JP7428103B2 - シーラント用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、シーラント用フィルム、及びそれを用いた積層体に関する。詳しくは、撥液性とヒートシール性並びに、滑り性及び耐ブロッキング性に優れるシーラント用フィルム及びそれを用いた積層体包装袋に関するものである。
プラスチックフィルムからなる包装袋は、軽量で気密性に優れ、透明かつ高強度で取扱性に優れることから、固体状、液状、粉末状、ペースト状、粘凋物およびそれらの混合物からなる食品や薬品などの包装に広く用いられている。
しかし、食品や薬品などを包装袋から取り出す場合において、液状、ペースト状、粘凋物など粘液性を示す内容物は包装袋の内面に付着しやすく、取り出し難いことは経験的に誰もが知るところである。また内容物が残った包装袋が廃棄されると衛生性の点でも問題となる可能性がある。
これらの課題を解決する為に、表面に界面活性剤を塗布したフィルムや、界面活性剤を練り込んだフィルムが提案されている(例えば、特許文献1、2等参照。)が、内容物を取り出しやすいとは言えず、ヒートシール強度も低下するなどの問題があった。
また、シリコーン樹脂又はシリコーンオイルを含み、撥液性を改善したフィルムも提案されている(例えば、特許文献3、4等参照。)が、その撥液性も十分でなかった。
さらには、シリル化ポリオレフィンからなる、撥液性を改善したフィルムも提案されている(例えば、特許文献5、6、7等参照。)。
しかし、特許文献5~7は滑性や耐ブロッキング性が悪いためフィルムや積層体として生産性や取扱性が劣る。
特開2000-355362号公報 特開2001-48229号公報 特開平08-337267号公報 特許3539723号公報 特許5990131号公報 特開2014-177541号公報 特開2015-024548号公報
本発明は、上記の技術的背景を考慮してなされたものであって、内容物が粘凋性であっても包装袋から取り出し易く、充分なヒートシール性を示すフィルム及び又は包装袋を提供することを目的とする。
本発明者らはかかる実情に鑑み、鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂、シリル化ポリオレフィンを含む樹脂組成物を用い、この樹脂組成物からなる層におけるヒートシール強度の温度依存性を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、
下記(a)、(b)、(c)、(d)を含む樹脂組成物からなるシール層を含むフィルムであって、下記(1)、(2)、(3)を満足するシーラント用フィルムである。
(a)ポリプロピレン系樹脂
(b)ポリエチレン系樹脂
(c)シリル化ポリオレフィン樹脂
(d)脂肪酸アミドを
(1)(a)、(b)、(c)の含有量がそれぞれ、樹脂組成物全体に対して、30~90重量%、0~40重量%で、3~30重量%である。
(2)シール層の表面の算術平均粗さRaが0.03μm以上、0.3μm以下である。
(3)シリル化ポリオレフィンは下記式で示される。
CH-(CHn-2-CH-S(CHO-(-S(CH-O-)-Si(CH-CH-(CHn-2-CH
(式中、dは1以上の整数である。)
この場合において、前記樹脂組成物が酸化物又は合成樹脂からなる粒子を含有することが好適である。
また、これらの場合において、下記(4)、(5)を満足することが好適である
(4)シール層中に含まれる珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)が0.001以上、0.02以下である。
(5)シール層の表面における珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)が0.05以上0.2以下である。
さらにまた、これらの場合において、下記(6)を満足することが好適である。
(6)前記シール層中に含まれる珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)に対する、シール層の表面における珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)の比が2以上である。
さらにまた、これらの場合において、前記シール層の表面のブロッキング値が200mN/70mm以下であることが好適である。
さらにまた、前記シーラント用フィルムと基材フィルムからなる積層体が好適である。
本発明により、ペースト状、粘凋物など粘液性を示す内容物であっても取り出し易い包装袋を提供し、良好なヒートシール性並びに、優れた滑り性及び耐ブロッキング性を有するシーラント用フィルム及びその積層体を提供することができる。
比較例2、実施例1~3、13、16に記載のフィルムの平均S濃度と表面S濃度の値 撥液性評価法の手順の模式図 フィルム表面のEDXマッピング測定写真 フィルム断面のTEM観察写真 樹脂押出機のダイのノズル周辺の写真
(シール層)
本発明においてシール層を構成する樹脂組成物は、(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリエチレン系樹脂、(c)シリル化ポリオレフィン樹脂、(d)脂肪酸アミドを含むことは必要である。
(ポリプロピレン系樹脂)
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン単量体の単独重合体、プロピレン単量体とα-オレフィンとのランダム共重合体及び又はブロック共重合体、これらの混合物であり、α-オレフィンとしては、エチレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、3-メチルブテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1、デセン-1等が挙げられる。
使用するポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレンまたはポリプロピレン系ランダム共重合体であることが好ましく、85重量%以上のプロピレンと15重量%以下のα-オレフィンとのランダム共重合体であるポリプロピレン-αオレフィンランダム共重合体であることがより好ましい。
かかるポリプロピレンランダム共重合体を得る際のα-オレフィンモノマーとしては、エチレン、ブテン-1、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等を用いることができるが、生産性の面からエチレン、ブテン-1を用いるのが特に好ましい。また、共重合に用いるα-オレフィンは、少なくとも1種以上であれば良く、必要に応じて、2種類以上を混合して用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂組の融点ピーク温度は130℃以上であることが好ましい。
融点は後述する実施例に記載の方法で測定される。ポリプロピレン系樹脂の融点ピーク温度が130℃以上であると包装体の形状がくずれにくく、また高速包装加工におけるフィルムの搬送をよりスムーズにすることができ、得られた製袋品にしわもより入りにくい。加えて、レトルト処理やセミレトルト処理することも出来る。
ポリプロピレン系樹脂の密度の下限は好ましくは880kg/cmであり、より好ましくは885kg/cmである。880kg/cm以上であると、耐熱性とヒートシール性を両立することが出来るので好ましい。シール層に添加するポリプロピレン系樹脂の密度の上限は好ましくは920kg/cmであり、より好ましくは900kg/cmである。920kg/cm以下であると、耐熱性とヒートシール性を両立することが出来るので好ましい。
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)の下限は好ましくは2.0g/10分であり、より好ましくは2.5g/10分であり、さらに好ましくは2.7g/10分である。2.0g/10分以上であるとポリプロピレンとポリエチレン樹脂が層分離せずに微分散しやすく、シール層同志のヒートシール後の剥離強度が低下しすぎない。
ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートの上限は好ましくは10.0g/10分であり、より好ましくは8.0g/10分であり、さらに好ましくは7.0g/10分である。10.0g/10分以下であるとポリプロピレンとポリエチレン樹脂が相溶せずに微分散性しやすく、シール層同志のヒートシール後の剥離強度が低下しすぎない。
(ポリエチレン系樹脂)
本発明において使用するポリエチレン系樹脂とは、エチレン単量体とα-オレフィンとの共重合体である。
α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1、デセン-1、3-メチルブテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1等が挙げられる。
ここでいうエチレン単量体とα-オレフィンとの共重合体は一般に、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレン系エラストマーと呼ばれる事もある。エラストマーは常温付近でゴム状弾性を示すオレフィン系熱可塑性共重合を意味する。
高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリエチレン系エラストマーの融点はそれぞれ50~140℃の範囲であることが好ましい。
本発明においては、配合に用いる原料ポリエチレン系樹脂の密度範囲は850~970kg/mが好ましく、860~965kg/mがより好ましく、865~960kg/mがさらに好ましい。密度が850kg/m以上のポリエチレン系樹脂は、シール層同志のヒートシール後の剥離強度が低下しすぎない。密度が970kg/m以下のポリエチレン系樹脂は、同様にシール層同志のヒートシール後の剥離強度が低下しすぎない。また重合が容易である。
