JP2019138399A - 密封装置、及び密封装置の組み立て方法 - Google Patents

密封装置、及び密封装置の組み立て方法 Download PDF

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隆文 上本
Takafumi Uemoto
隆文 上本
脇阪 照之
Teruyuki Wakizaka
照之 脇阪
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Abstract

【課題】スリンガに接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧の状態で、密封装置が取り付け位置に取り付けられるのを抑制する。【解決手段】密封装置15は、第一部材に取り付けられる環状のシール部材31と、第二部材に取り付けられシール部材31と対向して設けられる環状スリンガ32とを備える。シール部材31は、スリンガ32に向かって延びスリンガ32に接触する複数のリップ38,39,40を有する。複数のリップ38,39,40のうちの少なくとも一つのリップは、周方向に沿って、スリンガ32に対する締め代が大きい第一領域と、第一領域よりも締め代が小さい第二領域とを有する。【選択図】 図2

Description

本発明は、密封装置、及び密封装置の組み立て方法に関する。
密封装置は様々な機器に用いられる。例えば、自動車等の車両において車輪を支持するための車輪用軸受装置(ハブユニット)に、密封装置が使用される。車輪用軸受装置は、外輪部材と、内軸部材と、これら外輪部材と内軸部材との間に配置される複数の転動体とを備える。密封装置は、外輪部材の軸方向端部と内軸部材との間に設けられ、転動体が設けられている軸受内部に泥水等の異物が浸入するのを防止する。
車輪用軸受装置の場合、車両インナ側の密封装置は、環状のシール部材と環状のスリンガとを有する。シール部材が外輪部材の端部に取り付けられ、スリンガが内軸部材に取り付けられる。シール部材は、ゴム製のリップを有し、リップがスリンガに接触する。特許文献1は、シール部材及びスリンガを有する従来の密封装置を開示している。
特開2001−141069号公報
前記のような密封装置は、外輪部材と内軸部材との間に取り付けられる前、図6に示すように、中心軸Cを上下方向として積み重ねられた状態で保管される。密封装置90が上下方向に複数積み重ねられると、上段の密封装置90−2の重さによって、下段の密封装置90−1では、スリンガ92が沈んだ状態となる。スリンガ92が上から押されて沈む際、リップ93が大きく弾性変形し、リップ93とスリンガ92との間に形成される閉塞空間Kのエア(大気)が外部へ抜ける。上段の密封装置90−2が保管位置から搬出されると、下段の密封装置90−1において、閉塞空間Kが負圧となることがある。
保管位置にある密封装置90は、車輪用軸受装置の組み立て位置へ、シール部材91とスリンガ92とを対向させてセット(組)としたままの状態で搬送される。したがって、閉塞空間Kが負圧の状態で搬送され、更に、負圧の状態のまま密封装置90が外輪部材と内軸部材との間に取り付けられると、リップ93がスリンガ92に接触することで生じる摺動抵抗が、前記負圧によって大きくなるという問題点がある。
そこで、本発明は、スリンガに接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧の状態で、密封装置が取り付け位置に取り付けられるのを抑制することを目的とする。
本発明の密封装置は、第一部材に取り付けられる環状のシール部材と、第二部材に取り付けられ前記シール部材と対向して設けられる環状スリンガと、を備え、前記シール部材は、前記スリンガに向かって延び当該スリンガに接触する複数のリップを有し、複数の前記リップのうちの少なくとも一つのリップは、周方向に沿って、前記スリンガに対する締め代が大きい第一領域と、当該第一領域よりも前記締め代が小さい第二領域とを有する。
例えば保管位置において、スリンガに接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧となっても、前記密封装置によれば、取り付け位置に取り付けられるまでの間で、スリンガに対するリップの締め代が小さい第二領域を通じて外部のエアが前記閉塞空間に取り入れられる可能性が高くなる。このため、閉塞空間が負圧の状態で第一部材と第二部材との間の取り付け位置に密封装置が取り付けられるのを抑制することが可能となる。
