JP2019149304A - 密封端子 - Google Patents
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Abstract
【課題】極低温環境下等、大きな温度差を受ける環境下においても、電気絶縁体と金属部品との間に生じる応力を軽減することのできる、長寿命の密封端子を提供する。【解決手段】本開示の密封端子は、第1面1xと第2面1yとを含み、これら第1面1xと第2面1yとの間を貫通する貫通孔Hを有するセラミック板1と、貫通孔Hの内周面1hに挿通される金属製のピン2と、ピン2と貫通孔Hとの間のすき間を封止するろう材3とを備え、ろう材3は、貫通方向に離間した第1封止部3Aと第2封止部3Bとを有し、これら第1封止部3Aと第2封止部3Bとの間に、空隙Sを含む。【選択図】図1
Description
本発明は、気体や液体等を密閉する位置で、外部との電気的接続に用いられる密封端子に関する。
半導体製造装置等、内部雰囲気と外部雰囲気とを遮断して使用する電気装置には、内外間で電気信号を送受信するために、密封端子が取り付けられている。密封端子は、気体および液体等の流体の流通を阻止しつつ電気または電気信号を導通させるものであり、気体の通過を阻止するものを気密端子、液体の通過を阻止するものを液密端子と呼ぶ場合がある。
このような密封端子(気密端子)の例として、特許文献1等では、厚さ方向に貫通孔を有する、円筒形状のアルミナ質セラミックス等からなる電気絶縁体の全面に、金属からなるメタライズ層を形成し、それを軸線方向に所定間隔で切断(いわゆる「輪切り」に)して、外周面と前記貫通孔の内周面に隔絶されたメタライズ層(めっきのプライマーとしての金属層)を有する円板状の電気絶縁体を形成している。
そして、このような円板状の電気絶縁体は、電気装置等の基板または土台等のワークWに形成された密閉用の穴または開口に嵌め入れられた後、ワークWに接する外周は、外周に設けられたメタライズ層を介して、前記の密閉用の穴に、ロウ付け加工等により固着される。
また、電気絶縁体の内側に設けられた貫通孔には、ピン等の金属製の端子が挿通され、先に述べた貫通孔内周のメタライズ層を介して、前記端子がこの貫通孔の内周にロウ付け加工される。これにより、密封端子は、信号等の電気をワークWの内外で導通させつつ、このワークWの内部を、密閉された状態に保つことができる。
ところで、前述のような密封端子においては、昇温および降温を繰返すと、セラミックス等からなる電気絶縁体に、ひび割れや欠け等の破損が生じて、気密・液密などの密封性が損なわれることがある。これらひび割れ等の電気絶縁体の破損は、貫通孔に嵌合されたリード端子等の金属部品と該電気絶縁体との線膨張係数(熱膨張率)の差によって生じる応力に起因して、発生・進展することが知られている。
特に、密封端子を、液化天然ガス(LNG)や液体水素,液体ヘリウムなどの低温液体が存在する環境下で使用する場合、さらに大きな応力が生じると予想されるため、このような極低温環境に対応できる密封端子が求められている。
本発明の目的は、極低温環境下等、大きな温度差を受ける環境下においても、電気絶縁体と金属部品との間に生じる応力を軽減することのできる、長寿命の密封端子を提供することである。
本開示の密封端子は、第1面と第2面とを含み、
これら第1面と第2面との間を貫通する貫通孔を有するセラミック板と、
前記貫通孔に挿通される金属製のピンと、
前記ピンと前記貫通孔との間のすき間を封止するろう材と、を備え、
前記ろう材は、貫通方向に離間した第1封止部と第2封止部とを有し、これら第1封止部と第2封止部との間に空隙を含むことを特徴とする。
これら第1面と第2面との間を貫通する貫通孔を有するセラミック板と、
前記貫通孔に挿通される金属製のピンと、
前記ピンと前記貫通孔との間のすき間を封止するろう材と、を備え、
前記ろう材は、貫通方向に離間した第1封止部と第2封止部とを有し、これら第1封止部と第2封止部との間に空隙を含むことを特徴とする。
本開示によれば、昇温および降温を繰返したり、極低温の環境下に晒されたりしても、セラミック板にひび割れや欠け等の不具合が発生する可能性が低減され、その結果、密封性に対する信頼性の高い、長寿命な密封端子とすることができる。
本開示の各実施形態における密封端子は、図1〜図4における概略構成図(a)に示すように、中央部に貫通孔Hが形成された円板(円環)状の電気絶縁体(セラミック板1)と、導電体として貫通孔Hに挿通される金属製のリード端子(ピン2)と、を主体として構成されている。