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)の下限は好ましくは0.6g/10分であり、より好ましくは1.0g/10分であり、さらに好ましくは1.5g/10分である。0.6g/10分以上であるとポリプロピレンとポリエチレン樹脂の微分散性が得られやすく、シール層同志のヒートシール後の剥離強度が低下しすぎない。
ポリエチレン系樹脂のメルトフローレートの上限は好ましくは5.0g/10分であり、より好ましくは4.0g/10分であり、さらに好ましくは3.5g/10分であり、特に好ましくは3.0g/10分以下である。5.0g/10分以下であるとポリプロピレンとポリエチレン樹脂との微分散性が得られやすく、シール層同志のヒートシール後の剥離強度を低下させやすい。
上記ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とをブレンドして溶融させると、微分散状態をつくることが可能であり、シール層同志あるいはシール層と他の容器部材の開口部周辺部とのヒートシール後に、剥離する際の強度を低下させることができる。
シール層同志あるいはシール層と他の容器部材の開口部周辺部とのヒートシール後に、剥離する際の強度は、エチレン系共重合体(ポリエチレン系エラストマー)、LLDPE、LDPEの順に低下しやすい。この理由として、エチレン系共重合体はエチレン部分のみにポリプロピレン系樹脂との非相溶性があるが、LLDPEは側鎖があるため微分散性があり、LDPEは、長鎖の側鎖があるため微分散性が強いためと推測できる。
具体的には、密度885kg/m、MFR(230℃、2.16kg)2.2g/10minのエチレン-ブテン共重合エラストマー(三井化学株式会社製タフマーA1085S)、密度869kg/m、MFR(230℃、2.16kg)1.8g/10minのエチレン-プロピレン共重合エラストマー(三井化学株式会社製タフマーP0480)が例示できる。
(シリル化ポリオレフィン樹脂)
本発明において使用するシリル化ポリオレフィン樹脂は、分子内にSH基を2個以上有するケイ素含有化合物と、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン及び1-ヘキセンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンの重合体であって末端にビニル基を含有するビニル基含有化合物との反応によって得られるものである。
H基を2個以上有するケイ素含有化合物の例としては、例えば、式(1)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、式(1)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換されたた化合物などが挙げられる。
式(1)
(CHO-(-SH(CH)-O-)-S(CH
(式(1)中、aは2以上の整数であり、上限は好ましくは1000、さらに好ましくは300、より好ましくは50である。)
H基を2個以上有するケイ素含有化合物の別の例としては、例えば、式(2)で表されるジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、式(2)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物などが挙げられる。
式(2)
(CHO-(-S(CH-O-)-(-SH(CH)-O-)-S(CH
(式(2)中、bは1以上の整数であり、cは2以上の整数であり、bとcとの合計の上限は、好ましくは1000、さらに好ましくは300、より好ましくは50である。) また、式(2)において、-S(CH-O-単位と-SH(CH)-O-単位とが並ぶ順序には特に制限はなく、ブロック的であっても無秩序であっても統計的にランダムであっても良い。
H基を2個以上有するケイ素含有化合物のさらに別の例としては、例えば、式(3)で表されるメチルハイドロジェンポリシロキサン、式(3)においてメチル基の一部または全部がエチル基、プロピル基、フェニル基、トリフロロプロピル基等で置換された化合物などが挙げられる。
式(3)
HS(CHO-(-S(CH-O-)-S(CH
(式(3)中、dは1以上の整数であり、上限は好ましくは1000、さらに好ましくは300、より好ましくは50である。)
このような化合物として、より具体的には、その数平均分子量に相当する構造が以下に示す構造に該当する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
HS(CHO-(-S(CH-O-)-S(CH
HS(CHO-(-S(CH-O-)-S(CH
HS(CHO-(-S(CH-O-)18-S(CH
HS(CHO-(-S(CH-O-)80-S(CH
HS(CHO-(-S(CH-O-)230-S(CH
(ビニル基含有化合物)
本発明において使用するビニル基含有化合物は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン及び1-ヘキセンからなる群から選択される少なくとも1種のオレフィンを共重合又は重合して得られるものである。
ビニル基含有化合物は、エチレン由来の構成単位が81~100mol%、炭素原子数3~20のα-オレフィン由来の構成単位が0~19mol%の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体であることが望ましい。より好ましくは、エチレン由来の構成単位が90~100mol%、炭素原子数3~20のα-オレフィン由来の構成単位が0~10mol%の範囲にあるエチレン・α-オレフィン共重合体であることが望ましい。とりわけエチレン由来の構成単位が100モル%であることが好ましい。
また、ビニル基含有化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mn)が1.1~3.0の範囲にあることが好ましい。
また、ビニル基含有化合物は、数平均分子量(Mn)が100以上500,000以下の範囲にあることが望ましく、500以上300,000以下がより好ましく、1,500以上100,000以下がさらに好ましい。
また、ビニル基含有化合物は、融点が70℃以上130℃以下であることが好ましい。
本発明におけるビニル基含有化合物のGPC法により求めた数平均分子量は、100以上500,000以下であり、500以上300,000以下であることがより好ましい。
さらに好ましくは1,500以上100,000以下である。
また、ビニル基含有化合物のビニル基は、主鎖の末端に存在することが好ましく、ビニル基が主鎖の末端のみに存在することがより好ましい。
また、ビニル基含有化合物が、主鎖の末端のみにビニル基を含有する場合、H-NMRにより計算される末端不飽和率が80モル%以上99.5モル%以下、より好ましくは90モル%以上99モル%以下である。
(シリル化ポリオレフィン樹脂の製造方法)
本発明において使用するシリル化ポリオレフィン樹脂は、特開2014-223752号公報記載の方法に従い、遷移金属触媒の存在下で、前述のビニル基含有化合物とケイ素含有化合物とを反応させることにより得られたシリル化ポリオレフィン樹脂もしくはその誘導体、またはこれらの混合物である。
シリル化ポリオレフィン樹脂の具体例として、式(4)~(6)で表されるような構造を有しているものが挙げられるが、ケイ素含有化合物やビニル基含有化合物の組合せは、これらの例示になんら限定されるものではない。
式(4)
(CHO-(-S[CH-(CHn-2-CH](CH)-O-)-Si(CH
(式(4)中、aは2以上の整数であり、上限は好ましくは1000、さらに好ましくは300、より好ましくは50である。)
式(5)
(CHO-(-S(CH-O-)-(-S[CH-(CHn-2-CH](CH)-O-)-S(CH
(式(5)中、bは1以上の整数であり、cは2以上の整数であり、bとcとの合計の上限は、好ましくは1000、さらに好ましくは300、より好ましくは50である。)
式(6)
CH-(CHn-2-CH-S(CHO-(-S(CH-O-)-S(CH-CH-(CHn-2-CH
(式(6)中、dは1以上の整数であり、上限は好ましくは1000、さらに好ましくは300、より好ましくは50、特に好ましくは25である。)
本発明において使用するシリル化ポリオレフィン樹脂は式(6)で示されるようなポリジメチルシロキサンの両末端をポリエチレンとするブロック共重合体を80重量%以上含有するのがさらに好ましく、90重量%以上含有するのが特に好ましい。また、式(6)中、dは3以上の整数が好ましく、10以上がさらに好ましい。
式(4)~(6)中、nは100以上の整数が好ましく、150以上がさらに好ましい。
本発明において使用するシリル化ポリオレフィン樹脂は、本発明のフィルムの特性を得る上で、また本発明のフィルムを製造する上で下記i)及びii)を満足することが好ましく、下記i)~iii)を満足することがさらに好ましく、下記i)~iv)を満足することがより好ましい。
i)密度が900~1000kg/mの範囲である。
ii)融点が100~140℃の範囲である。
iii)数平均分子量が1,000~20,000の範囲である。
iv)シリコーンの共重合率が1~50重量%の範囲である。
シリル化ポリオレフィン樹脂の化学式と分子量の同定方法は実施例に記載の方法で行う。
(有機系潤滑剤)
シール層を構成する樹脂組成物には、有機系潤滑剤を含有することが好ましく、有機系潤滑剤としては脂肪酸アミドが好ましい。有機系潤滑剤を含有することにより、シール層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm以上、0.3μm以下とすることとの相乗効果により、シール層の耐ブロッキング性と、滑り性が向上しやすい。
