JP2019138689A - 超音波振動子駆動回路およびこれを用いたソナー - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動時間を短縮することができる超音波振動子駆動回路、および、当該駆動回路を用いたソナーを提供する。【解決手段】超音波振動子駆動回路は、トランス6と、トランス6の一次側に通電する交流電源部4と、トランス6の二次側に通電する直流電源部5と、トランス6の二次側に接続された圧電素子11用いた超音波振動子1と、を備え、トランス6の二次側コイル62と圧電素子11とを含む並列共振回路の共振周波数が、超音波振動子1の共振周波数と近似するよう調整されており、交流電源部4は、直流電源部5が通電を終了した後に、並列共振回路の共振振動と位相を同期させて通電を開始する。【選択図】図1
Description
本発明は、超音波振動子駆動回路およびこれを用いたソナーに関する。
超音波を送信し、対象物からの反射波を受信して、当該発信から当該受信までに要した時間と音速とから、当該対象物の存在と、当該対象物との距離を検知等する方法(いわゆるタイム・オブ・フライト法,Time−Of−Flight,TOF)は、超音波センサなどのソナーの基本原理として知られている。
特許文献1には、超音波振動子を断続的に駆動し、超音波の反射波信号に基づいて物体(対象物の一例)を検知する超音波センサ(ソナーの一例)が記載されている。この超音波センサは、所定時間毎に送波ゲート信号を発生し、超音波振動子を駆動する送波ゲート発生回路と、送波ゲート信号終了後に所定時間駆動され所定時間の短絡ゲート信号を発生する短絡ゲート発生回路と、短絡ゲート発生回路の出力により超音波振動子の両端を短絡する短絡手段とを備えている。そして、超音波を駆動した直後に短絡ゲート発生回路を一定時間動作させ、超音波振動子の両端を短絡させまたはその両端に直列に抵抗を接続することで、残響を短時間で停止させている。このように、この超音波センサは、超音波振動子の残響を短時間で停止させることによって、至近距離の物体を検出できるようにしている。
特許文献2には、超音波信号を送信するとともに障害物(対象物の一例)からの反射波を受信して障害物の存在を検出する超音波センサ(ソナーの一例)の超音波送受波器が記載されている。この超音波送受波器は、送波用圧電素子を備え筒状体の一端を送波用振動板にて閉塞した送波用ケース部と、受波用圧電素子を備え筒状体の一端を受波用振動板にて閉塞した受波用ケース部と、送波用ケース部と受波用ケース部とを並列に連結する連結片部とを有する超音波振動子を、ハウジング内に収納して構成されている。そして、使用する周波数の超音波による送波用ケース部の振動モードの節の部分で、連結片部を介して、送波用ケース部と受波用ケース部とを連結し、送波用ケース部の送波時の振動を受波用ケース部に伝わり難くすることで、近距離検出能力を向上させている。
特許文献3には、超音波振動子から超音波を送波し、物体(対象物の一例)からの反射波を上記超音波振動子で受波し、送波した超音波と受波した反射波との間の時間差に基づいて、超音波振動子から物体までの距離を検出する超音波センサ(ソナーの一例)が記載されている。この超音波センサの送波回路は、振動子回路としての超音波振動子と並列接続されたコイルと、直流電源である電源回路とコイルとの間に挿入され電源回路から供給された直流電力をスイッチングすることにより高周波パルス信号を生成するスイッチング回路とを備えている。そして、コイルのインダクタンスを調節し、超音波振動子の電極間容量とコイルとにより構成される並列共振回路の共振周波数を残響振動の周波数に一致させ、残響振動の持続時間(以下では、残響時間と称する)を短くし、超音波振動子の極近傍に位置する物体の検出を可能としている。
ソナーで遠方の対象物を検知するためには、高い音圧の超音波を発信する必要がある。対象物が遠方にあると、超音波振動子から超音波を発信し対象物からの反射波を当該超音波振動子で受信して検知する場合に、当該超音波ないし反射波が減衰して検知ができなくなるためである。
そこで、遠方の対象物を検知するためには、超音波振動子の共振周波数近傍にて駆動時間を長くして、当該超音波振動子の振動振幅を大きくする(音圧の高い超音波を発信する)ことが必要である。振動振幅の大きい超音波を発信する場合、所定の振動振幅を得るため駆動時間を長くすることを要する。また、超音波振動子の振動振幅の増大に伴って残響時間が長くなる。しかし、長くなった駆動時間と残響時間との合計時間の間は、ソナーは、反射波を適切に検知できない。
さらに、駆動時間を長くすると、発信した超音波のパルス長が長くなる。発信した超音波のパルス長が長い場合、距離が異なる二以上の対象物からの反射波がそれぞれ重なりやすくなり、当該それぞれの反射波が重なる場合には、ソナーは、対象物を適切に検知できない。
そこで、駆動時間を短縮できる超音波振動子駆動回路の提供が要請される。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、駆動時間を短縮することができる超音波振動子駆動回路、および、当該駆動回路を用いたソナーを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る超音波振動子駆動回路の特徴構成は、
トランスと、
前記トランスの一次側に通電する交流電源部と、
前記トランスの二次側に通電する直流電源部と、
前記トランスの二次側に接続された圧電素子を用いた超音波振動子と、を備え、
前記トランスの二次側コイルと前記圧電素子とを含む並列共振回路の共振周波数が、前記超音波振動子の共振周波数と近似するよう調整されており、
前記交流電源部は、前記直流電源部が通電を終了した後に、前記並列共振回路の共振振動と位相を同期させて通電を開始する点にある。
トランスと、
前記トランスの一次側に通電する交流電源部と、
前記トランスの二次側に通電する直流電源部と、
前記トランスの二次側に接続された圧電素子を用いた超音波振動子と、を備え、
前記トランスの二次側コイルと前記圧電素子とを含む並列共振回路の共振周波数が、前記超音波振動子の共振周波数と近似するよう調整されており、
前記交流電源部は、前記直流電源部が通電を終了した後に、前記並列共振回路の共振振動と位相を同期させて通電を開始する点にある。
