以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態に係る電子機器の一例としてのネットワークカメラ500の正面図、図1(b)は、第1実施形態に係る電子機器の一例としてのネットワークカメラ500の側面図である。ネットワークカメラ500は、回転ベース501と、回転ベース501上に設けられた一対の支持台502と、一対の支持台502に支持された筐体であるレンズ枠503と、レンズ枠503の前部に設けられたレンズ鏡筒であるレンズユニット504とを有する。回転ベース501の後部には、電源端子505が配置されている。レンズユニット504の姿勢は、回転ベース501に対して可変である。ネットワークカメラ500は、不図示のリモートコントローラにより直接又はネットワークを介して遠隔操作され、レンズユニット504の向き、ズーミング又はフォーカシング等をすることが可能である。
図2は、第1実施形態に係るネットワークカメラ500のブロック図である。ネットワークカメラ500は、デジタルカメラであり、撮像素子600と、撮像素子600にケーブル700によって電気的に接続されたプリント回路板100と、を備える。プリント回路板100は、プリント配線板200を有する。プリント回路板100は、第1素子の一例であるメモリコントローラ301と、第2素子の一例であるメモリデバイス311と、第3素子の一例であるメモリデバイス312と、を有する。メモリデバイス311とメモリデバイス312とは、同じ構成のメモリデバイスである。メモリデバイス311,312は、例えばDDR(Double Data Rate)4のメモリである。プリント回路板100は、コネクタ302、ブリッジチップ303、及びLAN(Local Area Network)用チップ304を有する。メモリコントローラ301、メモリデバイス311,312、コネクタ302、ブリッジチップ303、及びLAN用チップ304は、プリント配線板200に実装されている。
撮像素子600とコネクタ302とは、フレキシブルフラットケーブルなどのケーブル700で電気的に接続されている。コネクタ302とブリッジチップ303とは、プリント配線板200の配線で電気的に接続されている。ブリッジチップ303とメモリコントローラ301とは、プリント配線板200の配線で電気的に接続されている。メモリコントローラ301とLAN用チップ304とは、プリント配線板200の配線で電気的に接続されている。メモリコントローラ301と、2つのメモリデバイス311,312とは、プリント配線板200の配線で電気的に接続されている。
撮像素子600は、図1(a)及び図1(b)に示すレンズユニット504に近接してレンズ枠503の内部に配置されている。撮像素子600は、イメージセンサであり、撮像画像を示す画像データ信号を出力する。撮像素子600は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ又はCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。
ブリッジチップ303は、撮像素子600が出力する信号をメモリコントローラ301にて処理可能な信号に変換する必要がある場合に設けられる部材である。メモリコントローラ301にて撮像素子600の出力信号をそのまま処理することができる場合には、ブリッジチップ303は省略可能である。
メモリコントローラ301及びメモリデバイス311,312は、各々1つの半導体パッケージで構成されている。メモリコントローラ301とメモリデバイス311とは、画像データ信号の送受信が可能となるように、プリント配線板200のデータ信号線で電気的に接続されている。メモリコントローラ301とメモリデバイス312とは、画像データ信号の送受信が可能となるように、プリント配線板200のデータ信号線で電気的に接続されている。
更に、メモリコントローラ301とメモリデバイス311,312とは、プリント配線板200の複数の配線からなるバス配線であるアドレス/コマンド信号線で電気的に接続されている。メモリコントローラ301は、アドレス/コマンド信号線を介して、2つのメモリデバイス311,312に、アドレス信号及びコマンド信号をパラレル伝送方式により送信する。メモリコントローラ301から送信されたアドレス信号及びコマンド信号は、アドレス/コマンド信号線を通じて2つのメモリデバイス311,312に共に受信される。各メモリデバイス311,312は、アドレス信号及びコマンド信号に従って、データの記憶、消去などの処理を行う。
メモリコントローラ301は、メモリデバイス311,312又はブリッジチップ303から取得した画像データ信号を、LAN用チップ304に送信する。LAN用チップ304は、不図示のLANケーブル等を通じて、ネットワークカメラ500の外部に送信することが可能である。
図3は、第1実施形態に係るプリント回路板100の断面図である。図3には、図2に示すメモリデバイス311,312のうちメモリデバイス311のみ図示している。プリント配線板200は、絶縁性を有する基材(例えばエポキシ樹脂)と、配線を構成する導電性を有する導体(例えば銅)と、を有する。配線は基材に設けられている。
プリント配線板200は、6つの配線層201,202,203,204,205,206を有する積層基板である。6つの配線層201〜206は、プリント配線板200の主面に対して垂直な方向であり積層方向でもあるZ方向に、互いに間隔を空けて配置されている。配線層201〜206は、Z方向の一方から他方に向かって、配線層201、配線層202、配線層203、配線層204、配線層205、配線層206の順に配置されている。配線層201,206は、主面、即ち実装面である表層であり、配線層201と配線層206との間にある配線層202〜205は、内層である。なお、配線層201,206上には、不図示のソルダーレジストが配置されていてもよい。
各配線層201〜206には、配線を構成する銅箔などの導体パターン270が配置され、配線層201〜206間には、配線を構成するヴィア導体260が配置されている。ヴィア導体260とは、ヴィアに配置された導体である。本実施形態では、ヴィア導体260は、ビルドアップヴィアである。なお、図3においては、データ信号線やアドレス/コマンド信号線を正確に図示したものではなく、配線層201〜206を説明するためにプリント配線板200の断面を模式的に図示している。
