JP2019137033A - 絞り成型用フィルム積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】フィルム積層体の絞り成型時の外層を形成する表層の表面の滑り性とポリプロピレン系フィルムからなる絞り成型時の内層を形成する表層の表面の滑り性とをともに適切に保持することができる絞り成型用フィルム積層体を提供する。【解決手段】ポリシロキサンを含む易滑性添加剤と有機滑剤を含有し、表面の静摩擦係数が0.3未満であるポリオレフィン系樹脂組成物の第1の表層を有するとともに、他方の第2の表層の表面の静摩擦係数が0.3未満であることを特徴とする絞り成型用フィルム積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン電池の外装材などに用いられる、絞り成型時の滑り性に優れた絞り成型用フィルム積層体に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル通信機器の薄型化、軽量化に伴い、これらに搭載されるリチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池等のデバイスの外装材として、従来の金属缶に代えて、耐熱性樹脂層/接着剤層/アルミニウム箔層/接着剤層/シーラント層の構成に代表されるフィルム積層体が用いられている。電気自動車等の電源、蓄電用途の大型電源、キャパシタ等も上記構成の外装材で外装されることが増えてきている。
これらフィルム積層体は、張出し成型や絞り成型が行われることによって、直方体形状等の立体形状に成型され、デバイス本体部を収容するための収容空間を確保することができる。このような立体形状にピンホールや破断なく良好な状態に成型するには、ダイやパンチに接触するフィルム積層体のそれぞれ外側の層と内側のシーラント層の両方の層の表面の滑り性を向上させることが求められる。
一般的な包装用フィルム積層体のシーラント層としてポリプロピレン系フィルムが用いられることは広く知られており、該ポリプロピレン系フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称することもある。)フィルムやナイロン(以下、Nyと略称することもある。)フィルム、特に二軸延伸PETフィルムや二軸延伸Nyフィルム、およびアルミニウム箔等を積層したフィルム積層体として使用される。
ポリプロピレン系フィルムには一般的に有機滑剤が添加されており、製膜後に滑剤がフィルム表面に滲み出すことで良好な滑り性を発現している。従来のポリプロピレン系フィルムにおいては、接着剤を介して延伸PETフィルムや延伸Nyフィルムなどのフィルム、アルミニウム箔などと貼り合わせ、接着剤を硬化させるために一定以上の温度をかけてエージングすると、ポリプロピレン系フィルムの表面に滲み出た有機滑剤(とくに、脂肪酸アミド系滑剤)が該フィルム中に再移行するため、滑りが悪くなる傾向があった。
このため、絞り成型で易滑性が求められるリチウムイオン電池外装材用途などで満足に使用できないことがあり、ポリプロピレン系フィルムに他のフィルム等をラミネートして積層体とし、60℃でエージングされる場合にあっても、絞り成型時の内層を形成するポリプロピレン系フィルムの表面が良好な滑り性、とくにあるレベル未満の静摩擦係数、例えば0.3未満の静摩擦係数を有することが望まれる。
また、絞り成型用途においては、絞りダイへの接触面を形成する絞り成型時の外層に関しても良好な易滑性が求められ、外層の表面の摩擦係数が高いとフィルム積層体が破れるなどして成型性が悪くなるため、あるレベル未満の静摩擦係数、例えば0.3未満の静摩擦係数を有することが望まれる。上述のような積層体形態において外層を形成する延伸PETフィルムや延伸Nyフィルムの表面は滑り性が悪いので、フィルム積層体としてはロール状態で絞り成型時の内層を形成するポリプロピレン系フィルムの表面と接触することで有機滑剤が転写されることにより滑り性が改善することが望まれる。
このような要望に関して、特許文献1には、ポリエチレン系樹脂に、有機アミド二量体を100〜3000ppm、無機充填剤を1000〜10000ppm添加したシーラントフィルムおよびそれを用いたフィルム積層体構成の複合包装材が開示されているが、その実施例ではラミネート前後の積層体両面の摩擦係数が0.3以上/0.3以上と、十分に低い摩擦係数が得られるには至っていない。
