JP2019151586A - 錯体化合物、炭素炭素三重結合を有する化合物の製造方法、当該方法の中間体の製造方法及びこれらの方法に用いるキット - Google Patents

錯体化合物、炭素炭素三重結合を有する化合物の製造方法、当該方法の中間体の製造方法及びこれらの方法に用いるキット Download PDF

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Abstract

【課題】より穏和な条件でジコバルトカチオン錯体を原料化合物に導入する方法、及び原料化合物に、プロパルギル基等の炭素炭素三重結合を導入する方法を実施するのに有用な新規化合物の提供。【解決手段】下式23aに代表されるジコバルトカチオン錯体化合物又はその塩。該化合物を用いることにより、メトキシナフタレン等にC3ジコバルトカチオン錯体部分を導入でき、更にCoを除去することによりプロパルギル基を導入できる。【選択図】なし

Description

本発明は、錯体化合物、炭素炭素三重結合を有する化合物の製造方法、当該方法の中間体の製造方法及びこれらの方法に用いるキットに関する。
プロパルギル基(−CHC≡CH)は、アジド基を有する様々な分子と反応するため(クリック反応)、医薬候補化合物や生物活性物質などの有機分子を機能化する際の有用な足がかりとなる。また、同一又は異なる2個の有機化合物が炭素炭素三重結合(−C≡C−)で連結した化合物としては、多くの化合物が知られており、医薬用途等の種々の用途に用いられている。有機化合物にプロパルギル基を導入する方法としては、原料化合物に強塩基存在下、臭化プロパルギルを反応させる方法が知られている(非特許文献1、2278頁、Scheme 1、化合物7から化合物11への変換等)。しかし、かかる方法では、原料化合物を強塩基性条件に晒す必要がある。
また、特定のプロパルギルジコバルト錯体を用いた反応による、アニソール、フェノール、N,N-ジメチルアニリン、エストロンメチルエーテル、エストラジオール等のプロパルギル化が報告されている(非特許文献2、3)。しかし、これらの方法に用いるプロパルギルジコバルトカチオン錯体のテトラフルオロボラート塩は、原料化合物と反応すると強酸の HBF4を発生させてしまう。さらに、これらのプロパルギルジコバルト錯体を用いる方法では、一旦導入したジコバルト錯体を脱錯体化しようとすると強い酸化条件が必要であった。そのため、これらの手法を用いて、強酸や強酸化条件に不安定な化合物にプロパルギル基を導入すること(プロパルギル化)は困難であった。
かかる状況の下、グリコシル ortho-ヘキシニルベンゾアートを用い、PPhAuOTfを触媒として用いることにより、強酸を発生させることなくグリコシル化を行う方法が報告されている(非特許文献4)。従って、より穏和な条件でジコバルトカチオン錯体を原料化合物に導入する方法、及び酸や塩基に対する安定性に乏しい原料化合物にプロパルギル基等の炭素炭素三重結合を導入する方法であって、副生成物の生成が抑制される方法の開発が熱望されている。
Org. Lett. 2005, 7, 2277-2280 Tetrahedron Lett. 1977, 18, 4163-4165 Appl. Organomet. Chem. 1987, 1, 441-447 Tetrahedron Lett. 2008, 49, 3604-3608 Org. Biomol. Chem., 2017, 15, 7190-7195 J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 12386.
本発明が解決すべき課題は、より穏和な条件でジコバルトカチオン錯体を原料化合物に導入する方法、及び酸や塩基に対する安定性に乏しい原料化合物にプロパルギル基等の炭素炭素三重結合を導入する方法を提供すること、及びかかる方法に有用な新規化合物を提供することである。
かかる状況の下、本発明者らは多種多様な化学反応を鋭意検討した結果、後述する式(1)で表される化合物又はその塩を用いることによりかかる課題を解決できることを見出した。従って、本発明は以下の項を提供する:
項1.下記式(1)で表される化合物又はその塩:
[式中、Rは電子求引基を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は電子求引基を示す。R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。X及びXは、同一又は異なって、酸素又は硫黄を示す。]。
項2.Rがフッ素を含む炭化水素基である、項1に記載の化合物又はその塩。
項3.R、R、R及びRが水素である、項1又は2に記載の化合物又はその塩。
項4.X及びXが酸素である、項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
項5.項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩と、芳香環及び式(2−1)で表される基
−X−H (2−1)
[式中、Xは、酸素、硫黄、−(C=O)−O−又は−NH−を示す。]
からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩とを反応させて、式(3)で表される化合物又はその塩
[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]
及び式(4)で表される化合物又はその塩
[式中、Rは電子求引基を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は電子求引基を示す。X及びXは、同一又は異なって、酸素又は硫黄を示す。]
を得る工程を含む、式(3)で表される化合物又はその塩を製造するための方法。
項6.前記反応が一価の金触媒の存在下で行われる、項5に記載の方法。
項7.式(4)で表される化合物又はその塩を除去する工程をさらに含む、項5又は6に記載の方法。
項8.項5〜7のいずれか一項に記載の方法により、式(3)で表される化合物又はその塩を得る工程
[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]
及び前記式(3)で表される化合物又はその塩を脱錯体化する工程を含む、式(5)で表される化合物又はその塩
[式中、R、R、R、及びAは前記に同じ。]
を製造するための方法。
項9.前記脱錯体化が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキソアンモニウム テトラフルオロボレートの存在下で行われる、項8に記載の方法。
項10.項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩、及び芳香環及び式(2−1)で表される基
−X−H (2−1)
[式中、Xは、酸素、硫黄、−(C=O)−O−又は−NH−を示す。]
からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩を含む、式(3)で表される化合物又はその塩を製造するためのキット。
[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]。
項11.項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩、
芳香環及び式(2−1)で表される基
−X−H (2−1)
[式中、Xは、酸素、硫黄、−(C=O)−O−又は−NH−を示す。]
からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩、ならびに
脱錯体化触媒
を含む、式(5)で表される化合物又はその塩を製造するためのキット。
[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]
本発明によれば、より穏和な条件でジコバルトカチオン錯体を原料化合物に導入すること、及び酸や塩基に対する安定性に乏しい原料化合物にも、プロパルギル基等の炭素炭素三重結合を導入することができる。
本明細書において示される各基は、具体的には次の通りである。
本発明において、置換基とは、特に限定されないが、そうでないことを本明細書中に明記しない限り、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、水酸基、オキソ基、チオール基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基等を表す。用語「置換基」には、上記したような置換基がさらに置換基を有するものも包含される。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基等を挙げることができる。より具体的には、アルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、n−ペンチル、n−ヘキシル基等が包含される。
シクロアルキル基としては、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキル基等を挙げることができる。より具体的には、シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル基等が包含される。
アルケニル基としては、例えば、二重結合を1〜3個有する炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖状アルケニル基を挙げることができる。より具体的には、アルケニル基には、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−へキセニル、5−へキセニル、2−メチル−1−プロペニル、1,3−ブタジエニル、1,3−ペンタジエニル、3,3−ジメチル−1−プロペニル、2−エチル−1−プロペニル、1,3,5−ヘキサトリエニル、1,4−ヘキサジエニル基等が含まれる。
シクロアルケニル基としては、例えば、二重結合を1〜2個有する炭素数3〜8のシクロアルケニル基を挙げることができる。より具体的には、シクロアルケニル基には、シクロプロプ−1−エニル、シクロプロプ−2−エニル、シクロブト−1−エニル、シクロブト−2−エニル、シクロペント−1−エニル、シクロペント−2−エニル、シクロペント−3−エニル、シクロヘキソ−1−エニル、シクロヘキソ−2−エニル、シクロヘキソ−3−エニル、シクロヘキソ−1,4−ジエニル、シクロヘプト−1−エニル、シクロヘプト−2−エニル、シクロヘプト−3−エニル、シクロヘプト−4−エニル、シクロオクト−1−エニル、シクロオクト−2−エニル、シクロオクト−3−エニル、シクロオクト−4−エニル基、シクロオクト−1,4−ジエニル等が包含される。