メモリコントローラ301、メモリデバイス311、及び図2に示すメモリデバイス312は、一対の表層である配線層201,206のうち、配線層201に共に実装されている。なお、2つのメモリデバイス311,312は、共に配線層201に実装されているのが好ましいが、一方が配線層201、他方が配線層206に実装されていてもよい。また、メモリコントローラ301は、2つのメモリデバイス311,312と同じ配線層201に実装されているのが好ましいが、配線層206に実装されていてもよい。
配線層206には、コンデンサや抵抗器等の部品が実装されている。配線層202,205は、主にグラウンドとなる導体パターンが配置される層である。第1層である配線層203は、第2層である配線層204に対して相対的に配線層201に近い層である。配線層203,204は、主にデータ信号線やアドレス/コマンド信号線などの信号線となる導体パターンが配置される層である。
メモリコントローラ301及びメモリデバイス311,312の各々は、複数の信号端子、複数の電源端子及び複数のグラウンド端子を有する。メモリコントローラ301及びメモリデバイス311,312の各端子は、BGA(Ball Grid Array)の構造である。メモリコントローラ301及びメモリデバイス311,312は、はんだ付けによりプリント配線板200に接合される。
図4(a)は、第1実施形態に係るプリント回路板100をZ方向に視たときのメモリコントローラ301及びメモリデバイス311,312の模式図である。図4(b)は、第1実施形態に係るプリント回路板100をZ方向に視たときのプリント配線板200の配線の模式図である。
図4(a)に示すように、メモリデバイス311とメモリデバイス312とは、Z方向に対して直交するX方向に間隔を空けて配置されている。また、メモリコントローラ301は、X方向及びZ方向に対して直交するY方向にメモリデバイス311,312と間隔を空けて配置されている。
メモリコントローラ301は、信号端子として、複数の第1送信端子である4つの送信端子351と、複数の第2送信端子である4つの送信端子352と、を有する。メモリデバイス311は、信号端子として、複数の第1受信端子である4つの受信端子361と、複数の第2受信端子である4つの受信端子362と、を有する。メモリデバイス312は、信号端子として、複数の第3受信端子である4つの受信端子363と、複数の第4受信端子である4つの受信端子364と、を有する。即ち、メモリコントローラ301は、8つの送信端子を有し、8ビットのアドレス信号及びコマンド信号を送信することができる。メモリデバイス311,312は、それぞれ8つの受信端子を有し、8ビットのアドレス信号及びコマンド信号を受信することができる。なお、図4(a)において、メモリコントローラ301は、送信端子351,352以外の端子の図示を省略している。メモリデバイス311,312も、受信端子361,362,363,364以外の端子の図示を省略している。なお、メモリコントローラ301の送信端子の数、メモリデバイス311の受信端子の数、及びメモリデバイス312の受信端子の数は、8つに限定するものではない。
図4(b)には、プリント配線板200の配線層203及び配線層204が図示されている。図4(b)において、配線層203に配置された導体パターンを実線、配線層204に配置された導体パターンを破線で図示している。プリント配線板200は、図4(a)に示す送信端子351と受信端子361,363とを電気的に接続する、複数の第1配線である4つの配線251を有する。プリント配線板200は、図4(a)に示す送信端子352と受信端子362,364とを電気的に接続する、複数の第2配線である4つの配線252を有する。これら8つの配線251,252で、アドレス信号及びコマンド信号の伝送路、即ちバス配線であるアドレス/コマンド信号線250が構成されている。なお、アドレス/コマンド信号線250を構成する配線の数は8つに限定するものではない。アドレス/コマンド信号線250を構成する配線の数は、メモリコントローラ301の送信端子の数、メモリデバイス311の受信端子の数、及びメモリデバイス312の受信端子の数に対応させればよい。
プリント配線板200において、図4(a)に示すメモリコントローラ301をZ方向に投影したときの第1領域を領域R1とする。メモリコントローラ301は、Z方向に視て(平面視で)、プリント配線板200の領域R1の位置に配置されている。プリント配線板200において、図4(a)に示すメモリデバイス311をZ方向に投影したときの第2領域を領域R2とする。メモリデバイス311は、Z方向に視て、プリント配線板200の領域R2の位置に配置されている。プリント配線板200において、図4(a)に示すメモリデバイス312をZ方向に投影したときの第3領域を領域R3とする。メモリデバイス312は、Z方向に視て、プリント配線板200の領域R3の位置に配置されている。
図5(a)は、第1実施形態に係るプリント回路板100をZ方向に視たときのプリント配線板200の配線251の模式図である。図5(b)は、第1実施形態に係るプリント回路板100をZ方向に視たときのプリント配線板200の配線252の模式図である。図4(b)と同様に、図5(a)及び図5(b)には、プリント配線板200の配線層203及び配線層204が図示されている。図4(b)と同様に、図5(a)及び図5(b)において、配線層203に配置された導体パターンを実線、配線層204に配置された導体パターンを破線で図示している。
図5(a)に示すように、各配線251は、図4(a)に示すメモリコントローラ301から延びる主配線280と、主配線280から2つに分岐して図4(a)に示すメモリデバイス311,312に延びる分岐配線281,282とを有する。主配線280の一端は、図4(a)に示すメモリコントローラ301の送信端子351に接続されている。主配線280の他端は、分岐配線281の一端、及び分岐配線282の一端に接続されている。分岐配線281の他端は、図4(a)に示すメモリデバイス311の受信端子361に接続されている。分岐配線282の他端は、図4(a)に示すメモリデバイス312の受信端子363に接続されている。このように、各配線251は、いわゆるT分岐構造となっている。