また、特許文献2には、融点70〜90℃の不飽和脂肪酸アマイド0.02〜0.20重量%、融点115〜135℃の不飽和脂肪酸ビスアマイド0.01〜0.12重量%を含有する積層用フィルムが開示されているが、エチレン・α−オレフィンを使用しているため、耐熱性に劣り、本知見をポリプロピレン系フィルムに適用した場合、不飽和脂肪酸アマイドおよび不飽和脂肪酸ビスアマイドの量を多くする必要があり、摩擦係数は低く抑えられるもののエージング処理後にフィルム表面の滑剤量が多くなりすぎ、ロール等に付着物が生じ、作業環境上の問題が生じる。
さらに、特許文献3には、両外層にエルカ酸アミドなどの最適エージング温度40℃未満の滑剤を添加し、中間層にベヘン酸アミド、エチレンビスアミドなどの最適エージング温度40℃以上の滑剤を添加し、その実施例に記載されているように、中間層にプロピレン・エチレンランダム共重合体、少なくともポリオレフィン樹脂組成物の表層にプロピレン・エチレンランダム共重合体を用いた3層構成のポリプロピレン系多層フィルムおよび複合フィルムが開示されている。この特許文献3の各実施例では、各層に特殊な滑剤を添加した場合には、積層フィルムのエージング後の表面静摩擦係数として0.3未満が達成されている場合も見受けられるが、後述の如く本発明者らの知見によれば、通常一般の滑剤(例えば、通常一般の脂肪酸アミド系滑剤)を各層に添加する場合、特に表層に添加する場合、中間層、表層ともにプロピレン・エチレンランダム共重合体で構成されている場合には、エージング後の静摩擦係数として0.3未満を達成するのは困難である。その理由は、前述したように、プロピレン・エチレンランダム共重合体からなるフィルム層中に、添加した有機滑剤(とくに、脂肪酸アミド系滑剤)がフィルム表層から内部に移行し、滑りが悪くなる傾向があるからであると考えられる。
以上の説明で分かるとおり、これまでの有機滑剤による滑り性改善の効果は、経時や熱履歴による影響が大きく、安定した滑り特性を得ることは難しかった。
ところで、特許文献4には、エポキシ基含有ポリシロキサンと官能基を有するポリオレフィンを含む添加剤を添加した、滑剤非移行性のポリプロピレン組成物とそれを用いた成型体の開示がある。この技術によれば、特定の易滑性添加剤を添加したポリプロピレン系フィルムは、経時によらず安定した滑り特性を得ることができる。しかし、本発明の目的である絞り成型用のフィルム積層体に使用した場合には、例えば、このポリプロピレン系フィルムを単に絞り成型用フィルム積層体の絞り成型時の内層を形成するフィルム層として使用した場合には、絞り成型時の外層を形成するフィルム層の表面の滑り性は悪いままであり、絞り成型用フィルム積層体として使用できるものではなかった。
特開平8−277350号公報 特開平9−77881号公報 特開平11−334004号公報 US2015/0203672A1
本発明の課題は、ラミネート後にロール状態で、高温でエージングした場合に、フィルム積層体の絞り成型時の外層を形成する表層の表面の滑り性とポリプロピレン系フィルムからなる絞り成型時の内層を形成する表層の表面の滑り性とをともに適切に保持することができる絞り成型用フィルム積層体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る絞り成型用フィルム積層体は、ポリシロキサンを含む易滑性添加剤と有機滑剤を含有し、表面の静摩擦係数が0.3未満であるポリオレフィン系樹脂組成物の第1の表層を有するとともに、他方の第2の表層の表面の静摩擦係数が0.3未満であることを特徴とするものからなる。ここで、第1の表層は、絞り成型時には内層を形成する表層として使用されるもので、その反対側の他方の第2の表層は、絞り成型時には外層を形成する表層として使用されるものである。
このような本発明に係る絞り成型用フィルム積層体においては、絞り成型時には内層を形成する表層として使用される第1の表層の表面と絞り成型時には外層を形成する表層として使用される第2の表層の表面の静摩擦係数がともに0.3未満と低いので、両表面の滑り性をともに良好に保つことができる。したがって、絞り成型時には、内層側、外層側の両側において、トラブルを生じることなく優れた絞り成型加工特性が実現される。
