JP2019150834A - 抵抗溶接用電極 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定して良好な溶接ができる抵抗溶接用電極の提供を目的とした。【解決手段】本発明の抵抗溶接用電極1は、電極中心部3と、電極中心部3の周囲に設けられる電極外周部5とを有し、電極中心部3は電極外周部5から露出する先端面7を備え、電極外周部5の先端部はショルダー部9となり、ショルダー部9の導電率を電極中心部3の導電率より低くすることにより、溶接部8における電流密度を確保することができ、安定して良好な溶接を行うことが可能となる。【選択図】図3

Description

抵抗溶接において用いられる抵抗溶接用電極に関するものである。
板状鋼板等の被溶接材間を接合する場合、スポット溶接により接合が行われる場合がある。スポット溶接は、抵抗発熱を利用して金属の接合を行う抵抗溶接法の一種である。スポット溶接のうちの片側抵抗溶接(インダイレクト溶接あるいはワンサイドスポット溶接とも称す)では、被溶接材を重ね合わせた状態で、複数の被溶接材を重ねた溶接対象を電極により加圧し、さらに溶接対象を介してアースに至る経路(以下、導通経路と称す)に電極から電流を通電させ(以下、溶接対象を加圧し、溶接対象に電流を通電することを、単に、加圧・通電とも称す)、被溶接材間にまたがる溶接部を抵抗発熱によって加熱して局部的に溶融させることにより、被溶接材間を冶金的に接合する。また片側抵抗溶接では、電極を溶接対象に当接させて、電極によって溶接対象を加圧し、電極から溶接対象に電流を通電するため、上記加圧・通電が進捗するに従って、電極は溶接対象に食い込んでいく。
国際公開第2014/167772号
しかしながら、従来の片側抵抗溶接方法では、溶接対象に通電する際の電流値を調整して溶接を行うが、一定量の電流を通電しても良好な溶接ができない場合がある。発明者らが鋭意検討した結果、一定量の電流を通電しても溶接部における電流密度が一定にならない結果、良好な溶接ができない場合があることを見いだした。そして更なる検討の結果、後述するように、加圧・通電に伴い電極が溶接対象に食い込んでいき、食い込み量に応じて溶接部における電流密度が不足するために、良好な溶接ができない場合があるとの知見に至った。
そこで本発明は、安定して良好な溶接ができる抵抗溶接用電極の提供を目的とした。
抵抗溶接において、溶接は溶接部における電流密度に左右され、溶接部における電流密度は、後述するように、溶接対象中の電流密度の分布状況や被溶接材間の隙間の有無等に依存する。溶接対象の溶接部における電流密度が異なると、安定して良好な溶接を行うことが困難である。以下、溶接対象中の電流密度の分布とその影響を説明した上で、被溶接材間の隙間の有無による溶接部をにおける電流密度の差異とその影響について説明する。
まず、溶接対象中の電流密度の分布とその影響について説明する。抵抗溶接において、加圧・通電に伴って電極が溶接対象に食い込んでいく。食い込んだ電極から通電された電流は溶接対象中の導通経路を流れる。導通経路における電流密度は、電極の先端部分の近傍、及び、電極と溶接対象とが接する領域の端部の近傍(以下、接触端部領域と称す)で高くなる。被溶接材間の接合領域である溶接部は、被溶接材間の境界の近傍に電極の先端部分が食い込むことにより形成され、被溶接材間をまたがって溶接部が形成されることにより被溶接材間が良好に溶接される。電極の先端部分の近傍の溶接部で溶接が行われるため、電極の先端部分の近傍における電流密度を適切な範囲に確保する必要があり、電流密度が不足すると溶接不良となる。これに対して、接触端部領域は溶接部から離れた領域であり、接触端部領域における電流密度が高くなっても溶接には影響を及ぼさず、かえって接触端部領域における電流密度が高くなる分、溶接部(電極の先端部分の近傍)における電流密度が低くなる。このように、接触端部領域における電流密度が高くなりすぎて溶接部における電流密度が低くなると、溶接強度が不足して溶接不良が生じる。
