JP2019145787A - 磁気抵抗効果素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トンネルバリア層が安定的に陽イオン不規則化スピネル構造をとる磁気抵抗効果素子を提供する。【解決手段】この磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、これらの間に挟持されたトンネルバリア層と、を備え、前記トンネルバリア層は、MgxAl1−x(0≦x<1)の酸化物であり、前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記酸化物が規則化したスピネル構造を持つ完全酸化状態における酸素の量よりも低い。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子及びその製造方法に関するものである。
強磁性層と非磁性層の多層膜からなる巨大磁気抵抗(GMR)素子、及び、非磁性層に絶縁層(トンネルバリア層、バリア層)を用いたトンネル磁気抵抗(TMR)素子が知られている。一般に、TMR素子はGMR素子と比較して、素子抵抗は高いが、磁気抵抗(MR)比は大きい。磁気センサ、高周波部品、磁気ヘッド及び不揮発性ランダムアクセスメモリ(MRAM)用の素子として、TMR素子に注目が集まっている。
TMR素子は、電子のトンネル伝導のメカニズムの違いによって2種類に分類することができる。一つは、強磁性層間の波動関数の滲み出し効果(トンネル効果)のみを利用したTMR素子である。もう一つは、トンネル効果を生じた際にトンネルする非磁性絶縁層の特定の軌道の伝導を利用したコヒーレントトンネル(特定の波動関数の対称性を有する電子のみがトンネルする)が支配的なTMR素子である。コヒーレントトンネルが支配的なTMR素子は、トンネル効果のみを利用したTMR素子と比較して、大きいMR比が得られることが知られている。
磁気抵抗効果素子において、コヒーレントトンネル効果を得るためには、二つの強磁性金属層とトンネルバリア層が互いに結晶質であり、二つの強磁性金属層とトンネルバリア層の界面が結晶学的に連続になっている必要がある。
コヒーレントトンネル効果を得ることができるトンネルバリア層としては、MgOが広く知られている。またMgOに代わる材料の検討も進められている。例えば、Mg、Al、Oからなる3元系酸化物(Mg−Al−O)を用いることによって、MgOに比べ強磁性体と格子整合性を向上することができる。このことは、従来のMgOよりも高いバイアス電圧印加時においてより高いMR比出力が得られること(小さいバイアス電圧依存性)につながるため応用上より好ましいことが知られている。
例えば、本出願人の提案に係る特許文献1にはスピネル型の結晶構造を持つMgAlをトンネルバリア層として用いることができることが示されている。しかし、スピネル構造が安定な組成領域が極めて限定されてしまうため、適応範囲が狭いという課題がある。
一方、本出願人の提案に係る特許文献2には、スピネル構造とは異なる構造を持ち、スピネル構造の半分の格子定数を持つ立方晶結晶(陽イオン不規則化スピネル構造)をもつ3元系酸化物(Mg−Al−O)が記載されている。陽イオン不規則化スピネル構造は準安定な構造であるため、スピネル型構造の化学量論組成に限定されずにトンネルバリア層を構成できる。このため、幅広いMg−Al組成比の調整によって格子定数を連続的に変化させることができるため、TMR素子の格子整合性をさらに向上できることが期待される。この結果として、例えばMR比のバイアス電圧依存性をさらに小さくできる。
さらに、特許文献2には、陽イオン不規則化スピネル構造のバリアとBCC型Co−Fe系強磁性電極を組み合わせることで、バンド折りたたみ効果と呼ばれる物理機構が生じることが抑制され、大きなMR比が安定して得られることが記載されている。
特許第5586028号公報 特許第5988019号公報 特開2017−183355号公報
しかし、準安定な陽イオン不規則化スピネル構造をナノメートル程度の非常に薄いバリア層として安定に得るための方法は確立されていない。例えば、酸素組成に関しても特許文献2には、「陽イオン不規則化スピネル構造には、酸素欠損あるいは過剰になってもよい」と記述されており、結晶構造との関係は明らかではない。このため、長い検査時間と高い検査コストを必要する高度な微細構造解析技術を用いて、素子ごとにトンネルバリア層の結晶構造を区別する必要があるという実用上の課題があった。この課題は、不規則構造を得るために必要な要件が明らかになっていないことに起因している。
本発明は、このような実情に鑑み、TMR素子のトンネルバリア層として安定的に陽イオン不規則化スピネル構造を得ることを課題としている。