上記構成によれば、圧電素子への印加電圧の振幅を短時間で立ち上げることができる。その結果、超音波振動子の振動面(例えば、圧電素子が接合されたダイアフラム)の振動振幅を短時間で所定の大きさまで立ち上げることができる。これにより、駆動時間を短縮することができる。
具体的に説明すると、上記構成によれば、交流電源部の通電に先だって、直流電源部が、一次側コイルと二次側コイルとを有するトランスの二次側(すなわち、二次側コイルと圧電素子とを含む並列共振回路)に一定の直流電流を通電することができる。通常、トランスのコイルワイヤの抵抗は十分小さく、また、定常状態では、トランスの二次側コイルの両端の電位差は十分小さいため、トランスの二次側コイルにほぼすべての電流が流れる。そして、トランスの二次側コイルには、当該二次側コイルのインダクタンスと、当該二次側コイルに流れる電流の二乗に比例したエネルギーが蓄えられる。
また、上記構成によれば、トランスの二次側コイルにエネルギーが蓄えられた後、直流電源部が通電を終了すると、当該通電の終了と同時にトランスの二次側コイルと圧電素子とを含む並列共振回路が共振振動を開始する。なお、この共振振動の共振周波数は、トランスの二次側コイルのインダクタンスと圧電素子の電極間容量の少なくとも一部の容量との関係で決定される。
そして、上記構成によれば、トランスの二次側コイルと圧電素子とを含む並列共振回路が共振振動を開始すると、すなわち、直流電源部が通電を終了すると、交流電源部は、並列共振回路の共振振動と位相を同期させてトランスの一次側に通電する通電を開始することができる。ここで、位相を同期させる、とは、並列共振回路の共振振動の位相に合わせて交流電源部が交流電流をトランスの一次側に供給を開始することをいい、トランスの二次側コイルの端子間電圧の位相と、当該交流電流の位相とがおよそ重複することをいう。
したがって上記構成によれば、圧電素子への印加電圧の振幅を短時間で立ち上げて超音波振動子の振動面の振動振幅を短時間で大きくし、これにより、駆動時間を短縮することができる。なお、このように送信される超音波の音圧を急峻に立ち上げて駆動時間を短縮することで、超音波のパルス幅を短縮することができる。同時に、駆動開始から残響が減衰するまでの時間を短縮することができる。これにより、この超音波振動子駆動回路を用いたソナーは、近傍から遠方までの広い範囲で対象物の検知が行える。また、当該ソナーは、互いに距離差が小さい二以上の対象物からの反射波を分離して、確実な対象物検知が行える。
本発明に係る超音波振動子駆動回路の更なる特徴構成は、
前記直流電源部が通電を終了する際の電流値が、当該直流電源部が通電を開始する際の電流値よりも大きく設定されている点にある。
前記直流電源部が通電を終了する際の電流値が、当該直流電源部が通電を開始する際の電流値よりも大きく設定されている点にある。
上記構成によれば、不要な超音波(以下ではノイズ波と称する)の放出(送信)を防ぎ、当該ノイズ波の反射波の受信による誤検知を防止できる。
たとえば、直流電源部が通電を開始してから終了するまでの間、供給される電流値を一定もしくは単調増加(すなわち、単調非減少)とすることで、直流電源部が通電を終了する際の電流値を、当該直流電源部が通電を開始する際の電流値よりも大きく設定することができる。これにより、圧電素子に印加される電圧がより小さくなる。そして、直流電流の通電に伴って当該圧電素子の端子間に印加される電圧の高周波成分が抑制される。その結果、当該圧電素子への電圧印加に伴う振動面の変位を防ぐことができる。このようにして、当該変位から開始される自由振動、および当該自由振動により発振されるノイズ波をも併せて抑制することができる。
単調非減少とは、通電時間の経過にともない電流値を漸増させる単調増加する態様のみならず、一定電流が流れる状態を含む。直流電源の通電開始時はその電流値(通電量)をゼロとし、通電時間の経過にともない電流値を漸増させ、電流値が、目標値、たとえば、圧電素子の駆動時にトランスの二次側コイルに誘電される電流のピーク値とほぼ一致した電流に達したところで漸増を停止し、一定電流として通電を継続するような通電の態様も含まれる。
なお、並列共振回路への電流値の時間変化率は、通電中、ステップ状に変化させず、時間経過に連続した(なめらかな)電流変化率であることが望ましい。これにより、圧電素子へ印加される電圧のステップ状の変化が抑制されて、ノイズ波の送信を防止することができる。
本発明に係る超音波振動子駆動回路の更なる特徴構成は、
前記交流電源部は、前記直流電源部が通電を終了した時から、前記並列共振回路の共振周期の四分の1周期に対応する時間の経過した時に通電を開始する点にある。
前記交流電源部は、前記直流電源部が通電を終了した時から、前記並列共振回路の共振周期の四分の1周期に対応する時間の経過した時に通電を開始する点にある。
上記構成によれば、直流電源部によるトランスの二次側への通電方向(実質的には直流電源部による二次側コイルへの通電方向)とは逆方向の電流を、二次側コイル(共振回路)に誘起させるタイミングで、交流電源部が、一次側コイルに通電を開始することができる。これにより、上記並列回路の共振振動に対し一次側コイルに通電する電流の位相を合わせることができる。その結果、直流電源部の通電により二次側コイルに蓄えられたエネルギーを、効率よく圧電素子に供給し、超音波振動子の振動面の振動に変換することができる。
その結果、交流電源部による一次側コイルへの通電開始後、速やかに(短時間で)、超音波の音圧を高めることができる。その結果、超音波振動子の駆動電圧の短縮や、発信される超音波のパルス幅の短縮が可能となる。また、駆動時間と残響時間との合計時間を短縮することができる。これにより、この超音波振動子駆動回路を用いたソナーは、近距離の障害物検出が可能となる。また、この超音波振動子駆動回路を用いたソナーは、二以上の対象物(たとえば、互いに距離差が小さい対象物)から反射された反射波を分離して検知し、これら二以上の対象物を、確実に分離して認識することができる。
上記目的を達成するための本発明に係るソナーの特徴構成は、
上記記載の超音波振動子駆動回路を備え、
前記超音波振動子が発信した超音波を用いて距離を算出する点にある。
上記記載の超音波振動子駆動回路を備え、