アルキニル基としては、炭素数2〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキニル基を挙げることができる。より具体的には、アルキニル基には、エチニル、2−プロピニル、2−ブチニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、2−ヘキシニル基、1−メチル−2−プロピニル等が含まれる。
シクロアルキニル基としては、例えば、三重結合を1〜2個有する炭素数3〜8のシクロアルキニル基を挙げることができる。より具体的には、シクロアルキニル基には、
アルコキシ基としては、例えば、アルキル部分が前記に列挙したアルキル基である炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基が挙げられる。より具体的には、アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、2,2−ジメチルプロピルオキシ、1−エチルプロピルオキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、イソペンチルオキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ基等が包含される。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基等が挙げられる。より具体的には、アリール基には、フェニル、ナフチル、アントラセニル基等が包含される。
ヘテロアリール基としては、例えば、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される少なくとも一種のヘテロ原子を1〜4個有するヘテロアリール基等が挙げられる。より具体的には、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、
イミダゾリル、チエニル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピラジル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾロピリジル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロチアゾリル、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピニル基等が包含される。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、アントラセニルオキシ基等を挙げることができる。
複素環基としては、例えば、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される少なくとも一種のヘテロ原子を1〜4個有する、単環又は複数環の5〜20員環の環が挙げられる。より具体的には、複素環基には、モルホリニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、
イミダゾリル、チエニル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピラジル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾロピリジル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロチアゾリル、ベンゾチオフェニル10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピニル等が包含される。
アシル基としては、例えば、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3、より好ましくは炭素数1)の直鎖又は分枝鎖状のアシル基等を挙げることができる。より具体的には、アシル基には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、n−ヘキサノイル基等が包含される。
ハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アリール基、これらの組合せ等が挙げられる。
本発明において、芳香環には、そうでないことを本明細書中に明記しない限り、炭化水素芳香環だけでなく、ヘテロ芳香環も包含される。
炭化水素芳香環としては、例えば、炭素数6〜14の炭化水素芳香環等が挙げられる。より具体的には、炭化水素芳香環には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセニル基等が包含される。
ヘテロ芳香環としては、例えば、窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される少なくとも一種のヘテロ原子を1〜4個有するヘテロ芳香環等が挙げられる。より具体的には、ヘテロ芳香環には、インドリジン、インドール、イソインドール、インドリン、イミダゾール、チオフェン、フラン、ピロール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアゾロピリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、
ベンゾフラン、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、ベンゾジオキゾール、2,3−ジヒドロベンゾジオキシン、ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロチアゾール、10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[b,f]アゼピン基等が包含される。
フッ素を含む炭化水素基としては、例えば、前述した炭化水素基において、少なくとも1個の水素がフッ素に置換されてなる基を挙げることができる。好ましくは、例えば、フッ素を含む炭化水素基としては、パーフルオロアルキルアルキル基、パーフルオロシクロアルキルアルキル基、パーフルオロアルケニルアルキル基、パーフルオロシクロアルケニルアルキル基、パーフルオロアルキニルアルキル基、パーフルオロシクロアルキニルアルキル基、パーフルオロアリールアルキル基等が挙げられる。ここで、パーフルオロアルキル基、パーフルオロシクロアルキル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロシクロアルケニル基、パーフルオロアルキニル基、パーフルオロシクロアルキニル基、及びパーフルオロアリール基としては、それぞれ、前述のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、及びアリール基において全ての水素がフッ素で置換されてなる基等が挙げられる。
パーフルオロアルキルアルキル基、パーフルオロシクロアルキルアルキル基、パーフルオロアルケニルアルキル基、パーフルオロシクロアルケニルアルキル基、パーフルオロアルキニルアルキル基、パーフルオロシクロアルキニルアルキル基、パーフルオロアリールアルキル基としては、それぞれ、前述したアルキル基に、前述したパーフルオロアルキル基、パーフルオロシクロアルキル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロシクロアルケニル基、パーフルオロアルキニル基、パーフルオロシクロアルキニル基、及びパーフルオロアリール基が1個置換したもの等が挙げられる。
また別の好ましい実施形態としては、フッ素を含む炭化水素基としては、下記式(1−1)
−C2m−(CX )n−CX (1−1)
[式中、mは1〜8の整数を示す。nは0〜7の整数を示す。Xは、同一又は異なって、水素又はフッ素を示す。Xは同一又は異なって、水素又はフッ素を示す。ただし、式(1−1)で表される基は少なくとも1個のフッ素原子を有する。]
で表されるフッ素を含むアルキル基等が挙げられる。
式(1−1)において、mは1〜6が好ましく1〜3がより好ましい。nは1〜7が好ましく、2〜6がより好ましい。また、m≦nであることが好ましい。また、X及びXの半数以上がフッ素であることが好ましい。
電子求引基としては、フッ素、ニトロ基、シアノ基、アシル基、およびこれらを含む炭化水素基等が挙げられる。
本発明化合物(1)又はその塩
本発明は、下記式(1)で表される化合物又はその塩を提供する:
[式中、Rは電子求引基を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は電子求引基を示す。R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。X及びXは、同一又は異なって、酸素又は硫黄を示す。]。
尚、本明細書において、式(1)で表される化合物を単に化合物(1)と示すことがある。同様に式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物及び式(5)で表される化合物も、それぞれ、単に化合物(3)、化合物(4)及び化合物(5)と示すことがある。また、本明細書において、前述した芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物を化合物(2)と示すことがある。
で表される電子求引基としては、例えば、フッ素を含む炭化水素基、ニトロ基を含む炭化水素基、シアノ基を含む炭化水素基、アシル基を含む炭化水素基、カルボキシ基を含む炭化水素基等が挙げられ、フッ素を含む炭化水素基、ニトロ基を含む炭化水素基等が好ましく、フッ素を含む炭化水素基等がより好ましい。
、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は電子求引基であり、水素が好ましい。R、R、R及び/又はRが電子求引基である場合、フッ素を含む炭化水素基、ニトロ基、シアノ基、アシル基、カルボキシ基等が挙げられ、フッ素を含む炭化水素基、ニトロ基、シアノ基等が好ましく、フッ素を含む炭化水素基等がより好ましい。
及びRは水素又は置換基であり、R及びRの少なくとも一方が水素であることが好ましく、R及びRが共に水素であることがより好ましい。R及び/又はRが置換基である場合、当該置換基は限定されないが、好ましくは、炭化水素基等が挙げられる。
は水素又は置換基であり、水素であることが好ましい。Rが置換基である場合、当該置換基は特に限定されないが、芳香環を有する基が好ましい。その場合、その個数は限定されないが、例えば、1〜4個、好ましくは1〜3個又は1〜2個のもの等が挙げられる。Rが芳香環を複数含む場合、それらの芳香環をつなぐ結合は特に限定されず、例えば、単結合で結合していてもよく、置換基(例えば、オキソ基、水酸基、アルコキシ基等)を有していてもよいアルキレン基、基−NR−、基−NR−(C=O)−、及び基−(C=O)−NR−からなる群より選択される少なくとも一種等で結合していてもよい
[上記式中、Rは置換基を示す。]。