また、接触端部領域における電流密度が高くなりすぎると、接触端部領域近傍の溶接対象が過剰に加熱されて軟化し、電極が必要以上に食い込む。電極が食い込む程導通経路が拡大して溶接部も拡大するため、溶接部の被溶接材間の接触面における面(以下、溶接部の断面とも称す)の面積(以下、単に溶接部の面積とも称す)は大きくなり、溶接部における電流密度がさらに小さくなる。その結果、溶接部における電流密度が一定以上に低下するに至ると、溶接強度が不足して溶接不良が生じる。
また、電極が食い込みすぎると、電極が接触しない溶接対象の裏面側にワレ等が生じ、溶接不良となる。
次に、被溶接材間の隙間の有無による溶接部における電流密度の差異とその影響について説明する。
被溶接材間に隙間が有る場合、電極が加圧されることにより被溶接材の一方が折り曲げられて他方の被溶接材と接触するので、接触面は被溶接材が向かい合う面の一部分となる(図4(a)参照)。他方、被溶接材間に隙間が無い場合、被溶接材間は被溶接材が向かい合う面の全面で接触し、この面が接触面となる(図4(b)参照)。そのため、接触面の大きさは被溶接材間の隙間の有無によって異なる。
また、導通経路の大きさは、電極と被溶接材とが接触する部分の大きさに依存し、電極と被溶接材とが接触する部分の大きさは被溶接材に電極が食い込む食い込み量に依存する。被溶接材間に隙間が有る場合、被溶接材が折り曲げられるため、電極の食い込み量は隙間が無い場合に比べて小さくなる。その結果、導通経路の大きさは、被溶接材間の隙間の有無によって異なる。
ここで、溶接部は電流が導通する導通経路と被溶接材間の接触面とが重なる領域に形成される。これを踏まえて上述した接触面及び導通経路の大きさが被溶接材間の隙間の有無によって異なることを考慮すると、溶接部の大きさは被溶接材間の隙間の有無によって異なることになる。溶接部における電流密度は、溶接部を流れる電流値と溶接部の面積によって定まり、電流値が一定であるとすると、溶接部の面積が大きいほど電流密度は小さくなる。溶接部における電流密度が過小であると溶接強度が不足し、溶接部における電流密度が過剰であると溶接部の表面にワレやチリ等が発生し、何れの場合も溶接不良となる。
以上のような問題が生じる場合があるため、抵抗溶接において、接触端部領域における電流密度を低減し、電流密度を溶接部に集中することにより、良好な溶接を安定して行うことが求められている。
このような要求に応じて提供される本発明の抵抗溶接用電極は、複数の被溶接材間を溶接する抵抗溶接に用いられ、前記被溶接材を加圧しながら前記被溶接材に通電する抵抗溶接用電極であって、電極中心部と、前記電極中心部の周囲に設けられる電極外周部とを有し、前記電極中心部は、前記電極外周部から加圧方向に露出する先端面を備え、前記電極外周部は、前記加圧方向の先端部に前記電極中心部と並ぶショルダー面が設けられたショルダー部を備え、前記ショルダー部の導電率が前記電極中心部の導電率より低いことを特徴とするものである。
本発明の抵抗溶接用電極を用いると、電極中心部を被溶接材の深部に食い込ませながら、接触端部領域ではショルダー部が被溶接材に接触するようにすることができる。その結果、電極中心部が被溶接材の深部に食い込むことにより、被溶接材の深い位置で溶接を行うことができる。同時に、ショルダー部の導電率が電極中心部の導電率より低いため、接触端部領域における電流密度が被溶接材間(溶接部)における電流密度より低くなる。接触端部領域における電流密度が被溶接材間(溶接部)における電流密度より低くなることにより、容易に被溶接材間(溶接部)における電流密度を確保することができ、安定して良好な溶接を行うことが可能となる。
また、接触端部領域における電流密度が高くなることを抑制することができるため、抵抗溶接用電極と接する被溶接材が過剰に加熱されることが抑制され、抵抗溶接用電極が被溶接材に過剰に食い込むことを抑制することができる。その結果、重ねられた被溶接材からなる溶接対象の裏面側にワレ等が生じることも抑制でき、溶接不良が抑制され、安定して良好な溶接を行うことが可能となる。
