JP2019147933A - 船尾管用潤滑油組成物 - Google Patents

船尾管用潤滑油組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】加水分解安定性及び錆止め性に優れた船尾管用潤滑油組成物を提供する。【解決手段】船尾管用潤滑油組成物は、基油と、酸化防止剤と、組成物全量基準で0.05質量%〜0.3質量%のアルケニルコハク酸ハーフエステルと、組成物全量基準で0.03質量%〜0.15質量%のN−オレオイルサルコシンと、を含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、船尾管用潤滑油組成物に関する。
従来から安全、衛生、環境対応等の観点より難燃性及び生分解性を要求される油圧機器などに用いられる油圧作動油として、脂肪酸エステル系潤滑油が使用されている。
近年、舶から漏洩した潤滑剤の海洋汚染が問題となっている。特に船尾管は、スクリューシャフトの軸受を潤滑させるため、管内は潤滑油で満たされている。船尾管は、その構造上、潤滑油の漏洩を完全に防ぐことは難しい。そのため、船舶において海水に接する装置に生分解性を有する脂肪酸エステル系潤滑油を使用する事例が増加している。また、海域によっては、この潤滑剤の使用が義務化されている場合もある。
さらに、船舶用の装置に用いられる脂肪酸エステル系潤滑油は、海水が潤滑油に混入するため、優れた加水分解安定性が求められるとともに、海水に対する錆止め性が要求されている。
加水分解安定性及び錆び止め性に優れた脂肪酸エステル系潤滑油として、脂肪酸エステルと、特定の錆止め剤を特定量含有し、40℃における動粘度が10〜600mm/sである脂肪酸エステル系潤滑油組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
脂肪酸エステル系潤滑油は、鉱物油系潤滑油よりも加水分解安定性(耐加水分解性)に劣る傾向がある。脂肪酸エステル系潤滑油を長期、高温条件下で鉱物油系潤滑油と同様に使用するためには、加水分解安定性の向上が望まれている。
例えば、鉱物油系潤滑油と同等の潤滑性、防錆性、生分解性等を有することを目的として、水溶性アルキレングリコール及び/又はポリアルキレングリコール、水溶性増粘剤、並びに水溶性防錆剤をそれぞれ特定の量で含有する船舶軸受け推進器用潤滑油が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2017−165912号公報 特開2006−265345号公報
しかしながら、脂肪酸エステル系潤滑油は、極性が高く、鉱油系潤滑油と比較して金属表面に吸着しやすい性質があるため、潤滑油に含まれる錆止め剤等の添加剤の吸着を阻害する。そのため、金属表面に対する添加剤の吸着力を高めるためには、鉱物油系潤滑油と比較して、脂肪酸エステル系潤滑油中の添加剤の濃度を高める必要がある。吸着力の高い錆止め剤及び高濃度の錆止め剤の添加は、脂肪酸エステルの加水分解安定性を低下させやすい。そのため、特許文献1及び2に記載の従来技術では、船尾管等の船舶装置への使用に耐えうる程度の錆止め性と加水分解安定性との両立が困難である。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、加水分解安定性及び錆止め性に優れた船尾管用潤滑油組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、基油と、特定量のアルケニルコハク酸ハーフエステル及び特定量のN−オレオイルサルコシンと、を含有することで、加水分解安定性及び錆止め性の双方が向上することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>
基油と、
酸化防止剤と、
組成物全量基準で0.05質量%〜0.3質量%のアルケニルコハク酸ハーフエステルと、
組成物全量基準で0.03質量%〜0.15質量%のN−オレオイルサルコシンと、
を含有する船尾管用潤滑油組成物。
<2> 前記アルケニルコハク酸ハーフエステルの含有量は、組成物全量基準で0.08質量%〜0.15質量%である、<1>に記載の船尾管用潤滑油組成物。
本発明によれば、加水分解安定性及び錆止め性に優れた船尾管用潤滑油組成物が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
なお、本明細書中、数値範囲を現す「〜」は、その上限及び下限としてそれぞれ記載されている数値を含む範囲を表す。また、「〜」で表される数値範囲において上限値のみ単位が記載されている場合は、下限値も同じ単位であることを意味する。
本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
《船尾管用潤滑油組成物》
本発明の船尾管用潤滑油組成物(以下、単に「潤滑油組成物」ともいう。)は、基油と、酸化防止剤と、組成物全量基準で0.05質量%〜0.3質量%のアルケニルコハク酸ハーフエステルと、組成物全量基準で0.03質量%〜0.15質量%のN−オレオイルサルコシンと、を含有する。
潤滑油組成物は、基油と、特定量のアルケニルコハク酸ハーフエステル及び特定量のN−オレオイルサルコシンとを、含有することで、加水分解安定性及び錆止め性に優れる。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。