前記超音波振動子が発信した超音波を用いて距離を算出する点にある。
上記構成によれば、上記超音波振動子駆動回路と同様の作用効果を奏することができる。
駆動時間を短縮することができる超音波振動子駆動回路およびソナーを提供することができる。
図1から図15に基づいて、本発明の実施形態に係る超音波振動子駆動回路およびこの超音波振動子駆動回路を用いたソナーについて説明する。
〔ソナー用回路、および当該回路を用いたソナーの概略構成の説明〕
〔ソナーの全体の構成〕
まず、ソナー300の全体の構成を説明する。本実施形態に係るソナー300の全体構成を図14に示す。ソナー300は、たとえば自動車などの走行車両の障害物センサとして利用される。
〔ソナーの全体の構成〕
まず、ソナー300の全体の構成を説明する。本実施形態に係るソナー300の全体構成を図14に示す。ソナー300は、たとえば自動車などの走行車両の障害物センサとして利用される。
ソナー300は、図14に示すように、ダイアフラム12に圧電素子11が接合された超音波振動子1と、圧電素子11に所定の周波数の駆動電圧を印加して超音波W(図15参照)を発信させる電源部2と、超音波振動子1から取得した所定の周波数をキャリアとする信号の振幅情報を基にして距離dを算出する信号処理回路3と、を備えている。なお、本実施形態では、上記所定の周波数として、超音波振動子1の共振周波数と一致もしくはこれに近い周波数が設定されている。
超音波振動子1は、圧電素子11を接合したダイアフラム12の面が容器13の筒の内側になるように、有底筒状の容器13の一端部である底部に設けられ、トランスデューサユニット200を構成する。
超音波振動子1は、振動に関する力学的な特性として、超音波振動子1の振動面の共振周波数(いわゆる固有振動数)を有する。超音波振動子1の振動面(圧電素子11の振動面)の共振周波数は、主として圧電素子11とダイアフラム12との電気的/力学的特性により決定される。以下では、超音波振動子1の共振周波数と称する場合、超音波振動子1の振動面の共振周波数を意味するものとする。本実施形態では、圧電素子11には例えばセラミクス圧電体を採用することができる。また、ダイアフラム12には、たとえば金属板を用いることができる。
ソナー300は、図15に示すように、トランスデューサユニット200の超音波振動子1の面から発信される超音波Wを発信してから、その反射波Rを超音波振動子1のダイアフラム12で受信するまでの時間(以下では、単に、戻り時間と称する場合がある)と音速とをもとにして、超音波振動子1と対象物9との距離dを信号処理回路3が算出することで、近距離d2にある対象物92や遠距離d1にある対象物91を検出する。なお、信号処理回路3は、超音波振動子1が超音波Wを発信してから反射波Rを受信するまでの時間を、超音波振動子1が反射波Rを受信した結果得られる所定の周波数をキャリアとする信号の振幅情報を基にして計測している。
このように、超音波Wを送信し、その反射波Rを受信するまでの時間と音速とを基にして対象物9までの距離dを測定する方法は、いわゆるタイム・オブ・フライト(Time−Of−Flight、TOF)法として知られている。
〔超音波振動子駆動回路の構成〕
本実施形態に係る超音波振動子駆動回路100は、図14に示すごとく、電源部2と、超音波振動子1の圧電素子11とを含む回路のことをいう。超音波振動子駆動回路100は、図示されない制御部により、超音波Wの発信を制御されている。
本実施形態に係る超音波振動子駆動回路100は、図14に示すごとく、電源部2と、超音波振動子1の圧電素子11とを含む回路のことをいう。超音波振動子駆動回路100は、図示されない制御部により、超音波Wの発信を制御されている。
超音波振動子1は、図示されない制御部の指示を受けて電源部2から供給される駆動電圧により圧電素子11を駆動され、超音波Wを発信する。なお、超音波Wを発信した後は、当該超音波Wが対象物9で反射した反射波Rを圧電素子11が受信して電圧の信号に変換し、当該信号により信号処理回路3が対象物9を検知し、また、距離dを算出する。
本実施形態ではさらに、超音波振動子駆動回路100が、信号処理回路3が検出した対象物9の情報を処理する処理回路8と接続される場合を例示している。
超音波振動子駆動回路100において、電源部2と超音波振動子1とは一対の信号線7で接続されている。超音波振動子駆動回路100は、信号線7の一方からグランドG(GND)に接続されている。
図14では、グランドGに接続されている側の信号線7を第一信号線71で表しており、他端側の信号線7を第二信号線72で表している。
図14には、第二信号線72は、圧電素子11と直接接続されている場合を図示している。また、第一信号線71は、トランスデューサユニット200の容器13およびダイアフラム12を介して圧電素子11と接続されている場合を図示している。
電源部2は、超音波振動子1に所定の周波数の駆動電圧を印加する電源である。たとえば、図示されない走行車両のバッテリを外部電源として電力を供給されている。電源部2は、グランドGを基準電位としている。
電源部2は、圧電素子11の駆動電圧として、所定の周波数の駆動電圧を出力し、圧電素子11に印加することができる。ここで、所定の周波数は、上述のごとく、超音波振動子1の共振周波数に設定されている。
信号処理回路3は、電源部2と超音波振動子1との間において、第二信号線72と接続されている。つまり、信号処理回路3は、第一信号線71および第二信号線72を介して超音波振動子1と接続されている。超音波振動子1が受信した周波数の信号は、電圧の振幅の信号(電圧の振幅情報)として第二信号線72から信号処理回路3に伝送される。信号処理回路3は、周波数の信号を基にして距離dを算出するようになっている。図示されていないが、信号処理回路3も、基準電位としてグランドGに接続されている。
処理回路8は、超音波振動子駆動回路100の信号処理回路3と接続されており、信号処理回路3が出力した対象物9との距離dに関する情報を、予め定めた方式で扱う回路である。
ソナー300は、対象物9を検出した場合、処理回路8を介して、対象物9が存在する旨や、対象物9との距離dを、使用者に報知する構成とすることができる。なお、処理回路8は、本実施形態における超音波振動子駆動回路100には含まれず、超音波振動子駆動回路100とは別の回路である。
