JP2019138396A - 密封装置の組み立て方法 - Google Patents

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隆文 上本
Takafumi Uemoto
隆文 上本
脇阪 照之
Teruyuki Wakizaka
照之 脇阪
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Abstract

【課題】シール面に接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧の状態で、密封装置が取り付け位置に取り付けられるのを防ぐ。【解決手段】密封装置15を、第一部材と第二部材との間の取り付け位置に取り付けるための方法である。密封装置15は、環状のスリンガ32と、スリンガ32と対向して設けられスリンガ32に接触する複数のリップ38,39,40を有する環状のシール部材31と、を備え、スリンガ32に接触する複数のリップ38,39,40の間に閉塞空間K1,K2が形成される。スリンガ32と前記シール部材とをセットとして保管位置から前記取り付け位置に搬送するまでの間に、シール部材31の中心軸とスリンガ32の中心軸とを不一致とすることにより、複数のリップ38,39,40の少なくとも一つがスリンガ32から離れることで閉塞空間K2を開放する。【選択図】 図2

Description

本発明は、密封装置の組み立て方法に関する。
密封装置は様々な機器に用いられる。例えば、自動車等の車両において車輪を支持するための車輪用軸受装置(ハブユニット)に、密封装置が使用される。車輪用軸受装置は、外輪部材と、内軸部材と、これら外輪部材と内軸部材との間に配置される複数の転動体とを備える。密封装置は、外輪部材の軸方向端部と内軸部材との間に設けられ、転動体が設けられている軸受内部に泥水等の異物が浸入するのを防止する。
車輪用軸受装置の場合、車両インナ側の密封装置は、環状のシール部材と環状のスリンガとを有する。シール部材が外輪部材の端部に取り付けられ、スリンガが内軸部材に取り付けられる。シール部材は、ゴム製のリップを有し、リップがスリンガに接触する。特許文献1は、シール部材及びスリンガを有する従来の密封装置を開示している。
特開2001−141069号公報
前記のような密封装置は、外輪部材と内軸部材との間に取り付けられる前、図6に示すように、中心軸Cを上下方向として積み重ねられた状態で保管される。密封装置90が上下方向に複数積み重ねられると、上段の密封装置90−2の重さによって、下段の密封装置90−1では、スリンガ92が沈んだ状態となる。スリンガ92が上から押されて沈む際、リップ93が大きく弾性変形し、リップ93とスリンガ92との間に形成される閉塞空間Kのエア(大気)が外部へ抜ける。上段の密封装置90−2が保管位置から搬出されると、下段の密封装置90−1において、閉塞空間Kが負圧となることがある。
保管位置にある密封装置90は、車輪用軸受装置の組み立て位置へ、シール部材91とスリンガ92とを対向させてセット(組)としたままの状態で搬送される。したがって、閉塞空間Kが負圧の状態で搬送され、更に、負圧の状態のまま密封装置90が外輪部材と内軸部材との間に取り付けられると、リップ93がスリンガ92に接触することで生じる摺動抵抗が、前記負圧によって大きくなるという問題点がある。
そこで、本発明は、シール面に接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧の状態で、密封装置が取り付け位置に取り付けられるのを防ぐための方法を提供することを目的とする。
本発明は、環状のスリンガと、前記スリンガと対向して設けられ当該スリンガに接触する複数のリップを有する環状のシール部材と、を備え、前記スリンガに接触する複数の前記リップの間に閉塞空間が形成される密封装置を、第一部材と第二部材との間の取り付け位置に取り付けるための方法であって、前記スリンガと前記シール部材とをセットとして保管位置から前記取り付け位置に搬送するまでの間に、前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とを不一致とすることにより、複数の前記リップの少なくとも一つが前記スリンガから離れることで前記閉塞空間を開放する。