上記芳香環を有する基は、さらに置換基を有していてもよい。その場合の置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、水酸基、オキソ基、チオール基、アシル基、カルボキシル基、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、これらの組合せ等が挙げられる。
本発明化合物(1)は、塩を形成していてもよい。また、本発明化合物(1)の塩としては、酸付加塩及び塩基との塩も挙げられる。酸付加塩の具体例として、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。塩基との塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、ピリジン塩、トリエチルアミン塩のような有機塩基との塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。
本発明化合物(1)は、例えば、下記の反応式1、2に示す方法により製造することができる。ただし、本発明化合物(1)の製造法はこれらの方法に限定されるものではない。以下、本明細書において、式(A1)で表される化合物を単に化合物(A1)と示す。同様に式(A2)〜(A7)で表される化合物を単に化合物(A2)〜(A7)と示す。
[式中、R、R、R、R、R、X及びXは前述の通り。TMSはトリメチルシリル基を示す。]
反応式1において、まず、化合物(A1)とエチニルトリメチルシランとを反応させることにより、化合物(A2)を得ることができる。化合物(A1)とエチニルトリメチルシランとの使用割合は特に限定されないが、例えば、前者1モルに対し後者を1〜10モルの範囲で使用することができる。当該反応は、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド、ヨウ化銅等の触媒と、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下で行うことができる。上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルジグライム、ジエチルエーテル、これらの混合溶媒等の中で行われる。
次に、化合物(A2)を脱保護することにより、化合物(A3)を得ることができる。当該反応は、当該反応は、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の塩基の存在下で行うことができる。上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール、これらの混合溶媒等の中で行われる。次に、化合物(A3)と化合物(A4)とを反応させることにより、化合物(A5)を得ることができる。化合物(A3)と化合物(A4)との使用割合は特に限定されないが、例えば、前者1モルに対し後者を0.75〜1.3モルの範囲で使用することができる。当該反応は、π-アリルパラジウム錯体、ヨウ化銅等の触媒の存在下、1,3-ジ-1-アダマンチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ジ-tert−ブチルイミダゾリウムクロリド、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド等の配位子前駆体と炭酸セシウム等の塩基を加えることで行うことができる。上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルジグライム、ジエチルエーテル、これらの混合溶媒等の中で行われる。次に、化合物(A5)を脱メチル化することにより、化合物(A6)を得ることができる。当該反応は、当該反応は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の塩基の存在下で行うことができる。上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール、これらの混合溶媒等の中で行われる。
[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、X及びXは前述の通り。]
反応式2において、化合物(A6)を酸塩化物に変換した後、これを化合物(A7)とを反応させることにより、化合物(1)を得ることができる。化合物(A6)と化合物(A7)との使用割合は特に限定されないが、例えば、前者1モルに対し後者を0.75〜1.5モルの範囲で使用することができる。化合物(A6)を酸塩化物に変換する反応は、ジメチルホルムアミドジエチルホルムアミド等の存在下、塩化オキサリルや塩化ホスホリル、塩化チオニル、塩化オギザリル等を加えることで行うことができる。酸塩化物と化合物(A7)との反応は、ピリジンや2,6-ルチジン等の塩基の存在下、行うことができる。上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルジグライム、ジエチルエーテル、これらの混合溶媒等の中で行われる。
上記反応式1及び2の各反応の反応温度は特に限定されず、通常、室温、冷却又は加熱下で反応が行われる。好ましくは、室温付近から約150℃等が挙げられる。各反応の反応時間も特に限定されないが、例えば、1〜30時間反応させることができる。
上記各反応式で得られる各々の目的化合物は、反応生成物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作によって、反応生成物から単離精製することができる。
本発明化合物(1)には、そうでないことが明記されていない限り、幾何異性体、立体異性体、光学異性体等の異性体も当然に包含される。本発明化合物(1)又はその塩は、例えば、下記の方法に用いることができる。
化合物(3)又はその塩を製造するための方法。
本発明は、化合物(1)又はその塩と、芳香環及び式(2−1)で表される基
−X−H (2−1)
[式中、Xは、酸素、硫黄、−(C=O)−O−又は−NH−を示す。]
からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩とを反応させて、式(3)で表される化合物又はその塩
[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、「前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩」から「芳香環に含まれる炭素に結合した水素」又は「式(2−1)で表される基においてXに結合する水素」を除いた一価の基を示す。]
及び式(4)で表される化合物又はその塩
[式中、Rは電子求引基を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は電子求引基を示す。X及びXは、同一又は異なって、酸素又は硫黄を示す。]
を得る工程を含む、式(3)で表される化合物又はその塩を製造するための方法を提供する。
本発明において、Aは、任意の置換基であり得るが、芳香環を有する基が好ましい。その場合、その個数は限定されないが、例えば、1〜4個、好ましくは1〜3個又は1〜2個のもの等が挙げられる。Aが芳香環を複数含む場合、それらの芳香環をつなぐ結合は特に限定されず、例えば、単結合で結合していてもよく、置換基(例えば、オキソ基、水酸基、アルコキシ基等)を有していてもよいアルキレン基、基−NR−、基−NR−(C=O)−、及び基−(C=O)−NR−からなる群より選択される少なくとも一種等で結合していてもよい
[上記式中、Rは置換基を示す。]。
上記芳香環を有する基は、さらに置換基を有していてもよい。その場合の置換基としては、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、複素環基、水酸基、オキソ基、ハロゲン、これらの組合せ等が挙げられる。
本反応の原料化合物の一部である化合物(2)又はその塩は、
芳香環;及び
式(2−1)で表される基
−X−H (2−1)
[式中、Xは前述の通り。]
からなる群より選択される少なくとも1種を有する。
化合物(2)又はその塩が芳香環を有する場合、その個数は限定されないが、例えば、1〜4個、好ましくは1〜3個又は1〜2個のもの等が挙げられる。複数の芳香環をつなぐ結合は特に限定されず、例えば、単結合で結合していてもよく、置換基(例えば、オキソ基、水酸基、アルコキシ基等)を有していてもよいアルキレン基、基−NR−、基−NR−(C=O)−、及び基−(C=O)−NR−からなる群より選択される少なくとも一種等で結合していてもよい。
[上記式中、Rは置換基を示す。]。化合物(2)の分子量は特に限定されないが、例えば、1000以下、より好ましくは600以下である。
アルキレン基としては特に限定されず、炭素数1〜8の直鎖又は分枝鎖状の2価の飽和炭化水素基を示す。より具体的には、アルキレン基には、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、エチルエチレン等が包含される。
化合物(2)としては特に限定されないが、ごく一部の例として、以下のもの等が挙げられる:
構造式中、Meはメチル基、iPrはイソプロピル基、Bnはベンジル基、MOMはメトキシメチル基を示す。以下、同様。
化合物(1)又はその塩と化合物(2)又はその塩との使用割合は特に限定されないが、例えば、前者1モルに対し後者を0.1〜10モル、好ましくは1〜1.2モルの範囲で使用することができる。当該反応は、三重結合に結合し、環形成反応を触媒する触媒の存在下で行うことが好ましい。好ましい触媒としては、1価の金触媒等が挙げられる。かかる金触媒としては、トリフェニルホスフィン金(I)を含む触媒等が挙げられる。好ましい触媒としては、トリフェニルホスフィン金(I)6フッ化アンチモン(PPhAuSbF)、トリフェニルホスフィン金(I)ビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(PPhAuNTf)、トリフェニルホスフィン金(I)トリフラート(PPhAuOTf)、トリフェニルホスフィン金(I)テトラフルオロボラート(PPhAuBF)等が挙げられる。これらの触媒は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒の使用量としては特に限定されないが、化合物(2)又はその塩1モルに対し、触媒を0.01〜10モル、好ましくは0.05〜0.2モルの範囲で使用することができる。上記反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等か、これらの混合溶媒の中で行われる。また、各反応の反応温度は特に限定されず、通常、室温、冷却又は加熱下で反応が行われる。好ましくは、室温付近から約50℃等が挙げられる。各反応の反応時間も特に限定されないが、例えば、5分〜30時間反応させることができる。
本発明の方法によれば、強い酸性条件又は塩基性条件でない、穏和な条件で、下記式(3’)で表される
[式中、R、R及びRは前述の通り。]
