JP2019151511A - 合わせガラス用中間膜 - Google Patents

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芳聡 淺沼
Yoshiaki Asanuma
芳聡 淺沼
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Abstract

【課題】高い遮音性を有すると共に、長期間使用しても制振性付与剤の移行が起こりにくく遮音性の経時的な低下が抑制された、合わせガラス用中間膜を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤を含有するA層と、熱可塑性樹脂Bを含有するB層とを少なくとも有する合わせガラス用中間膜であって、A層に含まれる熱可塑性樹脂Aと制振性付与剤との質量比が1:10〜10:1であり、熱可塑性樹脂A、制振性付与剤及び熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータを、それぞれ、SPA、SPV、SPBとすると、SPA、SPV及びSPBが、式(1):|SPA−SPV|<|SPB−SPV| (1)を満足し、A層が、−50〜100℃の範囲の温度TAにtanδのピーク値tanδAを有し、tanδAが3.1より大きい、合わせガラス用中間膜。【選択図】なし

Description

本発明は、合わせガラス用中間膜に関する。
合わせガラス用中間膜は、高強度かつ高透明性を有し、ガラスとの接着性に優れ、柔軟性に優れることが要求される膜であり、このような合わせガラス用中間膜を2枚のガラスで挟んで得られる合わせガラスは、自動車フロントガラス等の各種安全ガラスに使用されている。
近年、生活環境の質を向上するという要求が高まりつつあり、それに伴い、遮音に関するニーズが高まっている。例えば自動車や建物の窓に使用される合わせガラスにおいても高い遮音性が求められており、遮音性を有する合わせガラス用中間膜を含む遮音性合わせガラスに関する検討が行われている。遮音性を有する合わせガラス用中間膜として、例えば特許文献1には、ポリビニルアセタールと所定の式で表されるエステル化合物を含有する層を有する積層体が記載されている。また、特許文献2には、ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤及び粘着付与剤を含む層を備える合わせガラス用中間膜が記載されている。
特に自動車フロントガラスにおいては、自動車の燃費向上、自動車の低重心化等を目的として、軽量化に対する要求も高まっている。ところが、フロントガラスを軽量化した場合、音響透過損失が低下し、遮音性が低下することが知られている。非特許文献1によると、質量則に従う領域の音響透過損失TL[dB]は、合わせガラスの面密度をm[kg/m]、周波数をf[Hz]とすると簡易的に、式(i):
TL=18log10(m×f)−43.5 (i)
により求められ、合わせガラスの面密度を10%、20%低減した場合、その音響透過損失はそれぞれ約0.8dB、1.7dB低下することがわかる。すなわちフロントガラスの軽量化と遮音性は従来、トレードオフの関係にあり、これらの特性を両立するには未だ課題があった。
国際公開第2014/188544号 国際公開第2013/042771号
制振工学ハンドブック(コロナ社、2008年刊)490ページ、(3.60)式
合わせガラスは、上記のように例えば自動車フロントガラス等において使用されるため、長期間にわたり安定して遮音性を有することが要求される。合わせガラスに含まれる中間膜が複数の樹脂層の積層体である場合、ある層に制振性を付与する目的で添加した成分が、積層された樹脂層間で隣の層へと徐々に移行し、遮音性が継時的に低下する場合がある。
そこで本発明は、高い遮音性を有すると共に、長期間使用しても制振性付与剤の移行が起こりにくく遮音性の経時的な低下が抑制された、合わせガラス用中間膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下に説明する本発明の合わせガラス用中間膜により上記目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の好適な態様を包含する。
〔1〕熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤を含有するA層と、熱可塑性樹脂Bを含有するB層とを少なくとも有する合わせガラス用中間膜であって、
A層に含まれる熱可塑性樹脂Aと制振性付与剤との質量比が1:10〜10:1であり、熱可塑性樹脂A、制振性付与剤及び熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータを、それぞれ、SP、SP、SPとすると、SP、SP及びSPが、式(1):
|SP−SP|<SP−SP| (1)
を満足し、A層が、−50〜100℃の範囲の温度Tにtanδのピーク値tanδを有し、tanδが3.1より大きい、合わせガラス用中間膜。
〔2〕SP及びSPが、式(2):
SP<SP (2)
を満足する、前記〔1〕の合わせガラス用中間膜。
〔3〕B層が、−40〜200℃の範囲の温度Tにtanδのピーク値を有し、温度T及び温度Tが、式(3):
<T (3)
を満足する、前記〔1〕又は〔2〕の合わせガラス用中間膜。
〔4〕熱可塑性樹脂Aがアクリル樹脂及びスチレンジエン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔5〕熱可塑性樹脂Aが、(メタ)アクリルモノマーの重合体からなるブロックを少なくとも1つ含むブロックコポリマーである、前記〔4〕の合わせガラス用中間膜。
〔6〕熱可塑性樹脂Aが、スチレンの重合体からなるブロック、及び、ジエンモノマーの重合体からなるブロックをそれぞれ少なくとも1つ含むブロックコポリマーである、前記〔4〕の合わせガラス用中間膜。
〔7〕熱可塑性樹脂Aが、m個のブロックを有するブロックコポリマーであり、mが2以上の整数であり、各ブロックが有する溶解度パラメータをそれぞれSPAb1〜SPAbmとすると、SPAb1〜SPAbmの少なくとも1つであるSPAbnが、式(4):
|SPAbn−SP|<|SP−SP| (4)
を満足する、前記〔1〕〜〔6〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔8〕A層が、アクリル樹脂を含む層を少なくとも1層含む多層樹脂である熱可塑性樹脂Aを含む組成物から形成される、前記〔4〕の合わせガラス用中間膜。
〔9〕A層が、p個の層からなる多層樹脂である熱可塑性樹脂Aを含む組成物から形成され、pが2以上の整数であり、各層が有する溶解度パラメータをそれぞれSPAl1〜SPAlpとすると、SPAl1〜SPAlpの少なくとも1つであるSPAlqが、式(5):
|SPAlq−SP|<|SP−SP| (5)
を満足する、前記〔1〕〜〔4〕及び〔8〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔10〕SP及びSPが、式(6):
|SP−SP|<1 (6)
を満足する、前記〔1〕〜〔9〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔11〕SP及びSPが、式(7):
|SP−SP|>1 (7)
を満足する、前記〔1〕〜〔10〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔12〕B層がさらに可塑剤を含有し、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bと可塑剤との質量比が20:1〜1:1である、前記〔1〕〜〔11〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔13〕B層に含まれる可塑剤の溶解度パラメータをSPとすると、SP、SP及びSPが、式(8):
|SP−SP|>|SP−SP| (8)
を満足する、前記〔1〕〜〔12〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔14〕SP及びSPが、式(9):
|SP−SP|>1 (9)
を満足する、前記〔1〕〜〔13〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔15〕SP及びSPが、式(10):
|SP−SP|<1 (10)
を満足する、前記〔1〕〜〔14〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
〔16〕少なくとも1つのA層と少なくとも1つのB層が隣接する、前記〔1〕〜〔15〕のいずれかの合わせガラス用中間膜。
本発明の合わせガラス用中間膜を使用する合わせガラスは、高い遮音性を有すると共に、長期間使用しても制振性付与剤の移行が起こりにくく遮音性の経時的な低下を抑制できる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤を含有するA層と、熱可塑性樹脂Bを含有するB層とを少なくとも有し、A層に含まれる熱可塑性樹脂Aと制振性付与剤との質量比は1:10〜10:1であり、熱可塑性樹脂A、制振性付与剤及び熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータを、それぞれ、SP、SP、SPとすると、SP、SP及びSPは、式(1):
|SP−SP|<|SP−SP| (1)
を満足し、A層は、−50〜100℃の範囲の温度Tにtanδのピーク値tanδを有し、tanδは3.1より大きい。上記特徴を有する本発明の合わせガラス用中間膜は、高い遮音性を有すると共に、遮音性の経時的な低下が起こりにくい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤を含有するA層と、熱可塑性樹脂Bを含有するB層とを少なくとも有する。A層に含まれる熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤、ならびに、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータを、それぞれ、SP、SP、SPとすると、SP、SP及びSPは、式(1):
|SP−SP|<|SP−SP| (1)
を満足する。本発明において、溶解度パラメータ(以下、SP値と称することがある)は、Polymer Engineering and Science, 1974, Vol.14, No.2, 147〜154に記載の方法で計算される。上記式(1)は、|SP−SP|が|SP−SP|よりも大きいことを表し、具体的には、A層に含まれる熱可塑性樹脂Aの溶解度パラメータSPとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差の絶対値が、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータSPとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差の絶対値よりも小さいことを表す。言い換えると、A層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPが、熱可塑性樹脂Bよりも熱可塑性樹脂Aの溶解度パラメータと近いことを表す。このような特徴を有することにより、本発明の合わせガラス用中間膜は、長期間使用しても制振性付与剤の移行が起こりにくく遮音性の経時的な低下が抑制される。
遮音性の経時的な低下を抑制しやすい観点からは、|SP−SP|は|SP−SP|よりも、好ましくは0.5以上大きく、より好ましくは0.6以上大きく、さらに好ましくは0.7以上大きく、最適には0.9以上大きい。すなわち、SP、SP及びSPは、|SP−SP|+0.5≦|SP−SP|(1−1)を満足することが好ましく、|SP−SP|+0.6≦|SP−SP|(1−2)を満足することがより好ましく、|SP−SP|+0.7≦|SP−SP|(1−3)を満足することがさらに好ましく、|SP−SP|+0.9≦|SP−SP|(1−4)を満足することが最適である。
SP及びSPは、式(2):
