JP2019140890A - 3レベル電力変換装置 - Google Patents

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ヤンホン チャン
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Abstract

【課題】3レベル電力変換装置において、スイッチング損失を低減する 。【解決手段】第1メインスイッチング素子S1に対して並列接続された第1スナバコンデンサCs1と、第3メインスイッチング素子S3に対して並列接続された第2スナバコンデンサCs2と、第2,第4メインスイッチング素子S2,S4に対して並列接続され、第1補助スイッチング素子Sa1と第1コンデンサCa1と第1リアクトルLa1とを直列接続した第1ソフトスイッチング経路Path1と、第2,第4メインスイッチング素子S2,S4に対して並列接続され、第2補助スイッチング素子Sa2と第2コンデンサCa2と第2リアクトルLa2とを直列接続した第2ソフトスイッチング経路Path2と、を設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、3レベル電力変換装置に係り、特に、ソフトスイッチング技術に関する。
ZCT(Zero Current Transition)ソフトスイッチング技術では、電力変換装置のメインスイッチング素子(図38ではS1、S2、S3、S4)がターンオフする前に負荷電流を補助共振回路に移行させる。これにより、メインスイッチング素子をゼロ電流状態でスイッチングさせることができる。T型コンバータに適用されている従来のZCT(Zero Current Transition)ソフトスイッチング技術の一例を図38に示す(特許文献1)。
WO2015/098651
Eiji Hiraki, Toshihiko Tanaka, Mutsuo Nakaoka, "Zero-Voltage and Zero-Current Soft-Switching PWM Inverter", EPE 2005, ISBN: 90-75815-08-5 C.M.O. Stein, H.L Hey, J.R. Pinheiro, H. Pinheiro and H.A. Grundling, "Analysis, Design, and Implementation of a New ZCZVT Commutation Cell for PWM DC-AC Converters", Industry Application Conference, 30 Sep. 2001 C. M. O. Stein, H. A. Grundling, J R. Pinheiro and H. L. Hey, "Zero-Current and Zero-Voltage Soft-Transition Commutation Cell for PWM Inverters", IEEE Trans. on Power Electronics, Vol. 19, No. 2, pp. 396-403, March 2004 M.L da S. Martins, CM. de O. stein, J.L. Russi, J.R. Pinheiro, H.L. Hey, "Zero-current zero-voltage transition inverters with magnetically coupled auxiliary circuits: analysis and experimental results", IET Power Electronics, Vol. 4, Iss. 9, pp. 968-978, 2011 Alan Courtay, "MAST Power Diode and Thyristor Models Including Automatic Parameter Extraction", Saber User Group Meeting, Sep. 1995 Yong Li, "Unified Zero-Current-Transition Techniques for High-Power Three-Phase PWM Inverters", Thesis of Ph. D, 2002
ZCTソフトスイッチング技術は、ダイオードの逆回復特性の影響が大きな課題となっている。ダイオード逆回復特性は、IGBTのターンオンとターンオフ、およびダイオードのターンオフ時のスイッチング損失に関係する。
図39〜42は、図38の回路の各スイッチング素子のオンオフ動作時の実験波形である。
図39に示すように、ダイオードの逆回復特性の電流により、第1メインスイッチング素子S1のIGBTがターンオフしたとき電力損失が生じる。
図40に示すように、第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオン時に電力損失が生じる。
図41に示すように、第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードのターンオフ時に、零電流スイッチングが完了しない。
図42に示すように、第2メインスイッチング素子S2のフリーホイールダイオードのターンオフ時に、エネルギー不足により、ゼロ電流スイッチングが完了していない。また、第2メインスイッチング素子S2のフリーホイールダイオードがオフすると、S2の電圧(Vs2)には高電圧リップルが現れる。
ダイオードの逆回復特性には以下の(a)〜(c)の3つの問題がある。
(a)IGBTのオフ時の電力損失はダイオード逆回復の電力損失に依存する。したがって、図39に示すように、IGBTのオフ時のスイッチング損失はなくならない。
(b)前回のソフトスイッチング動作でダイオード逆回復特性によって放電されたコンデンサ電圧Vcaによって、ソフトスイッチングのエネルギーが不十分となる。例えば、フリーホイールダイオードのターンオフ時には、図41および図42に示すように、is2(またはis4)≠0となる。
(c)ダイオードの接合容量に起因する電圧リップルは、図42に示すように、電力損失を増加させる。
さらに、この電圧リップルが大きくなると,スイッチング素子が過電圧破壊する恐れがある。
以上示したようなことから、3レベル電力変換装置において、スイッチング損失を低減することが課題となる。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、 直列接続された第1,第2直流電源と、前記第1,第2直流電源に並列接続された第1,第3メインスイッチング素子と、前記第1,第2直流電源の共通接続点と、前記第1,第3メインスイッチング素子の共通接続点と、の間に逆直列接続された第4,第2メインスイッチング素子と、前記第1メインスイッチング素子に対して並列接続された第1スナバコンデンサと、前記第3メインスイッチング素子に対して並列接続された第2スナバコンデンサと、前記第2,第4メインスイッチング素子に対して並列接続され、第1補助スイッチング素子と第1コンデンサと第1リアクトルとを直列接続した第1ソフトスイッチング経路と、前記第2,第4メインスイッチング素子に対して並列接続され、第2補助スイッチング素子と第2コンデンサと第2リアクトルとを直列接続した第2ソフトスイッチング経路と、を備えたことを特徴とする。
また、その一態様として、前記第1メインスイッチング素子のターンオン時に、前記第4メインスイッチング素子のゲート指令信号がオン指令→オフ指令に切り替わった時の前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1,Vca2、負荷電流ioを検出して、ターンオン時の第1,第2初期コンデンサ電圧V’ca1,V’ca2,負荷電流Ioとして出力し、前記第3メインスイッチング素子のターンオン時に、前記第2メインスイッチング素子のゲート指令信号がオン指令→オフ指令に切り替わった時の前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1,Vca2、負荷電流ioを検出して、ターンオン時の第1,第2初期コンデンサ電圧V’ca1,V’ca2,負荷電流Ioとして出力する第1サンプルホールド回路と、前記第1サンプルホールド回路が出力した第1,第2初期コンデンサ電圧V’ca1,V’ca2,負荷電流Ioに基づいて、ダイオード逆回復電流Irrm,第1ソフトスイッチング時間T1,前記第1ソフトスイッチング時間T1時における前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1(T1),Vca2(T1)を演算する第1演算部と、前記負荷電流Ioと前記ダイオード逆回復電流Irrm,前記第1ソフトスイッチング時間T1における前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1(T1),Vca2(T1)に基づいて、第2ソフトスイッチング時間T2を演算する第2演算部と、前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオフ時に、前記第1、第3メインスイッチング素子のゲート指令信号がオン指令→オフ指令に切り替わる時刻t3よりも共振周期Ta前の時刻での前記第1,第2コンデンサの電圧Vca1,Vca2,負荷電流ioを検出して、ターンオフ時の第1,第2初期コンデンサ電圧V”ca1,V”ca2,負荷電流Ioとして出力する第2サンプルホールド回路と、前記負荷電流Ioから、第2補助スイッチング素子Sa2がターンオンした時の第2コンデンサ電圧ベクトルVca2から第1補助スイッチング素子Sa1がターンオンした時の第2コンデンサ電圧ベクトルVca2の角度αを演算するα演算部と、前記角度α,前記負荷電流Io,前記ターンオフ時の第1,第2初期コンデンサ電圧V”ca1,V”ca2,から、(23)式〜(25)式により、θ1,θ2を演算する第3演算部と、を備え、前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオン時、負荷電流Io>0の場合、前記第2補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもTa/2+T1+T2前に設定し、前記第1補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもT1+T2前に設定し、前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオン時、負荷電流Io<0の場合、前記第1補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもTa/2+T1+T2前に設定し、前記第2補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもT1+T2前に設定し、前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオフ時、負荷電流Io>0の場合、前記第2補助スイッチング素子がターンオンするタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオフするよりもTa/2+(π−θ2)/ωa前に設定し、前記第1補助スイッチング素子がターンオンするタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオフするよりも(π+θ1)/ωa前に設定し、前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオフ時、負荷電流Io<0の場合、前記第1補助スイッチング素子はターンオンするタイミングを第1,第3スイッチング素子がターンオフするよりもTa/2+(π−θ2)/ωa前に設定し、前記第2補助スイッチング素子がターンオンするタイミングを第1,第3メインスイッチング素子がターンオフするよりも(π+θ1)/ωa前に設定することを特徴とする。
Figure 2019140890
Figure 2019140890
Za=√(La/Ca):インピーダンス
β=180°−α
E:第1,第2直流電源の電圧
La:第1,第2ソフトスイッチング経路のインダクタンス
Ca:第1,第2コンデンサの静電容量
また、他の態様として、 直列接続された第1,第2直流電源と、前記第1,第2直流電源に並列接続された第1,第3メインスイッチング素子と、前記第1,第2直流電源の共通接続点と、前記第1,第3メインスイッチング素子の共通接続点と、の間に逆直列接続された第4,第2メインスイッチング素子と、前記第1メインスイッチング素子に対して並列接続された第1スナバコンデンサと、前記第3メインスイッチング素子に対して並列接続された第2スナバコンデンサと、前記第1直流電源の正極側と前記第2直流電源の負極側との間に直列接続された第3,第4補助スイッチング素子と、前記第3,第4補助スイッチング素子の共通接続点と前記第1,第3メインスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第3コンデンサと第3リアクトルと、を備えたことを特徴とする。