で表される基を化合物(2)又はその塩に付加することができるため有用である。これは以下のような反応が生じているためと推察される。
本発明の方法においては、化合物(1)に含まれるエチニル基に金触媒がまず配位する。基−(C=X)−が、活性化されたエチニル基と結合を形成し6員環を形成する際に、エチニル基上の他方の炭素原子が金触媒と共有結合を形成する。同時に、Xが当該6員環と二重結合を形成し、それに伴い基(3’)の部分がカチオンとなり切り離されて化合物(2)又はその塩に結合する。そして、化合物(2)における基(3’)が結合した炭素又はヘテロ原子に結合していた水素がプロトンとして脱離する。一方、金触媒と共有結合を形成していた炭素原子はプロトンを1個吸収し、金触媒を放出すると同時に化合物(3)が生成する。従って、上記化合物(3)又はその塩及び化合物(4)又はその塩の形成において、反応系中のプロトンの量は増加も減少もしないため、中和のための酸、塩基が不要であり、穏和な条件での反応を進めることができる。従って、本発明を用いることによって、これまでプロパルギルコバルト錯体を用いた反応により製造したことが報告されている化合物以外の化合物についても製造することができる。
また、好ましい実施形態において本発明は、化合物(1)又はその塩の構造、特にベンゼン環に三重結合を介して結合している基R部分の電子求引性が高いこと、式(3’)の骨格部分である[プロ−2−ピン−1−イル]ジコバルトヘキサカルボニルの構造に起因して、式(3’)が化合物(2)又はその塩ではなく化合物(4)又はその塩に付加することによる副生成物が抑制され、効率的に目的物質である化合物(3)又はその塩を製造することができるため好ましい。尚、本明細書において、式(3’)で表される基を別の化合物に付加する方法を錯体化と示すこともある。
本発明の方法は、化合物(4)又はその塩を除去する工程をさらに含んでもよい。化合物(4)又はその塩を除去する方法としては、化合物(3)又はその塩及び化合物(4)又はその塩を用いる以外、自体公知の方法を適宜使用することができる。Rがフッ素を含む炭化水素基である場合、フッ素原子とフッ素原子との高い親和性を使用して分離すること、例えば、分子に占めるフッ素含有量の大きなフルオラス樹脂を用いて分離すること等ができるため好ましい。
本発明において、化合物(1)だけでなく、化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)は、それぞれ、塩を形成していてもよい。また、化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)の塩としては、酸付加塩及び塩基との塩も挙げられる。酸付加塩の具体例として、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。塩基との塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、ピリジン塩、トリエチルアミン塩のような有機塩基との塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。
化合物(5)又はその塩を製造するための方法。
本発明は、さらに、前述した錯体化方法により、式(3)で表される化合物又はその塩を得る工程
[式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環、式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]
及び前記式(3)で表される化合物又はその塩を脱錯体化する工程を含む、式(5)で表される化合物又はその塩
[式中、R、R、R、及びAは前記に同じ。]
を製造するための方法を提供する。
本実施形態においても式(3)で表される化合物又はその塩を得る工程で用いる原料、反応条件等は、前述の通りである。
本発明において、脱錯体化とは、化合物(3)又はその塩における前述の式(3’)で表される基から、ジコバルトヘキサカルボニル部分を除去することを示す。脱錯体化の方法は特に限定されないが、本発明者らが開発した方法(非特許文献5)に従い行うことが好ましい。上記脱錯体化は、通常、試薬の存在下で行われる。試薬としては、2,2,6,6-テトラメチル−1−オキソピペリジン−1−イウム テトラフルオロボレート
、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)、4-メチルモルフォリンーN-オキシド、エチレンジアミン等が挙げられる。これらの試薬は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。試薬の使用量としては特に限定されないが、化合物(3)又はその塩1モルに対し、試薬を1〜10モル、好ましくは1〜4.5モルの範囲で使用することができる。
上記脱錯体化は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、アセトン、アセトニトリル等、これらの単独もしくは混合溶媒の中で行われる。また、各反応の反応温度は特に限定されず、通常、室温、冷却又は加熱下で反応が行われる。好ましくは、−50度から室温付近等が挙げられる。各反応の反応時間も特に限定されないが、例えば、5分〜2時間反応させることができる。本発明の方法は、化合物(5)又はその塩を除去する工程をさらに含んでもよい。化合物(5)又はその塩を除去する方法としては、自体公知の方法を適宜応用して使用することができる。
本発明において、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)及び化合物(4)だけでなく化合物(5)は、塩を形成していてもよい。また、化合物(5)の塩としては、酸付加塩及び塩基との塩も挙げられる。酸付加塩の具体例として、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。塩基との塩の具体例としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、ピリジン塩、トリエチルアミン塩のような有機塩基との塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。
本発明の方法における各工程で得られる各々の目的化合物は、反応生成物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作によって、反応生成物から単離精製することができる。
本発明における化合物(5)としては特に限定されないが、ごく一部の例として、以下のもの等が挙げられる:
キット
別の実施形態において、本発明は、化合物(1)又はその塩、及び化合物(2)又はその塩を含む、化合物(3)又はその塩を製造するためのキットを提供する。さらに別の実施形態において、本発明は、化合物(1)又はその塩、化合物(2)又はその塩、ならびに脱錯体化触媒を含む、化合物(5)又はその塩を製造するためのキットを提供する。
かかる実施形態において、化合物(1)又はその塩、化合物(2)又はその塩、脱錯体化触媒の好ましい例、使用割合;化合物(3)又はその塩及び化合物(5)又はその塩の好ましい例等は前記に基づき適宜設定可能である。
本発明のキットは、さらに前述したような化合物(1)又はその塩と化合物(2)又はその塩との反応に用いる触媒をさらに備えてもよい。また、本発明のキットは、化合物(1)又はその塩と化合物(2)又はその塩との反応生成物から化合物(4)又はその塩を除去し、化合物(3)又はその塩を精製するための器具、試薬(例えば、カラム、分離用溶媒等)をさらに備えていてもよい。また、本発明のキットには、必要に応じて他の成分を含めることができる。他の成分は、反応容器等などが挙げられるが、これに限定されない。化合物(3)又はその塩の製造方法を行うための手順を書き記した書面、化合物(5)又はその塩の製造方法を行うための手順を書き記した説明書等を含むこともできる。
本発明のキットは、常法に従い、上記成分を適宜備えることで作製することができる。キットの使用形態は特に限定されないが、前述した化合物(3)又はその塩の製造方法又は化合物(5)又はその塩の製造方法に用いることが好ましい。
製造例1 メチル 2-エチニルベンゾアート (30) の合成
メチル2-ヨード安息香酸 (32) (14.1 g, 54.0 mmol) とトリメチルシリルアセチレン (9.15 mL, 64.8 mmol) のトリエチルアミン (150 mL) 溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド (758 mg, 1.08 mmol) とヨウ化銅 (206 mg, 1.08 mmol) を加え、室温下で6時間撹拌した。反応溶液を減圧下濃縮後、残渣をジクロロメタン (150 mL) に溶解した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー (展開溶媒; 酢酸エチル : ヘキサン = 1 : 30) にて精製し、メチル 2-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゾアート (33) (13.5 g, 54.0 mmol, 100%) を黄色油状物質として得た。
メチル 2-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゾアート (33); IR (neat): 2160, 1736 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.90 (dd, J = 7.6 Hz, 1.3 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.44 (dt, J = 7.6, 1.3 Hz, 1H), 7.36 (dt, J = 7.6 Hz, 1.3 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 0.27 (s, 9H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 166.9, 134.5, 132.6, 131.4, 130.2, 128.2, 123.2, 103.3, 99.7, 52.0, 0.1; HRMS (ESI): calcd for C13H16O2SiNa ([M+Na]+): 255.0812, found 255.0803。
メチル 2-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゾアート (33) (2.0 g, 8.6 mmol) のメタノール (45 mL) 溶液に、炭酸カリウム (2.3 g, 17 mmol) を加え、室温下で3時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液 (30 mL) を反応液に加え、ジエチルエーテル (30 mL × 3) を用いて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : ヘキサン = 1 : 8) にて精製し、メチル 2-エチニルベンゾアート (30) (1.3 g, 8.2 mmol, 95%) を赤色油状物質として得た。
