JP2019150756A - 気体処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】オゾン(O3)によって分解しづらい成分も効率的に分解することが可能な、気体処理装置を提供することを目的とする。【解決手段】気体処理装置は、筐体と、酸素及び水分を含む被処理気体を筐体の内側に導入する吸気口と、筐体に収容され、主たる発光波長が160nm以上200nm未満である第一光源と、筐体内において、吸気口側から見て第一光源よりも後段に配置され、主たる発光波長が220nm以上360nm未満である第二光源と、第一光源の吸気口側の端部と、第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、被処理気体の一部を撹拌する撹拌部と、吸気口側から見て第二光源よりも後段の位置において、被処理気体を筐体の外側に導出する排気口と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、気体処理装置に関し、特に酸素及び水分を含む被処理気体を処理する装置に関する。
光を用いた脱臭・殺菌する技術が近年開発されている。例えば、下記特許文献1には、エキシマランプの構成が開示されている。このエキシマランプは、紫外線を透過するシリカガラスよりなる管体(放電容器)と、この管体の外壁に設けられた電極を備える。管体内には、放電用ガスとしてのキセノン(Xe)ガスが封入されている。このエキシマランプによれば、波長200nm以下、より詳細には波長172nmの真空紫外光が照射される。
よって、例えば、この真空紫外光を、空気に照射させてオゾン(O3)を含むガスを生成することで、このオゾンを含むガスを用いた脱臭・殺菌の効果を得ることができる。
特開2007−335350号公報
ところで、空気中には、オゾンによって分解しづらい悪臭成分が含まれている場合がある。このような悪臭成分の一つに、例えばホルムアルデヒドが挙げられる。本発明は、オゾンによって分解しづらい上記の成分も効率的に分解することが可能な、気体処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係る気体処理装置は、
筐体と、
酸素及び水分を含む被処理気体を前記筐体の内側に導入する吸気口と、
前記筐体に収容され、主たる発光波長が160nm以上200nm未満である第一光源と、
前記筐体内において、前記吸気口側から見て前記第一光源よりも後段に配置され、主たる発光波長が220nm以上360nm未満である第二光源と、
前記第一光源の前記吸気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記被処理気体の一部を撹拌する撹拌部と、
前記吸気口側から見て前記第二光源よりも後段の位置において、前記被処理気体を前記筐体の外側に導出する排気口と、を備えたことを特徴とする。
吸気口から筐体内に取り込まれた被処理気体の一部は、第一光源からの射出光(主たる発光波長が160nm以上200nm未満の光)が照射される。被処理気体は、酸素及び水分を含む。このため、第一光源からの射出光が照射された被処理気体からは、オゾン(O3)が生成される。
第一光源が配置されている箇所を通過した、オゾンを含む被処理気体には、第二光源からの射出光(主たる発光波長が220nm以上360nm未満)が照射される。オゾンは、この波長帯の光を吸収すると、励起状態の酸素原子O(1D)を生成する。この酸素原子O(1D)は、高い反応性を有している。また、O(1D)は、水分(H2O)と反応することで、同様に高い反応性を示すヒドロキシラジカル(・OH)を生成する。
第一光源から射出される光(以下、「第一光」と呼ぶ。)は、第二光源から射出される光(以下、「第二光」と呼ぶ。)と比べて、波長が短い。このため、第一光の多くは、第一光源が配置されている位置の近傍を通流する被処理気体(より詳細にはこの被処理気体に含まれる酸素)に吸収されてしまい、長い距離にわたって進行することができない。この結果、第一光源が配置されている位置から離れた領域を通流する被処理気体は、第一光が照射されることなく、吸気口側へと通流する。
一方、第二光源から射出される光(第二光)は、第一光源から射出される光(第一光)と比べて、波長が長いため、被処理気体内を長い距離だけ進行することができる。ここで、上記のように、第一光が被処理気体に照射されて生成されたオゾンに対して、第二光が照射されると、このオゾンによって第二光が吸収されて、高い反応性を示す励起状態の酸素原子O(1D)が生成され、また、その一部はやはり高い反応性を示すヒドロキシラジカル(・OH)に変換される。上述したように、このO(1D)や・OHによって、オゾンで分解しづらい物質(例えばホルムアルデヒド)に対しても高い分解性能が確保できる。
しかしながら、上記のように、第一光が届かなかった被処理気体、すなわち、第一光源が配置されている位置から離れた領域を通流する被処理気体は、含有オゾン量が少ない。このような被処理気体に対して、第二光が照射されても、高い反応性を示す酸素原子O(1D)が十分に生成されない。
これに対し、上記気体処理装置によれば、第一光源の吸気口側の端部と、第二光源の吸気口側の端部との間の位置において、被処理気体の一部を撹拌する撹拌部を備えている。このため、第一光源の近傍を通流したことで第一光が照射されてオゾンが生成された被処理気体と、第一光源から離れた位置を通流したことで第一光が照射されなかった被処理気体とが、第二光源の前段の位置で撹拌される。この結果、第一光源から離れた位置においても、一定量のオゾンを混在させた状態で被処理気体を第二光源側へと導くことができる。つまり、第二光源の前段の位置において、筐体内を通流する被処理気体の全体にわたって、オゾンを分散させることができる。
