JP2019145663A - 光電変換素子 - Google Patents

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克佳 遠藤
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Abstract

【課題】温度変化の大きい環境下で、発電性能の低下を抑制しつつ、外力によりガラス基板が破壊されてもガラス基板の周囲への飛散を十分に抑制することができる光電変換素子を提供すること。【解決手段】光入射面に接着される第1樹脂フィルム60と、裏面に接着される第2樹脂フィルム70とを備える光電変換素子100であって、第1電極基板10の線膨張係数と第1樹脂フィルムの線膨張係数との第1線膨張係数差が20×10−6/℃以下であり、第2電極基板20の線膨張係数と第2樹脂フィルムの線膨張係数との第2線膨張係数差が20×10−6/℃以下であり、第1電極基板に対する第1樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmであり、第2電極基板に対する第2樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmであり、第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの引張破断強度が30MPa以上である、光電変換素子。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
光電変換素子として、安価で、高い光電変換効率が得られることから色素を用いた光電変換素子が注目されており、色素を用いた光電変換素子に関して種々の開発が行われている。
色素を用いた光電変換素子は一般に、光入射面を有する第1電極基板と、第1電極基板に対向する第2電極基板と、第1電極基板及び第2電極基板を接合する封止部と、第1電極基板、第2電極基板及び封止部によって包囲される電解質と、第1電極基板上に設けられ、色素が担持されている酸化物半導体層とを備えている(例えば下記特許文献1参照)。
国際公開第2010/050207号
しかし、上記特許文献1に記載の光電変換素子は、第1電極基板がガラス基板を含む場合には以下に示す課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載の光電変換素子は、温度変化の大きい環境下における発電性能の低下抑制、及び、温度変化の大きい環境下で外力によりガラス基板が破壊された場合におけるガラス基板の周囲への飛散抑制の点で改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、温度変化の大きい環境下で、発電性能の低下を抑制しつつ、外力によりガラス基板が破壊されてもガラス基板の周囲への飛散を十分に抑制することができる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記特許文献1の光電変換素子において、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、光入射面、及び、前記光入射面と反対側の裏面を有する光電変換セルと、前記光入射面に接着される第1樹脂フィルムと、前記裏面に接着される第2樹脂フィルムとを備える光電変換素子であって、前記光電変換セルが、前記光入射面を有するガラス基板、及び、前記ガラス基板上に設けられる導電層で構成される第1電極基板と、前記第1電極基板に対向し、前記裏面の少なくとも一部を有する第2電極基板と、前記第1電極基板及び前記第2電極基板を接合する封止部と、前記第1電極基板、前記第2電極基板及び前記封止部によって包囲される電解質とを有し、前記第1電極基板の線膨張係数と前記第1樹脂フィルムの線膨張係数との第1線膨張係数差が20×10−6/℃以下であり、前記第2電極基板の線膨張係数と前記第2樹脂フィルムの線膨張係数との第2線膨張係数差が20×10−6/℃以下であり、前記第1電極基板に対する前記第1樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmであり、前記第2電極基板に対する前記第2樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmであり、前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムの引張破断強度が30MPa以上である、光電変換素子である。
この光電変換素子によれば、温度変化の大きい環境下で使用されても、第1樹脂フィルムが第1電極基板から剥離することが十分に抑制され、第2樹脂フィルムが第2電極基板から剥離することが十分に抑制される。また、光電変換素子に加えられる外力によりガラス基板が破壊されても、第1樹脂フィルムと第1電極基板との間、又は、第2樹脂フィルムと第2電極基板との間に隙間が形成されてガラス基板の破片がその隙間に入り込み、第1樹脂フィルム又は第2樹脂フィルムを突き破ることが十分に抑制される。また、本発明の光電変換素子によれば、光電変換素子が温度変化の大きい環境下で使用されても、第1樹脂フィルムと第1電極基板との間での光透過性の低下が十分に抑制されるとともに、第2樹脂フィルムの伸縮に伴う第2電極基板の伸縮がより十分に抑制され、第1電極基板と第2電極基板との間の極間距離が大きくなることが十分に抑制される。以上より、本発明の光電変換素子によれば、温度変化の大きい環境下で発電性能の低下を抑制しつつ、外力によりガラス基板が破壊されてもガラス基板の周囲への飛散を十分に抑制することができる。
上記光電変換素子が前記光電変換セルを前記第2電極基板側から平面視した場合に、前記第2電極基板から外方に突出する絶縁層をさらに有する場合には、前記第2電極基板が前記裏面の一部を有し、前記絶縁層が前記裏面の残部を有してもよい。
上記光電変換素子においては、前記第2樹脂フィルムの線膨張係数と前記絶縁層の線膨張係数との第3線膨張係数差が20×10−6/℃以下であることが好ましい。
この場合、温度変化の大きい環境下でも、第2樹脂フィルムが絶縁層から剥離することがより十分に抑制される。このため、光電変換素子に加えられる外力によりガラス基板が破壊されても、第2樹脂フィルムと絶縁層との間に隙間が形成されてガラス基板の破片がその隙間に入り込み、第2樹脂フィルムを突き破ることが十分に抑制される。従って、ガラス基板の周囲への飛散をより十分に抑制することができる。