上記本発明に係る絞り成型用フィルム積層体においては、上記ポリシロキサンを含む易滑性添加剤がエポキシ基を有するポリシロキサンと官能基を有するポリオレフィンを含む易滑性添加剤であることが好ましい。
また、上記本発明に係る絞り成型用フィルム積層体においては、上記ポリシロキサンを含む易滑性添加剤がビニル基を1つ以上含む末端二重結合ポリオレフィンとヒドロシランを反応させたシリル化ポリオレフィンを含む易滑性添加剤であることも好ましい。
さらに、上記本発明に係る絞り成型用フィルム積層体においては、上記ポリシロキサンを含む易滑性添加剤が重量平均分子量(Mw)が40万〜70万のシリコーンオイル40〜60重量%とポリオレフィン60〜40重量%との混合物であることも好ましい。
上記本発明に係る絞り成型用フィルム積層体においては、上記第2の表層の少なくとも表面に、上記第1の表層に含有されていた上記有機滑剤の一部が転写されていることが好ましく、これによって、より容易にかつ確実に、両表層の表面の静摩擦係数はともに0.3未満とされる。このような有機滑剤の適切な転写は、例えば、本発明に係る絞り成型用フィルム積層体をロール状に巻き取った状態で適切な条件でエージングすることによって達成可能である。
本発明に係る絞り成型用フィルム積層体においては、ポリオレフィン樹脂組成物の第1の表層が2層以上の積層フィルムからなり、該積層フィルムの最表層に上記易滑性添加剤と上記有機滑剤を含有する構成とすることができる。すなわち、この最表層の易滑性添加剤と有機滑剤を含有する層の表面の静摩擦係数が0.3未満であり、その最表層に含有されていた有機滑剤の一部が上記第2の表層の少なくとも表面に転写される構成とすることができる。
また、本発明に係る絞り成型用フィルム積層体においては、上記第1の表層と上記第2の表層の間に中間層が介在する構成とすることができる。すなわち、本発明に係る絞り成型用フィルム積層体は、上記のような第1の表層と第2の表層との2層積層構成でもよく、両層間に他の層を介在させた3層以上の積層構成とすることも可能である。中間層としては、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、アルミニウム蒸着フィルムなどのガスバリア性能や遮光性を高めるものや、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムなどの、フィルム積層体の強度やコシを向上させるものなどから適宜選択可能である
本発明においては、上記のような易滑用添加剤と有機滑剤を含有する層における該有機滑剤の含有量としては、500〜2000ppmの範囲にあることが好ましい。この範囲内の有機滑剤含有量とすることにより、第1の表層から第2の表層への適切な量の有機滑剤の転写と、エージング処理後の第1の表層の表面における有機滑剤量が多すぎることによる作業環境悪化の防止との両立が可能である。
また、本発明に係る絞り成型用フィルム積層体が絞り成型に供される場合には、上記第2の表層の表面が、絞り成型の際の絞りダイへの接触面として使用されることが好ましい。絞りダイへの接触面には絞り成型加工上良好な滑り性が要求されるが、静摩擦係数が0.3未満である第2の表層の表面を絞りダイへの接触面として使用することにより、要求特性を十分に満たすことが可能になる。
そして、本発明に係る成型用フィルム積層体は、リチウムイオン電池外装用に、つまり、リチウムイオン電池外装材として用いられることが好ましい。
このように、本発明に係る絞り成型用フィルム積層体によれば、一方の第1の表層を、ポリシロキサンを含む易滑性添加剤と有機滑剤を含有し、表面の静摩擦係数が0.3未満であるポリオレフィン系樹脂組成物の層とし、他方の第2の表層を、例えば第1の表層からの有機滑剤の一部転写により、その表面の静摩擦係数が0.3未満である層とすることにより、両表層の表面の静摩擦係数0.3未満を満たすことができるようになるので、絞り成型の際の内層、外層の望ましい滑り性の保持が可能になる。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、さらに詳細に説明する。