よって、オゾンが分散された状態の被処理気体が第二光源側へと導かれるため、第二光が照射された後の被処理気体に対して、高い反応性を示す励起状態の酸素原子O(1D)を高確率で導入することができる。この結果、被処理気体に含まれる悪臭・有害物質の分解性能を、従来の装置よりも向上させることができる。詳細は、「発明を実施するための形態」の項で後述される。このような悪臭・有害物質としては、上記のホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒド、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸、エチルベンゼン、ムスコンなどが挙げられる。
一例として、第一光源は、Xeを含む放電用ガスが充填されたエキシマランプで構成するのが好ましい。この場合、第一光源からの射出光(第一光)は、160nm以上180nm未満の範囲内(以下、「第一波長帯λ1」と呼ぶ)の成分と、180nm以上200nm未満の範囲内(以下、「第二波長帯λ2」と呼ぶ)の成分とを含む。
第一光源の近傍を通流する被処理気体に対して、第一光源からの第一波長帯λ1の射出光が照射されることで、励起状態の酸素原子O(1D)及びオゾン(O3)が生成される。更に、第一光源から離れた位置において、被処理気体が一時的に滞留しているような場合には、このオゾン(O3)を含む被処理気体に対して、第一光源からの第二波長帯λ2の射出光が照射されることで、励起状態の酸素原子O(1D)が生成される。つまり、第二光源の前段の位置において、被処理気体に対して、反応性の高いO(1D)やヒドロキシラジカル(・OH)を高確率で導入することができる。
なお、第一光源は、上記エキシマランプの他、LEDなどの固体光源で構成することができる。
また、第二光源は、例えば低圧水銀ランプや、LEDなどの固体光源、希ガスが封入された蛍光ランプなどで構成することができる。
前記撹拌部は、種々の態様で構成することができる。
第一の態様として、
前記気体処理装置は、前記第一光源の前記吸気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記吸気口から流入された前記被処理気体の一部が衝突する衝突部を有し、前記撹拌部が前記衝突部で構成されているものとすることができる。
上記第一の態様によれば、第一光源の近傍を通流した被処理気体が、衝突部で衝突した後、第一光源から離れた位置を通流した被処理気体と混合される。この結果、第二光源の前段の位置において、オゾンを分散させることができる。
この第一の態様の具体例としては、種々の構成の採用が可能である。
例えば、前記衝突部は、開口が設けられていない遮蔽部と、前記遮蔽部の外側又は前記遮蔽部の領域内に設けられた第一開口部とを含む遮風部材で構成されているものとすることができる。
この場合において、前記遮風部材は、前記第一光源の前記排気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間に配置されているものとしても構わない。
また、例えば、
前記遮風部材は、
前記第一光源の前記吸気口側の端部と、前記第一光源の前記排気口側の端部との間に、配置されており、
前記遮蔽部の内側において、前記被処理気体の流路方向から見て、前記第一光源を覆うように開口された第二開口部を備えるものとすることができる。
また、例えば、
前記筐体は、前記第一光源の前記排気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記被処理気体の流路に折れ曲がり部を有する形状を呈し、
前記衝突部は、前記折れ曲がり部における前記筐体の内側面で構成されているものとすることができる。
また、第二の態様として、
前記筐体は、
前記第一光源が内部に配置されている第一流路領域と、
前記第一光源の前記排気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記第一流路領域と比較して流路断面積が異なる第二流路領域と、
前記第二光源が内部に配置されている第三流路領域とを有し、
前記撹拌部が、前記筐体の前記第二流路領域によって構成されているものとすることができる。
被処理気体が、第一流路領域から第二流路領域へと導かれると、流路断面積の急激な変化に伴い、被処理気体の一部が渦流を形成する。これにより、第一光源の近傍を通流した被処理気体と、第一光源から離れた位置を通流した被処理気体と混合され、第二光源の前段においてオゾンが分散される。
この第二の態様の具体例としては、種々の構成の採用が可能である。例えば、前記第二流路領域は、前記第一流路領域よりも流路断面積が大きいものとしても構わない。この場合において、更に、前記第三流路領域は、前記第二流路領域よりも流路断面積が小さいものとしても構わない。
また、別の具体例として、前記第二流路領域は、前記第一流路領域よりも流路断面積が小さいものとしても構わない。この場合において、更に、前記第三流路領域は、前記第二流路領域よりも流路断面積が大きいものとしても構わない。
本発明の気体処理装置によれば、従来の装置と比べて、反応性の高いO(1D)や・OHと、被処理気体に含まれる悪臭・有害物質との接触確率を増加させることができるため、オゾン(O3)のみでは分解しづらい悪臭成分についても分解性能を向上させることができる。