また、外部の異物がシール部材とスリンガとの間を通過して第一部材と第二部材との間の内部空間に浸入する場合よりも、この内部空間の密封対象(例えば、潤滑剤)がシール部材とスリンガとの間を通過して外部へ漏れる場合のほうが、許容されることがある。そこで、この場合には、前記スリンガは、前記第二部材に嵌合する円筒状の嵌合部と、当該嵌合部の軸方向端部から径方向に延びて設けられている円環状のフランジ部と、を有し、前記シール部材は、前記フランジ部に接触し外部から異物が浸入するのを防ぐ主リップと、前記嵌合部に接触し内部の密封対象が外部へ流出するのを防ぐ副リップと、を有し、
前記副リップが、前記第一領域と前記第二領域とを有するのが好ましい。
また、前記主リップが、更に、前記第一領域と前記第二領域とを有するように構成されていてもよい。この場合、外部のエアが前記閉塞空間に取り入れられる可能性がより一層高くなる。
密封装置は、保管位置に保管されている際、スリンガに接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧となることがある。そこで、前記密封装置を、第一部材と第二部材との間の取り付け位置に取り付けるための方法では、前記シール部材と前記スリンガとをセットとして保管位置から前記取り付け位置に搬送するために、当該シール部材と当該スリンガとのうちの一方のみを把持する。
この組み立て方法によれば、保管位置にある密封装置を前記取り付け位置に搬送する際に、シール部材とスリンガとのうちの一方のみを把持すると、シール部材の中心軸とスリンガの中心軸とが瞬間的にずれることが期待される。このように中心軸がずれると、スリンガに対するリップの締め代が小さい第二領域を通じて外部のエアが前記閉塞空間に取り入れられやすい。よって、前記組み立て方法によれば、閉塞空間が負圧の状態で第一部材と第二部材との間の取り付け位置に密封装置が取り付けられるのを抑制することが可能となる。
本発明によれば、スリンガに接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧となっていても、この閉塞空間が負圧の状態で第一部材と第二部材との間の取り付け位置に密封装置が取り付けられるのを抑制することが可能となる。
密封装置が取り付けられる回転装置の一例を示す断面図である。 密封装置及びその周囲を示す断面図である。 第三のリップを平面に展開した場合の説明図である。 密封装置が保管位置で保管されている状態を示す断面図である。 密封装置がチャック装置によって把持されて搬送される様子を示す説明図である。 従来の密封装置が保管されている状態を示す断面図である。
〔密封装置が取り付けられる回転装置について〕
図1は、密封装置が取り付けられる回転装置の一例を示す断面図である。図1に示す回転装置は、自動車等の車両に用いられる車輪用軸受装置(ハブユニット)10である。車輪用軸受装置10は、自動車の車体が有する懸架装置(ナックル)に取り付けられ、車輪を回転可能に支持する。車輪用軸受装置10は、外輪部材12と、内軸部材11と、転動体である複数の玉13と、保持器14と、軸方向一方側に設けられている第一の密封装置15と、軸方向他方側に設けられている第二の密封装置16とを備える。密封装置15,16により、外部に存在する泥水等の異物が、外輪部材12と内軸部材11との間であって玉13が設けられている軸受内部7に浸入するのを防ぐことができる。
外輪部材12の内周側に、玉13が転動する外軌道面12a,12bが設けられている。内軸部材11は、ハブ軸(内軸)23と、このハブ軸23の軸方向一方側に取り付けられている内輪24とを有する。ハブ軸23の外周側に内軸軌道面11aが形成され、内輪24の外周面に内輪軌道面11bが形成されている。外軌道面12aと内軸軌道面11aとの間に複数の玉13が設けられる。外軌道面12bと内輪軌道面11bとの間に複数の玉13が設けられる。外輪部材12と内軸部材11との間には、玉13が二列となって設けられる。保持器14は、各列の複数の玉13を保持する。
〔密封装置15について〕
図2は、第一の密封装置15及びその周囲を示す断面図である。図2の右側(軸方向一方側)が外部空間Qであり、図2の左側(軸方向他方側)が内部空間(軸受内部7)となる。第一の密封装置15(以下、「密封装置15」という。)は、環状のシール部材31と、環状のスリンガ32とを備える。シール部材31は、外輪部材12(第一部材)の軸方向端部12cの内周側に取り付けられる。スリンガ32は、内輪24(第二部材)の外周側に取り付けられる。外輪部材12と内輪24との間において、シール部材31とスリンガ32とは対向して設けられる。シール部材31及びスリンガ32は、外輪部材12と内輪24との間に圧入により取り付けられ、固定された状態となる。
