ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)交通情報案内システムの構成:
(2)交通情報案内処理:
(3)他の実施形態:
(1)交通情報案内システムの構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる交通情報案内システム10の構成を示すブロック図である。交通情報案内システム10は、多数のユーザ端末110と通信可能なサーバである。交通情報案内システム10は、ユーザ端末110からの要求に応じて交通情報を配信する。
ユーザ端末110は、車両乗車時にユーザが使用する端末であればよく、車載器であってもよいし、スマートフォン等の携帯端末であってもよい。ユーザ端末110は、制御部120と記録媒体130と測位部140とタッチパネルディスプレイ141と通信部142とを備えている。制御部120は、CPUとRAMとROM等を備えたコンピュータであり、記録媒体130等に記録された仲介プログラム121を実行する。
記録媒体130は、地図情報130aを記録する。地図情報130aは、路線区間(リンク)のネットワークを規定したデータである。本実施形態の路線区間は、車両が通行可能な道路の区間と列車が通行可能な線路の区間とに対応している。地図情報130aには、路線区間同士が接続する接続点(ノード)についての情報も規定されている。具体的に、接続点には、車両が通行可能な道路同士が接続する交差点と、列車が通行可能な線路同士が接続する駅とが含まれる。また、駅は、車両が通行可能な道路と列車が通行可能な線路とが接続する接続点でもある。さらに、駅は、公共交通機関の発着地である。地図情報130aは、路線区間と接続点のそれぞれについて名称と位置と形状と属性とを示す。また、地図情報130aにおいて、路線区間は通行方向ごとに規定されており、例えば道路の対向車線は別々の路線区間として規定されている。
測位部140は、ユーザ端末110の現在地と現在方位とを導出するために必要な信号を取得するセンサや回路であり、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)の信号を受信する受信回路や加速度センサやジャイロセンサ等を含んでもよい。現在方位とは、ユーザ端末110が現在進行している方位である。
タッチパネルディスプレイ141は、各種画像を表示する画像出力装置と、表示装置の表示面において運転者の操作を受け付ける入力装置とを構成する。タッチパネルディスプレイ141は、地図を表示するとともに、案内対象の交通情報を表示する。通信部142は、交通情報案内システム10と通信を行うための通信回路である。例えば、通信部142は、携帯電話通信網の基地局と通信するための回路であってもよい。
仲介プログラム121の機能により制御部120は、地図情報130aに基づいて地図を描画し、当該地図をタッチパネルディスプレイ141に表示する。図2Aは、地図Mの表示例である。仲介プログラム121の機能により制御部120は、測位部140の出力信号に基づいてユーザ端末110の現在地を取得し、当該現在地を示す現在地マーカCを地図M上に表示する。
仲介プログラム121の機能により制御部120は、地図Mが表示されたタッチパネルディスプレイ141におけるユーザの操作に応じて、地図Mのスクロールと縮尺の変更とを行う。具体的に、制御部120は、ドラッグアンドドロップ操作やフリック操作の方向に応じて地図Mをスクロールする。また、制御部120は、ピンチアウト操作に応じて地図Mを拡大し、ピンチイン操作に応じて地図Mを縮小する。
ただし、仲介プログラム121の機能により制御部120は、交通情報表示ボタンBに対するタップ操作が行われた場合、地図Mのスクロールと縮尺の変更とを中断する。すなわち、交通情報表示ボタンBに対するタップ操作が行われた場合、制御部20は、地図Mを固定する。
交通情報表示ボタンBに対するタップ操作が行われた場合、仲介プログラム121の機能により制御部120は、地図Mを固定した状態で、地図M上において指定地を指定するための操作を受け付ける。本実施形態において、指定地を指定するための操作とは、地図M上におけるタップ操作となぞり操作である。指定地とは、交通情報案内システム10から交通情報の配信を受けようとする地点である。指定地を指定するための操作を受け付けると、仲介プログラム121の機能により制御部120は、タップ操作となぞり操作の種別と、タップ操作となぞり操作とが行われた地図M上の地点(実空間内の座標)と、ユーザ端末110の現在地と、を示す指定操作情報を生成し、交通情報案内システム10に送信する。
