JP2019143007A - 粘着剤組成物、粘着シート及び積層体 - Google Patents

粘着剤組成物、粘着シート及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、比誘電率の高い粘着剤層であって、ITO膜を腐食しない粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物を提供することを課題とする。【解決手段】本発明は、架橋性アクリル重合体、架橋剤及び誘電率調整剤を含有する粘着剤組成物であって、架橋性アクリル重合体を前記粘着剤組成物に対して50質量%以上含有し、粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に前記粘着剤層の周波数10kHzでの比誘電率が5.0以上である粘着剤組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は粘着剤組成物、粘着シート及び積層体に関する。
近年、様々な分野で、液晶ディスプレイ(LCD)などの表示装置や、タッチパネルなどの表示装置及び入力装置を組み合わせた装置が広く用いられている。中でも、静電容量方式のタッチパネルはその機能性から急速に普及してきている。これらの表示装置や入力装置の製造等においては、光学部材を貼り合せる用途に粘着シートが使用されており、表示装置と入力装置との貼合にも粘着シートが使用されている。
静電容量タッチパネルにおいては、表面に指を近づけると複数の電極間の静電容量が同時に変化し、電流量の比率を測定することで高精度に位置検出することを可能にしている。近年、このような静電容量タッチパネルにおいては、特に指紋センサー部においてその感度を高めることが要求されている。このため、静電容量タッチパネルには、比誘電率を制御した粘着シートを用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、周波数1MHzでの比誘電率が5〜10であり、ガラスに対する接着強さが3〜15N/20mmの光学用粘着シートが開示されている。ここでは、静電容量タッチパネルに用いた際に、タッチパネルの検知感度や応答速度などの性能に悪影響を与えない光学用粘着シートが得られるとされている。
特開2012−140605号公報
静電容量タッチパネルにおいては、透明導電膜(ITO膜)と各種フィルムとを貼合する用途に粘着シートが使用される場合がある。しかしながら、本発明者らが特許文献1に記載の粘着シートをITO膜に貼合した場合、ITO膜が腐食する場合があることがわかった。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、比誘電率の高い粘着剤層であって、ITO膜を腐食しない粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、粘着剤組成物に、架橋性アクリル重合体、架橋剤及び誘電率調整剤を配合することにより比誘電率の高い粘着剤層であって、ITO膜を腐食しない粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物が得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 架橋性アクリル重合体、架橋剤及び誘電率調整剤を含有する粘着剤組成物であって、
架橋性アクリル重合体を粘着剤組成物の全質量に対して50質量%以上含有し、
粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に粘着剤層の周波数10kHzでの比誘電率が5.0以上である粘着剤組成物。
[2] 誘電率調整剤がイオン性化合物及び金属錯体から選択される1種類又は2種類以上である[1]に記載の粘着剤組成物。
[3] 誘電率調整剤が金属錯体である[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物。
[4] 金属錯体が、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系分子中にアルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも一種のカチオンを備えた化合物である[3]に記載の粘着剤組成物。
[5] 架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上である[1]〜[4]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[6] 架橋剤が、二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上である[1]〜[5]のいずれかに記載の粘着剤組成物。
[7] 粘着剤層を有し、
粘着剤層が[1]〜[6]のいずれかに記載の粘着剤組成物の硬化物である、粘着シート。
[8] 粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、
粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、
第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が異なる[7]に記載の粘着シート。
[9] [1]〜[6]のいずれかに記載の粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層と、粘着剤層の少なくとも一方の面側に被着体と、を有する積層体。
本発明によれば、比誘電率の高い粘着剤層であって、ITO膜を腐食しない粘着剤層を形成し得る粘着剤組成物を提供することができる。
図1は、本発明の粘着シートの構成の一例を表す断面図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、“(メタ)アクリル酸”はアクリル酸及びメタクリル酸の双方、又は、いずれかを表す。また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。
(粘着剤組成物)
本発明は、架橋性アクリル重合体、架橋剤及び誘電率調整剤を含有する粘着剤組成物に関する。ここで、本発明の粘着剤組成物は、架橋性アクリル重合体を粘着剤組成物の全質量に対して50質量%以上含有する。また、粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に粘着剤層の周波数10kHzでの比誘電率は5.0以上である。