図5(b)に示すように、各配線252は、図4(a)のメモリコントローラ301から延びる主配線285と、主配線285から2つに分岐して図4(a)に示すメモリデバイス311,312に延びる分岐配線286,287とを有する。主配線285の一端は、図4(a)に示すメモリコントローラ301の送信端子352に接続されている。主配線285の他端は、分岐配線286の一端、及び分岐配線287の一端に接続されている。分岐配線286の他端は、図4(a)に示すメモリデバイス311の受信端子362に接続されている。分岐配線287の他端は、図4(a)に示すメモリデバイス312の受信端子364に接続されている。このように、各配線252は、いわゆるT分岐構造となっている。
以下、各配線251及び各配線252について具体的に説明する。図5(a)に示すように、各配線251は、Z方向に視て領域R1,R2,R3の外側に配置された第1ヴィア導体であるヴィア導体261を有する。ヴィア導体261は、図3に示す配線層203と配線層204とに跨って配置されている。図5(b)に示すように、各配線252は、Z方向に視て領域R1,R2,R3の外側に配置された第2ヴィア導体であるヴィア導体262を有する。ヴィア導体262は、図3に示す配線層203と配線層204とに跨って配置されている。本実施形態では、ヴィア導体261は、分岐配線282に含まれ、ヴィア導体262は、分岐配線286に含まれる。
図5(a)に示す各配線251の主配線280は、Z方向に視て、ヴィア導体261から領域R1に向かって延びる第1導体パターンである導体パターン271を有する。本実施形態では、導体パターン271は、Z方向に視て、ヴィア導体261から領域R1の内側まで延びる。図5(b)に示す各配線252の主配線285は、Z方向に視て、ヴィア導体262から領域R1に向かって延びる第2導体パターンである導体パターン272を有する。本実施形態では、導体パターン272は、Z方向に視て、ヴィア導体262から領域R1の内側まで延びる。図5(a)に示す導体パターン271は、配線層203に配置され、図5(b)に示す導体パターン272は、配線層203とは異なる配線層204に配置されている。導体パターン271と導体パターン272とが異なる層に配置されているので、導体パターン271と導体パターン272とは、主配線280,285の幅方向、即ち図4(b)に示すX方向に広がって配置されるのを抑制することができる。これにより、プリント配線板200を小型化することができる。よって、プリント回路板100を小型化することができ、ひいては、図1(a)及び図1(b)に示すネットワークカメラ500を小型化することができる。
各配線251が導体パターン271を有し、各配線252が導体パターン272を有するので、本実施形態では、図5(a)に示す複数(4つ)の導体パターン271と、図5(b)に示す複数(4つ)の導体パターン272とが存在することになる。図5(a)に示す各導体パターン271は、その一部分であって、Y方向に直線状に延びる部分271−1を有する。図5(b)に示す各導体パターン272は、その一部分であって、Y方向に直線状に延びる部分272−1を有する。なお、図5(a)および図5(b)において、部分271−1と部分272−1は全て直線状となっているが、必ずしも直線状である必要はない。
図5(a)に示すY方向に延びる複数の部分271−1は、X方向に互いに間隔を空けて配置されている。図5(b)に示すY方向に延びる複数の部分272−1は、X方向に互いに間隔を空けて配置されている。Z方向に視て、複数の部分271−1が配置される第4領域を領域R4とする。領域R4は、複数の部分271−1のうち、X方向に互いに最も離れた2つの間の領域である。Z方向に視て、複数の部分272−1が配置される第5領域を領域R5とする。領域R5は、複数の部分272−1のうち、X方向に互いに最も離れた2つの間の領域である。なお、図4(b)において、説明の都合上、領域R4およびR5はわずかにX方向にずらして作図している。
図4(b)に示すように、Z方向に視て、領域R4と領域R5とは、一部又は全部、本実施形態では全部が重なっている。領域R4と領域R5との一部が重なる場合は、半分以上が重なるのが好ましい。導体パターン271が配線層203、導体パターン272が配線層204にそれぞれ配置されているため、Z方向に視て、領域R4と領域R5とを重ねることができる。これにより、プリント配線板200を小型化することができる。
なお、複数の配線251のうちのいずれか1つと、複数の配線252のうちのいずれか1つとについて着目すれば、Z方向から視て、部分271−1と部分272−1との一部又は全部が重なるようにすればよい。部分271−1と部分272−1との一部が重なる場合は、半分以上が重なるのが好ましい。なお、図4(b)において、説明の都合上、導体パターン271の部分271−1に対して導体パターン272の部分272−1をわずかにX方向にずらして作図している。
図5(a)に示すように、各配線251の分岐配線281は、Z方向に視て、ヴィア導体261から領域R2に向かって延びる第3導体パターンである導体パターン273を有する。本実施形態では、導体パターン273は、Z方向に視て、ヴィア導体261から領域R2の内側まで延びる。各配線251の分岐配線282は、Z方向に視て、ヴィア導体261から領域R3に向かって延びる第4導体パターンである導体パターン274を有する。本実施形態では、導体パターン274は、Z方向に視て、ヴィア導体261から領域R4の内側まで延びる。導体パターン273は、配線層203に配置され、導体パターン274は、配線層204に配置されている。