メチル 2-エチニルベンゾアート (30); IR (neat): 1729 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.94 (dd, J = 7.7 Hz, 1.0 Hz, 1H), 7.63 (brd, J = 7.7 Hz, 1H), 7.48 (dt, J = 7.7 Hz, 1.4 Hz, 1H), 7.41 (dt, J = 7.7 Hz, 1.4 Hz, 1H), 3.93 (s, 3H), 3.39 (s, 1H) ; 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ 166.1, 134.7, 132.3, 131.4, 130.0, 128.2, 122.4, 82.1, 81.8, 51.8; HRMS (ESI): calcd for C10H8O2 (M+): 160.0524, found 160.0507。
製造例2 試薬 23a の合成
アリルパラジウムクロリドダイマー (9.20 mg, 25 μmol)、1,3-ジ-1-アダマンチルイミダゾリウムクロリド (IAd・HCl) (19.8 mg, 50 μmol)、ヨウ化銅 (21.6 mg, 112 μmol) と炭酸セシウム (228 mg, 0.70 mmol) のジメチルホルムアミド-ジエチルエーテル混合溶媒 (1 : 2) (1 mL) に、メチル 2-エチニルベンゾアート (30) (52 μL, 0.375 mmol) 及び2-(ノナフルオロブチル)エチルヨージド (27a) (86 μL, 0.500 mmol) を加え40 °Cで24時間撹拌した。反応液を濾過後、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン : ヘキサン = 1 : 30 から 1 : 8) にて精製し、メチル 2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)ベンゾアート (31a) (100 mg, 0.250 mmol, 27aより50%, 30より 67%) を黄色油状物質として得た。
メチル 2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)ベンゾアート(31a); IR (neat): 2955, 1734 cm-1; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ 8.02 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.70 (t, J= 7.6 Hz, 1H), 7.62 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.37 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.53-2.45 (m, 2H); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3): δ 195.9, 193.4, 167.3, 138.3, 133.5, 131.5, 129.3, 129.1, 53.0, 28.0, 24.8 (t, 1JCF = 23.1 Hz); 19F-NMR (562 MHz, CDCl3): δ -80.9 (s, 3F), -114.3 (s, 2F), -124.3 (s, 2F), -125.9 (s, 2F); HRMS (ESI): calcd for C11H11O2F9Na ([M+Na]+): 429.0508, found 429.0505。
メチル 2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)ベンゾアート (31a) (274 mg, 0.67 mmol) のトリフルオロエタノール (1.8 mL) 溶液に2N水酸化カリウム水溶液(1.8 mL)をくわえ、50 °Cで16時間撹拌した。1N塩酸 (5 mL)を反応液に加え、ジクロロメタン(10 mL × 3) を用いて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : ヘキサン = 1 : 20) にて精製し、2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)安息香酸 (34a) (244 mg, 0.62 mmol, 92%) を白色固体物質として得た。
2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)安息香酸 (34a); mp. 82-84 ℃; IR (neat): 1705 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3): 8.06 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 7.7, 1H), 7.40 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 2.82 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.57-2.44 (m, 2H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): 170.8, 134.4, 132.6, 131.3, 130.9, 127.9, 124.2, 92.7, 80.3, 30.4 (t, 1JCF= 21.3 Hz), 11.9 (t, 2JCF= 4.9 Hz); 19F-NMR (562 MHz, CDCl3): δ -80.9 (s, 3F), -115.3 (s, 2F), -124.4 (s, 1F), -125.9 (s, 1F); HRMS (EI): calcd for C15H9O2F9(M+): 392.0459, found 392.0440。
2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)安息香酸 (34a) (196 mg, 0.50 mmol) のジクロロメタン溶液 (1.7 mL) に塩化オキサリル (58 μL, 0.65 mmol) とN,N-ジメチルホルムアミド (4.0 μL) を加え、室温下で1時間撹拌した。反応液を濃縮後、残渣をジクロロメタン (2.5 mL) とピリジン (0.38 mL, 5.0 mmol) に溶かし、その後プロパルギルアルコールコバルト錯体 (35) (128 mg, 0.38 mmol) を加えた。水 (5 mL) を反応液に加え、ジクロロメタン (10 mL × 3) を用いて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣を、リカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : ヘキサン = 1 : 100) にて精製し、試薬23aを (231 mg, 0.32 mmol, 35 より 84%) を赤色固体物質として得た。
23a: IR (neat): 2030, 1732 cm-1; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3):δ 8.01 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.54 (d, J= 7.5 Hz, 1H), 7.47 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.13 (s, 1H), 5.53 (s, 2H), 2.82 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 2.55-2.46 (m, 2H); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3):δ 199.0, 165.2, 134.4, 132.0, 131.1, 130.2, 127.7, 124.3, 92.0, 88.6, 80.4, 72.1, 65.4, 30.4 (t, 1JCF = 21.5 Hz), 11.9 (t, 2JCF = 5.7 Hz); 19F-NMR (562 MHz, CDCl3): δ -80.9 (s, 3F), -115.3 (s, 2F), -124.4 (s, 2F), -125.9 (s, 2F); HRMS (EI): calcd for C21H11F9O5Co2 ([M-3CO]+): 631.9127, found: 631.9111。
製造例3 試薬23bの合成
アリルパラジウムクロリドダイマー (46 mg, 0.13 mmol)、1,3-ジ-1-アダマンチルイミダゾリウムクロリド (IAd・HCl) (99 mg, 0.25 mmol)、ヨウ化銅 (108 mg, 0.56 mmol) と炭酸セシウム (1.14 g, 3.5 mmol) のN,N-ジメチルホルムアミド-ジエチルエーテル混合溶媒 (1 : 2) (5 mL) に、メチル 2-エチニルベンゾアート (30) (0.46 mL, 1.88 mmol) 及び1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチルヨージド(27b) (0.60 mL, 2.5 mmol) を加え40 °Cで24時間撹拌した。反応液を濾過後、減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (ジクロロメタン : ヘキサン = 1 : 30 から 1 : 8) にて精製し、メチル2-(5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-トリデカフルオロデカ-1-イン-1-イル)ベンゾアート (31b) (629 mg, 1.24 mmol, 27bより50%, 30より66%) を黄色油状物質として得た。