なお、制御部120は、交通情報表示ボタンBによって地図Mを固定した状態で、指定地を指定するための操作を受け付けなくてもよく、地図Mをスクロールや縮尺の変更を行う操作と区別可能な操作によって指定地を指定するための操作を受け付けてもよい。例えば、地図Mをスクロールする操作を1本指で行い、指定地を指定するための操作を2本指で行うようにしてもよい。
仲介プログラム121の機能により制御部120は、指定操作情報の応答として、交通情報案内システム10から交通情報を受信する。そして、仲介プログラム121の機能により制御部120は、交通情報をタッチパネルディスプレイ141に表示する。タッチパネルディスプレイ141は、本発明の案内部に該当する。案内部として交通情報を案内するタッチパネルディスプレイ141は、間接的に交通情報案内システム10によって制御されていることとなる。なお、案内部は、音声によって交通情報を案内するスピーカであってもよい。
次に、交通情報案内システム10の構成について説明する。交通情報案内システム10は、制御部20と記録媒体30と通信部42とを備えている。制御部20は、CPUとRAMとROM等を備えたコンピュータであり、記録媒体30等に記録された交通情報案内プログラム21を実行する。通信部142は、ユーザ端末110と通信を行うための通信回路である。
記録媒体30は、地図情報30aと交通情報DB(データベース)30bとを記録している。地図情報30aは、ユーザ端末110の地図情報130aとほぼ同様の情報である。交通情報DB30bは、路線区間における通行に関する情報である交通情報を、路線区間ごとに記録したデータベースである。具体的に、交通情報は、路線区間としての道路についての渋滞情報を含む。交通情報は、路線区間としての線路についての運行情報を含む。運行情報とは、列車の運休や遅延について示す情報である。
交通情報案内プログラム21は、出発地取得モジュール21aと指定地取得モジュール21bと案内制御モジュール21cとを含む。出発地取得モジュール21aと指定地取得モジュール21bと案内制御モジュール21cとは、それぞれコンピュータとしての制御部20を本発明の出発地取得部と指定地取得部と案内制御部として機能させるプログラムモジュールである。
出発地取得モジュール21aの機能により制御部20は、出発地を取得する。具体的に、出発地取得モジュール21aの機能により制御部20は、ユーザ端末110から指定操作情報を受信すると、当該指定操作情報が示すユーザ端末110の現在地を指定地として取得する。すなわち、制御部20は、ユーザ端末110のタッチパネルディスプレイ141上の地図Mにおいて現在地マーカCが示す地点を指定地として取得する。
指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、地図M上においてユーザが指定した指定地を取得する。指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、指定地を指定するための操作として、タップ操作となぞり操作のどちらが行われたかを判定する。タップ操作とは、タッチパネルディスプレイ141上に接触した状態における指等の移動距離が予め決められた距離以下(ほぼ0)の操作である。一方、なぞり操作とは、タッチパネルディスプレイ141上に接触した状態における指等の移動距離が予め決められた距離よりも長い操作である。
指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、地図M上においてタップ操作が行われた場合、タップ操作がされた地点を指定地として取得する。具体的に、タップ操作が行われた場合、制御部20は、タップ操作された地図M上の地点に近い接続点(交差点,駅)を指定地として取得する。制御部20は、タップ操作された地図M上の地点に最も近い接続点を指定地として取得してもよいし、タップ操作された地図M上の地点までの距離が予め決められた基準距離以下の接続点を指定地として取得してもよい。図2Aは、タップ操作に応じて道路の交差点Hが指定地として取得された様子を示す。なお、図2Aにおいて、道路をグレーの太線で示し、線路をハッチングの線で示している(図2B,図3A,図3B,図4A,図4Bも同様)。
なぞり操作が行われた場合、制御部20は、指定地を指定するための操作が、開いたなぞり操作であるか、閉じたなぞり操作であるかを判定する。開いたなぞり操作とは、なぞり操作の軌跡の始点と終点との距離が予め決められた距離以上である操作である。閉じたなぞり操作とは、なぞり操作の軌跡の始点と終点との距離が予め決められた距離未満である操作である。