セラミック板1は、たとえばアルミナ(Al2O3)質セラミックス等から成る絶縁性のものであり、電気装置側の基板や土台等(以下、総称してワークWという)に設けられた、密封端子取り付け用の開口穴に嵌め入れられ、このワークWとの間の電気的絶縁を保ったまま、ピン2を保持する。なお、各図において、図示の上下方向を、貫通孔Hの貫通方向、または、セラミック板1の厚さ(厚み)方向として記載している。
また、図示のセラミック板1は、一方の主面である図示上側の第1面(1x)と、他方の主面である図示下側の第2面(1y)と、を有しており、これら平行な二面間に、先にも述べた、リード端子であるピン2を挿通するための貫通孔H(その内周面1h)が穿設されている。また、図示左右方向の、セラミック板1の外周面と、貫通孔Hの内周面1hには、後記のロウ付け加工を行うためのメタライズ層が設けられている。
なお、図1〜図4の(a)では、説明の便宜のために、各メタライズ層を、厚みを持った層として描いているが、実際は、他の部材や層に比べて非常に薄いものである。また、後記のロウ付け加工を行った後は、メタライズ層は、「ろう」の層と一体となって埋もれてしまうものであるので、各図(b)の拡大図では、隠れ線(点線)もしくは、厚みのない単なる太線(実線)として描いている。そして、メタライズ層は、上記「ろう」の層と一体となるものであるため、後記の応力シミュレーションにおいて、このメタライズ層は「ろう」の厚みの一部となすものとしてその中に組み込まれており、層単体として解析には関与していない。
ピン2は、銅(Cu)や銀(Ag)、または黄銅,真ちゅう,リン青銅等の銅合金等の低融点で低電気抵抗の金属で構成されており、円柱状や角柱状に成形されている。なお、ピン2は、セラミック板1の貫通孔が複数である場合、その数に応じて複数本、配設される。また、ピン2は、端子となる棒材を切断加工することによって、または、端子となる棒材に旋盤を用いた切削加工や金型を用いたプレス加工等の従来周知の金属加工を施すことによって、所定の太さおよび長さに成形される。
なお、ピン2は、その外周面の、セラミック板1(貫通孔H内面のメタライズ層)がロウ付け加工される部位(表面)およびその周囲に、ニッケル(Ni)や金(Au),白金(Pt)等からなる保護金属層を被着した構成としてもよい。この保護金属層によって、ピン2が、接合用のろう材から隔離されるので、ピン2がろう材と化学反応するのを有効に防止することができ、好適である。なお、この保護金属層も、前述のメタライズ層と同様、後記の応力シミュレーションにおいては、「ろう」の層の厚みの一部となすものとしてその中に組み込まれており、層単体として解析には関与しない。
これら、ピン2とセラミック板1とを接合するのに使用される、ろう材3としては、銀ろう(Ag)や金−銅ろう(Au−Cu)等が用いられる。
以上の材料および構成を用いた第1実施形態(図1)について説明する。
図1(a)は、第1実施形態の密封端子の概略構成を示す部分断面図であり、図1(b)は、ロウ付け加工された接合部の拡大断面図である。また、図1(c)は、シミュレーション解析により得られた、接合部におけるセラミック板の応力ベクトルの分布を示す図である。
図1(a)は、第1実施形態の密封端子の概略構成を示す部分断面図であり、図1(b)は、ロウ付け加工された接合部の拡大断面図である。また、図1(c)は、シミュレーション解析により得られた、接合部におけるセラミック板の応力ベクトルの分布を示す図である。
図1(a)に示すように、第1実施形態の密封端子のセラミック板1Dは、それぞれ主面と呼ばれる、互いに平行な第1面1xと第2面1yとからなる貫通孔形成成部を有しており、その略中央部に、ピン2挿通用の貫通孔Hが形成されている。
また、挿通されるピン2は、Fe−Ni−Co合金またはCuからなる柱状(この例では円柱状)で、その外周面2xが、前記貫通孔Hの内周面(内壁)1hに平行な対向面となっている。
そして、図1(b)に示すように、ピン2と貫通孔Hの内周面1hの間が、ろう材3を用いてロウ付け加工され、ピン2の外周面2xと貫通孔Hの内周面1hとの間が、気密または液密に閉鎖して密封されている。
なお、ロウ付け加工は、ワークWおよびセラミック板1,ピン2を、加熱炉内等、ろう材3が溶融する高温(たとえば780℃)環境下で、各部材を組み合わせた状態で余熱した後、溶融させたろう材3を、これらピン2の外周面2xと貫通孔Hの内周面1hとのすき間に、毛細管現象により滲み込ませることによって行われる。そして、その状態で、密封端子全体が室温(たとえば25℃)まで冷えるまで放冷して、密封端子が完成する。