本発明の絞り成型用フィルム積層体の一方の第1の表層(この第1の表層は、絞り成型時には内層を形成する表層として使用されるものであるので、以下、「第1の表層」を「内層」と表記することもある。また、本発明における「他方の第2の表層」は、絞り成型時には外層を形成する表層として使用されるものであるので、以下、この「第2の表層」については「外層」と表記することもある。)は、ポリシロキサンを含む易滑性添加剤と有機滑剤を含有しているポリオレフィン系樹脂組成物からなる。
ポリシロキサンを含む易滑性添加剤とは、ポリシロキサンの構造を有する化合物、またはポリシロキサンそのものを含むものである。
上記本発明における易滑性添加剤のより具体的な形態として、エポキシ基を有するポリシロキサンと官能基を有するポリオレフィンを含むものが挙げられる。エポキシ基はアルキレン基を介してグリシドキシ基として導入されていてもよい。エポキシ基を有することが必要であるが、その他の官能基を有することを妨げるものではない。
また、官能基を有するポリオレフィンとは、上記エポキシ基を有するポリシロキサンとポリオレフィン系樹脂との相溶化剤としての機能を有するものであり、例えばポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸やメタクリル酸グリシジル等の極性モノマーをグラフトさせて変性したものを挙げることができる。無水マレイン酸等の極性基とエポキシ基が反応し、ポリオレフィン樹脂中にポリシロキサンを安定に保持することができると考えられる。
なお、上記ポリオレフィン系樹脂組成物としては、45〜81重量%のポリオレフィン系樹脂を主成分とし、エポキシ基含有ポリシロキサンは5〜10重量%、官能基を有するポリオレフィンは9〜45重量%の構成のものが好ましい。
このようなエポキシ基を有するポリシロキサンと官能基を有するポリオレフィンを含む易滑添加剤として、例えばポリワンジャパン(株)製のOnCap(TM)CC10258984BG(EASY CLEAN ENHANCER MB)などを用いることができる。
また、易滑性添加剤としては、ビニル基を1つ以上含む末端二重結合ポリオレフィンとヒドロシランを反応させたシリル化ポリオレフィンを含む易滑性添加剤も好ましく使用でき、その製造方法については、例えば特許第5208870号公報に記載されている方法を採用できる。このシリル化ポリオレフィンを含む易滑性添加剤はマスターバッチとして、例えば、三井化学(株)製の“イクスフォーラ”(登録商標)や、東レ・ダウコーニング(株)製のBY27−201C、BY27−202Hなどとして入手できる。
さらに、易滑性添加剤としては、重量平均分子量(Mw)が40万〜70万のシリコーンオイル40〜60重量%とポリオレフィン60〜40重量%との混合物も好ましく使用できる。
上記混合物を構成する超高分子量のシリコーンオイルとしては、重量平均分子量(Mw)が、40万〜70万、好ましくは45万〜65万のシリコーンオイルが用いられる。また、超高分子量のシリコーンオイルとしては、非架橋性のものであることが好ましく、非架橋性のものでは他の成分と混合したときの易滑性添加剤の分散性が良好である。
このような超高分子量のシリコーンオイルは、樹脂中への超高分子量のシリコーンオイルの分散が困難であるという問題がある。そこで、予めキャリアー樹脂に上記超高分子量のシリコーンオイルを均一かつ高濃度に分散した混合物を用いることにより、上記問題を解決し、超高分子量のシリコーンオイルのハンドリング性および樹脂中への分散性を向上させることができる。
易滑性添加剤は、通常、ペレットになっており、構成するキャリアー樹脂としては、本発明においては、ポリオレフィンが用いられる。例えば、後述の実施例で使用する東レ・ダウコーニング(株)製BY27−001(超高分子量シリコーンポリマーとポリプロピレンとからなるマスターバッチ、キャリアー樹脂:ポリプロピレン)などを用いることができる。
本発明における有機滑剤としては、脂肪酸アミド化合物を使用することができ、例えば飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、飽和脂肪酸ビスアミドおよび不飽和脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。