本発明者らは、Mg−Al−OトンネルバリアをもつTMR素子を様々な条件において作製し、微細構造解析を行う過程で、トンネルバリア層の酸素量と結晶構造に強い相関があることを見いだした。特に、陽イオン不規則化スピネル構造は、MgとAlの量から予想される所定の量の酸素量よりも、酸素欠乏状態の場合に安定に得られることを見いだした。また、例えば本出願人の提案に係る特許文献2に示されている後酸化、本出願人の提案に係る特許文献3に示されている多段階の後酸化においても、Mg−Al組成比によらずに陽イオン不規則化スピネル構造を作製できることを見出した。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)第1の態様にかかる磁気抵抗効果素子は、第1強磁性層と、第2強磁性層と、これらの間に挟持されたトンネルバリア層と、を備え、前記トンネルバリア層は、MgAl1−x(0≦x<1)の酸化物であり、前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記酸化物が規則化したスピネル構造を持つ完全酸化した完全酸化状態における酸素の量よりも低い。
(2)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記完全酸化状態における酸素の量の67%以上であってもよい。
(3)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記完全酸化状態における酸素の量の67%以上95%以下であってもよい。
(4)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記完全酸化状態における酸素の量の77%以上95%以下であってもよい。
(5)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記酸化物は、組成式MgαAlβγで表記され、前記組成式においてαが0≦α≦0.41を満たしてもよい。
(6)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子は、前記組成式においてαが0.13≦α≦0.41を満たしてもよい。
(7)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記トンネルバリア層を主として構成する結晶が(001)配向していてもよい。
(8)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記第1強磁性層と前記第2強磁性層の少なくとも一方がFe元素を含んでもよい。
(9)上記態様にかかる磁気抵抗効果素子において、前記トンネルバリア層の厚みが3nm以下であってもよい。
(10)第2の態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法は、上記態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法であって、前記酸化物のターゲットを準備する工程と、前記ターゲットを用いてトンネルバリア層を積層する工程と、を有する。
(11)第3の態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法は、上記態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法であって、組成式MgAl1−x(但し、0≦x<1)で表記される合金を成膜する成膜工程と、前記合金を酸化してトンネルバリア層を形成する酸化工程と、を有する。
(12)上記第3の態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記成膜工程が、組成式MgAl1−x(但し、0≦x<0.5)で表記される合金を成膜する工程であり、前記成膜工程と、その後に行う前記酸化工程とをそれぞれ1回のみ行ってもよい。
(13)上記第3の態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記成膜工程が、組成式MgAl1−x(但し、0.5≦x<1)で表記される合金を成膜する工程であり、前記成膜工程と、その後に行う前記酸化工程とを複数回繰り返してもよい。
(14)上記第3の態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法において、前記成膜工程と前記酸化工程を行った後に、Mgを成膜する工程を有していてもよい。
(15)第4の態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法は、上記態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法であって、組成式MgAl1−x(但し、0≦x<1)で表記される合金を、反応性成膜により酸化させながら金属モードまたは遷移モードで成膜する工程を有する。
(16)上記第4の態様にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法において、反応性成膜により酸化させながら金属モードまたは遷移モードで成膜する工程を行った後に、Mgを成膜する工程を有していてもよい。
本発明によれば、安定的に陽イオン不規則化スピネル構造を得ることができる。
