JP2019139021A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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純平 久野
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隆志 姉崎
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Abstract

【課題】 導電層上に下引き層を形成した場合においても、塗布ムラが抑制され、画像濃度ムラのない電子写真感光体の製造方法を提供すること。【解決手段】 支持体、導電層、下引き層、及び、感光層をこの順に有する電子写真感光体の製造方法において、該下引き層形成用塗布液が、式(1)で示される化合物で表面処理済みの酸化チタン微粒子を含有し、該塗布液中の酸化チタン二次粒子の体積平均粒子径が0.10μmより大きく0.30μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真感光体の製造方法に関する。
近年、有機光導電性材料を用いた電子写真感光体(有機電子写真感光体)の研究開発が盛んに行われている。
電子写真感光体は、基本的には、支持体と、該支持体上に形成された感光層とから構成される。しかしながら、現状は、支持体の表面の欠陥の隠蔽、感光層の電気的破壊に対する保護、帯電性の向上、支持体から感光層への電荷注入阻止性の改良などのために、支持体と感光層との間には、各種の層が設けられることが多い。
支持体と感光層との間に設けられる層の中でも、支持体の表面の欠陥の隠蔽を目的として設けられる層としては、金属酸化物粒子を含有する層が知られている。金属酸化物粒子を含有する層は、一般的に、金属酸化物粒子を含有しない層に比べて導電性が高いため、画像形成時の残留電位の上昇が生じにくく、暗部電位や明部電位の変動が生じにくい。このような導電性の高い層(以下「導電層」という。)を支持体と感光層との間に設けて支持体の表面の欠陥を隠蔽することにより、支持体の表面の欠陥の許容範囲は大きくなる。その結果、支持体の使用許容範囲が大幅に広がるため、電子写真感光体の生産性の向上が図れるという利点がある。
また、支持体から電荷発生層への電荷の注入を抑制し、カブリ、リークなどの画像欠陥を抑えることを目的として、下引き層を設けることも知られている。更には、繰り返し使用を行った場合においても、良好な画像を形成することを目的として、酸化チタン粒子を含有する下引き層が知られている。
特許文献1には酸化チタン粒子を含有する下引き層形成用塗布液で、優れた安定性をもつものとして、塗布液中の二次粒子の粒径が特定の粒径以下であることとする技術が記載されている。
また、特許文献2には、特定構造のシランカップリング剤により表面処理された酸化チタン粒子を含有する下引き層により、濃度ムラの発生等を抑制する技術が記載されている。
特許第4517996号公報 特開2013−97221号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1〜2に記載の技術では、導電層上に下引き層を形成した場合に生じる塗布ムラを十分に抑制できず、画像濃度ムラが発生する場合があることがわかった。
したがって、本発明の目的は、導電層上に下引き層を形成した場合においても、塗布ムラが抑制され、画像濃度ムラのない電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる電子写真感光体の製造方法は、支持体、導電層、下引き層、及び、感光層をこの順に有する電子写真感光体の製造方法において、該下引き層形成用塗布液が、下記式(1)で示される化合物で表面処理済みの酸化チタン微粒子を含有し、該塗布液中の酸化チタン二次粒子の体積平均粒子径が0.10μmより大きく0.30μm以下であることを特徴とする。
(式(1)中、Rは、メチル基、エチル基、アセチル基、2−メトキシエチル基を示す。Rは、水素原子、メチル基を示す。m+n=3であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数である。但し、nが3のとき、Rは存在しない。)
本発明によれば導電層上に下引き層を形成した場合においても、塗布ムラが抑制され、カブリや濃度ムラなど画像欠陥のない電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。
本発明は、支持体、導電層、下引き層、及び、感光層をこの順に有する電子写真感光体の製造方法において、該下引き層形成用塗布液が、式(1)で示される化合物で表面処理済みの酸化チタン微粒子を含有し、該塗布液中の酸化チタン二次粒子の体積平均粒子径が0.10μmより大きく0.30μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体の製造方法である。
上述のような電子写真感光体の製造方法で、下引き層の塗膜ムラが抑制される理由はよくわかっていないが、前記下引き層形成用塗布液の粘度が適当であること、また塗布液と導電層との親和性が高いことが原因ではないかと推測している。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電層と、下引き層と、電荷発生層と、電荷輸送層とを有することを特徴とする。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、各層について説明する。
<支持体>
本発明において、電子写真感光体は、支持体を有する。本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理や、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
<導電層>
本発明の電子写真感光体は、支持体の上に、導電層を有する。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などを更に含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上述の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明の電子写真感光体は、導電層の上に、下引き層を有する。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素−炭素二重結合基などが挙げられる。
下引き層は、式(1)で示される化合物で表面処理済みの酸化チタン微粒子を含有し、該塗布液中の酸化チタン二次粒子の体積平均粒子径が0.1μmより大きく0.3μm以下である。