シール部材31は、芯金33と、芯金33に固定されているゴム製のシール本体36とを有する。芯金33は、金属製である。芯金33は、断面L字形である。つまり、芯金33は、外輪部材12に嵌合する円筒状の円筒部34と、円筒部34の軸方向他方側の端部34aから径方向内方へ延びて設けられている円環部35とを有する。シール本体36は、芯金33に固定されている固定部37と、固定部37からスリンガ32側へ延びて設けられている複数のリップ38,39,40とを有する。固定部37は、芯金33を覆う部分である。固定部37は、軸方向他方側に突出する突起37cを有する。本実施形態のシール本体36は、三つのリップ38,39,40を有する。なお、図示しないが、一つのリップ(例えばリップ39)が省略されていてもよい。
第一のリップ38は、固定部37から、軸方向一方でかつ径方向一方へ向かって延びて設けられている。本実施形態では、前記「径方向一方」は「径方向外方」である。よって「径方向他方」が「径方向内方」となる。第二のリップ39は、第一のリップ38の径方向内方に設けられている。第二のリップ39と第一のリップ38とは、ほぼ同じ方向に向かって固定部37から延びて設けられており、ほぼ平行の配置にある。第三のリップ40は、固定部37から、径方向内方に向かって延びて設けられる。図2に示すように、密封装置15が外輪部材12と内輪24との間に取り付けられた状態で(以下、この状態を「取り付け状態」と呼ぶ。)、リップ38,39,40はスリンガ32に接触する。このため、第一のリップ38と第二のリップ39との間に第一の閉塞空間K1が形成され、第二のリップ39と第三のリップ40との間に第二の閉塞空間K2が形成される。固定部37のうちの径方向外側の部分(一部37a)と、第一のリップ38との間に形成される空間K3は、外部空間Qに開放される。固定部37のうちの円環部35の径方向内側に固定されている部分(他部37b)と、第三のリップ40との間に形成される空間K4は、軸受内部7に開放される。
スリンガ32は、金属製である。スリンガ32は、断面L字形である。つまり、スリンガ32は、内輪24に嵌合する円筒状の嵌合部44と、嵌合部44の軸方向一方側の端部44aから径方向外方へ延びて設けられている円環状のフランジ部45とを有する。本実施形態のスリンガ32は、環状の着磁部材46を有する。着磁部材46は、フランジ部45の軸方向一方側に固定されている。更に、着磁部材46は、フランジ部45を径方向外側から覆う。フランジ部45の軸方向他方に臨む円環状の第一面48と、嵌合部44の径方向外方に臨む円筒状の第二面49とが、リップ38,39,40が接触するシール面53となる。つまり、スリンガ32は、シール面53の一部として、軸方向に臨む第一面48を有し、シール面53の他の一部として、径方向に臨む第二面49を有する。
このように、本実施形態の密封装置15では、シール部材31は、第一のリップ38及び第二のリップ39を有する。第一のリップ38及び第二のリップ39は、スリンガ32のシール面53に含まれる第一面48側に向かって延びて設けられる。第一のリップ38は、フランジ部45(第一面48)に接触し、外部(外部空間Q)から異物が浸入するのを防ぐ第一の主リップである。第二のリップ39は、フランジ部45(第一面48)に接触し、第一のリップ38を通過した異物が第三のリップ40側へ浸入するのを防ぐ第二の主リップである。そして、シール部材31は、第三のリップ40を有する。第三のリップ40は、スリンガ32のシール面53に含まれる第二面49側に向かって延びて設けられる。第三のリップ40は、嵌合部44(第二面49)に接触し、内部(軸受内部7)の密封対象が外部(外部空間Q)へ流出するのを防ぐ副リップである。本実施形態の場合、前記密封対象は、グリース等の潤滑剤である。
前記取り付け状態で、スリンガ32の径方向外側の端部50と、シール部材31の軸方向一方側の端部51とは、径方向に微小寸法をあけて離れる。つまり、取り付け状態では、シール部材31の軸方向一方側の端部51と、この端部51と径方向に離れたスリンガ32の径方向外側の端部50との間に、隙間e1が形成される。この隙間e1によりラビリンス隙間52が構成される。ラビリンス隙間52は、外部空間Qの異物が空間K3に浸入するのを抑制する。