指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、地図M上においてなぞり操作が行われた場合、なぞり操作が行われた線上の地点を指定地として取得する。具体的に、指定地を指定するための操作が、開いたなぞり操作であった場合、制御部20は、開いたなぞり操作の軌跡に近い接続点を指定地として取得する。制御部20は、なぞり操作の軌跡までの最短距離が予め決められた基準距離以下の接続点を指定地として取得する。図2Bは、開いたなぞり操作の軌跡Rに近い3個の交差点Hが指定地として取得された様子を示す。
指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、地図M上において領域を指定する操作が行われた場合、指定された領域内の地点を指定地として取得する。具体的に、指定地を指定するための操作が、閉じたなぞり操作である場合、制御部20は、閉じたなぞり操作の軌跡によって囲まれた領域内の接続点を指定地として取得する。なお、閉じたなぞり操作は、領域を指定する操作を意味する。図3Aは、閉じたなぞり操作の軌跡Rによって囲まれた領域内の4個の交差点Hが指定地として取得された様子を示す。なお、制御部20は、指定された領域内のすべての接続点を指定地として取得しなくてもよく、指定された領域内の代表的な接続点を指定地として取得してもよいし、指定された領域の重心等に最も近い接続点を指定地として取得してもよい。代表的な接続点とは、一定の基準よりも通行頻度の高い接続点であってもよいし、一定の基準よりも規模の大きい接続点であってもよい。
図3Bは、タップ操作によって駅Dが指定地として指定された状態を示す。なお、図2A,図2B,図3A,図3Bに示すように、指定地はタッチパネルディスプレイ141上において強調して表示されてもよいし、強調して表示されなくてもよい。同様に、なぞり操作の軌跡Rも表示されてもよいし、表示されなくてもよい。
案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、出発地から指定地に向かう路線の交通情報を案内部に案内させる。ここで、出発地から指定地に向かう路線とは、当該路線の方向と、出発地から指定地に向かうベクトルの方向との差が閾値(例えば30度)以下となる路線ある。案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、図2A,図2B,図3A,図3Bにおいて矢印で示すように、出発地から指定地に向かうベクトルVの方向を取得する。また、制御部20は、指定地の周辺の路線区間の方向を取得する。指定地の周辺の路線区間とは、指定地までの最短距離が予め決められた判定距離以下の路線区間であってもよい。路線区間の方向とは、例えば路線区間の始点の接続点から終点の接続点に向かうベクトルの方向であってもよい。制御部20は、指定地の周辺の路線区間のうち、路線区間の方向と、出発地から指定地に向かうベクトルVの方向との差が閾値以下となる路線区間を抽出する。
そして、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、抽出した路線区間についての交通情報を交通情報DB30bから取得し、当該交通情報をユーザ端末110に送信する。ここで、抽出した路線区間が、車両が通行可能な道路であった場合、制御部20は、交通情報として渋滞情報をユーザ端末110に送信する。一方、抽出した路線区間が、列車が通行可能な線路であった場合、制御部20は、交通情報として列車の運行情報をユーザ端末110に送信する。これにより、ユーザ端末110は、タッチパネルディスプレイ141に交通情報を表示することにより、当該交通情報を案内できる。
図4Aは、図2Aの例において交通情報が案内される対象の路線区間を示している。同図において、交通情報が案内される対象の路線区間を太い黒矢印で示している。矢印の方向は路線区間の終点を指す方向を意味する。図4Aの矢印と反対方向の対向車線についての交通情報は案内の対象とならない。
なお、図2B,図3Aのように複数の指定地が取得された場合、制御部20は、路線区間の方向と、出発地から少なくとも1個の指定地に向かうベクトルVの方向との差が閾値以下となる路線区間を抽出してもよい。また、制御部20は、線区間の方向と、出発地から複数の指定地のそれぞれに向かうベクトルVの平均の方向との差が閾値以下となる路線区間を抽出してもよい。