処理回路8としては、対象物9が存在する旨や対象物9との距離dを使用者に報知するモニタなどの表示機やスピーカーなどの発音器のような報知機や、走行車両のエンジンコントロールユニット等の安全回路(例えば、対象物9を検知し、障害物と認識した場合に車両の走行を制動するブレーキ制御回路)が例示される。
なお、残響とは、圧電素子11が駆動電圧の印加を停止された後、引き続きダイアフラム12が減衰振動している状態をいい、この振動が停止するまでの時間は減衰時間ないし残響時間と称される。以下では減衰振動が停止するまでの時間を残響時間と称する。
〔第一実施形態〕
図1、図6、図14、および図15をもとにして、超音波振動子駆動回路100の第一実施形態を説明する。超音波振動子駆動回路100は、上述のごとく、電源部2と、超音波振動子1の圧電素子11とを含む。図1には本実施形態にかかる超音波振動子駆動回路100を図示している。また、図8には、本実施形態にかかる超音波振動子駆動回路100と対比すべく、従来の超音波振動子駆動回路を図示している。
図1、図6、図14、および図15をもとにして、超音波振動子駆動回路100の第一実施形態を説明する。超音波振動子駆動回路100は、上述のごとく、電源部2と、超音波振動子1の圧電素子11とを含む。図1には本実施形態にかかる超音波振動子駆動回路100を図示している。また、図8には、本実施形態にかかる超音波振動子駆動回路100と対比すべく、従来の超音波振動子駆動回路を図示している。
〔超音波振動子駆動回路の回路構成について〕
まず、超音波振動子駆動回路100の回路構成について説明する。
まず、超音波振動子駆動回路100の回路構成について説明する。
超音波振動子1は、図1において、抵抗Rs、コンデンサCs、コイルLsが直列に接続された直列回路と、当該直列回路と並列に接続されるコンデンサCdとで構成される等価回路で図示されている。本実施形態における超音波振動子1の共振周波数とは、超音波振動子1の等価回路に表した、抵抗Rs、コンデンサCs、コイルLsで構成される直列回路の直列共振周波数である。
電源部2は、交流電源部4と、直流電源部5と、一次側コイル61と二次側コイル62とを有するトランス6と、コンデンサCtと、抵抗Rdとを有する。二次側コイル62と、コンデンサCtと、抵抗Rdと、超音波振動子1とは信号線7により並列に接続されている。
交流電源部4は、所定の周波数の交流の電力供給を行う電源である。交流電源部4は、第一定電流回路P1と、第二スイッチおよび第三スイッチで構成される一対のスイッチS2とを有する。交流電源部4は、グランドGを基準電位としている。
第一定電流回路P1は、図示されない外部電源から電力供給を受け、図示されない制御部に指示されて、当該電力を一定の直流電流に変換して出力する回路である。第一定電流回路P1は、一端をグランドGに接続されており、他端(出力側の端子)が一対のスイッチS2に接続されている。
一対のスイッチS2は、それぞれ、電力線73と電力線74とに接続されている。一対のスイッチS2は、交流電源部4が電力供給を行う際は、図示されない制御部に指示されて、第一定電流回路P1に対して電力線73と電力線74と交互に(排他的に)短絡するようになっている。
詳述すると、制御部に電力供給の開始を指示された交流電源部4が、所定の周波数の交流の電力供給を行う際、一対のスイッチS2は、上記所定の周波数に対応する一定の周期で、電力線73と電力線74とに交互に短絡および開放する(切り替える)ようになっている。
本実施形態では、この一定の周期が、超音波振動子1の共振周波数に対応する周期に設定されており(図6の第二スイッチおよび第三スイッチの波形を参照)、交流電源部4は、超音波振動子1の共振周波数と一致もしくはこれに近い周波数の交流電圧を出力する。なお、交流電源部4が制御部に電力供給の停止を指示されると、一対のスイッチS2は電力線73と電力線74との双方に開放される。一対のスイッチS2が電力線73と電力線74との双方に開放されると、第一定電流回路P1からの通電が停止する。
直流電源部5は、所定の(制御された、ないし制限された)直流電流を出力する電源である。直流電源部5は、第二定電流回路P2と、第一スイッチS1とを有する。直流電源部5は、一端が直流のプラス(+)電源(外部電源)に接続されて直流電流の供給を受けており、他端を第二信号線72に接続されている。なお、図1に示す超音波振動子駆動回路100は、図8に示す従来の超音波振動子駆動回路と比べて、電源部2が直流電源部5を有し、直流電源部5が第二信号線72に接続されている点のみが異なる。
第二定電流回路P2は、一定の直流電流を出力する回路である。第二定電流回路P2は、一端が直流のプラス(+)電源(外部電源)に接続されて直流電流の供給を受けており、第一スイッチS1を介して第二信号線72と、接続部72aで接続されている。これにより、直流電源部5は、第一スイッチS1が制御部に指示されて短絡した際に、制限された直流電流を出力することができるようになっている。
なお、本実施形態において、接続部72aは第二信号線72のいずれかの部位に設けられている(若しくは、「設けられていればよい」)。一つの態様として、図1には、接続部72aが、トランス6(二次側コイル62)に隣接して設けられており、トランス6と抵抗Rdとの間に配置されている場合を示している。
なお、第一スイッチS1としては、オンオフ式のスイッチを用いることができる。また、機械的に短絡と開放とを切り替えるスイッチの他、半導体式のスイッチを用いることもできる。半導体式のスイッチとしては、たとえば図4に図示するような電界効果トランジスタや、図5に図示するようなpnpトランジスタを用いることができる。
トランス6は、交流電源部4から所定の周波数の交流の電力供給を受けている一次側コイル61と、超音波振動子1に所定の周波数の交流の電力供給を行う二次側コイル62とを有する。
一次側コイル61は交流電源部4と電力線73および電力線74で接続されている。なお、電力線73は、二次側コイル62が第二信号線72に接続される側の極に対応する、一次側コイル61の極側に接続された電力供給線であり、電力線74は、一次側コイル61の他方の極側に接続される電力供給線である。また、一次側コイル61は、センタータップ61aを有しており、センタータップ61aは直流のプラス電源と接続されている。一次側コイル61において、センタータップ61aと一次側コイル61の一方の極側間のコイルの巻数と、センタータップ61aと一次側コイル61の他方の極側間のコイルの巻数とは等しくなっている。