脂肪酸アミドとしてオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミドなどが挙げられる。これらは単独で用いても構わないが、2種類以上を併用することで過酷な環境下においても滑性やブロッキング防止効果を維持することができるので好ましい。
一方、脂肪酸エステルは、乳化剤として広く知られ、防曇剤としてフィルム表面に親水性を付与する効果も知られるが、本発明においては、撥水性を低下させるだけでなく、撥油性も損なうため、好ましくない。また、脂肪酸エステルは融点が低いものが多く、ブリードアウトによるベタツキや外観不良も懸念される。これらの点を考慮すると、脂肪酸アミドが好ましい。
(樹脂組成物)
本発明のシール層を構成する樹脂組成物中の(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリエチレン系樹脂、(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量がそれぞれ、樹脂組成物全体に対して、30~90重量%、0~40重量%、3~30重量%であることが必要である。
ポリエチレン樹脂として、LDPE、LLDPEを含む場合、シール層を構成する樹脂組成物中における(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリエチレン系樹脂、(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量がそれぞれ、樹脂組成物全体に対して、30~70重量%、10~40重量%、3~30重量%であることが好ましい。
(a)前記樹脂組成物中におけるポリプロピレン系樹脂の含有量はより好ましくは35重量%以上、さらに好ましく40重量%以上、特に好まし55重量%以上である。(a)ポリプロピレン系樹脂が30重量%以上含むときは、腰感が維持される。
前記樹脂組成物中におけるポリプロピレン系樹脂の含有量は、より好ましくは65重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下である。(a)ポリプロピレン系樹脂が70重量%以下含むときは、イージーピール性が認められる。
(b)前記樹脂組成物中におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、より好ましくは12重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、特に好ましくは20重量%以上である。ポリエチレン系樹脂が10重量%以上含むときは、シール層同志のヒートシール後の剥離強度を低下させやすい。
前記樹脂組成物中における(b)ポリエチレン系樹脂の含有量は、より好ましくは35重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下である。(b)ポリエチレン系樹脂の含有量が40重量%程度では耐熱性が低下しにくい。
(c)前記樹脂組成物中におけるシリル化ポリオレフィン樹脂の含有量はより好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは7重量%以上、特に好ましく12重量%以上である。シリル化ポリオレフィン樹脂が3重量%以上含むときは、撥液性が充分に得られ、特に食用油に対する撥液性が優れる。
前記樹脂組成物中における(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量は、より好ましくは28重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下、よりさらに好ましくは20重量%以下、よりさらに好ましくは15重量%以下である。(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量が30重量%程度で撥液体性の効果がそれ以上向上することは少ない。(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量が少ない方がシール層表面への偏析もより少なくなる。
ポリエチレン樹脂としてエラストマーを含む場合、シール層を構成する樹脂組成物中における(a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリエチレン系樹脂、(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量がそれぞれ、樹脂組成物全体に対して、30~90重量%、0~40重量%、3~30重量%であるのが好ましい。
(a)前記樹脂組成物中におけるポリプロピレン系樹脂の含有量はより好ましくは35重量%以上、さらに好ましく40重量%以上、特に好ましくは55重量%以上である。(a)ポリプロピレン系樹脂が30重量%以上含むときは、腰感が維持される。
前記樹脂組成物中におけるポリプロピレン系樹脂の含有量は、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは75重量%以下である。(a)ポリプロピレン系樹脂が70重量%以下含むときは、イージーピール性が維持される。
(b)前記樹脂組成物中におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、より好ましくは12重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上、特に好ましく20重量%以上である。ポリエチレン系樹脂が10重量%以上含むときは、シール層同志のヒートシール後の剥離強度を低下させやすい。
前記樹脂組成物中における(b)ポリエチレン系樹脂の含有量は、より好ましくは35重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、よりさらに好ましくは20重量%以下である。(b)ポリエチレン系樹脂の含有量が40重量%程度では耐熱性が低下しにくい。
(c)前記樹脂組成物中におけるシリル化ポリオレフィン樹脂の含有量はより好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは7重量%以上、特に好ましく12重量%以上である。シリル化ポリオレフィン樹脂が3重量%以上含むときは、撥液性が充分に得られ、特に食用油に対する撥液性が優れる。
前記樹脂組成物中における(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量は、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、よりさらに好ましくは15重量%以下である。(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量が30重量%程度で撥液体性の効果がそれ以上向上することは少ない。(c)シリル化ポリオレフィン樹脂の含有量が少ない方がシール層表面への偏析もより少なくなる。
a)ポリプロピレン系樹脂、(b)ポリエチレン系樹脂、(c)シリル化ポリオレフィンの含有量は実施例に記載の方法で行う。
(有機系潤滑剤)
シール層を構成する樹脂組成物には、有機系潤滑剤を含有することが好ましく、有機系潤滑剤としては脂肪酸アミドが好ましい。有機系潤滑剤を含有することにより、シール層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm以上、0.3μm以下とすることとの相乗効果により、シール層の耐ブロッキング性と、滑り性が向上しやすい。
脂肪酸アミドとしてオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミドなどが挙げられる。これらは単独で用いても構わないが、2種類以上を併用することで過酷な環境下においても滑性やブロッキング防止効果を維持することができるので好ましい。
一方、脂肪酸エステルは、乳化剤として広く知られ、防曇剤としてフィルム表面に親水性を付与する効果も知られるが、本発明においては、撥水性を低下させるだけでなく、撥油性も損なうため、好ましくない。また、脂肪酸エステルは融点が低いものが多く、ブリードアウトによるベタツキや外観不良も懸念される。これらの点を考慮すると、脂肪酸アミドが好ましい。
有機系滑剤は25℃以上の融点を持つものを添加することが好ましい。
前記樹脂組成物中における(d)脂肪酸アミド及び脂肪酸エステルの含有量は0.01~0.5重量%含むのが好ましく、0.05~0.4重量%含むのがより好ましく、0.1~0.3重量%含むのが特に好ましい。脂肪酸アミドが0.5重量%以下ではとシール強度が低下しにくい。
(粒子)
シール層を構成する樹脂組成物には、粒子を含有することが好ましく、粒子としては無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子が好ましい。粒子を含有することにより、シール層の表面の算術平均粗さRaを0.03μm以上、0.3μm以下としやすい。その結果フィルムのシール層の表面同士又はシール層とその反対面の表面の動摩擦係数、及びフィルムのシール層の表面同士滑性のブロッキング強度を著しく低下させやすい。
その理由として、(b)シリル化ポリオレフィン樹脂がシール層の表面に偏在し、結晶化度と硬度が低下したフィルム表面に特定の凹凸を付与することにより、その低下の影響を小さくし、動摩擦係数及びブロッキング強度を小さくする効果が大きいことが考えられる。
無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子の重量平均粒子径は2μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。また重量平均粒径が20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。
重量平均粒径の測定方法は、は実施例に記載の方法で行う。