また、その一態様として、負荷電圧が正、負荷電流が負の場合、領域1とし、負荷電圧が正、負荷電流が正の場合、領域2とし、負荷電圧が負、負荷電流が正の場合、領域3とし、負荷電圧が負、負荷電流が負の場合、領域4とし、前記領域1において、前記第4メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca≦−Eのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、Vca>−Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記領域2において、前記第1メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、Vca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記領域3において、前記第2メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca>Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、Vca≦Eのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記領域4において、前記第3メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、Vca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記領域1において、前記第4メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流の絶対値がストップエリア閾値より大きいノーマルエリアのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流の絶対値がストップエリア閾値以下でゼロクロスエリア閾値以上のストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流の絶対値がゼロクロスエリア閾値より小さいゼロクロスエリアでVca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記領域2において、前記第1メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流が前記ノーマルエリアのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca>−Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦−Eのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記領域3において、前記第2メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流が前記ノーマルエリアのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記領域4において、前記第3メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流が前記ノーマルエリアのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca>Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンすることを特徴とする。
また、その一態様として、前記第1〜第4メインスイッチング素子のターンオン時において、前記負荷電流が前記ノーマルエリアの場合、領域2では(33)式、領域4では(45)式、領域1,3では(46)式に基づいて第1の期間Ton_N1を算出し、(34)式で第2の期間Ton_N2を算出し、(38)式でソフトスイッチング時間Ton_Nを演算し、前記負荷電流が前記ストップエリアの場合、領域2では(42)式、領域4では(49)式、領域1,3では(50)式に基づいて第1の期間Ton_S1を算出し、(34)式でTon_N2を第2の期間Ton_S2として算出し、(38)式でTon_Nをソフトスイッチング時間Ton_Sとして演算し、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアにおいて、前記領域1で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、前記領域1で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、前記領域2で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(42)式、前記領域2で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(33)式、前記領域3で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、前記領域3で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、前記領域4で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(49)式、前記領域4で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(45)式、に基づいて、Ton_N1,またはTon_S1を第1の期間Ton_Z1として演算し、(34)式でTon_N2を第2の期間Ton_Z2として算出し、(38)式でTon_Nをソフトスイッチング時間Ton_Zとして演算し、前記第1〜第4メインスイッチング素子のターンオンのタイミングから前記ソフトスイッチング時間Ton_Nもしくは前記ソフトスイッチング時間Ton_Sもしくは前記ソフトスイッチング時間Ton_Zより前のタイミングを、第3補助スイッチング素子Sa3または第4補助スイッチング素子Sa4のターンオンするタイミングとし、前記負荷電流が前記ノーマルエリアにおいて、第1〜第4メインスイッチング素子のターンオフ時には、(51)式を満足するソフトスイッチング時間Toff_Nを演算し、前記ノーマルエリアにおいて、前記第1〜第4メインスイッチング素子のターンオフのタイミングから前記ソフトスイッチング時間Toff_Nより前のタイミングを、前記第3補助スイッチング素子または前記第4補助スイッチング素子のターンオンするタイミングとすることを特徴とする請求項4記載の3レベル電力変換装置。
Figure 2019140890
Figure 2019140890
Figure 2019140890
Figure 2019140890
Figure 2019140890
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Figure 2019140890
Figure 2019140890
Figure 2019140890
Vca:第3コンデンサ電圧
E:第1,第2直流電源の電圧
Vca(t0):第3コンデンサの初期電圧
Cs:第1,第2スナバコンデンサの静電容量
τ=L/R:パラメータ
Irrm:ダイオード逆回復電流
Io:負荷電流
La:第3リアクトルのインダクタンス
Ca:第3コンデンサの静電容量
ωa=1/√(LaCa):角周波数
Za=√(La/Ca):インピーダンス
本発明によれば、3レベル電力変換装置において、スイッチング損失を低減することが可能となる。
実施形態1における3レベル電力変換装置の主回路を示す回路図。 第2補助スイッチング素子Sa2ターンオン後、第1補助スイッチング素子Sa1ターンオン前(t0〜t1)における3レベル電力変換装置の等価回路図。 第1メインスイッチング素子S1ターンオン時の各波形を示すタイムチャート。 第1メインスイッチング素子S1のIGBTターンオン時のソフトスイッチング動作を示す状態平面図。 第1補助スイッチング素子Sa1のIGBTターンオン後における3レベル電力変換装置の等価回路図。 第1メインスイッチング素子S1ターンオン時における第1,第2補助スイッチング素子Sa1,Sa2の制御ブロック図。 ダイオードモデルを示す図。 第2補助スイッチング素子Sa2ターンオン後の3レベル電力変換装置の等価回路図。 時刻t1時における状態平面図。 α演算部を示すブロック図。 第1メインスイッチング素子S1ターンオフ時における各波形を示すタイムチャート。 第1メインスイッチング素子S1ターンオフ時における第1,第2補助スイッチング素子Sa1,Sa2の制御ブロック図。 時刻t3時における状態平面図。 第1メインスイッチング素子S1のIGBTターンオフ時における電圧と電流を示すタイムチャート。 第1メインスイッチング素子S1のIGBTターンオン時における電圧と電流を示すタイムチャート。 第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードターンオフ時における電圧と電流を示すタイムチャート。 第2メインスイッチング素子S2のフリーホイールダイオードターンオフ時における電圧と電流を示すタイムチャート。 実施形態2における3レベル電力変換装置の主回路を示す回路図。 4つの動作領域を示す図。 3つの電流エリアを示す図。 第1メインスイッチング素子ターンオフ後の充電経路を示す図。 第1メインスイッチング素子ターンオフ時の各波形を示す図。 Vcaの正の方向を示す図。 実施形態2における全体の制御処理を示すフローチャート。 実施形態2におけるインターロックの論理図。 領域2における第1メインスイッチング素子ターンオン時の等価回路。 第1メインスイッチング素子ターンオン時の電圧と電流波形を示す図。 第1メインスイッチング素子ターンオフ時の等価回路を示す図。 第1メインスイッチング素子ターンオフ時の電圧と電流の波形を示す図。 IGBTターンオン時の等価回路を示す図。 第1メインスイッチング素子ターンオン時の電圧と電流の波形を示す図。 IGBTターンオフ時の電圧と電流の波形図。 |Vca|>Eの場合の等価回路図。 第1メインスイッチング素子ターンオン時のZVTソフトスイッチング処理の状態平面図。 第1メインスイッチング素子ターンオフ時の電圧と電流の波形を示す図。 ダイオードモデルを示す図。 La,Ca,Cs計算処理を示すフローチャート。 従来のZCTソフトスイッチング技術を用いたT型コンバータを示す回路図。 第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオフ時における電圧と電流を示すタイムチャート。 第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオン時における電圧と電流を示すタイムチャート。 第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードのターンオフ時における電圧と電流を示すタイムチャート。 第2メインスイッチング素子S2のフリーホイールダイオードのターンオフ時における電圧と電流を示すタイムチャート。
以下、本願発明における3レベル電力変換装置の実施形態1,2を図1〜図37に基づいて詳述する。
[実施形態1]
まず、図1に基づいて、本実施形態1におけるZVZCT(Zero Voltage Zero Current Transition)3レベル電力変換装置の回路構成を説明する。
第1,第2直流電源E1,E2が直列接続される。第1,第2直流電源E1,E2の共通接続点をNとする。第1,第2直流電源E1,E2に対して第1,第3メインスイッチング素子S1,S3が並列接続される。第1,第3メインスイッチング素子S1,S3の共通接続点をOとする。第1,第2直流電源E1,E2の共通接続点Nと、第1,第3メインスイッチング素子S1,S3の共通接続点Oとの間に第4,第2メインスイッチング素子S4,S2が逆直列接続される。
第1,第3メインスイッチング素子S1,S3に対して、dv/dtを遅くするためのスナバ回路として、第1,第2スナバコンデンサCs1,Cs2が並列接続される。
第1ソフトスイッチング経路Path1は、第2,第4メインスイッチング素子S2,S4に対して並列接続される。第1ソフトスイッチング経路Path1は、第1補助スイッチング素子Sa1と第1コンデンサCa1と第1リアクトルLa1とが直列接続される。
第2ソフトスイッチング経路Path2は、第2,第4メインスイッチング素子S2,S4に対して並列接続される。第2ソフトスイッチング経路Path2は、第2補助スイッチング素子Sa2と第2コンデンサCa2と第2リアクトルLa2とが直列接続される。通常、第1,第2コンデンサCa1,Ca2の静電容量はCa1=Ca2、第1,第2リアクトルLa1,La2のインダクタンスはLa1=La2とする。
第1補助スイッチング素子Sa1、第1コンデンサCa1、第1リアクトルLa1、および、第2補助スイッチング素子Sa2、第2コンデンサCa2、第2リアクトルLa2の直列接続順序は入れ替えてもよい。
図1の回路において、第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4のスイッチングパターンは、出力電圧(図1のO端子−N端子間の電圧)の指令値によって定まる。第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4のスイッチングパターンを以下の表1に示す。なお、図1の上アーム側の直流電源E1と下アーム側の直流電源E2の電圧は、共にEとする。
Figure 2019140890
(動作原理)
動作原理を2つのソフトスイッチング動作(第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオン、ターンオフ)を例に説明する。
以下、図2に示す負荷電流Io>0の条件(図2の矢印の方向に負荷電流Ioが流れている条件)での動作例を示す。
(1)第1メインスイッチング素子S1(IGBT)のターンオン時の動作説明
メインスイッチング素子のオンオフ周期が非常に短く、その期間に電力変換装置から負荷側に流れる負荷電流Ioを一定と仮定すると、第1メインスイッチング素子S1のIGBT部分がターンオンする前に、第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードを経由して負荷電流Ioが流れる。
第1,第2ソフトスイッチング経路Path1,Path2はそれぞれ独立しているため、第1補助スイッチング素子Sa1と第2補助スイッチング素子Sa2は別々にオンオフ制御することができる。図3に、第1メインスイッチング素子S1のIGBTをソフトスイッチングによりターンオンする場合の各波形を示す。図3(e)に示すように、第2補助スイッチング素子Sa2が最初に(時刻t0で)オンに制御される。これにより第2コンデンサCa2と第2リアクトルLa2の共振経路が形成される。図2に、この時の等価回路を示す。図2の等価回路からわかるように、電流ia2の方向は負荷電流Ioと逆になっている。したがって、電流ia2の増加に伴い、まず電流is4が増加する。