SP<SP (2)
を満足することが好ましい。この場合、B層の柔軟性がA層の柔軟性よりも低くなりやすく、そのため、A層の遮音性を高めつつB層の力学強度を高めやすくなり、遮音性及び力学強度に優れる合わせガラス用中間膜を得やすい。SPはSPよりも、好ましくは0.5以上大きく、より好ましくは0.6以上大きく、さらに好ましくは0.7以上大きく、最適には0.9以上大きい。すなわち、SP及びSPは、SP+0.5≦SP(2−1)を満足することが好ましく、SP+0.6≦SP(2−2)を満足することがより好ましく、SP+0.7≦SP(2−3)を満足することがさらに好ましく、SP+0.9≦SP(2−4)を満足することが最適である。
SP及びSPは、式(6):
|SP−SP|<1 (6)
を満足することが好ましい。熱可塑性樹脂Aの溶解度パラメータSPとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差が1未満である場合、熱可塑性樹脂Aと制振性付与剤との相溶性を高めやすく、熱可塑性樹脂Aを含むA層が制振性付与剤を安定して含有しやすい。|SP−SP|は、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下である。|SP−SP|の下限値は特に限定されず、0以上であればよい。
SP及びSPは、式(7):
|SP−SP|>1 (7)
を満足することが好ましい。熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータSPとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差が1より大きい場合、熱可塑性樹脂Bと制振性付与剤との相溶性が低く、A層に含まれる制振性付与剤が熱可塑性樹脂Bを含むB層に移行しにくくなるため、遮音性の経時的な低下を抑制しやすい。|SP−SP|は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上である。|SP−SP|の上限値は特に限定されないが、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である。
A層は、−50〜100℃の温度Tにtanδのピーク値tanδを有し、tanδは3.1より大きい。tanδが3.1以下であると、本発明の合わせガラス用中間膜は十分な遮音性を達成できない。tanδは、合わせガラス用中間膜の遮音性を高めやすい観点から、好ましくは3.2以上、より好ましくは3.4以上、さらに好ましくは3.6以上、特に好ましくは4.0以上、極めて好ましくは4.5以上、最も好ましくは5.0以上である。tanδの上限は特に限定されないが、例えば20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。A層が−50〜100℃の温度にtanδのピーク値を有さない場合、本発明の合わせガラス用中間膜が室温付近の温度で十分な遮音性を達成できない。A層は、−50〜100℃の温度に、1つのtanδのピーク値を有してもよいし、2つ以上のtanδのピーク値を有してもよい。A層がtanδのピーク値を有する温度の上限は、合わせガラス用中間膜の室温付近での遮音性を高める観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下、特に好ましくは15℃以下である。A層がtanδのピーク値を有する温度の下限は特に限定されないが、好ましくは−45℃以上、より好ましくは−40℃以上、さらに好ましくは−35℃以上、特に好ましくは−30℃以上である。
B層は、−40〜200℃の範囲の温度Tにtanδのピーク値を有することが好ましい。B層が温度Tに有するtanδのピーク値をtanδとすると、tanδは、より高い遮音性を得る観点から、好ましくは0.1〜2.0、より好ましくは0.3〜1.7、さらに好ましくは0.5〜1.5である。B層がtanδのピーク値を有する温度の上限は、得られる積層体が十分な耐衝撃性を有する観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下、特に好ましくは35℃以下である。B層がtanδのピーク値を有する温度の下限は特に限定されないが、得られる積層体が十分な力学強度を有する観点から、好ましくは−25℃以上、より好ましくは−10℃以上、さらに好ましくは0℃以上、特に好ましくは10℃以上である。
上記の温度T及び温度Tは、式(3):
<T (3)
を満足することが好ましい。この場合、遮音性及び力学強度に優れる合わせガラス用中間膜を得やすい。温度Tは温度Tよりも、好ましくは5℃以上高く、より好ましくは10℃以上高い。すなわち、温度T及び温度Tが、T+5≦T(3−1)を満足することが好ましく、T+10≦T(3−2)を満足することがより好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜において、A層に含まれる熱可塑性樹脂Aと制振性付与剤との質量比は、1:10〜10:1である。熱可塑性樹脂Aの質量比が前記比よりも多いと、熱可塑性樹脂Aの量に対する制振性付与剤の量が少なすぎるために、十分な遮音性を達成できない。また、熱可塑性樹脂Aの質量比が前記比よりも少ないと、熱可塑性樹脂Aの量に対する制振性付与剤の量が多すぎるために、熱可塑性樹脂Aに対する制振性付与剤の相溶性が問題になることがある。該質量比(熱可塑性樹脂A:制振性付与剤)は、遮音性及び相溶性のバランスの観点から、好ましくは100:800〜100:15、より好ましくは100:500〜100:20、さらに好ましくは100:300〜100:25、特に好ましくは100:300〜100:35、最も好ましくは100:300〜100:51である。
本発明の合わせガラス用中間膜において、A層に含まれる熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤の合計質量は、優れた遮音性を発現する観点から、A層に含まれる全成分の質量に基づいて、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは40〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%、特に好ましくは60〜100質量%である。
A層に含まれる熱可塑性樹脂Aは特に限定されないが、例えばアクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカルボン酸ビニル樹脂、オレフィン−カルボン酸ビニル共重合体、ポリエステルエラストマー樹脂、ハロゲン化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。A層に含まれる熱可塑性樹脂Aは1種類でも2種類以上でもよい。熱可塑性樹脂Aは、より高い遮音性を発現する観点から、アクリル樹脂及びスチレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を含むポリマーである。なお、本明細書において(メタ)アクリルとはアクリル、メタクリル、又はアクリルとメタクリルの両方を意味する。アクリル樹脂としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等の(メタ)アクリルモノマーの単独重合体又はこれらの2種以上の共重合体、ならびに、(メタ)アクリルモノマーと、該モノマーと共重合可能なスチレン及びジビニルベンゼン等のモノマーとを重合させた共重合体等が挙げられる。アクリル樹脂は上記(メタ)アクリルモノマー及び/又はこれらと共重合可能な他のモノマーとを従来既知の方法により重合することで製造できる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸3−メチルブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル;(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等、従来公知の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
アクリル樹脂が共重合体である場合、アクリル樹脂は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー又はコアシェル樹脂のいずれであってもよい。本発明の合わせガラス用中間膜に高い遮音性と取扱い性を両立させる観点からは、アクリル樹脂は、アクリルブロックコポリマー又はアクリルコアシェル樹脂であることが好ましい。アクリルブロックコポリマーは、上記(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を主成分として含む重合体のブロック〔(メタ)アクリルモノマーの重合体からなるブロック〕を少なくとも1つ有するコポリマーである。アクリルブロックコポリマーが、例えばブロックA及びブロックBの2つのブロックを有する場合、アクリルブロックコポリマーはA−(B−A)又は(A−B)(式中、nはいずれも1以上の整数を表し、好ましくは1である)で表される形態であってよい。ブロックA及びブロックBのいずれか一方が上記(メタ)アクリルモノマーを主成分として含む重合体のブロックであってもよいし、ブロックA及びBの両方が上記(メタ)アクリルモノマーを主成分として含む重合体のブロックであってもよい。アクリルブロックコポリマーがさらに別のブロックを有してもよい。アクリルブロックコポリマーは、2つ以上の(メタ)アクリル酸エステル重合体ブロックを有することが、本発明の合わせガラス用中間膜に高い遮音性と取扱い性を両立させる点で好ましく、同様の理由から、2つ以上の(メタ)アクリル酸アルキル重合体ブロックを有することがより好ましく、ポリメタクリル酸アルキル重合体ブロックと、ポリアクリル酸アルキル重合体ブロックとを有することがさらに好ましく、1つのポリアクリル酸アルキル重合体ブロックの両端にポリメタクリル酸アルキル重合体ブロックがそれぞれ1つずつ結合したトリブロック共重合体が特に好ましい。なお、本発明において「主成分として含む」とは、その成分の含有量が他の成分に比べ最も多いことを意味し、その成分を、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量以上、特に好ましくは95質量%以上含み、100質量%含んでいてもよい。
アクリルコアシェル樹脂は、内層であるコア層及び外層であるシェル層からなる2層構造、又は内層であるコア層と外層であるシェル層の間に1層以上の中間層を有する3層以上の構造を有する。上記アクリルコアシェル樹脂は、コア層、中間層又はシェル層の少なくとも1層に、上記(メタ)アクリルモノマーに由来する構成単位を主成分として含む重合体を含む。該重合体の含有量は、各層の総質量に対して好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。本発明の合わせガラス用中間膜に高い取扱い性を発現させる観点から、アクリルコアシェル樹脂のシェル層はメタクリル酸エステル重合体を含むことが好ましく、メタクリル酸アルキル重合体を含むことがより好ましい。また、本発明の合わせガラス用中間膜に高い遮音性を発現させる観点から、アクリルコアシェル樹脂のコア層はアクリル酸エステル重合体を含むことが好ましく、アクリル酸アルキル重合体を含むことがより好ましい。ここで、熱可塑性樹脂Aがアクリルコアシェル樹脂等のp個(pは2以上の整数である)の層からなる多層樹脂であることは、本明細書において、A層が上記多層樹脂を含む組成物から形成されることを意味する。アクリルコアシェル樹脂等の多層樹脂は、通常、粒子の形態であるが、A層中では該多層樹脂が粒子の形状で存在していてもよいし、複数の粒子が互いに押しつぶされてA層を構成していてもよい。複数の粒子が互いに押しつぶされてA層を構成する場合には、A層中には、多層樹脂粒子の最外層が粒子間で互いに混ざり合い、1つの連続相を形成し、多層樹脂粒子の少なくとも1つの内層が外層から形成される連続相中に存在するような海島構造(外層が海に相当し、内層(2層の場合にはコア層)が島に相当する)を形成していてもよい。