本実施形態では、交流電源部4と一次側コイル61とで構成される、トランス6の一次側の回路を、以下、一次側回路Xと定義する。
二次側コイル62は、超音波振動子1と並列に接続されている。また、二次側コイル62は、一次側コイル61と相互インダクタンスで結合されており、一次側コイル61が発生させた磁場を電流に変換し、超音波振動子1に出力することができる。
二次側コイル62は、超音波振動子1の圧電素子11(図14参照)のコンデンサCdと並列共振回路(LC並列回路)を構成している。つまり、二次側コイル62とコンデンサCdとを含む並列共振回路は、圧電素子11の電極間容量の少なくとも一部となるコンデンサCdの電極間容量を含んで構成される並列共振回路である。言い換えると、コイルL2とコンデンサCdとを含む並列共振回路とは、その電気的特性(たとえば並列共振周波数)が、二次側コイル62のインダクタンスと、コンデンサCdの電極間容量とを含めて決定される回路である。
本実施形態では、コンデンサCtと抵抗Rdとが、信号線7における、二次側コイル62と超音波振動子1との間において、超音波振動子1および二次側コイル62と並列に接続されている。
本実施形態では、上述の二次側コイル62とコンデンサCdとを含む並列共振回路とコンデンサCtと抵抗Rdとを包含する回路を、以下、二次側回路Yと定義する。この二次側回路Yは、二次側コイル62とコンデンサCdとコンデンサCtと抵抗Rdとを包含する並列共振回路を構成している。
そして、この二次側回路Yの並列共振周波数が、超音波振動子1の共振周波数と近似するよう調整されている。当該共振周波数の調整は、コンデンサCdの電極間容量を調整することにより行うことができる。なお、抵抗Rdは、並列共振回路としての二次側回路YのQ値の調整用の抵抗である。コンデンサCtおよび抵抗Rdは、それぞれ必要に応じて回路に組み込まれるものであり、二次側回路Yの必須の構成要素では無い。
グランドGについて補足する。
グランドGと第一信号線71との接続部分は接続部71aで示している。なお、本実施形態において、接続部71aは第一信号線71のいずれかの部位に設けられている。一つの態様として、図1には、接続部71aが、トランス6(二次側コイル62)に隣接して設けられており、トランス6と抵抗Rdとの間に配置されている場合を示している。
グランドGと第一信号線71との接続部分は接続部71aで示している。なお、本実施形態において、接続部71aは第一信号線71のいずれかの部位に設けられている。一つの態様として、図1には、接続部71aが、トランス6(二次側コイル62)に隣接して設けられており、トランス6と抵抗Rdとの間に配置されている場合を示している。
〔超音波振動子駆動回路による超音波振動子の駆動について〕
超音波振動子駆動回路100による超音波振動子1の駆動について説明する。
超音波振動子駆動回路100による超音波振動子1の駆動について説明する。
超音波振動子駆動回路100により超音波振動子1(圧電素子11)の駆動を開始するに際し、まず、第一スイッチS1を短絡させて、直流電源部5から第二信号線72、すなわち、二次側回路Yに直流電流(定電流)の供給を開始する。
二次側回路Yに直流電流を通電すると二次側コイル62にほぼすべての電流が流れる。そして、二次側コイル62には、二次側コイル62のインダクタンスと、二次側コイル62に流れる電流の二乗に比例したエネルギーが蓄えられる。通常、トランス6のコイルワイヤの抵抗は十分小さく、定常状態では、トランス6の二次側コイル62の両端の電位差は十分小さくなり、抵抗Rdを流れる電流は十分小さく無視できるためである。
そして、二次側コイル62にエネルギーが蓄えられた後、第一スイッチS1を開放して直流電源部5が通電を終了すると、当該通電の終了と同時に二次側コイル62と圧電素子11などとを含む二次側回路Yが共振振動を開始する。
詳述すると、第一スイッチS1を開放した後、二次側コイル62に流れていた電流は、第二信号線72の側から第一信号線71の側に流れ、二次側コイル62とコンデンサCdおよびコンデンサCt間でエネルギーの行き来が始まる。
この際、一部の電流の電気エネルギーは、抵抗Rdなどで熱に変換されて消費される。しかし、大半の電流の電気エネルギーは、コンデンサCdやコンデンサCtに電荷として蓄えられる。
そして、二次側コイル62を流れる電流が減少してゼロになると、コンデンサCdやコンデンサCtが放電し、二次側コイル62を流れる電流が反転する。すなわち、電流が、二次側コイル62を、第一信号線71の側から第二信号線72の側に流れる。このように第一スイッチS1を開放した後に電流が反転するタイミングが、並列共振回路である二次側回路Yの共振周期の四分の1周期に対応する時間の経過した時である。
そして、このように、直流電源部5が通電を終了して二次側回路Yが共振振動を開始し、二次側回路Yの共振周期の四分の1周期が経過したときに、交流電源部4は、当該共振振動と位相を同期させて一次側コイル61に、超音波振動子1の共振周波数と一致もしくはこれに近い周波数の交流電圧の印加を開始し、超音波振動子1に超音波を発信させる。
図6には、超音波振動子駆動回路100の各スイッチの開閉タイミングと、超音波振動子1へ印加される電圧と、当該電圧の印加によって生ずる超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位の時間変化の一例を示している。
図6の「超音波振動子への印加電圧波形」には、超音波振動子1(圧電素子11)に印加される電圧が図示されている。図6の横軸は時間軸である。超音波振動子1の圧電素子11に印加される電圧は、第一スイッチS1(図6の「第一スイッチ」)が短絡されて直流電源部5が二次側回路Yに直流電流(定電流)の供給を開始した後やや上昇し、その後減少する(図6中の凸部αを参照)。
直流電源部5が二次側回路Yに直流電流(定電流)の供給を停止した後、交流電源部4の一対のスイッチS2が切り替えを開始すると(図6の「第二スイッチ」および「第三スイッチ」)、一次側コイル61の電流により作られるトランス6のコア内の磁界は互いに逆方向になる。つまり、トランス6に誘起される電流の方向は、一対のスイッチS2の切り替えにより反転し、二次側コイル62には交流電流が誘起される。