上記光電変換素子においては、前記絶縁層に対する前記第2樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmであることが好ましい。
この場合、絶縁層に対する第2樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5N/5mm未満である場合に比べて、温度変化の大きい環境下で第2樹脂フィルムが絶縁層から剥離することがより十分に抑制される。
本発明によれば、温度変化の大きい環境下で、発電性能の低下を抑制しつつ、外力によりガラス基板が破壊されてもガラス基板の周囲への飛散を十分に抑制することができる光電変換素子が提供される。
本発明の光電変換素子の一実施形態を示す切断面端面図である。 図1の第1電極基板を示す平面図である。
以下、本発明の光電変換素子の一実施形態について図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の一実施形態を示す切断面端面図、図2は図1の第1電極基板を示す平面図である。
図1に示すように、光電変換素子100は、光入射面11a、及び、光入射面11aと反対側の裏面11bを有する光電変換セル110と、光入射面11aに第1接着剤を介して接着される第1樹脂フィルム60と、裏面11bに第2接着剤を介して接着される第2樹脂フィルム70とを備えている。
光電変換セル110は、第1電極基板10と、第1電極基板10に対向する第2電極基板20と、第1電極基板10及び第2電極基板20を接合する封止部30と、第1電極基板10、第2電極基板20及び封止部30によって包囲される電解質40と、第1電極基板10上に設けられ、色素が担持されている酸化物半導体層50と、光電変換セル110を第2電極基板20側から平面視した場合に、第2電極基板20から外方に突出する絶縁層55とを有している。ここで、第1電極基板10も、光電変換素子100を第2電極基板20側から平面視した場合に第2電極基板20から外方に突出している。
第1電極基板10は、光入射面11aを有するガラス基板11と、ガラス基板11と酸化物半導体層50との間に設けられる導電層12とで構成される。図2に示すように、本実施形態では、導電層12は、電極12Aと、電極12Aから突出する第1電流取出し部12Dと、電極12A及び第1電流取出し部12Dから溝90を介して離間して配置される第2電流取出し部12Bと、電極12A、第1電流取出し部12D及び第2電流取出し部12Bから溝90を介して離間し且つこれらを包囲するように配置される分離部12Cとで構成されている。第1電流取出し部12D及び第2電流取出し部12Bはいずれも光電変換セル110から電流を取り出すためのものである。
絶縁層55は、封止部30とガラス基板11との間にも設けられており、導電層12に形成される溝90を覆っている。
第1電流取出し部12Dの上には第1外部接続端子80が設けられ、第2電流取出し部12Bの上には第2外部接続端子(図示せず)が設けられる。第2電流取出し部12Bは導電部材(図示せず)によって第2電極基板20の金属基板21と電気的に接続されている。
第2電極基板20は、基板と電極を兼ねる金属基板21と、金属基板21のうち第1電極基板10側に設けられて電解質40の還元に寄与する触媒層22とを有する。
ここで、金属基板21のうち第1電極基板10と反対側の面と絶縁層55のうち光入射面11aと反対側の面とによって光電変換セル110の裏面11bが構成されている。すなわち、第2電極基板20が裏面11bの一部を有し、絶縁層55が裏面11bの残部を有している。そして、第2樹脂フィルム70は絶縁層55の裏面11b及び第2電極基板20の裏面11bに接着されている。
第1電極基板10の線膨張係数と第1樹脂フィルム60の線膨張係数との第1線膨張係数差は20×10−6/℃以下であり、第2電極基板20の線膨張係数と第2樹脂フィルム70の線膨張係数との第2線膨張係数差は20×10−6/℃以下であり、第2樹脂フィルム70の線膨張係数と絶縁層55の線膨張係数との第3線膨張係数差が20×10−6/℃以下である。また、第1電極基板10に対する第1樹脂フィルム60の90°ピール強度は0.5〜10N/5mmであり、第2電極基板20に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は0.5〜10N/5mmであり、絶縁層55に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は0.5〜10N/5mmである。さらに第1樹脂フィルム60及び第2樹脂フィルム70の引張破断強度は30MPa以上である。
光電変換素子100によれば、光電変換素子100が温度変化の大きい環境下で使用されても、第1樹脂フィルム60が第1電極基板10から剥離することが十分に抑制され、第2樹脂フィルム70が絶縁層55及び第2電極基板20から剥離することが十分に抑制される。また、光電変換素子100に加えられる外力によりガラス基板11が破壊されても、第1樹脂フィルム60と第1電極基板10との間、第2樹脂フィルム70と第2電極基板20との間、又は絶縁層55と第2樹脂フィルム70との間に隙間が形成されてガラス基板11の破片がその隙間に入り込み、第1樹脂フィルム60又は第2樹脂フィルム70を突き破ることが十分に抑制される。また、光電変換素子100によれば、光電変換素子100が温度変化の大きい環境下で使用されても、第1樹脂フィルム60と第1電極基板10との間での光透過性の低下が十分に抑制されるとともに、第2樹脂フィルム70の伸縮に伴う第2電極基板20の伸縮がより十分に抑制され、第1電極基板10と第2電極基板20との間の極間距離が大きくなることが十分に抑制される。以上より、光電変換素子100によれば、温度変化の大きい環境下で発電性能の低下を抑制しつつ、外力によりガラス基板11が破壊されてもガラス基板11の周囲への飛散を十分に抑制することができる。