案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、地図M上の路線に対するなぞり操作が行われた場合、出発地から指定地に向かう路線であるか否かに拘わらず、なぞり操作が行われた路線の交通情報を案内部に案内させる。制御部20は、開いたなぞり操作が行われた場合、当該なぞり操作が行われた路線区間が存在するか否かを判定する。なぞり操作が行われた路線区間とは、なぞり操作の軌跡Rに対する位置と形状と方向の類似度が基準以上となる路線区間であってもよい。例えば、位置と形状の類似度は、なぞり操作の軌跡R上の各点における路線区間までの最短距離の平均値が小さいほど高くなってもよいし、なぞり操作の軌跡の方向と路線区間の方向とが平行に近いほど高くなってもよい。方向の類似度は、なぞり操作の軌跡Rの始点から終点へと向かうベクトルの方向と、路線区間の始点から終点へと向かうベクトルの方向との差が小さいほど高くなってもよい。
図4Bは、路線区間に対するなぞり操作が行われた様子を示す。図4Bにおいても図2Bと同様に、なぞり操作によって3個の交差点Hが指定地として取得されている。従って、出発地から3個の交差点Hに向かうベクトルの方向に近い方向の路線区間(太い黒矢印)の交通情報が案内の対象となる。さらに、なぞり操作の軌跡Rに類似する位置と形状を有する2個の路線区間(細い黒矢印)が案内の対象となっている。
また、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、指定地が公共交通機関の発着地である場合、出発地から指定地に向かう路線であるか否かに拘わらず、発着地にて発着する路線の交通情報を案内部に案内させる。すなわち、制御部20は、指定地が駅Dであった場合、当該駅Dにて列車が発着する路線区間の方向がどのような方向であっても、当該駅Dにおいて列車が発車および到着するすべての路線区間の運行情報を案内の対象とする。例えば、図3Bのように、駅Dが指定地であった場合、制御部20は、当該駅Dにて列車が発着するすべての路線区間についての運行情報を案内の対象とする。従って、出発地から指定地に向かうベクトルVとほぼ反対の方向に進行する列車の運行情報も案内の対象となる。なお、運行情報には、駅Dの時刻表情報が含まれてもよい。
以上説明した本実施形態において、地図M上において位置や方向を確認しながら指定地を直感的に指定できる。また、出発地から指定地に向かう路線区間の交通情報が案内されるため、これからユーザが通行する可能性が高い路線区間の交通情報を案内することができる。
ここで、出発地から指定地に向かう路線区間とは、当該路線区間の方向と、出発地から指定地に向かうベクトルVの方向との差が閾値以下となる路線ある。そのため、出発地から指定地に向かう場合に、ユーザが通行する可能性が高い路線の交通情報を案内することができる。つまり、出発地から指定地へと最短距離に近い距離で向かうことができる路線区間の交通情報を案内することができる。
さらに、制御部20は、地図M上においてタップ操作が行われた場合、タップ操作がされた地点を指定地として取得する。このようにすることにより、地図M上で地点をタップ操作することにより直感的に指定地を指定できる。さらに、制御部20は、地図M上においてなぞり操作が行われた場合、なぞり操作が行われた線上の地点を指定地として取得する。そのため、地図M上で線を指定することにより直感的に指定地を指定できる。また、点で指定するよりも曖昧あるいは包括的に指定地を指定できる。
さらに、制御部20は、地図M上の路線に対するなぞり操作が行われた場合、出発地から指定地に向かう路線区間であるか否かに拘わらず、なぞり操作が行われた路線区間の交通情報をタッチパネルディスプレイ141に案内させる。すなわち、原則的には出発地から指定地に向かう路線区間の交通情報を案内するが、例外的として、ユーザが意識して路線区間上のなぞり操作を行った場合には、なぞり操作を行った路線区間の交通情報を案内できる。ユーザが意識してなぞり操作を行った路線区間は、出発地から指定地に向かう路線でなくても、ユーザが交通情報を知りたい路線であると見なすことができる。
さらに、制御部20は、地図M上において領域を指定する操作が行われた場合、指定された領域内の地点を指定地として取得する。これにより、地図M上で領域を指定することにより直感的に指定地を指定できる。また、点や線で指定するよりも曖昧あるいは包括的に指定地を指定できる。
制御部20は、指定地が駅である場合、出発地から指定地に向かう路線区間であるか否かに拘わらず、駅にて列車が発着する路線区間の交通情報をタッチパネルディスプレイ141に案内させる。これにより、駅を発着するあらゆる方向の路線区間の交通情報を案内でき、出発地へと引き返すような路線区間についての交通情報も案内できる。ここで、ユーザが列車を利用しようと考えている場合、出発地へと引き返すような路線区間を利用する可能性も十分に考えられる。ユーザが行こうとしている地点と、最寄りの公共交通機関の発着地と、出発地との位置関係は様々であるからである。