アクリル樹脂がアクリルブロックコポリマー又はアクリルコアシェル樹脂である本発明の好ましい一態様において、アクリル樹脂は、該アクリル樹脂全体に基づいて好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、最も好ましくは70質量%以上のソフトセグメントを含む。また、上記好ましい一態様において、アクリル樹脂は、該アクリル樹脂全体に基づいて好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下のソフトセグメントを含む。ソフトセグメントの量が上記の範囲内であることが、優れた遮音性を発現するため好ましい。アクリルブロックコポリマー又はアクリルコアシェル樹脂におけるソフトセグメントとしては、例えばアクリル酸アルキルモノマーの単独重合体又は共重合体、共役ジエン重合体及びその誘導体が挙げられる。前記ソフトセグメントは、1種類のアクリル酸アルキルモノマーの単独重合体又は2種以上のアクリル酸アルキルモノマーの共重合体であることが好ましい。アクリルコアシェル樹脂においては、前記ソフトセグメントがコア層を構成することが好ましい。
なお、本明細書において、ブロックコポリマーがガラス転移点の異なる2つ以上の重合体ブロックを有する場合、各重合体ブロックのうち最も高いガラス転移点と最も低いガラス転移点の平均値よりも低いガラス転移点を有する重合体ブロックをソフトセグメントと呼び、上記平均値よりも高いガラス転移点を有する重合体ブロックをハードセグメントと呼ぶ。また、コアシェル樹脂がガラス転移点の異なる2つ以上の層を有する場合、各層のうち最も高いガラス転移点と最も低いガラス転移点の平均値よりも低いガラス転移点を有する層をソフトセグメントと呼び、上記平均値よりも高いガラス転移点を有する層をハードセグメントと呼ぶ。ソフトセグメントのガラス転移点は、好ましくは−100〜100℃、より好ましくは−50〜50℃である。また、ハードセグメントのガラス転移点は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは50〜120℃である。
アクリル樹脂がアクリルブロックコポリマー又はアクリルコアシェル樹脂である本発明の好ましい一態様において、このようなアクリル樹脂は従来公知の方法、例えば、リビングアニオン重合や乳化重合によって製造できる。
スチレン系樹脂は、スチレン化合物に由来する構成単位を含むポリマーである。スチレン系樹脂としては、スチレン化合物の単独重合体、又はスチレン化合物と共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。スチレン化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン;α−メチル−p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン等のアルキル置換スチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、トリクロロスチレン、トリブロモスチレン等のハロゲン化スチレン;等が挙げられる。スチレン化合物は、スチレン又はα−メチルスチレンであることが好ましい。スチレン化合物と共重合可能な単量体としては、例えばブタジエン及びイソプレン等の好ましくは4〜5の炭素数を有する共役ジエン系化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル及びマレオニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸等の(メタ)アクリルモノマー;が挙げられる。なお、本明細書においてスチレン化合物と(メタ)アクリルモノマーとの共重合体は、スチレン化合物由来の構成単位の含有量(質量%)の方が(メタ)アクリルモノマー由来の構成単位の含有量(質量%)よりも多いときは「スチレン系樹脂」、(メタ)アクリルモノマー由来の構成単位の含有量(質量%)の方がスチレン化合物由来の構成単位の含有量(質量%)よりも多いときは「アクリル系樹脂」とする。スチレン系樹脂は、スチレン化合物と好ましくは4〜5の炭素数を有する共役ジエン系化合物との共重合体である、スチレンジエン樹脂であることが好ましい。スチレン系樹脂は上記スチレン化合物及び/又はこれらと共重合可能な他の単量体とを従来既知の方法により重合することにより製造できる。
スチレン系樹脂は、合わせガラス用中間膜の生産性の観点からスチレン系ブロックコポリマーであることが好ましく、スチレンジエンブロックコポリマーであることがより好ましい。スチレン系ブロックコポリマーは、上記スチレン化合物に由来する構成単位を含む重合体のブロックを少なくとも1つ有するコポリマーである。スチレン系ブロックコポリマーが、例えばブロックC及びブロックDの2つのブロックを有する場合、スチレン系ブロックコポリマーはC−(D−C)又は(C−D)(式中、nはいずれも1以上の整数を表し、好ましくは1である)で表される形態であってよい。ブロックC及びブロックDのいずれか一方が上記スチレン化合物に由来する構成単位を含む重合体のブロックであってもよいし、ブロックC及びブロックDの両方が上記スチレン化合物に由来する構成単位を含む重合体のブロックであってもよい。スチレン系ブロックコポリマーがさらに別のブロックを有してもよい。スチレン系ブロックコポリマーは、スチレン化合物に由来する構成単位を含む重合体のブロック(スチレンの重合体からなるブロック)と、共役ジエン系化合物に由来する構成単位を含む重合体のブロック(ジエンモノマーの重合体からなるブロック)とを有するスチレンジエンブロックコポリマーであることが好ましい。
スチレン系樹脂がスチレン系ブロックコポリマーである本発明の好ましい一態様において、スチレン系樹脂は、該スチレン系樹脂全体に基づいて好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、最も好ましくは70質量%以上のソフトセグメントを含む。また、上記好ましい一態様において、スチレン系樹脂は、該スチレン系樹脂全体に基づいて好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下のソフトセグメントを含む。ソフトセグメントの量が上記の範囲内であると、優れた遮音性と力学強度とをバランス良く発現するため好ましい。スチレン系ブロックコポリマーにおけるソフトセグメントとしては、例えば共役ジエン系化合物の単独重合体又は共重合体が挙げられる。前記ソフトセグメントは、好ましくは共役ジエン系化合物の重合体であり、より好ましくは炭素数4〜5の共役ジエン系化合物の単独重合体である。共役ジエン系化合物の単独重合体を含むブロックにおいて、共役ジエン系化合物に基づく炭素−炭素二重結合の一部又は全部が水素添加されていてもよい。スチレン系樹脂は従来公知の方法、例えば、リビングアニオン重合によって製造できる。
前記ポリビニルアルコール樹脂としては、従来公知のポリビニルアルコール樹脂を使用できる。かかるポリビニルアルコール樹脂は、例えば、ビニルエステル系単量体を重合し、得られた重合体をけん化することによって製造できる。ビニルエステル系単量体を重合する方法としては、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等、従来公知の方法を適用できる。重合開始剤としては、重合方法に応じて、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等が適宜選ばれる。けん化反応は、従来公知のアルカリ触媒又は酸触媒を用いる加アルコール分解、加水分解等が適用でき、中でもメタノールを溶媒とし苛性ソーダ(NaOH)触媒を用いるけん化反応が簡便であり最も好ましい。前記ポリビニルアルコール樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の構成単位(例えば、エチレン等のオレフィン由来の構成単位)を含んでいてもよい。
前記ポリビニルアセタール樹脂としては、従来公知のポリビニルアセタール樹脂を使用できる。かかるポリビニルアセタール樹脂は、例えば前記ポリビニルアルコール樹脂とアルデヒドとを酸触媒の存在下でアセタール化反応させることにより製造できる。アセタール化反応に用いる酸触媒は、例えば有機酸及び無機酸のいずれでもよく、例えば酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。中でも塩酸、硝酸、硫酸が好ましく用いられる。ポリビニルアルコールと反応させるアルデヒドとしては、例えば炭素数1〜8のアルデヒドを用いることが好ましい。炭素数1〜8のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ペンチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。中でも炭素数2〜5のアルデヒドが好ましく、炭素数4のアルデヒドがより好ましい。特にn−ブチルアルデヒドが入手容易であり、アセタール化反応後に残存するアルデヒドの水洗や乾燥による除去が容易で、また得られるポリビニルアセタールの取扱い性と力学特性のバランスに優れるため、好ましく用いられる。ポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂としては、脂肪族ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる樹脂が挙げられる。使用できる脂肪族ポリイソシアネートに特に制限はないが、耐候性の観点から、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。ポリオールとしては特に限定されないが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。応力緩和性やガラスに対する接着性等の観点から、ポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
ポリカルボン酸ビニル樹脂としては、カルボン酸ビニル化合物を従来公知の方法、例えば溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の方法を適用し、重合開始剤としては、重合方法に応じて、例えばアゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、レドックス系開始剤等を適宜選択して重合したものが挙げられる。カルボン酸ビニル化合物は、炭素数4〜20のカルボン酸ビニル化合物が好ましく、炭素数4〜10のカルボン酸ビニル化合物がより好ましく、炭素数4〜6のカルボン酸ビニル化合物がさらに好ましい。カルボン酸ビニル化合物の炭素数が4より小さくなると、目的の重合体の製造が困難となり、炭素数が20より大きくなると、力学特性が低下したり、遮音性が低下したりする傾向にある。かかるカルボン酸ビニル化合物としては、例えば酢酸ビニル、酢酸n−プロペニル、酢酸イソプロペニル、酢酸n−ブテニル、酢酸イソブテニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、ヘキサデカン酸ビニル等が挙げられる。中でも、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニルが好適に用いられ、酢酸ビニルがより好適に用いられる。
オレフィン−カルボン酸ビニル共重合体としては、例えば、従来公知のオレフィン−カルボン酸ビニル共重合体が挙げられる。オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等の従来公知の化合物が使用できる。またカルボン酸ビニル化合物としては、例えば酢酸ビニル、酢酸n−プロペニル、酢酸イソプロペニル、酢酸n−ブテニル、酢酸イソブテニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ドデカン酸ビニル、ヘキサデカン酸ビニルが挙げられる。中でもオレフィンとしてエチレンを使用し、カルボン酸ビニル化合物として酢酸ビニルを使用した、エチレン−酢酸ビニル共重合体が、優れた遮音性、十分な力学強度を発現する観点で好ましい。