各配線251の分岐配線281は、導体パターン273に接続された第3ヴィア導体であるヴィア導体263を有する。ヴィア導体263は、Z方向に視て領域R2の内側に配置されている。ヴィア導体263は、図3に示す配線層201と配線層203とに跨って配置されている。各配線251の分岐配線282は、導体パターン274に接続された第4ヴィア導体であるヴィア導体264を有する。ヴィア導体264は、Z方向に視て領域R3の内側に配置されている。ヴィア導体264は、図3に示す配線層201と配線層204とに跨って配置されている。
図5(b)に示すように、各配線252の分岐配線286は、Z方向に視て、ヴィア導体262から領域R2に向かって延びる第5導体パターンである導体パターン275を有する。本実施形態では、導体パターン275は、Z方向に視て、ヴィア導体262から領域R2の内側まで延びる。各配線252の分岐配線287は、Z方向に視て、ヴィア導体262から領域R3に向かって延びる第6導体パターンである導体パターン276を有する。本実施形態では、導体パターン276は、Z方向に視て、ヴィア導体262から領域R3の内側まで延びる。導体パターン275は、配線層203に配置され、導体パターン276は、配線層204に配置されている。
各配線252の分岐配線286は、導体パターン275に接続された第5ヴィア導体であるヴィア導体265を有する。ヴィア導体265は、Z方向に視て領域R2の内側に配置されている。ヴィア導体265は、図3に示す配線層201と配線層203とに跨って配置されている。各配線252の分岐配線287は、導体パターン276に接続された第6ヴィア導体であるヴィア導体266を有する。ヴィア導体266は、Z方向に視て領域R3の内側に配置されている。ヴィア導体266は、図3に示す配線層201と配線層204とに跨って配置されている。
図5(a)に示すように、各配線251の主配線280は、Z方向に視て領域R1の内側に配置され、導体パターン271に接続されたヴィア導体267を有する。ヴィア導体267は、図3に示す配線層201と配線層203とに跨って配置されている。図5(b)に示すように、各配線252の主配線285は、Z方向に視て領域R1の内側に配置され、導体パターン272に接続されたヴィア導体268を有する。ヴィア導体268は、図3に示す配線層201と配線層204とに跨って配置されている。図5(a)及び図5(b)に示すヴィア導体261,262,263,264,265,266,267,268は、ビルドアップヴィアである。
以上、図5(a)に示す主配線280は、ヴィア導体267及び導体パターン271を有する。分岐配線281は、導体パターン273及びヴィア導体263を有する。分岐配線282は、ヴィア導体261、導体パターン274及びヴィア導体264を有する。なお、図5(a)に示すヴィア導体267と、図4(a)に示すメモリコントローラ301の送信端子351とが、主配線280に含まれる図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにより電気的に接続されている。即ち、メモリコントローラ301の送信端子351は、図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにはんだで接合されている。ヴィア導体263と図4(a)に示すメモリデバイス311の受信端子361とが、分岐配線281に含まれる図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにより電気的に接続されている。即ち、メモリデバイス311の受信端子361は、図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにはんだで接合されている。ヴィア導体264と図4(a)に示すメモリデバイス312の受信端子363とが、分岐配線282に含まれる図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにより電気的に接続されている。即ち、メモリデバイス312の受信端子363は、図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにはんだで接合されている。
図5(b)に示す主配線285は、ヴィア導体268及び導体パターン272を有する。分岐配線286は、ヴィア導体262、導体パターン275及びヴィア導体265を有する。分岐配線287は、導体パターン276及びヴィア導体266を有する。なお、図5(b)に示すヴィア導体268と、図4(a)に示すメモリコントローラ301の送信端子352とが、主配線285に含まれる図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにより電気的に接続されている。即ち、メモリコントローラ301の送信端子352は、図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにはんだで接合されている。ヴィア導体265と図4(a)に示すメモリデバイス311の受信端子362とが、分岐配線286に含まれる図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにより電気的に接続されている。即ち、メモリデバイス311の受信端子362は、図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにはんだで接合されている。ヴィア導体266と図4(a)に示すメモリデバイス312の受信端子364とが、分岐配線287に含まれる図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにより電気的に接続されている。即ち、メモリデバイス312の受信端子364は、図3に示す配線層201に配置された不図示の導体パターンにはんだで接合されている。
図4(a)に示すように、Z方向に視て、メモリデバイス311とメモリデバイス312とはX方向に間隔を空けて互いに対向して配置されている。したがって、図4(b)に示すように、領域R2と領域R3とがX方向に間隔を空けて互いに対向している。複数のヴィア導体261及び複数のヴィア導体262は、X方向において、領域R2と領域R3との間に配置されている。