そして、超音波振動子1の圧電素子11には、超音波振動子1の共振周波数と一致もしくはこれに近い周波数の交流電圧が二次側回路Yから印加される。これに伴って、超音波振動子1の振動面は振動変位する。図6の「超音波振動子の振動面の変位」には、超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位を図示している。
このように、二次側コイル62に直流電流を通電しておくことで、交流電源部4による交流電圧の印加開始までに、並列共振回路としての二次側回路Yにエネルギーを蓄積した状態とすることができる。そのため、超音波振動子1の駆動開始である第一スイッチS1の開放直後から超音波振動子1に印加する電圧を大きくすることができる。
すなわち、圧電素子11への印加電圧の振幅を短時間で立ち上げて超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の振動振幅を短時間で大きくし、これにより、超音波振動子1の駆動時間を短縮することができる。なお、このように送信される超音波の音圧を急峻に立ち上げて、駆動時間を短縮することで、超音波のパルス幅を短縮することができる。同時に、駆動開始から残響が減衰するまでの時間を短縮することができる。
所定期間通電すると(所定のパルス幅の超音波Wを発信すると)、制御部が交流電源部4に通電を停止させる。当該通電停止後、残響時間を経過すると、超音波振動子1は反射波Rの受信が可能な状態になる。
このようにして、この超音波振動子駆動回路100を用いたソナー300は、近傍から遠方までの広い範囲で対象物9の検知および対象物9までの距離dの測定が行えるのである。また、ソナー300は、互いに距離差が小さい二以上の対象物9からの反射波Rを分離して、確実な対象物検知と距離の測定が行えるのである。
直流電源部5が直流電流を供給している際の、超音波振動子1の出力について補足する。
第一スイッチS1を短絡している間、すなわち、直流電源部5が直流電流を供給している間、第二定電流回路P2の出力電圧は、+電源(外部電源)の電圧以下である。したがって、第一スイッチS1の短絡状態では、二次側回路Yの並列共振回路における電圧降下は電源電圧(外部電源の電圧)を超えることは無い。
ここで、交流電源部4により超音波振動子1を駆動中(超音波を発信中)は、トランス6を介して電源電圧(外部電源の電圧)以上の電圧が超音波振動子1(圧電素子11)に印加されるとともに、超音波振動子1の共振周波数に近い周波数で駆動されるため、超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位は大きくなる。
しかし、第一スイッチS1が短絡されているときは、超音波振動子1に印加される電圧は電源電圧以下である。また、第一スイッチS1が短絡されている時間は、超音波振動子1の共振の周期より十分長い。そのため、第一スイッチS1が短絡される際の超音波振動子1への印加電圧の変動による超音波の出力は非常に小さく、ソナー300の誤検知を誘発しないのである。
〔従来の超音波振動子駆動回路の動作との比較〕
従来の超音波振動子駆動回路の動作と超音波振動子駆動回路100の動作との比較について補足する。従来の超音波振動子駆動回路は、図8に示すように、電源部2が直流電源部5を有さない点で超音波振動子駆動回路100と異なる。
従来の超音波振動子駆動回路の動作と超音波振動子駆動回路100の動作との比較について補足する。従来の超音波振動子駆動回路は、図8に示すように、電源部2が直流電源部5を有さない点で超音波振動子駆動回路100と異なる。
図9には、図8に示した従来の超音波振動子駆動回路の一対のスイッチS2の開閉タイミングと、超音波振動子1へ印加される電圧と、当該電圧の印加によって生ずる超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位の時間変化の一例を示している。
図9の「超音波振動子への印加電圧波形」には、超音波振動子1(圧電素子11)に印加される電圧が図示されている。図9の横軸は時間軸である。
交流電源部4の一対のスイッチS2が切り替えを開始すると、二次側コイル62には交流電流が誘起される。
そして、超音波振動子1の圧電素子11には、所定の周波数の交流電圧が二次側回路Yから印加される。これに伴って、超音波振動子1の振動面は振動変位する。図9の「超音波振動子の振動面の変位」には、超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位を図示している。
しかし、従来の超音波振動子駆動回路は、二次側コイル62に直流電流を通電する直流電源部5を備えていないため、超音波振動子1の駆動開始である一次側コイル61の通電開始から超音波振動子1に印加する電圧を大きくすることができない。したがって、超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位は、超音波振動子駆動回路100における超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位(図6の「超音波振動子の振動面の変位」を参照)に比べて、ゆるやかに立ち上がる。
そのため、従来の超音波振動子駆動回路によれば、超音波振動子1の駆動時間を十分に短縮することができない。また、超音波のパルス幅を十分に短縮することができない。また、駆動開始から残響が減衰するまでの時間を十分に短縮することもできない。
〔第二実施形態〕
図3および図7を基にして、超音波振動子駆動回路100の第二実施形態を説明する。第二実施形態は、直流電源部5が第二定電流回路P2を有する代わりに、電流制御回路52を有する点で異なり、他の構成は同じである。
図3および図7を基にして、超音波振動子駆動回路100の第二実施形態を説明する。第二実施形態は、直流電源部5が第二定電流回路P2を有する代わりに、電流制御回路52を有する点で異なり、他の構成は同じである。