しかし、共振回路の特性により、電流ia2は時刻t1で方向(極性)を変える。第1補助スイッチング素子Sa1をオンにした時刻t1の後は、電流ia1と電流ia2の両方が負荷電流Ioと同じ方向となり、電流を共振回路に流す。そのため、電流is4は時刻t2でゼロになる。時刻t2から時刻t4まで、第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードが逆回復し、その後、第1スナバコンデンサCs1の電圧(図3のVs1)が第1直流電源E1の電圧Eからゼロに放電され、ソフトスイッチング動作の全てが完了する。
なお、図3に示す期間において、第2メインスイッチング素子S2のゲート指令信号Gs2(図示省略)は常時オン指令、第3メインスイッチング素子S3のゲート指令信号Gs3(図示省略)は常時オフ指令である。
図3に示すように、ソフトスイッチング電流により、第1メインスイッチング素子S1のフリーホイールダイオードがターンオンした状態で第1メインスイッチング素子S1のIGBTがターンオンするため、第1メインスイッチング素子S1のターンオン損失がゼロになる。さらに、第1スナバコンデンサCs1と第2スナバコンデンサCs2が存在するため、第1メインスイッチング素子S1と第4メインスイッチング素子S4の電圧の変化はゆるやかになる。その結果、図3(b)に示すように、電流is4と電圧Vs4の交差領域が小さくなる。
したがって、第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードのターンオフ損失は小さくなる。ダイオードの逆回復と第1スナバコンデンサ電圧Vcs1および第2スナバコンデンサ電圧Vcs2の放電を含むソフトスイッチング動作全体に必要なエネルギーは、第1,第2ソフトスイッチング経路Path1,Path2から供給される。
以下に理論的分析を説明する。一般的に、第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードの定常オン電圧が無視される場合、第4メインスイッチング素子S4がオフする前、電流ia1および電流ia2は、以下の(1)式となる。
Figure 2019140890
ここでV’ca1とV’ca2は第1コンデンサCa1と第2コンデンサCa2のターンオン時の初期コンデンサ電圧であり、インピーダンスZa=√(La/Ca),角周波数ωa=1/√(CaLa)(La=La1=La2、Ca=Ca1=Ca2)である。
第1,第2ソフトスイッチング経路Path1,Path2の電圧と電流の軌跡を図4に示す。スイッチング経路の電圧と電流の軌跡は、中心を0としたいくつかの円である状態平面図で示される。破線の円は、第2ソフトスイッチング経路Path2(La2とCa2)の電流と電圧の軌跡を示す。二点鎖線の円は第1ソフトスイッチング経路Path1(La1とCa1)の電流と電圧の軌跡を示す。
ここで、角度αは、第2補助スイッチング素子Sa2がONした時の第2コンデンサ電圧ベクトルVca2から第1補助スイッチング素子Sa1がONした時の第2コンデンサ電圧ベクトルVca2の角度とする。すなわちこの角度αは、図3のt0〜t1間の時間に対応する(本明細書では、VベクトルはVと表記する。以下同様。)
第1補助スイッチング素子Sa1がターンオンした後、図4の実線で示された電流及び電圧の軌道を有する合成ベクトルVca=Vca1+Vca2が形成される。α=πの時(例えば、電流ia2が方向を変えた後に第1補助スイッチング素子Sa1を時刻t1でオンした時)、最大の合成ベクトルVca=(|Vca|=|V’ca1|+||V’ca2|)となる。
第1補助スイッチング素子Sa1がオンした後、2つの第1,第2ソフトスイッチング経路Path1,Path2を1つの結合経路として考えると、対応する等価回路は、Ca=Ca1=Ca2、La=La1=La2とすると、図5(a),(b)に示すようになる。したがって、時刻t1〜時刻t2の間は、以下の(2)式および(3)式となる。
Figure 2019140890
時刻t2〜時刻t3の間は、電流is4が逆回復電流になるので、電流iaはそれをサポートする必要がある。そのため、電流iaは以下の(4)式となる。
Figure 2019140890
しかし、時刻t3以前では、図5(a)に示すように、第4メインスイッチング素子S4は短絡回路とみなすことができる。そのため、第1メインスイッチング素子S1を流れる電流is1,電流ics1は以下の(5)式となる。
Figure 2019140890
時刻t3の後、第4メインスイッチング素子S4は、以下の(6)式に示されるような電流を有する電流源として動作する。この場合、図5(b)に示すように、第1スナバコンデンサCs1は放電され、ソフトスイッチングの共振経路は負荷が必要とするエネルギーを供給する。
Figure 2019140890
本実施形態1における第1メインスイッチング素子S1のIGBTターンオン時の第1,第2補助スイッチング素子Sa1,Sa2のIGBTをオンにするソフトスイッチング制御方法を図6に示す。
図6のサンプルホールド回路1は、第4メインスイッチング素子S4のゲート指令信号Gs4がオン指令→オフ指令に切り替わった時のコンデンサ電圧Vca1,Vca2、負荷電流ioを検出してホールドし、初期コンデンサ電圧V’ca1、V’ca2、負荷電流Ioとして出力する。
第1演算部2は、ダイオード逆回復電流Irrmの最大電流を計算する。また、第1ソフトスイッチング時間T1(t1〜t3)と、時刻t3での第1コンデンサ電圧Vca1(T1)および第2コンデンサ電圧Vca2(T1)を計算する。第2演算部3は時刻t3から時刻t4までの第2ソフトスイッチング時間T2を計算する。
第1補助スイッチング素子Sa1がターンオンするタイミングは、第1メインスイッチング素子S1がターンオンするよりもT1+T2前に設定する。また、第2補助スイッチング素子Sa2がターンオンするタイミングは、第1メインスイッチング素子S1がターンオンするよりもTa/2+T1+T2前に設定する。ここで、Ta(=2π/ωa)は、共振周期とする。
図7は、逆回復を伴うダイオードモデルを示す図である。図7の点A,点Cは、図5(a)の第4メインスイッチング素子S4の両端の点A,点Cに対応している。図7に示すように、理想ダイオード(Ideal Diode)のアノードと点Aとの間には、抵抗Rfを有する。また、理想ダイオード(Ideal Diode)のカソードと点Cとの間には、抵抗RとインダクタLの並列回路を有する。
図7において、iDは理想ダイオード通過電流、iRは抵抗通過電流、iLはインダクタ通過電流、VLはインダクタ電圧を示す。また、理想ダイオード通過電流iDとは逆極性に流れる逆回復電流iは、理想ダイオードとは別な経路に流れることになる。そこで図7では、逆回復電流iの経路を設けている。さらに、逆回復電流i=KVLと表している(Kは、逆回復電流iの流れる経路のアドミタンスに相当する。)。
このダイオードモデルを図5(a),(b)に示す等価回路に適用する。
このダイオードモデルでは、ダイオードの定格電流IFOでのダイオード逆回復電流Irrm、逆回復時間trr(Irrmが流れている時間)、dIr/dtがデータシートまたはテストから既知であるため、パラメータτ(=L/R)およびKLは以下の(8)式および(9)式から得ることができる。通常、電圧VLはダイオードオン電圧と比較して無視できる値であるため、インダクタLのインダクタンス値Lは例えば10pHのように非常に小さく設定される。
Figure 2019140890
(8)式には、ダイオードのデータシートに基づいて、ダイオードに流れる電流が定格電流IFOの時のダイオード逆回復電流Irrm,逆回復時間trr,dIr/dtを代入する。
Figure 2019140890
(9)式には、ダイオードのデータシートに基づいて、ダイオードに流れる電流が定格電流IFOの時のダイオード逆回復電流Irrm,逆回復時間trr,dIr/dtを代入する。さらに(8)式で求めたL/Rを(9)式に代入すれば、パラメータKLを算出できる。
なお、(8)式(9)式では、Rは図7の抵抗Rの抵抗値、Lは図7のインダクタLのインダクタンス値を意味している。以降の式についても同様である。
パラメータ(L/RおよびKL)が分かれば、ダイオードモデルが図5(a),(b)に適用される。図6の第1演算部2(Function1)は、図5(a)から導出される。例えば、以下の(10)式となる。
Figure 2019140890
ここで、α=πとする。このとき、V’ca=|V’ca1|+|V’ca2|となる。また、iLはダイオードモデルのインダクタLの電流である。
(10)式を解くと、電流iLは以下の(11)式のように表される。
Figure 2019140890
そして、理想ダイオードを通る電流iDは、以下の(12)式として得られる。
Figure 2019140890
第1ソフトスイッチング時間T1は、時刻t1から電流is4がダイオード逆回復電流Irrmに達するまでの時間である。例えば、以下の(13)式を満たす条件では、電流iDはゼロになる。
Figure 2019140890
また、ダイオード逆回復電流Irrmは、以下の(14)式となる。
Figure 2019140890
なお、(14)式のダイオード逆回復電流Irrmは、図3に示す時刻t3のときの電流is4の値である。よって、(8)式,(9)式に代入した定格電流IF0時のダイオード逆回復電流Irrmとは異なる。
Figure 2019140890
したがって、図6の第1演算部2(Function1)は、(13)式,(14)式および(15)式を含んでいる。 ここで、α=πであるので、(15)式は、以下の(16)式と表せる。
Figure 2019140890
(16)式のダイオード逆回復電流Irrmに(14)式を代入することで、第1ソフトスイッチング時間T1が算出できる。さらに、第1ソフトスイッチング時間T1の第1,第2コンデンサ電圧vca1(T1),vca2(T1)が以下の(17)式から算出できる。
Figure 2019140890
以上が、図6の第1演算部2(Function1)の説明となる。 次に図6第2演算部3(Function2)について説明する。
第2ソフトスイッチング時間T2(T2=t4−t3)を計算するには、図5(b)に示す等価回路と(6)式、(7)式を使用する。第2ソフトスイッチング時間T2はスナバコンデンサ電圧Vcs(Vs1)が第1直流電源E1の電圧Eからゼロに達するまでの時間で、図6に示す第2演算部3(Function2)により、(18)式を解いて第2ソフトスイッチング時間T2を求める。
Figure 2019140890
ここで、Csはスナバコンデンサの静電容量とする。(18)式のAs0,As1,As2,As3,As4は、以下の(19)式となる。
Figure 2019140890
また、(19)式のA0,A1,A2,A3,ω’は以下の(20)式となる。
Figure 2019140890
ここで、Laをスイッチング経路のインダクタンス、Caをスイッチング経路の静電容量とする。これらの式のτには(8)式を、ダイオード逆回復電流Irrmには(14)式を代入する。
なお、図3に示すように、第2補助スイッチング素子Sa2のゲート指令信号Gsa2は、時刻t1〜t2の期間中にオン指令→オフ指令に切り換える。同様に、第1補助スイッチング素子Sa1のゲート指令信号Gsa1は、時刻t4の後にオン指令→オフ指令に切り換える。
(2)第1メインスイッチング素子S1(IGBT)のターンオフ時の動作説明
第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオン時の動作と同様に、電力変換装置から負荷に流れる負荷電流(つまり、図2のIo>0)を想定する。したがって、最初に第2補助スイッチング素子Sa2をオンにし、しばらくして第1補助スイッチング素子Sa1をオンにする。図8に、第2補助スイッチング素子Sa2のターンオン時の等価回路を示し、図9に、この時の電圧および電流の軌跡の状態平面図を示す。
この場合、第1直流電源E1の電圧Eは第1メインスイッチング素子S1を介してソフトスイッチング経路に印加されるため、ソフトスイッチング経路における電流および電圧の軌跡は、中心をEとしたいくつかの円となる。点線の円は第2コンデンサ電圧ベクトルVca2の軌跡を示し、二点鎖線の円は第1コンデンサ電圧ベクトルVca1を示し、実線の円は結合ベクトルVcaを示す。
電流と電圧のストレスを抑制し、ソフトスイッチングのための十分なエネルギーを確保するため、図10に示すように負荷電流ioに応じてαを設定する。
図10に示すように、α演算部8は、乗算器4と、乗算器5と、リミッタ6と、を備える。|Io|は負荷電流を絶対値を示す。
乗算器4は、負荷電流の絶対値|Io|に1/Iopを乗算する。Iopは負荷電流Ioのピーク値を示す。乗算器5は、乗算器4の出力にkπを乗算する。kはスイッチング素子の特性に応じて0.5〜1の間の値を選択する。リミッタ6は、乗算器5の出力をπ/2〜πの間に制限する。リミッタ6の出力がαとなる。
第1補助スイッチング素子Sa1がターンオンすると、結合ベクトルVcaが形成され、ソフトスイッチング電流が得られる。しかし、第1,第2スナバコンデンサCs1、Cs2により、Vs1の電圧はゆっくりと充電され、スイッチング素子の電圧とダイオード逆回復電流の交差面積が小さくなり、第1メインスイッチング素子S1のIGBTのスイッチング損失は通常のZCT技術に比べて小さくなる。第1メインスイッチング素子S1のIGBTターンオフ時におけるソフトスイッチング動作中の波形を図11に示す。
なお、図11に示す期間では、第2メインスイッチング素子S2のゲート指令信号Gs2(図示省略)は常時オン指令である。第3,第4メインスイッチング素子S3,S4のIGBTのゲート指令信号Gs3,Gs4(図示省略)は常時オフ指令である。
図12に、第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオフ時の第1,第2補助スイッチング素子Sa1,Sa2のIGBTをオンにするソフトスイッチング制御方法を示す。
図12のサンプルホールド回路7は、第1メインスイッチング素子S1のゲート指令信号Gs1がオン指令→オフ指令に切り替わる時刻(t3)よりも共振周期Ta前の時刻でのコンデンサ電圧Vca1、Vca2、負荷電流ioを検出してホールドし、ターンオフ時の第1,第2初期コンデンサ電圧V”ca1、V”ca2、負荷電流Ioとして出力する。