本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。 スピネル構造の結晶構造を示す図である。 不規則化したスピネル構造の結晶構造を示す図である。 比較例1に係るトンネルバリア層を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてナノ電子回折(NBD)も行った結果である。 実施例1に係るトンネルバリア層を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてナノ電子回折(NBD)も行った結果である。
以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
「磁気抵抗効果素子」
図1は、本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の断面模式図である。図1に示す磁気抵抗効果素子10は、第1強磁性層1と第2強磁性層2とトンネルバリア層3とを備える。また磁気抵抗効果素子10は、これらの層以外にキャップ層、下地層等を有していてもよい。
(第1強磁性層、第2強磁性層)
第1強磁性層1及び第2強磁性層2は磁化を有する。磁気抵抗効果素子10は、これらの磁化の相対角変化を抵抗値変化として出力する。例えば、第2強磁性層2の磁化の向きを固定し、第1強磁性層1の磁化の向きを第2強磁性層2の磁化の向きに対して可変とすると、第1強磁性層1の磁化の向きが変化することで、磁気抵抗効果素子10の抵抗値が変化する。磁化の向きが固定された層を一般に固定層と呼び、磁化の向きが可変な層を一般に自由層と呼ぶ。以下、第1強磁性層1が自由層、第2強磁性層が固定層の場合を例に説明する。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2には、強磁性材料を用いることができる。例えば、Cr、Mn、Co、Fe及びNiからなる群から選択される金属、これらの群から選択される金属を1種以上含む合金、又は、これらから選択される1又は複数の金属と、B、C、及びNの少なくとも1種以上の元素とを含む合金が挙げられる。特に、第1強磁性層1及び第2強磁性層2はFe元素を含むことが好ましい。第1強磁性層1及び第2強磁性層2がFe元素を含むことでスピン分極率を高めることができ、磁気抵抗効果素子10のMR比を大きくできる。例えば、Feを含む第1強磁性層1及び第2強磁性層2の具体例として、Fe、Co−Fe、Co−Fe−B、Ni−Feが挙げられる。
また第1強磁性層1及び第2強磁性層2には、CoFeSiなどのホイスラー合金を用いることができる。ホイスラー合金はスピン分極率が高く、高いMR比を実現できる。ホイスラー合金は、XYZの化学組成をもつ金属間化合物を含む。Xは、周期表上でCo、Fe、Ni、またはCu族の遷移金属元素または貴金属元素である。Yは、Mn、V、CrまたTi族の遷移金属、又は、Xの元素種も選択できる。Zは、III族からV族の典型元素である。例えば、CoFeSi、CoMnSiやCoMn1−aFeAlSi1−bなどが挙げられる。
第1強磁性層1及び第2強磁性層2の磁化の向きを積層面に対して垂直にする場合には、厚みを3nm以下とすることが好ましい。垂直磁気異方性は、トンネルバリア層3との界面で、第1強磁性層1及び第2強磁性層2に付加される。垂直磁気異方性は第1強磁性層1及び第2強磁性層2の膜厚を厚くすることによって効果が減衰するため、第1強磁性層1及び第2強磁性層2の膜厚は薄い方が好ましい。
第2強磁性層2を固定層とするためには、第2強磁性層2の保磁力を第1強磁性層1より大きくする。第2強磁性層2にIrMn,PtMnなどの反強磁性材料を隣接させると、第2強磁性層2の保磁力は例えば大きくなる。また第2強磁性層2の漏れ磁場が第1強磁性層1に影響することを防ぐために、シンセティック強磁性結合の構造としても良い。
(トンネルバリア層)
トンネルバリア層3は、MgAl1−xの酸化物である。この酸化物は、組成式MgαAlβγで表記される。酸化物が、化学量論組成となる場合、α+β+γ=1を満たし、電気的な中性が保たれる。酸化物が完全酸化状態の場合、トンネルバリア層は規則化したスピネル構造となる。図2は、スピネル構造の結晶構造を模式的示した図である。
ここで完全酸化状態とは、酸化物が所定量以上の酸素を含有していることを意味する。例えば、酸素の含有量を示す指標の一つとして化学量論組成がある。化学量論組成における理想的なγの値は、イオン化したMgとAl(それぞれMg2+、Al3+)と、酸素イオンO2−との電気的中性条件を満たすように決定される。このため、酸化処理を行う前のMgAl1−x組成によって化学量論組成におけるγは変化する。例えば、Mg33Al67合金層が完全に酸化され、化学量論組成の酸化物層となるとき組成式はMgAlとなり、α=0.14、β=0.29、γ=0.57となる。また、純Al層が完全に酸化され、化学量論組成の酸化物層となるとき組成式はAlとなり、α=0、β=0.4、γ=0.6となる。