合成樹脂からなる粒子としては架橋アクリル粒子、ポリメタクリル酸粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリエチレン粒子が挙げられる。
無機酸化物からなる粒子としては、酸化ケイ素からなる粒子、炭酸カルシウムからなる粒子、ゼオライト、珪藻土からなる粒子が挙げられる。酸化ケイ素からの中でもシリカ粒子や合成シリカ粒子を使用するのが好ましいが、珪藻土を併用しても良い。
前記樹脂組成物中における無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子の含有量は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.4重量%以上がさらに好ましい。また、3.0重量%以下が好ましく、2.5重量%以下がより好ましく、2.0重量%以下がさらに好ましい。 無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子の含有量が3.0重量%以下では表面の突起が大きくなりすぎず、撥液性も低下しにくい。
(その他)
本発明のシーラント用フィルムとしての性能を損なわない範囲で、樹脂組成物中に必要に応じて酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候 安定剤、結晶核剤等の添加物、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体等を含有しても良い。
(製膜方法)
本発明のシーラント用フィルムの製造方法としては、例えば、ポリエチレン系樹脂を含むポリプロピレン系樹脂組成物を溶融混練する工程、溶融混練した樹脂組成物を溶融押出しして溶融樹脂組成物シートとする工程、溶融樹脂組成物シートを冷却固化する工程を採用するのが好ましい。
本発明のシーラント用フィルムは、単層でも良いが、積層がより好ましい。積層の場合は、ポリエチレン系樹脂とシリル化ポリオレフィンを含有し、少なくとも片側の表面層の算術平均粗さを0.03μm以上、0.3μm以下である層に熱可塑性樹脂組成物、好ましくはポリオレフィン系樹脂組成物からなる他の層を設けることができる。
単層の場合のフィルムの厚みとしては3μm以上であることが好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましく、20μm以上が特に好ましい。また、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下が特に好ましい。3μm未満ではシリカ粒子の効果が低下し、耐滑り性ブ及びロッキング性の効果が出にくい。
以下に詳細に説明する。長手方向とは、未延伸シートを走行させる方向を、幅方向とはそれと直角方向を意味する。
(原料混合工程)
シリル化ポリオレフィン樹脂とポリエチレン系樹脂、或いはシリカ粒子などの粒子とポリプロピレン系樹脂を混合する場合、これらが均一に混合される方法であれば良く、マスターバッチを使用する場合であれば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等を用いて混合する方法等が挙げられる。
(溶融混練工程)
まず、フィルム原料として、ポリプロピレン系樹脂などの水分率が1000ppm未満となるように、乾燥あるいは熱風乾燥する。次いで、各原料を計量、混合して押し出し機に供給し、溶融混練する。
ポリエチレン系樹脂組成物の溶融混合温度の下限は好ましくは200℃であり、より好ましくは210℃であり、さらに好ましくは220℃である。上記未満であると吐出が不安定となることがある。樹脂溶融温度の上限は好ましくは260℃である。上記を越えると樹脂の分解が進行し、再結合した結果として生成した架橋有機物、いわゆるゲルなどの異物の量が多くなってしまう。
ポリエチレン系樹脂組成物に上述の酸化防止剤を含有する場合は、より高温での溶融押し出しが可能になるが、270℃以下にするのが好ましい。
(ろ過)
溶融混練工程では、溶融したポリエチレン系樹脂組成物中に含まれる異物を除去するために高精度濾過を行うことができる。溶融樹脂の高精度濾過に用いられる濾材は、特に限定はされないが、ステンレス焼結体の濾材の場合、いわゆるゲルなどの異物に加え、触媒などの添加物に由来するAl、Si、Ti、Sb、Cu、Geを主成分とする凝集物の除去性能に優れ好適である。また、その濾過精度は200μm以下であることが好ましい。
(フィルター昇圧)
ポリエチレン系樹脂組成物を溶融混練中の昇圧量は小さい方が好ましい。
(溶融押出し工程)
次に、溶融したポリプロピレン系樹脂組成物シートを例えばT型ダイスから溶融押出しし、冷却ロール上にキャスティングし、冷却固化して未延伸シートを得る。このための具体的な方法としては、冷却ロール上へキャストすることが好ましい。
本発明で使用するシリル化ポリオレフィンは、ポリエチレンとの共重合体である為、溶融混練、押出工程を経てもブリードアウトは認められず、シリコーン樹脂を添加した場合にみられる異物や目ヤニの堆積が極めて発生し難い。
溶融混練したポリプロピレン系樹脂組成物シートを溶融押出しした物をTダイ法やインフレーション法でフィルムにする方法等が挙げられるが、樹脂の溶融温度を高くすることができる点でTダイ法が特に望ましい。
(リップ汚れ(ブリードアウト))
シリル化ポリオレフィンとシリカ粒子とポリプロピレン系樹脂をT型ダイスから溶融押出しする際、T型ダイスのリップ口の汚れは少ない方が好ましい。リップ汚れの測定方法は実施例記載の方法で行った。
(冷却固化工程)
例えば、T型ダイスから溶融押出ししたポリエチレン系樹脂組成物の溶融シートを、冷却ロール上にキャスティングし、冷却を行うのが好ましい。冷却ロール温度の下限は、好ましくは10℃である。上記未満であると結晶化抑制の効果が飽和することがあるだけでなく、結露などの問題が発生し好ましくない。冷却ロール温度の上限は、好ましくは70℃以下である。上記を越えると結晶化が進み透明性が悪くなる為好ましくない。また冷却ロールの温度を上記の範囲とする場合、結露防止のため冷却ロール付近の環境の湿度を下げておくことが好ましい、
キャスティングでは、表面に高温の樹脂が接触するため、冷却ロール表面の温度が上昇する。通常、冷却ロールは内部に配管を通して冷却水を流して冷却するが、充分な冷却水量を確保し、配管の配置も工夫するとともに、配管にスラッジが付着しないようメンテナンスを行う、などして、冷却ロール表面の幅方向の温度差を少なくする必要がある。このとき、未延伸シートの厚みは3~200μmの範囲が好適である。
(多層構成)
本発明のシーラント用フィルムは多層構成が好ましい。多層の場合は、ポリオレフィン系樹脂とシリル化ポリオレフィンを含有し、表面層の算術平均粗さを0.03μm以上、0.3μm以下である層を少なくとも片側に有するのに加えて、熱可塑性樹脂組成物、好ましくはポリオレフィン系樹脂組成物からなる他の層を1層あるいは2層以上設けることができる。
多層とし表面層のみにシリル化ポリオレフィン樹脂を含むことで、使用するシリル化ポリオレフィン樹脂の使用量を減らすことができ、またその析出もより少なくすることができる。さらにフィルムの他の特性を向上させたり、新たな機能を付与することもできる。
このように多層化する具体的な方法として、一般的な多層化装置(多層フィードブロック、スタティックミキサー、多層マルチマニホールドなど)を用いることができる。
例えば、二台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂をフィードブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。また、一台の押出機のみを用いて、押出機からT型ダイまでのメルトラインに上述の多層化装置を導入することも可能である。
2層の場合は、少なくとも片側の層を、ポリオレフィン系樹脂とシリル化ポリオレフィン樹脂を含有し、表面層の算術平均粗さを0.03μm以上、0.3μm以下である層をシール層(A層)とし、熱可塑性樹脂組成物、好ましくはポリオレフィン系樹脂組成物からなる他の層をラミネート層(C層)とするのが良い。
3層構成の場合は、少なくとも片側の層を、ポリオレフィン系樹脂とシリル化ポリオレフィン樹脂を含有し、表面層の表面層の算術平均粗さを0.03μm以上、0.3μm以下である層をシール層(A層)とし、熱可塑性樹脂組成物、好ましくはポリオレフィン系樹脂組成物からなる他の層をそれぞれ中間層(B層)、ラミネート層(C層)とし、この順序で含む構成とするのが良い。最外層はそれぞれA層、C層である。
中間層(B層)、ラミネート層(C層)に使用するポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂が望ましい。
(ポリエチレン系樹脂)
中間層(B層)、ラミネート層(C層)において使用するポリエチレン系樹脂とは、エチレン単量体の単独重合体、エチレン単量体とα-オレフィンとの共重合体、エチレン単量体と他のモノマーとの共重合体及びこれらの混合物のいずれかである。
α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1、デセン-1、3-メチルブテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1等が挙げられる。
他のモノマーとしては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマー等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂は、結晶性、あるいは、低結晶性ないし非結晶性のランダムもしくはブロック共重合体、あるいはこれらの混合物のいずれか用いることができる。
エチレン単量体とα-オレフィンとの共重合体は一般に、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンと呼ばれる事もある。