α演算部8は、図10に示すように、負荷電流Ioからαを演算する。第3演算部9は、負荷電流Io、αからθ1,θ2を算出する。
αを図10に示すように算出すると、第1補助スイッチング素子Sa1と第2補助スイッチング素子Sa2の第1,第2ソフトスイッチング時間T1,T2は以下の(21)式および(22)式のようになる。
Figure 2019140890
θ1およびθ2は、結合ベクトルVcaがIo×Zaの線に到達した時の第1コンデンサ電圧ベクトルVca1および第2コンデンサ電圧ベクトルVca2とX軸との角度である。図13に示す状態平面図から、以下の(23)式,(24)式に示すように、θ1とθ2を簡単に求めることができる。
Figure 2019140890
ここで、β=180°−αとする。また、ターンオフ時の第1,第2初期コンデンサ電圧V”ca1,V”ca2を測定することにより、以下の(25)式から第1コンデンサ電圧Vca1および第2コンデンサ電圧Vca2を得ることができる。
Figure 2019140890
さらに、算出したθ1とθ2に基づいて、図12に示す時刻t0(第2補助スイッチング素子Sa2のゲート指令信号Gsa2がオフ指令→オン指令となるタイミング)と時刻t1(第1補助スイッチング素子Sa1のゲート指令信号Gsa1がオフ指令→オン指令となるタイミング)を定める。ここで、時刻t0は時刻t3(第1メインスイッチング素子S1がターンオフするタイミング)よりもTa/2+(π−θ2)/ωa前とし、時刻t1は時刻t3よりも(π+θ1)/ωa前とする。
なお、図11に示すように、第2補助スイッチング素子Sa2のゲート指令信号Gsa2は、t2〜t3の期間中にオン指令→オフ指令に切り換える。同様に、第1補助スイッチング素子Sa1のゲート指令信号Gsa1は、時刻t3より後にオン指令→オフ指令に切り換える。
以上、例として、負荷電流Io>0のときの第1メインスイッチング素子S1のターンオン、ターンオフ時の動作を説明した。
負荷電流Io<0のときは、第1メインスイッチング素子S1のターンオン、ターンオフ時に動作する第1,第2補助スイッチング素子Sa1、Sa2が置き換わる。負荷電流Io<0での第1メインスイッチング素子S1のターンオン時は、図6において、Gsa1→Gsa2、Gsa2→Gsa1に置き換わる。 負荷電流Io<0での第1メインスイッチング素子S1のターンオフ時は、図12において、Gsa1→Gsa2、Gsa2→Gsa1に置き換わる。
なお、第3メインスイッチング素子S3のターンオン、ターンオフ時の動作についても、同様の方式で各スイッチング素子のスイッチングのタイミングを定めればよい。
負荷電流Io>0での第3メインスイッチング素子S3のターンオン時は、図6において、Gs1→Gs3、Gs4→Gs2に置き換わる。
負荷電流Io<0での第3メインスイッチング素子S3のターンオン時は、図6において、Gs1→Gs3、Gs4→Gs2、Gsa1→Gsa2、Gsa2→Gsa1に置き換わる。
負荷電流Io>0での第3メインスイッチング素子S3のターンオフ時は、図12において、Gs1→Gs3に置き換わる。
負荷電流Io<0での第3メインスイッチング素子S3のターンオフ時は、図12において、Gs1→Gs3、Gsa2→Gsa1、Gsa1→Gsa2に置き換わる。
これらの動作を以下の表2,表3に示す。
第1,第3メインスイッチング素子S1,S3のターンオン時
Figure 2019140890
第1,第3メインスイッチング素子S1,S3のターンオフ時
Figure 2019140890
図14〜図17に、本実施形態1におけるスイッチング素子のターンオン,ターンオフ時の各部の電圧・電流波形のシミュレーション結果を示す。
図14に第1メインスイッチング素子S1のIGBTがターンオフした時の電圧および電流波形を示す。図15に第1メインスイッチング素子S1のIGBTがターンオンした時の電圧および電流波形を示す。図16に第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードがターンオフした時の電圧および電流の波形を示す。図2、図3および図4と比較して、シミュレーション結果から、本実施形態がスイッチング損失を低減し、ダイオード逆回復の影響を抑制していることがわかる。
図14において、時刻aまでの波形がIGBTを流れる電流is1である。時刻a以降は、IGBTを流れる電流is1≒0である。時刻aから時刻bまでの波形がダイオードを流れる電流is1である。時刻a以前と時刻b以降では、フリーホイールダイオードを流れる電流is1≒0である。時刻bからの波形がVS1(第1メインスイッチング素子S1のコレクタ−エミッタ間電圧)である。時刻b以前は、VS1≒0である。
図15において、時刻aまでの波形が電圧VS1である。時刻a以降は、VS1≒0である。時刻aから時刻bまでの波形がフリーホイールダイオードに流れる電流is1である。時刻a以前と時刻b以降では、フリーホイールダイオードを流れる電流is1≒0である。時刻b以降の波形がIGBTを流れる電流is1である。時刻b以前は、IGBTを流れる電流is1≒0である。
図16において、時刻aまでの波形がダイオードを流れる電流is4である。時刻a以降は、ダイオードを流れる電流is4≒0である。時刻a以降の波形がVS4である。時刻a以前は、VS4≒0である。
本実施形態1の対称性により、第3メインスイッチング素子S3および第2メインスイッチング素子S2の動作におけるソフトスイッチング性能は、第1メインスイッチング素子S1および第4メインスイッチング素子S4の動作と同じである。図17は第2メインスイッチング素子S2のフリーホイールダイオードにおけるターンオフの波形を示しており、図16とほぼ同じ図であるが、図42に示すように、非特許文献1と同様、十分なエネルギーと電圧Vs2の緩やかな立ち上がりにより、ゼロ電流およびゼロ電圧状態で第2メインスイッチング素子S2を強制的にオフにする。
図17において、時刻aまでの波形がフリーホイールダイオードを流れる電流is2である。時刻a以降は、フリーホイールダイオードを流れる電流is2≒0である。時刻a以降の波形が電圧VS2である。時刻a以前は、VS2≒0である。
以上示したように、本実施形態1によれば、以下の(a)〜(c)により、非特許文献1に比べてスイッチング損失をさらに低減することが可能となる。
(a)図3(a)に示すように、第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオン損失はゼロである。
(b)第1メインスイッチング素子S1のIGBTのターンオフ損失がさらに低減される。図11(a)に示すように、IGBTのターンオフはダイオードのターンオフとなり、非特許文献1と同様である。しかしながら、第1スナバコンデンサCs1および第2スナバコンデンサCs2のために、電圧及び電流の交差領域はより小さくなる。たとえば、図11(a)は、図39と比較して損失は減少している。
(c)図3(b)は、図41と比較して、第1スナバコンデンサCs1および第2スナバコンデンサCs2により、ダイオード逆回復による電力損失が最小限に抑えられている。
よって、3レベル電力変換装置の効率を向上できる。
以下に二次的な効果を示す。
(ダイオード逆回復の影響の抑制)
ダイオード逆回復によるスイッチング損失に加えて、第1,第2スナバコンデンサCs1,Cs2によって電圧リップルも抑制される。よって、スイッチング素子が過電圧破壊しにくくなり、3レベル電力変換装置の信頼性が向上する。
(電圧ストレスを低減する)
各ソフトスイッチング動作では、第1補助スイッチング素子Sa1と第2補助スイッチング素子Sa2の両方がターンオンするため、第1,第2コンデンサ電圧Vca1,Vca2は図3(c)と図11(c)に示すように低減される。したがって、一方のみがターンオンしたときの第1コンデンサ電圧Vca1と第2コンデンサ電圧Vca2との差である第1補助スイッチング素子Sa1と第2補助スイッチング素子Sa2の印加電圧は自動的にクランプされる。
各コンデンサヘの印加電圧を低減することで、第1,第2コンデンサCa1,Ca2を小型化することが可能となる。これにより、3レベル電力変換装置を小型化できる。
(小型化、低コスト化)
印加電圧を自動的に低減できるため、電圧クランプには図38に示すダイオードDaのような特別な部品は必要ない。ダイオードDaが不要となるため、3レベル電力変換装置を小型化、低コスト化することが可能となる。
(第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4のPWM制御は影響を受けない)
本実施形態1のZVZCTソフトスイッチング動作は、特別なPWM方式を必要としない。したがって、第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4のPWM制御は一般的な方式を用いることができ、制御構成が複雑になることを抑制することができる。
(メインスイッチング素子の電圧ストレスは増加しない)
ソフトスイッチングの共振経路はメインスイッチング素子と並列であるため、第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4の電圧ストレスは増加しない。
(種々のスイッチング素子に適している)
図38に示すZCTは主に、スイッチング素子のターンオフ損失を低減するためのもので、末尾電流によるターンオフ損失が大きいため、IGBT、BJT、GTOなどの限られたスイッチング素子にのみ適している。しかし、本実施形態1のZVZCTは、種々のスイッチング素子に適している。MOSFET、IGBT、GTO、サイリスタなどでは、ゼロ電圧とゼロ電流の両方のスイッチングが可能となる。
[実施形態2]
図18に、本実施形態2におけるZVZCTの3レベル電力変換装置の回路構成を示す。実施形態1と同様の箇所は同一の符号を付し、その説明を省略する。
図18に示すように、本実施形態2のZVZCTの3レベル電力変換装置は、Tタイプの3レベルコンバータである。第1直流電源E1の正極側と第2直流電源E2の負極側との間に第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4が直列接続される。
第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4の共通接続点には、LC共振回路の一端が接続される。LC共振回路の他端は第1,第3メインスイッチング素子S1,S3の共通接続点に接続される。LC共振回路は第3リアクトルLa3と第3コンデンサCa3とが直列接続される。第3リアクトルLaと第3コンデンサCa3の接続順序は逆でも良い。
なお、図18の回路において、第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4のスイッチングパターンは、出力電圧(図18のO端子−N端子間の電圧)の指令値によって定まる。第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4のスイッチングパターンを表4に示す。なお、図18の上アーム側の第1直流電源E1と下アーム側の第2直流電源E2の電圧は共にEとする。
Figure 2019140890
まず、図19に示すように、負荷電圧(出力電圧)と負荷電流の方向に基づいて4つの動作領域(Zone)を定義する。ここで、負荷電流Ioは、図18に示すように、電力変換装置から負荷に流れる電流を正とする。
すなわち、負荷電圧が正、負荷電流が負の場合、領域1とし、負荷電圧が正、負荷電流が正の場合、領域2とし、負荷電圧が負、負荷電流が正の場合、領域3とし、負荷電圧が負、負荷電流が負の場合、領域4とする。
次に、図20に示すように、負荷電流をノーマルエリア、ストップエリア、ゼロクロスエリアの3つの電流エリアに分割する。負荷電流の絶対値がストップエリア閾値より大きい場合ノーマルエリアとし、負荷電流の絶対値がストップエリア閾値以下でゼロクロスエリア閾値以上の場合ストップエリアとし、負荷電流の絶対値がゼロクロスエリア閾値未満の場合ゼロクロスエリア閾値とする。
本実施形態2のソフトスイッチング制御方式は、4つの動作領域と3つ電流エリアで異なる。
(a)ノーマルエリアにおける4つの動作領域の制御方式
領域1(V+、I−)
第4メインスイッチング素子S4がターンオフしている場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZCTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフする。第4メインスイッチング素子S4ターンオン時において、Vca≦−Eの場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフし、Vca>−Eの場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフする。なお、コンデンサ電圧Vcaの方向は図18に示されている。
領域2(V+、I+)
第1メインスイッチング素子S1がターンオフしている場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZCTソフトスイッチング),第4補助スイッチング素子Sa4をオフする。第1メインスイッチング素子S1ターンオン時において、Vca>0の場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフし、Vca≦0の場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフする。
領域3(V−、I+)
第2メインスイッチング素子S2がターンオフしている場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZCTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフする。第2メインスイッチング素子S2ターンオン時において、Vca>Eの場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフし、Vca≦Eの場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフにする。