(式(1)中、Rは、メチル基、エチル基、アセチル基、2−メトキシエチル基を示す。Rは、水素原子、メチル基を示す。m+n=3であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数である。但し、nが3のとき、Rは存在しない。)
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
また、下引き層は、添加剤を更に含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上述の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤を更に含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。
また、電荷輸送物質は複数の種類を共に含有させてもよい。以下、電荷輸送物質の具体例を示す。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、20質量%以上60質量%以下であることが好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10〜20:10が好ましく、5:10〜12:10がより好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては、一般式(PC−I)で示される構造を有する樹脂が挙げられる。
(一般式(PC−I)において、X101は、単結合又は2価の基を表す。R101〜R104は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
一般式(PC−I)で示される構造の具体例を以下に示す。
ポリエステル樹脂としては、一般式(PE−II)及び一般式(PE−III)で示される構造を有する樹脂が挙げられる。
(一般式(PE−II)において、X201は、単結合又は2価の基を表す。R201〜R208は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。)
(一般式(PE−III)において、X301は、2価の基を表す。)
一般式(PE−II)で示される構造の具体例を以下に示す。
一般式(PE−III)で示される構造の具体例を以下に示す。
本発明においては、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂の共重合形態は、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合などの何れの形態であってもよいが、ランダム共重合が高い応答性を得る点で特に好ましい。
電荷輸送層は、結着樹脂として、上記ポリエステル樹脂以外にも、その他の樹脂を用いてもよい。ポリカーボネート樹脂、シロキサン樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。その他の樹脂は、複数種類をブレンドしても、共重合させてもよい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上述の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、電荷輸送層を形成するための塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤又は芳香族炭化水素溶剤等が挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、8μm以上40μm以下であることがより好ましい。
<保護層>
本発明において、感光層の上に、保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上述の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
[プロセスカートリッジ、電子写真装置]
本発明のプロセスカートリッジは、これまで述べてきた電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
また、本発明の電子写真装置は、これまで述べてきた電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする。
図1に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。
1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1の表面は、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。尚、図においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。トナー像が転写された転写材7は、定着手段8へ搬送され、トナー像の定着処理を受け、電子写真装置の外へプリントアウトされる。電子写真装置は、転写後の電子写真感光体1の表面に残ったトナーなどの付着物を除去するための、クリーニング手段9を有していてもよい。また、クリーニング手段を別途設けず、上記付着物を現像手段などで除去する、所謂、クリーナーレスシステムを用いてもよい。電子写真装置は、電子写真感光体1の表面を、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理する除電機構を有していてもよい。また、本発明のプロセスカートリッジを電子写真装置本体に着脱するために、レールなどの案内手段12を設けてもよい。
本発明の電子写真感光体は、レーザービームプリンター、LEDプリンター、複写機、ファクシミリ、及び、これらの複合機などに用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
<導電層用塗布液1の調製例>
金属酸化物粒子としてのリン(P)がドープされている酸化スズ(SnO2)で被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子(平均一次粒径230nm)207部、結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業製、樹脂固形分:60質量%)144部、および、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して15質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、平均粒径2μm)を分散液に添加し、また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)を分散液に添加した。