これらのポリエチレン系樹脂を使用すると優れたヒートシール強度、ホットタック性、夾雑物シール性、耐衝撃性を有するが、エチレン単量体と他のモノマーとの共重合体は少量あるいは含まない方が良い。
このとき、中間層(B層)、ラミネート層(C層)に使用するポリエチレン系樹脂は同じでも良いし、異なっていてもよい。
この場合において、前記フィルムの各層のポリエチレン系樹脂の平均密度がシーラント層(A層)≦中間層(B層)≦ラミネート層(C層)であることが好ましい。配合されている有機滑剤は密度の高い層へは移動しにくいため、ラミネート後のシーラント層の滑り性を維持するために効果的である。
このとき、中間層(B層)の密度の下限は好ましくは880kg/mであり、より好ましくは890kg/mであり、さらに好ましくは900kg/mである。
上記未満であると腰が弱く、加工しにくいことがある。
中間層(B層)の密度の上限は好ましくは940kg/mであり、より好ましくは930kg/mであり、さらに好ましくは920kg/mである。
(ポリプロピレン系樹脂)
中間層(B層)、ラミネート層(C層)において使用するポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン単量体の単独重合体、プロピレン単量体とα-オレフィンとのランダム共重合体及び又はブロック共重合体、これらの混合物であり、α-オレフィンとしては、エチレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、3-メチルブテン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1、デセン-1等が挙げられる。
本発明のフィルムの中間層(B層)に上述の有機滑剤を使用してもよく、有機滑剤の下限は好ましくは200ppmであり、より好ましくは400ppmである。上記未満であると滑り性が悪化することがある。
中間層のエルカ酸アミド濃度の上限は好ましくは2000ppmであり、より好ましくは1500ppmである。上記を越えると滑りすぎて巻きズレの原因となることがある。
本発明のフィルムの中間層(B層)に回収樹脂を10~30質量%配合してもよい。
本発明においては、以上に例示したポリエチレン系のシーラント用フィルムのラミネート層(C層)面にコロナ処理等の活性線処理を行うのが好ましい。該対応によりラミネート強度が向上する。
(フィルム特性)
本発明のシーラント用フィルムの特性を詳細に説明する。
(シール層中における珪素原子Siと炭素原子Cの存在比(Si/C)(平均Si濃度))
本発明のシーラント用フィルムのシール層中における珪素原子Siと炭素原子Cの存在比(Si/C)が0.001以上であることが好ましい。0.001以上であると食用油、とんかつソース、醤油などの粘液性を示す内容物に対する撥液性が改善される。0.005以上であることがより好ましく、0.007以上がさらに好ましく、0.01以上が好ましい。
本発明のシーラント用フィルムのシール層中における珪素原子Siと炭素原子Cの存在比(Si/C)が0.02以下であることが好ましい。0.02以下であると剥離強度が低下しにくい。0.018以下であることがより好ましく、0.016以下であることがさらに好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(シール層の表面における珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)(表面S濃度))
本発明のシーラント用フィルムのシール層の表面における珪素原子Siと炭素原子Cの存在比(S/C)が0.05以上であることが好ましい。0.05以上であると食用油、とんかつソース、醤油などの粘液性を示す内容物に対する撥液性が改善され、特に食用油に対する撥液性が改善の効果が非常に大きい。0.07以上であることがより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、0.13以上が好ましく、0.15以上が特に好ましい。
本発明のシーラント用フィルムのシール層の表面における珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)が0.3以下であることが好ましい。0.3以下であるとヒートシール強度が低下しやすい。0.2以下であることがより好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(表面Si濃度と平均Si濃度の比)
本発明のシーラント用フィルムのシール層中に含まれる珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)に対する、前記シール層の表面における珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)の比が2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましく、6以上であることがよりさらに好ましく、8以上であることが特に好ましく、10以上であることが最も好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(算術平均粗さRa)
本発明のシーラント用フィルムの前記シール層の表面の算術平均粗さRaが0.05μm以上であることが好ましい。0.05μm以上であると前記層同士あるいは前記層とその層の反対側のフィルム面との動摩擦係数を小さくし、フィルムのシール層の表面同士又はシール層とその反対面の表面の動摩擦係数を低下させやすい。たフィルムのシール層の表面同士滑性のブロッキング強度も低下させやすい。その結果フィルムの取り扱い性がよくなる。シール層の表面の算術平均粗さは0.06以上であることがより好ましく、0.07以上であることがさらに好ましい。
本発明のシーラント用フィルムの前記シール層の表面の算術平均粗さRaが0.3μm以下であることが好ましい。0.3μm以下であると前記層同士あるいは前記層とその層の反対側のフィルム面との動摩擦係数を小さすぎず、フィルムが巻きずれしにくくなり、フィルムの取り扱い性がよくなる。0.25以下であることがより好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(最大突起高さRz)
本発明のシーラント用フィルムの前記シール層の表面の最大突起高さRzが1μm以上であることが好ましい。1μm以上であると前記層同士あるいは前記層とその層の反対側のフィルム面との接触面積を小さくし、ブロッキング防止効果が大きく向上し、フィルムの取り扱い性がよくなる。シール層の表面の最大突起高さRzは1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。
本発明のシーラント用フィルムの前記シール層の表面の最大突起高さRzが30μm以下であることが好ましい。30μm以下であると前記層同士あるいは前記層とその層の反対側のフィルム面との隙間の体積が大きすぎず、フィルムが巻きずれしにくくなり、フィルムの取り扱い性がよくなる。25μm以下であることがより好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(ヤング率/長手方向)
本発明のシーラント用フィルムのヤング率(長手方向)の下限は好ましくは100MPaであり、より好ましくは150MPaであり、さらに好ましくは200MPaであり、特に好ましくは250MPaである。100MPa以上であると腰が弱すぎず加工しやすい。
本発明のシーラント用フィルムのヤング率(長手方向)の上限は好ましくは600MPaであり、より好ましくは500MPaであり、さらに好ましくは400MPaである。
(ヤング率/幅方向)
本発明のシーラント用フィルムのヤング率(幅方向)の下限は好ましくは100MPaであり、より好ましくは150MPaであり、さらに好ましくは200MPaであり、特に好ましくは250MPaである。100MPa以上であると腰が弱すぎず加工しやすい。
本発明のシーラント用フィルムのヤング率(幅方向)の上限は好ましくは600MPaであり、より好ましくは500MPaであり、さらに好ましくは400MPaである。
(ヘイズ)
本発明のシーラント用フィルムのヘイズの上限は好ましくは15%であり、より好ましくは10%であり、さらに好ましくは6%である。15%以下であると内容物の視認がしやすい。
本発明のシーラント用フィルムのヘイズの下限は好ましくは0%であるが、2%であっても実用的には満足できる。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(撥液性)
本発明のシーラント用フィルムの撥液性の評価の指標である、食用油、とんかつソース、醤油などの粘液性を示す内容物の付着残存量はこれらのうち少なくとも2種について0.08mg/28cm以下であることが好ましく、3種について0.8mg/28cm以下であることがより好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(シリル化ポリオレフィン樹脂の存在状態)
本発明のシーラント用フィルムのシール層は、シリル化ポリオレフィン樹脂が表面に偏析していることが好ましい。しかし、シール層の表面にシリル化ポリオレフィン樹脂が分離した状態で堆積していないことが好ましい。
またこのとき、本発明のシーラント用フィルムのシール層中では、シリル化ポリオレフィン樹脂が微分散しており、ミクロ相分離構造を呈するのが好ましい。
シール層その表面におけるシリル化ポリオレフィン樹脂またはシリコーン樹脂の存在状態は、走査電子顕微鏡を用いて観察することができ、エネルギー分散型X線によりSi元素とC元素の定性分析も行うことができる。
また、シール層の断面は透過電子顕微鏡を用いて観察できる。
測定は実施例に記載の方法で行う。
(動摩擦係数)