複数のヴィア導体261は、Z方向に視て、仮想的な第1直線である直線L1上に互いに間隔を空けて配列されている。複数のヴィア導体262は、Z方向に視て、直線L1とは異なる仮想的な第2直線である直線L2上に互いに間隔を空けて配列されている。直線L1と直線L2とは、X方向に間隔を空けて、互いに平行にY方向に延びる仮想的な直線である。つまり、Y方向に並設された複数のヴィア導体261からなるヴィア導体群と、Y方向に並設された複数のヴィア導体262からなるヴィア導体群とが、X方向に間隔を空けて配置されている。複数のヴィア導体261と複数のヴィア導体262とは、千鳥配列となるように、互いにY方向にずれて配置されている。このようにヴィア導体261,262を配列することにより、プリント配線板200を更に小型化することができる。
Z方向に視て、ヴィア導体261に対するヴィア導体262の相対的な位置、ヴィア導体263に対するヴィア導体265の相対的な位置、及びヴィア導体264に対するヴィア導体266の相対的な位置が、互いに同じである。即ち、ヴィア導体261,262の配列、ヴィア導体263,265の配列、及びヴィア導体264,266の配列が、互いに同じである。複数のヴィア導体261及び複数のヴィア導体262のヴィア導体群、複数のヴィア導体263及び複数のヴィア導体265のヴィア導体群、及び複数のヴィア導体264及び複数のヴィア導体266のヴィア導体群のY方向の位置が同じである。これにより、導体パターン273,274,275,276の配線長を短くすることができ、プリント配線板200を更に小型化することができる。本実施形態では、図5(a)に示すように、導体パターン273,274は、X方向に直線状に延びて形成されている。図5(b)に示すように、導体パターン275,276は、X方向に直線状に延びて形成されている。これにより、プリント配線板200を更に小型化することができる。
図5(a)に示すように、導体パターン271において部分271−1に対してヴィア導体261側の部分は、ヴィア導体261に接続するために、屈曲して形成されている。図5(b)に示すように、導体パターン272において部分272−1に対してヴィア導体262側の部分は、ヴィア導体262に接続するために、屈曲して形成されている。導体パターン271,272において屈曲して形成されたヴィア導体261,262側の部分は、複数のヴィア導体261及び複数のヴィア導体262からなるヴィア導体群の外側に配置されている。導体パターン271,272をヴィア導体群の外側に配置することから、ヴィア導体群から引き出す導体パターン273,274,275,276は、導体パターン271,272にショートしないように配列されている。即ち、導体パターン271が配線層203に配置され、導体パターン272が配線層204に配置されているので、導体パターン273,275が配線層203に配置され、導体パターン274,276が配線層204に配置されている。
また、本実施形態では、導体パターン275と導体パターン276とが同じ配線長に形成されている。これにより、分岐配線286の長さ(電気長)と分岐配線287の長さ(電気長)とが同じとなり、電気信号の多重反射によるノイズの発生を抑制することができる。
図6(a)は、第1実施形態に係る配線251の一部分を模式的に表した斜視図である。図6(b)は、第1実施形態に係る配線252の一部分を模式的に表した斜視図である。図6(c)は、第1実施形態に係る配線251,252の一部分を模式的に表した斜視図である。図6(a)に示すように、配線251の導体パターン271は、配線層203に配置され、配線251の導体パターン273は、配線層203に配置され、配線251の導体パターン274は、配線層204に配置されている。図6(b)に示すように、配線252の導体パターン272は、配線層204に配置され、配線252の導体パターン275は、配線層203に配置され、配線252の導体パターン276は、配線層204に配置されている。
図6(a)に示すように、ヴィア導体261のZ方向の中心を通過し、Y方向に延びる仮想的な軸線を軸線C1とする。軸線C1を中心に配線251を180度回転させると、配線251は図6(b)に示す配線252とほぼ同じ配置となる。図6(b)に示すように、ヴィア導体262のZ方向の中心を通過し、Y方向に延びる仮想的な軸線を軸線C2とする。軸線C2を中心に配線252を180度回転させると、配線252は、図6(a)に示す配線251とほぼ同じ配置となる。
図6(a)及び図6(b)に示す配線251,252を、ヴィア導体261,262同士が重ならないように、互いにX方向及びY方向にずらして配置することで、配線251,252同士がショートしないようにすることができる。このような組み合わせの配線251,252を、Y方向に間隔を空けて複数配置することで、図4(b)に示す領域R2と領域R3とを近づけて配置することができる。その際、複数の配線251の導体パターン271同士、複数の配線252の導体パターン272同士がショートしないように、各配線251の導体パターン271及び各配線252の導体パターン272を屈曲して形成すればよい。
(比較例)
図15(a)は、比較例のプリント回路板をZ方向に視たときのプリント配線板200Xの配線の模式図である。比較例のプリント配線板200Xは、図3に示すプリント配線板200と同様、6層の配線層を有する。図15(a)には、第3番目の層である配線層203Xと第4番目の層である配線層204Xが図示されている。図15(a)において、配線層203Xに配置された導体パターンを実線、配線層204Xに配置された導体パターンを破線で図示している。図15(b)は、比較例のプリント回路板をZ方向に視たときのプリント配線板200Xの配線層203Xに配置された配線の模式図である。図15(c)は、比較例のプリント回路板をZ方向に視たときのプリント配線板200Xの配線層204Xに配置された配線の模式図である。
比較例のアドレス/コマンド信号線250Xを構成する複数の配線270Xの各々は、いわゆるT分岐配線であるが、互いにほぼ同じ配列構造となっている。メモリコントローラに対応する領域R1Xにヴィア導体264Xが配置され、2つのメモリデバイスに対応する領域R2X,R3Xにそれぞれヴィア導体262X,263Xが配置されている。領域R2Xと領域R3Xとの間には、ヴィア導体261Xが配置されている。ヴィア導体264Xとヴィア導体261Xとは、配線層204Xに配置された導体パターン271Xで接続されている。ヴィア導体261Xとヴィア導体262Xとは、配線層203Xに配置された導体パターン272Xで接続されている。ヴィア導体261Xとヴィア導体263Xとは、配線層203Xに配置された導体パターン273Xで接続されている。