領域4(V−、I−)
第3メインスイッチング素子S3がターンオフしている場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZCTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフする。第3メインスイッチング素子S3ターンオン時において、Vca≦0の場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフし、Vca>0の場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフにする。
(b)ストップエリアにおける4つの動作領域の制御方式
負荷電流が小さい場合、メインスイッチング素子(IGBT)のターンオフ時のZCTソフトスイッチングに起因する電力損失(主に導通損失)がメインスイッチング素子のスイッチング損失低減よりも大きくなる可能性がある。この場合、第3補助スイッチング素子Sa3と第4補助スイッチング素子Sa4による導通損が、メインスイッチング素子のターンオフ損失の低減分よりも大きくなる。したがって、メインスイッチング素子(IGBT)のオフ時にZCTソフトスイッチングを停止する必要がある。
しかし、メインスイッチング素子(IGBT)のターンオン時に第1,第2スナバコンデンサCs1,Cs2を放電するためにはZVTソフトスイッチングが必要となる。そこで4つの動作領域における制御方式は以下のようになる。
領域1(V+、I−)
第4メインスイッチング素子S4のターンオフの間、ZCTを停止し、第3補助スイッチング素子Sa3と第4補助スイッチング素子Sa4の両方をオフに保つ。第4メインスイッチング素子S4ターンオン時において、Vca>−Eの場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフする。第4メインスイッチング素子S4ターンオン時において、Vca≦−Eの場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフにする。
領域2(V+、I+)
第1メインスイッチング素子S1のターンオフの間、ZCTを停止し、第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4の両方をオフにする。第1メインスイッチング素子S1ターンオン時において、Vca≦0の場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフする。第1メインスイッチング素子S1をターンオン時において、Vca>0の場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフにする。
領域3(V−、I+)
第2メインスイッチング素子S2のターンオフの間、ZCTを停止し、第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4の両方をオフに保つ。第2メインスイッチング素子S2ターンオン時において、Vca≦Eの場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフする。第2メインスイッチング素子S2ターンオン時において、Vca>Eの場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフにする。
領域4(V−、I−)
第3メインスイッチング素子S3のターンオフの間、ZCTを停止し、第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4の両方をオフに保つ。第3メインスイッチング素子S3ターンオン時において、Vca>0の場合、第4補助スイッチング素子Sa4をオン(ZVTソフトスイッチング)、第3補助スイッチング素子Sa3をオフする。第3メインスイッチング素子S3ターンオン時において、Vca≦0の場合、第3補助スイッチング素子Sa3をオン(ZVTソフトスイッチング)、第4補助スイッチング素子Sa4をオフにする。
なお、ZCTの停止は必須ではない。電力損失を重視しないのであれば、ZCTを行ってもよい。ZCT停止期間中、第1,第2スナバコンデンサCs1,Cs2は負荷電流Ioによって充電される。
(c)ゼロクロスエリアにおける4つの動作領域のIGBTターンオフのZVT制御方式
以下の2つの状況で突入電流が生じるため、負荷電流がゼロに近いときに特別な制御方式が必要となる。
状況1(|Vca|<E)
負荷電流が低すぎる場合、第1,第2スナバコンデンサCs1,Cs2を充電する能力を失って方向が変わるため突入電流が発生することがある。
領域2を例にとると、通常、負荷電流が十分に高い場合、図21(a)に示すように、第1メインスイッチング素子S1のオフ後に第1スナバコンデンサCs1を充電する(または、第2スナバコンデンサCs2を放電する)ことができる。
したがって、第1スナバコンデンサ電圧Vcs1はすぐにE以上に達し、第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードを突入電流なしでオンさせることができる。
負荷電流Ioがゼロに近くなり方向が変わると、第1スナバコンデンサCs1の充電期間は長くなる。この期間が第1メインスイッチング素子S1のデッドタイムよりも長くなると、例えば、Vcs1<Eの場合、第4メインスイッチング素子S4のIGBT部分は図21(b)のようにすぐにオンになる。この場合、伝導ループが非常に低いインピーダンスとなるため、第4メインスイッチング素子S4を通る突入電流が発生する。
状況2(|Vca|>E)
小さな負荷電流によってスナバコンデンサCsの長い充電期間中に不必要な共振経路が形成されると、突入電流が発生する可能性がある。
領域2を例にとると、この領域の第3コンデンサCa3のコンデンサ電圧Vcaは負であり、図22(a)に示すような方向(+側が正電位)となる。第1メインスイッチング素子S1のターンオフ後、第1スナバコンデンサCs1の充電期間は非常に長くなる。したがって、フリーホイールダイオードが導通しないので、第4メインスイッチング素子S4はオフのままである。
しかし、第1スナバコンデンサ電圧Vcs1が増加すると、第2スナバコンデンサ電圧Vcs2が減少し、|Vca|>|Vcs2|の場合、第3コンデンサCa3が第4補助スイッチング素子Sa4,第3リアクトルLa3を介して第2スナバコンデンサCs2を充電する。これにより、図22(a)に示すようなLC共振経路が形成される。この不要な共振は、第1スナバコンデンサCs1の充電プロセス(または第2スナバコンデンサCs2の放電期間)をさらに長くする。第4メインスイッチング素子S4のオン指令が来たときに第1スナバコンデンサ電圧Vcs1が電源電圧Eより小さいと、図22(b)のIs4に示すように突入電流が発生する。
したがって、メインスイッチング素子(IGBT)のターンオンとターンオフの両方の期間にZVT制御が必要となる。メインスイッチング素子(IGBT)のターンオン時には、ZVTソフトスイッチングはメインスイッチング素子(IGBT)がターンオンする前にスナバコンデンサCsを放電し、メインスイッチング素子(IGBT)のターンオフ時には前述のようにメインスイッチング素子(IGBT)のターンオフ後にスナバコンデンサCsを充電する。
領域1(V+、I−)
(i)第4メインスイッチング素子S4がターンオフの場合、Vca>0のときに第4補助スイッチング素子Sa4をオンにし(図18および図23参照)、Vca≦0のとき第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
(ii)第4メインスイッチング素子S4のターンオンの場合、Vca>−Eのときに第4補助スイッチング素子Sa4をオンにし、Vca≦−Eのときに第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
領域2(V+、I+)
(i)第1メインスイッチング素子S1のターンオフの場合、Vca>−Eのときに第4補助スイッチング素子Sa4をオンにし、Vca≦−Eのとき第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
(ii)第1メインスイッチング素子S1のターンオンの場合、Vca>0のとき第4補助スイッチング素子Sa4をオンにし、Vca≦0のときに第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
領域3(V−、I+)
(i)第2メインスイッチング素子S2のターンオフの場合、Vca>0のときに第4補助スイッチング素子Sa4をオンにし、Vca≦0のときに第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
(ii)第2メインスイッチング素子S2のターンオンの場合、Vca>Eのときに第4補助スイッチング素子Sa4をオンにし、Vca≦E(Vca<0を含む)のときに第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
領域4(V−、I−)
(i)第3メインスイッチング素子S3のターンオフの場合、Vca>Eのときに第4補助スイッチング素子Sa4をオンにする。Vca≦E(Vca<0を含む)のときに第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
(ii)第3メインスイッチング素子S3のターンオンの場合、Vca>0のときに第4補助スイッチング素子Sa4をオンにする。Vca≦0のときに第3補助スイッチング素子Sa3をオンにする。
3つの電流エリア全体の制御フローチャートを図24に示す。領域2を例に説明する。
St1において、第1メインスイッチング素子S1がターンオンしているか、ターンオフしているか判定する。第1メインスイッチング素子S1がターンオンしている場合、St2に移行し、第1メインスイッチング素子S1がターンオフしている場合St3に移行する。
St2において、第3コンデンサ電圧Vcaが0より大きいか否か判定する。第3コンデンサ電圧Vcaが0より大きい場合、第4補助スイッチング素子Sa4をZVTソフトスイッチングでターンオンし、第3コンデンサ電圧Vcaが0以下の場合、第3補助スイッチング素子Sa3をターンオンする。
St3において、負荷電流Ioの絶対値がストップエリア閾値I_stopより小さいか否かを判定する。負荷電流Ioの絶対値がストップエリア閾値I_stop以上の場合、第3補助スイッチング素子Sa3をターンオンし、負荷電流Ioの絶対値がストップエリア閾値I_stopよりも小さい場合、St4に移行する。
St4において、負荷電流Ioの絶対値が第1ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing1以下か否かを判定する。負荷電流Ioの絶対値が第1ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing1以下の場合、St5に移行し、負荷電流Ioの絶対値が第1ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing1より大きい場合、第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4をターンオンしない。
St5において、第3コンデンサ電圧Vcaが電源電圧(−E)以下か否かを判定する。第3コンデンサ電圧Vcaが電源電圧(−E)以下の場合、第3補助スイッチング素子Sa3をZVTソフトスイッチングでターンオンし、第3コンデンサ電圧Vcaが電源電圧(−E)より大きい場合、St6に移行する。
St6において、負荷電流Ioの絶対値が第2ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing2以下か否かを判定する。負荷電流Ioの絶対値が第2ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing2以下の場合、第4補助スイッチング素子Sa4をZVTソフトスイッチングでターンオンし、負荷電流Ioの絶対値が第2ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing2より大きい場合、第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4をターンオンしない。
第1メインスイッチング素子S1を該当するメインスイッチング素子に置き換えることで、他の領域にも適用できる。(領域1は第4メインスイッチング素子S4、領域3の第2メインスイッチング素子S2および領域4の第3メインスイッチング素子S3)さらに、図24のA,B,Cの判定式は、領域によって以下の表5のように置き換わる。
Figure 2019140890
また、判定式A,BのVcaは、第3補助スイッチング素子Sa3または第4補助スイッチング素子Sa4がターンオンする直前の第3コンデンサCa3の電圧を検出する(例:図27のt0でのVca、図35のt2でのVca)。
ここで、ストップエリア閾値I_stopは、スイッチング素子の特性に応じて決定されるストップエリアの閾値である。第1ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing1および第2ゼロクロスエリア閾値I_zero_crossing2は、ゼロクロスエリアの2つの閾値であり、以下の(26)式、(27)式のように計算できる。すなわち、状況1(|Vca|<E)の場合は、第2ゼロクロスエリア閾値、状況2(|Vca|>E)の場合は第1ゼロクロスエリア閾値として使用する。
Figure 2019140890
(26)式は状況2によって決定され、T’a=2π√(La・2Csa/(Ca+2Cs))となる。Laは第3リアクトルLa3のインダクタンス、Csは第1,第2スナバコンデンサCs1,Cs2の静電容量、Caは第3コンデンサCa3の静電容量を示す。(27)式は状況1によって決定され、Tdeadtimeはメインスイッチング素子のデッドタイムである。kは係数であり、1.1〜1.3の間で選択できる。