一般に、アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN−オレオイルサルコシンは、錆び止め剤として使用されている。アルケニルコハク酸ハーフエステルとN−オレオイルサルコシンとの分子構造を比較すると、アルケニルコハク酸ハーフエステルは、分子内に極性基をより多く有するため金属表面に吸着しやすく、錆止め性がより強いと推測される。
また、アルケニルコハク酸ハーフエステルは、水存在下でイオン化されて、例えば、鉄等の金属と反応することで、金属表面に金属塩の吸着膜を形成するため、錆止め性を発揮することができる。
N−オレオイルサルコシンは、アルケニルコハク酸ハーフエステルと同様に、金属表面に金属塩の吸着膜を形成して、錆止め性を発揮する他に抗乳化性を有する。潤滑油組成物に水が混入した場合、N−オレオイルサルコシンは水と油成分とを分離させるため、アルケニルコハク酸ハーフエステルのイオン化が促進されて、錆止め性を更に発揮すると推察される。
また、潤滑油組成物中のアルケニルコハク酸ハーフエステルが特定量であると、組成物中の酸価が上昇しにくく、アルケニルコハク酸ハーフエステルの加水分解も抑制されるため、加水分解安定性にも優れる。
以下、本発明の潤滑油組成物に含まれる各成分の詳細について説明する。
<基油>
本発明の潤滑油組成物は、を含有する。
基油としては、特に限定されず、例えば、鉱油、合成油、又はこれらの混合油であってもよい。
鉱油としては、例えば、原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法を適宜組合せて精製したものが挙げられる。加えて、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋又は水素化脱蝋などの処理を施した高度に精製されたパラフィン系鉱油等が挙げられる。
合成油としては、アルキルジフェニルエーテル等のエーテル化合物、ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックス型ポリオールエステル等の脂肪酸エステル、ポリアルファオレフィン等の合成炭化水素、アルキルナフタレンなどが挙げられる。
これらの中でも、基油としては、合成油であることが好ましく、油水の分離性に優れる観点から、脂肪酸エステルであることがより好ましい。
脂肪酸エステルは、アルコールと脂肪酸との反応により得ることができる。脂肪酸エステルは1種単独で使用してもよく、又は、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸エステルの反応に用いるアルコールとしては、1価のアルコールであってもよく、1分子内に水酸基を2つ以上有する多価アルコールであってもよい。
アルコールの具体例としては、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、メタノール、エタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
これらの中でも、アルコールとしては、多価アルコールであることが好ましく、3価のアルコール及びネオペンチル構造を有する多価アルコール(以下、「ネオペンチルポリオール」ともいう。)の少なくとも一方であることがより好ましい。
ネオペンチルポリオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪酸エステルの合成に用いる脂肪酸としては、特に制限はなく、飽和又は不飽和脂肪酸であってもよく、直鎖又は分岐鎖の脂肪酸であってもよい。
脂肪酸の具体例としては、例えば、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、スベリン酸、リシノール酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
これらの中でも、加水分解安定性の観点から、脂肪酸としては、飽和又は不飽和の炭素数11以上の長鎖脂肪酸であることが好ましく、飽和又は不飽和の炭素数11〜炭素数20の長鎖脂肪酸であることがより好ましい。
脂肪酸エステルは、上記のようなアルコールと脂肪酸とのエステルであり、アルコールが2価以上のアルコールである場合には、1つのエステル分子を形成するための脂肪酸は単一種の脂肪酸であっても、複数種の脂肪酸であってもよい。
例えば、6価のアルコールとのエステルを形成する脂肪酸は、炭素数8の直鎖脂肪酸と炭素数6の分岐鎖脂肪酸との混合であってもよいし、炭素数8の直鎖脂肪酸のみであってもよい。
加水分解安定性の観点から、脂肪酸エステルとしては、ネオペンチルポリオールと飽和脂肪酸とのエステル、及び、3価のアルコールと不飽和脂肪酸とのエステルの混合物であることが好ましく、ネオペンチルポリオールと飽和の炭素数11以上の長鎖脂肪酸とのエステル又はネオペンチルポリオールと分岐鎖の飽和脂肪酸とのエステル、及び、3価のアルコールと不飽和の炭素数11以上の長鎖脂肪酸とのエステルの混合物であることがより好ましく、ペンタエリスリトールと飽和の炭素数11以上の長鎖脂肪酸とのエステル、及び、グリセロールとオレイン酸とのエステルの混合物であることが更に好ましい。
脂肪酸エステルの酸価としては0.2mgKOH/g以下であることが好ましい。脂肪酸エステルの酸価が0.2mgKOH/g以下であると、加水分解安定性が更に優れる。