本実施形態の密封端子の構成上の特徴は、セラミック板1Dとピン2(または12)とのすき間を密封するろう材3が、貫通孔Hの貫通方向に離間した第1封止部3A(図示上側)と第2封止部3B(図示下側)とに分画されており、これら第1封止部3Aと第2封止部3Bとの間に、空隙Sを含む点である。
すなわち、具体的には、第1実施形態のセラミック板1Dを、図1(b)のように、貫通孔Hの貫通方向(図示上下方向)に沿った断面で視た場合、セラミック板1Dとピン2との間のすき間に充填されたろう材3は、図示上側の第1封止部3Aと、図示下側の第2封止部3B(図示下側)とに、貫通方向(上下方向)に分離して配設されており、これら第1封止部3Aと第2封止部3Bの間には、貫通孔Hの貫通方向およびセラミック板の厚さ方向に延びる、ろう材のない空間(間隙S)が、形成されている。
なお、第1封止部3Aと第2封止部3Bとの間の、空間である間隙Sの貫通方向の長さLは、セラミック板1Dとピン2との間のすき間の貫通方向の全長(この場合d1)の10%以上90%以下に設定されている。なお、長さd1は、封止部分(図示の3A,3B)の長さと空隙Sの長さの和である。
ここで、図1(c)に、シミュレーション解析に基づく、接合部におけるセラミック板1Dの応力ベクトルの分布を示す。シミュレーションは、上記構成において、セラミック板1Dとピン2との間を、高温(780℃)環境下でロウ付け加工した後、室温(25℃)まで放冷した場合の、金属とセラミックの線膨張係数の差によって、セラミック板1D側に発生する応力を、ソフトウェアを用いて解析したものである。
図1(c)のベクトル分布図からもわかるように、セラミック板1Dにおける厚さ方向の端部(図示上側)の応力ベクトルは、第1面1xの平面(表面)方向に沿って発生するため、仮にこのセラミック板1Dの端部や表面にひび割れ等の亀裂が生じた場合でも、この亀裂等が、セラミック板1Dの内部に向かって進展することがない。
しかも、セラミック板1Dにおける貫通方向略中央部の、間隙S部位〔第1封止部3Aと第2封止部3Bとの間のろう材のない部分〕は、ろう材の存在する、第1封止部3A部位および第2封止部3B部位に比べ、応力が緩和されている。
したがって、上記構成によれば、第1実施形態のセラミック板1Dおよびこれを用いた密封端子は、極低温まで冷却される等、大きな温度差を受けても、電気絶縁体と金属部品との間にひび割れや欠け等の破損が生じ難く、また、生じたとしても、その進行が抑制される。すなわち、本実施形態の密封端子は、信頼性の高い、長寿命の密封端子とすることができる。
なお、実施形態における、セラミック板とピンとの間に「空隙」を形成する方法は、図2,図3に示す、他の形状によっても実現できる。たとえば、第1封止部3A部位と第2封止部3B部位との間の空隙Sに対応する位置に、図2に示すような、ピン12側の凹部12aを形成してもよい。この構成によって、第1実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
また、第1封止部3A部位と第2封止部3B部位との間の空隙Sに対応する位置に、図3に示すような、セラミック板1E側の凹部1jを形成してもよい。この構成によっても、第1実施形態と同様の作用・効果を奏することができる。
つぎに、図4は、本開示の第4実施形態の密封端子の概略構成を示す部分断面図である。第4実施形態におけるセラミック板1D’の特徴は、第1〜第3実施形態(図1〜図3)においてはピン2に対向する面であった内周面1hは、その貫通方向の長さd1が、セラミック板の角部に面取りまたはC面,R面加工等が施されることにより、第1面1xと第2面1yとの間におけるセラミック板1D’の貫通方向の長さ(板の厚さd2)より、短くなっている。これにより、セラミック板1D’がピン2から受ける反力によって発生する応力が、より低減されている。
種々の実施形態を例示したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
また、前述の、接合部においてセラミック板に発生する応力のシミュレーション解析は、エムエスシーソフトウェア社のMarc(登録商標)を用いて行ったものである。セラミック板(A−479SS)とピン(たとえばCu製)との間のすき間を、ろう材(BAg−8)でロウ付けする場合の、セラミック板に生じる応力(ストレス)を、前記ソフトを用いてシミュレートした。なお、図1,図2の(c)〔各(b)図のQ部〕に示す結果(応力ベクトル分布図)は、ロウ付け加工を780℃(応力フリー)で行い、それを常温大気圧下で放冷して、温度を室温(25℃)まで低下させ、25℃の時点で、ピンとの線膨張係数の差により、セラミック板の接合部(表層)に、どの程度の応力ベクトルが生じているかを、視覚的に表示したものである。