図3は、第三のリップ40を平面に展開した場合の説明図である。図3における左右方向が、第三のリップ40の周方向に相当する。図2に示すように、第三のリップ40は、固定部37からスリンガ32の嵌合部44へ向かって延びる形状を有する。図3に示すように、第三のリップ40には、固定部37からの延在方向の長さHiが長い第一領域W1と、第一領域W1よりも長さHiが短い第二領域W2とが含まれる。図3において、破線で囲われている領域が第二領域W2であり、第二領域W2における長さの最小値をH2としている。これに対して、第一領域W1における長さの最大値をH1としている。このように、第三のリップ40の固定部37側の基部40aから先部40bまでの長さHiは、周方向に沿って不均等である。なお、図3では、説明を容易とするために、実際よりも長さHiの差(長さH1と長さH2との差)が大きく示されている。
前記長さHiが長くなると、シール面53(第二面49)に対するリップ40の締め代は大きくなる。前記長さHiが短くなると、シール面53(第二面49)に対するリップ40の締め代は小さくなる。このように、本実施形態の密封装置15では、第三のリップ40は、周方向に沿って、スリンガ32(シール面53)に対する締め代が大きい第一領域W1と、この第一領域W1よりも締め代が小さい第二領域W2とを有する。つまり、第三のリップ40の締め代が周方向に沿って不均等となる。シール面53に対する第三のリップ40の締め代は、シール面53に対するリップ40の緊迫力となる。このため、シール面53に対するリップ40の緊迫力が、周方向に沿って不均等となる。
図3に示す形態では、第二領域W2が周方向に沿って複数箇所設けられており、第一領域W1と第二領域W2とが交互に配置されているが、第二領域W2は、少なくとも一箇所に設けられていればよい。また、図3に示す形態では、周方向に沿って長さHiが徐々に変化しているが、これ以外の形態であってもよく、長さHiが段階的に変化していてもよい。
〔密封装置15の組み立て方法について〕
前記構成を備える密封装置15を、外輪部材12(図2参照)と内軸部材11(内輪24)との間の取り付け位置に取り付けるための方法について説明する。図4は、密封装置15が保管位置で保管されている状態を示す断面図である。密封装置15は、中心軸Cを上下方向として積み重ねられた状態で保管される。この保管位置から密封装置15は一つずつ搬出され、前記取り付け位置まで搬送される。この搬送は、シール部材31とスリンガ32とを対向させてセット(組)としたままの状態で行われる。そして、密封装置15は、外輪部材12と内軸部材11(内輪24)との間に圧入により取り付けられる。
密封装置15それぞれは、シール部材31とスリンガ32とを対向させてセット(組)とした状態で保管される。また、保管状態では、第一及び第二のリップ38,39がスリンガ32の第一面48に対して軸方向(上下方向)に接触した状態となり、第三のリップ40がスリンガ32の第二面49に径方向(水平方向)に接触した状態となる。上段の密封装置15−2では、図2に示す取り付け状態とほぼ同じ態様で、シール部材31とスリンガ32とは対向している。
密封装置15が上下方向に複数積み重ねられると、上段の密封装置15−2の重さによって、下段の密封装置15−1ではスリンガ32が沈む(下方へ変位する)。スリンガ32が上から押されて沈む際、リップ38,39が弾性変形し、リップ38,39とスリンガ32との間に形成される第一の閉塞空間K1、及びリップ39,40とスリンガ32との間に形成される第二の閉塞空間K2のエア(大気)が外部へ抜ける。このため、上段の密封装置15−2が搬出されると、閉塞空間K1,K2は負圧となることがある。図4では、下段の密封装置15−1の上に、別の密封装置15−2が一つ載っている状態が示されているが、この密封装置15−2の上に更に、図示していないが、複数の密封装置15が載る。上段の密封装置15−2の上に、更に別の密封装置15が載ると、この密封装置15−2のスリンガ32も沈む。これにより、密封装置15−2においても、閉塞空間K1,K2は負圧となることがある。