本発明の粘着剤組成物は、上記構成を有することにより、粘着剤層を形成した場合の比誘電率を高くすることができ、かつITO膜を腐食しない特性を有している。すなわち、本発明の粘着剤組成物から形成した粘着剤層をITO膜に貼合した場合であっても、該粘着剤層はITO膜の腐食を促進させることがない。このため、本発明で得られる粘着剤層(粘着シート)はITO膜等の透明導電膜の貼合用に好ましく用いられる。
通常、光学用途に用いられる粘着シートを形成する際には、透明性に優れる架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)が用いられている。このような粘着シートにおいては、比誘電率をコントロールするためには、架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更することが検討されている。しかし、比誘電率を高くするために架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更した場合、ITO膜の腐食性が高まる等の問題が生じる。このため、本発明者らは、比誘電率を高くした場合であっても、ITO膜を腐食することのない粘着剤層を提供すべく検討を重ねた。その結果、本発明者らは、架橋性アクリル重合体(ベースポリマー)の構造を変更するのではなく、誘電率調整剤を、架橋性アクリル重合体と併用することにより、粘着剤層の比誘電率を高くした場合であっても、ITO膜を腐食しない粘着剤層が得られることを見出した。
粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合、粘着剤層の周波数10kHzでの比誘電率は5.0以上であればよく、5.5以上であることが好ましく、6.0以上であることがより好ましく、6.2以上であることがさらに好ましい。なお、粘着剤層の周波数10kHzでの比誘電率の上限値は特に限定されるものではないが、例えば30であることが好ましい。粘着剤層の比誘電率を上記範囲内とすることにより、該粘着剤層を有する粘着シートは、例えば静電容量タッチパネルの指紋センサー部において良好な感度を発揮しやすくなる。
なお、粘着剤層の比誘電率は、10kHzの周波数における比誘電率であって、JIS C 2138に規定される方法で算出される値を用いる。
本発明において、粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層をITO膜に貼合した際のITO膜の腐食性は、粘着剤層をITO膜に貼合した積層体の抵抗値を測定することで評価できる。具体的には、ITO膜付きガラス/粘着剤層/PETフィルムが順に積層された積層体を得て、積層体を60℃、相対湿度90%の環境下に240時間静置する前後での抵抗値を測定し、静置前後での抵抗値の変化率の程度が小さい場合に、ITO膜の耐腐食性が優れている(ITO膜の腐食が少ない)と評価できる。なお、積層体は、後述する実施例の方法で作製でき、積層体の抵抗値の変化率は以下の式で算出する。抵抗値の変化率は、50%未満であることが好ましく、35%未満であることがより好ましい。
抵抗値の変化率(%)=[(高温高湿試験後の表面抵抗値)―(高温高湿試験後試験前の表面抵抗値)]/[高温高湿試験前の表面抵抗値]×100
粘着剤組成物は、溶剤を含んでいてもよく、後述するような溶剤を含む状態では、固形分濃度が20〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがより好ましい。
<架橋性アクリル重合体>
本発明の粘着剤組成物は、架橋性アクリル重合体を粘着剤組成物の全質量に対して50質量%以上含有する。ここで、架橋性アクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。また、架橋性アクリル重合体の含有量は、粘着剤組成物に対して98質量%以下であることが好ましい。なお、本明細書において、架橋性アクリル重合体の含有量が粘着剤組成物の全質量に対して50質量%以上である場合、架橋性アクリル重合体は粘着剤組成物の主成分であると言える。
架橋性アクリル重合体は、表示装置の視認性を低下させない程度の透明性を有するものが好ましい。中でも、架橋性アクリル重合体は、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を含有することが好ましい。この場合、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)の炭素数は特に限定されないが、例えば5以上9以下の分岐アルキル基を有する非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)を使用することができる。なお、本明細書において、「単位」は重合体を構成する繰り返し単位(単量体単位)である。
<非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)>
非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来するものである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸n−ウンデシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。比誘電率の観点からは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。中でも粘着物性のコントロールのしやすさや他の単量体との共重合のしやすさの観点から(メタ)アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。
架橋性アクリル重合体における非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)の含有量は、架橋性アクリル重合体の全質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、単位(a1)の含有量は99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99.0質量%以下であることがさらに好ましい。単位(a1)の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着剤組成物から形成される粘着剤層を被着体に貼合後、高温条件下に置いた場合であっても剥がれの発生等を効果的に抑制することができる。
