JP2019143181A - 出鋼口スリーブ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の解決しようとする課題は、溶鋼流出側の摩耗を少なくし、溶鋼流入側の溶損を少なくすることによって、全体として損耗を低減し出鋼口スリーブの寿命を向上させることにある。【解決手段】本発明は、溶鋼流出側帯域及び溶鋼流入側帯域から構成される出鋼口スリーブにおいて、溶鋼流出端部から出鋼口スリーブ全長の70%以内にある溶鋼流出側帯域を構成する耐火物の全部または一部としてアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を、溶鋼流出側帯域の残部並びに溶鋼流入側帯域にマグネシア−カーボン質耐火物を配設してなることを特徴とする出鋼口スリーブを提供することにある。【選択図】図1
Description
本発明は、出鋼口スリーブに関し、さらに詳細には、転炉や電気炉に使用される出鋼口スリーブに関する。
出鋼口スリーブには、耐食性及び耐スポーリング性に優れたマグネシア−カーボン耐火物が使用されている。そして、このマグネシア−カーボン耐火物が開発されて以来、出鋼口スリーブの耐用は大幅に向上している。しかし、マグネシア−カーボン耐火物にも種々の欠点があり、その改善が図られている。
例えば、特許文献1には、溶鋼流入側を流入部とし、この流入部より溶鋼流出側を本体部としたときに、流入部の1400℃還元焼成後の圧縮強さが30MPa以上60MPa以下、本体部の1400℃還元焼成後の圧縮強さが15MPa以上30MPa未満である出鋼口スリーブが開示されており、特許文献1の発明によれば、出鋼口スリーブれんがの溶鋼流入側の欠損抑制と易解体性を両立することができるとしている。
また、特許文献2には、全体がマグネシア−カーボン質耐火物よりなり、かつ、内周部にアルミナを含有したことを特徴とする転炉出鋼孔用スリーブ耐火物が開示されており、特許文献2の発明によれば、内周部に配設されたアルミナは使用中の約1100℃の高温下でマグネシアと反応してMgO・Al2O3系スピネルを生成し、その際の反応に伴う体積膨張でスリーブ耐火物の内周部の組織を緻密化して、溶鋼・スラグの浸入を抑制することができるとしている。
さらに、特許文献3には、転炉出鋼部に配設されるスリーブと、該スリーブ周囲に配設されるブロックより構成される転炉出鋼口用耐火物の一部または全体が、(i)主成分がマグネシア及びアルミナであるスピネル原料100質量%;(ii)主成分がマグネシア及びアルミナであるスピネル原料50質量%以上、100質量%未満及びカーボン50質量%以下(ゼロを含まず)よりなる配合物;(iii)主成分がマグネシア及びアルミナであるスピネル原料100質量%未満及びマグネシア原料50質量%以下(ゼロを含まず)よりなる配合物;または(iv)主成分がマグネシア及びアルミナであるスピネル原料100質量%未満、マグネシア原料50質量%未満(ゼロを含まず)及びカーボン原料50質量%未満(ゼロを含まず)よりなる配合物に対し、外掛で結合剤を0.1〜20質量%の範囲で添加、混練、成形、乾燥後、非酸化性雰囲気中で焼成または焼成せずして得られた成形体であって、且つ該成形体の不可避不純物量が15質量%以下であるスピネル含有耐火物成形体で構成されていることを特徴とする転炉出鋼口用耐火物が開示されており、特許文献3の発明によれば、耐酸化性、耐スポーリング性、耐溶損性並びに耐摩耗性を充足して出鋼口スリーブ用耐火物の耐用を向上させるだけでなく、それに付随した出鋼口スリーブの補修の低減及び出鋼口スリーブの交換頻度を減らし、転炉稼働率の向上を実現できるとしている。
実操業において、転炉本体の耐用が数千チャージに達しているのに対して、出鋼口スリーブの耐用はその20分の1から30分の1程度であるのが現状である。これは、出鋼口用耐火物の使用上の特殊事情によるものである。転炉では溶銑中のカーボンを酸素で燃焼させて脱炭し、脱炭が完了した溶鋼を出鋼口から流出させる。脱炭完了時には余剰の酸素が溶鋼中に溶解しており、出鋼口用耐火物は鋼中酸素濃度の高い溶鋼流に曝され、転炉の他の部位とは異なった苛酷な条件下で使用されることになる。即ち、転炉の中にあっても、出鋼口用耐火物は、他の部位の耐火物とは異なった技術的課題をもち、抜本的な解決策を求められている。