熱可塑性樹脂Aは、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロックコポリマー又はコアシェル樹脂であることが好ましい。かかる熱可塑性樹脂としては、例えばポリメタクリル酸アルキルを含むハードセグメントと、ポリアクリル酸アルキルを含むソフトセグメントとを有する、アクリルブロックコポリマー又はアクリルコアシェル樹脂(好ましくはコア層がソフトセグメントであり、シェル層がハードセグメントである)、又は、ポリスチレンを含むハードセグメントと、共役ジエン系化合物の重合体を含むソフトセグメントとを有するスチレン系ブロックコポリマーが挙げられる。
本発明の好ましい一態様において、熱可塑性樹脂Aはm個(mは2以上の整数)のブロックを有するブロックコポリマーであることが好ましく、(メタ)アクリルモノマーの重合体からなるブロックを少なくとも1つ含むブロックコポリマー、及びスチレンの重合体からなるブロック及びジエンモノマーの重合体からなるブロックをそれぞれ少なくとも1つ含むブロックコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。この態様において、m個のブロックを有するブロックコポリマーの各ブロックが有する溶解度パラメータをそれぞれSPAb1〜SPAbmとすると、SPAb1〜SPAbmの少なくとも1つであるSPAbnは、式(4):
|SPAbn−SP|<|SP−SP| (4)
を満足することが、遮音性の経時的な低下を防止する観点から好ましい。上記式(4)は、A層に含まれるブロックコポリマーの1つのブロックにおける溶解度パラメータSPAbnとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差が、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータSPとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差よりも小さいことを表す。言い換えると、A層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPが、熱可塑性樹脂Bよりも熱可塑性樹脂Aとしてのブロックコポリマーの1つのブロックの溶解度パラメータと近いことを表す。このような特徴を有することにより、本発明の合わせガラス用中間膜は、長期間使用しても制振性付与剤の移行が起こりにくく遮音性の経時的な低下が抑制される。
遮音性の経時的な低下を抑制しやすい観点からは、|SP−SP|は|SPAbn−SP|よりも、好ましくは0.5以上大きく、より好ましくは0.7以上大きい。すなわち、SPAbn、SP及びSPは、|SPAbn−SP|+0.5≦|SP−SP|(4−1)を満足することが好ましく、|SPAbn−SP|+0.7≦|SP−SP|(4−2)を満足することがより好ましい。
本発明の別の好ましい一態様において、A層は、p個(pは2以上の整数である)の層からなる多層樹脂である熱可塑性樹脂Aを含む組成物から形成されることが好ましく、アクリル樹脂を含む層を少なくとも1層含む多層樹脂である熱可塑性樹脂Aを含む組成物から形成されることが好ましくい。この態様において、p個の層からなる多層樹脂である熱可塑性樹脂Aの各層が有する溶解度パラメータをそれぞれSPAl1〜SPAlpとすると、SPAl1〜SPAlpの少なくとも1つであるSPAlqは、式(5):
|SPAlq−SP|<|SP−SP| (5)
を満足することが、遮音性の経時的な低下を防止する観点から好ましい。上記式(5)は、A層を形成する組成物に含まれる多層樹脂の1つの層における溶解度パラメータSPAlqとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差が、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータSPとA層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPとの差よりも小さいことを表す。言い換えると、A層に含まれる制振性付与剤の溶解度パラメータSPが、熱可塑性樹脂Bよりも熱可塑性樹脂Aとしての多層樹脂の1つの層の溶解度パラメータと近いことを表す。このような特徴を有することにより、本発明の合わせガラス用中間膜は、長期間使用しても制振性付与剤の移行が起こりにくく遮音性の経時的な低下が抑制される。
遮音性の経時的な低下を抑制しやすい観点からは、|SP−SP|は|SPAlq−SP|よりも、好ましくは0.5以上大きく、より好ましくは0.7以上大きい。すなわち、SPAlq、SP及びSPは、|SPAlq−SP|+0.5≦|SP−SP|(5−1)を満足することが好ましく、|SPAlq−SP|+0.7≦|SP−SP|(5−2)を満足することがより好ましい。
熱可塑性樹脂Aの重量平均分子量(M)は、取扱い性の観点から、好ましくは10000〜1000000、より好ましくは20000〜700000、さらに好ましくは30000〜500000である。Mは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、ポリスチレン換算により算出される。
熱可塑性樹脂Aのメルトマスフローレート(MFR)は、合わせガラス用中間膜製造時の成形性の観点から、好ましくは0.01〜100g/sec、より好ましくは0.02〜20g/sec、さらに好ましくは0.05〜10g/secである。MFRは、フローテスター(例えば、東洋精機株式会社製、セミオートメルトインデクサー2A)を用いて、温度190℃、荷重2.16kgfで測定する。
熱可塑性樹脂Aのガラス転移点(T)は、遮音性の観点から、好ましくは−50〜100℃、より好ましくは−35〜40℃である。Tは、示差熱分析法(DTA)により測定できる。
本発明の合わせガラス用中間膜の好ましい一態様において、熱可塑性樹脂Aは、アクリル樹脂及びスチレンジエン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリルブロックコポリマー、スチレンジエンブロックコポリマー及びアクリルコアシェル樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜において、A層は熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤を含有する。本明細書において、制振性付与剤は、熱可塑性樹脂Aと混合させることによって、該熱可塑性樹脂Aの−100〜250℃の温度範囲に存在するtanδの極大値の少なくとも1つを増大させることができる化合物を意味する。ある化合物(「化合物a」とする)が制振性付与剤であるか否かは、熱可塑性樹脂Aについてtanδを測定した際の−100〜250℃に存在するtanδの任意の1つの極大値をTDP−1とし、熱可塑性樹脂A100質量部及び化合物a25質量部からなる混合物について測定した際の上記TDP−1を有する極大値に対応するtanδの極大値をTDP−2とした場合に、TDP−1とTDP−2の値を比較して判断でき、TDP−1<TDP−2となる化合物aを制振性付与剤とする。なお、A層が2種以上の熱可塑性樹脂Aの混合物を含有する場合、かかる熱可塑性樹脂Aの混合物のtanδにおいて−100〜250℃に存在するtanδの極大値をTDP−1とし、かかる熱可塑性樹脂Aの混合物100質量部に化合物a25質量部を添加して得た混合物のtanδにおいて−100〜250℃に存在するtanδの極大値をTDP−2として、TDP−1<TDP−2となるか否かを判断すればよい。制振性付与剤は、好ましくは−70〜100℃、より好ましくは−50〜80℃、さらに好ましくは−45〜70℃、特に好ましくは−40〜30℃の温度範囲に存在するtanδの極大値の少なくとも1つを増大させることができる化合物であることが好ましい。
前記TDP−1及びTDP−2に関し、特に質量則が支配的になる領域の周波数及びコインシデンス領域の周波数の両方に対する遮音性を高めやすい観点からは、TDP−2がTDP−1よりも0.1以上高いことが好ましく、0.2以上高いことがより好ましく、0.3以上高いことがさらに好ましい。
A層に含まれる制振性付与剤の分子量は、好ましくは100〜10000、より好ましくは200〜5000、さらに好ましくは250〜3000、特に好ましくは300〜2000である。制振性付与剤の分子量が上記下限値以上であると、本発明の合わせガラス用中間膜を使用する際の制振性付与剤の揮発を抑制しやすい。また、制振性付与剤の分子量が上記上限値以下であると、制振性付与剤と熱可塑性樹脂Aとの相溶性を高めやすい。
A層に含まれる制振性付与剤は、本発明の合わせガラス用中間膜を長期間使用した際の透明性の低下を抑制する観点から、30℃を超える温度に融点を有さない、すなわち、融点を有さない非晶性化合物であるか、又は、30℃以下の融点を有する結晶性化合物であることが好ましい。制振性付与剤は、10℃以上の温度に融点を有さないことがより好ましく、0℃以上の温度に融点を有さないことがさらに好ましい。制振性付与剤の融点は、例えば示差走査熱量計により測定される。なお、前記制振性付与剤が2種類以上の化合物を含む混合物である場合、その融点は前記混合物の融点である。
制振性付与剤は、A層に含まれる熱可塑性樹脂Aとの関係で上記tanδについての要件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば一般的に粘着付与樹脂として知られる化合物を使用できる。制振性付与剤としては、例えばロジン系樹脂、フルオレン系化合物、テルペン系樹脂、石油樹脂、(水添)石油樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられる。A層は、1種類の制振性付与剤を含有していてもよいし、2種以上の制振性付与剤を組み合わせて含有していてもよい。
ロジン系樹脂としては、例えばロジン又は変性ロジンが挙げられる。ロジンとしては、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジンが挙げられる。変性ロジンとしては、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル等が挙げられる。ロジンエステルとしては、ロジン酸、水添ロジン又は不均化ロジン等とアルコールとのエステル化合物(例えばロジン酸アルキルエステル等)が挙げられる。上記ロジン系樹脂としては、市販のロジン系樹脂をそのまま用いてもよく、さらに精製して用いてもよく、ロジン系樹脂に含まれる特定の有機酸(例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸等)やその変性物を単独で又は複数組み合わせて用いてもよい。有機酸の変性物としては、例えばアビエチン酸のアルキルエステルや、水素化アビエチン酸のアルキルエステル等が挙げられる。
フルオレン系化合物としては、例えばビスフェノールフルオレン、ビスフェノールフルオレンアルコキシレート等のフルオレン骨格を有する化合物が挙げられる。
テルペン系樹脂としては、例えば、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン等を主体とするテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
(水添)石油樹脂等としては、例えば、(水添)脂肪族系(C系)石油樹脂、(水添)芳香族系(C系)石油樹脂、(水添)共重合系(C/C系)石油樹脂、(水添)ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂環式飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。
制振性付与剤は、2つ以上の環状骨格を有する化合物であることが好ましい。制振性付与剤が2つ以上の環状骨格を有する場合、本発明の合わせガラス用中間膜がより高い遮音性を発現する。2つ以上の環状骨格を有する化合物としては、例えばロジン系樹脂、フルオレン系化合物、テルペン系樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等の化合物が挙げられる。