加水分解安定性の観点からは、脂肪酸エステルの酸価としては、0.1mgKOH/g以下であることがより好ましく、更に好ましくは0.05mgKOH/g以下である。
基油の含有量としては、組成物の全質量に対して、97質量%〜99.5質量%であることが好ましく、98質量%〜99.5質量%であることがより好ましい。
基油は、40℃における動粘度が10mm/s〜600mm/sであることが好ましく、20mm/s〜200mm/sであることがより好ましい。
基油の40℃における動粘度が10mm/s以上であると、潤滑油としての潤滑性が得られ、600mm/s以下であると高い生分解性がより得られる。
40℃動粘度は、JIS K 2283:2000動粘度試験方法に基づいて測定した値である。
<酸化防止剤>
本発明の潤滑油組成物は、酸化防止剤を少なくとも含有する。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールなどのアルキルフェノール、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等のビスフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート等のフェノール系化合物、ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等の芳香族アミン化合物などが挙げられる。
これらの中でも、潤滑性の観点から、酸化防止剤としては、芳香族アミン化合物であることが好ましく、フェノール系化合物、ナフチルアミン又はジアルキルジフェニルアミンであることがより好ましい。
酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤の含有量としては、潤滑油組成物の全質量に対して、0.3質量%〜5質量%であることが好ましく、0.5質量%〜3質量%であることがより好ましい。
<錆止め剤>
本発明の潤滑油組成物は、組成物全量基準で0.05質量%〜0.3質量%のアルケニルコハク酸ハーフエステルと、組成物全量基準で0.03質量%〜0.15質量%のN−オレオイルサルコシンと、を少なくとも含有する。
潤滑油組成物は、特定量のアルケニルコハク酸ハーフエステル及び特定量のN−オレオイルサルコシンを、含有するので、加水分解安定性及び錆止め性に優れる。
加水分解安定性及び錆止め性を両立する観点から、アルケニルコハク酸ハーフエステルの含有量としては、組成物全量基準で0.05質量%〜0.2質量%であることが好ましく、0.08質量%〜0.15質量%であることがより好ましい。
加水分解安定性及び錆止め性を両立する観点から、N−オレオイルサルコシンの含有量としては、組成物全量基準で0.01質量%〜0.15質量%であることが好ましく、0.05質量%〜0.15質量%であることがより好ましい。
加水分解安定性及び錆止め性を両立する観点から、アルケニルコハク酸ハーフエステルの含有量としては、組成物全量基準で0.05質量%〜0.2質量%であり(より好ましくは、0.08質量%〜0.15質量%である)、N−オレオイルサルコシンの含有量としては、組成物全量基準で0.01質量%〜0.15質量%であること(より好ましくは、0.05質量%〜0.15質量%である)が好ましい。
加水分解安定性及び錆止め性を両立する観点から、N−オレオイルサルコシンとアルケニルコハク酸ハーフエステルとの含有量の比は、質量基準で、1:1〜1:10であることが好ましく、1:1〜1:6であることがより好ましい。
(その他の成分)
本発明の潤滑油組成物は、基油、酸化防止剤、アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN−オレオイルサルコシン以外の成分(以下、「その他の成分」ともいう。)を、必要に応じて適量含有していてもよい。
その他の成分としては、例えば、通常の潤滑油組成物に用いられる成分、例えば、極圧剤、アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN−オレオイルサルコシン以外の錆止め剤(以下、「その他の錆止め剤」ともいう。)、腐食防止剤、消泡剤などの各種添加剤が挙げられる。
極圧剤としては、例えば、トリクレジルホスフェート、硫化オレフィンなどが挙げられる。
その他の錆止め剤としては、例えばアルケニルコハク酸及びその誘導体、ソルビタンモノオレート等のエステル、ワックス酸化物、中性バリウムスルホネート、ソルビタントリオール、パラフィン又はその他アミン化合物などが挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ジアルキルジチオりん酸塩、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアゾリル−2,5−ビスアルキルジチオカルバメート等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
<潤滑油組成物の性状>
潤滑油組成物は、40℃の動粘度が10mm/s〜600mm/sであることが好ましく、20mm/s〜200mm/sであることがより好ましい。潤滑油組成物の40℃における動粘度が10mm/s以上であれば潤滑油としての潤滑性が得られ、600mm/s以下であれば高い生分解性が得られる。
40℃動粘度は、JIS K 2283:2000動粘度試験方法に基づいて測定した値である。