ここで、出鋼口スリーブ用耐火物に求められる特性は、耐酸化性、耐スポーリング性、耐溶損性並びに耐摩耗性である。マグネシア−カーボン質耐火物の酸化はカーボン材料に起因するものであり、スポーリングは出鋼開始時の急激な温度上昇と出鋼終了時の急激な温度低下に起因するものであり、溶損はスラグに起因するものであり、摩耗は材料の強度特性に起因するものであると考えられている。もちろん、これら主原因が複合化してスリーブの損傷が助長されることは容易に想像される。上記特許文献1ないし3はこれらを解決することを目的としてなされたものであるが、出鋼口スリーブの大幅な耐用性向上が得られていないことは、マグネシア−カーボン質耐火物を使用している限り、抜本的解決に至らないことを示唆するものである。
上記特許文献1の出鋼口スリーブは、解体性を重視し、スリーブの溶鋼流出側を意図的に低強度とするものであるが、この場合、溶鋼流出側の損耗が大きくなる。また、出鋼口スリーブの溶鋼流入部と溶鋼流出部は、ともにマグネシア−カーボン質耐火物から構成されており、強度(1400℃還元焼成後の圧縮強さ)のコントロールは、使用されるマグネシア原料の粒度や、炭素質材料の含有量を調整することによってのみ行われている。
また、特許文献2の転炉出鋼孔スリーブ耐火物は、亀裂の発生を抑制する目的で内周部にアルミナを含むマグネシア−カーボン質耐火物を配設している。しかし、マグネシア−カーボン質耐火物にアルミナを含有させると溶損が増大するという問題点がある。
さらに、特許文献3の転炉出鋼口用耐火物は、マグネシア−カーボン質耐火物に代わりスピネル質耐火物;スピネル−カーボン質耐火物;スピネル−マグネシア質耐火物;またはスピネル−マグネシア−カーボン質耐火物を使用するものであるが、特に、マグネシア−カーボン質耐火物にスピネルを含有させたスピネル−マグネシア−カーボン質耐火物では、溶損が増大するという問題点がある。
したがって、本発明の解決しようとする課題は、溶鋼流出側の摩耗を少なくし、溶鋼流入側の溶損を少なくすることによって、全体として損耗を低減し出鋼口スリーブの寿命を向上させることにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、出鋼口スリーブの耐用が低い原因を鋭意追及した結果、マグネシア−カーボン質耐火物は、耐スポーリング性、耐スラグ性に優れるものの、カーボンの酸化が進むと耐摩耗性、強度が低下するので溶鋼流出側には適さないとの知見を得た。そこで、溶鋼流出側には酸化後の強度が大きく、耐摩耗性が大きい材質を適用する必要があると考えた。酸化後の強度が大きく、耐摩耗性が大きい材質を調べたところ、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を使用できることが判明し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、溶鋼流出側帯域及び溶鋼流入側帯域から構成される出鋼口スリーブにおいて、溶鋼流出端部から出鋼口スリーブ全長の70%以内にある溶鋼流出側帯域を構成する耐火物の全部または一部としてアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を、溶鋼流出側帯域の残部並びに溶鋼流入側帯域にマグネシア−カーボン質耐火物を配設してなることを特徴とする出鋼口スリーブである。
また、本発明の出鋼口スリーブは、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物がアルミナ原料40〜70質量%、マグネシア原料5〜30質量%、スピネル原料5〜20質量%及びカーボン原料5〜25質量%を含有してなることを特徴とする。
さらに、本発明の出鋼口スリーブは、マグネシア−カーボン質耐火物がマグネシア原料を80〜95質量%及びカーボン原料5〜20質量%を含有してなることを特徴とする。
本発明によれば、溶鋼流入側帯域に、耐スポーリング性、耐スラグ性に優れるマグネシア−カーボン質耐火物を、溶鋼流出側帯域に、酸化後の強度が大きく、耐摩耗性に優れるアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を配設したので、溶鋼流入側帯域の高耐食性と、溶鋼流出側帯域の耐摩耗性が向上し、高耐用な出鋼口スリーブが得られるという効果を奏するものである。
本発明出鋼口スリーブの特徴は、溶鋼流出側帯域の全部または一部に、酸化後の強度が大きく、耐摩耗性に優れるアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を、溶鋼流出側帯域の残部並びに溶鋼流入側帯域に耐スポーリング性、耐スラグ性に優れるマグネシア−カーボン質耐火物を、それぞれ配設したところにある。