非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単量体単位(a1)は、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する単位を実質的に含まないことが好ましい。具体的には、架橋性アクリル重合体における(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルに由来する単位の含有量は1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。これにより、粘着剤組成物から形成される粘着剤層はITO膜の腐食を抑制することができる。
<架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)>
本発明では、架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基は、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基(好ましくはグリシジル基)及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましい。この場合、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)が、カルボキシ基含有単量体単位、ヒドロキシ基含有単量体単位、アミノ基含有単量体単位、アミド基含有単量体単位、エポキシ基(好ましくはグリシジル基)含有単量体単位及びイソシアネート基含有単量体単位から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましい。
中でも、架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)は、カルボキシ基含有単量体単位、ヒドロキシ基含有単量体単位、アミノ基含有単量体単位、及びグリシジル基含有単量体単位から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましく、ヒドロキシ基含有単量体単位であることが特に好ましい。
ヒドロキシ基含有単量体単位は、ヒドロキシ基含有単量体に由来する繰り返し単位である。ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有単量体単位は、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
グリシジル基含有単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
架橋性アクリル重合体における架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)の含有量は、架橋性アクリル重合体の全質量に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。また、単位(a2)の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。単位(a2)の含有量が上記範囲の下限値以上であれば、架橋性を十分に有しており、上記範囲の上限値以下であれば、必要な粘着物性を維持することができる。
<他の単量体単位>
架橋性アクリル重合体は、必要に応じて非架橋性(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位(a1)及び架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体単位(a2)以外の他の単量体単位を有してもよい。他の単量体としては、非架橋性(メタ)アクリル酸エステルおよび架橋性官能基を有するアクリル単量体と共重合可能なものであればよく、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、塩化ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等が挙げられる。架橋性アクリル重合体における他の単量体単位の含有量は20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
<架橋性アクリル重合体の物性>
架橋性アクリル重合体の重量平均分子量は、10万以上200万以下が好ましく、30万以上180万以下がより好ましい。重量平均分子量を上記範囲内とすることにより、十分な段差追従性を確保することができる。なお、架橋性アクリル重合体の重量平均分子量は架橋剤で架橋される前の値である。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた値である。架橋性アクリル重合体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法により合成したものを用いてもよい。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
架橋性アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)は、−80℃以上−10℃以下であることが好ましく、−75℃以上−15℃以下であることがより好ましく、−70℃以上−18℃以下であることがさらに好ましい。架橋性アクリル重合体のガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着剤層としたときの凝集力をより高めることができる。これにより、耐久性に優れ、かつ粘着力に優れた粘着剤層が得られる。
<架橋剤>
本発明の粘着剤組成物は、架橋剤を含む。架橋剤は、熱により架橋性アクリル重合体と反応する架橋剤であることが好ましい。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、金属キレート化合物、ブチル化メラミン化合物などの公知の架橋剤の中から、架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基との反応性を考慮して適宜選択できる。たとえば架橋性官能基としてヒドロキシ基を含む場合は、ヒドロキシ基の反応性から、イソシアネート化合物を用いることができる。架橋性官能基を有する(メタ)アクリル単量体に由来する単位(a2)を容易に架橋できるという観点からは、イソシアネート化合物、エポキシ化合物を用いることが好ましい。本発明では、架橋剤が二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましく、二官能性以上のイソシアネート化合物であることがより好ましい。
イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ジイシアネートは2官能のまま用いてもよいし、アダクト、ヌレート、ビュレットなどの3官能誘導体にして用いても良い。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラグリシジルキシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
架橋剤としては、市販品を使用できる。市販品の例としては、キシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)等が挙げられる。
架橋剤としては1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、所望とする接着物性等に応じて適宜選択され、特に限定されないが、架橋性アクリル重合体100質量部に対し、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
また、架橋剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、0.01質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましい。
<誘電率調整剤>
本発明の粘着剤組成物は、誘電率調整剤を含む。誘電率調整剤は、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の比誘電率を高める働きをする化合物である。誘電率調整剤は、上述した架橋性アクリル重合体と比誘電率が異なる化合物であることが好ましい。
誘電率調整剤はイオン性化合物及び金属錯体から選択される1種類又は2種類以上であることが好ましい。中でも、誘電率調整剤は、金属錯体であることがより好ましい。誘電率調整剤として金属錯体を用いることにより、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の周波数10kHzでの比誘電率を高めつつ、ITO膜耐腐食性を高めることができる。金属錯体においては、金属イオンが遊離しにくいため、副次的に産生される酸が発生にくく、これにより、ITO膜耐腐食性に優れるものと考えられる。
イオン性化合物は、アニオン成分及び/又はカチオン成分を含む。アニオン成分は、フッ素原子を含むアニオンや、窒素原子を含むアニオン、スルホニル基を有するアニオンであることが好ましい。具体的には、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ウンデカフルオロペンタンスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリデカフルオロヘキサンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタデカフルオロヘプタンスルホニル)イミドアニオンなどが挙げられる。これらの中でも、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオンまたはビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドアニオンが好ましい。カチオン成分としては、リチウム、ナトリウム、カリウムのアルカリ金属イオンが挙げられる。
また、カチオン成分としては、さらに有機カチオンが挙げられる。有機カチオンは、上記のアニオン成分と共に有機カチオン−アニオン塩を構成する。「有機カチオン−アニオン塩」は、イオン性液体、イオン性固体とも言われる。有機カチオンとしては、具体的には、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンなどが挙げられる。有機カチオン−アニオン塩の具体例としては、上記カチオン成分とアニオン成分との組み合わせからなる化合物が挙げられ、例えば、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムシクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドイミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムシクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、例えば、FC−4400(3M(株)製)等を挙げることができる。
金属錯体はアルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも一種のカチオン成分と、対イオンであるアニオン成分が形成する錯体である。カチオン成分は、アルカリ金属及び2族元素から選択されるいずれかのカチオンであることが好ましく、アルカリ金属のカチオンであることがより好ましい。中でも、カチオン成分はリチウムイオンであることが好ましい。
金属錯体は、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系分子中にアルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも一種のカチオンを備えた化合物であることが好ましく、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系分子中にアルカリ金属及び2族元素から選択される少なくとも一種のカチオンを備えた化合物であることがより好ましく、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系分子中にアルカリ金属を備えた化合物であることがさらに好ましい。
上述したような金属錯体は、フルオロ基及びスルホニル基を有する陰イオンを備えた塩が、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系分子中に分散(散在または溶解)している組成物を粘着剤組成物中に添加することで得られる。このような組成物としては、例えば、サンコノールAD2600(三光化学工業社製)、TGR(三光化学工業社製)などが挙げられる。
<溶剤>
粘着剤組成物はさらに溶剤を含有してもよい。この場合、溶剤は、粘着剤組成物の塗工適性を向上させ得る。