(2)交通情報案内処理:
図5は、交通情報案内処理のフローチャートである。交通情報案内処理は、交通情報案内システム10が実行する処理である。まず、指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、指定操作情報を受信したか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、ユーザ端末110にて指定地を指定する操作が受け付けられたか否かを判定する。指定操作情報を受信したと判定しなかった場合(ステップS100:N)、制御部20は、ステップS100に戻る。すなわち、制御部20は、ユーザ端末110にて指定地を指定する操作が受け付けられるまで待機する。
一方、指定操作情報を受信したと判定した場合(ステップS100:Y)、出発地取得モジュール21aの機能により制御部20は、出発地を取得する(ステップS105)。具体的に、制御部20は、ユーザ端末110から受信した指定操作情報が示すユーザ端末110の現在地を指定地として取得する。
次に、指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、指定地を指定する操作が何であったかを判定する(ステップS110)。すなわち、制御部20は、指定地を指定する操作が、タップ操作と、開いたなぞり操作と、閉じたなぞり操作のどれであったかを判定する。
指定地を指定する操作がタップ操作であった場合、指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、タップ操作された地点に近い接続点を指定地として取得する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、タップ操作された地図M上の地点に最も近い接続点や、タップ操作された地図M上の地点までの距離が予め決められた基準距離以下の接続点を指定地として取得する(図2A,図3B)。
次に、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、指定地に駅Dがあるか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、指定地に公共交通機関の発着地が1個でも含まれるか否かを判定する。指定地に駅Dがあると判定した場合(ステップS120:Y)、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、指定地の駅を発着する列車の路線区間の運行情報を取得する(ステップS125)。具体的に、制御部20は、駅Dにて列車が発着する路線区間の方向がどのような方向であっても、当該駅Dにおいて列車が発車および到着するすべての路線区間の運行情報を案内の対象として取得する。
一方、指定地に駅Dがあると判定しなかった場合(ステップS120:N)、制御部20は、ステップS125をスキップする。次に、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、出発地から指定地に向かうベクトルの方向に近い方向の路線区間の交通情報を取得する(ステップS130)。具体的に、制御部20は、指定地の周辺の路線区間のうち、路線区間の方向と、出発地から指定地に向かうベクトルVの方向との差が閾値(例えば30度)以下となる路線区間(図4A,図4Bの太線矢印)の交通情報を案内の対象として取得する。
案内の対象の交通情報を取得すると、案内制御モジュール21cの機能により制御部20は、取得した交通情報をユーザ端末110に送信する(ステップS140)。すなわち、制御部20は、指定操作情報に対する応答として、案内の対象の交通情報をユーザ端末110に送信する。これにより、指定操作情報を送信したユーザ端末110において、交通情報が案内されることとなる。
ここで、ステップS110において、指定地を指定する操作が閉じたなぞり操作であると判定した場合、指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、なぞり操作の軌跡Rによって囲まれた領域内の接続点を指定地として取得する(ステップS145)。すなわち、制御部20は、ユーザが指定した領域内に存在する接続点を指定地として取得する(図3A)。
なぞり操作の軌跡Rによって囲まれた領域内の接続点を指定地として取得すると、制御部20は、ステップS120に進む。これにより、ユーザ端末110は、ユーザが指定した領域内に存在する指定地に向かう路線区間についての交通情報を案内できる。また、ユーザが指定した領域内に駅Dが存在する場合には、当該駅Dを発着するすべての列車の路線区間についての運行情報についても案内できる。