次に、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料と表面粗し付与材の合計質量(固形分の質量)が分散液の質量に対して67質量%になるように、メタノールと1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶剤(質量比1:1)を分散液に添加し、攪拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
<導電層用塗布液2の調製例>
芯材のアナターゼ形酸化チタン顔料は公知の硫酸法で製造することができる。即ち、硫酸チタン、硫酸チタニルを含む溶液を加熱して加水分解させメタチタン酸スラリーを作製し、該メタチタン酸スラリーを脱水焼成して得られる。また、当該アナターゼ型酸化チタンに含まれるニオブは、硫酸チタニル製造に使用する原料のイルメナイト鉱石等に由来するが、硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水二酸化チタンスラリーに、硫酸ニオブ等のニオブ化合物を添加することでニオブ含有量を調整することができる。本発明では、当該方法によりニオブ含有量を調整したアナターゼ型酸化チタンを使用した。
平均一次粒径150nm、ニオブ含有量0.20wt%の、略球形状のアナターゼ型二酸化チタンを基体粉末として用いた。この基体粉末100gを水に分散させ、1Lの水懸濁液とし、60℃に加温した。五塩化ニオブ(NbCl5)3gを11.4モル/L塩酸100mLに溶解させたニオブ溶液とTiとして33.7gを含む硫酸チタン溶液600mLを混合したチタンニオブ酸液と10.7モル/L水酸化ナトリウム溶液とを懸濁液のpHが2〜3となるように3時間かけて同時に滴下(並行添加)した。滴下終了後、懸濁液をろ過、洗浄し、110℃で8時間乾燥した。この乾燥物を大気雰囲気中、800℃にて1時間の加熱処理を行い、酸化チタン粒子1の粉末を得た。
結着材料としてのとしてのブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学工業製)15部、および、ブロック化イソシアネート樹脂(商品名:TPA−B80E、80%溶液、旭化成製)15部を、メチルエチルケトン45部/1−ブタノール85部の混合溶剤に溶解させて溶液を得た。
この溶液に酸化チタン粒子1を75部加え、これを分散媒体として平均粒径1.0mmのガラスビーズ120部を用いた縦型サンドミルに入れ、分散液温度23±3℃、回転数1500rpm(周速5.5m/s)の条件で4時間分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液に、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH28 PAINT ADDITIVE、東レ・ダウコーニング製)0.01部、および、表面粗さ付与材として架橋型のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(商品名:テクポリマーSSX−102、積水化成品工業製、平均一次粒径:2.5μm)5部を添加して攪拌し、PTFE濾紙(商品名:PF060、アドバンテック東洋製)を用いて加圧ろ過することによって、導電層用塗布液2を調製した。
<導電層用塗布液3の調製例>
金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO2)で被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子(平均一次粒子径230nm)214部、結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業製、樹脂固形分:60質量%)132部、および、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、平均粒径2μm)を分散液に添加し、また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)を分散液に添加した。
次に、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料と表面粗し付与材の合計質量(固形分の質量)が分散液の質量に対して67質量%になるように、メタノールと1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶剤(質量比1:1)を分散液に添加し、攪拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
<導電層用塗布液4の調製例>
金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO2)で被覆されている硫酸バリウム(BaSO4)粒子(平均一次粒子径180nm)159部、酸化チタン(TiO2)粒子(平均一次粒子径300nm)40部、結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業製、樹脂固形分:60質量%)132部、および、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製、平均粒径2μm)を分散液に添加し、また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)を分散液に添加した。
次に、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料と表面粗し付与材の合計質量(固形分の質量)が分散液の質量に対して67質量%になるように、メタノールと1−メトキシ−2−プロパノールの混合溶剤(質量比1:1)を分散液に添加し、攪拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
<導電層用塗布液5の調製例>
酸化亜鉛粒子(平均一次粒子径:50nm)100部をトルエン500部と攪拌混合し、有機ケイ素化合物0.75部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、表面処理された酸化亜鉛粒子M1を得た。有機ケイ素化合物は、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM602、信越化学工業製)を用いた。
酸化チタン粒子(テイカ製、JR−405、平均一次粒子径:210nm)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.75部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、表面処理された酸化チタン粒子N1を得た。