酸化物が化学量論組成を満たす場合、酸化物は理論上完全酸化される。しかしながら、分析装置の精度等の関係上、組成分析した酸化物が化学量論組成を満たすからと言って、完全酸化されていない場合もある。そこで実測値としての以下の関係を満たす場合を完全酸化状態と定義する。
γ≧{(2×α+3×β)/2}×1.12
本実施形態にかかるトンネルバリア層3は、トンネルバリア層3が完全酸化状態における酸素量γに対して酸素量が少なく、トンネルバリア層3の酸素が実質的に欠損している。トンネルバリア層3が当該関係を満たす場合、トンネルバリア層3の結晶構造は陽イオン不規則化スピネル構造(以後、「不規則化したスピネル構造」と言う場合がある。)となる。ここで、実質的に欠損しているとは、酸化物結晶中の酸素空孔が存在している状態に加え、Mg、Alの金属原子の一部が未酸化で残存している状態も含む。
トンネルバリア層3の酸素の量は、実質的に完全酸化状態の酸素の量γの67%以上95%以下であることが好ましく、77%以上95%以下であることがより好ましい。酸素の量γが前者の範囲内の場合、α=0の場合でもトンネルバリア層3の結晶構造が不規則化したスピネル構造で安定する。
トンネルバリア層3のMgの量は、0≦α≦0.41であることが好ましく、0.13≦α≦0.41であることがさらに好ましい。αの範囲が当該範囲内であると、トンネルバリア層3の結晶構造が不規則化したスピネル構造で更に安定する。
図3は、陽イオン不規則化スピネル構造の結晶構造を模式的に示した図である。図2に示すように、規則化したスピネル構造の場合は、Mg元素がイオン化して入るサイトとAl元素がイオン化して入るサイトが固定されている。そのため、これらの元素の配列は規則的になる。これに対し、不規則化したスピネル構造の場合、Mg元素又はAl元素は、図3に示す酸素に対して四面体配位するサイト及び八面体配位するサイトのいずれにも存在しうる。Mg元素及びAl元素がいずれのサイトに入るかはランダムとみなせる場合が、不規則化したスピネル構造に対応する。この不規則化したスピネル構造の格子定数(a/2)は、規則化したスピネル構造の格子定数(a)の半分となる。不規則化したスピネル構造は、Fm−3mの空間群の対称性、又は、F−43mの空間群の対称性を有する。
トンネルバリア層3の組成が完全酸化状態である場合は、トンネルバリア層3の結晶構造が規則化したスピネル構造が最安定となる。これに対し、トンネルバリア層3の酸素を完全酸化状態よりも少なくすると、トンネルバリア層3の結晶構造が不規則化したスピネル構造でより安定化する。トンネルバリア層3の酸素の量γは、酸化物が完全酸化状態(実質的に化学量論組成となる場合)における酸素の量の67%以上であることが好ましい。トンネルバリア層3が当該関係を満たすと、トンネルバリア層3のマグネシウムの量α=0の場合でもトンネルバリア層3の結晶構造が不規則化したスピネル構造でより安定化する。
組成を酸素欠損した組成にすると、トンネルバリア層3の結晶構造が不規則化したスピネル構造で安定化し易くなる理由は、明確にはなっていないが、以下のように考えられる。
Mg元素とAl元素とが、酸素に対して四面体配位するサイト及び八面体配位するサイトのいずれに入るかは、エネルギーポテンシャルによる影響が大きい。十分な酸素量が供給される場合、エネルギーポテンシャルの観点から、Mg元素及びAl元素のそれぞれが安定化するサイトが固定される。また、Mg2+とAl3+のイオン半径とクーロン斥力などの作用によって、これらのイオンが規則正しく配列する場合にエネルギーが最低となるため規則化したスピネル構造が安定となる。このため、トンネルバリア層3として不規則化したスピネル構造を得ることが困難である。
これに対し、酸素欠損したトンネルバリア層3は、図2及び図3で示す酸素元素が所定の位置から欠損している。酸素元素が欠損すると、結晶格子を担う元素が抜けるため、結晶構造が乱れる。結晶構造が乱れると、酸素に対して四面体配位するサイト及び八面体配位するサイトにおけるエネルギー状態も乱れる。エネルギー状態が乱れると、酸素に対して四面体配位するサイトにおいて安定化するはずのMg元素が酸素に対して八面体配位するサイトで安定化したり、その逆が生じたりする。また、規則化したスピネル構造では空格子点となる四面体配位サイト、八面体配位サイトも占めることも生じる。つまり、Mg元素及びAl元素がいずれのサイトに入るかが全体的にランダムなものとなり、結果としてより不規則化したスピネル構造で安定化し易くなる。
トンネルバリア層3は3nm以下の厚さであることが好ましい。トンネルバリア層3の厚みを3nm以下とすると、第1強磁性層1及び第2強磁性層2の波動関数がトンネルバリア層3を超えて重なりやすくなり、強磁性層間の波動関数のトンネル効果及びコヒーレントトンネル効果が得やすくなる。
またトンネルバリア層3を主として構成する結晶は、(001)配向していることが好ましい。「トンネルバリア層3を主として構成する結晶」は、トンネルバリア層3が(001)配向した単結晶である場合、トンネルバリア層3が多結晶であり、その多結晶が(001)配向した結晶を主として含む場合のいずれも含む。トンネルバリア層3が(001)配向すると、第1強磁性層1及び第2強磁性層2との格子整合性が高まり、コヒーレントトンネル効果を得やすくなる。特に第1強磁性層1又は第2強磁性層2がFe元素を含む、Fe、Co−Fe、Co基ホイスラー合金等の場合に格子整合性が高まる。