本発明の密封端子は、半導体製造装置等、内部雰囲気と外部雰囲気とを遮断して使用する電気装置に好適に使用することができる。また、液化天然ガス(LNG)、液体ヘリウム、液体窒素、液体酸素、液体ネオン、液体アルゴンなどの低温液体が存在する環境下でも用いることができる。さらに、液化天然ガス(LNG)や液体水素等の極低温液体を車両等に充填する、LNGステーションもしくは水素ガス・ステーション等で用いられる機器等においても、これら極低温液体と接触する部位に使用することが可能である。
1 セラミック板
1D,1D’,1E セラミック板
1h 内周面
1j 凹部
1x 第1面
1y 第2面
2,12 ピン
2x,12x 外周面
12a 凹部
3 ろう材
3A,3B ろう材
H 貫通孔
W ワーク
S 空隙
1D,1D’,1E セラミック板
1h 内周面
1j 凹部
1x 第1面
1y 第2面
2,12 ピン
2x,12x 外周面
12a 凹部
3 ろう材
3A,3B ろう材
H 貫通孔
W ワーク
S 空隙
Claims (5)
- 第1面と第2面とを含み、これら第1面と第2面との間を貫通する貫通孔を有するセラミック板と、
前記貫通孔に挿通される金属製のピンと、
前記ピンと前記貫通孔との間のすき間を封止するろう材と、を備え、
前記ろう材は、貫通方向に離間した第1封止部と第2封止部とを有し、これら第1封止部と第2封止部との間に空隙を含む、密封端子。 - 前記貫通孔の貫通方向に沿った断面視において、
前記封止される、前記ピンと前記貫通孔との間のすき間の貫通方向の全長に対する、前記空隙の貫通方向の長さの割合が、10%以上90%以下である、請求項1に記載の密封端子。 - 前記ピンは、該ピンの外周面の、前記空隙に対応する位置に、ピンの内側に向かって凹状の凹部を有する、請求項1または2に記載の密封端子。
- 前記セラミック板は、前記貫通孔の内周面の、前記空隙に対応する位置に、セラミック板の内側に向かって凹状の凹部を有する、請求項1または2に記載の密封端子。
- 前記貫通孔の貫通方向に沿った断面視において、
前記ピンの外周面に対向する、前記貫通孔の内周面の貫通方向の長さが、前記第1面と前記第2面との間における、前記セラミック板の貫通方向の長さより短い、請求項1〜4のいずれか1つに記載の密封端子。
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JP2018033721A JP2019149304A (ja) | 2018-02-27 | 2018-02-27 | 密封端子 |
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JP2018033721A JP2019149304A (ja) | 2018-02-27 | 2018-02-27 | 密封端子 |
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JP2021144801A (ja) * | 2020-03-10 | 2021-09-24 | 京セラ株式会社 | 気密端子 |
WO2023276862A1 (ja) * | 2021-06-28 | 2023-01-05 | 京セラ株式会社 | 気密端子 |
WO2023054529A1 (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-06 | 京セラ株式会社 | 気密端子 |
WO2023054512A1 (ja) * | 2021-09-29 | 2023-04-06 | 京セラ株式会社 | 気密端子 |
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2018
- 2018-02-27 JP JP2018033721A patent/JP2019149304A/ja active Pending
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JP7390218B2 (ja) | 2020-03-10 | 2023-12-01 | 京セラ株式会社 | 気密端子 |
WO2023276862A1 (ja) * | 2021-06-28 | 2023-01-05 | 京セラ株式会社 | 気密端子 |
JP7566154B2 (ja) | 2021-06-28 | 2024-10-11 | 京セラ株式会社 | 気密端子 |
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