電流制御回路52は、通電中の電流値を変更する回路である。電流制御回路52は供給を受けた直流電流を規制し、電流値を制御された(制限された)直流電流を下流に供給する回路である。本実施形態では、電流制御回路52は、制御部の指示にしたがって、下流となる第二信号線72、すなわち、二次側回路Yに供給する電流を制御(調整)することができる。
電流制御回路52は、一端がプラス(+)電源(外部電源)に接続されて直流電流の供給を受けており、第一スイッチS1を介して第二信号線72に接続されている。
図7には、超音波振動子駆動回路100の各スイッチの開閉タイミングと、超音波振動子1へ印加される電圧と、当該電圧の印加によって生ずる超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位の時間変化の一例を示している。
本実施形態では、電流制御回路52は、図7の「第一スイッチを流れる電流」として図示されるように制御した通電を行う。すなわち、第一スイッチS1を短絡した時の通電量はほぼゼロとし、その後、経過にともない電流値を所定の値まで漸増させる。電流値を所定の値に到達すると、電流制御回路52は、一定の電流を供給する。その後、第一スイッチS1が解放されると、電流制御回路52は、通電を停止する。
図7の「超音波振動子への印加電圧波形」には、超音波振動子1(圧電素子11)に印加される電圧が図示されている。図7の横軸は時間軸である。超音波振動子1の圧電素子11に印加される電圧は、第一スイッチS1(図7の「第一スイッチ」)が短絡されて直流電源部5が二次側回路Yに通電を開始してもほとんど上昇しない(図6中の凸部αが存在しない)。
直流電源部5が二次側回路Yに通電を停止した後、交流電源部4の一対のスイッチS2が切り替えを開始すると(図7の「第二スイッチ」および「第三スイッチ」)、超音波振動子1の圧電素子11には、超音波振動子1の共振周波数と一致もしくはこれに近い周波数の交流電圧が、二次側コイル62から印加される。これに伴って、超音波振動子1の振動面は振動変位する。図7の「超音波振動子の振動面の変位」には、超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の変位を図示している。
このように、第一スイッチS1が短絡されている状態での電流を制御することで、第一スイッチS1が短絡されている状態での超音波振動子1(圧電素子11)に印加される電圧を低減することができる。これにより、直流電源部5が二次側回路Yに通電している際に超音波振動子1のダイアフラム12の振動面の不要な振動を抑制し、ひいては、超音波振動子1が不要な超音波(以下ではノイズ波と称する)の放出(送信)を防ぐことができる。また、当該ノイズ波の反射波の受信による誤検知を防止できる。
〔第三実施形態〕
図11を基にして、超音波振動子駆動回路100の第三実施形態を説明する。第三実施形態は、第一スイッチS1の制御信号が入力される論理否定回路59をさらに有し、また、二次側回路Yに第四スイッチS4が設けられており、第四スイッチS4には論理否定回路59の出力が接続されている点で第二実施形態とは異なる。
図11を基にして、超音波振動子駆動回路100の第三実施形態を説明する。第三実施形態は、第一スイッチS1の制御信号が入力される論理否定回路59をさらに有し、また、二次側回路Yに第四スイッチS4が設けられており、第四スイッチS4には論理否定回路59の出力が接続されている点で第二実施形態とは異なる。
第四スイッチS4は、二次側回路Yの第二信号線72に設けられている。また、第四スイッチS4は、二次側コイル62と抵抗RdおよびコンデンサCtおよび超音波振動子1との間(図1の場合は、二次側コイル62と抵抗Rdとの間)に設けられている。なお、この第四実施形態において接続部72aは、二次側コイル62と第四スイッチS4との間に設けられている。
論理否定回路59は、第一スイッチS1が短絡(もしくは開放)の場合に、第四スイッチS4を開放(短絡)させる信号を発生させる回路である。したがって、論理否定回路59を介して第一スイッチS1と接続された第四スイッチS4は、第一スイッチS1が短絡(もしくは開放)している場合に、開放(短絡)する。つまり、第一スイッチS1と第四スイッチS4とは開放と短絡の状態(開閉状態)が互いに逆(反対)になる。このように、第四スイッチS4の開閉は論理否定回路59の出力信号により制御されている。
このように論理否定回路59および第四スイッチS4を設けることで、第一スイッチS1が短絡した時に第四スイッチS4が開放し、直流電源部5から供給される直流電流が、二次側コイル62にのみ流れるようにすることができる。
このように、直流電源部5から供給される直流電流が、二次側コイル62にのみ流れるため、二次側コイル62の両端に電位差が生じても、超音波振動子1の圧電素子11の両端には電位差が生じず(圧電素子11には電圧が印加されず)、ノイズ波の放出を防ぐことができる。また、当該ノイズ波の反射波の受信による誤検知を防止できる。
またこのように、直流電源部5から供給される直流電流が、二次側コイル62にのみ流れるため、二次側コイル62を流れる直流電流が安定するまでの時間を短縮することができる。
また、超音波振動子1の圧電素子11の両端は、抵抗Rdを介して導通(短絡)しているため、圧電素子11の両極間(圧電素子11が接続されている第一信号線71と第二信号線72との間)に電圧が印加されることを防ぐことができる。たとえば、外乱などにより、圧電素子11の両極間に高電圧が印加されることを防ぐことができる。これにより、圧電素子11の破損を予防することができる。
なお、第一スイッチS1が解放すると第四スイッチS4が短絡するため、第一スイッチS1が解放した後は、第二実施形態の場合と同様に超音波振動子1に交流電圧を印加することができる。
以上のようにして、駆動時間を短縮することができる超音波振動子駆動回路、および、当該駆動回路を用いたソナーを提供することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、一次側回路Xを構成する交流電源部4が、第一定電流回路P1と、第二スイッチおよび第三スイッチで構成される一対のスイッチS2とを有する場合を説明した。
(1)上記実施形態では、一次側回路Xを構成する交流電源部4が、第一定電流回路P1と、第二スイッチおよび第三スイッチで構成される一対のスイッチS2とを有する場合を説明した。