このような溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロプロパン等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酪酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のポリオール及びその誘導体が挙げられる。
溶剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。粘着剤組成物中の溶剤の含有量は、特に限定されないが、架橋性アクリル重合体100質量部に対し、25質量部以上500質量部以下とすることが好ましく、30質量部以上400質量部以下とすることがより好ましい。
また、溶剤の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上80質量%以下とすることがより好ましい。
<可塑剤>
本発明の粘着剤組成物は、アクリルポリマー等の可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤が含まれる場合は、可塑剤の含有量は、架橋性アクリル重合体100質量部に対し、50質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましく、10質量部以下とすることがさらに好ましい。
可塑剤としては、例えば、無官能性アクリル重合体を用いることができる。無官能性アクリル重合体とは、アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位のみからなる重合体、又はアクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位と官能基を有しない非アクリル単量体単位とからなる重合体を意味する。
アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位(a1)と同様のものが挙げられる。
官能基を有しない非アクリル単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
<任意成分>
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分、例えば酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これら酸化防止剤は1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプトアルコキシシラン化合物(例えば、メルカプト基置換アルコキシオリゴマー等)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
(粘着シート)
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有し、粘着剤層が上述した粘着剤組成物の硬化物である。本発明の粘着シートは、比誘電率が高く、ITO膜を腐食しない粘着剤層を有するため、ITO膜貼合用として好ましく用いられる。
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。粘着シートは、粘着剤層のみから構成される単層の粘着シートであってもよい。また、本発明の粘着シートは、片面粘着シートでも両面粘着シートでもよい。
片面粘着シートとしては、支持体上に粘着剤層が積層した多層シートが挙げられる。また、支持体と粘着剤層との間には他の層が設けられていてもよい。
両面粘着シートとしては、粘着剤層からなる単層の粘着シート、粘着剤層を複数積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に他の粘着剤層を積層した多層の粘着シート、粘着剤層と粘着剤層の間に支持体を積層した多層の粘着シートが挙げられる。両面粘着シートが支持体を有する場合、支持体として透明な支持体を用いたものが好ましい。このような両面粘着シートは、粘着シート全体としての透明性にも優れることから、光学部材同士の接着に好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは上述した中でも、基材レスタイプが好ましく、粘着剤層からなる単層の粘着シート、又は粘着剤層を複数積層した多層の粘着シートが好ましく、粘着剤層からなる単層の両面粘着シートが特に好ましい。
本発明の粘着シートが支持体を有している場合、支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム等が挙げられる。
粘着剤層の表面は剥離シートによって覆われていることが好ましい。すなわち、粘着シートは、剥離シート付き粘着シートであってもよい。
図1は、剥離シート付き粘着シートの構成の一例を表す断面図である。図1に示された粘着シート11は剥離シート(12a、12b)を有している。なお、図1の粘着シート11は、基材レスタイプの単層の粘着シートであり、両面粘着シートである。
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH33SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
本発明では、粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、第1の剥離シート及び第2の剥離シートの剥離力が異なることが好ましい。図1の例では、剥離シート12においては、剥離しやすくするために、剥離シート12aと剥離シート12bとの剥離性を異なるものとすることが好ましい。つまり、一方からの剥離性と他方からの剥離性とが異なると、剥離性が高い方の剥離シート12だけを先に剥離することが容易となる。その場合、貼合方法や貼合順序に応じて剥離シート12aと剥離シート12bの剥離シート12の剥離性を調整すればよい。
粘着剤層の厚みは、用途に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、通常、10μm以上500μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上450μm以下であることがより好ましく、30μm以上450μm以下であることがさらに好ましく、40μm以上400μm以下であることが一層好ましく、40μm以上350μm以下であることがより一層好ましく、40μm以上300μm以下であることが特に好ましい。粘着剤層の厚みを上記範囲内とすることにより、段差追従性を十分に確保することができ、さらに耐久性を高めることができる。また、粘着剤層の厚さを上記範囲内とすることにより、両面粘着シートの製造が容易となる。