したがって、以上の説明から、メインスイッチング素子(IGBT)のターンオン期間にはZVTソフトスイッチングが適用されなければならない。また、メインスイッチング素子(IGBT)のターンオフには3つの電流エリアに基づいてソフトスイッチング方式が選択されていることが分かる。
(1)ノーマルエリア(高電流)でのZCTソフトスイッチング。
(2)ストップエリア(低電流)でのソフトスイッチング動作なし。
(3)ゼロクロスエリアにおけるZVTソフトスイッチング。
通常、第3補助スイッチング素子Sa3と第4補助スイッチング素子Sa4の動作は別々に行われる。例えば、それらのうちの1つだけがメインスイッチング素子(IGBT)のターンオンまたはターンオフのためにスイッチングしている。しかしながら、第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4は直列接続されているため、図25に示すような誤動作の場合に第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4の同時オンを回避するためのインターロック装置が必要となる。
図25に示すように、NOT回路11は信号Sa4−inを反転し、NOT回路12は信号Sa3−inを反転する。遅延回路13は、信号Sa4−inの反転信号の前回値を格納および出力する。遅延回路14は信号Sa3−inの反転信号の前回値を格納および出力する。AND回路15は、信号Sa4−inの反転信号の前回値および現在値の両方が「1」で信号Sa3−inが「1」の場合、「1」を、それ以外の場合「0」を信号Sa3−outとして出力する。AND回路16は、信号Sa3−inの反転信号の前回値および現在値の両方が「1」で信号Sa4−inが「1」の場合「1」を、それ以外の場合「0」を、信号Sa4−outとして出力する。信号Sa3−out,Sa4−outを第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4に入力し、第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4をオンオフする。
以下の説明では動作領域2を例にとって動作原理を説明するが、他の領域も動作原理は同様である。
(ノーマルエリア)
(第1メインスイッチング素子S1ターンオン(ZVT)のソフトスイッチング処理)
この工程では、第1メインスイッチング素子S1は「オフ」から「オン」に変化している。したがって、第1メインスイッチング素子S1のオン指令が来る前にVs1をEからゼロに放電しなければならない。さもなければ、第1メインスイッチング素子S1がオンになった後に第1メインスイッチング素子S1を通して大きな放電電流が流れる。第1メインスイッチング素子S1がターンオンする前にVs1をゼロに放電し、ZVTソフトスイッチングにより、零電圧条件下で第1メインスイッチング素子S1をターンオンする。
そのため、第1メインスイッチング素子S1をオンにする前に、第4補助スイッチング素子Sa4をオンする。第4補助スイッチング素子Sa4をオンした場合の等価回路を図26(a)に示す。図26(a)に示すように、第4補助スイッチング素子Sa4を先にオンすると、S4、La3、Ca3、Sa4および第2直流電源E2を介してLC共振回路が形成される。電源電圧Eと第3コンデンサCa3の初期電圧Vca(t0)の方向は同じであるため、図26(a)と図27に示すように、電源Eとコンデンサ電圧Vca(t0)の両方がソフトスイッチングをサポートするエネルギーを供給する。
ωt≧πのとき、電流iaはその方向を変え、電流is4は零に減少する。そして、第4メインスイッチング素子S4のフリーホイールダイオードは逆回復動作を行う。t1において、電流is4がダイオード逆回復電流Irrmに達する。その後、第4メインスイッチング素子S4はターンオフを開始し、電流は指数関数Irrm-t/τ(非特許文献5参照)として減衰する。一方、電流iaは第1スナバコンデンサCs1と第2スナバコンデンサCs2を放電および充電させる。この期間の現象を説明する等価回路を図26(b)に示し、波形を図27のt1〜t2として示す。
第1スナバコンデンサCs1が完全に放電された後、第1メインスイッチング素子S1はフリーホイールダイオードが導通してオンになり、図26(c)および図27(t2以降)に示すように、第1メインスイッチング素子S1にオン指令が入ると緩やかにIGBT導通モードに移行する。
したがって、第1メインスイッチング素子S1のターンオン損失はゼロとなる。ダイオード逆回復による第4メインスイッチング素子S4のターンオフ損失は、第1,第2スナバコンデンサCs1,Cs2の充放電動作によって電圧Vs4が徐々に上昇することによって大きく減少する。したがって、ZVTソフトスイッチングが達成される。
(第1メインスイッチング素子S1ターンオフ(ZCT)のソフトスイッチング処理)
この処理では、第1メインスイッチング素子S1をターンオフする前に、第3補助スイッチング素子Sa3をターンオンする。図28(a)に示すように、LC共振回路が形成され、第3コンデンサCa3に蓄えられたエネルギーのみがこのソフトスイッチング処理の電源となる。
電流iaは負荷電流Ioと同じ方向を持つため、電流is1は強制的にゼロまで減少し、次に第1メインスイッチング素子S1のフリーホイールダイオードを導通し、最後にターンオフする。この期間の等価回路および電圧・電流波形を図28および図29に示す。
図29に示す波形から、第1スナバコンデンサCs1充電処理(t1〜t2)により第1スナバコンデンサ電圧Vcs1がゆっくりと上昇することが分かる。したがって、第1メインスイッチング素子S1の回復電流とその電圧の交差領域はより小さくなり、ターンオフ損失を低下させる。
(ストップエリア)
(第1メインスイッチング素子S1ターンオン時のソフトスイッチング処理)(ZVT)
この領域では、第1メインスイッチング素子S1のターンオンにはまだZVTソフトスイッチングが適用される。ただし、ノーマルエリアにおいて第4補助スイッチング素子Sa4で動作を実行したが、ストップエリアでは第3補助スイッチング素子Sa3で動作を実行する。その理由は、第1メインスイッチング素子S1(IGBT)のターンオフ時にZCTのソフトスイッチングを停止させると、コンデンサ電圧Vcaが負方向に維持されるためである。
したがって、第3補助スイッチング素子Sa3を使用すると、コンデンサ電圧Vcaと電源電圧Eの両方を使用して、図30(a)に示すような同じ電圧方向のソフトスイッチングのエネルギーを供給することができる。
ソフトスイッチング電流iaと負荷電流Ioの方向が同じであるため、図31に示すように、電流is4がゼロに減少し、ωt<π以内で逆回復することを除いて、この領域でのZVTソフトスイッチングの動作原理はノーマルエリアと同様となる。
(第1メインスイッチング素子S1ターンオフ時のソフトスイッチング停止)
第1メインスイッチング素子S1のターンオフ時の電圧・電流波形を図32に示す。ソフトスイッチング制御は停止しているが、負荷電流によって充電された第1スナバコンデンサCs1と第2スナバコンデンサCs2により、第1メインスイッチング素子S1の電圧Vs1はt0からt1にゆっくりと上昇する。そのため、ZVTソフトスイッチングとなってスイッチング損失が低減される。
|Vca|>Eの場合には、第4メインスイッチング素子S4がオフされた後(t1)、図32および図33に示すように、第3コンデンサCa3の電荷が第4補助スイッチング素子Sa4、第4メインスイッチング素子S4および第3リアクトルLa3を介して放電される。この処理は、ストップエリアの制御方式において、コンデンサ電圧Vcaの過電圧を避けることに役立つ。図31,図34から、第1メインスイッチング素子S1のターオン時の第3コンデンサCa3の終了電圧Vca(t3)は、その開始電圧Vca(t0)よりも大きいことが分かる(|Vca(t3)|>|Vca(t0)|)。したがって、前述のような放電がなければ、過電圧が容易に発生する。
(ゼロクロスエリア)
(第1メインスイッチング素子S1ターンオン時(ZVT)のソフトスイッチング処理)
この電流領域では、依然としてZVTソフトスイッチングの動作が必要である。波形と動作原理は他の電流エリアと同様である。実際、第1メインスイッチング素子S1のターンオンのソフトスイッチング制御方式は、図24のフローチャートから分かるように、Vcaの方向にのみ依存し、どの領域でも実施できる。
(第1メインスイッチング素子S1ターンオフ時のソフトスイッチング処理(ZVT))
図35に示されているように、t0の前にソフトスイッチング指令は出されない。したがって、ZCTソフトスイッチングは依然として停止している。t0後に、第1メインスイッチング素子S1オフ後の第1スナバコンデンサCs1を充電する負荷電流は非常に小さいため、第1スナバコンデンサ電圧Vcs1はゆっくりと増加し、第2スナバコンデンサ電圧Vcs2は減少する。
|Vca|>Vcs2のとき、第3コンデンサCa3の電荷が第2スナバコンデンサCs2に放電され、第4補助スイッチング素子Sa4(図22(a))に不要な共振経路が形成される。そのため、t1〜t2において第2スナバコンデンサ電圧Vcs2が増加し、第1スナバコンデンサ電圧Vcs1が減少する。
しかし、t2において、第3補助スイッチング素子Sa3がオンにされて上記の不要な共振が停止する。第1スナバコンデンサ電圧Vcs1が急速に放電され、第1メインスイッチング素子S1のフリーホイールダイオードがオンになる。しかし、電流iaがその方向を変えた後、第4メインスイッチング素子S4のオン指令がくる前に、ソフトスイッチング電流により、第1スナバコンデンサ電圧Vcs1が電源電圧Eに充電される。したがって、図22(b)と異なり、突入電流が第4メインスイッチング素子S4を流れることなく、第4メインスイッチング素子S4はゼロ電圧状態(ZVT)でターンオンする。
(ソフトスイッチング時間の決定)
ソフトスイッチング時間の決定のために、図36(a)に示すように、非特許文献5でマクロモデルと呼ばれる以下のダイオードモデルが適用される。
このダイオードモデルでは、ダイオード電流IFO(IFOはダイオードの定格電流である)を流したときのデータシート値または試験結果からIrrm(ダイオード逆回復電流)、trr(逆回復時間)、dIr/dtが得られ、さらに(28)式、(29)式からパラメータL、RおよびKを得ることができる。
LとRには自由度がある。通常、Lはダイオード接合電圧に比べてVLを無視できるように10pHなど非常に小さな値が設定される。なお、Rは図36の抵抗Rの抵抗値、Lは図36のインダクタンスLのインダクタンス値を意味している。
Figure 2019140890
(28)式には、ダイオードのデータシート上に記載されているダイオードに流れる電流がIFOの時のダイオード逆回復電流Irrm,逆回復時間trr,dIr/dtを代入する。
Figure 2019140890
(29)式には、ダイオードのデータシート上に記載されている、ダイオードに流れる電流がIFOの時のダイオード逆回復電流Irrm,dIr/dtを代入する。
(メインスイッチング素子ターンオン時のソフトスイッチング時間)
まず、領域2を例に説明する。図27にノーマルエリアの場合のソフトスイッチング時間Ton_Nを示す。
ソフトスイッチング時間Ton_Nは、図27に示すように、第1の期間Ton_N1と第2の期間Ton_N2の2つの期間に分けることができる。Ton_N1=t1−t0、Ton_N2=t2−t1、Ton_N=Ton_N1+Ton_N2となる。
図26(a)に示す等価回路から、以下の(30)式、(31)式を得ることができる。
Figure 2019140890
ここで、Ioはこのタイミングの負荷電流であり、Iam=(E+Vca(t0))/Zaはソフトスイッチング経路の電流振幅であり、Vca(t0)がコンデンサCaの初期電圧であり、Eが電源電圧である。また、インピーダンスZa=√(La/Ca)、角周波数ωa=1/√(LaCa)、iLはダイオードモデルのLの電流、IRはダイオードモデルのRの電流である。
(30)式と(31)式を解くと、電流iLは以下の(32)式のように表される。
Figure 2019140890
そして、図36(a)に示す理想ダイオードを通る電流IDは、以下の(12)式となる。
Figure 2019140890
第1の期間Ton_N1は、第4補助スイッチング素子Sa4をオンしてから電流is4がダイオード逆回復電流Irrmに達する時刻である。この時刻ではIDはゼロとなり、(13)式が成立する。(非特許文献2参照)。
Figure 2019140890
(32)式を(13)式に代入して、(13)式を満たすt(つまり第1の期間Ton_N1)を算出する。ここで算出した第1の期間Ton_N1は、(33)式を満足する。
Figure 2019140890
Vca(t0)は第4補助スイッチング素子Sa4がターンオンする直前(t0)でのコンデンサCaの初期電圧である。
第2の期間Ton_N2を計算するために、図26に示す等価回路を用いる。第2の期間Ton_N2は、以下の(34)式から、スナバコンデンサ電圧Vcs1がゼロに達する時間でなければならない。
Figure 2019140890
Figure 2019140890
Figure 2019140890
Figure 2019140890
(37)式のτには、(28)式で求めた値を代入する。また、(37)式のダイオード逆回復電流Irrmは、図27に示すt1のときの電流is4の値である。よって、(28)式(29)式に代入したダイオード逆回復電流Irrmとは異なる。
(30),(31),(32),(12),(13)式で求めた第1の期間Ton_N1を(37)式に代入し、さらに(37)式のIrrmを(34)式に代入して(8)式を解くことで、第2の期間Ton_N2が算出される。さらに、ソフトスイッチング時間Ton_Nは、以下の(38)式によって算出する。ソフトスイッチング時間Ton_Nはノーマルエリアにおいて、第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4ターンオンのタイミングと第3,第4補助スイッチング素子Sa3,Sa4のターンオンのタイミングとの間の時間となる。
Figure 2019140890