ここで、出鋼口スリーブの溶鋼流入側帯域に要求される耐食性と、溶鋼流出側帯域に要求される耐摩耗性とをバランス良く具備して出鋼口スリーブの耐用向上効果をいかんなく発揮させるためには、出鋼口スリーブの全長に対する溶鋼流出側端部から70%以内の溶鋼流出側帯域の全部または一部にアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を、溶鋼流出側帯域の残部並びに溶鋼流入側帯域には、マグネシア−カーボン質耐火物をそれぞれ配設する。溶鋼流出側端部からの溶鋼流出側帯域の長さが、出鋼口スリーブ全長に対して70%を超えると、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物が、耐食性を要求される溶鋼流入端部に近い帯域にまで配設されてしまい、溶鋼流入側帯域の耐食性が低下するために好ましくない。なお、耐用向上効果を最大に発揮させるためには、溶鋼流出端部からの溶鋼流出側帯域の長さが、出鋼口スリーブ全長に対して10%を超え、60%以内の範囲とすることがより好ましい。
本発明の出鋼口スリーブの配材パターンを、図を用いて説明する。図1は、本発明の出鋼口スリーブの1実施態様を示す模式図であり、出鋼口スリーブの溶鋼流出側端部(a)から地点(X)までに、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)と、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)との境界から溶鋼流入側端部(b)までを構成するマグネシア−カーボン質耐火物(2)が配設された構成となっている。ここで、Xは、出鋼口スリーブの全長に対する溶鋼流出側端部(a)からアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)の長さの割合(%)を示す。
また、図2は、本発明の出鋼口スリーブの他の実施態様を示す模式図であり、出鋼口スリーブの溶鋼流出側端部(a)から出鋼口スリーブの全長の10%の点(Y)までに、マグネシア−カーボン質耐火物(3)が、点(Y)から出鋼口スリーブの全長の50%までの長さの点(X’)までに、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)が、点(X’)から溶鋼流入側端部(b)までに、マグネシア−カーボン質耐火物(2)がそれぞれ配設された構成となっている。なお、図2においては、溶鋼流出側端部(a)から点(Y)までの長さを出鋼口スリーブの全長の10%とし、地点(Y−X’)の長さを出鋼口スリーブの全長の50%として示したが、溶鋼流出側端部(a)から点(X’)までの長さの合計が、出鋼口スリーブの全長の70%以内の範囲にあれば、溶鋼流出側端部(a)から点(Y)までの長さ並びに点(Y−X’)の長さは任意に設定することができる。
また、図2は、本発明の出鋼口スリーブの他の実施態様を示す模式図であり、出鋼口スリーブの溶鋼流出側端部(a)から出鋼口スリーブの全長の10%の点(Y)までに、マグネシア−カーボン質耐火物(3)が、点(Y)から出鋼口スリーブの全長の50%までの長さの点(X’)までに、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)が、点(X’)から溶鋼流入側端部(b)までに、マグネシア−カーボン質耐火物(2)がそれぞれ配設された構成となっている。なお、図2においては、溶鋼流出側端部(a)から点(Y)までの長さを出鋼口スリーブの全長の10%とし、地点(Y−X’)の長さを出鋼口スリーブの全長の50%として示したが、溶鋼流出側端部(a)から点(X’)までの長さの合計が、出鋼口スリーブの全長の70%以内の範囲にあれば、溶鋼流出側端部(a)から点(Y)までの長さ並びに点(Y−X’)の長さは任意に設定することができる。
なお、溶鋼流出側帯域におけるアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物の配設パターンは、特に限定されるものではなく、溶鋼流出側帯域の全部または一部に配設することができる。溶鋼流出側帯域の内周部の全部または一部にアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を配設することにより、内周部と外周部を構成する耐火物境界に亀裂が入っても外周部を構成するマグネシア−カーボン質耐火物がバックアップとなって地金差し範囲は限られ、安定して使用することができる。例えば、図3に示すように、溶鋼流出側帯域の内周部の点(Z)から点(X’’)にわたる部位に、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)を、溶鋼流出側帯域の残部並びに溶鋼流入側帯域に、マグネシア−カーボン質耐火物(2)をそれぞれ配設することができる。なお、図3においては、溶鋼流出側端部(a)から点(Z)までの長さを出鋼口スリーブの全長の10%とし、点(Z−X’’)の長さを出鋼口スリーブの全長の40%として示したが、溶鋼流出側端部(a)から点(X’’)までの長さの合計が、出鋼口スリーブの全長の70%以内の範囲にあれば、溶鋼流出側端部(a)から点(Z)までの長さ並びに点(Z−X’’)の長さは任意に設定することができる。