粘着シートの対ガラス粘着力は5N/25mm以上であることが好ましく、8N/25mm以上であることがより好ましい。なお、上述した被着体に対する粘着シートの粘着力は、ガラスに対する180°引き剥がし、粘着力をJIS Z 0237にならって測定した値である。
(粘着シートの製造方法)
粘着シートの製造方法は、特に限定されない。
本発明の粘着シートは、粘着剤層と他の層から構成されてもよいが、粘着剤層のみから構成されるものであることが好ましい。他の層としては、例えば上記以外の粘着剤組成物から形成される粘着剤層、支持体、剥離シート等が挙げられる。支持体としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム;反射防止フィルム、電磁波遮蔽フィルム等の光学フィルム;等が挙げられる。
粘着シートの製造工程は、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により硬化物とする工程を含むことが好ましい。
以下、剥離シート上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱して硬化物とする工程について代表して説明する。
塗膜の加熱により、架橋性アクリル重合体及び架橋剤の反応が進行して硬化物(粘着シート)が形成される。粘着剤組成物を硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施してもよい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
粘着シートを形成する粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
また、塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。
(積層体)
本発明の積層体は、上述した粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層と、粘着剤層の少なくとも一方の面側に被着体と、を有する積層体に関するものでもある。
被着体は、光学部材であることが好ましい。光学部材としては、タッチパネルや画像表示装置等の光学製品における各構成部材を挙げることができる。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITO膜付きフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITO膜付きガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。
本発明の粘着シートは、ITO膜貼合用として好ましく用いられる。このため、被着体は、ITO膜が設けられたITO膜付きフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITO膜付きガラス等であることが特に好ましい。本発明の粘着シートは、ITO膜付きフィルムやITO膜付きガラスにおいてITO膜が設けられた面に貼合されることが好ましい。
本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合は、2つの被着体の貼合に用いることができる。この場合、本発明の粘着シートは、タッチパネルの内部におけるITO膜付きフィルム同士の貼合、ITO膜付きフィルムとITO膜付きガラスとの貼合、タッチパネルのITO膜付きフィルムと液晶パネルとの貼合、カバーガラスとITO膜付きフィルムとの貼合などに用いられる。
なお、積層体は、粘着剤層を被着体表面に接触させる工程を経て得られることが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<粘着剤組成物の作製>
攪拌機、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却管を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート(BA)と、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)を質量比で98:2となるように配合し、酢酸エチル100質量部と、アソビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1質量部とを加えた。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、反応容器内部を60℃に保持し、6時間反応を続けた。反応終了後、反応容器内を室温(25℃)まで冷却させた後、反応容器に酢酸エチルを加えることで、架橋性アクリル重合体(A)を得た。架橋性アクリル重合体(A)の重量平均分子量は100万であった。
なお、架橋性アクリル重合体(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI−2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI−2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/分
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320〜2,500,000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
上記で得られた架橋性アクリル重合体(A)のアクリル重合体の固形分100質量部に対して、架橋剤としてキシリレンジイソシアネート化合物(三井化学(株)製、タケネートD−110N)を0.2質量部と、誘電率調整剤として金属錯体(三光化学工業社製、サンコノールAD2600)を2質量部加えて、固形分濃度が15質量%となるように酢酸エチルを添加して、粘着剤組成物を得た。
なお、金属錯体の重量平均分子量は1000であった。なお、金属錯体の重量平均分子量も上述したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン基準で求めた。
<粘着シートの作製>
上記のように作製した粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL−07(2))の表面に、乾燥後の塗工厚みが25μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、100℃の空気循環式恒温オーブンで3分間乾燥し、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL−07(L))を貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える粘着シートを得た。この粘着シートに対し、23℃、相対湿度50%の条件で7日間静置するエージング処理を施した。