保管位置にある密封装置において、シール面に接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧となっていても、前記組み立て方法によれば、閉塞空間が開放される。よって、閉塞空間が負圧の状態で密封装置が第一部材と第二部材との間の取り付け位置に取り付けられるのを防ぐことが可能となる。
また、前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とを偏心させることで不一致とするのが好ましい。この場合、径方向に臨むシール面に接触するリップを有する密封装置の場合に効果的である。
また、前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とを非平行とすることで不一致とするのが好ましい。この場合、径方向に臨むシール面に接触するリップと、軸方向に臨むシール面に接触するリップとを有する密封装置の場合に効果的である。
また、前記密封装置を外嵌させる軸部材と、当該密封装置の径方向外方に設けられる環状部材とを有する保管治具に、複数の当該密封装置は保管されており、前記環状部材の中心軸と前記軸部材の中心軸とを不一致とすることで、複数の前記密封装置の前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とをまとめて不一致とするのが好ましい。この場合、保管治具を用いて保管されている複数の密封装置の閉塞空間をまとめて開放することが可能となる。
本発明によれば、保管位置にある密封装置において、シール面に接触する複数のリップの間に形成される閉塞空間が負圧となっていても、閉塞空間が開放され、閉塞空間が負圧の状態で密封装置が取り付け位置に取り付けられるのを防ぐことが可能となる。
密封装置が取り付けられる回転装置の一例を示す断面図である。 密封装置及びその周囲を示す断面図である。 密封装置が保管されている状態を示す断面図である。 負圧解消動作の説明図である。 負圧解消動作の説明図である。 従来の密封装置が保管されている状態を示す断面図である。
〔密封装置が取り付けられる回転装置について〕
図1は、密封装置が取り付けられる回転装置の一例を示す断面図である。図1に示す回転装置は、自動車等の車両に用いられる車輪用軸受装置(ハブユニット)10である。車輪用軸受装置10は、自動車の車体が有する懸架装置(ナックル)に取り付けられ、車輪を回転可能に支持する。車輪用軸受装置10は、外輪部材12と、内軸部材11と、転動体である複数の玉13と、保持器14と、軸方向一方側に設けられている第一の密封装置15と、軸方向他方側に設けられている第二の密封装置16とを備える。密封装置15,16により、外部に存在する泥水等の異物が、外輪部材12と内軸部材11との間であって玉13が設けられている軸受内部7に浸入するのを防ぐことができる。
外輪部材12の内周側に、玉13が転動する外軌道面12a,12bが設けられている。内軸部材11は、ハブ軸(内軸)23と、このハブ軸23の軸方向一方側に取り付けられている内輪24とを有する。ハブ軸23の外周側に内軸軌道面11aが形成され、内輪24の外周面に内輪軌道面11bが形成されている。外軌道面12aと内軸軌道面11aとの間に複数の玉13が設けられる。外軌道面12bと内輪軌道面11bとの間に複数の玉13が設けられる。外輪部材12と内軸部材11との間には、玉13が二列となって設けられる。保持器14は、各列の複数の玉13を保持する。
〔密封装置15について〕
図2は、第一の密封装置15及びその周囲を示す断面図である。図2の右側(軸方向一方側)が外部空間Qであり、図2の左側(軸方向他方側)が内部空間(軸受内部7)となる。第一の密封装置15(以下、「密封装置15」という。)は、環状のシール部材31と、環状のスリンガ32とを備える。シール部材31は、外輪部材12(第一部材)の軸方向端部12cの内周側に取り付けられる。スリンガ32は、内輪24(第二部材)の外周側に取り付けられる。外輪部材12と内輪24との間において、シール部材31とスリンガ32とは対向して設けられる。シール部材31及びスリンガ32は、外輪部材12と内輪24との間に圧入により取り付けられ、固定された状態となる。