次に、ポリビニルアセタール樹脂(商品名:BM−1,積水化学工業製)15部、及びブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)30部を、メチルエチルケトン70部と1−ブタノール70部の混合溶媒に溶解させた。この液に前記表面処理された酸化亜鉛粒子M1を100部、前記表面処理された酸化チタン粒子N1を12部、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業製)1部を加え、これを直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで、回転数2000rpm、分散処理時間:3時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散した。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液中に、樹脂粒子として架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(積水化成品工業社製、SSX−103)を7部、シリコーンオイルSH28PA(東レダウコーニングシリコーン社製)0.01部を加えて攪拌し、導電層用塗布液を調製した。
<下引き層層用塗布液1の調製例>
ルチル型酸化チタン粒子(平均一次粒径:50nm、テイカ製)100部をトルエン500部と攪拌混合し、式(1)において、m=0、n=3、Rがメチル基であるビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM−1003、信越化学製)3.0部を添加し、8時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、3時間120℃で乾燥させることによって、ビニルトリメトキシシランで表面処理済みのルチル型酸化チタン粒子を得た。
前記ビニルトリメトキシシランで表面処理済みのルチル型酸化チタン粒子18部、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、ナガセケムテックス製)4.5部、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)1.5部を、メタノール90部と1−ブタノール60部の混合溶剤に加えて分散液を調整した。この分散液を、直径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて6時間分散処理することにより、下引き層用塗布液を調整した。メタノールと1−ブタノールの混合溶媒で希釈し、シスメックス製の粒子径測定装置(商品名:ゼータサイザーナノ)で体積平均粒径を測定したところ、0.15μmであった。
<下引き層層用塗布液2〜29の調製例>
下引き層層用塗布液1の調製例において、酸化チタン粒子の結晶型、粒子の平均一次粒径、ビニルトリメトキシシランの構造と添加量、分散液における粒子と樹脂重量を表1のように変更した以外は、下引き層層用塗布液1と同様にして、下引き層層用塗布液2〜29を調製した。
<電荷発生層用塗布液1の調製例>
特開2014−160238に記載の方法を参照し、CuKα特性X線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン10部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)5部及びシクロヘキサノン250部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散した後にエチルアセテート250部を加えて電荷発生層用塗布液1を調製した。
<電荷発生層用塗布液2の調製例>
特開2015−222416に記載の方法を参照し得られた、N−メチルホルムアミドを含有するCuKα特性X線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°及び28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン10部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学製)5部及びシクロヘキサノン250部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散した後にエチルアセテート250部を加えて電荷発生層用塗布液2を調製した。
<電荷発生層用塗布液3の調製例>
特開2003−262968に記載の方法を参照し、CuKα特性X線回折のブラッグ角(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニルフタロシアニン4部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びシクロヘキサノン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後にエチルアセテート100部を加えて電荷発生層用塗布液3を調製した。
<ポリカーボネート樹脂の製造例>
(ポリカーボネート樹脂(1))
5質量%の水酸化ナトリウム水溶液1100mlに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン(東京化成工業製、製品コードD3267)を53.0g(0.196mol)と、ハイドロサルファイト0.1gを溶解した。これにメチレンクロライド500mlを加えて攪拌しつつ、15℃に保ちながら、次いでホスゲン60gを60分で吹き込んだ。
ホスゲン吹き込み終了後、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノール(東京化成工業製、製品コードB0383)1gを加えて攪拌して、反応液を乳化させた。乳化後0.3mlのトリエチルアミンを加え、23℃にて1時間攪拌し、重合させた。
重合終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、45℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、110℃、24時間乾燥して、式(PC−I−11)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂(1)を得た。
(ポリカーボネート樹脂(2)、(3))