本発明のシーラント用フィルムのシール層同士の動摩擦係数の上限は、好ましくは1.5であり、より好ましくは1.0であり、さらに好ましくは0.7であり、よりさらに好ましくは0.5であり、特に好ましくは0.4であり、最も好ましくは0.3である。シール層同士の動摩擦係数が1.5以下であると製袋後の口開き性が良く、加工時のロスが減少しやすい。
本発明のシーラント用フィルムのシール層同士の動摩擦係数の下限は、好ましくは0.05であり、より好ましくは0.08であり、より好ましくは0.1である。0.05以上であると製袋時のヒートシールが行いやすく、加工時のロスが減少しやすい。
本発明のシーラント用フィルムのシール層とフィルムの反対面の動摩擦係数の上限は好ましくは2.0であり、より好ましくは1.5であり、さらに好ましくは1.2であり、よりさらに好ましくは1.0であり、特に好ましくは0.7であり、最も好ましくは0.5である。シール層とフィルムの反対面の動摩擦係数が2.0以下であると巻取りの際にフィルムにしわが生じにくく、加工時のロスが減少しやすい。
本発明のシーラント用フィルムのシール層とフィルムの反対面の動摩擦係数の下限は、好ましくは0.05であり、より好ましくは0.08であり、より好ましくは0.1である。0.05以上であると巻取りの際にフィルムが滑りすぎず、巻きずれしにくい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(静止摩擦係数)
本発明のシーラント用フィルムのシール層同士の静摩擦係数の上限は、好ましくは1.5であり、より好ましくは1.0であり、さらに好ましくは0.7であり、よりさらに好ましくは0.5であり、特に好ましくは0.4であり、最も好ましくは0.3である。シール層同士の動摩擦係数が1.5以下であると製袋後の口開き性が良く、加工時のロスが減少しやすい。
本発明のシーラント用フィルムのシール層同士の静摩擦係数の下限は、好ましくは0.05であり、より好ましくは0.08であり、より好ましくは0.1である。0.05以上であると製袋時のヒートシールが行いやすく、加工時のロスが減少しやすい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(ブロッキング値)
本発明のシーラント用フィルムのシール層の表面同士滑性のブロッキング値の上限は、好ましくは100mN/70mmであり、より好ましくは90mN/70mmであり、さらに好ましくは80mN/70mmであり、特に好ましくは70mN/70mmであり、最も好ましくは60mN/20mmである。シール層の表面同士滑性のブロッキング強度が100mN/70mm以下であると、フィルムロールから加工のために巻き出しがスムーズに行える。
本発明のシーラント用フィルムのシール層の表面同士滑性のブロッキング強度の下限は、好ましくは0mN/70mmであるが、15mN/70mmであっても実用的には満足できる。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(150℃イージーピール強度)
本発明のシーラント用フィルムの150℃イージーピール強度は、25mN/15mm以下であることが好ましく、20mN/15mm以下であることが好ましく、15mN/10mm以下であることがさらに好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(190℃イージーピール強度)
本発明のシーラント用フィルムの190℃イージーピール強度は、30mN/15mm以下であることが好ましく、25mN/15mm以下であることが好ましく、20mN/15mm以下であることがさらに好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(200℃イージーピール強度)
本発明のシーラント用フィルムの200℃イージーピール強度は、35mN/15mm以下であることが好ましく、30mN/15mm以下であることが好ましく、25mN/20mm以下であることがさらに好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(150℃剥離強度)
本発明のシーラント用フィルムの150℃剥離強度は、0.5N/15mm以上であることが好ましく、0.7N/15mm以上であることが好ましく、0.9N/15mm以上であることがさらに好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(190℃剥離強度)
本発明のシーラント用フィルムの190℃剥離強度は、1N/15mm以上であることが好ましく、1,5N/15mm以上であることが好ましく、1.8N/15mm以上であることがさらに好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(200℃剥離強度)
本発明のシーラント用フィルムの200℃剥離強度は、1N/15mm以上であることが好ましく、1,5N/15mm以上であることが好ましく、1.8N/15mm以上であることがさらに好ましい。
測定方法は実施例に記載の方法で行う。
(積層体)
本発明のシーラント用フィルムにさらに少なくとも1種の他の基材フィルムを積層した積層体の構成で、一般に包装フィルムまたは包装シートとして使用される。
基材フィルムとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、スチレン系樹脂のフィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルのフィルム、ナイロン6やナイロン6,6のようなポリアミドのフィルム、またはこれらの延伸フィルム、ポリオレフィンフィルムとポリアミドフィルムやエチレン-ビニルアルコール共重合体フィルムのようなガスバリヤー性のある樹脂フィルムとの積層フィルム、アルミニウム等の金属箔、あるいはアルミニウムやシリカ等を蒸着させた蒸着フィルムや紙等が、積層体の使用目的に応じて適宜選択使用される。この基材フィルムは、1種類のみならず、2種類以上を組み合わせて積層して使用することもできる。
シーラント層に隣接する基材フィルムは、前記シリル化ポリオレフィンを含まないことが好ましい。また、シーラント層に隣接する基材フィルムは、ポリオレフィンフィルムであることが好ましい。
上記基材フィルムにシーラント用フィルムを積層する方法としては、基材フィルム(Y)とシーラント用フィルムとをドライラミネーションする方法、基材フィルム上にシーラント層樹脂のみを押出して積層する押出ラミネーション法、等を採用することができる。
これらの中で、生産性の点からドライラミネーションが好ましい。
本発明のシーラント用フィルムと他の基材フィルムとをより強固に接着するために、シーラント用フィルム/接着層/他の基材フィルムの構成にすることができる。接着層としては、ウレタン系やイソシアネート系接着剤のようなアンカーコート剤を用いたり、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのような変性ポリオレフィンを接着性樹脂として用いると、隣接層を強固に接合することができる。
積層体の厚みに特に制限はないが、積層体を蓋材等のフィルムとして使用する場合は、好ましくは10~200μm、カップやトレー用シートとして使用する場合は好ましくは200~1000μmである。
(包装体)
前記した積層体のシーラント用フィルム同士を向かい合わせ、あるいは積層体のシーラント用フィルム層と他の基材フィルムとを向かい合わせ、その後、外表面側から所望容器形状になるようにその周囲の少なくとも一部をヒートシールすることによって、容器を製造することができる。また周囲を全てヒートシールすることにより、密封された袋状容器を製造することができる。この袋状容器の成形加工を内容物の充填工程と組み合わせると、すなわち、袋状容器の底部および側部をヒートシールした後内容物を充填し、次いで上部をヒートシールすることで包装体を製造することができる。従って、この積層体は、スナック菓子等の固形物、粉体、あるいは液体材料の自動包装装置に利用することができる。
また、真空成形や圧空成形によりカップ状に成形した容器、射出成形やブロー成形で得られた容器、あるいは紙基材から形成された容器等に内容物を充填し、その後本発明の積層体を蓋材として被覆し、ヒートシールすることによっても、内容物を包装した容器が得られる。
以下、実施例および比較例によって、本発明における実施の形態を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定を受けるものではない。
なお、本発明の詳細な説明および実施例及び比較例中の各項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(原料の特性)
シーラント用フィルムの作成に使用するポリオレフィン系樹脂及びシリル化ポリオレフィンの密度、メルトフローレート(MFR)及び融点、並びに無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子の重量平均粒径、含有比率をそれぞれ下記の方法で測定した。
なお、これらの値は、シーラント用フィルムが単一層からなる場合は全層、多層からなる場合は該当する層の境界を電子顕微鏡で確認した後、該当する層のみを削り取り、目的の原料のみが不溶の溶媒に溶解させた溶液を濾過した後、溶媒を除去した残渣を同様に測定して得ても良い。多層フィルムから該当する層のみを削り取る場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどにーラント用フィルムをラミネートした後にカミソリ等で削りとることで、比較的容易に行なうことが出来る。
(密度:kg/cm
JIS-K7112に従って密度勾配管法により測定した。
(メルトフローレート(MFR):g/10分)
JIS-K7210に準拠し、ポリエチレン系樹脂は温度190℃、ポリプロピレン系樹脂は230℃で測定した。
(融点:℃)