制振性付与剤としては、優れた遮音性を得る観点から、ロジン系樹脂又はフルオレン系化合物が好ましく、ロジン系樹脂がより好ましく、ロジン又は変性ロジンがさらに好ましく、変性ロジンのうちロジンエステルが特に好ましい。
制振性付与剤がロジンエステルである本発明の好ましい一態様において、優れた遮音性を得る観点、熱可塑性樹脂との相溶性の観点から、ロジンエステルは、ロジン酸、水添ロジン及び不均化ロジンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物と1〜4価のアルコールとのエステル化合物であることが好ましく、ロジン酸、水添ロジン及び不均化ロジンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物と1〜3価のアルコールとのエステル化合物であることがより好ましく、ロジン酸、水添ロジン及び不均化ロジンからなる群から選択される少なくとも1種の化合物と1価のアルコールとのエステル化合物であることがさらに好ましい。上記アルコールは特に制限はないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール等の1価のアルコール;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の2価のアルコール;グリセリン等の3価のアルコール;ペンタエリトリトール等の4価のアルコール等が挙げられる。また、ロジンエステルは、好ましくは50℃未満、より好ましくは30℃以下、さらに好ましくは10℃以下のガラス転移点(T)を有する。Tは、示差熱分析法(DTA)により測定できる。
上記ロジンエステルの水酸基価は、熱可塑性樹脂との相溶性の観点から、好ましくは0〜200mgKOH/g、より好ましくは0〜140mgKOH/g、さらに好ましくは0〜100mgKOH/g、特に好ましくは0〜50mgKOH/g、最も好ましくは0〜20mgKOH/gである。ロジンエステルの水酸基価は、JIS K0070により測定される。この態様において、ロジンエステルの酸価は、耐候性の観点から、好ましくは0〜100mgKOH/g、より好ましくは0〜50mgKOH/g、さらに好ましくは0〜20mgKOH/gである。ロジンエステルの酸価は、JIS K2501により測定される。
上記ロジンエステルの軟化点は、ロジンエステルの取扱い性の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。ロジンエステルの軟化点は、JIS K5902により測定される。
本発明の合わせガラス用中間膜において、A層に含まれる熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤は、該制振性付与剤100質量部及び該熱可塑性樹脂A8質量部からなる組成物について測定した曇り点が、150℃未満であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましく、50℃以下であることがさらに好ましい。上記曇り点の下限値は−273℃以上である限り特に限定されないが、例えば−196℃以上が好ましく、−100℃以上がより好ましく、−80℃以上がさらに好ましい。A層が、このような特徴を示す熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤を組み合わせて含有すると、合わせガラス用中間膜の初期の透明性が高く、また長期間使用しても透明性が損なわれにくい傾向がある。なお、A層が2種以上の熱可塑性樹脂の混合物を含有する場合、該混合物8質量部を制振性付与剤100質量部に添加して得た組成物について曇り点を測定すればよい。同様に、A層が2種の制振性付与剤の混合物を含有する場合、熱可塑性樹脂A8質量部を該混合物100質量部に添加して得た組成物について曇り点を測定すればよい。なお、制振性付与剤100質量部及び該熱可塑性樹脂A8質量部からなる組成物が温度Tcloudにおいて透明である場合、その曇り点はTcloud以下であるとみなすことができる。
A層は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤に加えて、可塑剤、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子又は有機遮熱性材料)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着力調整剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料等の種々の添加剤を含有していてもよい。
A層に含まれ得る可塑剤は、例えば一価カルボン酸エステル系、多価カルボン酸エステル系等のカルボン酸エステル系可塑剤;リン酸エステル系可塑剤、有機亜リン酸エステル系可塑剤等のほか、カルボン酸ポリエステル系、炭酸ポリエステル系、また、ポリアルキレングリコール系等の高分子可塑剤や、ひまし油等のヒドロキシカルボン酸と多価アルコールのエステル化合物も使用できる。中でも、2価アルコールと1価カルボン酸のエステル化合物が、本発明の合わせガラス用中間膜の遮音性を高めやすい観点で好ましく、トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートが特に好ましい。
A層が可塑剤を含む場合、その含有量は、A層に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0質量部超、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは10質量部以上である。A層における可塑剤の含有量は、A層に含まれる熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。A層における可塑剤の含有量が、上記の下限以上であると、得られる合わせガラス用中間膜の柔軟性を高めやすく、合わせガラス用中間膜としての衝撃吸収性を高めやすい。また、A層における可塑剤の含有量が、上記の上限以下であると、得られる合わせガラス用中間膜の力学強度を高めやすい。なお、本発明の合わせガラス用中間膜においては、可塑剤を添加しないか、又は、従来の合わせガラス用中間膜と比較してより少ない量で添加する場合であっても、十分な遮音性を達成できる。そのため、可塑剤のA層(遮音層)からのブリードアウトを抑制しやすい。また、A層に含まれ得る可塑剤の他の層(B層等)への移行を抑制しやすい。
本発明の合わせガラス用中間膜において、B層は熱可塑性樹脂Bを含有する。熱可塑性樹脂Bとしては特に限定されないが、例えばポリビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー等が挙げられる。これらは力学強度、透明性、ガラスとの接着性に優れているため好適である
本発明の合わせガラス用中間膜において、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bの質量は、B層とガラスとの接着性及びB層の力学強度を高めやすい観点から、B層に含まれる全成分の質量に基づいて、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%、極めて好ましくは90〜100質量%である。
熱可塑性樹脂Bがポリビニルアセタールであるとき、ポリビニルアセタールの平均残存水酸基量は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上、特に好ましくは25モル%以上である。ポリビニルアセタールの平均残存水酸基量は、好ましくは50モル%以下、より好ましくは45モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である。平均残存水酸基量が上記上限値以上であると、ガラスとの接着性が優れ、本発明の合わせガラス用中間膜の遮音性が良好になる傾向がある。一方、平均残存水酸基量が上記上限値以下であると、耐水性が良好となる傾向にある。
ポリビニルアセタールの平均残存ビニルエステル基量は30モル%以下であることが好ましい。平均残存ビニルエステル基量が30モル%以下であると、ポリビニルアセタールの製造時のブロッキングを抑制しやすくなるため、製造しやすい。平均残存ビニルエステル基量は、20モル%以下であることが好ましく、0モル%であってもよい。
ポリビニルアセタールの平均アセタール化度は40モル%以上であることが好ましく、90モル%以下であることが好ましい。平均アセタール化度が40モル%以上であると、可塑剤等との相溶性が優れる傾向にある。平均アセタール化度が90モル%以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を得るための反応に長時間を要さないため、プロセス上好ましく、また力学強度が優れる傾向にある。平均アセタール化度はより好ましくは60モル%以上、耐水性や可塑剤との相溶性の観点から、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは68モル%以上である。また、平均アセタール化度はより好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下、特に好ましくは75モル%以下である。
ポリビニルアセタールの重合度は、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは1000以上、特に好ましくは1400以上、最も好ましくは1600以上である。ポリビニルアセタールの重合度が上記下限値以上であると、耐貫通性、耐クリープ物性、特に85℃、85%RHのような高温高湿条件下での耐クリープ物性が優れる傾向にある。また、ポリビニルアセタールの重合度は、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは2500以下、特に好ましくは2300以下、最も好ましくは2000以下である。ポリビニルアセタールの重合度が上記上限値以下であると、樹脂膜を成形しやすい。さらに、得られる合わせガラス用中間膜のラミネート適性を向上させ、いっそう外観が優れた合わせガラスを得るためには、ポリビニルアセタールの重合度が1800以下であることが好ましい。なお、ポリビニルアセタールの重合度は、例えば、JIS K6728に準拠して測定できる。
ポリビニルアセタールの平均残存ビニルエステル基量は30モル%以下であることが好ましいため、原料としてけん化度が70モル%以上のポリビニルアルコールを使用することが好ましい。ポリビニルアルコールのけん化度が70モル%以上であると、樹脂の透明性や耐熱性がより優れ、またアルデヒド類との反応性も優れる傾向にある。けん化度は、より好ましくは95モル%以上である。ポリビニルアルコールのけん化度は、例えば、JIS K6726:1944に準拠して測定できる。
ポリビニルアセタールのその他の好ましい態様は、上記A層におけるポリビニルアセタールの好ましい態様と同様である。
熱可塑性樹脂Bがエチレン−酢酸ビニル共重合体であるとき、合わせガラス用中間膜に必要な力学強度と柔軟性を発現する観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体のエチレン由来の構成単位及び酢酸ビニル由来の構成単位の合計に対する酢酸ビニル由来の構成単位の割合は、好ましくは50モル%未満、より好ましくは30モル%未満、さらに好ましくは20モル%未満、特に好ましくは15モル%未満である。
アイオノマーとしては、エチレン由来の構成単位及びα,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位を有し、α,β−不飽和カルボン酸の少なくとも一部が金属イオンによって中和された樹脂が挙げられる。ベースポリマーとなるエチレン−α,β−不飽和カルボン酸共重合体において、α,β−不飽和カルボン酸由来の構成単位の含有割合は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。また、α,β−不飽和カルボン酸の構成単位の含有割合は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。本発明においては、入手のしやすさの点から、エチレン−アクリル酸共重合体又はエチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマーが好ましい。アイオノマーを構成するα,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸等が挙げられ、アクリル酸又はメタクリル酸が特に好ましい。