飽和脂肪酸アミドとしては、例えばラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸アミドとしては、例えばオレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドとしては、例えばエチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
本発明者らの知見によれば、ポリオレフィン系樹脂組成物に有機滑剤のみを添加した場合、ウレタン系接着剤等で他のフィルム等とラミネート後に60℃に加熱してエージングした場合には、有機滑剤がポリオレフィン系樹脂組成物に取り込まれて(移行されて)そのポリオレフィン系フィルム層表面における有機滑剤量が減少し、それに伴って滑り性が悪化する傾向にある。また、多量に有機滑剤を添加した場合は、ポリオレフィン系樹脂組成物の有機滑剤量が多くなりすぎ、ロール等に付着物が生じ、作業環境上の問題が生じる傾向にある。
一方でポリシロキサンを含む易滑性添加剤のみを添加した場合には、上記の工程後も一定の摩擦係数を満たすことができるが、添加剤がポリオレフィン系樹脂組成物の内部に留まったままで表面にブリードアウトしないため、フィルム積層体としてロール状に巻き取られた状態で外層表面が内層表面と接触しても外層表面の滑り性は悪いままである。
本発明では、ポリシロキサンを含む易滑性添加剤と有機滑剤を含有することで、ロール状に巻き取られた状態ではポリオレフィン樹脂組成物の内層(ロール状に巻き取られた状態での内面を形成する層、本発明における第1の表層)に含有されていた有機滑剤の一部が外層(ロール状に巻き取られた状態での外面を形成する層、本発明における第2の表層)の表面に転写され、その結果、ラミネート後60℃に加熱してエージングされる場合において、静摩擦係数が0.3未満のポリオレフィン樹脂組成物の内層を有するとともに、他方の外層の表面の静摩擦係数として0.3未満を達成することができる。
本発明における内層を構成するポリオレフィン系樹脂には、上記易滑性添加剤を3〜15重量%、有機滑剤は500〜2000ppm含有していることが好ましい。上記易滑性添加剤の添加量が3重量%未満の場合、滑り性の発現が不十分であり、15重量%より多いと製膜中に目ヤニと呼ばれる欠点が発生し生産性が悪くなる。さらに好ましくは3〜10重量%である。
有機滑剤の添加量については、500ppm未満の場合、エージング温度が高い場合、有機滑剤が樹脂組成物に取り込まれて(移行されて)そのフィルム層表面における滑剤量が減少し、転写量が少なくなり、他方の外層の表面の静摩擦係が高くなる。また、2000ppmより多いと、エージング処理後にフィルム表面の滑剤量が多くなりすぎ、ロール等に付着物が生じ、作業環境上の問題が生じる。さらに好ましくは500〜1000ppmである。
本発明における内層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、プロピレンにエチレンまたはブテンをランダム共重合したプロピレン系ランダム共重合体や、ホモポリプロピレン、またはホモプロピレン(a成分)が全重合体の60〜90重量%と、エチレンまたはブテンとプロピレンとを重合させてエチレンまたはブテン含有量20〜50重量%のプロピレン・エチレンまたはブテン共重合体(b成分)が全重合体の10〜40重量%からなるプロピレン系ブロック共重合体やポリエチレン系樹脂が挙げられる。
本発明の絞り成型用フィルム積層体の外層には、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムなどが配置できる。フィルム積層体の製造方法としては、構成フィルムに接着剤を用いて貼合わせる通常のドライラミネート法が好適に採用できる。
本発明の絞り成型用フィルム積層体においては、ポリオレフィン系樹脂組成物の内層が2層以上の積層フィルムからなり、該積層フィルムの最内層に前記易滑性添加剤と前記有機滑剤を含有してもよい。すなわち、易滑性添加剤を滑り性が必要な最内層のみに使用することは、経済性の観点から好ましい。この場合、最内層の静摩擦係数が0.3未満とすることが重要である。