また、光電変換素子100では、第2樹脂フィルム70の線膨張係数と絶縁層55の線膨張係数との第3線膨張係数差が20×10−6/℃以下となっている。このため、温度変化の大きい環境下でも、第2樹脂フィルム70が絶縁層55から剥離することがより十分に抑制される。このため、光電変換素子100に加えられる外力によりガラス基板11が破壊されても、第2樹脂フィルム70と絶縁層55との間に隙間が形成されてガラス基板11の破片がその隙間に入り込み、第2樹脂フィルム70を突き破ることが十分に抑制される。従って、ガラス基板11の周囲への飛散をより十分に抑制することができる。
次に、第1電極基板10、第1外部接続端子80及び第2外部接続端子、第2電極基板20、封止部30、電解質40、酸化物半導体層50、絶縁層55、色素、第1樹脂フィルム60、及び第2樹脂フィルム70について詳細に説明する。
<第1電極基板>
第1電極基板10は、既に述べたように、ガラス基板11と、導電層12とで構成される。
第1電極基板10の線膨張係数α1は特に制限されるものではないが、ガラス基板11を含むため、通常は9.5×10−6/℃以下である。
(ガラス基板)
ガラス基板11を構成する材料は可視光に対して透明な材料であればよく、このような材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどが挙げられる。ガラス基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50μm〜10mmの範囲にすればよい。
(導電層)
導電層12に含まれる材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。導電層12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物を含む複数の層の積層体で構成されてもよい。導電層12が単層で構成される場合、導電層12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOを含むことが好ましい。導電層12は、ガラスフリットをさらに含んでもよい。導電層12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
<第1外部接続端子及び第2外部接続端子>
第1外部接続端子80及び第2外部接続端子は金属材料を含む。金属材料としては、例えば銀、銅およびインジウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いてもよい。第1外部接続端子80及び第2外部接続端子は例えば金属材料のみからなる焼結体で構成される。
<第2電極基板>
第2電極基板20は、上述したように、基板と電極とを兼ねる金属基板21と、触媒層22とを備える。
(金属基板)
金属基板21は、金属で構成されればよいが、この金属は、不動態を形成し得る金属であることが好ましい。この場合、金属基板21が電解質40によって腐食されにくくなるため、光電変換素子100は、より優れた耐久性を有することが可能となる。不動態を形成し得る金属としては、例えばチタン、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス又はこれらの合金等が挙げられる。金属基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば5μm〜0.1mmとすればよい。
(触媒層)
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンブラックやカーボンナノチューブが好適に用いられる。
<封止部>
封止部30を構成する材料としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を含む変性ポリオレフィン樹脂、紫外線硬化樹脂、及び、ビニルアルコール重合体などの樹脂が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
封止部30の厚さは特に限定されないが、通常は5〜50μmであり、好ましくは10〜45μmである。この場合、封止部30の内部への水の侵入をより十分に抑制できる。
<電解質>
電解質40は、酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )のほか、臭化物イオン(臭素イオン)/ポリ臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。なお、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオンは、ヨウ素(I)と、アニオンとしてのアイオダイド(I)を含む塩(イオン性液体や固体塩)とによって形成することができる。アニオンとしてアイオダイドを有するイオン性液体を用いる場合には、ヨウ素のみ添加すればよく、有機溶媒や、アニオンとしてアイオダイド以外のイオン性液体を用いる場合には、LiIやテトラブチルアンモニウムアイオダイドなどのアニオンとしてアイオダイド(I)を含む塩を添加すればよい。
また電解質40は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、エチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ブチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、メチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質40は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質40には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、I、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1−ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質40としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
<酸化物半導体層>
酸化物半導体層50は、酸化物半導体粒子で構成される。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化シリコン(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層50は通常、光を吸収するための吸収層で構成されるが、吸収層と吸収層を透過した光を反射して吸収層に戻す反射層とで構成されてもよい。