しかしながら、図10に示す一次側回路Xのように、交流電源部4が、所定の周波数の交流電流を供給する交流電流源P3であり、交流電流源P3に、超音波振動子1の共振周波数と一致もしくはこれに近い周波数の交流電圧を出力させて、一次側コイル61に供給することもできる。
(2)上記第一実施形態において、直流電源部5が、第二定電流回路P2と、第一スイッチS1とを有する場合を説明した。
しかしながら、直流電源部5が、第二定電流回路P2に代えて、直流のプラス(+)電源(外部電源)から供給される電流値を制限する電流制限抵抗路51を有し、一定の直流電流では無いにしても、制限された電流を出力する構成とすることもできる。なお、この場合は、プラス(+)電源(外部電源)の電位が安定していることを要する。プラス(+)電源(外部電源)の電位が安定していれば、第二定電流回路P2を用いる場合よりも直流電源部5の回路を簡易化しつつ、第二定電流回路P2を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
(3)上記第二実施形態において、電流制御回路52が、第一スイッチS1を短絡した時の通電量はほぼゼロとし、その後、経過にともない電流値を所定の値まで漸増させ、さらに電流値を所定の値に到達すると、一定の電流を供給し、その後、第一スイッチS1が解放されると、通電を停止する場合を説明した。
しかしながら、電流制御回路52は、第一スイッチS1を短絡した時から第一スイッチS1が解放されるまでの間に供給される電流値の時間変化率を時間経過に連続した(なめらかな)電流変化率にすることもできる。
(4)上記第三実施形態において、第四スイッチS4は、第二信号線72における、二次側コイル62と抵抗RdおよびコンデンサCtおよび超音波振動子1との間(図11の場合は、二次側コイル62と抵抗Rdとの間)に設けられている場合を説明した。
しかしながら、第四スイッチS4は、図12に示すように、第一信号線71における、二次側コイル62と抵抗RdおよびコンデンサCtおよび超音波振動子1との間(図1の場合は、二次側コイル62と抵抗Rdとの間)に設けることもできる。この場合、グランドGと第一信号線71との接続部分である接続部71aは、二次側コイル62と第四スイッチS4との間に配置されることを要する。このように第四スイッチS4を配置しても、第三実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(5)上記第三実施形態において、第四スイッチS4は、第二信号線72における、二次側コイル62と抵抗RdおよびコンデンサCtおよび超音波振動子1との間(図11の場合は、二次側コイル62と抵抗Rdとの間)に設けられている場合を説明した。
しかしながら、第四スイッチS4は、図13に示すように、第二信号線72における、コンデンサCtと、超音波振動子1との間に設けることもできる。この場合、第三実施形態の説明とは異なり、超音波振動子1の圧電素子11の両端は、抵抗Rdを介して導通(短絡)しておらず、また、直流電源部5から供給される直流電流は、二次側コイル62と、抵抗Rdとに流れるが、超音波振動子1の圧電素子11の両端には電位差が生じず(圧電素子11には電圧が印加されず)、ノイズ波の放出は防ぐことができる。
(6)上記実施形態では、第三実施形態、および第三実施形態の別の実施形態として、図11、図12、および図13に示す超音波振動子駆動回路100のごとく、直流電源部5が電流制御回路52を有する場合を説明した。
しかしながら、図11、図12、および図13に示す超音波振動子駆動回路100の直流電源部5は、電流制御回路52に代えて、図1で示した超音波振動子駆動回路100の直流電源部5の第二定電流回路P2を採用することもできるし、図1で示した超音波振動子駆動回路100の直流電源部5の電流制限抵抗路51を採用することもできる。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、超音波振動子駆動回路およびソナーに適用できる。
1 :超音波振動子
4 :交流電源部
5 :直流電源部
6 :トランス
7 :信号線
11 :圧電素子
51 :電流制限抵抗路
52 :電流制御回路
59 :論理否定回路
61 :一次側コイル(トランス)
62 :二次側コイル(トランス)
71 :第一信号線(信号線)
72 :第二信号線(信号線)
100 :超音波振動子駆動回路
300 :ソナー
X :一次側回路
Y :二次側回路
P1 :第一定電流回路
P2 :第二定電流回路
P3 :交流電流源
W :超音波
d :距離
4 :交流電源部
5 :直流電源部
6 :トランス
7 :信号線
11 :圧電素子
51 :電流制限抵抗路
52 :電流制御回路
59 :論理否定回路
61 :一次側コイル(トランス)
62 :二次側コイル(トランス)
71 :第一信号線(信号線)
72 :第二信号線(信号線)
100 :超音波振動子駆動回路
300 :ソナー
X :一次側回路
Y :二次側回路
P1 :第一定電流回路
P2 :第二定電流回路
P3 :交流電流源
W :超音波
d :距離
Claims (4)
- トランスと、
前記トランスの一次側に通電する交流電源部と、
前記トランスの二次側に通電する直流電源部と、
前記トランスの二次側に接続された圧電素子を用いた超音波振動子と、を備え、
前記トランスの二次側コイルと前記圧電素子とを含む並列共振回路の共振周波数が、前記超音波振動子の共振周波数と近似するよう調整されており、
前記交流電源部は、前記直流電源部が通電を終了した後に、前記並列共振回路の共振振動と位相を同期させて通電を開始する超音波振動子駆動回路。 - 前記直流電源部が通電を終了する際の電流値が、当該直流電源部が通電を開始する際の電流値よりも大きく設定されている請求項1に記載の超音波振動子駆動回路。
- 前記交流電源部は、前記直流電源部が通電を終了した時から、前記並列共振回路の共振周期の四分の1周期に対応する時間の経過した時に通電を開始する請求項1または2に記載の超音波振動子駆動回路。
- 請求項1から3に記載の超音波振動子駆動回路を備え、
前記超音波振動子が発信した超音波を用いて距離を算出するソナー。
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