メチル 2-(5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-トリデカフルオロデカ-1-イン-1-イル)ベンゾアート (31b); IR (neat): 1733 cm-1; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.91 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.45 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.36 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 2.82 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.54-2.45 (m, 2H); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3): δ 166.6, 134.2, 132.0, 131.6, 130.3, 127.7, 123.6, 91.5, 80.4, 52.0, 30.6 (t, 1JCF= 21.7 Hz), 11.9 (t, 2JCF= 5.8 Hz); 19F-NMR (562 MHz, CDCl3): δ -80.7 (s. 3F), -115.0 (s, 2F), -121.8 (s, 2F), -122.7 (s, 2F), -123.5 (s, 2F), -126.0 (s, 2F); HRMS (EI): calcd for C18H11O2F13 (M+): 506.0551, found 506.0543。
メチル 2-(5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-トリデカフルオロデカ-1-イン-1-イル)ベンゾアート (31b) (308 mg, 0.61 mmol) のトリフルオロエタノール (1.7 mL) 溶液に2N水酸化カリウム水溶液 (1.7 mL)をくわえ、50 °Cで10時間撹拌した。1N塩酸 (5 mL)を反応液に加え、ジクロロメタン (10 mL × 3) を用いて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : ヘキサン = 1 : 20) にて精製し、2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)安息香酸 (34b) (266 mg, 0.54 mmol, 89%) を白色固体物質として得た。
2-(5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-トリデカフルオロデカ-1-イン-1-イル)安息香酸(34b); mp. 78-80 ℃; IR (neat): 1698 cm-1; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3): 8.06 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.55 (d, J= 7.6 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 2.83 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.55-2.46 (m, 2H); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3): 170.5, 134.3, 132.5, 131.2, 130.7, 127.9, 124.1, 92.7, 80.2, 30.4 (t, 1JCF = 21.7 Hz), 11.9 (t, 2JCF = 5.8 Hz); 19F-NMR (562 MHz, CDCl3): δ -80.7 (s, 3F) -118.3 (s, 2F), -125.1 (s, 2F), -126.0 (s, 2F), -126.7 (s, 2F), -129.3 (s, 2F); HRMS (EI): calcd for C17H9O2F13(M+): 492.0395, found 492.0373。
2-(5,5,6,6,7,7,8,8,8-ノナフルオロオクタ-1-イン-1-イル)安息香酸 (34b) (248 mg, 0.50 mmol) のジクロロメタン溶液 (1.7 mL) に塩化オキサリル (58 μL, 0.65 mmol) とN,N-ジメチルホルムアミド (4.0 μL, 4.0 mg, 54 μmol) を加え、室温下で1時間撹拌した。反応液を濃縮後、残渣をジクロロメタン (2.5 mL) とピリジン (0.38 mL, 5.0 mmol) に溶かし、その後プロパルギルアルコールコバルト錯体 (35) (128 mg, 0.38 mmol) を加えた。水 (5 mL) を反応液に加え、ジクロロメタン (10 mL × 3) を用いて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : ヘキサン = 1 : 100) にて精製し、試薬23bを (231 mg, 0.32 mmol, 35より85%) を赤色固体物質として得た。
23b: red solid; IR (neat): 2029, 1733 cm-1; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3):δ 8.01 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.43 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 6.13 (s, 1H), 5.52 (s, 2H), 2.83 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.54-2.48 (m, 2H); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3):δ 199.1, 165.2, 134.4, 132.0, 131.1, 130.2, 127.7, 124.3, 92.0, 88.6, 80.4, 72.1, 65.4, 30.5 (t, 1JCF = 23.1 Hz), 11.9 (t, 2JCF = 5.8 Hz); 19F-NMR (562 MHz, CDCl3): δ -80.7 (s, 3F), -115.1 (s, 2F), -121.8 (s, 2F), -122.8 (s, 2F), -123.5 (s, 2F), -126.1 (s, 2F); HRMS (ESI): calcd for C26H11O8Co2F13Na ([M+Na]+): 838.8793, found 838.8803。
目的分子の官能基化実施例
製造例4 金触媒24の調製
文献既知化合物(非特許文献6)であるクロロ[トリス(4-トリフルオロフェニル)ホスフィン]金67 (164 mg, 0.3 mmol) のジクロロメタン溶液 (5.2 mL)に, ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド銀 (116 mg, 0.3 mmol) を加え, 室温下24時間撹拌した。生じた塩化銀をセライト濾過し, 濾液を減圧下濃縮することで金触媒24 (211 mg, 0.27 mmol, 89%) を白色結晶物質として得た。
24: white crystal; IR (neat): 1590, 1496 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.53-7.22 (m, 4H);13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 165.5 (dd, 1JCF = 257.2 Hz, 1JCP = 3.3 Hz), 136.3 (dd, 2JCP = 15.6 Hz, 2JCF = 9.0 Hz), 122.7, (dd, 3JCP = 69.6 Hz, 3JCF = 3.3 Hz), 119.4 (q, 5JCF = 322.8 Hz), 117.5 (dd, 4JCF = 22.1 Hz, 4JCP = 13.9 Hz); HRMS (EI): calcd for C20H12F9NO4PS2Au(M+): 792.9467, found: 792.9479。
官能基化反応
実施例1
[メチル 2-(6-メトキシ-5-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン-2-イル)プロパネート]ジコバルトヘキサカルボニル (17) (ナプロキセンメチルエステル誘導体)
2口10 mLナシ型フラスコに、モレキュラーシーブ4 Å (50 mg) を加え、減圧下、ヒートガンにて加熱、放冷を三度繰り返した後、容器内をアルゴンで満たした。試薬23b (50 mg, 60 μmol) とナプロキセンメチルエステル (15) (12.3 mg, 50 μmol) の両方を溶かしたジクロロエタン溶液 (1.0 mL) を、カニュレーションにてこの容器に加えた後に、金触媒24 (1.98 mg, 5.0 μmol) を加え、室温下で15分撹拌した。反応液に飽和重曹水 (2 mL) を加え、ジクロロメタン (5 mL × 3) を用いて抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30) にて粗精製したのちに、フルオラスシリカゲルクロマトグラフィー (メタノール:水 = 1 : 4) にて精製し26bを分離することで、表題化合物17 (27.5 mg, 48.4 μmol, 97%) を赤色油状物質として得た。
ナプロキセンメチルエステル誘導体 17; IR (neat): 2019 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.90 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.75 (d, J= 9.9 Hz, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.48 (d, J= 8.9 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.91 (s, 1H), 4.61 (s, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.87 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 3.68 (s, 3H), 1.59 (d, J = 7.1 Hz, 3H);13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.7, 175.1, 154.0, 135.3, 131.8, 129.1, 128.8, 126.8, 126.4, 123.7, 121.1, 112.7, 96.2, 73.5, 55.6, 52.0, 45.2, 29.0, 18.5;HRMS (EI): calcd for C19H18O4Co2 ([M-5CO]+): 427.9869, found: 427.9864.