酸化物半導体層50の厚さは特に限定されるものではないが、通常は、0.5〜50μmとすればよい。
(絶縁層)
絶縁層55は絶縁材料で構成されていればよい。このような絶縁材料としては、樹脂や無機絶縁材料が挙げられるが、中でも、無機絶縁材料が好ましい。この場合、無機絶縁材料は樹脂よりも高い封止能を有するため、溝90からの水分の侵入をより十分に抑制できる。無機絶縁材料としては、例えばガラスが挙げられる。
絶縁層55を構成する絶縁材料は着色されていることが好ましい。この場合、光電変換素子100を光入射面11a側から見た場合、第2電極基板20が際立って見えることを十分に抑制することが可能となる。このため、良好な外観を実現することができる。また、電極12Aを着色させないで済むため、光電変換素子100の光電変換特性の低下を十分に抑制することができる。
絶縁層55の厚さは特に限定されるものではないが、通常は10〜30μmであり、好ましくは15〜25μmである。
<色素>
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などの光増感色素や、ハロゲン化鉛系ペロブスカイト結晶などの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCHNHPbX(X=Cl、Br、I)が用いられる。ここで、色素として光増感色素を用いる場合には、光電変換素子100は色素増感光電変換素子となり、光電変換セル110は色素増感光電変換セルとなる。
上記色素の中でも、ビピリジン構造又はターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体からなる光増感色素が好ましい。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
<第1樹脂フィルム>
第1電極基板10の線膨張係数α1と第1樹脂フィルム60の線膨張係数α2との第1線膨張係数差Δα(α2−α1)は20×10−6/℃以下である。この場合、Δαが20×10−6/℃を超える場合に比べて、温度変化の大きい環境下で第1樹脂フィルム60が第1電極基板10から剥離することがより十分に抑制される。
Δαは好ましくは18×10−6/℃以下であり、より好ましくは15×10−6/℃以下である。
第1電極基板10に対する第1樹脂フィルム60の90°ピール強度は0.5〜10N/5mmである。この場合、第1電極基板10に対する第1樹脂フィルム60の90°ピール強度が0.5N/5mm未満である場合に比べて、温度変化の大きい環境下で第1樹脂フィルム60が第1電極基板10から剥離することがより十分に抑制される。また、第1電極基板10に対する第1樹脂フィルム60の90°ピール強度が10N/5mmを超える場合に比べて、温度変化の大きい環境下で、第1接着剤の変色による光透過性の低下が十分に抑制され、光電変換素子100の発電性能の低下が十分に抑制される。
第1電極基板10に対する第1樹脂フィルム60の90°ピール強度は0.6N/5mm以上であることが好ましく、0.8N/5mm以上であることがより好ましい。但し、第1電極基板10に対する第1樹脂フィルム60の90°ピール強度は8N/5mm以下であることが好ましく、5N/5mm以下であることがより好ましい。
第1樹脂フィルム60の引張破断強度は30MPa以上である。この場合、第1樹脂フィルム60の引張破断強度が30MPa未満である場合に比べて、光電変換素子100に加えられる外力によりガラス基板11が破壊されても、第1樹脂フィルム60の破断がより十分に抑制される。
第1樹脂フィルム60の引張破断強度は40MPa以上であることが好ましく、50MPa以上であることがより好ましい。
第1樹脂フィルム60を構成する樹脂は、第1電極基板10に対して0.5〜10N/5mmの90°ピール強度を有し、20×10−6/℃以下のΔαを有し且つ30MPa以上の引張破断強度を有していれば特に制限されるものではない。
第1樹脂フィルム60を構成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。
第1樹脂フィルム60と第1電極基板10とを接着する第1接着剤は特に制限されるものではないが、例えばアクリル系接着剤及びエポキシ系接着剤などが挙げられる。なお、第1樹脂フィルム60と第1電極基板10とを接着する場合に第1接着剤は必ずしも必要ではなく、省略が可能である。
<第2樹脂フィルム>
第2電極基板20の線膨張係数β1と第2樹脂フィルム70の線膨張係数β2との第2線膨張係数差Δβ(=β2−β1)は20×10−6/℃以下である。この場合、Δβが20×10−6/℃を超える場合に比べて、温度変化の大きい環境下で第2樹脂フィルム70が第2電極基板20から剥離することがより十分に抑制される。
Δβは好ましくは18×10−6/℃以下であり、より好ましくは15×10−6/℃以下である。但し、Δβは好ましくは−18×10−6/℃以上であり、より好ましくは−15×10−6/℃以上である。
絶縁層55の線膨張係数γ1と第2樹脂フィルム70の線膨張係数β2との第3線膨張係数差Δγ(=β2−γ1)は20×10−6/℃であるが、好ましくは18×10−6/℃以下であり、より好ましくは15×10−6/℃以下である。但し、Δγは好ましくは−18×10−6/℃以上であり、より好ましくは−15×10−6/℃以上である。
第2電極基板20に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は0.5〜10N/5mmである。この場合、第2電極基板20に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度が0.5N/5mm未満である場合に比べて、温度変化の大きい環境下で第2樹脂フィルム70が第2電極基板20から剥離することがより十分に抑制される。また、第2電極基板20に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度が10N/5mmを超える場合に比べて、温度変化の大きい環境下で、第2樹脂フィルム70の伸縮に伴う第2電極基板20の伸縮がより十分に抑制され、第1電極基板10と第2電極基板20との間の極間距離が大きくなることが十分に抑制される。その結果、光電変換素子100の発電性能の低下が十分に抑制される。