第一実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な断面図である。 第一光源の構造の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示される気体処理装置が備える遮風部材を、X方向から見たときの模式的な平面図である。 図1に示される気体処理装置が備える遮風部材を、X方向から見たときの模式的な別の平面図である。 第一光源の発光スペクトルの一例と、酸素(O2)及びオゾン(O3)の吸収スペクトルとを重ねて表示したグラフである。 第二光源の発光スペクトルの一例と、酸素(O2)及びオゾン(O3)の吸収スペクトルとを重ねて表示したグラフである。 第一実施形態の気体処理装置の別の構成をXY平面で切断したときの模式的な断面図である。 図5に示される気体処理装置が備える遮風部材を、X方向から見たときの模式的な平面図である。 図5に示される気体処理装置が備える遮風部材を、X方向から見たときの模式的な別の平面図である。 第二実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な断面図である。 第二実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な別の断面図である。 第三実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な断面図である。 第三実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な別の断面図である。 第三実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な別の断面図である。 第三実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な別の断面図である。 第三実施形態の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な別の断面図である。 比較例の気体処理装置をXY平面で切断したときの模式的な断面図である。
本発明の気体処理装置の各実施形態について、適宜図面を参照して説明する。なお、以下の図面において、図面上の寸法比と実際の寸法比は必ずしも一致していない。第二実施形態以後においても同様である。
[第一実施形態]
本発明の気体処理装置の第一実施形態について、説明する。
(構造)
図1は、本実施形態の気体処理装置の構造を模式的に示す断面図である。気体処理装置1は、筐体3と、吸気口5と、排気口7と、第一光源10と、第二光源20と、遮風部材30とを備える。以下では、吸気口5から被処理気体G1が筐体3の内側に取り込まれる方向をX方向とし、このX方向に直交する平面をYZ平面として規定する。図1には、X、Y、及びZの3方向が、気体処理装置1と共に図示されている。ここでは、X、Y、及びZの3方向が、右手系の座標系であるとして示されている。
上記座標系を用いて説明すると、図1は、気体処理装置1をXY平面で切断したときの断面図に対応する。
図1において、被処理気体G1の流れ(流路)が模式的に二点鎖線で示され、光(L1,L2)の放射方向が模式的に破線で示されている。
吸気口5は、気体処理装置1の外側から筐体3の内部に被処理気体G1を導入するための開口部である。被処理気体G1は、酸素及び水分を含む気体であり、例えば空気である。
図1に示す気体処理装置1では、吸気口5に送風機構としてのファン6を備えている。送風機構は、ファン6とは異なる装置で構成されていても構わないし、排気口7側に配置されていても構わないし、吸気口5と排気口7との間の流路上に配置されていても構わない。更に、気体処理装置1の外側から吸気口5を介して筐体3の内部に向けて、十分な流量の被処理気体G1を導入できる環境下においては、送風機構(ファン6)が備えられなくても構わない。
第一光源10は、主たる発光波長が160nm以上200nm未満である光(第一光L1)を射出する光源である。一例として、第一光源10は、放電用ガスが封入されたエキシマランプで構成される。図2は、第一光源10の構造の一例を模式的に示す断面図である。第一光源10は、外部電極11と内部電極12との間に電圧(例えば、交流の高電圧)を印加するための電源(不図示)を備える。
発光管13は、両端に、管体14の内部を気密にする第一封止部15及び第二封止部16を備える。管体14には、放電用ガスが封入されている。この放電用ガスは、キセノン(Xe)を含んで構成されている。放電用ガスのより詳細な一例としては、キセノン(Xe)とネオン(Ne)を所定の比率(例えば3:7)で混在させたガスで構成される。また、管体14に含まれる放電用ガスとして、キセノン(Xe)とネオン(Ne)以外に、酸素や水素を微量に含むものとしても構わない。
発光管13は、第一封止部15に埋設される金属箔17と、第一封止部15に一部が埋設される外部リード18とを備える。金属箔17は、内部電極12及び外部リード18に連結されている。これによって、内部電極12、金属箔17、及び外部リード18は、相互に電気的に接続されている。
本実施形態において、外部電極11は筒状に形成されており、管体14は外部電極11の内部に挿入されている。外部電極11は、管体14の内部から放射された光を、通過又は透過させる光路部19を備えている。例えば、光路部19は貫通孔で構成されている。
外部電極11は、板状の部材に複数の貫通孔を有するように形成されていてもよく、複数の棒状の部材を格子状や網目状に配置して形成されていてもよく、棒状の部材を螺旋状に配置して形成されていてもよい。光路部19は、透光性を有する部材で構成されていてもよい。
本実施形態において、内部電極12は、棒状に形成され、管体14の内部に配置されている。内部電極12の端部が、それぞれ発光管13の封止部(15,16)に埋設されているため、内部電極12は発光管13に固定されている。
第二光源20は、主たる発光波長が220nm以上360nm未満である光(第二光L2)を射出する光源である。第二光源20としては、例えば低圧水銀ランプや、LED、希ガスが封入された蛍光ランプなどで構成することができる。
本実施形態の気体処理装置1は、第一光源10の排気口7側の端部10bと、第二光源20の吸気口5側の端部20aとの間に、遮風部材30を備えている。図3Aは、本実施形態の気体処理装置1が備える遮風部材30を、X方向から見たときの模式的な平面図である。図3Aに示すように、本実施形態における遮風部材30は、開口が設けられていない遮蔽部31を備えており、この遮蔽部31の外側には第一開口部32が設けられている。遮蔽部31は、例えば、オゾンや紫外線に対して劣化しにくい、ステンレスやチタンで構成されている。