また、上記の絞り成型用フィルム積層体は、ポリオレフィン系樹脂組成物の内層と前記他方の外層の間に中間層を有することができ、耐衝撃性やガスバリア性を高めることができる。前述したように、中間層は、アルミニウム箔、ステンレス箔、アルミニウム蒸着フィルムなどのガスバリア性能や遮光性を高めるものや、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルムなどの、フィルム積層体の強度やコシを向上させるものなどから設計に応じて選択される。
また、本発明の絞り成型用フィルム積層体において、前記他方の外層の表面が、絞り成型の際の成形型絞りダイへの接触面を形成することによって成形型絞りダイと外層接触面との滑り性が良くなり、フィルム積層体が破れることなく成型性が良くなる。
本発明の絞り成型用フィルム積層体は、とくに、リチウムイオン電池外装材用として好適に使用することができる。
本発明者らの知見によれば、本発明に係る成型用易滑性フィルム積層体は、例えば電池外装用途の絞り加工の変形の際に、フィルムの海島構造の界面にクラックが生じると、内容物である電解液が漏れる懸念がある。よって、分散を極めて小さくする設計が必要であるが、低密度ポリエチレンを含有することにより分散を極めて小さくすることができる。さらにホモポリプロピレンのマトリックスに、高いゴム含量を達成する触媒技術と重合プロセス技術を組み合わせたことにより製造される高性能のオレフィン系やエチレン系、スチレン系等のエラストマーを、物性を阻害しない程度に0〜30重量%含有することができる。これによって、本発明者らの知見によれば、低密度ポリエチレンと同様に海島構造の分散を小さくすることができる。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、前記ポリオレフィン樹脂組成物の内層に酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤、アンチブロッキング剤、造核剤等を含むことができる。これらの添加剤は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明について、実施例、比較例を用いて説明する。
実施例1〜13、比較例1〜7
本発明に係る絞り成型用フィルム積層体の実施例1〜13および比較例1〜7での内層には下記のポリオレフィン系樹脂を使用した。
「EPC」と表示している樹脂は、エチレン含量3.8重量%、融点142℃のプロピレン・エチレンランダム共重合体である。
「BPP」と表示している樹脂は、ホモポリプロピレン(a成分)が全重合体の85重量%と、エチレン含有量が40重量%のプロピレン・エチレン共重合体(b成分)が全重合体の15重量%からなるプロピレン系ブロック共重合体である。
「易滑性添加剤(1)」に関しては、ポリワンジャパン(株)製CC10258984BGを使用した。
「易滑性添加剤(2)」に関しては、三井化学(株)製“イクスフォーラ”を使用した。
「易滑性添加剤(3)」に関しては、東レ・ダウコーニング(株)製BY27−001を使用した。
「有機滑剤」に関しては、例えば、オレイン酸アミドやエルカ酸アミド、ベヘン酸アミド等が使用可能であり、各実施例、比較例ではエルカ酸アミドを使用し表1、表2のとおり添加した。
表1において「LLDPE」と表示している樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレンとして、メタロセン触媒を用いた共重合成分が1−ヘキセンである (株)プライムポリマー製SP0540を使用した。
「酸変性PP」と表示している樹脂は、三井化学(株)製の「アドマー」(登録商標)QF500を使用した。
実施例7の内層には、公知の酸化防止剤をマスターバッチ(MB)の形態で3%添加した。
表1のとおり、各ポリオレフィン系樹脂を使用し、製膜機で押出し、総厚さ40μmの無延伸フィルムを作成した。なお、実施例10、11については、10μm/30μmの2層フィルムを作成し、実施例12については5μm/30μm/5μmの3層品フィルムを作成した。