第2電極基板20に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は0.6N/5mm以上であることが好ましく、0.8N/5mm以上であることがより好ましい。但し、第2電極基板20に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は8N/5mm以下であることが好ましく、5N/5mm以下であることがより好ましい。
絶縁層55に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は0.5〜10N/5mmであることが好ましい。この場合、絶縁層55に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度が0.5N/5mm未満である場合に比べて、温度変化の大きい環境下で第2樹脂フィルム70が絶縁層55から剥離することがより十分に抑制される。
絶縁層55に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は0.6N/5mm以上であることがより好ましく、0.8N/5mm以上であることが特に好ましい。但し、絶縁層55に対する第2樹脂フィルム70の90°ピール強度は8N/5mm以下であることが好ましく、5N/5mm以下であることがより好ましい。
第2樹脂フィルム70の引張破断強度は30MPa以上である。この場合、第2樹脂フィルム70の引張破断強度が30MPa未満である場合に比べて、光電変換素子100に加えられる外力によりガラス基板11が破壊されても、第2樹脂フィルム70の破断がより十分に抑制される。
第2樹脂フィルム70の引張破断強度は40MPa以上であることが好ましく、50MPa以上であることがより好ましい。
第2樹脂フィルム70を構成する樹脂は、第2電極基板20に対して0.5〜10N/5mmの90°ピール強度を有し、20×10−6/℃以下のΔβを有し且つ30MPa以上の引張破断強度を有していれば特に制限されるものではない。
第2樹脂フィルム70を構成する樹脂としては、例えばポリイミド、ポリエチレン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)及び低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン、ポリメチルメタアクリレート共重合体(PMMA)、ポリエチルエチルアクリレート共重合体などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
第2樹脂フィルム70と第2電極基板20とを接着する第2接着剤は特に制限されるものではないが、例えばアクリル系接着剤及びエポキシ系接着剤などが挙げられる。なお、第2樹脂フィルム70と第1電極基板10及び第2電極基板20とを接着する場合に第2接着剤は必ずしも必要ではなく、省略が可能である。
次に、光電変換素子100の製造方法について説明する。
まず1つのガラス基板11の一面上に電極膜が形成された積層体を用意する。
次に、図2に示すように、電極膜に対して溝90を形成し、導電層12を形成する。このとき、導電層12は、電極12A、第1電流取出し部12D、第2電流取出し部12B及び分離部12Cを有するように形成する。
次に、導電層12の第1電流取出し部12D上に第1外部接続端子80の前駆体を形成する。また、導電層12の第2電流取出し部12B上には、第2外部接続端子の前駆体を形成する。第1外部接続端子80及び第2外部接続端子の前駆体は、例えば銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成することができる。
次に、導電層12の電極12Aのうち、酸化物半導体層50が形成される予定の領域(以下、「半導体層形成予定領域」と呼ぶ)を包囲するように且つ電極12Aと分離部12Cとの間の溝90及び電極12Aと第2電流取出し部12Bとの間の溝90を覆うように絶縁層55の前駆体を形成する。絶縁層55の前駆体は、例えば絶縁材料を含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成することができる。
次に、第1外部接続端子80及び第2外部接続端子の前駆体、並びに絶縁層55の前駆体を一括して焼成し、第1外部接続端子80及び第2外部接続端子、並びに絶縁層55を形成する。
このとき、焼成温度は絶縁材料の種類などにより異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、絶縁材料の種類により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして第1外部接続端子80及び第2外部接続端子、絶縁層55、並びに、第1電極基板10が得られる。
次に、電極12Aのうち半導体層形成予定領域上に酸化物半導体層50の前駆体を形成する。
酸化物半導体層50の前駆体は、酸化物半導体層50を形成するための酸化物半導体層用ペーストを印刷した後、乾燥することによって得られる。酸化物半導体層用ペーストは、酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコール、エチルセルロースなどの樹脂及び、テルピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又はバーコート法などを用いることができる。
次に、酸化物半導体層50の前駆体を焼成し、酸化物半導体層50を形成する。
このとき、焼成温度は酸化物半導体粒子の種類などにより異なるが、通常は350〜600℃であり、焼成時間も、酸化物半導体粒子の種類により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして、第1電極基板10に第1外部接続端子80及び第2外部接続端子、絶縁層55、並びに、酸化物半導体層50が形成された構造体が得られる。
次に、封止部30を形成するための封止部形成体を準備する。封止部形成体は、例えば封止部30を構成する材料からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに開口を形成することによって得ることができる。