遮風部材30は、例えば図示しない連結部材によって筐体3に対して固定されているものとして構わない。
なお、別の例として、図3Bに示すように、遮蔽部31と、遮蔽部31の領域内に複数の第一開口部32が設けられた遮風部材30を採用することも可能である。なお、図3Bにおいて、複数の第一開口部32が連結されて一体化されていても構わない。
吸気口5から筐体3内に導入された被処理気体G1は、排気口7に向かって流れる。この被処理気体G1のうち、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aに対しては、第一光源10から射出された、主たる発光波長が160nm以上200nm未満の第一光L1が照射される。上述したように、被処理気体G1には酸素が含まれるため、第一光L1は被処理気体G1に含まれる酸素によって吸収される。
なお、上記波長帯の第一光L1は、そのほとんどが第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aに含まれる酸素によって吸収されてしまう。この結果、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bに対しては、第一光源10からの射出光L1は照射されることなく、そのまま排気口7側に向かって流れる。
第一光L1が照射された後、排気口7側に向かって通流する被処理気体G1aは、遮風部材30の遮蔽部31に衝突する。この結果、被処理気体G1aは進行方向を変化させる。具体的には、筐体3の内壁側に(図1における±Y方向に)進行方向を変化させる。これにより、第一光源10から離れた位置を通流してきた被処理気体G1bと、第一光源10の近傍を通流した被処理気体G1aとが混合されて、第二光源20が配置されている側へと導かれる。
被処理気体G1aとG1bとが混合されてなる被処理気体G1は、第二光源20から射出された、主たる発光波長が220nm以上360nm未満の第二光L2が照射される。第二光L2は、第一光L1と比べて酸素に対する吸収度が低いため、第一光L1と比べて被処理気体G1に対する透過性が高い。この結果、第二光源20から離れた位置を通流する被処理気体G1に対しても第二光L2が照射される。その後、第二光L2が照射された被処理気体G1は、処理後の気体G2として、排気口7から筐体3外へと排出される。
(作用)
本実施形態の気体処理装置1によれば、従来の装置と比べて悪臭成分の分解性能が向上する点につき、以下において説明する。
図4Aは、第一光源10をエキシマランプで構成した場合における、第一光源10の発光スペクトルと、酸素(O2)及びオゾン(O3)の吸収スペクトルとを重ねて表示したグラフである。また、図4Bは、第二光源20を低圧水銀ランプで構成した場合における、第二光源20の発光スペクトルと、酸素(O2)及びオゾン(O3)の吸収スペクトルとを重ねて表示したグラフである。図4A及び図4Bの双方において、横軸は波長を示し、左縦軸は光源から射出される光の強度の相対値を示し、右縦軸は、酸素(O2)及びオゾン(O3)の吸収係数を示す。なお、右縦軸は対数目盛にて表記されている。
図4Aに示されるように、エキシマランプで構成した第一光源10から射出される第一光L1は、160nm以上180nm未満の範囲内(以下、「第一波長帯λ1」と呼ぶ)の成分を含む。図4Aに示すように、この第一波長帯λ1の光は、酸素(O2)による吸収量が大きい。このため、上述したように、第一波長帯λ1の光の大部分は、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aによって吸収されてしまう。このとき、以下の(1)式の反応が進行する。(1)式において、O(1D)は、励起状態のO原子であり、高い反応性を示す。O(3P)は基底状態のO原子である。また、(1)式において、hν(λ1)は、第一波長帯λ1の光が吸収されていることを示す。
2 + hν(λ1) → O(1D) + O(3P) ‥‥(1)
(1)式で生成されたO(3P)は、被処理気体G1に含まれる酸素(O2)と反応して、(2)式に従ってオゾン(O3)を生成する。
O(3P) + O2 → O3 ‥‥(2)
また、高い反応性を示すO(1D)の一部は、被処理気体G1に含まれる水分(H2O)と反応して、(3)式に従ってヒドロキシラジカル(・OH)を生成する。
O(1D) + H2O → ・OH + ・OH ‥‥(3)
つまり、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aは、第一光源10から射出された第一光L1が照射されることで、上記(1)〜(3)式に従って生成された、高い反応性を有するO(1D)や・OHを含み、更にオゾン(O3)を含む状態となる。
一方、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bは、第一光源10から射出された第一光L1に含まれる、上記第一波長帯λ1の光が照射されない。この結果、被処理気体G1bは、O(1D)や・OHをほとんど含まない状態で第二光源20側へと導かれることになる。
なお、図4Aに示されるように、エキシマランプで構成した第一光源10から射出される第一光L1は、180nm以上200nm未満の範囲内(以下、「第二波長帯λ2」と呼ぶ)の成分も含む。この第二波長帯λ2の光は、第一波長帯λ1の光よりは強度が低下するものの、主たるピーク波長に対応する強度(ピーク値)に対して、5%以上50%以下の強度を示す波長領域が存在する。積分強度で換算すると、第二波長帯λ2の光は、第一波長帯λ1の光に対して、10%以上30%以下の強度を有している。
この第二波長帯λ2の光は、第一波長帯λ1の光よりは酸素に対する吸収率が低いため、第一波長帯λ1の光よりは被処理気体G1内を透過して進行した後、酸素によって吸収される。第二波長帯λ2の光が酸素によって吸収されると、下記(4)式に従って、基底状態のO原子であるO(3P)が生成される。(4)式において、hν(λ2)は、第二波長帯λ2の光が吸収されていることを示す。