B層は、熱可塑性樹脂B以外の成分として、さらに可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、機能性無機化合物、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子又は有機遮熱性材料)等の種々の添加剤を必要に応じて含有してよい。特に熱可塑性樹脂Bとしてポリビニルアセタールを使用する場合には、得られる合わせガラス用中間膜の力学強度、遮音性の観点から可塑剤を含むことが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜の好ましい一態様において、B層は可塑剤を含有する。B層が可塑剤を含有する場合、A層に含まれる熱可塑性樹脂A、ならびに、B層に含まれる熱可塑性樹脂B及び可塑剤の溶解度パラメータを、それぞれ、SP、SP及びSPとすると、SP、SP及びSPは、式(8):
|SP−SP|>|SP−SP| (8)
を満足することが好ましい。ここで、溶解度パラメータSPは、上記SP等と同様にして計算される。上記式(8)は、B層に含まれる可塑剤の溶解度パラメータSPとB層に含まれる熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータSPとの差の絶対値が、A層に含まれる熱可塑性樹脂Aの溶解度パラメータSPとB層に含まれる可塑剤の溶解度パラメータSPとの差の絶対値よりも小さいことを表す。言い換えると、B層に含まれる可塑剤の溶解度パラメータSPが、熱可塑性樹脂Aよりも熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータと近いことを表す。このような特徴を有することにより、本発明の合わせガラス用中間膜は、長期間使用しても可塑剤の移行が起こりにくく、遮音性の経時的な低下や、力学強度の変化、ガラスとの接着性の変化が起こりにくい。
遮音性の経時的な低下を抑制する観点からは、|SP−SP|は|SP−SP|よりも、好ましくは0.5以上大きく、より好ましくは0.7以上大きい。すなわち、SP、SP及びSPは、|SP−SP|≧|SP−SP|+0.5(8−1)を満足することが好ましく、|SP−SP|≧|SP−SP|+0.7(8−2)を満足することがより好ましい。
SP及びSPは、式(9):
|SP−SP|>1 (9)
を満足することが好ましい。A層に含まれる熱可塑性樹脂Aの溶解度パラメータSPとB層に含まれる可塑剤の溶解度パラメータSPとの差が1より大きい場合、熱可塑性樹脂Aと可塑剤との相溶性が低く、B層に含まれる可塑剤が熱可塑性樹脂Aを含むA層に移行しにくくなるため、遮音性の経時的な低下や、力学強度の変化、ガラスとの接着性の変化を抑制しやすい。|SP−SP|は、好ましくは1.05以上、より好ましくは1.1以上である。|SP−SP|の上限値は特に限定されないが、好ましくは10以下、より好ましくは5.0以下である。
SP及びSPは、式(10):
|SP−SP|<1 (10)
を満足することが好ましい。B層に含まれる熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータSPとB層に含まれる可塑剤の溶解度パラメータSPとの差が1未満である場合、熱可塑性樹脂Bと可塑剤との相溶性を高めやすく、熱可塑性樹脂Bを含むB層が可塑剤を安定して含有しやすい|SP−SP|は、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.5以下である。|SP−SP|の下限値は特に限定されず、0以上であればよい。
B層に含まれ得る可塑剤としては、例えばA層に含まれ得る可塑剤として上記に述べたものが挙げられる。B層が可塑剤を含有する場合、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bと可塑剤との質量比は好ましくは20:1〜1:1、より好ましくは10:1〜10:8、さらに好ましくは10:2〜10:6、特に好ましくは10:2.5〜10:5.5、最も好ましくは10:3〜10:5である。B層における可塑剤の含有量が上記下限以上であると、得られる合わせガラス用中間膜の柔軟性が向上する傾向にあり、合わせガラス用中間膜としての衝撃吸収性が優れる傾向にある。また、B層における可塑剤の含有量が上記上限以下であると、得られる合わせガラス用中間膜の力学強度が向上する傾向にある。特にポリビニルアセタールを用いる場合には、優れた遮音性を発現する観点で、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bと可塑剤との質量比が10:3.5〜10:6であることが好適である。
本発明の合わせガラス用中間膜は、A層及びB層を少なくとも有する。A層は、合わせガラス用中間膜の室温での取扱い性の観点から、好ましくは0%以上20%未満、より好ましくは0%以上10%未満のクリープ伸び率を有することが好ましい。また、クリープ伸び率が上記の上限以下であると、本発明の合わせガラス用中間膜が室温保管時に変形しにくく、取扱い性がより良好である。クリープ伸び率は、厚さ0.8mm、幅1cm、長さ10cmのA層のシートを測定試料とし、20℃20%RHの条件下、24時間クリープ試験を行うことにより測定される。上記測定は、A層を構成する組成物Aから上記シートを作製し、該シートを測定試料として用いて行ってもよい。
A層及びB層をそれぞれ構成する組成物は、樹脂及びその他成分を従来公知の方法で混合することにより得られる。混合方法としては、例えばミキシングロール、プラストミル、押出機等を用いた溶融混練、あるいは各成分を適当な有機溶剤に溶解した後、溶剤を留去する方法等が挙げられる。
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されず、A層及びB層をそれぞれ構成する組成物から、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等の公知の製膜方法によりA層及びB層を作製し、これらをプレス成形等で積層させてもよいし、B層、A層及びその他必要な層を共押出法により成形してもよい。
公知の製膜方法の中でも特に押出機を用いて合わせガラス用中間膜を製造する方法が好適に採用される。押出し時の樹脂温度は150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。また、押出し時の樹脂温度は250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。樹脂温度が高くなりすぎると、用いる樹脂が分解を起こし、樹脂の劣化が懸念される。逆に温度が低すぎると、押出機からの吐出が安定せず、機械的トラブルの要因になる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から減圧により、揮発性物質を除去することが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜の構成は、A層(遮音層ともいう)及びB層(保護層ともいう)を少なくとも有する限り特に限定されず、A層の片面にB層が積層された構成、又はA層の両面にB層が積層された構成(すなわち、A層が2つのB層の間に配置された構成)であってもよく、A層とB層との間に別の層が積層されていてもよい。優れた遮音性を発現させる観点からは、少なくとも1つのA層と少なくとも1つのB層とが隣接していることが好ましい。合わせガラス用中間膜の積層構成は、所望する目的に応じて適宜決定してよいが、例えばB層/A層、B層/A層/B層、B層/A層/B層/A層、B層/A層/B層/A層/B層という積層構成であってもよい。中でも、取扱い性と遮音性のバランスに優れる観点からB層/A層/B層が好ましい。
また、A層、B層以外の層(C層とする)を1層以上含む場合の構成としては、例えば、B層/A層/C層、A層/B層/C層、A層/C層/B層、B層/A層/C層/B層、B層/A層/B層/C層、B層/C層/A層/C層/B層、B層/C層/A層/B層/C層、B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/A層/B層/C層、C層/B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/C層/A層/C層/B層/C層等が挙げられる。また上記構成において、複数のC層中の成分は、同一であっても異なっていてもよい。これはA層又はB層中の成分についても同様である。
C層としては公知の樹脂からなる層が使用可能であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルのうちポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリイミド等を用いることができる。また、C層も、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子又は有機遮熱性材料)、機能性無機化合物等の添加剤を含有していてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、表面にメルトフラクチャーやエンボス等の凹凸構造を有することが好ましい。メルトフラクチャー及びエンボスの形状は、従来公知のものを採用でき、従来公知の方法で形成できる。本発明の合わせガラス用中間膜が表面に凹凸構造を有すると、合わせガラス用中間膜とガラスとを熱圧着する際の泡抜け性に優れる。
本発明の合わせガラス用中間膜におけるA層の厚さは、好ましくは0.005mm以上、より好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.02mm以上、さらにより好ましくは0.04mm以上、さらにより好ましくは0.07mm以上、特に好ましくは0.1mm以上、極めて好ましくは0.15mm以上、最も好ましくは0.2mm以上である。また、A層の厚さは、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは2mm以下、さらにより好ましくは1.6mm以下、さらにより好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1.1mm以下、極めて好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.81mm以下である。A層の厚さは従来公知の方法、例えば接触式又は非接触式の厚み計等を用いて測定される。合わせガラス用中間膜が2層以上のA層を有する場合、各A層の厚さが上記範囲内であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜におけるB層の厚さは、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.15mm以上、特に好ましくは0.20mm以上、極めて好ましくは0.25mm以上である。また、B層の厚さは、好ましくは1.00mm以下、より好ましくは0.70mm以下、さらに好ましくは0.60mm以下、さらにより好ましくは0.50mm以下、特に好ましくは0.45mm以下、極めて好ましくは0.4mm以下である。B層の厚さは、上記A層の厚さと同様にして測定される。合わせガラス用中間膜が2層以上のB層を有する場合、各B層の厚さが上記範囲内であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜の厚さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上、さらにより好ましくは0.4mm以上、さらにより好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.6mm以上、極めて好ましくは0.7mm以上、最も好ましくは0.75mm以上である。また、本発明の合わせガラス用中間膜の厚さは、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは2mm以下、さらにより好ましくは1.6mm以下、さらにより好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1.1mm以下、極めて好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.79mm以下である。合わせガラス用中間膜の厚さは、上記A層の厚さと同様にして測定される。