そして、この封止部形成体を構造体の上に接着させる。このとき、封止部形成体は、絶縁層55と重なるように且つ酸化物半導体層50が内側に配置されるように構造体に接着させる。封止部形成体の構造体への接着は、例えば封止部形成体を加熱溶融させることによって行うことができる。
次に、構造体の酸化物半導体層50に色素を担持させる。このためには、例えば構造体を、色素を含有する色素溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層50に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させればよい。
次に、酸化物半導体層50の上に電解質40を配置する。
一方、第2電極基板20を用意する。第2電極基板20は、例えば金属基板21上に導電性の触媒層22を形成することにより得ることができる。
次に、上述した封止部形成体をもう1つ用意する。そして、第2電極基板20を、封止部形成体の開口を塞ぐように貼り合わせる。
次に、第2電極基板20に接着した封止部形成体と、電解質40が配置された構造体に接着した封止部形成体とを重ね合わせ、封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させる。こうして構造体の絶縁層55と第2電極基板20との間に封止部30が形成される。封止部30の形成は、大気圧下で行っても減圧下で行ってもよいが、減圧下で行うことが好ましい。
そして、第2外部接続端子と第2電極基板20の金属基板21とを導電部材(図示せず)によって接続する。
こうして光電変換セル110が得られる。
次に、第1電極基板10の光入射面11aに第1樹脂フィルム60を、第1接着剤を介して接着させる。一方、第2電極基板20の裏面11bには第2樹脂フィルム70を、第2接着剤を介して接着させる。
以上のようにして光電変換素子100が得られる(図1参照)。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、絶縁層55の線膨張係数γ1と第2樹脂フィルム70の線膨張係数β2との第3線膨張係数差Δγ(=β2−γ1)が20×10−6/℃以下となっているが、第3線膨張係数差Δγは必ずしも20×10−6/℃以下でなくてもよく、20×10−6/℃より大きくてもよい。
また上記実施形態では、光電変換セル110が絶縁層55を有しているが、光電変換セル110は必ずしも絶縁層55を有していなくてもよい。この場合、第1電極基板10のうち第2電極基板20側の面が裏面11bの残部を構成することとなる。
さらに上記実施形態では、光電変換素子100を第2電極基板20側から平面視した場合に第1電極基板10が第2電極基板20から外方に突出しているが、第1電極基板10は第2電極基板20から外方に突出していなくてもよい。この場合、第2電極基板20が裏面11bの全部を有することとなる。
さらに、上記実施形態では、光電変換素子100が1つの光電変換セル110のみを有しているが、光電変換素子100は、複数の光電変換セル110を有していてもよい。この場合、複数の光電変換セル110は直列に接続されてもよいし、並列に接続されてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜12及び比較例1〜14)
まず無アルカリガラスからなり、56mm×112mmの寸法を有する厚さ2.2mmのガラス基板11の上に、厚さ0.7μmのFTOからなる透明導電膜を形成してなる積層体(製品名「TEC7」、ピルキントン社製、線膨張係数α1=8.9×10−6/℃)を準備した。次に、図2に示すように、ファイバレーザによって透明導電膜に溝90を形成し、導電層12を形成した。このとき、導電層12は、電極12A、第1電流取出し部12D、分離部12C及び第2電流取出し部12Bを有するように形成した。このとき、溝90の幅は0.1mmとした。また電極12Aは、54.4mm×104.5mmの四角形状となるように形成し、第1電流取出し部12Dは、電極12Aの一辺から延出し、四角形状となるように形成した。第1電流取出し部12Dの延出方向の長さは4.3mmとし、第1電流取出し部12Dの幅は27.2mmとした。
また、第2電流取出し部12Bは、27.2mm×4.3mmの寸法となるように形成した。
次に、第1電流取出し部12D上に第1外部接続端子80の前駆体を矩形状に形成した。このとき、第1外部接続端子80の前駆体は、8mm×1.8mmの寸法となるように形成した。
また、第2電流取出し部12B上には、第2外部接続端子の前駆体を矩形状に形成した。このとき、第2外部接続端子の前駆体は、8mm×1.8mmの寸法となるように形成した。
このとき、第1外部接続端子80の前駆体及び第2外部接続端子の前駆体は、銀ペーストを塗布し乾燥させることで形成した。
次に、導電層12のうち、半導体層形成予定領域(47.2mm×102.1mmの領域)、第1外部接続端子80の前駆体及び第2外部接続端子の前駆体以外の領域を覆い隠すように絶縁層55の前駆体を形成した。このとき、絶縁層55の前駆体は、溝90に入り込むように形成した。絶縁層55の前駆体は、ガラスフリット(商品名「PLFOC−837B」、奥野製薬工業株式会社製)を含むペーストを塗布し乾燥させることによって形成した。
次に、第1外部接続端子80の前駆体、第2外部接続端子の前駆体及び絶縁層55の前駆体を一括して焼成し、第1外部接続端子80、第2外部接続端子および絶縁層55を形成した。このとき、焼成温度は500℃とし、焼成時間は1時間とした。
こうして、第1外部接続端子80、第2外部接続端子及び絶縁層55が形成された第1電極基板10を得た。このとき、絶縁層55の線膨張係数γ1は9.2×10−6/℃であった。
さらに、電極12Aのうち半導体層形成予定領域上に酸化物半導体層50の前駆体を形成した。このとき、酸化物半導体層50の前駆体は、酸化チタンを含むペーストを、スクリーン印刷により絶縁層55の内側に充填されるように塗布し、150℃で10分間乾燥させることにより得た。
次に、酸化物半導体層50の前駆体を焼成し、酸化物半導体層50を形成した。このとき、焼成温度は500℃とし、焼成時間は1時間とした。こうして構造体を得た。