溶鋼流出側帯域の全部または一部に配設されるアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物は、アルミナ原料40〜70質量%、好ましくは45〜65質量%、マグネシア原料5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、スピネル原料5〜20質量%、好ましくは7〜16質量%、カーボン原料5〜25質量%、好ましくは7〜20質量%を含有してなる。ここで、アルミナ原料が40質量%未満では、耐摩耗性が低下し、70質量%を超えると、耐スポーリング性が低下することがあるために好ましくない。また、マグネシア原料が5質量%未満では、酸化後の強度が低下し、30質量%を超えると、耐摩耗性が低下することがあるために好ましくない。さらに、スピネル原料が5質量%未満では、耐摩耗性が低下し、20質量%を超えると、酸化後の強度が低下することがあるために好ましくない。また、カーボン原料が5質量%未満では、耐熱スポーリング性が低下し、25質量%を超えると、耐摩耗性が低下することがあるために好ましくない。なお、カーボン原料の酸化防止を目的に、Al、Si、MnおよびMgからなる群から選択される1種または2種以上の金属またはこれらの合金のような金属添加物を4質量%以下、好ましくは2量%以下の量で含有していてもよい。金属添加物の含有量が4質量%を超えると、耐スポーリング性が低下することがあるために好ましくない。
溶鋼流出側帯域の残部並びに溶鋼流入側帯域に使用するマグネシア−カーボン質耐火物は、マグネシア原料80〜95質量%、好ましくは85〜94質量%、カーボン原料5〜20質量%、好ましくは6〜15質量%を含有してなる。ここで、マグネシア原料が80質量%未満では、耐食性が低下し、95質量%を超えると、耐熱スポーリング性が低下することがあるために好ましくない。また、カーボン原料が5質量%未満では、耐熱スポーリング性が低下し、20質量%を超えると耐食性が低下するために好ましくない。
前記アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物並びにマグネシア−カーボン質耐火物に使用されるマグネシア原料は、特に限定されるものではなく、例えば、MgO含有量90質量%以上、好ましくは97質量%以上の焼結マグネシア、電融マグネシア等を挙げることができる。また、使用されるカーボン原料もまた特に限定されるものではなく、例えば、鱗状黒鉛、カーボンブラック、膨張化処理済み黒鉛等を挙げることができる。さらに、前記アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物に使用されるアルミナ原料も特に限定されるものではなく、例えば、Al2O3含有量90質量%以上、好ましくは95質量%以上の焼結アルミナ、電融アルミナ等を挙げることができる。また、スピネル原料も特に限定されるものではなく、例えばAl2O3とMgOの合量が90質量%以上、好ましくは97質量%以上の焼結スピネル、電融スピネル等を挙げることができる。
本発明の出鋼口スリーブを製造するに際して、前記アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物並びにマグネシア−カーボン質耐火物には、公知、慣用の結合材を使用することができ、例えば、フラン樹脂やフェノール樹脂、デキストリン、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、タール、ピッチ、糖蜜、珪酸ソーダ、珪酸カリウム、苦汁、硫酸マグネシウムからなる群から選択される1種または2種以上が使用できる。ここで、結合材の配合量は、前記アルミナ原料、マグネシア原料、スピネル原料、カーボン原料、金属添加物からなる配合物100質量%に対して、外掛けで1〜5質量%、好ましくは1.5〜4.5質量%の範囲内である。ここで、結合材の配合量が1質量%未満であると、成形体を維持できないために好ましくない。また、結合材の配合量が5質量%を超えると、成形体の焼成時にラミネーションを起こし製品歩留まりが悪化することがあるために好ましくない。