2 + hν(λ2) → O(3P) + O(3P) ‥‥(4)
このO(3P)は、被処理気体G1に含まれる酸素(O2)と反応して、上述した(2)式によりオゾン(O3)を生成する。つまり、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bには、一部のオゾン(O3)が含まれる場合があるが、その濃度は、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと比較して極めて低いものである。
O(1D)や・OHを含み、且つオゾン(O3)を多く含む被処理気体G1aは、遮風部材30の遮蔽部31に衝突すると、上述したように進行方向が変化され、O(1D)や・OHをほとんど含まず、また、オゾン(O3)の含有濃度も低い状態で通流してきた被処理気体G1bと混合された後、第二光源20側へと導かれる。つまり、遮風部材30は、被処理気体G1aを衝突させるための「衝突部」を構成し、且つ、被処理気体G1aと被処理気体G1bとを撹拌するための「撹拌部」を構成する。
この結果、被処理気体G1は、通流する位置によらず、オゾン(O3)が分散された状態で第二光源20側に流入される。
オゾン(O3)を含む被処理気体G1は、第二光源20から射出された第二光L2が照射されると、下記(5)式に従って、励起状態のO原子であるO(1D)を生成する。(5)式において、hν(L2)は、第二光L2の光が吸収されていることを示す。
3 + hν(L2) → O(1D) + O2 ‥‥(5)
更に、このとき生成されたO(1D)の一部は、上記(3)式に従って・OHに変換される。
図4Bによれば、第二光源20から射出される第二光L2は、酸素(O2)に対する透過性が高い一方、オゾン(O3)に対する高い吸光度を示す。上述したように、本実施形態の気体処理装置1によれば、遮風部材30の遮蔽部31によって、第一光源10の近傍を通流するオゾン濃度の比較的高い被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流するオゾン濃度の比較的低い被処理気体G1bとが撹拌されている。この結果、第二光源20側に導かれた被処理気体G1は、ほぼ全般にわたってオゾン(O3)が分散された状態となる。この被処理気体G1に対して第二光L2が照射されることで、上記(5)式及び(3)式に従って、高い反応性を示すO(1D)及び・OHが更に生成される。
つまり、本実施形態の気体処理装置1によれば、被処理気体G1から、オゾン(O3)よりも反応性が高いO(1D)及び・OHを、効果的に生成することができる。これにより、被処理気体G1内に、オゾンによって分解しづらい物質(例えばホルムアルデヒドなど)が含まれている場合であっても、O(1D)及び・OHによって効率的に分解することが可能となる。
(別構成例)
図1では、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bとを撹拌させるための遮風部材30を、第一光源10の排気口7側の端部10bと、第二光源20の吸気口5側の端部20aとの間に設ける構成とした。しかし、遮風部材30は、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bとを撹拌させる機能を奏する構成であれば、その配置位置や構成は任意に選択可能である。
図5は、本実施形態の気体処理装置1の別の構成を示す模式的な断面図である。図5に示す気体処理装置1は、遮風部材30が、第一光源10の吸気口5側の端部10aと、第一光源10の排気口7側の端部10bとの間に配置されている。図6Aは、図5に示される気体処理装置1が備える遮風部材30をX方向から見たときの模式的な平面図である。
遮風部材30は、遮蔽部31の内側に第二開口部33を備えている。なお、図3A及び図3Bに示された遮風部材30と同様に、遮蔽部31の外側に第一開口部32が設けられている。第一光源10は、第二開口部33の内側に位置するように配置されている。すなわち、遮風部材30は、第二開口部33によって第一光源10の外周を取り囲むように配置されている。
かかる構成においても、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aは、遮蔽部31に衝突した後、筐体3の内壁側に(図5内における±Y方向に)、進行方向を変化させる。そして、被処理気体G1aは、第一光源10から離れた位置を通流してきた被処理気体G1bと混合されることで、オゾンが分散された状態で、第二光源20側に導かれる。これにより、上記と同様の作用により、被処理気体G1から、オゾン(O3)よりも反応性が高いO(1D)及び・OHを、効果的に生成することができる。
なお、図6Bに示すように、第一開口部32は、遮蔽部31の領域内に配置されていても構わない。更に、図6Bでは、第一開口部32が複数分散して配置されている態様が図示されているが、図6Bにおいて各第一開口部32が連結されることで一体化されていても構わない。
なお、図5に示されるような構成においては、第一光源10の近傍を通流する多くの被処理気体G1aに対して第一光L1を照射させる観点から、遮風部材30は、第一光源10の排気口7側の端部10bの近傍に配置するのが好ましい。
[第二実施形態]
本発明の気体処理装置の第二実施形態について、第一実施形態と異なる箇所を主として説明する。
図7は、第二実施形態の気体処理装置の構造を模式的に示す断面図である。本実施形態の気体処理装置1は、第一実施形態と比較して、遮風部材30を備えない代わりに、筐体3が折れ曲がり部40を有する点が異なっている。
本実施形態の気体処理装置1によれば、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aに対しては、第一光L1が照射された後、折れ曲がり部40に位置する筐体3の内壁41(YZ平面に平行な壁面)に衝突する。この結果、被処理気体G1aは、進行方向を変化させる。図7の例によれば、被処理気体G1aは±Y方向に進行方向を変化させる。これにより、第一光源10から離れた位置を通流してきた被処理気体G1bと、第一光源10の近傍を通流した被処理気体G1aとが混合されて、第二光源20が配置されている側へと導かれる。