さらに、被溶接材間に隙間が無い場合に、被溶接材間に隙間が有る場合より溶接部が大きくなったとしても、接触端部領域における電流密度が被溶接材間(溶接部)における電流密度より低くなるため、被溶接材間(溶接部)に電流密度を集中させることができる。被溶接材間(溶接部)に電流密度を集中させることができるため、被溶接材間(溶接部)における電流密度が低下することが抑制される。その結果、被溶接材間に隙間が無い場合であっても溶接部における電流密度を一定以上に保つことができ、溶接強度が不足することが抑制でき、安定して良好な溶接を行うことが可能となる。
また、ショルダー部の電極材料の導電率が、電極中心部の電極材料の導電率より低いため、ショルダー部から被溶接材に流れる電流より電極中心部から被溶接材に流れる電流が多くなる。また、被溶接材間の隙間の有無にかかわらず、電極中心部の先端面全体が被溶接材に接触する。これらを合わせた結果、電極中心部から被溶接材を電流が導通する経路が導通経路となり、被溶接材間の隙間の有無にかかわらず、導通経路の大きさは略同じになる。また、被溶接材間に隙間がある場合、電極のショルダー部までを被溶接材と接触させて被溶接材を折り曲げるため、被溶接材間の接触面の大きさは電極中心部3によって定まる導通経路の大きさより大きくなる(図4(c)参照)。他方、被溶接材間に隙間が無い場合、被溶接材間は向かい合う面全面で接触する(図4(d)参照)。何れの場合も接触面は導通経路より大きくなり、溶接部の面積は導通経路の大きさにより大きく依存することとなる。そのため、被溶接材間の隙間の有無にかかわらず、溶接部の面積は略一致し、溶接部における電流密度が略一致して、安定して良好な溶接を行うことができる。
上述した抵抗溶接用電極は、前記先端面が、前記電極外周部から前記加圧方向に突出することが好ましい。
かかる構成によれば、電極中心部の先端面が電極外周部より突出するため、電極中心部の先端面を容易に被溶接材の深い位置に食い込ませて、被溶接材間をまたぐ被溶接材の深い位置に及んで溶接を行うことができ、安定して良好な溶接を行うことができる。
上述した抵抗溶接用電極は、前記電極中心部の外周面と前記電極外周部の内周面とは互いに接し、前記電極中心部の外周面または前記電極外周部の内周面の一方には1または複数の凸部が設けられ、他方には1または複数の凹部が設けられ、それぞれの前記凸部は、いずれかの前記凹部とかみ合うものであることが好ましい。
かかる構成によれば、凸部と凹部がかみ合うことによるアンカー効果によって電極中心部と電極外周部とが強固に固定され、抵抗溶接用電極が被溶接材に食い込む際に、電極中心部と電極外周部とを安定させることができる。
本発明によれば、安定して良好な溶接ができる抵抗溶接用電極を提供することができる。
溶接対象の構成を例示する図である。 本発明の抵抗溶接電極を備える溶接装置の構成を例示する図である。 本発明の抵抗溶接電極を説明する図であり、図3(a)は抵抗溶接電極の加圧方向に平行な面及び直行する面における断面図、図3(b)は抵抗溶接用電極が溶接対象に食い込んだ様子を示す図である。 被溶接材間の隙間の有無による溶接部の違いを従来の電極と比較して説明する図である。 本発明の抵抗溶接用電極の構成例を列挙する図である。
以下、本発明の抵抗溶接用電極(以下の説明では単に電極とも称す)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明の抵抗溶接用電極の説明に先立って、まず、抵抗溶接が行われる溶接対象2の構成例について説明し、本発明の抵抗溶接用電極が使用される溶接装置10の構成例を説明した上で、本発明の一実施形態に係る抵抗溶接用電極について説明する。
まず、溶接対象2の構成例について説明する。
図1に例示するように、溶接対象2は、被溶接材4と被溶接材6とから構成され、被溶接材4と被溶接材6とが、溶接部8にて溶接されて接合される。例えば、被溶接材4は平板である。被溶接材6は、立体的に形成され、同じく立体的に形成された被溶接材12の一面が解放された空間内部に接合されている。そして、溶接部8において、被溶接材6の被溶接材4と接する面に対する裏面は、被溶接材12と被溶接材6とで形成される空間内に閉じられている。溶接は2つの電極で溶接対象2を挟持して行うこともあるが(ダイレクト溶接)、被溶接材12と被溶接材6とで形成される空間内に電極を設けることができないため、被溶接材4と被溶接材6とはワンサイドスポット溶接により接合される。ワンサイドスポット溶接では、溶接部8において、被溶接材4の被溶接材6と接する面に対する裏面側に電極1が配置され、被溶接材6と電気的に導通するようにアース14が配置される。そして、電極1から被溶接材4、被溶接材6を介してアース14に至る導通経路16に所定の電流が導通される。導通経路16を導通する電流により、溶接部8において被溶接材4と被溶接材6とが溶融し、接合される。