上述のように、本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子は、トンネルバリア層3が所定の組成であることで、トンネルバリア層3の結晶構造が不規則化したスピネル構造となる。不規則化したスピネル構造は、規則化したスピネル構造と比較して有効的な格子定数が半減し、この結果としてMR比を高めることができる。これは、不規則化したスピネル構造のエネルギーバンド構造は、規則化したスピネル構造と類似し、コヒーレントトンネル効果を保つことができるためである。すなわち、トンネルバリア層3の結晶構造を不規則化したスピネル構造とすることで、コヒーレントトンネル効果と高い格子整合性を保持することができ、磁気抵抗効果素子10のMR比が高まる。
本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子は、MgAl1−xの酸化物層と、第1強磁性層1または第2強磁性層2との間に、組成比MgAl1−z(0≦z≦1)からなるバリア下地層を有していても良い。バリア下地層は、後の熱処理によって、MgAl1−xの酸化物であるトンネルバリア層の一部となる。
また、MgAl1−xの酸化物層におけるバリア下地層と反対側の面には、Mg層が設けられていてもよい。Mg層の厚さは、例えば、0.1〜1nmとすることができる。Mg層は、後の熱処理によってMgAl1−xの酸化物であるトンネルバリア層の一部となる。
(素子の形状、寸法)
磁気抵抗効果素子10を構成する第1強磁性層1、トンネルバリア層3及び第2強磁性層2からなる積層体は柱状の形状である。積層体を平面視した形状は、円形、四角形、三角形、多角形等の種々の形状をとることができるが、対称性の面から円形であることが好ましい。すなわち、積層体は円柱状であることが好ましい。
積層体が円柱状である場合、平面視の直径が80nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。直径が80nm以下であると、強磁性中にドメイン構造ができにくくなり、強磁性金属層におけるスピン分極と異なる成分を考慮する必要が無くなる。さらに、30nm以下であると、強磁性層中に単一ドメイン構造となり、磁化反転速度や確率が改善する。また小型化された磁気抵抗効果素子において、特に低抵抗化の要望が強い。
(その他)
本実施形態では、磁気抵抗効果素子10として、第1強磁性層1を自由層とし、第2強磁性層2を固定層としたトップピン構造の例を挙げた。しかしながら、磁気抵抗効果素子10の構造はこの場合に限定されるものではなく、ボトムピン構造でもよい。
本実施形態を用いた磁気抵抗効果素子は磁気センサやMRAMなどのメモリとして使用することが可能である。
「磁気抵抗効果素子の製造方法」
次いで、磁気抵抗効果素子の製造方法について説明する。
本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法は、第1強磁性層と、トンネルバリア層と、第2強磁性層とを積層する工程を有する。これらの層の成膜方法としては、スパッタリング法、蒸着法、レーザアブレーション法、分子線エピタキシャル(MBE)法など公知の方法を用いることができる。
トンネルバリア層は、例えば、以下の3つの方法のいずれでも作製することができる。
第1の方法は、作製するトンネルバリア層と同組成の酸化物のターゲットを準備し、そのターゲットを用いてトンネルバリア層を積層する。この方法は、最初から所定の組成のターゲットを準備するため、トンネルバリア層の組成を酸素欠損した状態にし易い。
第2の方法は、まずMgAl1−x(但し0≦x<1)で表記される合金を積層し、その合金を酸化してトンネルバリア層を形成する。酸化は、プラズマ酸化、又は、酸素導入による酸化を行う。この際、最終的に得られるトンネルバリア層が酸素欠損した状態となるように、導入する酸素の流量、酸化処理室の圧力、酸化時間を制御し、合金に対する酸素量を調整し、酸化を行う。この処理を行うことで、トンネルバリア層が酸素欠損した状態となり、トンネルバリア層の結晶構造が不規則化したスピネル構造となる。
第2の方法では、組成式MgAl1−x(但し、0≦x<0.5)で表記される合金を成膜する工程と、その後に合金を酸化する工程とをそれぞれ1回のみ行ってもよい。
また、第2の方法では、組成式MgAl1−x(但し、0.5≦x<1)で表記される合金を成膜する工程と、その後に行う合金を酸化する工程とを、複数回繰り返してもよい。
第3の方法は、MgAl合金を成膜中にチャンバーに酸素を導入し、反応性成膜によって酸化させながら積層する。この際も、最終的に得られるトンネルバリア層が酸素欠損した状態となるように、合金に対する酸化力を調整しながら成膜を行う。具体的には、成膜される合金が酸化するのに十分な酸化力より、供給する酸化力を小さくする。この処理を行うことで、トンネルバリア層が酸素欠損した状態となり、トンネルバリア層の結晶構造が不規則化したスピネル構造となる。