シール部材31は、芯金33と、芯金33に固定されているゴム製のシール本体36とを有する。芯金33は、金属製である。芯金33は、断面L字形である。つまり、芯金33は、外輪部材12に嵌合する円筒状の円筒部34と、円筒部34の軸方向他方側の端部34aから径方向内方へ延びて設けられている円環部35とを有する。シール本体36は、芯金33に固定されている固定部37と、固定部37からスリンガ32側へ延びて設けられている複数のリップ38,39,40とを有する。固定部37は、芯金33を覆う部分である。固定部37は、軸方向他方側に突出する突起37cを有する。本実施形態のシール本体36は、三つのリップ38,39,40を有する。なお、図示しないが、一つのリップ(例えばリップ39)が省略されていてもよい。
第一のリップ38は、固定部37から、軸方向一方でかつ径方向一方へ向かって延びて設けられている。本実施形態では、前記「径方向一方」は「径方向外方」である。よって「径方向他方」が「径方向内方」となる。第二のリップ39は、第一のリップ38の径方向内方に設けられている。第二のリップ39と第一のリップ38とは、ほぼ同じ方向に向かって固定部37から延びて設けられており、ほぼ平行の配置にある。第三のリップ40は、固定部37から、径方向内方に向かって延びて設けられる。図2に示すように、密封装置15が外輪部材12と内輪24との間に取り付けられた状態で(以下、この状態を「取り付け状態」と呼ぶ。)、リップ38,39,40はスリンガ32に接触する。このため、第一のリップ38と第二のリップ39との間に第一の閉塞空間K1が形成され、第二のリップ39と第三のリップ40との間に第二の閉塞空間K2が形成される。固定部37のうちの径方向外側の部分(一部37a)と、第一のリップ38との間に形成される空間K3は、外部空間Qに開放される。固定部37のうちの円環部35の径方向内側に固定されている部分(他部37b)と、第三のリップ40との間に形成される空間K4は、軸受内部7に開放される。
スリンガ32は、金属製である。スリンガ32は、断面L字形である。つまり、スリンガ32は、内輪24に嵌合する円筒状の嵌合部44と、嵌合部44の軸方向一方側の端部44aから径方向外方へ延びて設けられている円環状のフランジ部45とを有する。本実施形態のスリンガ32は、環状の着磁部材46を有する。着磁部材46は、フランジ部45の軸方向一方側に固定されている。更に、着磁部材46は、フランジ部45を径方向外側から覆う。フランジ部45の軸方向他方に臨む円環状の第一面48と、嵌合部44の径方向外方に臨む円筒状の第二面49とが、リップ38,39,40が接触するシール面53となる。つまり、スリンガ32は、シール面53の一部として、軸方向に臨む第一面48を有し、シール面53の他の一部として、径方向に臨む第二面49を有する。
このように、本実施形態の密封装置15では、シール部材31は、第一のリップ38及び第二のリップ39を有する。第一のリップ38及び第二のリップ39は、スリンガ32のシール面53に含まれる第一面48側に向かって延びて設けられる。第一のリップ38は、フランジ部45(第一面48)に接触し、外部(外部空間Q)から異物が浸入するのを防ぐ第一の主リップである。第二のリップ39は、フランジ部45(第一面48)に接触し、第一のリップ38を通過した異物が第三のリップ40側へ浸入するのを防ぐ第二の主リップである。そして、シール部材31は、第三のリップ40を有する。第三のリップ40は、スリンガ32のシール面53に含まれる第二面49側に向かって延びて設けられる。第三のリップ40は、嵌合部44(第二面49)に接触し、内部(軸受内部7)の密封対象が外部(外部空間Q)へ流出するのを防ぐ副リップである。本実施形態の場合、前記密封対象は、グリース等の潤滑剤である。
前記取り付け状態で、スリンガ32の径方向外側の端部50と、シール部材31の軸方向一方側の端部51とは、径方向に微小寸法をあけて離れる。つまり、取り付け状態では、シール部材31の軸方向一方側の端部51と、この端部51と径方向に離れたスリンガ32の径方向外側の端部50との間に、隙間e1が形成される。この隙間e1によりラビリンス隙間52が構成される。ラビリンス隙間52は、外部空間Qの異物が空間K3に浸入するのを抑制する。
〔密封装置15の組み立て方法について〕
前記構成を備える密封装置15を、外輪部材12(図1参照)と内軸部材11(内輪24)との間の取り付け位置に取り付けるための方法について説明する。図3は、密封装置15が保管位置で保管されている状態を示す断面図である。密封装置15は、保管治具60を用いて、中心軸Cを上下方向として積み重ねられた状態で保管される。この保管位置から密封装置15は一つずつ搬出され、前記取り付け位置まで搬送される。この搬送は、シール部材31とスリンガ32とを対向させてセット(組)としたままの状態で行われる。そして、密封装置15は、外輪部材12と内軸部材11(内輪24)との間に圧入により取り付けられる。
