JP2019149515A - 絶縁回路基板、及び、絶縁回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上述の絶縁回路基板として、例えば特許文献1に記載された金属ベース回路基板が提案されている。
この金属ベース回路基板においては、回路層上に半導体素子が接合され、金属基板の絶縁樹脂層とは反対側の面にヒートシンクが配設されており、半導体素子で発生した熱をヒートシンク側に伝達して放熱する構造とされている。
例えば、特許文献2には、回路層に搭載した素子等から発生した熱を効率的に放散させるために、セラミックス基板の前記回路層とは反対側の面に金属層を設けるとともに、この金属層にAlSiC系複合材料からなるヒートシンクが積層接着されたものが提案されている。
しかしながら、最近では、従来にも増して高い電圧で使用されることがあり、さらなる耐電圧性の向上が求められている。
すなわち、絶縁破壊は、最も弱い部分が全体の破壊を招く最弱リンクモデルで説明される。ここで、セラミックス基板の厚さを厚くすると、ボイド等の欠陥が存在する確率が高くなるため、セラミックス基板を厚くしても十分な耐電圧性を得ることができなかった。
また、絶縁樹脂層が、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されているので、絶縁樹脂層における熱抵抗を小さくすることができ、放熱特性に優れた絶縁回路基板を得ることができる。
この場合、前記絶縁層の他方の面(回路層とは反対側の面)に金属層が形成されているので、絶縁回路基板における反りの発生を抑制することができる。また、この金属層を介して効率的に放熱することができる。
この場合、前記絶縁樹脂層の厚さが20μm以上とされているので、耐電圧性をさらに向上させることができる。一方、前記絶縁樹脂層の厚さが150μm以下とされているので、厚さ方向の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
この場合、1つの前記セラミックス層の厚さが0.3mm以上とされているので、絶縁性を確保することができる。一方、1つの前記セラミックス層の厚さが0.8mm以下とされているので、セラミックス層の内部に欠陥が存在する確率を確実に低減することができる。
この場合、複数のセラミックス層が絶縁樹脂層を介して積層された構造の絶縁層の他方の面(回路層とは反対側の面)に金属層が形成され、耐電圧性及び放熱特性に優れた絶縁回路基板を製造することができる。
この場合、樹脂組成物を硬化させる際に十分に加圧することにより、樹脂組成物の厚さ中心まで確実に硬化させることができ、絶縁性に優れた絶縁樹脂層を得ることができる。
図1に、本発明の第一の実施形態である絶縁回路基板10、及び、この絶縁回路基板10を用いたパワーモジュール1を示す。
半導体素子3は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じて種々の半導体素子が選択される。
また、このヒートシンク31の表面には、骨材に充填されたアルミニウム材料からなるスキン層(図示なし)が形成されている。
本実施形態では、第1セラミックス層12a及び第2セラミックス層12bは、窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。
また、第1セラミックス層12a及び第2セラミックス層12bの厚さは、それぞれ0.3mm以上0.8mm以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、無機フィラーとしては、例えばアルミナ(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)等を用いることができる。また、熱硬化型樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド等を用いることができる。
本実施形態では、絶縁樹脂層13は、無機フィラーとしてアルミナ(Al2O3)を含有するエポキシ樹脂で構成されている。
また、本実施形態においては、絶縁樹脂層13の厚さは、20μm以上150μm以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、この絶縁樹脂層13単体での耐電圧特性は、10kV/mmt以上とされている。
また、絶縁樹脂層13単体での熱伝導率は、3W/(m・K)以上20W/(m・K)以下の範囲内とすることが好ましい。
なお、本実施形態においては、回路層15となる銅板25は、無酸素銅の圧延板が用いられている。この回路層15には、回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面とされている。
また、回路層15となる銅板25の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
なお、本実施形態においては、金属層16となる銅板26は、無酸素銅の圧延板が用いられている。
また、金属層16となる銅板26の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
図3に示すように、第1セラミックス層12aとなる第1セラミックス板22aの一方の面(図3において上面)に、回路層15となる銅板25を、いわゆる活性金属ろう付け法によって接合した。
本実施形態では、Ag−27.4質量%Cu−2.0質量%Tiからなる活性ろう材27を用いた。
ここで、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内に、加熱温度は600℃以上650℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間は15分以上180分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
また、第2セラミックス層12bとなる第2セラミックス板22bの他方の面(図3において下面)に、金属層16となる銅板26を、いわゆる活性金属ろう付け法によって接合した。
本実施形態では、Ag−27.4質量%Cu−2.0質量%Tiからなる活性ろう材27を用いた。