第3の方法を用いて、組成式MgAl1−x(但し、0≦x<1)で表記される合金を、反応性成膜により酸化させながら成膜する場合、金属モードまたは遷移モードで成膜することが好ましい。
反応性成膜では、導入する反応性ガス(酸素)の流量に応じて成膜速度が大きく異なる状態を示す。酸素流量が少なく、ターゲット材料が金属の状態で飛散する成膜速度が早い状態を金属モードと呼ぶ。また、酸素流量が多く、ターゲット材料が酸素と反応しながら化合物として飛散する成膜速度が遅い状態を反応性(酸化)モードと呼ぶ。成膜速度が金属モードと酸化モードの間の領域を遷移モードと呼ぶ。
第2の方法及び第3の方法においてMgAl合金を成膜する前に、第1強磁性層の保護の観点から、組成比MgAl1−z(0≦z≦1)からなるバリア下地層を積層しても良い。後の熱処理によってバリア下地層は、MgAl1−xの酸化物であるトンネルバリア層の一部となる。
また、第1の方法、第2の方法及び第3の方法において、MgAl1−xの酸化物からなる層を形成した後に、Mgを成膜してMg層を形成してもよい。Mg層は、後の熱処理によってMgAl1−xの酸化物であるトンネルバリア層の一部となる。
上述のように、本実施形態にかかる磁気抵抗効果素子の製造方法によれば、所定の組成のトンネルバリア層を容易に作製することができる。またトンネルバリア層が所定の組成であることで、トンネルバリア層の結晶構造が不規則化したスピネル構造となり、大きなMR比を有する磁気抵抗効果素子を作製することができる。
(比較例1)
図1に示す磁気抵抗効果素子10をMgO(001)単結晶基板上に作製した。まず基板上に下地層としてCrを40nm積層し800℃1時間の熱処理を行った。第1強磁性層1としてFeを30nm積層し300℃15分の熱処理をおこなった。
次いで、第1強磁性層1上に、Mgからなるバリア下地層を0.2nm成膜し、Mg17Al83で表記される合金を0.4nm成膜するたびに、自然酸化を行い、この処理を2回行った。その結果、総厚0.8nmの酸化膜が得られた。自然酸化は圧力5Paの空気中に600秒さらすことで行った。この繰り返し酸化を行うによってMgAl層を充分酸化した。酸化後、真空中で400℃15分熱処理を行い、均質なMg−Al−O層を得た。
次いで、トンネルバリア層3上に、第2強磁性層2としてFeを6nm積層し350℃15分熱処理をおこない、強磁性トンネル接合を得た。次いで、反強磁性層としてIrMnを12nm成膜し、キャップ層としてRuを20nm成膜し、磁気抵抗効果素子10を得た。最後に5kOeの磁場を印加しながら175℃の温度で30分熱処理し、第2強磁性層2に一軸磁気異方性を付与した。
そして作製した磁気抵抗効果素子10を積層方向に沿う面に沿って集束イオンビームで切断し、トンネルバリア層の薄片試料を作製した。そしてこの薄片試料を透過型電子顕微鏡(TEM)におけるエネルギー分散型X線分析(EDS)によって組成分析した。その結果、Mg−Al−O層の組成は、Mg0.18Al0.230.59であった。α=0.18、β=0.23の場合、γ≧0.59であれば完全酸化状態といえる。つまり、比較例1は、完全酸化状態である。尚、分析法はこれに限定されず、2次イオン質量分析法(SIMS)、アトムプローブ法、電子エネルギー損失分光法(EELS)を用いて行うこともできる。
尚、TEM−EDSの分析結果は、測定元素(Mg、Al、およびO)のバックグラウンド信号を差し引いた値とした。
また透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてナノ電子回折(NBD)も行った。具体的には、薄片試料に1nm径程度に絞った電子線を照射し、透過回折した電子線スポットを計測した。Mg−Al−O[100]方位に電子線を入射した結果を図4に示す。
(実施例1)
実施例1は、Mg−Al−O層を作製する際に、酸素欠損させた点が比較例1と異なる。具体的には、まず、Mgからなるバリア下地層を0.2nm成膜した。その後、Mg17Al83で表記される合金を0.5nm一度に積層し、比較例1と同条件の酸化処理を行った。この酸化条件は、酸素不足な酸化条件である。酸化後、真空中で400℃15分熱処理を行い、Mg−Al−O層を得た。その他の条件、分析方法は、実施例1と同様とした。
実施例1のMg−Al−O層の組成は、Mg0.21Al0.220.57であった。α=0.21、β=0.22の場合、γ≧0.60であれば完全酸化状態といえる。すなわち、実施例1は完全酸化状態に対して酸素欠損している。
図5は、実施例1に係るトンネルバリア層を、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてナノ電子回折(NBD)も行った結果である。図5に示すNBDパターンは、図4に示す比較例1のNBDパターンとは異なり、一部の回折スポットが確認されなかった。電子回折図形は結晶格子をフーリエ変換したものと見なすことができるため、有効的な格子定数の変化や結晶対称性の変化が観察できる。比較例1において点線で囲む領域内にみられた追加のスポットは、規則的なスピネル構造の陽イオンの規則的配列によって生じており、MgAl{220}面からの反射があることを示す。一方、実施例1には、体心立方(FCC)格子からの基本反射のみが観察されているため、不規則化したスピネル構造である。これらのことから、比較例1のトンネルバリア層の有効的な格子定数は、実施例1のトンネルバリア層の有効的な格子定数の2倍である規則的なスピネル構造である。