本発明の合わせガラス用中間膜と積層させるガラスに特に制限はなく、例えばフロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラス等の無機ガラス;ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等の有機ガラス;等が挙げられる。これらは無色又は有色のいずれであってもよい。これらは一種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ガラスの厚さは、100mm以下であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜を二枚のガラスに挟んでなる合わせガラスは、従来公知の方法で製造できる。例えば真空ラミネーター装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また上記方法により仮圧着した後に、オートクレーブに投入して本接着する方法も挙げられる。
合わせガラスは透明性に優れるものであることが好ましい。例えば、本発明の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスのヘイズは、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。合わせガラスに使用するガラスは通常透明であるため、本発明の合わせガラス用中間膜のヘイズが、好ましくは1%以下であり、より好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である場合、合わせガラスのヘイズを上記範囲にすることができる。また、合わせガラスの透明性は長期間使用した場合に経時的に変化しないことが好ましく、例えば製造された合わせガラスの作製直後のヘイズを測定し、また合わせガラスを23℃、50%RHで25週間保管した後のヘイズを測定し、25週間後のヘイズから作製直後のヘイズを差し引いた値を指標とした場合、差が50%以下であるものが好ましく、1%以下であるものがより好ましく、0.5%以下のものがさらに好ましい。差が50%以下であると、長期間使用した場合に、本発明の合わせガラス用中間膜に含まれる制振性付与剤が合わせガラス用中間膜中で析出する等の理由により起こり得る透明性の低下が起こりにくい。なお、本発明においてヘイズは、ヘーズメーターHZ−1(スガ試験機株式会社製)によりJIS K7136:2000に準拠して測定できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定しない。
〔評価方法〕
(溶解度パラメータの計算)
Polymer Engineering and Science, 1974, Vol.14, No.2, 147〜154に記載の方法にしたがい、熱可塑性樹脂A及びB、ならびに制振性付与剤の溶解度パラメータを計算した。
(A層及びB層のT、tanδ、T及びtanδの測定)
A層と同一の組成を有する組成物Aを150℃、100kg/cmで30分間プレスして、厚さ0.8mmのシートを得た。得られたシートを幅3mmに切断し、動的粘弾性測定試料とした。この測定試料について、動的粘弾性装置(株式会社ユービーエム製、Rheogel−E4000)を使用し、−50から100℃まで、3℃/分で昇温しながら、チャック間距離20mm、周波数0.3Hz、変位75.9μm、自動静荷重26g、引張モードで分析した。得られた結果から、T及びtanδを求めた。またA層と同一の組成を有する組成物Aの代わりにB層と同一の組成を有する組成物Bを用いたこと以外は上記と同様にしてT及びtanδを求めた。
(制振性付与剤及び可塑剤の含有量の測定)
合わせガラス用中間膜を20℃、20%RH下で保管して、0週間後(作製直後)、2週間後、4週間後、8週間後のA層、B層それぞれ30mgを重ジメチルスルホキシドと重クロロホルムの1対1(質量比)混合溶剤に溶解し、23℃、256回積算してH−NMRを測定した。得られた結果から、各層に含まれる熱可塑性樹脂に対する、制振性付与剤、可塑剤の含有量を計算した。
(経時的な遮音性の評価)
(8週間後のA層のtanδ測定)
上記条件で測定試料を8週間保管した後にtanδを測定したこと以外は前記tanδの測定方法と同様の方法により、測定試料を作製し、tanδ(8週間後)を求めた。なお、tanδ(8週間後)の値が作製直後のtanδよりも低いことは、合わせガラス用中間膜の遮音性が低下していることを表すが、特に作製直後のtanδに対するtanδ(8週間後)の値が0.85以下であるものは、著しい遮音性の低下が起こっており、好ましくない。
後述する実施例及び比較例において、次の表1に記載する熱可塑性樹脂、次の表2に記載する制振性付与剤及び可塑剤を使用した。
[製造例1:AB−1の合成]
1リットルの三口フラスコを窒素で置換した後、室温にてトルエン390g、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミン0.30ml、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム3.0mmolを含有するトルエン溶液18mlを加え、さらに、sec−ブチルリチウム1.0mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.8mlを加えた。これにメタクリル酸メチル17mlを加え、室温(25℃)にて1時間撹拌した(このとき、溶液は無色であった)。引き続き、重合液の内部温度を−12℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル55mlを6時間かけて滴下して反応を行った。さらにメタクリル酸メチル7mlを加えて室温で撹拌下に反応させた。10時間後(このとき、溶液は無色であった)、反応液にメタノール1gを添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収、乾燥してAB−1を得た。AB−1は、PMMA(11質量%)−PBA(78質量%)−PMMA(11質量%)からなるトリブロック共重合体であった。
[製造例2:AB−2の合成]
最初に添加したメタクリル酸メチルの使用量を8.8mLに変更し、アクリル酸n−ブチルの使用量を42mLに変更し、その後添加したメタクリル酸メチルの量を8.8mLに変更したこと以外は製造例1と同様にしてAB−2を得た。AB−2は、PMMA(15質量%)−PBA(70質量%)−PMMA(15質量%)からなるトリブロック共重合体であった。
[製造例3:AB−3の合成]
最初に添加したメタクリル酸メチルの使用量を15mLに変更し、アクリル酸n−ブチルの使用量を32mLに変更し、その後添加したメタクリル酸メチルの量を15mLに変更したこと以外は製造例1と同様にしてAB−3を得た。AB−3は、PMMA(25質量%)−PBA(50質量%)−PMMA(25質量%)からなるトリブロック共重合体であった。
[製造例4:ACS−1の合成]
2Lセパラブルフラスコに純水800g、7gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王株式会社製、ネオペレックスG−15)と5gのポリカルボン酸型高分子界面活性剤(花王株式会社製、ポイズ520)を添加し、80℃で撹拌、溶解した。80mgのペルオキソ2硫酸カリウムを添加し、続いてアクリル酸n−ブチル220g、スチレン50g、メタクリル酸アリル2g、リン酸エステル系化合物A(株式会社アデカ製、CS−141)1gからなる混合物を60分かけて添加したあと、さらに60分反応して第1層(コア層)の重合を行った。次に30mgのペルオキソ2硫酸カリウムを添加し、続いてアクリル酸n−ブチル84g、スチレン17g、メタクリル酸メチル5g、メタクリル酸アリル1g及びリン酸エステル系化合物A0.5gからなる混合物を40分かけて添加し、さらに60分反応して第2層(コア層)の重合を行った。続いてペルオキソ2硫酸カリウムを48mg添加し、メタクリル酸メチル150g、アクリル酸メチル8g、n−オクチルメルカプタン1.6g、リン酸エステル系化合物A0.8gからなる混合物を40分かけて添加し、その後60分反応して第3層(シェル層)の重合を行った。得られた溶液を40℃以下に冷却後、金属製容器に取出し、−20℃で一晩冷却して凍結後、40℃の水に添加、得られた樹脂をろ別して回収、乾燥してACS−1を得た。
[製造例5:ACS−2の合成]
第3層の重合においてメタクリル酸メチルを39g、アクリル酸メチルを2g、n−オクチルメルカプタンの量を0.4gに変更したこと以外は製造例4と同様にしてACS−2を得た。
[製造例6:SDB−1の合成]
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン50kg、アニオン重合開始剤として濃度10.5質量%のsec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液76g(sec−ブチルリチウムの実質的な添加量:8.0g)を仕込み、ルイス塩基としてテトラヒドロフラン310gを仕込んだ。耐圧容器内を50℃に昇温した後、スチレン(1)0.5kgを加えて1時間重合させ、引き続いてイソプレン8.2kg及びブタジエン6.5kgの混合液を加えて2時間重合させ、さらにスチレン(2)1.5kgを加えて1時間重合させることにより、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体を含む反応液を得た。該反応液に、オクチル酸ニッケル及びトリメチルアルミニウムから形成されるチーグラー系水素添加触媒を水素雰囲気下で添加し、水素圧力1MPa、80℃の条件で5時間反応させた。該反応液を放冷及び放圧させた後、水洗により上記触媒を除去し、真空乾燥させることにより、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物SDB−1(ポリスチレンブロックの含有量:12質量%)を得た。
[製造例7:SDB−2の合成]
sec−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液の量を20g、テトラヒドロフランの量を290g、スチレン(1)、スチレン(2)の量をそれぞれ0.16kgに変更し、イソプレンの量を4.4kg、ブタジエンの量を3.5kgに変更したこと以外は製造例6と同様にして、ポリスチレン−ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレントリブロック共重合体の水素添加物SDB−2(ポリスチレンブロックの含有量:4質量%)を得た。
[製造例8:ポリ酢酸ビニルPVAc−1の合成]