3-(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチル)-1H-イソクロメン-1-オン(26b): mp. 54-56 ℃; IR (neat): 1736 cm-1; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3):δ 8.28 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.71 (t, J= 7.5 Hz, 1H), 7.51 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.38 (s, 1H), 2.87 (t, J = 8.2 Hz, 2H), 2.55 (sext, J = 8.2 Hz, 2H);13C-NMR (150 MHz, CDCl3):δ 162.4, 154.3, 137.0, 135.0, 129.7, 128.3, 125.3, 120.4, 104.3, 28.9, 28.7, 28.6 (t, 1JCF = 22.9 Hz), 25.07, 25.04, 25.01(t, 2JCF = 4.3 Hz); 19F-NMR (562 MHz, CDCl3): δ -114.7 (s, 1F), -121.8 (s, 1F), -122.7 (s, 1F), -123.7 (s, 1F), -126.4 (s, 1F), -161.7 (s, 1F); HRMS (EI): calcd for C17H9F13O2 (M+): 492.0395, found: 492.0366 。
実施例2
[2-メトキシ-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン]ジコバルトヘキサカルボニル (25)
原料であるナプロキセンメチルエステル (15) (12.3 mg, 50 μmol) に代えて2-メトキシナフタレン (22) (7.91 mg, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えてヘキサンを用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体17の合成と同様にして表題化合物25 (23.8 mg, 49.3 μmol, 99%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[2-メトキシ-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン]ジコバルトヘキサカルボニル (25); IR (neat): 2017 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.95 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.80-7.77 (m, 2H), 7.52 (brt, J = 7.2 Hz, 1H), 7.35 (t, J= 7.2 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.93 (s, 1H), 4.63 (s, 2H), 3.97 (s, 3H) ;13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.8, 154.1, 132.7, 129.2, 128.9, 128.7, 126.5, 123.3, 123.2, 121.3, 112.4, 96.4, 73.6, 55.6, 29.0; HRMS (EI): calcd for C19H12O6Co2 ([M-CO]+): 453.9298, found: 453.9312 。
実施例3
[2-イソプロキシ-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン]ジコバルトヘキサカルボニル (39)
原料であるナプロキセンメチルエステル (15) (12.3 mg, 50 μmol) に代えて2-イソプロキシナフタレン (38) (9.31 mg, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えてヘキサンを用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体17の合成と同様にして表題化合物 39 (30.0 mg, 48.9 μmol, 98%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[2-メトキシ-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン]ジコバルトヘキサカルボニル (39): IR (neat): 2017 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.95 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.77 (d, J= 8.2 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.52 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 5.91 (s, 1H), 4.72 (quint, J = 6.3 Hz, 1H), 4.63 (s, 2H), 6.37 (d, J = 6.3 Hz, 1H) ;13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.9, 152.7, 132.8, 129.2, 128.7, 128.6, 126.4, 123.41, 123.36, 122.6, 115.4, 96.4, 73.9, 71.3, 29.6, 22.4; HRMS (EI): calcd for C19H18O4Co2 ([M-5CO]+): 369.9814, found: 369.9786。
実施例4
[3-メチル-2-(プロ-2-ピン-1-イル)ベンゾフラン]ジコバルトヘキサカルボニル (41)
原料であるナプロキセンメチルエステル (15) (12.3 mg, 50 μmol) に代えて3-メチルベンゾフラン (40) (6.23 μL, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えてヘキサンを用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体17の合成と同様にして表題化合物 41 (17.8 mg, 39.0 μmol, 78%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[3-メチル-2-(プロ-2-ピン-1-イル)ベンゾフラン]ジコバルトヘキサカルボニル (41): IR (neat): 2019 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.45 (dd, J = 6.8 Hz, 1.4 Hz, 1H), 7.38 (dd, J = 6.8 Hz, 1.4 Hz, 1H), 7.24 (dt, J = 7.2 Hz, 1.9 Hz, 1H), 7.20 (dt, J = 6.8 Hz, 1.4 Hz, 1H), 6.09 (s, 1H), 4.23 (s, 2H), 2.23 (s, 3H);13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.4, 153.9, 150.9, 129.8, 123.9, 122.2, 119.1, 111.1, 110.9, 93.3, 73.1, 30.4, 7.9; HRMS (EI): calcd for C17H10O7Co2 ([M-5CO]+): 427.9141, found: 427.9161。
実施例5
[1-メチル-3-(プロ-2-ピン-1-イル)インドール]ジコバルトヘキサカルボニル (43)
金触媒24 の量1.98 mg (2.5 μmol) に代えて 3.96 mg (5.0 μmol), 原料であるナプロキセンメチルエステル (15) (12.3 mg, 50 μmol) に代えて1-メチルインドール (6.24 μL, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えてヘキサンを用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体17の合成と同様にして表題化合物 43 (15.7 mg, 34.4 μmol, 69%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[1-メチル-3-(プロ-2-ピン-1-イル)インドール]ジコバルトヘキサカルボニル (43): IR (neat): 2015 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.63 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.29 (d, J= 7.5 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.15 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 6.94 (s, 1H), 6.05 (s, 1H), 4.27 (s, 2H), 3.75 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ199.7, 137.0, 127.3, 126.9, 121.8, 119.0, 118.7, 114.1, 109.3, 98.9, 73.6, 32.6, 30.1; HRMS (EI): calcd for C16H11NO4Co2 ([M-2CO]+): 398.9352, found: 398.9341。
実施例6
[3-メチル-2-(プロ-2-ピン-1-イル)チオフェン]ジコバルトヘキサカルボニル (45)
金触媒24 の量1.98 mg (2.5 μmol) に代えて7.92 mg (10 μmol), 原料であるナプロキセンメチルエステル (15) (12.3 mg, 50 μmol) に代えて3-メチルベンゾフラン (44) (6.70 μL, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えてヘキサンを用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体 17の合成と同様にして表題化合物 45 (7.85 mg, 16.6 μmol, 33%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[3-メチル-2-(プロ-2-ピン-1-イル)チオフェン]ジコバルトヘキサカルボニル (45): IR (neat): 2018 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.77 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.63 (d, J= 7.7 Hz, 1H), 7.36 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.30 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 6.10 (s, 1H), 4.37 (s, 2H), 2.40 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.4, 140.3, 138.3, 136.5, 128.1, 124.2, 124.0, 122.2, 121.7, 95.1, 73.6, 32.7, 11.7; HRMS (EI): calcd for C17H10O5SCo2 ([M-CO]+): 443.8913, found: 443.8926。
実施例7
[1-(6-メトキシ-5-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン-2-イル)エタン-1-オン]ジコバルトヘキサカルボニル (50)
金触媒24 の量1.98 mg (2.5 μmol) に代えて7.92 mg (10 μmol), 原料であるナプロキセンメチルエステル (15) (12.3 mg, 50 μmol) に代えて2-アセチル-6-メトキシナフタレン (48) (10.0 mg, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えて 酢酸エチル: ヘキサン = 1 : 50 to 1 : 20 を用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体17の合成と同様にして表題化合物 49 (19.5 mg, 37.2 μmol, 74%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[1-(6-メトキシ-5-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン-2-イル)エタン-1-オン]ジコバルトヘキサカルボニル (49): red oil; IR (neat): 2017, 1677 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.42 (s, 1H), 8.08 (dd, J = 9.2 Hz, 1.9 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.33 (s, 1H), 5.93 (s, 1H), 4.63 (s, 2H), 4.00 (s, 3H), 2.71 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.7, 197.7, 156.3, 135.0, 132.3, 131.2, 130.9, 127.9, 124.6, 123.6, 121.6, 113.1, 95.6, 73.5, 55.6, 28.8, 26.5; HRMS (EI): calcd for C17H14O3Co2([M-5CO]+): 383.9607, found: 383.9607。
実施例8
[6-((ベンジルオキシ)メチル)-2-メトキシ-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン)]ジコバルトヘキサカルボニル (51)