つまり、本実施形態の気体処理装置1においては、折れ曲がり部40に位置する筐体3の内壁41が、被処理気体G1aを衝突させるための「衝突部」を構成し、且つ、被処理気体G1aと被処理気体G1bとを撹拌するための「撹拌部」を構成する。
この結果、被処理気体G1は、通流する位置によらず、オゾン(O3)が分散された状態で第二光源20側に流入され、この被処理気体G1に対して第二光L2が照射されることで、上記(5)式及び(3)式に従って、高い反応性を示すO(1D)及び・OHが更に生成される。
(別構成例)
図7では、折れ曲がり部40によって、被処理気体G1の流路が+Y方向に変化する場合について図示されているが、変化の方向は任意である。例えば、折れ曲がり部40が、被処理気体G1の流路を−Y方向に変化するように設けられていても構わないし、±Y方向に変化するように変化するように設けられていても構わない。更には、折れ曲がり部40が、被処理気体G1の流路を+Z方向に変化するように設けられていても構わないし、−Z方向、又は±Z方向に変化するように変化するように設けられていても構わない。
また、図7では、折れ曲がり部40によって、筐体3がほぼ直角に屈曲されている場合について図示されているが、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bとを撹拌する作用を奏する限りにおいて、屈曲する角度は任意である。ただし、第一光源10の近傍を通流した被処理気体G1aを筐体3の内壁41に衝突させて、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bと十分に混合させる効果を奏するためには、折れ曲がり部40の屈曲角度は実質的に90°以下であることが好ましく、更に、被処理気体G1の流速を十分に確保する観点からは、前記屈曲角度は実質的に90°であることがより好ましい。
なお、筐体3は、内部を通流する被処理気体G1の流路が折れ曲がるように折れ曲がり部40が形成されていればよく、その限りにおいて筐体3の外形の形状は任意である。例えば、図8に示すように、筐体3の外形自体はほぼ直方体型の形状を呈していても構わない。
なお、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、気体処理装置1が、第一光源10の吸気口5側の端部10aと、第二光源20の吸気口5側の端部20aとの間に、遮風部材30を備えるものとしても構わない。
[第三実施形態]
本発明の気体処理装置の第三実施形態について、第一実施形態と異なる箇所を主として説明する。
図9は、第三実施形態の気体処理装置の構造を模式的に示す断面図である。本実施形態の気体処理装置1は、第一実施形態と比較して、遮風部材30を備えない代わりに、筐体3の内側に係る流路断面積が変化する領域を有する点が異なっている。
より詳細には、図9に示される気体処理装置1が備える筐体3には、第一光源10が内部に配置されている第一流路領域51と、第一流路領域51よりも流路断面積が大きい第二流路領域52及び第三流路領域53が形成されている。第二流路領域52は、第一光源10の排気口側7の端部10bと、第二光源20の吸気口5側の端部20aとの間に配置されている。第三流路領域53には、第二光源20が配置されている。
本実施形態の気体処理装置1によれば、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bとは、第二流路領域52内において渦流を形成して相互に混合される。つまり、本実施形態の気体処理装置1においては、筐体3の内側における第二流路領域52が、被処理気体G1aと被処理気体G1bとを撹拌するための「撹拌部」を構成する。
この結果、被処理気体G1は、通流する位置によらず、オゾン(O3)が分散された状態で第二光源20側に流入され、この被処理気体G1に対して第二光L2が照射されることで、上記(5)式及び(3)式に従って、高い反応性を示すO(1D)及び・OHが更に生成される。
なお、筐体3は、第一流路領域51と第二流路領域52との間で流路断面積が異なっていればよく、その限りにおいて筐体3の外形の形状は任意である。例えば、図10に示すように、筐体3の外形自体はほぼ直方体形状を呈する構成であっても構わない。図11〜図13を参照して後述される別構成例においても同様である。
(別構成例)
図11に示すように、筐体3において、第三流路領域53の流路断面積が、第二流路領域52の流路断面積よりも小さくなるように形成されていても構わない。この場合においても、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bとは、第二流路領域52内において渦流を形成して相互に混合される。
また、図12に示すように、図9とは逆に、筐体3において、第一流路領域51よりも流路断面積が小さい第二流路領域52及び第三流路領域53が形成されているものとしても構わない。更にこの場合において、図13に示すように、第三流路領域53の流路断面積が、第二流路領域52の流路断面積よりも大きくなるように形成されていても構わない。これらの場合においても、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bとは、第二流路領域52内において渦流を形成して相互に混合される。
[実施例]
上述した気体処理装置1の作用につき、実施例を参照して更に説明する。実施例・比較例で使用された実験ユニットは、以下の表1の通りである。
Figure 2019150756
〈実施例1〉
(処理)