比較例のアドレス/コマンド信号線250Xは、同じT分岐配線構造の配線270Xを、複数配置したバス配線である。このため、X方向にバス配線幅が広がって配置され、プリント配線板200XをZ方向に視たときの面積が広く、プリント配線板200Xが大型化する。そのため、プリント回路板、ひいては電子機器が大型化する。配線層数を増やしてプリント配線板200XをZ方向に視たときの面積を削減する方法もあるが、プリント配線板200Xの製造費用が増加する。
第1実施形態では、主配線280の導体パターン271と主配線285の導体パターン272とを、配線層203,204に互い違いに配置することで、配線層数を増やさずに、Z方向に視たときのプリント配線板200の面積を小さくすることができる。即ち、プリント配線板200を小型化することができるので、プリント回路板100を小型化することができ、ひいてはネットワークカメラ500を小型化することができる。
また、図2に示す撮像素子600において生成した画像データ信号を、プリント回路板100で処理することにより、波形品質が優れた信号を生成することが可能であり、ユーザに高画質な画像データを提供することができる。
以下、アドレス/コマンド信号線が占有する面積を数値例を挙げて説明する。
(実施例1)
図7は、実施例1のアドレス/コマンド信号線250を示す平面図である。図8は、実施例1のアドレス/コマンド信号線250を示す斜視図である。第1実施形態では、4本の配線251と4本の配線252とで合計8本の配線251,252からなるアドレス/コマンド信号線250を構成する場合について説明した。実施例1では、6本の配線251と6本の配線252とで、合計12本の配線251,252からなるアドレス/コマンド信号線250を構成する場合について説明する。なお、配線251,252の分岐箇所には、抵抗値40[Ω]の不図示の終端抵抗を配置した。
実施例1において、Z方向に視て、1本の主配線のX方向の幅は0.075[mm]であり、2本の主配線のX方向の間隔は0.225[mm]である。Z方向に視て、複数の主配線280,285が占有するX方向の幅W1は1.575[mm]であり、Y方向の長さL1は15.116[mm]である。複数の主配線280,285が占有する領域を長方形とみなした場合、その面積S1(W1×L1)は23.808[mm2]である。
Z方向に視て、1本の分岐配線の幅は0.075[mm]であり、2本の分岐配線のY方向の間隔は0.200[mm]である。Z方向に視て、分岐配線281,282,286,287が占有するY方向の幅W2は3.100[mm]であり、X方向の長さL2は15.920[mm]である。分岐配線281,282,286,287が占有する領域を長方形とみなした場合、その面積S2(W2×L2)は49.352[mm2]である。よって、実施例1のアドレス/コマンド信号線250が占有する面積S(S1+S2)は73.160[mm2]である。
(比較例1)
図16は、比較例1のアドレス/コマンド信号線250Xを示す平面図である。図17は、比較例1のアドレス/コマンド信号線250Xを示す斜視図である。上述の比較例では、8本の配線270Xからなるアドレス/コマンド信号線250Xを構成する場合について説明した。比較例1では、12本の配線270Xからなるアドレス/コマンド信号線250Xを構成する場合について説明する。
Z方向に視て、1本の主配線のX方向の幅は0.075[mm]であり、2本の主配線のX方向の間隔は0.225[mm]である。Z方向に視て、複数の主配線が占有するX方向の幅W1Xは3.375[mm]であり、Y方向の長さL1Xは14.762[mm]である。複数の主配線が占有する領域を長方形とみなした場合、その面積S1X(W1X×L1X)は49.822[mm2]である。
Z方向に視て、1本の分岐配線の幅は0.075[mm]であり、2本の分岐配線のY方向の間隔は0.200[mm]である。Z方向に視て、複数の分岐配線が占有するY方向の幅W2Xは3.100[mm]であり、X方向の長さL2Xは17.710[mm]である。複数の分岐配線が占有する領域を長方形とみなした場合、その面積S2X(W2X×L2X)は54.901[mm2]である。よって、比較例1のアドレス/コマンド信号線250Xが占有する面積SX(S1X+S2X)は104.723[mm2]である。
まず、主配線について実施例1と比較例1とで比較検討する。実施例1の長さL1は、配線設計の関係上、比較例1の長さL1Xに対して僅かに長いが、実施例1の幅W1を比較例1の幅W1Xに対して半分以下にすることができるので、実施例1の面積S1を、比較例1の面積S1Xの半分以下にすることができる。
分岐配線について実施例1と比較例1とで比較検討する。実施例1の主配線の幅W1を、比較例1の主配線の幅W1Xに対して狭くすることができる。その分、実施例1では、2つのメモリデバイスの間隔を詰めて配置することができるため、実施例1の長さL2を、比較例1の長さL2Xに対して短くすることができる。よって、実施例1の面積S2を、比較例1の面積S2Xよりも小さくすることができる。
比較例1の面積SXが104.723[mm2]であるのに対し、実施例1の面積Sが73.160[mm2]であり、アドレス/コマンド信号線250全体として、31.563[mm2](30%)の面積を削減できる。図7において、Z方向に視て、配線層203(図8)における主配線280の領域R4と配線層204(図8)における主配線285の領域R5との重なり部分が多いほど、面積削減の効果が高い。領域R4と領域R5とを一致させることで、最大の面積削減効果を得られる。
(実施例2)
実施例2として、実施例1のアドレス/コマンド信号線250の構成において、寸法を以下の条件として、信号波形のシミュレーションをシミュレータにより行った。シミュレータは、メンター・グラフィックス社製のHyperLynxを用いた。アドレス信号の伝送速度を、1200[Mbps](600[MHz]の擬似ランダム信号)とした。