金触媒24 の量1.98 mg (2.5 μmol) に代えて3.96 mg (5.0 μmol), 原料であるナプロキセンメチルエステル(15) (12.3 mg, 50 μmol) に代えて 2-((ベンジルオキシ)メチル)-6-メトキシナフタレン (50) (13.9 mg, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えて 酢酸エチル: ヘキサン = 1 : 100 を用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体17の合成と同様にして表題化合物 51 (20.1 mg, 35.0 μmol, 70%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[6-((ベンジルオキシ)メチル)-2-メトキシ-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン)]ジコバルトヘキサカルボニル (51); IR (neat): 2016 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.94 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.56-7.54 (m, 2H), 7.55 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.41-7.24 (m, 6H), 5.93 (s, 1H), 4.70 (s, 2H), 4.63 (s, 2H), 4.60 (s, 2H), 3.97 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.8, 154.1, 138.3, 133.1, 132.2, 128.92, 128.85, 128.4, 127.9, 127.7, 127.5, 126.7, 123.5, 121.2, 112.6, 96.3, 73.5, 72.1, 55.6, 29.0 ; HRMS (EI): calcd for C17H14O3Co2([M-5CO]+): 383.9607, found: 383.9607。
実施例9
[2-メトキシ-6-((メトキシメトキシ)メチル)-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン]ジコバルトヘキサカルボニル (53)
金触媒24 (1.98 mg, 2.5 μmol) に代えて 3.96 mg (5.0 μmol), 原料であるナプロキセンメチルエステル (12.3 mg, 50 μmol) に代えて 2-メトキシ-6-((メトキシメトキシ)メチル)ナフタレン (11.6 mg, 50 μmol), シリカゲルクロマトグラフィーの展開溶媒として、酢酸エチル : ヘキサン= 1 : 30 に代えて 酢酸エチル: ヘキサン = 1 : 50 を用いる以外、ナプロキセンメチルエステル誘導体17の合成と同様にして表題化合物 (16.1 mg, 29 μmol, 58%) を赤色油状物質として得た。なお、本化合物の精製にはフルオラスシリカゲルクロマトグラフィーは不要であった。
[2-メトキシ-6-((メトキシメトキシ)メチル)-1-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン]ジコバルトヘキサカルボニル (53) ; IR (neat): 2018 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.94 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.77 (d, J= 9.2 Hz, 1H), 7.76 (s, 1H), 7.52 (dd, J= 8.7 Hz, J = 1.9 Hz, 1H) , 7.25 (dd, J = 7.3 Hz, J = 1.9 Hz, 1H), 5.92 (s, 1H), 4.75 (s, 2H), 4.74 (s, 2H), 4.62 (s, 2H), 3.97 (s, 3H), 3.45 (s, 3H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ 199.9, 154.2, 132.6, 132.2, 128.90, 128.87, 127.6, 126.7, 123.6, 121.2, 112.6, 95.6, 73.5, 69.2, 55.6, 55.4, 29.7, 27.7 ; HRMS (EI): calcd for C17H14O3Co2([M-3CO]+): 471.9767, found: 471.9761。
脱錯体化
実施例10
N-メチル-3-(プロ-2-ピン-1-イル)インドール (89)
[1-メチル-3-(プロ-2-ピン-1-イル)インドール]ジコバルトヘキサカルボニル (54) (26.1 mg, 57.3 μmol) のアセトニトリル溶液 (5.7 mL) に-40 °Cにて2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキソアンモニウム 四フッ化ホウ素塩 (TEMPO+BF4 -) (全量 63.7 mg, 0.262 mmol) を5分ごとに0.5当量ずつ加えた。反応終了後、飽和重曹水 (2 mL) を反応液に加え、酢酸エチル (4 mL × 3) を用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮をした。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン) にて精製し、1-メチル-3-(プロ-2-ピン-1-イル)インドール (89) (6.96 mg, 0.0441 mmol, 72%) を黄色油状物質として得た。
1-メチル-3-(プロ-2-ピン-1-イル)インドール (89): IR (neat): 3292 cm-1; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.62 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.30 (d, J= 7.5 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.13 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.04 (s, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.69 (d, J = 2.6 Hz, 2H), 2.13 (t, J = 2.6 Hz, 1H); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ137.2, 127.0, 126.8, 121.8, 119.0, 118.7, 109.4, 109.3, 82.6, 68.9, 32.7, 15.1; HRMS (ESI): calcd for C12H11N ([M+H]+): 169.0892, found: 169.0885。
実施例11
メチル 2-(6-メトキシ-5-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン-2-イル)プロパネート (93)
[メチル 2-(6-メトキシ-5-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン-2-イル)プロパネート]ジコバルトヘキサカルボニル (34) (40.1 mg, 70.6 μmol) のアセトニトリル溶液 (7.1 mL) に-40 °Cにて2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキソアンモニウム 四フッ化ホウ素塩 (TEMPO+BF4 -) (全量 72.4 mg, 0.285 mmol) を5分ごとに0.5当量ずつ加えた。反応終了後、飽和重曹水 (2 mL) を反応液に加え、酢酸エチル (4 mL × 3) を用いて抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下濃縮をした。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (酢酸エチル : ヘキサン = 1 : 20) にて精製し、メチル 2-(6-メトキシ-5-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン-2-イル)プロパネート (93) (18.2 mg, 0.0643 mmol, 91%) を黄色油状物質として得た。
メチル 2-(6-メトキシ-5-(プロ-2-ピン-1-イル)ナフタレン-2-イル)プロパネート (93): IR (neat): 3290 cm-1; 1H-NMR (600 MHz, CDCl3):δ 8.02 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.75 (d, J= 7.9 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.50 (d, J= 8.9 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 3.97 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 3.97 (s, 3H), 3.87 (q, J = 7.0 Hz, 1H), 3.67 (s, 3H), 1.97 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 1.58 (d, J = 7.0 Hz, 3H); 13C-NMR (150 MHz, CDCl3):δ175.0, 154.0, 135.6, 131.8, 129.3, 128.8, 126.7, 123.8, 117.5, 113.9, 82.8, 67.9, 56.8, 52.0, 45.2, 18.5, 14.4; HRMS (ESI): calcd for C18H19O3 ([M+H]+): 283.1329, found: 283.1324。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される化合物又はその塩:
    [式中、Rは電子求引基を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は電子求引基を示す。R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。X及びXは、同一又は異なって、酸素又は硫黄を示す。]。
  2. がフッ素を含む炭化水素基である、請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. 、R、R及びRが水素である、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
  4. 及びXが酸素である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩と、芳香環及び式(2−1)で表される基
    −X−H (2−1)
    [式中、Xは、酸素、硫黄、−(C=O)−O−又は−NH−を示す。]
    からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩とを反応させて、式(3)で表される化合物又はその塩
    [式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]
    及び式(4)で表される化合物又はその塩
    [式中、Rは電子求引基を示す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は電子求引基を示す。X及びXは、同一又は異なって、酸素又は硫黄を示す。]
    を得る工程を含む、式(3)で表される化合物又はその塩を製造するための方法。
  6. 前記反応が一価の金触媒の存在下で行われる、請求項5に記載の方法。
  7. 式(4)で表される化合物又はその塩を除去する工程をさらに含む、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法により、式(3)で表される化合物又はその塩を得る工程
    [式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]
    及び前記式(3)で表される化合物又はその塩を脱錯体化する工程を含む、式(5)で表される化合物又はその塩
    [式中、R、R、R、及びAは前記に同じ。]
    を製造するための方法。
  9. 前記脱錯体化が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキソアンモニウム テトラフルオロボレートの存在下で行われる、請求項8に記載の方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩、及び芳香環及び式(2−1)で表される基
    −X−H (2−1)
    [式中、Xは、酸素、硫黄、−(C=O)−O−又は−NH−を示す。]
    からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩を含む、式(3)で表される化合物又はその塩を製造するためのキット。
    [式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]。
  11. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩、
    芳香環及び式(2−1)で表される基
    −X−H (2−1)
    [式中、Xは、酸素、硫黄、−(C=O)−O−又は−NH−を示す。]
    からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩、ならびに
    脱錯体化触媒
    を含む、式(5)で表される化合物又はその塩を製造するためのキット。
    [式中、R、R及びRは、同一又は異なって、水素又は置換基を示す。Aは、前記芳香環及び式(2−1)で表される基からなる群より選択される少なくとも1種を有する化合物又はその塩から芳香環に含まれる炭素に結合した水素又は式(2−1)で表される基においてXに結合する水素を除いた一価の基を示す。]
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