また実施例1に係るトンネルバリア層は、10回作製して10回とも図5に示すスポット像が確認された。すなわち、実施例1に係るトンネルバリア層は安定的に不規則化したスピネル構造となっている。これに対し、比較例1に係るトンネルバリア層は、点線で囲む領域内に回折スポットがほとんど見えにくくなる場合もあったが、ほとんど図4と同様のスポット像が得られた。すなわち、比較例1に係るトンネルバリア層は不規則化したスピネル構造を安定的に発現することはできなかった。
なお、トンネルバリア層が不規則化したスピネル構造をとると、高いMR比を示すことが特許文献1にも示されている。例えば、特許文献1では、1.45nmのMgAlから作製された不規則化したスピネル構造のトンネルバリアが、室温において308%と極めて高いMR比を実現できることが記載されている。
(実施例2)
実施例2は、Mg17Al83で表記される合金の厚みを0.8nmとした点が実施例1と異なる。その他の条件、分析方法は、実施例1と同様とした。
実施例2のMg−Al−O層の組成は、Mg0.19Al0.270.54であった。α=0.19、β=0.27の場合、γ≧0.67であれば完全酸化状態といえる。すなわち、実施例2は完全酸化状態に対して酸素欠損している。実施例2に係るトンネルバリア層のNBDパターンは、実施例1に係るトンネルバリア層のパターン(図5)と同様であった。
(実施例3)
実施例3は、Mgからなるバリア下地層を0.45nm成膜し、Mg17Al83で表記される合金の厚みを0.63nmとし、反応性成膜法を用いてMg−Al−O層の酸化した点が実施例1と異なる。反応性成膜法は、Mg−Al合金を成膜中に酸素を導入し、酸化させながら成膜する手法であり、ガス流量はAr20sccm、酸素2sccmとした。その他の条件、分析方法は、実施例1と同様とした。
実施例3のMg−Al−O層の組成は、Mg0.24Al0.240.52であった。α=0.24、β=0.24の場合、γ≧0.67であれば完全酸化状態といえる。すなわち、実施例3は完全酸化状態に対して酸素欠損している。また実施例3に係るトンネルバリア層のNBDパターンは、実施例1に係るトンネルバリア層のパターン(図5)と同様であった。
(実施例4)
実施例4は、Mg17Al83で表記される合金の厚みを1.5nmとした点が実施例3と異なる。その他の条件、分析方法は、実施例3と同様とした。
実施例4のMg−Al−O層の組成は、Mg0.19Al0.240.57であった。α=0.19、β=0.24の場合、γ≧0.62であれば完全酸化状態といえる。すなわち、実施例4は完全酸化状態に対して酸素欠損している。この酸素値は完全酸化状態に対して96%に相当し、酸素欠損している。また実施例4に係るトンネルバリア層のNBDパターンは、実施例1に係るトンネルバリア層のスポット像(図5)と同様であった。
(実施例5)
実施例5は、Mg17Al83で表記される合金の厚みを1.9nmとした点が実施例3と異なる。その他の条件、分析方法は、実施例3と同様とした。
実施例5のMg−Al−O層の組成は、Mg0.13Al0.290.58であった。α=0.13、β=0.29の場合、γ≧0.63であれば完全酸化状態といえる。すなわち、実施例5は完全酸化状態に対して酸素欠損している。また実施例5に係るトンネルバリア層のNBDパターンは、実施例1に係るトンネルバリア層のパターン(図5)と同様であった。
(実施例6)
実施例6のトンネルバリア層の形成には純Alを1.3nm成膜しその後酸素プラズマによって酸化した。プラズマ酸化条件として5Paの酸素ガスとArガスを5:1で混合したガス(計6Pa)を用いた。酸素プラズマは高周波電力密度0.34W/cmの条件で形成し、このプラズマにAl層を15s直接暴露させた。その他の条件、分析方法は、実施例1と同様とした。
実施例6のAl−O層は(001)面を持って成長した単結晶層として得られ、その組成は、Al0.470.53であった。α=0、β=0.47の場合、γ≧0.79であれば完全酸化状態といえる。すなわち、実施例4は完全酸化状態に対して酸素欠損している。また実施例6に係るトンネルバリア層のNBDパターンは、実施例1に係るトンネルバリア層のパターン(図5)と同様であった。
(実施例7)
実施例7では、Mgからなるバリア下地層を0.3nm成膜した後、Mg67Al33で表記される合金を0.1nm成膜し、実施例1と同条件の酸化処理を行った。その後、Mg67Al33で表記される合金を0.2nm成膜するたびに、実施例1と同様条件の酸化処理を行った。合金の成膜と、その後に行う酸化処理とを、4回繰り返し行った。その後、Mgを0.2nm成膜した。その他の条件、分析方法は、実施例1と同様とした。