SII製示差走査型熱量計(DSC)を用い、サンプル量10mg、昇温速度10℃/分で測定した。ここで検知された融解吸熱ピーク温度を融点とした。
(無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子のフィルム中の含有量:重量%)
無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子のフィルム中の含有量は、加工前の原料樹脂組成物中の添加量から計算した。
なお、フィルム成形したあとでも、デカンを溶媒として、完全に溶解する温度でフィルムを溶解させ、フィルターの濾過精度2μmのフィルターで残留物を濾過するなどの方法でシリカ粒子を分離し、測定することも可能である。
(無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子の重量平均粒径:μm)
無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子は、例えば、日機装(株)レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置「MT3200II」を用いて測定した粒度径分布曲線において、粒度の小さい方から累積50質量%となる粒子径として算出できる。
得られたシーラント用フィルムのシール層を構成する樹脂組成物からの化合物の析出しやすさを下記の方法で測定した。
(シール層を構成する樹脂組成物からの化合物の析出しやすさ)
比較例1のシール層に使用する樹脂組成物を、押出機のダイに幅方向に多数設けられた直径4mmのノズルから230℃で溶融樹脂を吐出させ、吐出開始してから1時間経過後のノズル周辺への化合物の堆積具合(汚れ具合)を目視で観察し、それを基準(〇)として下記○、×に分類した。
〇:ノズル周辺への化合物の堆積が確認出来ない。
×:ノズル周辺への化合物の堆積が明らかに確認できる。
(シーラント用フィルムの特性)
得られたシーラント用フィルムの特性をそれぞれ下記の方法で測定した。
(シール層の表面における珪素原子Siと炭素原子Cの存在比)
シーラント用フィルムのシール層表面を測定前にフィルム表面をエタノールで清拭した。シール層表面をX線電子分光(ESCA)測定器(Thermo Fisher Scientific社製K-Alpha)を用い、励起X線:モノクロ化ALKα線、X線出力:12kV,6mA、光電子脱出角度:90°、スポットサイズ:400μmφ、パスエネルギー:50eV(ナロースキャン)、ステップ:0.1eV(ナロースキャン)で励起し、これより検出された元素の表面組成比を計算した。
尚、得られた元素の表面組成比はフィルム表面から数nm~10nm程度の深さ領域についてのものである。
(シール層中に含まれる珪素原子Siと炭素原子Cの存在比(S/C)(平均Si濃度))
1)予め断面観察で層構成を大まかに把握したうえで、フェザー刃でシール層を構成する樹脂組成のみを削り取る。削り取ったものをo-ジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=80/20体積比の混合溶媒に135℃で完全に溶解した。試料濃度は25~30mg/0.7mL程度とした。一次元S-NMR測定に際しては、測定液に対し、1wt%程度のアセチルアセトンクロム(III)を添加した。
この試料で下記測定を行い、シール層を構成する樹脂組成物中に含まれるシリル化ポリオレフィン樹脂の化学式と分子量、及びその含有率を同定した。
2)まず最初に、1次元NMRのH-NMRスペクトル、13C-NMRスペクトル、13C-DEPTスペクトル、及び29-NMRスペクトルを使用して、Aldrich標準スペクトルや標準試料等を参照しながら、H、C、及びSi元素がどのように 結合しているかを調べ、化合物のおおまかな構造を同定した。
測定条件を下記に示す。
装置::フーリエ変換核磁気共鳴装置(ブルカージャパン株式会社 AVANCE NEO 600型)
共鳴周波数::H-NMR:600.13MHz、13C-NMR:150.92MHz、29-NMR:119.22MHz
測定温度::H-NMR:110又は115℃、13C-NMR:110又は115℃、13C-DEPT:110又は115℃、29Si-NMR:110℃
パルス繰り返し時間::H-NMR:3.75秒、13C-NMR:2.8~2.9秒、13C-DEPT:3.5秒、29-NMR:7.0秒
検出パルス角度::H-NMR:30°、13C-NMR:30°、29-NMR:90°
Hデカップルの方法::13C-NMR:フルデカップル、29-NMR:インバースゲートデカップル(FID取り込み時間0.7秒)
積算回数::1H-NMR:16回、13C-NMR:約300~1200回、13C-DEPT:約100~1100回、29-NMR:約4000回
3)さらに、2次元NMRであるCOSY、TOCSY、13C-HSQC、HMBC、29-HMBCを使用して、隣り合うH間の相関ピーク、さらに隣、さらにその隣と、連なっているH間の相関ピーク、直接結合したH,13Cの相関ピーク、2結合または3結合を隔てた異核種(H,13C)の相関ピーク、2結合または3結合を隔てた異核種(H,29Si)の相関ピークを調べ、1次元NMRでわかった構造のつながり方をより詳しく同定した。
4)シーラント用フィルムのシール層を構成する樹脂組成物中の炭素一原子あたりのケイ素原子存在比(S/C)(平均Si濃度))は、樹脂組成物に含まれるシリル化ポリオレフィン樹脂の分子式と分子量、およびシール層を構成する樹脂組成物中の含有比率から出することができる。
下記に具体例として、シール層を構成する樹脂組成物が、主鎖末端にビニル基を含有するエチレン由来の構成単位のみからなる重合体、およびジメチルシロキサンを原料化合物とするシリル化ポリオレフィン樹脂、及びポリエチレン樹脂の混合物である場合の算出方法を挙げる。
シリル化ポリオレフィン樹脂の分子式から、シリル化ポリオレフィン中のジメチルシロキサン濃度を計算し、仮にこの樹脂濃度を26重量%とすると、ポリプロピレン樹脂90重量部にこのシリル化ポリオレフィン10重量部を加えた組成物の平均ポリジメチルシロキサン濃度は2.6重量%となる。
ジメチルシロキサンの1単位あたりの分子式はCO(単位分子量74.15)、シリル化ポリオレフィン樹脂のポリオレフィン1単位あたりの分子式はC(単位分子量28.05)、ポリプロピレン樹脂のプロピレン1単位あたりの分子式はC(単位分子量42.08)である。
樹脂組成物1kgあたりのジメチルシロキサンは(1000×2.6/100)/74.15=0.35mol、シリル化ポリオレフィン樹脂のポリオレフィンは(1000×(10-2.6)/100)/28.05=2.6mol、ポリプロピレン樹脂は(1000×90/100)/42.08=21.4molとなる。
よって、樹脂組成物1kgあたり、S(ケイ素)は0.35mol、C(炭素)は0.35×2+2.6×2+21.4×2=48.7molとなり、樹脂組成物中の炭素一原子あたりのケイ素原子存在比(S/C)は0.35/48.7=0.007と算出される。
(算術平均粗さRa:μm)
3cm×3cm四方のシーラント用フィルムのシール層表面の任意の1mm×0.2mmの部分の算術平均粗さRaをJIS B0601-2001に準拠して、接触式表面粗さ(小坂研究所製・型式ET4000A)を用い求めた。3か所で測定しその平均値を算術平均粗さRaとした。
(最大突起高さRz:μm)
3cm×3cm四方のシーラント用フィルムのシール層表面の任意の1mm×0.2mmの部分の最大山高さRzをJIS B0601-2001に準拠して、接触式表面粗さ(小坂研究所製・型式ET4000A)を用い求めた。3か所で測定しその平均値を最大突起高さRzとした。
(ヤング率、張破断強度、引張破断伸度)
得られたシーラント用フィルムをJISK7127に準拠してフィルムの長手方向および幅方向のヤング率を23℃にて測定した。
サンプルは15mm×200mmのサイズにフィルムより切り出し、チャック幅は100mmで、引張試験機(インストロンジャパンカンパニイリミテッド社製デュアルコラム卓上型試験機インストロン5965)にセットした。引張速度200mm/分にて引張試験を行った。
得られた歪み-応力カーブより、伸長初期の直線部分の傾きからヤング率を求めた。
引張破断強度、引張破断伸度は、それぞれ、サンプルが破断した時点での強度と伸度とした。
(ヘイズ)
得られたシーラント用フィルムのみを(株)東洋精機製作所社製の直読ヘイズメーターを使用し、JIS-K-7105に準拠し測定した。
ヘイズ(%)=〔Td(拡散透過率%)/Tt(全光線透過率%)〕x 100
(撥液性)
得られたシーラント用フィルムの撥液性の評価は、下記の様にして行った。
(1)シーラント用フィルムを長手方向に10cm、幅方向に5cmの大きさに切り出し、その長手方向の一辺の端部及びそれに隣接する幅方向の一辺の端部のラミネート層表面に両面テープ(ニチバン株式会社、NW-5、5mm巾)を貼り、幅方向の中央部でシール面が表となる様に折り、両面テープともう一方のラミネート層表面を貼り合せ、10cm×2.5cmの筒状短冊を作成した。
(2)(1)で作成した筒状短冊の重量を秤量した。
(3-1)100mlのデスカップの中に、下記の評価液がそれぞれ7割程度の容積となるように入れた。評価液に秤量した筒状短冊をその底部から5.6cmの位置まで浸かるように1秒間浸した。浸漬時に筒状短冊の開口部から金尺定規などを支持体として挿入すると取り扱いが良く、誤って袋の口を評価液に浸すことも避けられる。
評価液:食用油(商品名;日清サラダ油、日清オイリオグループ(株)社製)、とんかつソース(品名;濃厚ソース、カゴメ(株)社製)、醤油(名称;こいくちしょうゆ(本醸造)、キッコーマン食品(株)社製)。
(3-2)筒状短冊に評価液が付着したまま、筒状短冊の長手方向が垂直の状態で10秒吊るし、続けて幅方向が水平のまま長手方向を水平に対して45°となるように傾けた状態で50秒吊るした。