次に、上述のワンサイドスポット溶接が行われる溶接装置10の構成例について説明する。
図2に例示するように、本発明の溶接装置10は、電極1と、電極1と対をなすアース14と、電極1を保持して稼働自在なロボットアーム20を備えるロボット18と、電極1とアース14との間に電流を導通させるトランス22と、トランス22に供給する電流を制御するタイマー24と、タイマー24及びロボット18の動作を制御する制御装置26とを備える。
溶接装置10において、電極1は、溶接対象2を加圧すると共に溶接対象2に所定の電流を導通させることで、電極1から溶接対象2を通ってアース14に至る導通経路16に電流を導通させる。溶接対象2において、重なり合う被溶接材4,6間が溶接により接合される。電極1は、溶接対象2を加圧すると共に、溶接対象2に所定の電流を導通させることにより、導通経路16上の溶接対象2を加熱・溶融させて溶接対象2を溶接する。電極1から通電される電流値は、溶接対象2の厚さや、被溶接材4,6それぞれの厚さ、必要な溶接強度等に応じて定めることができ、トランス22によって調整される。
トランス22は、タイマー24を介して供給された電流を、所定の電流値に変換した上、変換された電流を電極1から溶接対象2に導通させる。例えば、タイマー24を介して供給された400Vで数Aの電流を、3〜5Vで15000Aの電流に変換して電極1から導通させる。さらに、タイマー24は、トランス22を介して電極1から電流を導通させるタイミングを制御する。トランス22は、制御装置26により制御され、制御装置26はタイマー24を介してトランス22を制御することもできる。そのため、制御装置26は、電極1から溶接対象2に導通させる電流の、入力タイミング及び電流値、通電時間(サイクル)等を制御する。
ロボット18は、電極1及びロボットアーム20を含んで構成され、電極1を駆動する駆動装置である。ロボット18はロボットアーム20により、電極1を所定の範囲内で任意の位置に移動させることが可能な構成であり、電極1を所定の溶接位置に移動させ、電極1に溶接対象2を加圧させる。また、ロボット18は、制御装置26にその動作が制御される。
このように、制御装置26は、電極1が接続されるロボット18の動作を制御すると同時に、電極1から通電される電流を制御する。そのため、制御装置26は、溶接工程における、加圧と通電とを制御することになる。
次に、本発明の一実施形態に係る抵抗溶接用電極である電極1の構成例及び電極1が溶接対象2を加圧して溶接対象2に食い込む様子について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の電極1は、上述のように、溶接の際に、溶接対象2を加圧すると共に、溶接対象2に通電する。図3(a)に示すように、電極1は、電極中心部3と電極外周部5とを備える。電極中心部3は円柱状であり、電極1の加圧方向の先端面の一部を構成する先端面7を備える。先端面7は曲面または平面であり、加圧・通電に伴い、電極1は先端面7から溶接対象2に食い込み始める。電極外周部5は電極中心部3の周囲に形成され、電極中心部3の少なくとも先端面7の先端部を露出するように設けられる。電極外周部5は、加圧方向の先端部にショルダー部9を備える。ショルダー部9の加圧方向の先端面はショルダー面11であり、ショルダー面11は電極中心部3の先端面7と接し、ショルダー面11は電極1の加圧方向の先端面の一部を構成する。加圧・通電が進むと、先端面7に続いてショルダー部9が溶接対象2に食い込む。