ステップS110において、指定地を指定する操作が開いたなぞり操作であると判定した場合、指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、なぞり操作の軌跡Rに近い接続点を指定地として取得する(ステップS150)。すなわち、制御部20は、なぞり操作の軌跡Rまでの最短距離が予め決められた基準距離以下の接続点を指定地として取得する(図2B,図4B)。
次に、指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、路線区間上のなぞり操作であったか否かを判定する(ステップS155)。すなわち、制御部20は、なぞり操作が行われた路線区間が存在するか否かを判定する。なぞり操作が行われた路線区間とは、なぞり操作の軌跡Rに対する位置と形状と方向の類似度が基準以上となる路線区間であってもよい。
路線区間上のなぞり操作であったと判定した場合(ステップS155:Y)、指定地取得モジュール21bの機能により制御部20は、なぞり操作が行われた路線区間の交通情報を取得する(ステップS160)。すなわち、制御部20は、なぞり操作の軌跡Rに類似する路線区間についての交通情報を案内の対象として取得する(図4Bの細線矢印)。
一方、路線区間上のなぞり操作であったと判定しなかった場合(ステップS155:N)、制御部20は、ステップS160をスキップする。次に、制御部20は、ステップS120に進む。これにより、ユーザ端末110は、ユーザが指定した領域内に存在する指定地に向かう路線区間についての交通情報を案内できる(図4B)。また、なぞり操作の軌跡Rの近くに駅Dが存在する場合には、当該駅Dを発着するすべての列車の路線区間についての運行情報についても案内できる。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、本発明の効果を損なわない範囲で実施形態の変更が可能である。出発地から指定地に向かう路線とは、出発地から指定地までを接続する経路上の路線であってもよい。具体的に、制御部20は、図5のステップS130を実行する代わりに、出発地から指定地までの最適な経路を探索し、当該経路上の路線区間の交通情報を取得してもよい。最適な経路の探索手法は、どのような手法であってもよく、例えばダイクストラ法であってもよい。また、各路線区間についての探索コストを導出するためのパラメータが地図情報30aに規定されていればよい。このようにすることにより、出発地から指定地まで移動可能な経路上の路線の交通情報を案内することができる。
本発明において、少なくとも出発地から指定地に向かう路線についての交通情報を案内するように構成されていればよく、図5のステップS120,S125が省略されてもよいし、ステップS155,S160が省略されてもよい。また、マルチモーダルの路線区間についての交通情報を案内しなくてもよく、単一種類の移動手段が通行する路線区間についての交通情報を案内してもよい。
さらに、指定地を指定する操作として、タップ操作のみが受け付け可能であってもよいし、開いたなぞり操作のみが受け付け可能であってもよいし、閉じたなぞり操作のみが受け付け可能であってもよいし、これらの2種類の組み合わせが受け付け可能であってもよい。さらに、タップ操作によって、接続点だけでなく、路線区間が指定可能であってもよい。この場合、タップされた路線区間の長さ方向の中点等に向かうベクトルVに基づいて、交通情報を案内する対象の路線区間が抽出されてもよい。
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。交通情報案内システムは、ユーザに交通情報を案内する案内装置であってもよいし、案内装置と通信可能に接続された装置であってもよい。ユーザに交通情報を案内する案内装置は、ユーザが乗車する車両に搭載された車載器であってもよいし、ユーザが携帯する携帯端末であってもよい。出発地は、ユーザが指定した地点であってもよいし、ユーザの現在地であってもよいし、自宅や勤務地のようにユーザが出発する可能性が高い地点であってもよい。出発地取得部は、指定地と同様に、地図上においてユーザが指定した出発地を取得してもよい。
指定地取得部は、地図上においてユーザが指定した指定地を取得すればよく、地図が表示されたタッチパネルディスプレイ上にてユーザが指定した指定地を取得してもよい。また、指定地取得部は、ユーザがポインティングデバイスを操作することにより地図上を移動するポインタの位置に基づいてユーザが指定した指定地を取得してもよい。