保管治具60は、軸部材61と環状部材62とを有する。軸部材61は、密封装置15の径方向内方に設けられる柱状の部材であり、複数の密封装置15を外嵌させる。環状部材62は、密封装置15の径方向外方に設けられる環状の部材である。軸部材61と環状部材62とのうちの少なくとも一方は、図外のアクチュエータにより、後述の「負圧解消動作」を行なう。なお、アクチュエータを用いず、作業者が手動で軸部材61と環状部材62とのうちの少なくとも一方を動かして負圧解消動作を行ってもよい。前記負圧解消動作の具体例については、後に説明する。
密封装置15それぞれは、図3に示すように、シール部材31とスリンガ32とを対向させてセット(組)とした状態で保管される。また、保管状態では、第一及び第二のリップ38,39がスリンガ32の第一面48に対して軸方向(上下方向)に接触した状態となり、第三のリップ40がスリンガ32の第二面49に径方向(水平方向)に接触した状態となる。上段の密封装置15−2では、図2に示す取り付け状態とほぼ同じ態様で、シール部材31とスリンガ32とは対向している。
密封装置15が上下方向に複数積み重ねられると、上段の密封装置15−2の重さによって、下段の密封装置15−1ではスリンガ32が沈む(下方へ変位する)。スリンガ32が上から押されて沈む際、リップ38,39が弾性変形し、リップ38,39とスリンガ32との間に形成される第一の閉塞空間K1、及びリップ39,40とスリンガ32との間に形成される第二の閉塞空間K2のエア(大気)が外部へ抜ける。このため、上段の密封装置15−2が搬出されると、閉塞空間K1,K2は負圧となることがある。図3では、下段の密封装置15−1の上に、別の密封装置15−2が一つ載っている状態が示されているが、この密封装置15−2の上に更に、図示していないが、複数の密封装置15が載る。上段の密封装置15−2の上に、更に別の密封装置15が載ると、この密封装置15−2のスリンガ32も沈む。これにより、密封装置15−2においても、閉塞空間K1,K2は負圧となることがある。
なお、第二のリップ39は、固定部37から軸方向一方(図3では上方)に向かう成分を有して延びている形状であるのに対して、第三のリップ40は、反対に、固定部37から軸方向他方(図3では下方)に向かう成分を有して延びている形状である。第一のリップ38と第二のリップ39とは前記のとおり(ほぼ)同じ方向(上方)に延びている形状である。よって、第一の閉塞空間K1は第二の閉塞空間K2よりも負圧となり難い。仮に第一の閉塞空間K1が負圧となったとしても大気圧とほぼ同程度の状態となり、リップ38,39をスリンガ32に吸着させるほどの負圧ではない。そこで、本実施形態の組み立て方法では、密封装置15の少なくとも第二の閉塞空間K2の負圧を解消するために、前記「負圧解消動作」が行われる。
「負圧解消動作」は、スリンガ32とシール部材31とをセットとして保管位置(保管治具60)から前記取り付け位置に搬送するまでの間に行われる。本実施形態では、保管位置にある密封装置15に対して保管治具60を用いて、負圧解消動作が行われる。図4及び図5はそれぞれ、負圧解消動作の説明図である。なお、図4及び図5それぞれでは、説明を容易にするために、一つの密封装置15における負圧解消動作が示されている。また、図4及び図5では、保管治具60を省略している。
〔負圧解消動作(その1)〕
図3に示すように、保管状態では、保管治具60が有する軸部材61及び環状部材62の中心軸は一致している。このため、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2とは(ほぼ)一致する。なお、これら中心軸C1,C2が一致した状態の中心軸が、密封装置15の中心軸Cであり、密封装置15の中心軸Cが保管治具60の中心軸に(ほぼ)一致する。この状態から、図4に示すように、シール部材31の中心軸C1と、スリンガ32の中心軸C2とを偏心させることで、これら中心軸C1,C2を不一致とする。このために、軸部材61及び環状部材62のうちの一方を他方に対して、中心軸Cに直交する方向に変位させる。図4では、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2との変位量をXとしている。これにより、第三のリップ40がスリンガ32(第二面49)から離れた状態となり、第二の閉塞空間K2は大気に開放され、第二の閉塞空間K2の負圧は解消される。