実施例2におけるプリント配線板200の層構成について説明する。図3に示す配線層201〜206それぞれに配置される導体パターンを構成する銅箔の厚みを、0.012[mm]とした。配線層201の銅箔と配線層202の銅箔との間の絶縁層の厚みを0.060[mm]とした。配線層202の銅箔と配線層203の銅箔との間の絶縁層の厚みを0.060[mm]とした。配線層203の銅箔と配線層204の銅箔との間の絶縁層の厚みを0.200[mm]とした。配線層204の銅箔と配線層205の銅箔との間の絶縁層の厚みを0.060[mm]とした。配線層205の銅箔と配線層206の銅箔との間の絶縁層の厚みを0.060[mm]とした。
実施例2では、図8に示す分岐配線286の導体パターン275と分岐配線287の導体パターン276との長さを等しくした。主配線285の導体パターン272の長さを17.54[mm]とした。分岐配線286の導体パターン275の長さを5.30[mm]とした。分岐配線287の導体パターン276の長さを5.30[mm]とした。第1実施形態では不図示であった、表層である配線層201に配置され、ヴィア導体265に電気的に接続され、図4(a)に示すメモリデバイス311の受信端子362が接合される導体パターン293の長さを、2.51[mm]とした。第1実施形態では不図示であった、表層である配線層201に配置され、ヴィア導体266に電気的に接続され、図4(a)に示すメモリデバイス312の受信端子364が接合される導体パターン294の長さを、2.51[mm]とした。
図9(a)は、実施例2において、メモリデバイス311の受信端子362に受信される信号のシミュレーション波形図である。図9(b)は、実施例2において、メモリデバイス312の受信端子364に受信される信号のシミュレーション波形図である。図9(a)及び図9(b)において、アイパターンの開口を測定した。アイパターンの高さHは474[mV]であった。アイパターンの幅Tは820[psec]であった。
(比較例2)
比較例2として、比較例1のアドレス/コマンド信号線250Xの構成において、寸法を以下の条件として、波形のシミュレーションを、実施例1と同じシミュレータにより行った。また、比較例2のプリント配線板の層構成は、実施例2のプリント配線板の層構成と同じとした。
図17に示す配線270Xでは、一方の分岐配線における導体パターン272Xと他方の分岐配線における導体パターン273Xとの長さが異なる場合が多い。主配線の導体パターン271Xの長さを17.54[mm]とした。一方の分岐配線の導体パターン272Xの長さを4.59[mm]とした。他方の分岐配線の導体パターン273Xの長さを7.45[mm]とした。表層である配線層201Xに配置され、ヴィア導体262Xに電気的に接続され、メモリデバイス311の信号端子が接合される導体パターン274Xの長さを、2.51[mm]とした。表層である配線層201Xに配置され、ヴィア導体266Xに電気的に接続され、メモリデバイス312の信号端子が接合される導体パターン275Xの長さを、2.51[mm]とした。図17に示す分岐箇所Pに、抵抗値40[Ω]の不図示の終端抵抗を配置した。
図18(a)は、比較例2において、メモリデバイス311の受信端子に受信される信号のシミュレーション波形図である。図18(b)は比較例2において、メモリデバイス312の受信端子に受信される信号のシミュレーション波形図である。図18(a)及び図18(b)において、アイパターンの開口を測定した。アイパターンの高さHは381[mV]であった。終端電圧600[mV]におけるアイパターンの幅Tは814[psec]であった。
以上のシミュレーションの結果から、実施例2の構成では、比較例2の構成に対して、アイパターンの高さが93[mV]改善し、アイパターンの幅が6[psec]改善した。等長分岐配線とすることによって、信号の多重反射が抑制され、ノイズを低減することができることが確認された。
[第2実施形態]
第2実施形態のプリント回路板について説明する。第2実施形態のプリント回路板では、プリント配線板における第1配線の一部の構成が第1実施形態と異なる。以下、プリント配線板について説明する。
図10(a)は、第2実施形態に係るプリント配線板の第1配線及び第2配線を示す模式図である。図10(b)は、第2実施形態に係るプリント配線板の第1配線を示す模式図である。図10(c)は、第2実施形態に係るプリント配線板の第2配線を示す模式図である。第2実施形態のプリント配線板200Aは、第1配線である配線251Aと、第2配線である第1実施形態と同様の構成の配線252とを有する。
配線251Aは、第1実施形態と同様、ヴィア導体267、導体パターン271、ヴィア導体261、ヴィア導体263、導体パターン274及びヴィア導体264を有する。配線251Aは、第1層である配線層203に配置され、ヴィア導体261とヴィア導体263とを電気的に接続する、第3導体パターンである導体パターン273Aを有する。この導体パターン273Aの構成が、第1実施形態の導体パターン273と異なる。これ以外の構成は、第1実施形態と同様である。
第1実施形態の導体パターン273は、直線状の導体パターンであったが、第2実施形態の導体パターン273Aは、ミアンダ状の導体パターンとし、導体パターン273よりも配線長(電気長)が長くなっている。
図11(a)は、第2実施形態に係る配線251Aの一部分を模式的に表した斜視図である。図11(b)は、第2実施形態に係る配線252の一部分を模式的に表した斜視図である。図11(a)及び図11(b)には、第1層である配線層203と、第2層である配線層204を図示している。
図11(a)に示すように、主配線280から分岐配線281A,282に分岐する分岐箇所P1は、ヴィア導体261における配線層203の部分である。これに対し、図11(b)に示すように、主配線285から分岐配線286,287に分岐する分岐箇所P2は、ヴィア導体262における配線層204の部分である。配線252の分岐配線286においては、信号は、配線層204から配線層203にヴィア導体262を経由し、導体パターン275を経由して、メモリデバイスに伝送される。配線252の分岐配線287においては、信号は、導体パターン276を経由し、配線層204から配線層203にヴィア導体266を経由して、メモリデバイスに伝送される。したがって、導体パターン275と導体パターン276との配線長を等しくすることで、分岐配線286と分岐配線287との電気長を等しくすることができる。