気体処理装置1を模擬した実験ユニット#1と、排気口7側に配置されたVOCモニタ(理研計器(株)製、商品名「Tiger」、11.7eVランプタイプ)とを準備した。そして、吸気口5側から、ホルムアルデヒドを10ppm含有する被処理気体G1を流入させ、各光源(10,20)を下記の運転条件で起動させた。その後、実験ユニットを停止させ、VOCモニタの指示値を記録した。
寸法及び運転条件は、それぞれ以下のとおりである。
(寸法)
・筐体3の内側に係る流路の内径: 65mm
・吸気口5から排気口7までの流路長: 450mm
・第一光源10: キセノンエキシマランプであり、発光部分に係るX方向(軸方向)の長さは85mm、径方向の長さ(外径)は16.5mm
・遮風部材30: 図3Bに例示された形状であり、第一開口部32は直径10mmで等間隔に6個設けられている。厚みは2mm。
・第二光源20: 低圧水銀ランプであり、発光部分に係るX方向(軸方向)の長さは200mm、径方向の長さ(外径)は15mm
・第一光源10の発光部の排気口7側の端部と遮風部材30との離間距離: 30mm
・第二光源20の発光部の吸気口5側の端部と遮風部材30との離間距離: 30mm
(運転条件)
・被処理気体G1の流速: 2.7m/秒
・第一光源10の照度(波長172nmの照度): 30mW/cm2
・第二光源20の照度(波長254nmの発光管表面における照度): 60mW/cm2
〈実施例2〉
実験ユニット#1を実験ユニット#2に代えて、実施例1と同様の処理を実行し、VOCモニタの指示値を記録した。実験ユニット#2は、図7に示した第二実施形態の気体処理装置1とした。より詳細な寸法は、以下の通りである。第一光源10及び第二光源20の寸法、及び運転条件は実施例1と共通である。
・筐体3の吸気口5側から折れ曲がり部40までの内径:58mm×58mm(断面四角形状)
・筐体3の折れ曲がり部40から排気口7側までの内径:58mm×58mm(断面四角形状)
・吸気口5から折れ曲がり部40の前段までの流路長(X方向): 200mm
・折れ曲がり部40の後段から排気口7までの流路長(Y方向): 250mm
・第一光源10の発光部の排気口7側の端部と筐体3の内壁41との離間距離: 88mm
・第二光源20の発光部の吸気口5側の端部と筐体3の内壁42との離間距離: 88mm
〈実施例3〉
実験ユニット#1を実験ユニット#3に代えて、実施例1と同様の処理を実行し、VOCモニタの指示値を記録した。実験ユニット#3は、図9に示した第三実施形態の気体処理装置1とした。より詳細な寸法は、以下の通りである。第一光源10及び第二光源20の寸法、及び運転条件は実施例1と共通である。
・筐体3の第一流路領域51: 内径65mm、流路方向(X方向)に係る長さ200mm
・筐体3の第二流路領域52: 内径300mm、流路方向(X方向)に係る長さ100mm
・筐体3の第三流路領域53: 内径300mm、流路方向(X方向)に係る長さ250mm
〈実施例4〉
実験ユニット#1を実験ユニット#4に代えて、実施例1と同様の処理を実行し、VOCモニタの指示値を記録した。実験ユニット#4は、図11に示した第三実施形態の気体処理装置1とした。より詳細な寸法は、以下の通りである。第一光源10及び第二光源20の寸法、及び運転条件は実施例1と共通である。
・筐体3の第一流路領域51: 内径65mm、流路方向(X方向)に係る長さ200mm
・筐体3の第二流路領域52: 内径300mm、流路方向(X方向)に係る長さ100mm
・筐体3の第三流路領域53: 内径65mm、流路方向(X方向)に係る長さ250mm
〈実施例5〉
実験ユニット#1を実験ユニット#5に代えて、実施例1と同様の処理を実行し、VOCモニタの指示値を記録した。実験ユニット#5は、図12に示した第三実施形態の気体処理装置1とした。より詳細な寸法は、以下の通りである。第一光源10及び第二光源20の寸法、及び運転条件は実施例1と共通である。
・筐体3の第一流路領域51: 内径65mm、流路方向(X方向)に係る長さ200mm
・筐体3の第二流路領域52: 内径35mm、流路方向(X方向)に係る長さ100mm
・筐体3の第三流路領域53: 内径35mm、流路方向(X方向)に係る長さ250mm
〈実施例6〉
実験ユニット#1を実験ユニット#6に代えて、実施例1と同様の処理を実行し、VOCモニタの指示値を記録した。実験ユニット#6は、図13に示した第三実施形態の気体処理装置1とした。より詳細な寸法は、以下の通りである。第一光源10及び第二光源20の寸法、及び運転条件は実施例1と共通である。
・筐体3の第一流路領域51: 内径65mm、流路方向(X方向)に係る長さ200mm
・筐体3の第二流路領域52: 内径35mm、流路方向(X方向)に係る長さ100mm
・筐体3の第三流路領域53: 内径65mm、流路方向(X方向)に係る長さ250mm
〈比較例1〉
実験ユニット#1を実験ユニット#7に代えて、実施例1と同様の処理を実行し、VOCモニタの指示値を記録した。実験ユニット#7は、図14に示した気体処理装置90とした。気体処理装置90は、実施例1の実験ユニット#1から遮風部材30を排除した構成であり、他は実験ユニット#1と共通である。
〈結果〉
上記表1によれば、実施例1〜6のいずれもが、比較例1よりもホルムアルデヒドの含有濃度を低下できていることが確認される。表1の結果によれば、実施例1〜6の各気体処理装置1において、第一光源10の近傍を通流する被処理気体G1aと、第一光源10から離れた位置を通流する被処理気体G1bとが、第二光源20の前段の位置において十分に撹拌された結果、第二光源20の前段において被処理気体G1内にオゾンが分散されたことで、比較例1と比べて、高い反応性を示すO(1D)及び・OHを高効率に生成できたことが示されている。
[別実施形態]
以下、別実施形態について説明する。
〈1〉 第二実施形態及び第三実施形態の気体処理装置1において、第一実施形態と同様に遮風部材30を設ける構成としても構わない。
〈2〉 各実施形態において、第一光源10及び/又は第二光源20の、配置本数や配置方向は任意である。