また、潤滑油組成物の粘度指数は、150以上であることが好ましく、170以上であることがより好ましく、190以上であることが更に好ましい。
<潤滑油組成物の調製方法>
潤滑油組成物の調製方法としては、基油、酸化防止剤、アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN−オレオイルサルコシンに加え、必要に応じて各種添加剤を適宜混合すればよい。
基油、酸化防止剤、アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN−オレオイルサルコシン並びに各種添加剤の混合順序は、特に制限されるものではなく、基油に順次混合してもよい。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜12)
実施例及び比較例では、基油及び添加剤を下記表1及び表2に示す配合割合(質量%)で混合して潤滑油組成物を調製した。
得られた潤滑油組成物をそれぞれ用いて下記の性能評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
<基油>
・グリセロールとオレイン酸とからなる脂肪酸エステル(初期酸価:0.04mgKOH/g、40℃における動粘度:35.44mm/s)67質量部と、ペンタエリスリトールとジカルボン酸と炭素数18の飽和脂肪酸とからなる脂肪酸エステル(初期酸価:0.2mgKOH/g、40℃における動粘度:977mm/s。)33質量部と、を混合した基油
<酸化防止剤>
・アルキル化フェニルαナフチルアミン0.5質量%と、トリ(tert−ブチルフェニル)フォスフェート0.25質量%と、を混合した酸化防止剤
[評価]
<加水分解安定性試験>
ASTM−D−2619に基づき、加水分解安定性試験を以下のように実施した。
試料として調製した潤滑油組成物7.5×10−2kgと水2.5×10−2kgとの混合物を試験容器に入れて混合させた後、93℃に保った容器を、毎分5回転させ、300時間試験を行った。
試験後、混合物を遠沈管に移し、遠心分離機にて毎分1500回転させ、20分間、遠心分離を行い、油相と水相とに分離し、油相の40℃動粘度を測定した。
試験前後の油相の40℃動粘度の測定値を用いて下記の式から粘度変化率(%)を算出した。

粘度変化率(%)=(試験後の油相の40℃動粘度の測定値−試験前の潤滑油組成物の40℃動粘度)/試験前の潤滑油組成物の40℃動粘度×100

粘度変化率が−10%以下を加水分解安定性に優れると判断した。なお、粘度変化率が小さいほど加水分解安定性により優れる。
<錆止め性能試験>
JIS−K−2510(1998)に準拠した錆止め性能試験を以下のように実施した。
試料として調製した潤滑油組成物300mlと、人工海水30mlと、の混合液に、研磨された鋼製丸棒の試験片(直径13.0mm×長さ81.0mm)を60℃で24時間浸漬し、試験片に生じた錆の有無を目視で確認した。
なお、試験片を混合液に浸漬している間、混合液は攪拌棒で撹拌し続けた。
−評価基準−
A;試験片の表面に直径1mm以下の錆のはん点が6個以下であり、錆止め性に優れる。
B;試験片の表面に直径1mm以下の錆のはん点が6個を超えるが、錆は試験片表面の5%以下であり、錆止め性にやや劣っている。
C;錆が試験片表面の5%を超える範囲で認められ、錆止め性に劣る。
表1に示すように、実施例1〜4の潤滑油組成物は、粘度変化率が小さく、加水分解安定性及び錆止め性に優れていた。
これに対して、表2に示すように、比較例1〜12の潤滑油組成物は、加水分解安定性及び錆止め性のいずれか一方が劣っていた。
一方、N−オレオイルサルコシンの含有量が0.15質量%を超える比較例11では、錆止め性が劣っていた。これは、錆止め性の効果が高いアルケニルコハク酸ハーフエステルの金属表面への吸着を、錆止め性の効果が低いN−オレオイルサルコシンが阻害しているため、錆が発生すると推察される。
また、アルケニルコハク酸ハーフエステルの含有量が0.3質量%を超える比較例10では、加水分解安定性が劣っていた。
脂肪酸エステルは、酸により加水分解反応が促進されることが知られている。アルケニルコハク酸ハーフエステル等の一般的な錆止め剤は、酸価が高く、アルケニルコハク酸ハーフエステルが潤滑油組成物中に多く添加されると、添加量に比例して潤滑油組成物の酸価は上昇し、アルケニルコハク酸ハーフエステルの加水分解反応が促進されて、組成物の粘度変化が大きくなると考えられる。つまり、潤滑油組成物が所定量を超えたアルケニルコハク酸ハーフエステルを含むため、加水分解安定性が得られないと推察される。
このことから、アルケニルコハク酸ハーフエステル及びN−オレオイルサルコシンのそれぞれの含有量が所定の範囲内にあると、加水分解安定性及び錆止め性の双方に優れることがわかる。
以上より、本発明の潤滑油組成物は、加水分解安定性及び錆止め性に優れる。

Claims (2)

  1. 基油と、
    酸化防止剤と、
    組成物全量基準で0.05質量%〜0.3質量%のアルケニルコハク酸ハーフエステルと、
    組成物全量基準で0.03質量%〜0.15質量%のN−オレオイルサルコシンと、
    を含有する船尾管用潤滑油組成物。
  2. 前記アルケニルコハク酸ハーフエステルの含有量は、組成物全量基準で0.08質量%〜0.15質量%である、請求項1に記載の船尾管用潤滑油組成物。
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