なお、接合条件は、回路層形成工程S01と同様の条件で行うことが好ましい。
次に、回路層15が形成された第1セラミックス板22aと、金属層16が形成された第2セラミックス板22bとを、無機フィラーとしてのアルミナと熱硬化型樹脂としてのエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する樹脂組成物23を介して積層する。なお、本実施形態では、樹脂組成物23は、シート状に形成されている。
このとき、第1セラミックス板22aのうち回路層15が形成されていない面と、第2セラミックス板22bのうち金属層16が形成されていない面とが対向するように配置し、これらの間に、シート状の樹脂組成物23を配設する。
次に、第1セラミックス板22aと樹脂組成物23と第2セラミックス板22bとを、積層方向に加圧するとともに加熱して、樹脂組成物23を硬化させて絶縁樹脂層13を形成するとともに、第1セラミックス板22aと第2セラミックス板22bとを接合して絶縁層11を形成する。
本実施形態では、図3に示すように、押圧板51,51を介して、第1セラミックス板22aと樹脂組成物23と第2セラミックス板22bとを積層方向に加圧する構成とされている。このとき、樹脂組成物23の全体を加圧できるように、押圧板51,51には回路層15及び金属層16の形状に応じた座繰り部が形成されている。
次に、この絶縁回路基板10の金属層16の他方の面にヒートシンク31を接合する。本実施形態では、絶縁回路基板10の金属層16とヒートシンク31とを、はんだ材を介して接合している。
次に、絶縁回路基板10の回路層15に半導体素子3を接合する。本実施形態では、回路層15と半導体素子3とを、はんだ材を介して接合している。
以上の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製造される。
また、絶縁樹脂層13が、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されているので、絶縁樹脂層における熱抵抗を小さくすることができ、放熱特性に優れた絶縁回路基板10を得ることができる。
また、本実施形態では、座繰り部が形成された押圧板51,51によって、樹脂組成物23の全体を加圧する構成とされているので、樹脂組成物23全体を均一に硬化させることができる。
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。なお、第一の実施形態と同一の構成のものについては、同一の符号を付して記載し、詳細な説明を省略する。
図4に、本発明の第二の実施形態に係る絶縁回路基板110を備えたパワーモジュール101を示す。
本実施形態では、第1セラミックス層112a及び第2セラミックス層112bは、窒化アルミニウム(AlN)で構成されている。
また、第1セラミックス層112a及び第2セラミックス層112bの厚さは、それぞれ0.3mm以上0.8mm以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、無機フィラーとしては、例えばアルミナ(Al2O3)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)等を用いることができる。また、熱硬化型樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド等を用いることができる。
本実施形態では、絶縁樹脂層113は、無機フィラーとして窒化ホウ素(BN)を含有するポリイミドで構成されている。
また、本実施形態においては、絶縁樹脂層113の厚さは、20μm以上150μm以下の範囲内とすることが好ましい。
さらに、この絶縁樹脂層113単体での耐電圧特性は、10kV/mmt以上とされている。
また、絶縁樹脂層113単体での熱伝導率は、3W/(m・K)以上20W/(m・K)以下の範囲内とすることが好ましい。
また、回路層115となるアルミニウム板125の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
また、金属層116となるアルミニウム板126の厚さは0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
この第2絶縁樹脂層132は、上述した絶縁樹脂層113と同様に、無機フィラーを含有する絶縁性の熱硬化型樹脂で構成されている。本実施形態では、第2絶縁樹脂層132は、無機フィラーとして窒化ホウ素(BN)を含有するポリイミドで構成されている。
図6で示すように、第1セラミックス層112aとなる第1セラミックス板122aの一方の面(図6において上面)に、回路層115となるアルミニウム板125を、Al−Si系のろう材箔127を介して積層する。
なお、本実施形態では、Al−Si系のろう材箔127として、厚さ10μmのAl−8mass%Si合金箔を用いた。
ここで、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内に、加熱温度は、600℃以上650℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間は30分以上180分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
また、第2セラミックス層112bとなる第2セラミックス板122bの他方の面(図6において下面)に、金属層116となるアルミニウム板126を、Al−Si系のろう材箔127を介して積層する。
そして、第2セラミックス板122bとアルミニウム板126をそれぞれ積層方向に加圧した状態で真空加熱炉内に配置し加熱して、第2セラミックス板122bとアルミニウム板126を接合する。これにより、金属層116が形成される。
なお、接合条件は、回路層形成工程S101と同様の条件で行うことが好ましい。
次に、回路層115が形成された第1セラミックス板122aと、金属層116が形成された第2セラミックス板122bとを、無機フィラーとしての窒化ホウ素と熱硬化型樹脂としてのポリイミドと硬化剤とを含有する樹脂組成物123を介して積層する。なお、本実施形態では、樹脂組成物123は、シート状に形成されている。