本発明の出鋼口スリーブを製造するに際して、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物並びにマグネシア−カーボン質耐火物の調製には、公知の混練方法を採用することができる。例えば、容器固定型としては、ローラー式のSWPやシンプソンミキサー、ブレード式のハイスピードミキサー、加圧式ハイスピードミキサーやヘンシェルミキサー、あるいは加圧ニーダーと呼ばれる混練機や、容器駆動型でローラー式のMKPやウェットパン、コナーミキサー、ブレード式のアイリッヒミキサー、ボルテックスミキサーなどの混練機が例示できる。
本発明の出鋼口スリーブを製造するに際して、成形方法も公知、慣用の方法を採用することができ、衝撃圧プレスであるフリクションプレス、スクリュープレスあるいはハイドロスクリュープレスなど、静圧プレスである油圧プレスやトッグルプレスなどのほか、振動プレス、冷間静水圧加圧(CIP)などが例示できる。成形圧力や締め回数は、成形されるスリーブの大きさ、原料の種類、配合量、結合材の種類、温度(室温、原料、結合材等)、成形機の種類や大きさによって異なるが、成形圧力は通常20〜300MPaであり、締め回数は一回から数十回である。
成形後に熱処理することで強度を発現する。加熱に必要な炉は温度が十分に調整可能で均質加熱できる加熱炉であればどのような形状のものでも使用できる。電気加熱式、ガス加熱式、オイル加熱式などの、バッチ式単独窯、例えばシャトルキルンやカーベルキルンや、連続式のトンネル窯などが最適である。
なお、出鋼口スリーブには、一体方式と分割方式とがある。一体方式とはスリーブとブロックとを一体成形によって製造した場合であり、分割方式とはスリーブとブロックとを別々に製造し、実機施工時にモルタルを用いて両者を接合するものであり、本発明はどちらにも適用が可能である。
以下、本発明の出銑口スリーブをさらに説明する。
出銑口スリーブを構成するアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物およびマグネシア−カーボン質耐火物の耐スポーリング性、酸化後の強度、耐摩耗性を表1および2に示す。
出銑口スリーブを構成するアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物およびマグネシア−カーボン質耐火物の耐スポーリング性、酸化後の強度、耐摩耗性を表1および2に示す。
表中、
「耐スポーリング性」は、溶銑浸漬スポーリング試験前後の超音波伝搬速度変化率で評価したものである。試験は、1700℃に昇温した溶銑に試料を1分間浸漬後、15秒水冷し、試験前後の超音波伝搬速度変化率[(試験前の伝播速度−試験後の伝播速度)/試験前の伝播速度]を求めた。超音波伝搬速度変化率が70未満を「◎」、70以上80未満を「○」、80以上90未満を「△」、90以上を「×」と表記した。なお、試料は、表中の原料配合に従って調製した配合物に、外掛けで3質量%のフェノール樹脂を結合材として配合し、170×170×400mmの形状に成形圧力176MPaで成形した後、230℃で、24時間乾燥し、得られた成形体を40×40×230mmの形状に加工し、予め、コークスブリーズ中1000℃で3時間熱処理することにより得た;
「耐スポーリング性」は、溶銑浸漬スポーリング試験前後の超音波伝搬速度変化率で評価したものである。試験は、1700℃に昇温した溶銑に試料を1分間浸漬後、15秒水冷し、試験前後の超音波伝搬速度変化率[(試験前の伝播速度−試験後の伝播速度)/試験前の伝播速度]を求めた。超音波伝搬速度変化率が70未満を「◎」、70以上80未満を「○」、80以上90未満を「△」、90以上を「×」と表記した。なお、試料は、表中の原料配合に従って調製した配合物に、外掛けで3質量%のフェノール樹脂を結合材として配合し、170×170×400mmの形状に成形圧力176MPaで成形した後、230℃で、24時間乾燥し、得られた成形体を40×40×230mmの形状に加工し、予め、コークスブリーズ中1000℃で3時間熱処理することにより得た;
「酸化後の強度」は、上記と同様にして得られた試料を酸化雰囲気下、1500℃で24時間熱処理した後の圧縮強さで評価したものである。試験方法は、JIS R 2206−1に準じた。圧縮強さが35MPa以上55MPa未満は「◎」、15MPa以上35MPa未満を「○」、5MPa以上15MPa未満を「△」、5MPa未満を「×」と表記した;