なお、前記のとおり、第一の閉塞空間K1は第二の閉塞空間K2よりも負圧となり難く、また、仮に第一の閉塞空間K1が負圧となったとしても大気圧とほぼ同程度の状態となり、リップ38,39をスリンガ32に吸着させるほどの負圧ではない。このため、第二の閉塞空間K2の負圧を解消することができる負圧解消動作(その1)が行われればよい。以上より、負圧解消動作(その1)は、径方向に臨むシール面53(第二面49)に接触するリップ40を有する密封装置15の場合に効果的である。
〔負圧解消動作(その2)〕
図3に示すように、保管状態では、保管治具60が有する軸部材61及び環状部材62の中心軸は一致している。このため、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2とは(ほぼ)一致する。なお、これら中心軸C1,C2が一致した状態の中心軸が、密封装置15の中心軸Cであり、密封装置15の中心軸Cが保管治具60の中心軸に(ほぼ)一致する。この状態から、図5に示すように、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2とを非平行とすることで、これら中心軸C1,C2を不一致とする。なお、前記の「非平行」とは、中心軸C1と中心軸C2とが平行とならない状態である。具体的には、中心軸C1と中心軸C2とのうちの一方が他方に対して傾いた状態、又は、中心軸C1と中心軸C2とがねじれの位置関係にある状態である。
負圧解消動作(その2)のために、軸部材61及び環状部材62のうちの一方を他方に対して傾ける(ねじれの位置関係とする)。具体的には、軸部材61の中心軸と環状部材62の中心軸とを傾ける(ねじれの位置関係とする)。図5では、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2との傾き角度をSとしている。これにより、第三のリップ40がスリンガ32の第二面49から離れた状態となり、更に、第二のリップ39がスリンガ32の第一面48から離れた状態となる。よって、第一の閉塞空間K1及び第二の閉塞空間K2は大気に開放され、第一の閉塞空間K1及び第二の閉塞空間K2の負圧は解消される。負圧解消動作(その2)は、本実施形態(図2参照)の密封装置15のように、径方向に臨む第二面49に接触するリップ40と、軸方向に臨む第一面48に接触するリップ38,39とを有する密封装置15の場合に効果的である。
負圧解消動作(その1)及び(その2)それぞれの前記実施形態では、保管位置において、閉塞空間K2(K1)を開放するための動作(負圧解消動作)が行われたが、保管位置から前記取り付け位置までの間の搬送途中で、同様に閉塞空間K2(K1)を開放するための動作(負圧解消動作)が行われてもよい。このために、図示しないが、密封装置15を把持して搬送するチャック部材が、前記軸部材61及び環状部材62と同様の機能を有し、同様の動作を行えばよい。
〔本実施形態の組み立て方法〕
以上のように、前記負圧解消動作(その1)及び(その2)それぞれでは、スリンガ32とシール部材31とをセットとして保管位置(保管治具60)から、前記取り付け位置に搬送するまでの間に、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2とを、強制的に不一致とする。これにより、複数のリップ38,39,40の少なくとも一つがスリンガ32(シール面53)から離れ、閉塞空間K2(及びK1)を開放する。このため、保管位置にある密封装置15において、シール面53に接触する複数のリップ39,40(リップ38,39)の間に形成される閉塞空間K2(K1)が負圧となっていても、前記負圧解消動作を含む組み立て方法によれば、閉塞空間K2(K1)が大気に開放される。よって、閉塞空間K2(K1)が負圧の状態で密封装置15が外輪部材12と内輪24との間に取り付けられるのを防ぐことが可能となる。
また、シール部材31とスリンガ32とに対して、前記負圧解消動作(その1)と前記負圧解消動作(その2)とを複合させた動作を行ってもよい。つまり、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2とを偏心させると共に、シール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2とを非平行とすることで、これら中心軸C1,C2を不一致としてもよい。