〈3〉 上述した実施形態では、第一光源10において、発光管13が一重構造の管体14を備えた構成であるものとして説明したが、これはあくまで一例である。第一光源10は、図2に図示されたような、発光管13が一重構造の管体14である態様(いわゆる一重管構造)に限定されず、誘電体である外管及び誘電体である内管を有する二重構造である二重管体を備える態様であっても構わない。更に、第一光源10は、主たる発光波長が160nm以上200nm未満である第一光L1を射出することのできる構成であれば、エキシマランプには限定されない。
〈4〉吸気口5と排気口7とは、X方向に関して離間していればよく、この限りにおいて、任意の位置に設けられることができる。
〈5〉第一実施形態において、遮風部材30は、流路方向(X方向)に直交する平面(YZ面)に平行な面を有するものとして説明した。しかし、遮風部材30は、少なくともX方向に交差する面に平行な面を有して配置されていればよい。
1 : 気体処理装置
3 : 筐体
5 : 吸気口
6 : ファン
7 : 排気口
10 : 第一光源
10a : 第一光源の吸気口側の端部
10b : 第一光源の排気口側の端部
11 : 外部電極
12 : 内部電極
13 : 発光管
14 : 管体
15 : 第一封止部
16 : 第二封止部
17 : 金属箔
18 : 外部リード
19 : 光路部
20 : 第二光源
20a : 第二光源の吸気口側の端部
20b : 第二光源の排気口側の端部
30 : 遮風部材
31 : 遮蔽部
32 : 第一開口部
33 : 第二開口部
40 : 折れ曲がり部
41,42 : 折れ曲がり部に位置する筐体の内壁
51 : 第一流路領域
52 : 第二流路領域
53 : 第三流路領域
G1 : 被処理気体
G1a : 第一光源の近傍を通流する被処理気体
G1b : 第一光源から離れた位置を通流する被処理気体
G2 : 処理後の気体
L1 : 第一光(第一光源からの射出光)
L2 : 第二光(第二光源からの射出光)

Claims (12)

  1. 筐体と、
    酸素及び水分を含む被処理気体を前記筐体の内側に導入する吸気口と、
    前記筐体に収容され、主たる発光波長が160nm以上200nm未満である第一光源と、
    前記筐体内において、前記吸気口側から見て前記第一光源よりも後段に配置され、主たる発光波長が220nm以上360nm未満である第二光源と、
    前記第一光源の前記吸気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記被処理気体の一部を撹拌する撹拌部と、
    前記吸気口側から見て前記第二光源よりも後段の位置において、前記被処理気体を前記筐体の外側に導出する排気口と、を備えたことを特徴とする、気体処理装置。
  2. 前記第一光源の前記吸気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記吸気口から流入された前記被処理気体の一部が衝突する衝突部を有し、
    前記撹拌部が前記衝突部で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の気体処理装置。
  3. 前記衝突部は、
    開口が設けられていない遮蔽部と、前記遮蔽部の外側又は前記遮蔽部の領域内に設けられた第一開口部とを含む遮風部材で構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の気体処理装置。
  4. 前記遮風部材は、前記第一光源の前記排気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の気体処理装置。
  5. 前記遮風部材は、
    前記第一光源の前記吸気口側の端部と、前記第一光源の前記排気口側の端部との間に、配置されており、
    前記遮蔽部の内側において、前記被処理気体の流路方向から見て、前記第一光源を覆うように開口された第二開口部を備えたことを特徴とする、請求項3に記載の気体処理装置。
  6. 前記筐体は、前記第一光源の前記排気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記被処理気体の流路に折れ曲がり部を有する形状を呈し、
    前記衝突部は、前記折れ曲がり部における前記筐体の内側面で構成されていることを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の気体処理装置。
  7. 前記筐体は、
    前記第一光源が内部に配置されている第一流路領域と、
    前記第一光源の前記排気口側の端部と、前記第二光源の前記吸気口側の端部との間の位置において、前記第一流路領域と比較して流路断面積が異なる第二流路領域と、
    前記第二光源が内部に配置されている第三流路領域とを有し、
    前記撹拌部が、前記筐体の前記第二流路領域によって構成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の気体処理装置。
  8. 前記第二流路領域は、前記第一流路領域よりも流路断面積が大きいことを特徴とする、請求項7に記載の気体処理装置。
  9. 前記第三流路領域は、前記第二流路領域よりも流路断面積が小さいことを特徴とする、請求項8に記載の気体処理装置。
  10. 前記第二流路領域は、前記第一流路領域よりも流路断面積が小さいことを特徴とする、請求項7に記載の気体処理装置。
  11. 前記第三流路領域は、前記第二流路領域よりも流路断面積が大きいことを特徴とする、請求項10に記載の気体処理装置。
  12. 前記第一光源は、Xeを含む放電用ガスが充填されたエキシマランプであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の気体処理装置。
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