電極中心部3の外周面13は、電極外周部5の内周面15と接し、電極中心部3は電極外周部5に固定される。そして、ショルダー部9は、電極中心部3の電極材料の導電率より導電率が低い電極材料で形成される。また、ショルダー部9の電極材料は、溶接対象2を加熱・軟化させて、電極1を溶接対象2に食い込ませることができる程度の導電率を有する必要がある。さらに、ショルダー部9が軟化しすぎると被溶接材4と接合してしまうため、ショルダー部9の電極材料の導電率は、被溶接材4(鋼材)の導電率より高くする必要がある。電極中心部3の電極材料と電極外周部5(ショルダー部9)の電極材料は順に、例えば、タングステンと銅、タングステンと銅化合物(Cr−Cu等)、タングステンとアルミニウム、銅化合物(Cr−Cu等)とアルミニウムと組み合わせることができる。
以上説明した本発明の電極1は、上述のように、加圧・通電に伴って溶接対象2に食い込む。図3(b)に示すように、溶接対象2に食い込んだ電極1は、電極中心部3の先端面7が被溶接材4,6の接触面23に近づき、溶接対象2(被溶接材4)の表面17は電極外周部5のショルダー部9と接する。溶接対象2の表面17と電極外周部5のショルダー部9とが接する領域の近傍が接触端部領域19(図の円弧で囲まれた領域)となる。
図3(b)に示すように電極1が溶接対象2に食い込んだ状態において、従来の電極を用いた場合、電極1の先端部分近傍の領域21(図の円で囲まれた領域)と接触端部領域19との電流密度が他の領域に比べて高くなる。本発明の電極1を用いた場合、接触端部領域19において、溶接対象2の表面17と電極外周部5のショルダー部9とが接する。ショルダー部9の導電率が電極中心部3の導電率より低いため、接触端部領域19における電流値は領域21における電流値より低くなり、接触端部領域19における電流密度は領域21における電流密度より低くなる。接触端部領域19における電流密度が低くなる結果、領域21における電流密度は相対的に高くなる。領域21における電流密度が高くなる結果、電流密度が高い領域21が溶接部8を含む領域に至り、溶接部8における電流密度が十分に高くなり、溶接部8において良好に溶接を行うことが可能となる。
また、電極1と接する部分の溶接対象2が過剰に加熱されると、溶接対象2の表面17が軟化し、電極1の食い込み量が想定以上に多くなり、溶接対象2の表面17に対する裏面にワレ等が生じる場合がある。本発明の電極1を用いると、加圧・通電過程において、導電率の低いショルダー部9が溶接対象2の表面17と接するようになるため、接触端部領域19における電流密度が高くなることを抑制することができる。接触端部領域19における電流密度が抑制されるため、電極1のショルダー部9と接する部分の溶接対象2が過剰に加熱されることが抑制され、電極1が溶接対象2に過剰に食い込むことを抑制することができる。電極1が溶接対象2に過剰に食い込むことが抑制される結果、溶接対象2の裏面側にワレ等が生じることも抑制でき、溶接不良が抑制され、安定して良好な溶接を行うことが可能となる。
さらに、被溶接材4,6の間の隙間の有無により、加圧・通電に伴って溶接部8の面積が異なり、溶接部8における電流密度が一致せず、溶接強度が安定しない場合がある。これに対して、本発明の電極1によると、溶接部8に電流密度を集中することができると共に、溶接部8の面積を一定にすることができる。これらにより、被溶接材4,6の間の隙間の有無にかかわらず溶接部8における電流密度を一定以上に保つことができ、安定して良好な溶接を行うことが可能となる。以下、従来の電極では被溶接材4,6の間の隙間の有無による溶接部8の面積に差異が生じることを説明した上で、本発明の電極1により溶接強度が不足することを抑制できることについて説明する。
図4(a)に示すように、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合、加圧・通電によって隙間をつめると、被溶接材4及び被溶接材6は接触面23で接する。被溶接材4における導通経路16は、従来の電極28から加圧方向に向かって形成され、主に被溶接材4と電極28とが接する領域30の大きさに依存する。溶接部8は接触面23と導通経路16とが重なる領域となるため、例えば、溶接部8は図示する領域となり、溶接部8の断面はs1となる。以上のように、従来の電極28を用いると、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合、溶接部8の大きさ(面積)は、接触面23の大きさと導通経路16の大きさとに依存することになる。