ストップエリアかつ領域2のソフトスイッチング時間Ton_Sを図31に示す。この領域では、図30(a)、(b)に示す等価回路を用いてソフトスイッチング時間Ton_Sを算出する。ソフトスイッチング時間Ton_Sにおける電流ia,電流iL(t)はノーマルエリアでのソフトスイッチング時間Ton_Nにおける電流ia、電流iL(t)の(31)、(32)式と符号が反対の(39)式および(40)式となる。ソフトスイッチング時間Ton_Sはストップエリアにおいて、第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4ターンオンのタイミングと第3,第4補助スイッチング素子ターンオンのタイミングとの間の時間となる。
Figure 2019140890
さらに、(37)、(33)式を下記の(41)、(42)式に置き換える。
Figure 2019140890
Figure 2019140890
そして、(34)式と同様に、Ton_N2の代わりに、Ton_S2を算出する。また、Ton_S1+Ton_S2=Ton_Sとして、ソフトスイッチング時間Ton_Sを算出する。
図35にゼロクロスエリアかつ領域2のソフトスイッチング時間Ton_Zの電流を示す。この領域におけるソフトスイッチング時間Ton_Zは、ソフトスイッチング処理を制御する第3補助スイッチング素子Sa3または第4補助スイッチング素子Sa4の選択に依存する。第4補助スイッチング素子Sa4を選択した(オンさせた)場合、図26に示す等価回路と同じとなり、ソフトスイッチング時間Ton_Nと同じ計算式を使用できる。第3補助スイッチング素子Sa3を選択する(オンさせる)と、ソフトスイッチング時間Ton_Sと同じ計算式を使用できる。
すなわち、領域2で第3補助スイッチング素子Sa3ターンオンの場合(42)式、領域2で第4補助スイッチング素子Sa4ターンオンの場合(33)式と同様にTon_N1,Ton_S1を第1の期間Ton_Z1として算出する。そして、(34)式と同様にTon_N2を第2の期間Ton_Z2として算出し、(38)式と同様にTon_Z1+Ton_Z2=Ton_Zにより、ソフトスイッチング時間Ton_Zを算出する。
(他の動作領域の場合)
領域2と領域4、領域1と領域3は対称化されているため、領域2の方程式は領域4の方程式と同じあり、領域1の方程式は領域3の方程式と同じである。
(Ton_N)
領域2のTon_Nについて導出された式を使用できるが、(31)式、(32)式内のIamにおいて、(43)式、(44)式を用いる。
Figure 2019140890
また、(33)式が以下の(45)式,(46)式に置き換わる。
Figure 2019140890
(Ton_S)
領域1,3,4のストップエリアのソフトスイッチング時間Ton_Sは領域2のソフトスイッチング時間Ton_Sの式を使用することができるが、(39)式、(40)式内のIamは以下の(47)式、(48)式を用いる。
Figure 2019140890
また、(42)式が以下の(49)式,(50)式に置き換わる。
Figure 2019140890
(Ton_Z)
どの補助スイッチング素子を選択するかによって計算式が異なる。領域2と領域4では、第4補助スイッチング素子Sa4をターンオンにする必要があれば、Ton_N(領域2,4)の計算式が使用される。第3補助スイッチング素子Sa3をターンオンする必要がある場合、Ton_S(領域2,4)の式が使用される。
領域1と領域3では、第3補助スイッチング素子Sa3をターンオンする必要があれば、Ton_N(領域1と領域3)の計算式が使用される。第4補助スイッチング素子Sa4をターンオンする必要がある場合、Ton_S(領域1および領域3)の式が使用される。
すなわち、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアにおいて、領域1で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、領域1で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、領域2で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(42)式、領域2で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(33)式、領域3で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、領域3で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、領域4で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(49)式、領域4で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(45)式、に基づいて、Ton_N1,またはTon_S1を第1の期間Ton_Z1として演算する。また、(34)式でTon_N2を第2の期間Ton_Z2として算出し、(38)式と同様に、Ton_Z1+Ton_Z2=Ton_Zにより、ソフトスイッチング時間Ton_Zを算出する。
(IGBTターンオフ時のソフトスイッチング時間)
(Toff_N)
ソフトスイッチング時間Toff_Nは、ノーマルエリアでのIGBTターンオフのソフトスイッチング時間である。図29に示すように、ダイオード逆回復動作はToff_Nの計算には関与しない。図28(a)に示す等価回路のみがソフトスイッチング時間Toff_Nを決定し、以下の(51)式、(52)式、(53)式からソフトスイッチング時間Toff_Nが導出される。図29に示すように、ソフトスイッチング時間Toff_Nは第3補助スイッチング素子Sa3がターンオンするタイミングと第1メインスイッチング素子S1がターンオフするタイミングとの間の時間である。
Figure 2019140890
負荷電流Ioはこの時の負荷電流、Vca(t0)はIGBTがターンオフする直前のコンデンサCaの初期電圧である。
つまり、ソフトスイッチング時間Toff_Nは、電流iaが負荷電流Ioに到達するまでの時間以上の時間幅とする。なお、図29に示すように、第3補助スイッチング素子Sa3はt2〜t3の期間中にオフする。
(Toff_Z)
Toff_Zは、ゼロクロスエリアのメインスイッチング時間(IGBT)ターンオフのソフトスイッチング時間である。図35に示すように、ソフトスイッチング時間(Toff_Z)の計算は、別なメインスイッチング素子(IGBT)のターンオンのタイミング(t4)を基準として行われる。よってToff_Zは、メインスイッチング素子(IGBT)のターンオンのソフトスイッチング時間と同じである。また、どの補助スイッチング素子が選択されているかによって計算式が異なる。
領域2と領域4の場合、第3補助スイッチング素子Sa3が選択されると、領域1と領域3のソフトスイッチング時間Ton_Nを計算するための式が使用される。第4補助スイッチング素子Sa4を選択すると、領域1と領域3のソフトスイッチング時間Ton_Sを計算する式が使用される。
領域1と領域3の場合、第4補助スイッチング素子Sa4が選択されると、領域2と領域4のソフトスイッチング時間Ton_Nを計算するための式が使用される。第3補助スイッチング素子Sa3を選択すると、領域1と領域3のソフトスイッチング時間Ton_Sの式が使用される。なお、図35に示すように、第3補助スイッチング素子Sa3はt2〜t3の期間中にオフする。
すなわち、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアにおいて、領域1で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、領域1で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(33)(45)式、領域2で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、領域2で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、領域3で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、領域3で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(33)(45)式、領域4で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、領域4で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、に基づいて、Ton_N1,Ton_S1を第1の期間Toff_Z1として算出する。また、(34)式でTon_N2を第2の期間Toff_Z2として算出し、(38)式と同様にToff_Z1+ToffZ2=Toff_Zにより、ソフトスイッチング時間Toff_Zを算出する。
図37に示すように、ソフトスイッチングのための成分La、Ca、Cs(通常、Cs1=Cs2=Cs)の値は、以下の処理によって設計される。
St11において、Laの初期値を設定する。
St12において、T’a/4≧(5〜10)τ、T’a=2π√(2LaCs)により、Csを決定する。
St13において、Iam≧Iom+Irrm+Ics1+Ics2により、Iamを計算する。
St14において、Zaを決定する。ZaはE/0.7Iam>Za>E/1.1Iamとする。
St15において、Ca=La/Za2により、Caを計算する。
St16において、Ta=2π√(LaCa)により、Taを計算する。
St17において、Taがπ×Ttran/cos-1(Iom/Iam)以上か否かを判定する。Taがπ×Ttran/cos-1(Iom/Iam)以上であれば、その制御周期での処理を終了する。Taがπ×Ttran/cos-1(Iom/Iam)よりも小さければSt18に移行する。
St18において、Laを調整し、St12にもどる。
ここで、τはダイオードの逆回復時定数であり、デバイスのデータシートまたはテストから得ることができ、(40)式および(41)式となる。
Figure 2019140890
IamはIam≧Iom+Irrm+Ics1+Ics2を満たす必要があるため、Ics1+Ics2はIamを含む方程式(54)および(55)によって計算される。Iamは収束シーケンス法によって得ることができる(この方法については非特許文献5に説明がある)。Iomは負荷電流の振幅である。
Ttranは、IGBTオフ時間toffによって決定される。Ttran≧(1.5〜2)toffに設定する(これは、非特許文献6の116,117,119頁に説明がある)。toffはIGBTのデータシートから得られる。
(本実施形態2の効果)
特許文献1のZCTと比較して、一般的なZVZCTの利点を有する。
(a)メインスイッチング素子(IGBT)ターンオン損失が零となる。デバイス電圧の立ち上がりが遅いためメインスイッチング素子(IGBT)のターンオフ損失とダイオードのターンオフ損失が減少する。よって、メインスイッチング素子の損失が低減して電力変換装置の効率が向上する。
(b)ダイオードの逆回復によって生じる電力損失を低減する。第1,第2スナバコンデンサCs1、Cs2のスナバ機能による電圧リップルが低減される。
(c)種々のスイッチング素子に適している。
第3補助スイッチング素子Sa3または第4補助スイッチング素子Sa4の柔軟な制御によって十分なエネルギーを提供することができる。第3補助スイッチング素子Sa3と第4補助スイッチング素子Sa4の選択可能な制御方法により、ソフトスイッチングのエネルギーは、第3コンデンサCa3と電源Eのエネルギーの両方を用いることができる。すべての電流エリアと全ての動作領域の十分なエネルギーが補償される。
また、回路構成が簡単で、補助部品が少ないため、実装面積が小さくなる。
(自動電圧クランプ)
第3補助スイッチング素子Sa3と第4補助スイッチング素子Sa4は第1,第2直流電源E1,E2に直列接続されているため、最大電圧は2Eに自動クランプされる。よって、追加の電圧クランプ回路または部品は必要ない。よって、構成が簡素となり、小形化、低コスト化しやすくなる。
(メインスイッチング素子のPWM制御に影響ない。)
本実施形態2のZVZCTソフトスイッチング動作は、特別なPWM方式を必要としない。そのため、メインスイッチング素子のPWM制御に影響を与えない。第1〜第4メインスイッチングデバイスS1〜S4のオンオフは、従来の一般的な制御方式を用いればよい。
(メインスイッチング素子の印加電圧は影響を受けない)
ソフトスイッチングの共振経路はメインスイッチング素子と並列であるため、第1〜第4メインスイッチング素子S1〜S4の印加電圧は影響を受けない。図42のような電圧振動はなくなり、メインスイッチング素子が過電圧破壊しにくくなる。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
E1,E2…第1,第2直流電源
S1〜S4…第1〜第4メインスイッチング素子
Cs1,Cs2…第1,第2スナバコンデンサ
Sa1,Sa2…第1,第2補助スイッチング素子
Ca1,Ca2…第1,第2コンデンサ
La1,La2…第1,第2リアクトル
Path1,Path2…第1,第2ソフトスイッチング経路

Claims (5)

  1. 直列接続された第1,第2直流電源と、
    前記第1,第2直流電源に並列接続された第1,第3メインスイッチング素子と、
    前記第1,第2直流電源の共通接続点と、前記第1,第3メインスイッチング素子の共通接続点と、の間に逆直列接続された第4,第2メインスイッチング素子と、
    前記第1メインスイッチング素子に対して並列接続された第1スナバコンデンサと、
    前記第3メインスイッチング素子に対して並列接続された第2スナバコンデンサと、
    前記第2,第4メインスイッチング素子に対して並列接続され、第1補助スイッチング素子と第1コンデンサと第1リアクトルとを直列接続した第1ソフトスイッチング経路と、