なお、第二のリップ39は、固定部37から軸方向一方(図4では上方)に向かう成分を有して延びている形状であるのに対して、第三のリップ40は、反対に、固定部37から軸方向他方(図4では下方)に向かう成分を有して延びている形状である。第一のリップ28と第二のリップ29とは前記のとおり(ほぼ)同じ方向(上方)に延びている形状である。よって、第一の閉塞空間K1は第二の閉塞空間K2よりも負圧となり難い。仮に第一の閉塞空間K1が負圧となったとしても大気圧とほぼ同程度の状態となり、リップ38,39をスリンガ32に吸着させるほどの負圧ではない。そこで、本実施形態では、密封装置15の少なくとも第二の閉塞空間K2の負圧を解消させる。
すなわち、第三のリップ40は、スリンガ32に対する締め代が小さい第二領域W2(図3参照)を有する。このため、例えば、保管位置から前記取り付け位置までの搬送の途中で、この第二領域W2を通じて外部のエアが閉塞空間K2に取り入れられる可能性が高くなる。本実施形態の密封装置15によれば、保管位置において(図4参照)、スリンガ32に接触するリップ39,40の間に形成される閉塞空間K2が負圧となっても、前記取り付け位置に取り付けられるまでの間で、この負圧が解消されることが期待される。
閉塞空間K2の負圧を解消させるための具体的方法を説明する。図5に示すように、密封装置15は、チャック装置60によって把持されて搬送される。チャック装置60は、シール部材31のみを複数箇所から挟んで把持する構成を有する。図5に示す形態では、チャック装置60は、径方向からシール部材31の複数箇所を把持する。つまり、チャック装置60は、スリンガ32を把持しない。このように、スリンガ32とシール部材31とをセット(組)として保管位置から前記取り付け位置に搬送するために、本実施形態では、シール部材31のみを把持する。なお、第一のリップ38及び第二のリップ39が下からスリンガ32を支持することができる。このため、シール部材31のみがチャック装置60によって把持されていても、シール部材31に対してスリンガ32は脱落しない。
図示しないが、チャック装置60は、シール部材31ではなく、スリンガ32のみを把持してもよい。つまり、スリンガ32とシール部材31とをセット(組)として保管位置から前記取り付け位置に搬送するために、スリンガ32とシール部材31とのうちの一方のみを把持すればよい。
このようなチャック装置60を用いた方法によれば、保管位置にある密封装置15を前記取り付け位置に搬送する際に、シール部材31のみが把持されるので、シール部材31の中心軸とスリンガ32の中心軸とが瞬間的にずれることが期待される。このように中心軸がずれると、特に、第三のリップ40においてスリンガ32に対する締め代が小さい第二領域W2を通じて外部のエアが閉塞空間K2に取り入れられやすい。よって、閉塞空間K2が負圧の状態で外輪部材12と内輪24との間の取り付け位置に密封装置15が取り付けられるのを抑制することが可能となる。
〔変形例について〕
第三のリップ40のみが前記のような第一領域W1と第二領域W2とを有していてもよいが、更に、第一のリップ38と第二のリップ39とのうちの一方又は双方も前記のような第一領域W1と第二領域W2とを有していてもよい。この場合、第三のリップ40の第二領域W2を通じて、外部のエアが第二の閉塞空間K2に取り入れられ、更に、第一のリップ38と第二のリップ39とのうちの一方又は双方の第二領域W2を通じて、外部のエアが第一の閉塞空間K1に取り入れられる。
または、第三のリップ40を除いて、第一のリップ38と第二のリップ39とのうちの一方又は双方が、前記のような第一領域W1と第二領域W2とを有していてもよい。以上のように、複数(本実施形態では三つ)のリップ38,39,40のうちの少なくとも一つのリップが、周方向に沿って、スリンガ32に対する締め代が大きい第一領域W1と、第一領域W1よりも前記締め代が小さい第二領域W2とを有する構成とすればよい。
ただし、本実施形態のように、三つのリップ38,39,40を有する場合、最も内輪24側の第一のリップ38と、最も外輪部材12側の第三のリップ40とのうちの少なくとも一方が、前記のような第一領域W1と第二領域W2とを有していているのが好ましい。つまり、中央の第二のリップ39は、開放されている空間K3,K4に直接的に面していないので、前記のような第一領域W1と第二領域W2とを有していなくてもよい。
〔その他について〕