図3に示すように、本実施形態では、保管治具60により、密封装置15は中心軸Cを上下方向として複数重ねられて保管されている。軸部材61には、複数の密封装置15が外嵌している。これら複数の密封装置15の外周側に環状部材62が設けられている。そこで、環状部材62の中心軸と軸部材61の中心軸とを不一致とすれば、複数の密封装置15のシール部材31の中心軸C1とスリンガ32の中心軸C2とを、まとめて不一致とすることができる。この保管治具60によれば、保管されている複数の密封装置15の閉塞空間K2(K1)をまとめて開放することができる。
また、図3に示すように、シール部材31は軸方向他方側に突出する突起37cを有する。上段の密封装置15−2が有するシール部材31の突起37cは、下段の密封装置15−1が有するスリンガ32の着磁部材46に接触する。この突起37cにより、保管状態で、シール部材31の芯金33(円環部35)と着磁部材46とが離れる。よって、上段の密封装置15−2のシール部材31が、下段の密封装置15−1のスリンガ32(着磁部材46)に磁力により吸着されるのを防ぐことができる。この結果、上段の密封装置15−2を保管状態から搬出する際、搬出不良が防止される。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。前記密封装置15は、図1に示す車輪用軸受装置10以外にも適用可能である。
11:内軸部材(第二部材) 12:外輪部材(第一部材)
15:第一の密封装置 31:シール部材 32:スリンガ
38:第一のリップ 39:第二のリップ 40:第三のリップ
60:保管治具 61:軸部材 62:環状部材
K1:第一の閉塞空間 K2:第二の閉塞空間 C1:中心軸
C2:中心軸

Claims (4)

  1. 環状のスリンガと、前記スリンガと対向して設けられ当該スリンガに接触する複数のリップを有する環状のシール部材と、を備え、前記スリンガに接触する複数の前記リップの間に閉塞空間が形成される密封装置を、第一部材と第二部材との間の取り付け位置に取り付けるための方法であって、
    前記スリンガと前記シール部材とをセットとして保管位置から前記取り付け位置に搬送するまでの間に、前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とを不一致とすることにより、複数の前記リップの少なくとも一つが前記スリンガから離れることで前記閉塞空間を開放する、密封装置の組み立て方法。
  2. 前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とを偏心させることで不一致とする、請求項1に記載の密封装置の組み立て方法。
  3. 前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とを非平行とすることで不一致とする、請求項1又は2に記載の密封装置の組み立て方法。
  4. 前記密封装置を外嵌させる軸部材と、当該密封装置の径方向外方に設けられる環状部材とを有する保管治具に、複数の当該密封装置は保管されており、
    前記環状部材の中心軸と前記軸部材の中心軸とを不一致とすることで、複数の前記密封装置の前記シール部材の中心軸と前記スリンガの中心軸とをまとめて不一致とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の密封装置の組み立て方法。
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JP2018023140A Pending JP2019138396A (ja) 2018-02-13 2018-02-13 密封装置の組み立て方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024043577A1 (ko) * 2022-08-22 2024-02-29 주식회사 일진글로벌 비동축 씰링립을 갖는 씰링부재를 구비하는 차량용 휠베어링

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WO2024043577A1 (ko) * 2022-08-22 2024-02-29 주식회사 일진글로벌 비동축 씰링립을 갖는 씰링부재를 구비하는 차량용 휠베어링

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