    前記第2,第4メインスイッチング素子に対して並列接続され、第2補助スイッチング素子と第2コンデンサと第2リアクトルとを直列接続した第2ソフトスイッチング経路と、
    を備えたことを特徴とする3レベル電力変換装置。
  2. 前記第1メインスイッチング素子のターンオン時に、前記第4メインスイッチング素子のゲート指令信号がオン指令→オフ指令に切り替わった時の前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1,Vca2、負荷電流ioを検出して、ターンオン時の第1,第2初期コンデンサ電圧V’ca1,V’ca2,負荷電流Ioとして出力し、
    前記第3メインスイッチング素子のターンオン時に、前記第2メインスイッチング素子のゲート指令信号がオン指令→オフ指令に切り替わった時の前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1,Vca2、負荷電流ioを検出して、ターンオン時の第1,第2初期コンデンサ電圧V’ca1,V’ca2,負荷電流Ioとして出力する第1サンプルホールド回路と、
    前記第1サンプルホールド回路が出力した第1,第2初期コンデンサ電圧V’ca1,V’ca2,負荷電流Ioに基づいて、ダイオード逆回復電流Irrm,第1ソフトスイッチング時間T1,前記第1ソフトスイッチング時間T1時における前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1(T1),Vca2(T1)を演算する第1演算部と、
    前記負荷電流Ioと前記ダイオード逆回復電流Irrm,前記第1ソフトスイッチング時間T1における前記第1,第2コンデンサ電圧Vca1(T1),Vca2(T1)に基づいて、第2ソフトスイッチング時間T2を演算する第2演算部と、
    前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオフ時に、前記第1、第3メインスイッチング素子のゲート指令信号がオン指令→オフ指令に切り替わる時刻t3よりも共振周期Ta前の時刻での前記第1,第2コンデンサの電圧Vca1,Vca2,負荷電流ioを検出して、ターンオフ時の第1,第2初期コンデンサ電圧V”ca1,V”ca2,負荷電流Ioとして出力する第2サンプルホールド回路と、
    前記負荷電流Ioから、第2補助スイッチング素子Sa2がターンオンした時の第2コンデンサ電圧ベクトルVca2から第1補助スイッチング素子Sa1がターンオンした時の第2コンデンサ電圧ベクトルVca2の角度αを演算するα演算部と、
    前記角度α,前記負荷電流Io,前記ターンオフ時の第1,第2初期コンデンサ電圧V”ca1,V”ca2,から、(23)式〜(25)式により、θ1,θ2を演算する第3演算部と、
    を備え、
    前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオン時、負荷電流Io>0の場合、前記第2補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもTa/2+T1+T2前に設定し、前記第1補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもT1+T2前に設定し、
    前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオン時、負荷電流Io<0の場合、前記第1補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもTa/2+T1+T2前に設定し、前記第2補助スイッチング素子がターンオンとなるタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオンするよりもT1+T2前に設定し、
    前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオフ時、負荷電流Io>0の場合、前記第2補助スイッチング素子がターンオンするタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオフするよりもTa/2+(π−θ2)/ωa前に設定し、前記第1補助スイッチング素子がターンオンするタイミングを前記第1,第3メインスイッチング素子がターンオフするよりも(π+θ1)/ωa前に設定し、
    前記第1,第3メインスイッチング素子のターンオフ時、負荷電流Io<0の場合、前記第1補助スイッチング素子はターンオンするタイミングを第1,第3スイッチング素子がターンオフするよりもTa/2+(π−θ2)/ωa前に設定し、前記第2補助スイッチング素子がターンオンするタイミングを第1,第3メインスイッチング素子がターンオフするよりも(π+θ1)/ωa前に設定することを特徴とする請求項1記載の3レベル電力変換装置。
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Za=√(La/Ca):インピーダンス
    β=180°−α
    E:第1,第2直流電源の電圧
    La:第1,第2ソフトスイッチング経路のインダクタンス
    Ca:第1,第2コンデンサの静電容量
  3. 直列接続された第1,第2直流電源と、
    前記第1,第2直流電源に並列接続された第1,第3メインスイッチング素子と、
    前記第1,第2直流電源の共通接続点と、前記第1,第3メインスイッチング素子の共通接続点と、の間に逆直列接続された第4,第2メインスイッチング素子と、
    前記第1メインスイッチング素子に対して並列接続された第1スナバコンデンサと、
    前記第3メインスイッチング素子に対して並列接続された第2スナバコンデンサと、
    前記第1直流電源の正極側と前記第2直流電源の負極側との間に直列接続された第3,第4補助スイッチング素子と、
    前記第3,第4補助スイッチング素子の共通接続点と前記第1,第3メインスイッチング素子の共通接続点との間に直列接続された第3コンデンサと第3リアクトルと、
    を備えたことを特徴とする3レベル電力変換装置。
  4. 負荷電圧が正、負荷電流が負の場合、領域1とし、
    負荷電圧が正、負荷電流が正の場合、領域2とし、
    負荷電圧が負、負荷電流が正の場合、領域3とし、
    負荷電圧が負、負荷電流が負の場合、領域4とし、
    前記領域1において、前記第4メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca≦−Eのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、Vca>−Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、
    前記領域2において、前記第1メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、Vca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、
    前記領域3において、前記第2メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca>Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、Vca≦Eのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、
    前記領域4において、前記第3メインスイッチング素子がターンオンしている場合、Vca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、Vca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、
    前記領域1において、前記第4メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流の絶対値がストップエリア閾値より大きいノーマルエリアのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流の絶対値がストップエリア閾値以下でゼロクロスエリア閾値以上のストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流の絶対値がゼロクロスエリア閾値より小さいゼロクロスエリアでVca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、
    前記領域2において、前記第1メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流が前記ノーマルエリアのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca>−Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦−Eのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、
    前記領域3において、前記第2メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流が前記ノーマルエリアのとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca>0のとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンし、
    前記領域4において、前記第3メインスイッチング素子がターンオフしている場合、前記負荷電流が前記ノーマルエリアのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ストップエリアのとき前記第3,第4補助スイッチング素子をオフし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca>Eのとき前記第4補助スイッチング素子をオンし、前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアでVca≦0のとき前記第3補助スイッチング素子をオンすることを特徴とする請求項3記載の3レベル電力変換装置。
  5. 前記第1〜第4メインスイッチング素子のターンオン時において、
    前記負荷電流が前記ノーマルエリアの場合、領域2では(33)式、領域4では(45)式、領域1,3では(46)式に基づいて第1の期間Ton_N1を算出し、(34)式で第2の期間Ton_N2を算出し、(38)式でソフトスイッチング時間Ton_Nを演算し、
    前記負荷電流が前記ストップエリアの場合、領域2では(42)式、領域4では(49)式、領域1,3では(50)式に基づいて第1の期間Ton_S1を算出し、(34)式でTon_N2を第2の期間Ton_S2として算出し、(38)式でTon_Nをソフトスイッチング時間Ton_Sとして演算し、
    前記負荷電流が前記ゼロクロスエリアにおいて、
    前記領域1で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、
    前記領域1で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、
    前記領域2で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(42)式、
    前記領域2で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(33)式、
    前記領域3で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(46)式、
    前記領域3で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(50)式、
    前記領域4で前記第3補助スイッチング素子がターンオンの場合(49)式、
    前記領域4で前記第4補助スイッチング素子がターンオンの場合(45)式、
    に基づいて、Ton_N1,またはTon_S1を第1の期間Ton_Z1として演算し、(34)式でTon_N2を第2の期間Ton_Z2として算出し、(38)式でTon_Nをソフトスイッチング時間Ton_Zとして演算し、
    前記第1〜第4メインスイッチング素子のターンオンのタイミングから前記ソフトスイッチング時間Ton_Nもしくは前記ソフトスイッチング時間Ton_Sもしくは前記ソフトスイッチング時間Ton_Zより前のタイミングを、第3補助スイッチング素子Sa3または第4補助スイッチング素子Sa4のターンオンするタイミングとし、
    前記負荷電流が前記ノーマルエリアにおいて、第1〜第4メインスイッチング素子のターンオフ時には、(51)式を満足するソフトスイッチング時間Toff_Nを演算し、
    前記ノーマルエリアにおいて、前記第1〜第4メインスイッチング素子のターンオフのタイミングから前記ソフトスイッチング時間Toff_Nより前のタイミングを、前記第3補助スイッチング素子または前記第4補助スイッチング素子のターンオンするタイミングとすることを特徴とする請求項4記載の3レベル電力変換装置。
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Figure 2019140890
    Vca:第3コンデンサ電圧
    E:第1,第2直流電源の電圧
    Vca(t0):第3コンデンサの初期電圧
    Cs:第1,第2スナバコンデンサの静電容量
    τ=L/R:パラメータ
    Irrm:ダイオード逆回復電流
    Io:負荷電流
    La:第3リアクトルのインダクタンス
    Ca:第3コンデンサの静電容量
    ωa=1/√(LaCa):角周波数
    Za=√(La/Ca):インピーダンス
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