配線251Aの分岐配線281Aにおいては、信号は、ヴィア導体261を経由せずに、導体パターン273Aを通過して、メモリデバイスに伝送される。配線251Aの分岐配線282においては、信号は、配線層203から配線層204に、ヴィア導体261を経由して導体パターン274に伝送され、更に、配線層203から配線層204にヴィア導体264を経由し、メモリデバイスに伝送される 。分岐配線282においては、配線層203と配線層204とを信号が往復するため、その分、遅延時間が生じる。第2実施形態では、分岐配線281Aの導体パターン273Aをミアンダ状として、分岐配線281Aを通じてメモリデバイスに到達する信号のタイミングと、分岐配線282を通じてメモリデバイスに到達する信号のタイミングが揃うように調整されている。
即ち、導体パターン273Aをミアンダ状とすることにより、アドレス/コマンド信号線250Aがプリント配線板200Aにおいて占有する面積を小さくしながらも、分岐配線281Aと分岐配線282との電気長を等しくすることができる。これにより、不等長分岐に起因する多重反射ノイズが抑制され、信号波形の品質が向上し、より高速な信号伝送を実現することができる。
(実施例3)
図12は、実施例3のアドレス/コマンド信号線250Aを示す平面図である。図13は、実施例3のアドレス/コマンド信号線250Aを示す斜視図である。第2実施形態では、4本の配線251Aと4本の配線252とで合計8本の配線251A,252からなるアドレス/コマンド信号線250Aを構成する場合について説明した。実施例3では、6本の配線251Aと6本の配線252とで、合計12本の配線251A,252からなるアドレス/コマンド信号線250Aを構成する場合について説明する。
実施例3のプリント配線板の層数及び層の寸法は、実施例2と同じとした。図12及び図13に示すアドレス/コマンド信号線250Aの構成において、信号波形のシミュレーションをシミュレータにより行った。シミュレータは、メンター・グラフィックス社製のHyperLynxを用いた。アドレス信号の伝送速度を、1200[Mbps](600[MHz]の擬似ランダム信号)とした。
主配線280の導体パターン271の長さを17.26[mm]とした。分岐配線281Aの導体パターン273Aの長さを6.45[mm](44.6[psec])とした。分岐配線282の導体パターン274の長さを5.30[mm](36.6[psec])とした。第2実施形態では不図示であった、表層である配線層201に配置され、ヴィア導体263に電気的に接続され、図4(a)に示すメモリデバイス311の受信端子361が接合される導体パターン291の長さを、2.51[mm]とした。第2実施形態では不図示であった、表層である配線層201に配置され、ヴィア導体264に電気的に接続され、図4(a)に示すメモリデバイス312の受信端子363が接合される導体パターン292の長さを、2.51[mm]とした。
ヴィア導体261の遅延時間を計測すると4[psec]であった。そこで、導体パターン274よりも、ヴィア導体261の2つ分の遅延時間8[psec]分に相当する長さ1.15[mm]の分だけ長い、ミアンダ状の導体パターン273Aとした。
図14(a)は、実施例3において、メモリデバイス311の受信端子361に受信される信号のシミュレーション波形図である。図14(b)は実施例3において、メモリデバイス312の受信端子362に受信される信号のシミュレーション波形図である。図14(a)及び図14(b)において、アイパターンの開口を測定した。アイパターンの高さHは538[mV]であった。アイパターンの幅Tは825[psec]であった。
以上のシミュレーションの結果から、実施例3の構成では、比較例2の構成に対して、アイパターンの高さが157[mV]改善し、アイパターンの幅が11[psec]改善した。等長分岐配線とすることによって、信号の多重反射が抑制され、ノイズを低減することができることが確認された。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載されたものに限定されない。
上述の実施形態においては、電子機器がネットワークカメラである場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、携帯用のデジタルカメラ、又はスマートフォン等、小型な外形と高画質な画像データが必要とされる多様な電子機器に適用することができる。
上述の実施形態においては、プリント配線板が、第1配線及び第2配線をそれぞれ複数有する場合について説明したが、これに限定するものではない。即ち、プリント配線板が、第1配線及び第2配線をそれぞれ1つ有する場合であってもよい。例えば、アドレス/コマンド信号線においては、少なくとも、第1配線及び第2配線をそれぞれ1つ有していればよい。また、アドレス/コマンド信号線に限らず、アドレス/コマンド信号線以外のバス配線が第1配線及び第2配線を有していてもよい。
上述の実施形態においては、ヴィア導体261が第1直線上である直線L1上に配置され、ヴィア導体262が第2直線上である直線L2上に配置される場合が好適である場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、ヴィア導体261が千鳥配列となっていてもよく、また、ヴィア導体262が千鳥配列となっていてもよい。
上述の実施形態においては、プリント配線板にメモリコントローラ及びメモリデバイス等の素子が実装されて、プリント回路板となっている。しかし、プリント回路板が製造される前は、プリント配線板にはこれら素子は未実装である。素子が実装されていないプリント配線板であっても、配線構造は、上述の実施形態の通りであり、上述の実施形態と同様の効果を奏する。