撹拌機、温度計、窒素導入チューブ、還流管を備え付けた6Lセパラブルフラスコに、あらかじめ脱酸素した酢酸ビニルモノマー(VAM)2555g、メタノール(MeOH)945g、VAM中の酒石酸の含有量が20ppmとなる量の酒石酸1%メタノール溶液を仕込んだ。前記フラスコ内に窒素を吹き込みながら、フラスコ内の温度を60℃に調整した。ジn−プロピルパーオキシジカーボネートの0.55質量%メタノール溶液を調製し、18.6mLを前記フラスコ内に添加し重合を開始した。このときのジn−プロピルパーオキシジカーボネートの添加量は0.081gであった。ジn−プロピルパーオキシジカーボネートのメタノール溶液を20.9mL/時間の速度で重合終了まで逐次添加した。重合中、フラスコ内の温度を60℃に保った。重合開始から4時間後、重合液の固形分濃度が25.1%となった時点で、ソルビン酸を0.0141g(重合液中に未分解で残存するジn−プロピルパーオキシジカーボネートの3モル当量に相当する)含有するメタノールを1200g添加した後、重合液を冷却し重合を停止した。重合停止時のVAMの重合率は35.0%であった。重合液を室温まで冷却した後、フラスコ内を減圧してVAM及びメタノールを留去し、ポリ酢酸ビニルを析出させた。析出したポリ酢酸ビニルにメタノールを3000g添加し、30℃で加温しつつポリ酢酸ビニルを溶解させた後、再びフラスコ内を減圧してVAM及びメタノールを留去し、ポリ酢酸ビニルを析出させた。ポリ酢酸ビニルをメタノールに溶解させた後、析出させる操作をさらに2回繰り返した。析出したポリ酢酸ビニルにメタノールを添加し、VAMの除去率99.8%のポリ酢酸ビニル(PVAc−1)の40質量%のメタノール溶液を得た。得られたPVAc−1のメタノール溶液の一部を用いて粘度平均重合度を測定した。具体的には、PVAc−1のメタノール溶液に、ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニル単位に対する水酸化ナトリウムのモル比が0.1となるように水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液を添加し、ゲル化物が生成した時点でゲルを粉砕し、メタノールでソックスレー抽出を3日間行って得たポリビニルアルコールを乾燥し、粘度平均重合度を測定した。粘度平均重合度は1700であった。
[製造例9:PVB−1の合成]
還流冷却器、温度計、イカリ型撹拌翼を備えた5Lのセパラブルフラスコに、イオン交換水3720g、ポリビニルアルコール(粘度平均重合度1700、けん化度94モル%)280gを仕込み、内容物を95℃に昇温して完全に溶解させた。次に、120rpmで撹拌下、12℃まで約60分かけて徐々に冷却した後、ブチルアルデヒド173.0gと20%の塩酸201.6mLを添加し、ブチラール化反応を25分間行った。その後、120分かけて65℃まで昇温し、65℃にて120分間保持した後、室温まで冷却した。析出した樹脂をイオン交換水で洗浄、過剰量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して残存する酸を中和し、さらに過剰のイオン交換水で洗浄、脱水、乾燥してポリビニルブチラールPVB−1を得た。得られたPVB−1をJIS K6728−1977にしたがって測定したところ、ブチラール化度は75モル%、残存水酸基量は19モル%、残存ビニルエステル基量は6モル%であった。
[製造例10:PVB−2の合成]
原料のポリビニルアルコールを粘度平均重合度1700、けん化度99モル%のポリビニルアルコール280gに変更し、ブチルアルデヒドの使用量を160gに変更したこと以外は製造例9と同様にしてPVB−2を得た。PVB−2のブチラール化度は69モル%、残存水酸基量は30モル%、残存ビニルエステル基量は1モル%であった。
[製造例11:PVB−3の合成]
ブチルアルデヒドの使用量を139gに変更したこと以外は製造例10と同様にしてPVB−3を得た。PVB−3のブチラール化度は60モル%、残存水酸基量は39モル%、残存ビニルエステル基量は1モル%であった。
[製造例12:PBA−1の合成]
第3層の重合を行わなかったこと以外は製造例4と同様にして、PBA−1を得た。
[製造例13:PBMA−1の合成]
アクリル酸ブチルを等量のメタクリル酸ブチルに変更し、また第3層の重合を行わなかったこと以外は製造例4と同様にして、PBMA−1を得た。
[実施例1]
熱可塑性樹脂Aと制振性付与剤とを次の表3に示す量で、ラボプラストミルを用いて、120℃で5分間混合し、得られた混合物を120℃、100kg/cmで熱プレスして厚さ0.8mmのA層を得た。なお、表3中の制振性付与剤の量(質量部)は、熱可塑性樹脂100質量部に対する制振性付与剤の量を表す。ここで、熱可塑性樹脂AB−1の−31.7℃に存在するtanδの極大値(TDP-1)は1.1であったのに対し、100質量部の熱可塑性樹脂AB−1及び25質量部のHAMからなる混合物の上記極大値に対応し、−30.5℃に存在するtanδの極大値(TDP-2)は1.5であり、HAMは熱可塑性樹脂AB−1を含む組成物における制振性付与剤であることが確認された。また、熱可塑性樹脂Bと可塑剤とを次の表3に示す量で、ラボプラストミルを用いて、120℃で5分間混合し、得られた混合物を120℃、100kg/cmで熱プレスして厚さ0.8mmのB層を得た。A層、B層を重ね、30℃、100kg/cmでプレスして合わせガラス用中間膜を得た。
[実施例2〜13及び比較例1及び2]
熱可塑性樹脂A、熱可塑性樹脂B、制振性付与剤及び可塑剤の種類と量を表3及び表4に記載されるように変更したこと以外は実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜を得た。なお、実施例2〜13及び比較例1及び2における各熱可塑性樹脂の−100〜250℃の温度範囲に存在するtanδの極大値(TDP-1)と、100質量部の各熱可塑性樹脂Aと、25質量部の表3及び表4の制振性付与剤の欄に記載される各化合物からなる混合物における対応するtanδの極大値(TDP-2)とを比較したところ、上記表2に制振性付与剤として記載される化合物を用いる場合にはTDP-1<TDP-2の関係を満たし、上記表2に制振性付与剤として記載される化合物が、それぞれ、表3及び表4に示す熱可塑性樹脂Aを含む各組成物における制振性付与剤であることが確認された。
上記、制振性付与剤及び可塑剤の含有量の測定方法に従い、各層に含まれる各成分の量を経時的に測定した。また、制振性付与剤及び可塑剤について、初期の量に対する8週間後の量の割合から保持率を算出した。得られた結果を表3及び表4に示す。
得られた合わせガラス用中間膜の各層について、T、T、tanδ及びtanδの測定を行った。また、A層のtanδについては、8週間後の値も測定し、初期値に対する8週間後の値の割合から保持率を算出した。得られた結果を表5に示す。
得られた合わせガラス用中間膜の各層に使用した熱可塑性樹脂A及びB、制振性付与剤及び可塑剤の溶解度パラメータ(SP、SP、SP及びSP)を次の表6にまとめる。また、これら値から計算した、|SP−SP|、|SP−SP|、|SP−SP|及び|SP−SP|の値についても表6に示す。
A層に含まれる熱可塑性樹脂Aとしてブロックコポリマーを使用した実施例1〜3、6、7及び10〜12、A層に含まれる熱可塑性樹脂Aとして多層樹脂を使用した実施例4及び5について、熱可塑性樹脂の各ブロック又は各層の溶解度パラメータ(SPAb1、SPAb2、SPAl1及びSPAl2)を次の表7及び表8にまとめる。また、これら値から計算した、|SPAb1−SP|、|SPAb2−SP|、|SPAl1−SP|、|SPAl2−SP|及び|SPAl3−SP|の値についても表7及び表8に示す。
上記の通り、本発明の合わせガラス用中間膜は、式(1):
|SP−SP|<|SP−SP| (1)
を満足し、A層が−50〜100℃の範囲の温度Tにtanδのピーク値tanδを有し、tanδが3.1より大きかった。よって、本発明によれば、高い遮音性を有すると共に、長期間使用しても制振性付与剤の移行が起こりにくく遮音性の経時的な低下が抑制された、合わせガラス用中間膜が提供される。また、本発明の合わせガラス用中間膜は、そのような優れた遮音性に加えて、優れた力学強度も有していた。

Claims (16)

  1. 熱可塑性樹脂A及び制振性付与剤を含有するA層と、熱可塑性樹脂Bを含有するB層とを少なくとも有する合わせガラス用中間膜であって、
    A層に含まれる熱可塑性樹脂Aと制振性付与剤との質量比が1:10〜10:1であり、熱可塑性樹脂A、制振性付与剤及び熱可塑性樹脂Bの溶解度パラメータを、それぞれ、SP、SP、SPとすると、SP、SP及びSPが、式(1):
    |SP−SP|<|SP−SP| (1)
    を満足し、A層が、−50〜100℃の範囲の温度Tにtanδのピーク値tanδを有し、tanδが3.1より大きい、合わせガラス用中間膜。
  2. SP及びSPが、式(2):
    SP<SP (2)
    を満足する、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
  3. B層が、−40〜200℃の範囲の温度Tにtanδのピーク値を有し、温度T及び温度Tが、式(3):
    <T (3)
    を満足する、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
  4. 熱可塑性樹脂Aがアクリル樹脂及びスチレンジエン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  5. 熱可塑性樹脂Aが、(メタ)アクリルモノマーの重合体からなるブロックを少なくとも1つ含むブロックコポリマーである、請求項4に記載の合わせガラス用中間膜。
  6. 熱可塑性樹脂Aが、スチレンの重合体からなるブロック、及び、ジエンモノマーの重合体からなるブロックをそれぞれ少なくとも1つ含むブロックコポリマーである、請求項4に記載の合わせガラス用中間膜。
  7. 熱可塑性樹脂Aが、m個のブロックを有するブロックコポリマーであり、mが2以上の整数であり、各ブロックが有する溶解度パラメータをそれぞれSPAb1〜SPAbmとすると、SPAb1〜SPAbmの少なくとも1つであるSPAbnが、式(4):
    |SPAbn−SP|<|SP−SP| (4)
    を満足する、請求項1〜6のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  8. A層が、アクリル樹脂を含む層を少なくとも1層含む多層樹脂である熱可塑性樹脂Aを含む組成物から形成される、請求項4に記載の合わせガラス用中間膜。
  9. A層が、p個の層からなる多層樹脂である熱可塑性樹脂Aを含む組成物から形成され、pが2以上の整数であり、各層が有する溶解度パラメータをそれぞれSPAl1〜SPAlpとすると、SPAl1〜SPAlpの少なくとも1つであるSPAlqが、式(5):
    |SPAlq−SP|<|SP−SP| (5)
    を満足する、請求項1〜4及び8のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  10. SP及びSPが、式(6):
    |SP−SP|<1 (6)
    を満足する、請求項1〜9のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  11. SP及びSPが、式(7):
    |SP−SP|>1 (7)
    を満足する、請求項1〜10のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  12. B層がさらに可塑剤を含有し、B層に含まれる熱可塑性樹脂Bと可塑剤との質量比が20:1〜1:1である、請求項1〜11のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  13. B層に含まれる可塑剤の溶解度パラメータをSPとすると、SP、SP及びSPが、式(8):
    |SP−SP|>|SP−SP| (8)
    を満足する、請求項1〜12のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  14. SP及びSPが、式(9):
    |SP−SP|>1 (9)
    を満足する、請求項1〜13のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  15. SP及びSPが、式(10):
    |SP−SP|<1 (10)
    を満足する、請求項1〜14のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
  16. 少なくとも1つのA層と少なくとも1つのB層が隣接する、請求項1〜15のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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