<積層体の作製>
150mm×35mmのITO膜付きガラスに65mm×35mmの保護フィルムを貼合した。次いで、電極部を設ける目的として保護フィルムの貼合されていない部分にドータイト(藤倉化成社製、FA‐301C)をITO膜の塗布面に塗工し、乾燥させた。
上記で得られた粘着シートの第1の剥離シートを剥がし、PETフィルム(東洋紡(株)製、コスモシャインA4300#100)に貼合し、PETフィルムに貼合した粘着シートを75mm×35mmにカットした。
PETフィルムに貼合した粘着シートの第2の剥離シートを剥がし、ドータイトを塗工したITO膜付きガラスに貼合した。このようにして積層体を得た。
[実施例2]
誘電率調整剤の金属錯体をイオン性化合物(3M(株)製、FC−4400)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
なお、イオン性化合物の分子量は406.6であった。
[比較例1]
誘電率調整剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
[比較例2]
架橋性アクリル重合体(A)の代わりに架橋性アクリル重合体(B)を用いた以外は比較例1と同様にして、粘着剤組成物、粘着シート及び積層体を得た。
なお、架橋性アクリル重合体(B)は以下のとおり作製した。
n−ブチルアクリレート(BA)と、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)と、エトキシジエチレングリコールアクリレート(EDG−A)を質量比で58.2:1.8:40.0となるように配合し、酢酸エチル100質量部と、アソビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1質量部とを加えた。この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、反応容器内部を60℃に保持し、6時間反応を続けた。反応終了後、反応容器内を室温(25℃)まで冷却させた後、反応容器に酢酸エチルを加えることで、架橋性アクリル重合体(B)を得た。架橋性アクリル重合体(B)の重量平均分子量は80万であった。
[評価]
<比誘電率>
粘着剤層の比誘電率の評価は以下の手順で実施した。粘着剤層(粘着シートから第1の剥離シート及び第2の剥離シートを剥離したもの)が300μmになるように積層した後、2枚の銅箔の間に挟み、オートクレーブ処理(40℃、0.5MPa、30分間)を実施した。その後、誘電体測定システム((株)東陽テクニカ製、1260型)によりJIS C 2138に基づいて比誘電率を測定した。周波数、測定環境は下記条件で測定した。
周波数:10kHz
測定環境:23℃、相対湿度55%
<ITO膜耐腐食性>
積層体の初期の抵抗値を、デジタルマルチメータ(CUSTOM(株)製、CDM−2000D)を用いて測定した。次いで、積層体を60℃、相対湿度90%の環境下に240時間置き、その後の積層体の抵抗値(処理後の抵抗値)をデジタルマルチメータで測定した。下記式により、抵抗値の変化率を算出し、以下の基準で評価した。
抵抗値の変化率(%)=[(処理後の抵抗値)―(初期の抵抗値)]/[初期の抵抗値]×100
◎:抵抗値の変化率が35%未満である。
○:抵抗値の変化率が35%以上50%未満である。
×:抵抗値の変化率が50%以上である。
Figure 2019143007
上記表1から、実施例で得られた粘着剤組成物は、比誘電率の高い粘着剤層を形成し得るものであることがわかった。さらに、実施例で得られた粘着剤組成物から形成された粘着剤層は、ITO膜を腐食しないものであった。
1 剥離シート付き粘着シート
11 粘着シート(粘着剤層)
12a、12b 剥離シート

Claims (9)

  1. 架橋性アクリル重合体、架橋剤及び誘電率調整剤を含有する粘着剤組成物であって、
    前記架橋性アクリル重合体を前記粘着剤組成物の全質量に対して50質量%以上含有し、
    前記粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層を形成した場合に前記粘着剤層の周波数10kHzでの比誘電率が5.0以上である粘着剤組成物。
  2. 前記誘電率調整剤がイオン性化合物及び金属錯体から選択される1種類又は2種類以上である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記誘電率調整剤が金属錯体である請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記金属錯体が、ポリエーテル基を主鎖中に含むポリエーテル系分子中にアルカリ金属、2族元素、遷移金属及び両性金属から選択される少なくとも一種のカチオンを備えた化合物である請求項3に記載の粘着剤組成物。
  5. 前記架橋性アクリル重合体が有する架橋性官能基が、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基、エポキシ基及びイソシアネート基から選択される1種類又は2種類以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  6. 前記架橋剤が、二官能性以上のエポキシ化合物及び二官能性以上のイソシアネート化合物から選択される1種類又は2種類以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  7. 粘着剤層を有し、
    前記粘着剤層が請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物の硬化物である、粘着シート。
  8. 前記粘着剤層の一方の表面に第1の剥離シートを備え、
    前記粘着剤層の他方の表面に第2の剥離シートを備え、
    前記第1の剥離シート及び前記第2の剥離シートの剥離力が異なる請求項7に記載の粘着シート。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物の硬化物である粘着剤層と、前記粘着剤層の少なくとも一方の面側に被着体と、を有する積層体。
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