次に本発明に係る絞り成型用フィルム積層体の外層や中間層には、25μmの二軸延伸ナイロンフィルム(「ON」と表示)や25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(「PET」と表示)や40μmのアルミニウム箔(「AL」と表示)を使用した。なお、実施例13については、事前にONとALをドライラミネート法で積層した。
これらフィルム積層体を通常のドライラミネート法で作成した後、ロール状で60℃3日間エージングした。
静摩擦係数の測定は、本発明積層体の内層同士および、外層同士を用いて、JIS K7125:1999に準じて行った。
表1に示すように、実施例1では、内層同士、外層同士ともに、静摩擦係数は0.3未満で良好な滑り性であった。実施例2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13についても同様の結果であった。
また、表2に示すように、比較例1、2、3、4、5では、内層または、外層の静摩擦係数が0.3以上と高く、絞り成型積層体としては満足に使用出来るものではなかった。
比較例6では、実施例1でドライラミネートしたフィルム積層体をロール状態に巻き上げ後、すぐに枚葉にサンプリングし、フィルム積層体1枚で60℃3日間エージングした。内層の静摩擦係数は小さいものであったが、外層の静摩擦係数は大きいままであった。
比較例7では、比較例5でドライラミネートしたフィルム積層体をロール状態に巻き上げ後、すぐに枚葉にサンプリングし、フィルム積層体1枚で60℃3日間エージングした。外層、内層とも静摩擦係数は大きいものであった。比較例5との比較により、エージング中に内層に添加された有機滑剤が他方の外層に転写されることで静摩擦係数が低くなることが確認できた。
Figure 2019137033
Figure 2019137033
本発明に係る絞り成型用フィルム積層体は、あらゆる絞り成型用素材として用いることができ、とくに、リチウムイオン電池外装材として好適なものである。

Claims (10)

  1. ポリシロキサンを含む易滑性添加剤と有機滑剤を含有し、表面の静摩擦係数が0.3未満であるポリオレフィン系樹脂組成物の第1の表層を有するとともに、他方の第2の表層の表面の静摩擦係数が0.3未満であることを特徴とする絞り成型用フィルム積層体。
  2. 前記ポリシロキサンを含む易滑性添加剤がエポキシ基を有するポリシロキサンと官能基を有するポリオレフィンを含む易滑性添加剤である、請求項1に記載の絞り成型用フィルム積層体。
  3. 前記ポリシロキサンを含む易滑性添加剤がビニル基を1つ以上含む末端二重結合ポリオレフィンとヒドロシランを反応させたシリル化ポリオレフィンを含む易滑性添加剤である、請求項1に記載の絞り成型用フィルム積層体。
  4. 前記ポリシロキサンを含む易滑性添加剤が、重量平均分子量(Mw)が40万〜70万のシリコーンオイル40〜60重量%とポリオレフィン60〜40重量%との混合物である、請求項1に記載の絞り成型用フィルム積層体。
  5. 前記第2の表層の少なくとも表面に、前記第1の表層に含有されていた前記有機滑剤の一部が転写されている、請求項1〜4のいずれかに記載の絞り成型用フィルム積層体。
  6. 前記第1の表層が2層以上の積層フィルムからなり、該積層フィルムの最表層に前記易滑性添加剤と前記有機滑剤を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の絞り成型用フィルム積層体。
  7. 前記第1の表層と前記第2の表層の間に中間層が介在する、請求項1〜6のいずれかに記載の絞り成型用フィルム積層体。
  8. 前記易滑用添加剤と前記有機滑剤を含有する層における前記有機滑剤の含有量が500〜2000ppmの範囲にある、請求項1〜7のいずれかに記載の絞り成型フィルム用積層体。
  9. 前記第2の表層の表面が、絞り成型の際の絞りダイへの接触面を形成している、請求項1〜8のいずれかに記載の絞り成型用フィルム積層体。
  10. リチウムイオン電池外装材として用いられる、請求項1〜9のいずれかに記載の絞り成型用フィルム積層体。
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