他方、図4(b)に示すように、被溶接材4,6の間に隙間が無い場合、被溶接材4と被溶接材6とが向かい合う面全面が接触面23となる。被溶接材4における導通経路16は、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合と同様に、電極28から加圧方向に向かって形成され、主に被溶接材4と電極28とが接する領域30の大きさに依存する。溶接部8は被溶接材4,6の接する部分と導通経路16とが重なる領域となるため、溶接部8は図示する領域となり、溶接部8の断面はs2となる。以上のように、従来の電極28を用いると、被溶接材4と被溶接材6とが向かい合う面全面が接触面23となるため、被溶接材4,6の間に隙間が無い場合、溶接部8の大きさ(面積)は、主に導通経路16の大きさに依存することになる。
以上のことから、溶接部8の面積は、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合には主に接触面23の大きさと導通経路16の大きさとに依存して形成されるのに対し、被溶接材4,6の間に隙間が無い場合には主に導通経路16の大きさに依存する。被溶接材4,6の間に隙間が無い場合の導通経路16の大きさは被溶接材4と電極28とが接する領域30の大きさで決まり、領域30の大きさは電極28が溶接対象2(被溶接材4)に食い込む食い込み量で決まる。そして、被溶接材4,6の間に隙間が無い場合の食い込み量は、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合に比べて多くなる。そのため、被溶接材4,6の間に隙間が無い場合の導通経路16の大きさは、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合の導通6の大きさに比べて大きくなる。その結果、被溶接材4,6の間に隙間が無い場合の溶接部8の断面s2の面積は、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合の溶接部8の断面s1の面積より大きくなる。そのため、電極28から通電される電流値が同じ場合、被溶接材4,6の間に隙間が無い場合に溶接部8における電流密度は被溶接材4,6の間に隙間が有る場合に比べて小さくなり、電流密度が不足して溶接不良となる場合がある。
これに対して本発明の電極1では、ショルダー部9が、電極中心部3の電極材料の導電率より導電率が低い電極材料で形成されるため、電極1から通電される電流は、主に電極中心部3から被溶接材4に導通する。そのため、導通経路16の大きさは被溶接材4と電極中心部3とが接する領域27の大きさに依存する。ここで、上述のように従来の電極28を用いた場合、溶接部8の面積は、導通経路16の大きさと被溶接材4,6の接触面23とに依存するが、電極1はショルダー部9までが被溶接材4に食い込むため、接触面23は被溶接材4と電極中心部3とが接する領域27より大きくなり、溶接部8の面積は略導通経路16の大きさのみに依存する。その結果、図4(c)に示すように、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合の溶接部8は、被溶接材4と電極中心部3とが接する領域27によって定まる導通経路16に依存し、溶接部8の断面はS1となる。同様に、被溶接材4,6の間に隙間が有る場合も、図4(d)に示すように、導通経路16は被溶接材4と電極中心部3とが接する領域27によって定まり、導通経路16に依存する溶接部8の断面はS2となる。そして、被溶接材4,6の間の有無にかかわらず、電極中心部3の先端面7は完全に溶接対象2(被溶接材4)に食い込むため、領域27は略同一となり、溶接部8の断面S2の面積は溶接部8の断面S1の面積と略一致する。