実施例7のMg−Al−O層の組成は、Mg0.41Al0.060.53であった。α=0.41、β=0.06の場合、γ≧0.56であれば完全酸化状態といえる。すなわち、実施例7は完全酸化状態に対して酸素欠損している。また実施例7に係るトンネルバリア層のNBDパターンは、実施例1に係るトンネルバリア層のパターン(図5)と同様であった。
上記の結果を以下の表1にまとめた。
表1から分かるように、いずれの実施例でも、比較例1に記載の規則化したスピネル構造のトンネルバリア層3の酸素の量より少なくすることで不規則スピネル構造が得られることがわかる。
1 第1強磁性層
2 第2強磁性層
3 トンネルバリア層
10 磁気抵抗効果素子

Claims (16)

  1. 第1強磁性層と、第2強磁性層と、これらの間に挟持されたトンネルバリア層と、を備え、
    前記トンネルバリア層は、MgAl1−x(0≦x<1)の酸化物であり、
    前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記酸化物が規則化したスピネル構造を持つ完全酸化した完全酸化状態における酸素の量よりも低い、磁気抵抗効果素子。
  2. 前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記完全酸化状態における酸素の量の67%以上である、請求項1に記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記完全酸化状態における酸素の量の67%以上95%以下である、請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素子。
  4. 前記トンネルバリア層の酸素の量は、前記完全酸化状態における酸素の量の77%以上95%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  5. 前記酸化物は、組成式MgαAlβγで表記され、前記組成式においてαが0≦α≦0.41を満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 前記組成式においてαが0.13≦α≦0.41を満たす、請求項5に記載の磁気抵抗効果素子。
  7. 前記トンネルバリア層を主として構成する結晶が(001)配向している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  8. 前記第1強磁性層と前記第2強磁性層の少なくとも一方がFe元素を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  9. 前記トンネルバリア層の厚みが3nm以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    前記酸化物のターゲットを準備する工程と、
    前記ターゲットを用いてトンネルバリア層を積層する工程と、を有する、磁気抵抗効果素子の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    組成式MgAl1−x(但し、0≦x<1)で表記される合金を成膜する成膜工程と、
    前記合金を酸化してトンネルバリア層を形成する酸化工程と、を有する、磁気抵抗効果素子の製造方法。
  12. 前記成膜工程が、組成式MgAl1−x(但し、0≦x<0.5)で表記される合金を成膜する工程であり、
    前記成膜工程と、その後に行う前記酸化工程とをそれぞれ1回のみ行う、請求項11に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  13. 前記成膜工程が、組成式MgAl1−x(但し、0.5≦x<1)で表記される合金を成膜する工程であり、
    前記成膜工程と、その後に行う前記酸化工程とを複数回繰り返す、請求項11に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  14. 前記成膜工程と前記酸化工程を行った後に、Mgを成膜する工程を有する請求項11〜13のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  15. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法であって、
    組成式MgAl1−x(但し、0≦x<1)で表記される合金を、反応性成膜により酸化させながら金属モードまたは遷移モードで成膜する工程を有する、磁気抵抗効果素子の製造方法。
  16. 反応性成膜により酸化させながら金属モードまたは遷移モードで成膜する工程を行った後に、Mgを成膜する工程を有する請求項15に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
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