「耐摩耗性」は、上記と同様にして得られた試料を用いてJIS R 2252−1に準じて評価を行ったものである。試料の摩耗体積は、マグネシア−カーボン質耐火物(J)を100とした指数で評価したものであり、指数が50以上70未満を「◎」、70以上90未満を「○」、90以上100未満を「△」、100以上を「×」と表記した。
アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(A)〜(I)は、いずれも耐スポーリング性、酸化後の強度、耐摩耗性に優れていることがわかる。一方、マグネシア−カーボン質耐火物(J)は、耐スポーリング性は非常に優れていたが、酸化後の強度が弱く耐摩耗性が劣っていることがわかる。
実施例1
図1に示す配材パターンに従って溶鋼流出側帯域であるアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)に、表1のアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(B)を、溶鋼流入側帯域であるマグネシア−カーボン質耐火物(2)に、表1のマグネシア−カーボン質耐火物(J)を配設することにより出鋼口スリーブを作成した。なお、図1および表3中、点(X)は、出鋼口スリーブ全長に対する溶鋼流出側帯域の溶鋼流出側端部(a)からの長さの割合(%)を示す。なお、比較のため、出鋼口スリーブの溶鋼流出側端部(a)から溶鋼流入側端部(b)までの全ての帯域をマグネシア−カーボン質耐火物(J)とした出鋼口スリーブをブランクとして示す。なお、出鋼口スリーブの全長は1500mm、外径は330mm、内径は220mmであった。
得られた出鋼口スリーブにつき、溶鋼流出側の内径を測定し、内径が280mmを超えた時点で使用を終了する方法により耐用をチージ数(ch)として測定した。得られた結果を表3に併記する。
図1に示す配材パターンに従って溶鋼流出側帯域であるアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)に、表1のアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(B)を、溶鋼流入側帯域であるマグネシア−カーボン質耐火物(2)に、表1のマグネシア−カーボン質耐火物(J)を配設することにより出鋼口スリーブを作成した。なお、図1および表3中、点(X)は、出鋼口スリーブ全長に対する溶鋼流出側帯域の溶鋼流出側端部(a)からの長さの割合(%)を示す。なお、比較のため、出鋼口スリーブの溶鋼流出側端部(a)から溶鋼流入側端部(b)までの全ての帯域をマグネシア−カーボン質耐火物(J)とした出鋼口スリーブをブランクとして示す。なお、出鋼口スリーブの全長は1500mm、外径は330mm、内径は220mmであった。
得られた出鋼口スリーブにつき、溶鋼流出側の内径を測定し、内径が280mmを超えた時点で使用を終了する方法により耐用をチージ数(ch)として測定した。得られた結果を表3に併記する。
本発明の出鋼口スリーブであるNo.2〜4は、マグネシア−カーボン質耐火物を出鋼口スリーブ全体に適用したブランクに比べて大幅に耐用が向上していた。また、Xが80%である比較品であるNo.1は耐用が低下していた。
実施例2
図2に示す配材パターンによりアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)に、表1のアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(B)を、マグネシア−カーボン質耐火物(2)および(3)に、表1のマグネシア−カーボン質耐火物(J)を配設することにより出鋼口スリーブを作成した。なお、出鋼口スリーブの全長は1500mm、外径は330mm、内径は220mmであった。
得られた出鋼口スリーブにつき、実施例1と同様の方法にて耐用を測定したところ、192(ch)であった。
図2に示す配材パターンによりアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)に、表1のアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(B)を、マグネシア−カーボン質耐火物(2)および(3)に、表1のマグネシア−カーボン質耐火物(J)を配設することにより出鋼口スリーブを作成した。なお、出鋼口スリーブの全長は1500mm、外径は330mm、内径は220mmであった。