以上のように本発明の電極1によると、ショルダー部9の電極材料の導電率が、電極中心部3の電極材料の導電率より低いため、ショルダー部9から被溶接材4に流れる電流より電極中心部3から被溶接材4に流れる電流が多くなる。そのため、実質的に電極中心部3から被溶接材4を電流が導通する経路が導通経路16となる。その結果、上述のように、被溶接材4,6の間の隙間の有無にかかわらず、溶接部8の面積は略一致し、溶接部8における電流密度が略一致して、安定して良好な溶接を行うことができる。
なお、図5(a)に示すように、本発明の電極29は、電極1に対して、電極中心部3がショルダー部9から加圧方向に突出する構成とすることもできる。電極中心部3がショルダー部9から突出することにより、ショルダー部9のショルダー面11は電極中心部3の外周面13と接する構成となる。このように、電極中心部3がショルダー部9から突出することにより、電極29の先端面7を被溶接材4の深い位置に食い込ませることが容易となり、溶接部8を押し込んで、被溶接材4,6を十分にまたぐ領域に形成することができ、より安定して良好な溶接を行うことができる。特に、溶接部8を深い位置まで形成することができるため、板厚の厚い被溶接材4,6を溶接する際や、3枚以上の被溶接材を溶接する際に好適である。
また、図5(b)に示すように、本発明の電極31は、電極外周部5を、先端部のショルダー部9と基端部の電極外周基端部33とから構成することもできる。ショルダー部9の電極材料の導電率を、電極中心部3の電極材料の導電率より低くし、電極外周基端部33の電極材料は任意の導電率の材料とすることができる。このような構成によっても、接触端部領域19において、電極中心部3より導電率の低いショルダー部9を溶接対象2に接触させることができるため、上述の電極1,29と同様に、安定して良好な溶接を行うことができる。
また、電極(上記電極1,29,31のいずれか)及び電極中心部3の少なくとも一方の、加圧方向に直行する面における断面の形状は円形に限らず、図5(c)に示すように、楕円形や多角形等にすることができる。これにより、被溶接材の形状等に応じて、最適な形状の電極1,29,31を用いて良好な溶接を行うことができる。
また、電極1,29、31において、図5(d)に示すように、電極中心部3または電極外周部5の一方に1または複数の凸部35を設け、他方に1または複数の凹部37を設け、それぞれの凸部35がいずれかの凹部37とかみ合う構成とすることもできる。このような構成とすることにより、アンカー効果により電極中心部3と電極外周部5とを強固に固定し、電極1,29、31が被溶接材4に食い込む際に、電極中心部3と電極外周部5とを安定させることができる。例えば、電極中心部3または電極外周部5の一方に雄ねじを形成し、他方に雌ねじを形成し、電極中心部3と電極外周部5とを螺合することができる。
本発明は、インダイレクト溶接やシリーズ溶接、ダイレクト溶接など、溶接対象に電極を押し当てて溶接を行う抵抗溶接において用いられる抵抗溶接用電極全般において好適に利用できる。
1 電極
2 溶接対象
3 電極中心部
4 被溶接材
5 電極外周部
6 被溶接材
7 先端面
8 溶接部
9 ショルダー部
10 溶接装置
11 ショルダー面
16 導通経路
19 接触端部領域
23 接触面

Claims (1)

  1. 複数の被溶接材間を溶接する抵抗溶接に用いられ、前記被溶接材を加圧しながら前記被溶接材に通電する抵抗溶接用電極であって、
    電極中心部と、
    前記電極中心部の周囲に設けられる電極外周部と
    を有し、
    前記電極中心部は、前記電極外周部から加圧方向に露出する先端面を備え、
    前記電極外周部は、前記加圧方向の先端部に前記電極中心部と並ぶショルダー面が設けられたショルダー部を備え、
    前記ショルダー部の導電率が前記電極中心部の導電率より低い
    ことを特徴とする抵抗溶接用電極。
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