次に、封止部30を形成するための封止部形成体を準備した。封止部形成体は、51.2mm×106.1mm×35μmの無水マレイン酸変性ポリエチレン(商品名「バイネル」、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、47.2mm×102.1mmの1つの四角形状の開口を形成することによって得た。
そして、この封止部形成体を構造体上に重ね合わせた後、封止部形成体を加熱溶融させることによって構造体上の絶縁層55に接着させた。このとき、封止部形成体は、絶縁層55と重なるように且つ酸化物半導体層50を包囲するように構造体に接着させた。
次に、上記のようにして得られた構造体を、Z907からなる光増感色素を0.2mM含み、溶媒を、アセトニトリルとtertブタノールとを1:1の体積比で混合してなる混合溶媒とした色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層50に光増感色素を担持させた。
次に、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドおよび3−メトキシプロピオニトリルの混合物に、I、メチルベンゾイミダゾール、ブチルベンゾイミダゾール、グアニジウムチオシアネート及びt−ブチルピリジンを加えて得られる電解質40を用意した。そして、酸化物半導体層50の上に、上記電解質40を滴下して塗布し、電解質40を配置した。
次に、1枚の第2電極基板20を用意した。第2電極基板20は、51.2mm×106.1mm×40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。このときの第2電極基板20の線膨張係数β1は8.5×10−6/℃であった。また、上記封止部形成体をもう1つ準備した。そして、第2電極基板20を、封止部形成体の開口を塞ぐように貼り合わせた。
そして、第2電極基板20に接着した封止部形成体と、電解質40が配置された構造体に接着した封止部形成体とを減圧下で重ね合わせ、封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させた。こうして構造体と第2電極基板20との間に封止部30を形成した。このとき、封止部30の厚さは40μmであり、封止部30の幅は2mmであった。
次に、第2外部接続端子と第2電極基板20の金属基板21とを以下のようにして導電部材によって接続した。
すなわち、まず銀粒子(平均粒径:3.5μm)、カーボン(平均粒径:500nm)、ポリエステル系樹脂をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる溶媒中に分散させ、第1導電性ペーストを作製した。このとき、銀粒子、カーボン、ポリエステル系樹脂および溶媒は、70:1:10:19の質量比で混合した。
一方、銀粒子(平均粒径:2μm)及びポリエステル系樹脂を酢酸エチレングリコールモノブチルエーテルからなる溶媒中に分散させ、第2導電性ペーストを作製した。このとき、銀粒子、ポリエステル系樹脂および溶媒は、65:10:25の質量比で混合した。
そして、金属基板21の上に上記第1導電性ペーストを塗布して本体部の前駆体の一部を形成した。その後、上記第2導電性ペーストを、本体部の前駆体の一部の上に塗布するとともに、第2電流取出し部12B上の第2外部接続端子と本体部の前駆体の一部とを接続するように塗布した。こうして導電部材の前駆体を形成した。そして、この導電部材の前駆体を85℃で12時間加熱して硬化させることによって導電部材を形成した。
次に、第1樹脂フィルム60を用意した。このとき、第1樹脂フィルム60の線膨張係数α2、α2−α1、第1電極基板10に対する90°ピール強度(対第1電極基板90°ピール強度)、引張破断強度及び材質は表1に示す通りとした。そして、この第1樹脂フィルム60を、表1に示す第1接着剤を用いて第1電極基板10の光入射面11a全体に接着させた。
一方、第2樹脂フィルム70を用意した。このとき、第2樹脂フィルム70の線膨張係数β2、β2−γ1、β2−β1、絶縁層55に対する90°ピール強度(対絶縁層90°ピール強度)、第2電極基板20に対する90°ピール強度(対第2電極基板90°ピール強度)、引張破断強度及び材質は表1に示す通りとした。そして、この第2樹脂フィルム70を、表1に示す第2接着剤を用いて、光電変換セル110の第2電極基板20の裏面11bのみならず、第1電極基板10の絶縁層55の裏面11bにも接着させた。
以上のようにして光電変換素子100を得た。
[特性評価]
上記のようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜14の光電変換素子について、以下のようにして樹脂フィルムの密着性、ガラス基板の飛散抑制効果及び発電性能を評価した。
<樹脂フィルムの密着性>
(ヒートサイクル試験時の第1樹脂フィルム及び第2樹脂フィルムの剥離の有無)
上記のようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜14の光電変換素子について、JIS C 8938に準じたヒートサイクル(HC)試験を行い、第1電極基板10に対する第1樹脂フィルム60の剥離の有無、及び、第2電極基板20に対する第2樹脂フィルム70の剥離の有無を調べた。結果を表2に示す。
<ガラス基板の飛散抑制効果>
(1)HC試験後、光入射面側から外力を加えてガラス基板を破壊させた場合におけるガラス基板の裏面側飛散の有無
上記のようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜14の光電変換素子について、上記の同様のHC試験を行った後、水平面上で互いに平行に且つ9cm離間させて立てた衝立板(寸法:10cm×2cm×2cm)の上に光入射面11aを上側に向けた状態で載せ、光入射面11aの中央部をハンマーで叩き、ガラス基板11を破壊させた。そして、そのときのガラス基板11の破片の裏面側への飛散の有無を調べた。結果を表2に示す。
(2)HC試験後、裏面側から外力を加えてガラス基板を破壊させた場合におけるガラス基板の光入射面側飛散の有無
