−ピレンカルボン酸誘導体が、以下:
    である、請求項2に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  7. 前記糖修飾ピレニルメチル誘導体が、以下:
    である、請求項2に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  8. 前記ピレン−フルオレセイン結合体が、以下:
    である、請求項2に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤。
  9. ゲル上を電気泳動させたタンパク質を、固定液を用いて前記ゲル上に固定し、請求項1〜8のいずれか1項に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤を含む染色液を用いて、ゲル上に固定されたタンパク質を染色し、染色後の脱色及び洗浄を伴わずに、紫外(UV)光を照射後、ゲル画像を得ることを特徴とするタンパク質染色検出方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の無洗浄タンパク質ゲル染色剤を含む、タンパク質染色検出用キット。
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