このとき、第1セラミックス板122aのうち回路層115が形成されていない面と、第2セラミックス板122bのうち金属層116が形成されていない面とが対向するように配置し、これらの間に、シート状の樹脂組成物123を配設する。
さらに、本実施形態においては、金属層116の他方の面側(図6において下面側)に、第2樹脂組成物142を介してヒートシンク31を積層する。なお、この第2樹脂組成物142は、樹脂組成物123と同様に、シート状に形成されており、無機フィラーとしての窒化ホウ素と熱硬化型樹脂としてのポリイミドと硬化剤とを含有している。
次に、第1セラミックス板122aと樹脂組成物123と第2セラミックス板122bと第2樹脂組成物142とヒートシンク31を、積層方向に加圧するとともに加熱して、樹脂組成物123を硬化させて絶縁樹脂層113を形成するとともに、第1セラミックス板122aと第2セラミックス板122bとを接合して絶縁層111を形成する。さらに、第2樹脂組成物142を硬化させて第2絶縁樹脂層132を形成するとともに、金属層116とヒートシンク31とを接合する。
本実施形態では、図6に示すように、押圧板151,151を介して、第1セラミックス板122aと樹脂組成物123と第2セラミックス板122bと第2樹脂組成物142とヒートシンク31を積層方向に加圧する構成とされている。このとき、樹脂組成物123及び第2樹脂組成物142の全体を加圧できるように、第1セラミックス板122a側の押圧板151には回路層115の形状に応じた座繰り部が形成されている。
次に、絶縁回路基板110の回路層115に半導体素子3を接合する。本実施形態では、回路層115と半導体素子3とを、はんだ材を介して接合している。
以上の工程により、図4に示すパワーモジュール101が製造される。
また、絶縁樹脂層113が、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されているので、絶縁樹脂層における熱抵抗を小さくすることができ、放熱特性に優れた絶縁回路基板110を得ることができる。
また、第2絶縁樹脂層132が、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されているので、第2絶縁樹脂層132における熱抵抗を小さくすることができ、絶縁回路基板110側の熱をヒートシンク31側へと効率良く伝達することができる。
また、第二の実施形態では、絶縁樹脂層(樹脂組成物)と第2絶縁樹脂層(第2樹脂組成物)とを同一の組成のものとして説明したが、これに限定されることはなく、異なる組成の絶縁樹脂層(樹脂組成物)を用いてもよい。
なお、絶縁層を構成する複数のセラミックス板、樹脂組成物(絶縁樹脂層)について、すべて表1に示すものを使用した。
得られた絶縁回路基板を絶縁油(3M社製フロリナートFC−770)に浸漬し、金属層及び回路層にプローブ(真鍮製φ20mm)の電極を配設した。そして、5秒間で0.5kV昇圧し、その後、30秒保持するサイクルを繰り返し、絶縁破壊を起こす電圧を測定し、その電圧値を絶縁耐圧値(kV)とした。評価結果を表1に示す。
また、絶縁層を絶縁樹脂層のみで構成した比較例4においては、絶縁耐圧が非常に低くなった。
これに対して、絶縁層をセラミックスの2層構造とし、セラミックス板の間に絶縁樹脂層を形成した本発明例1〜7においては、絶縁耐圧が十分に高くなった。
3 半導体素子
10、110、210 絶縁回路基板
11、111、211 絶縁層
12、112、212 セラミックス層
13、113、213 絶縁樹脂層
15、115、215 回路層
16、116、216 金属層
22、122 セラミックス板
23、123 樹脂組成物
31 ヒートシンク
132 第2絶縁樹脂層
142 第2樹脂組成物
Claims (7)
- 絶縁層と、絶縁層の一方の面に形成された回路層と、を備えた絶縁回路基板であって、
前記絶縁層は、複数のセラミックス層が絶縁樹脂層を介して積層された構造とされ、最表層に位置する前記セラミックス層に前記回路層が形成されており、
前記絶縁樹脂層は、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されていることを特徴とする絶縁回路基板。 - 前記絶縁層の前記回路層とは反対側の面に金属層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁回路基板。
- 前記絶縁樹脂層の厚さが20μm以上150μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の絶縁回路基板。
- 前記セラミックス層の厚さが0.3mm以上0.8mm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の絶縁回路基板。
- 一のセラミックス板に回路層を形成する回路層形成工程と、
回路層が形成されたセラミックス板と、別のセラミックス板と、を、無機フィラー及び熱硬化型樹脂を含有する樹脂組成物を介して積層する積層工程と、
積層された前記セラミックス板と前記樹脂組成物を積層方向に加圧するととともに加熱し、樹脂組成物及を硬化させて絶縁樹脂層を形成するとともに前記セラミックス板同士を接合することにより、絶縁層を形成する樹脂硬化工程と、
を備えていることを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。 - 他のセラミックス板に金属層を形成する金属層形成工程を有し、前記積層工程では、少なくとも回路層が形成されたセラミックス板と金属層が形成されたセラミックス板とを、前記樹脂組成物を介して積層することを特徴とする請求項5に記載の絶縁回路基板の製造方法。
- 前記樹脂硬化工程では、硬化前の前記樹脂組成物の厚さt0と硬化後の前記絶縁樹脂層の厚さt1との比t1/t0が0.8以下となるように、積層方向へ加圧することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の絶縁回路基板の製造方法。
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