ポリカーボネート樹脂(1)の製造例において、使用する原料のモル量を変更して、表2に示すような一般式(I)で示される構造のモル比率を有するポリカーボネート樹脂(2)を得た。
<ポリエステル樹脂の製造例>
(ポリエステル樹脂(1))
式(C−1)で示されるジカルボン酸ハライド59g
をジクロロメタンに溶解させ、酸ハロゲン化物溶液を調製した。
また、別途、式(C−2)で示されるジオール24.2g、
式(C−3)で示されるジオール27g
を10%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライドを添加して攪拌し、ジオール化合物溶液を調製した。
次に、上記酸ハロゲン化物溶液を上記ジオール化合物溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
重合反応中に重合調整剤として、p−ターシャルブチルフェノールを加えた。その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。
洗浄後、ジクロロメタン溶液を攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させてポリエステル樹脂A72.3gを得た。
得られたポリエステル樹脂Aは、式(PE−III)で示される構造のなかで、式(III−3)で示される構造を100モル%有し、式(PE−II)で示される構造のなかで、式(PE−II−12)で示される構造を50モル%、式(PE−II−16)で示される構造を50モル%有するポリエステル樹脂であった。また、得られたポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量は100,000であった。
(ポリエステル樹脂(2)、(3))
ポリエステル樹脂(1)の製造例において、使用する原料のモル量を変更して、表3に示すような構造のモル比率を有するポリエステル樹脂(2)〜(3)を得た。
<電荷輸送層用塗布液1の調製例>
式(CTM−1)で示される化合物4部、式(CTM−2)で示される化合物4部をオルトキシレン15部及び安息香酸メチル25部の混合溶液に溶解させた。次に、ポリエステル樹脂合成例で合成したポリエステル樹脂(1)10部、下記式(S−1)で示される構造の樹脂(粘度平均分子量23,500)0.5部及びジメトキシメタン33部を上記分散液に加え、電荷輸送層用塗布液1を調製した。
(式(S−1)中、a:bは[ ]内の構造のモル比率を示す。cは( )内の構造の繰り返し数の平均値を示し、c=20である。)
<電荷輸送層用塗布液2の調製例>
式(CTM−1)で示される化合物4部、式(CTM−2)で示される化合物4部をオルトキシレン15部及び安息香酸メチル25部の混合溶液に溶解させ、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されたシリカ(RX50、日本エアロジル株式会社製)0.5部を加えて超音波分散器で1時間分散した。次に、ポリエステル樹脂合成例で合成したポリエステル樹脂(2)10部、下記式(S−1)で示される構造の樹脂(粘度平均分子量23,500)0.5部及びジメトキシメタン33部を上記分散液に加え、電荷輸送層用塗布液を調製した。
<電荷輸送層用塗布液3〜12の調製例>
電荷輸送物質およびポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂、添加剤を表4のように変更した以外は電荷輸送層用塗布液2の製造例と同様に電荷輸送層用塗布液3〜12を製造した。
[電子写真感光体1の製造例]
押し出し工程及び引き抜き工程を含む製造方法により製造された、長さ257mm、直径24mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。常温常湿(23℃/50%RH)環境下で、導電層用塗布液1を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間170℃で乾燥及び熱硬化させることによって、膜厚が20μmの導電層を形成した。次に、下引き層用塗布液1を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が2.0μmの下引き層を形成した。次に、電荷発生層用塗布液1を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。次に、電荷輸送層用塗布液1を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間125℃で乾燥させることによって、膜厚が16.0μmの電荷輸送層を形成した。
[電子写真感光体2〜80の製造例]
電子写真感光体の製造の際に用いた導電層用塗布液、導電層の膜厚、下引層用塗布液、下引き層の膜厚、電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液を表5に示すようにした以外は、電子写真感光体1の製造例と同様の操作で、電子写真感光体2〜80を製造した。
[評価:(電子写真感光体の通紙耐久試験)]
通紙耐久試験用の電子写真感光体1〜80を、それぞれ、キヤノン製のレーザービームプリンター(商品名:LBP7200C)に装着して、低温低湿(15℃/10%RH)環境下にて通紙耐久試験を行った。通紙耐久試験では、印字率2%の文字画像をレター紙に1枚ずつ出力する間欠モードでプリント操作を行い、5000枚の画像出力を行った。そして、通紙耐久試験開始時ならびに5000枚画像出力終了に、各1枚の画像評価用のサンプル(1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像)を出力し、目視で画像ムラの有無を評価したところ評価結果は全て「良好」であった。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 定着手段
9 クリーニング手段
10 前露光光
11 プロセスカートリッジ
12 案内手段

Claims (1)

  1. 支持体、導電層、下引き層、及び、感光層をこの順に有する電子写真感光体の製造方法において、
    該下引き層形成用塗布液が、式(1)で示される化合物で表面処理済みの酸化チタン微粒子を含有し、該塗布液中の酸化チタン二次粒子の体積平均粒子径が0.10μmより大きく0.30μm以下であることを特徴とする、電子写真感光体の製造方法。

    (式(1)中、Rは、メチル基、エチル基、アセチル基、2−メトキシエチル基を示す。Rは、水素原子、メチル基を示す。m+n=3であり、mは0以上の整数、nは1以上の整数である。但し、nが3のとき、Rは存在しない。)
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