路線とは、出発地から指定地に向かう際に利用する移動手段が通行可能な路線であってもよい。また、路線とは、飛行機や船や列車やバス等の公共交通機関の路線であってもよいし、自動車のような私有の移動手段が移動する路線であってもよい。出発地から指定地に向かう際に利用する移動手段は、1種類であってもよいし、複数種類組み合わされてもよい。すなわち、出発地から指定地に向かう路線上に移動手段の種類が変化する地点(駐車場,駅,バス停,空港等)が存在してもよい。さらに、出発地や指定地を通行可能な移動手段が選択され、当該移動手段が通行可能な路線の交通情報が案内されてもよい。交通情報とは、路線上の交通に関する情報であればよく、渋滞情報や障害物情報や規制情報や工事情報や天候等の環境情報であってもよい。
ここで、出発地から指定地に向かう路線とは、当該路線の方向と、出発地から指定地に向かうベクトルの方向との差が閾値以下となる路線あってもよい。これにより、出発地から指定地に向かう場合に、ユーザが通行する可能性が高い路線の交通情報を案内することができる。つまり、出発地から指定地へと最短距離に近い距離で向かうことができる路線の交通情報を案内することができる。
また、出発地から指定地に向かう路線とは、出発地から指定地までを接続する経路上の路線である。これにより、出発地から指定地まで移動可能な経路上の路線の交通情報を案内することができる。例えば、経路は、移動所要期間や移動距離や通行料金や消費エネルギー(燃料,電力等)等が最小となる経路であってもよく、公知の経路探索手法によって探索された経路であってもよい。
さらに、指定地取得部は、地図上においてタップ操作が行われた場合、タップ操作がされた地点を指定地として取得してもよい。このようにすることにより、地図上で地点をタップ操作することにより直感的に指定地を指定できる。ただし、指定地は、地図上においてユーザがタップ操作した地点と厳密に一致しなくてもよく、地図上においてユーザがタップ操作した地点を存在領域内に含む地物(道路区間,交差点,施設等)であってもよいし、地図上においてユーザがタップ操作した地点の最寄りの地物であってもよい。タップ操作は、シングルタップ操作であってもよいし、ダブルタップ操作であってもよい。
さらに、指定地取得部は、地図上においてなぞり操作が行われた場合、なぞり操作が行われた線上の地点を指定地として取得してもよい。この場合、地図上で線を指定することにより直感的に指定地を指定できる。また、点で指定するよりも曖昧あるいは包括的に指定地を指定できる。指定地は、線上の単数の地点であってもよいし、線上の複数の地点であってもよい。
また、案内制御部は、地図上の路線に対するなぞり操作が行われた場合、出発地から指定地に向かう路線であるか否かに拘わらず、なぞり操作が行われた路線の交通情報を案内部に案内させてもよい。すなわち、原則的には出発地から指定地に向かう路線の交通情報を案内するが、例外的として、ユーザが意識して路線上のなぞり操作を行った場合には、なぞり操作を行った路線の交通情報を案内できる。ユーザが意識してなぞり操作を行った路線は、出発地から指定地に向かう路線でなくても、ユーザが交通情報を知りたい路線であると見なすことができる。
さらに、指定地取得部は、地図上において領域を指定する操作が行われた場合、指定された領域内の地点を指定地として取得してもよい。これにより、地図上で領域を指定することにより直感的に指定地を指定できる。また、点や線で指定するよりも曖昧あるいは包括的に指定地を指定できる。指定地は、領域内の単数の地点であってもよいし、領域内の複数の地点であってもよい。指定地は、領域内の代表的な地点であってもよい。
また、案内制御部は、指定地が公共交通機関の発着地である場合、出発地から指定地に向かう路線であるか否かに拘わらず、発着地にて発着する路線の交通情報を案内部に案内させてもよい。これにより、公共交通機関の発着地を発着するあらゆる方向の路線の交通情報を案内でき、出発地へと引き返すような路線についての交通情報も案内できる。ここで、ユーザが公共交通機関を利用しようと考えている場合、出発地へと引き返すような路線を利用する可能性も十分に考えられる。ユーザが行こうとしている地点と、最寄りの公共交通機関の発着地と、出発地との位置関係は様々であるからである。
さらに、本発明のように、地図上の操作に応じて出発地から指定地に向かう路線の交通情報を案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えた交通情報案内システム、交通情報案内システムや方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。