得られた出鋼口スリーブにつき、実施例1と同様の方法にて耐用を測定したところ、192(ch)であった。
実施例3
図3に示す配材パターンによりアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)に、表1のアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(B)を、マグネシア−カーボン質耐火物(2)および(3)に、表1のマグネシア−カーボン質耐火物(J)を配設することにより出鋼口スリーブを作成した。なお、出鋼口スリーブの全長は1500mm、外径は330mm、内径は220mmであり、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)の外径は280mmであった。
得られた出鋼口スリーブにつき、実施例1と同様の方法にて耐用を測定したところ、192(ch)であった。
図3に示す配材パターンによりアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)に、表1のアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(B)を、マグネシア−カーボン質耐火物(2)および(3)に、表1のマグネシア−カーボン質耐火物(J)を配設することにより出鋼口スリーブを作成した。なお、出鋼口スリーブの全長は1500mm、外径は330mm、内径は220mmであり、アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物(1)の外径は280mmであった。
得られた出鋼口スリーブにつき、実施例1と同様の方法にて耐用を測定したところ、192(ch)であった。
本発明の出鋼口スリーブは、転炉または電気炉の出鋼口スリーブとして好適に使用することができる。
1:アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物、2:マグネシア−カーボン質耐火物、3:マグネシア−カーボン質耐火物、a:溶鋼流出側端部、b:溶鋼流入側端部
Claims (3)
- 溶鋼流出側帯域及び溶鋼流入側帯域から構成される出鋼口スリーブにおいて、溶鋼流出端部から出鋼口スリーブ全長の70%以内にある溶鋼流出側帯域を構成する耐火物の全部または一部としてアルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物を、溶鋼流出側帯域の残部並びに溶鋼流入側帯域にマグネシア−カーボン質耐火物を配設してなることを特徴とする出鋼口スリーブ。
- アルミナ−マグネシア−スピネル−カーボン質耐火物がアルミナ原料40〜70質量%、マグネシア原料5〜30質量%、スピネル原料5〜20質量%及びカーボン原料5〜25質量%を含有してなる、請求項1記載の出鋼口スリーブ。
- マグネシア−カーボン質耐火物がマグネシア原料を80〜95質量%及びカーボン原料5〜20質量%を含有してなる、請求項1記載の出鋼口スリーブ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018026699A JP2019143181A (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | 出鋼口スリーブ |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019143181A true JP2019143181A (ja) | 2019-08-29 |
Family
ID=67771963
Family Applications (1)
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JP2018026699A Pending JP2019143181A (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | 出鋼口スリーブ |
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2018
- 2018-02-19 JP JP2018026699A patent/JP2019143181A/ja active Pending
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