上記のようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜14の光電変換素子について、上記の同様のHC試験を行った後、水平面上で互いに平行に且つ9cm離間させて立てた衝立板(寸法:10cm×2cm×2cm)の上に裏面11bを上側に向けた状態で載せ、裏面11bの中央部をハンマーで叩き、ガラス基板11を破壊させた。そして、そのときのガラス基板11の破片の光入射面側への飛散の有無を調べた。結果を表2に示す。
(3)HC試験を行わず、光入射面側から外力を加えてガラス基板を破壊させた場合におけるガラス基板の裏面側飛散の有無
上記のようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜14の光電変換素子を、HC試験を行わずに水平面上で互いに平行に且つ9cm離間させて立てた上記衝立板の上に光入射面11aを上側に向けた状態で載せ、光入射面11aの中央部をハンマーで叩き、ガラス基板11を破壊させた。そして、そのときのガラス基板11の破片の裏面側への飛散の有無を調べた。結果を表2に示す。
(4)HC試験を行わず、裏面側から外力を加えてガラス基板を破壊させた場合における ガラス基板の光入射面側飛散の有無
上記のようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜14の光電変換素子を、HC試験を行わずに水平面上で互いに平行に且つ9cm離間させて立てた上記衝立板の上に裏面11bを上側に向けた状態で載せ、裏面11bの中央部をハンマーで叩き、ガラス基板11を破壊させた。そして、そのときのガラス基板11の破片の光入射面側への飛散の有無を調べた。結果を表2に示す。
(5)合格基準
以下の(A)〜(D)の全ての条件を満たすことを、ガラス基板の飛散抑制効果の合格基準とした。
(A)HC試験後、光入射面11a側から外力を加えてガラス基板を破壊させた場合におけるガラス基板11の裏面側飛散がないこと
(B)HC試験後、裏面11b側から外力を加えてガラス基板11を破壊させた場合におけるガラス基板11の光入射面側飛散がないこと
(C)HC試験を行わずに、光入射面11a側から外力を加えてガラス基板を破壊させた場合におけるガラス基板11の裏面側飛散がないこと
(D)HC試験を行わずに、裏面11b側から外力を加えてガラス基板11を破壊させた場合におけるガラス基板11の光入射面側飛散がないこと
<発電性能の低下抑制効果>
上記のようにして得られた実施例1〜12及び比較例1〜14の光電変換素子について、白色LEDから200ルクスの光を照射して発電性能(最大出力)W1を測定した。その後、JIS C 8938に準じたHC試験を行い、上記と同様にして光電変換素子について再度発電性能(最大出力)W2を測定した。このとき、HC試験は、樹脂フィルムの密着性を評価したときと同様、JIS C 8938に準じて行った。なお、発電性能の測定は、測定器の2端子を、光電変換素子の第1外部接続端子80及び第2外部接続端子に接続して行った。そして、HC試験前後の最大出力の結果(W1及びW2)を用い、下記式に基づいて最大出力残率を算出した。結果を表2に示す。

最大出力残率(%)=100×W2/W1

なお、発電性能低下抑制効果の合格基準は以下の通りとした。
(合格基準) HC試験後の最大出力残率が80%以上であること。

Figure 2019145663
Figure 2019145663
表1及び表2に示す結果より、実施例1〜12の光電変換素子は、ガラス基板の飛散抑制効果及び発電性能の低下抑制効果の点で合格基準に達していることが分かった。これに対し、比較例1〜14の光電変換素子は、ガラス基板の飛散抑制効果及び発電性能の低下抑制効果のいずれかの点で合格基準に達していないことが分かった。
以上の結果より、本発明の光電変換素子によれば、温度変化の大きい環境下で、発電性能の低下を抑制しつつ、外力によりガラス基板が破壊されてもガラス基板の周囲への飛散を十分に抑制することができることが確認された。
10…第1電極基板
11…ガラス基板
11a…光入射面
11b…裏面
20…第2電極基板
30…封止部
40…電解質
55…絶縁層
60…第1樹脂フィルム
70…第2樹脂フィルム
110…光電変換セル
100…光電変換素子

Claims (4)

  1. 光入射面、及び、前記光入射面と反対側の裏面を有する光電変換セルと、
    前記光入射面に接着される第1樹脂フィルムと、
    前記裏面に接着される第2樹脂フィルムとを備える光電変換素子であって、
    前記光電変換セルが、
    前記光入射面を有するガラス基板、及び、前記ガラス基板上に設けられる導電層で構成される第1電極基板と、
    前記第1電極基板に対向し、前記裏面の少なくとも一部を有する第2電極基板と、
    前記第1電極基板及び前記第2電極基板を接合する封止部と、
    前記第1電極基板、前記第2電極基板及び前記封止部によって包囲される電解質とを有し、
    前記第1電極基板の線膨張係数と前記第1樹脂フィルムの線膨張係数との第1線膨張係数差が20×10−6/℃以下であり、
    前記第2電極基板の線膨張係数と前記第2樹脂フィルムの線膨張係数との第2線膨張係数差が20×10−6/℃以下であり、
    前記第1電極基板に対する前記第1樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmであり、
    前記第2電極基板に対する前記第2樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmであり、
    前記第1樹脂フィルム及び前記第2樹脂フィルムの引張破断強度が30MPa以上である、光電変換素子。
  2. 前記光電変換セルを前記第2電極基板側から平面視した場合に、前記第2電極基板から外方に突出する絶縁層をさらに有し、
    前記第2電極基板が前記裏面の一部を有し、前記絶縁層が前記裏面の残部を有する、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記第2樹脂フィルムの線膨張係数と前記絶縁層の線膨張係数との第3線膨張係数差が20×10−6/℃以下である、請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記絶縁層に対する前記第2樹脂フィルムの90°ピール強度が0.5〜10N/5mmである、請求項2又は3に記載の光電変換素子。

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