ここで、外部空間Qの異物が、シール部材31とスリンガ32との間を通過して、外輪部材12と内軸部材11(内輪24)との間の軸受内部7に浸入する場合よりも、軸受内部7の密封対象(本実施形態では、潤滑剤となるグリース)が、シール部材31とスリンガ32との間を通過して外部空間Q側へ漏れる場合のほうが、許容されることがある。図2において、第一のリップ38及び第二のリップ39が、スリンガ32のフランジ部45に接触し外部空間Qから異物が浸入するのを防ぐ主リップである。そして、第三のリップ40が、スリンガ32の嵌合部44に接触し軸受内部7の密封対象であるグリースが外部空間Qへ流出するのを防ぐ副リップ(グリースリップ)である。そこで、グリースが外部空間Qへ漏れるのを防ぐ第三のリップ40が、前記のとおり第一領域W1と第二領域W2とを有し、他のリップ38,39は第一領域W1と第二領域W2とを有していなくてもよい。つまり、一般的にリップの締め代が小さくなるとその部分においてシール性能が若干低下する。よって、このようなシール性能が低下する領域(第二領域W2)を有するリップが、グリースリップとなる第三のリップ40であるのが好ましい。
シール面53に対するリップ(40)の締め代が小さい第二領域W2では、その締め代がゼロであってもよい。または、第二領域W2での締め代は負の値であってもよい。つまり、第二領域W2では、スリンガ32との間に隙間が形成されていてもよい。
前記実施形態では、リップ40(38,39)において第二領域W2でのスリンガ32に対する締め代を小さくするために、リップ40(38,39)の長さHi(図3参照)を短くする場合について説明したが、締め代を小さくするために、他の手段が採用されてもよい。例えば、リップ40(38,39)の厚さを一部(第二領域)において他部(第一領域)よりも薄くすることで締め代を小さくしてもよい。
また、本実施形態の密封装置15では、図4に示すように、シール部材31は軸方向他方側に突出する突起37cを有する。上段の密封装置15−2が有するシール部材31の突起37cは、下段の密封装置15−1が有するスリンガ32の着磁部材46に接触する。この突起37cにより、保管状態で、シール部材31の芯金33(円環部35)と着磁部材46とが離れる。よって、上段の密封装置15−2のシール部材31が、下段の密封装置15−1のスリンガ32(着磁部材46)に磁力により吸着されるのを防ぐことができる。この結果、上段の密封装置15−2を保管状態から搬出する際、搬出不良が防止される。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。前記密封装置15は、図1に示す車輪用軸受装置10以外にも適用可能である。
11:内軸部材(第二部材) 12:外輪部材(第一部材)
31:シール部材 32:スリンガ 38:第一のリップ
39:第二のリップ 40:第三のリップ 44:嵌合部
45:フランジ部 W1:第一領域 W2:第二領域

Claims (4)

  1. 第一部材に取り付けられる環状のシール部材と、第二部材に取り付けられ前記シール部材と対向して設けられる環状スリンガと、を備え、
    前記シール部材は、前記スリンガに向かって延び当該スリンガに接触する複数のリップを有し、
    複数の前記リップのうちの少なくとも一つのリップは、周方向に沿って、前記スリンガに対する締め代が大きい第一領域と、当該第一領域よりも前記締め代が小さい第二領域とを有する、密封装置。
  2. 前記スリンガは、前記第二部材に嵌合する円筒状の嵌合部と、当該嵌合部の軸方向端部から径方向に延びて設けられている円環状のフランジ部と、を有し、
    前記シール部材は、前記フランジ部に接触し外部から異物が浸入するのを防ぐ主リップと、前記嵌合部に接触し内部の密封対象が外部へ流出するのを防ぐ副リップと、を有し、
    前記副リップが、前記第一領域と前記第二領域とを有する、請求項1に記載の密封装置。
  3. 前記主リップが、更に、前記第一領域と前記第二領域とを有する、請求項2に記載の密封装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封装置を、第一部材と第二部材との間の取り付け位置に取り付けるための方法であって、
    前記シール部材と前記スリンガとをセットとして保管位置から前記取り付け位置に搬送するために、当該シール部材と当該スリンガとのうちの一方のみを把持する、密封装置の組み立て方法。
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WO2023167103A1 (ja) * 2022-03-04 2023-09-07 Nok株式会社 密封装置及び密封構造

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