(4)(3-2)の直後の評価液が付着した筒状短冊の重量を秤量し、(2)の重量との差から付着残液量を求めた。筒状短冊をその底部から5.6cmの位置までの表面積は28cmである。
評価液3種のうち2種以上が0.08/8cmを超える場合を劣×、2種が0.08/8cm以下の場合を良〇、3種が0.08/8cm以下の場合を優◎、とした。
(シリル化ポリオレフィンの分散状態観察)
得られたシーラント用フィルムのシール層の表面を走査電子顕微鏡を用いて観察するとともにエネルギー分散型X線を照射し、表面の元素定性分析を行い、マッピング化した。また、その断面は透過電子顕微鏡を用いて観察した。観察方法は下記に詳述した。
(エネルギー分散型X線(EDX)元素定性分析)
得られたシーラント用フィルムの試料(大きさ1cm×1cm)を切り出し、カーボンテープを貼った試料台載せ、マグネトロンスパッタ装置で、白金-パラジウムを約2nmコーティングして、導電性を確保し、高真空モードで観察した。
測定は、日立製走査型電子顕微鏡S-3400NとBruker製エネルギー分散型X線検出器XFlash5010で、加速電圧8kVでX線を照射し、分析を行った。
シーラント用フィルムの試料の観察視野全面のX線スペクトルから、元素の定性分析を実施し、認められた元素のうち、炭素Cは赤色に、珪素Siは緑色にマッピングした。
(透過電子顕微鏡(TEM)観察)
得られたシーラント用フィルム(大きさ1cm×1cm)の両面にオスミウム蒸着を施し、エポキシ樹脂からの剥離防止処理をした後にエポキシ樹脂に包埋した。
包埋した試料を-130℃に設定したクライオミクロトームを用いて、凍結状態でフィルム面と垂直に切断された超薄切片を得た。
その断面を四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した後、カーボン蒸着を施して、日本電子製JEM2100透過電子顕微鏡を加速電圧200kVで使用し、その断面の観察と写真撮影を行った。
(動摩擦係数)
シーラント用フィルムのポリエチレン系樹脂の各フィルム面同士について、下記条件以外はJIS-K-7125に準拠し動摩擦係数を測定した。
環境条件:23℃50%RH環境下で、2時間以上調湿後に測定した。
測定装置:トーヨーボールドウィン製 TENSILON STM-T-50BP
測定条件:
固定試験片の大きさ:297mm(長手方向)×105mm(幅方向)
移動試験片の大きさ:70mm(長手方向)×50mm(幅方向)
荷重錘の質量:0.5kg
クロスヘッドスピード:20mm/min
移動距離:100mm以上
計算方法:ストロークが10mmから50mmの間の試験力平均と荷重錘の質量を用い、以下の式から算出した。
摩擦係数=ストローク10mm~40mmの平均試験力/荷重錘の質量
(静止摩擦係数)
シーラント用フィルムのポリエチレン系樹脂の各フィルム面同士について、下記条件以外はJIS-P-8147に準拠し、静摩擦係数を測定した。
環境条件:23℃50%RH環境下で、2時間以上調湿後に測定した。
測定装置:株式会社東洋精機製作所製 摩擦測定機AN
測定条件:
試験片の大きさ:200mm(長手方向)×100mm(幅方向)
荷重錘の大きさ:100mm(長手方向)×60mm(幅方向)
荷重錘の質量:1.0kg
傾斜速度:1.5°/sec
測定方法:一方の試験片を傾斜板に固定し、他方の試験片を貼った荷重錘を静かに乗せた後、傾斜板を一定速度で傾斜させ、錘を貼った試験片が滑り出し始めたときの角度の正接(tanθ)を計算し、静摩擦係数とした。試験は3回行い、その平均値を求めた。
(ブロッキング値)
シーラント用フィルムのシーラント層表面同士を以下の条件で行った以外は、ASTM D1893-67に準拠し、ブロッキング値を測定した。
測定面同士を重ね合わせたサンプル(幅方向10cm、長手方向15cm)を、ヒートプレス(テスター産業社製、形式:SA-303)において、サンプル幅(10cm)の中央で長さ方向(15cm)の内側1cmの位置に大きさ7cm×7cmのアルミ板(2mm厚)の端を合わせるように乗せ、温度50℃、圧力440kgf/cm、15分間加圧処理を行った。
この加圧処理でブロッキングしたサンプルとバー(径6mm 材質:アルミ)をオートグラフ(島津製作所製 形式:UA-3122)へ装着し、バーが速度(100m/分)でブロッキング部を剥離する時の力を測定した。
この場合、バーと剥離面は水平であることが前提である。同一サンプルにつき4回の測定をして平均値で表示した。
(イージーピール性)
イージーピール性は、190℃でシールしたイージーピール強度とし、その強度が20mN/15mm以下を優◎、30mN/15mm以下を良〇とし、30mN/15mmを超えるものは劣×とした。
(イージーピール強度:mN/15mm)
ナイロンフィルム(東洋紡製二軸延伸ナイロンフィルム:N1100、15μm)のコロナ面に、東洋モートン製ドライラミネート用接着剤(TM569、CAT-10L)を固形分が3g/mになるように塗布し、80℃のオーブンで溶剤を揮発除去した後、シーラント用フィルムのコロナ面と、前記ナイロンフィルムの接着剤の塗布面とを60℃の温調ロール上でニップしラミネートした。ラミネートした積層フィルムは40℃で2日間エージングし、積層フィルムを採取した。
採取した積層フィルムのシーラント面と未延伸CPPシート(WF577PG×100%)300μmを重ねて、シール幅15mm、シール圧力0.2MPa、シール時間1.0秒、シール温度は150、190℃、200℃で、ヒートシールを行った。
ヒートシールして得た積層体を長手方向と平行に幅が15mmになる様にして試験片を得た。
それら試験片をオートグラフ(島津製作所製 形式:UA-3122)にセットして200mm/分の速度でシール面を剥離し、その最大値を測定した。各シール温度で3つの試験片を測定し、その平均値を各シール温度でのイージーピール強度とした。
(剥離強度:mN/15mm)
ナイロンフィルム(東洋紡製二軸延伸ナイロンフィルム:N1100、15μm)のコロナ面に、東洋モートン製ドライラミネート用接着剤(TM569、CAT-10L)を固形分が3g/mになるように塗布し、80℃のオーブンで溶剤を揮発除去した後、シーラント用フィルムのコロナ面と、前記ナイロンフィルムの接着剤の塗布面とを60℃の温調ロール上でニップしラミネートした。ラミネートした積層フィルムは40℃で2日間エージングし、積層フィルムを採取した。
採取した積層フィルムを長手方向が一致するように、シーラント用フィルム同士が向き合うように、シール幅15mm、シール圧力は0.2、0.4、0.6MPa、シール時間1.0秒、シール温度は150、190℃、200℃で、ヒートシールを行った。
ヒートシールして得た積層体を長手方向と平行に幅が15mmになる様にして試験片を得た。
それら試験片をオートグラフ(島津製作所製 形式:UA-3122)にセットして200mm/分の速度でシール面を剥離し、その最大値を測定した。各シール温度で3つの試験片を測定し、その平均値を各シール温度での剥離強度とした。
実施例及び比較例では下記の原料を使用した。
(ポリプロピレンレン系樹脂)
(1)WF577PG(エチレン共重合ポリプロピレン、住友化学(株)社製、MFR3.2g/10min、融点142℃)
(2)EP3721(プロピレン-エチレンブロック共重合体、住友化学(株)社製、MFR2.5g/10min、融点143℃)
(ポリエチレン系樹脂)
(1)F222(低密度ポリエチレン、宇部丸善ポリエチレン(株)社製、密度922kg/m、MFR2.0g/10min、融点110℃)
(2)FV407(メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン、住友化学(株)社製、密度930kg/m、MFR3.2g/10min、融点124℃)
(3)A-4070S(エチレン・αオレフィンコポリマー、三井化学(株)社製、密度870kg/m、MFR3.6g/10min、融点55℃)
(4)A-1085S(エチレン・αオレフィンコポリマー、三井化学(株)社製、密度885kg/m、MFR1.2g/10min、融点66℃)
(5)RS1405(エチレン・αオレフィンコポリマーの混合物、三井化学(株)社製)
(6)P0480(エチレン・αオレフィンコポリマー、三井化学(株)社製、MFR1.8g/10min)
(シリル化ポリオレフィン樹脂)
(1)イクスフォーラPP2000(三井化学ファイン(株)社製、シリル化ポリプレフィン(オレフィン・シリコーン共重合体)を30重量%含有、ポリプロピレンを70重量%含有、密度917kg/m、MFR20g/10min、融点125℃と160℃)
(2)イクスフォーラPE3027(三井化学ファイン(株)社製、シリル化ポリプレフィン(オレフィン・シリコーン共重合体)を30重量%含有、低密度ポリエチレンを70重量%含有、密度932kg/m、MFR30g/10min、融点114℃と122℃)
(3)イクスフォーラLL1513(三井化学ファイン(株)社製、シリル化ポリプレフィン(オレフィン・シリコーン共重合体)を30重量%含有、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンを70重量%含有、密度921kg/m、MFR15g/10min、融点102℃と121℃)
(無機酸化物からなる粒子)
(1)/(2)/(3)=90/6/4(重量%)の混合ペレット(MB)
(1)WF577PG(エチレン共重合ポリプロピレン)
(2)KMP-130-10(球状シリカ粒子、信越シリコーン社製、重量平均粒径10μm)
(3)KMP-130-4(球状シリカ粒子、信越シリコーン社製、重量平均粒径10μm)
(有機系潤滑剤)
(1)MS07(エルカ酸アミドを5重量%含有、住友化学(株)製)
(実施例1~16)
表1に示す含有比率(重量%)となるように、二軸押出機中で、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、シリル化ポリオレフィン、球状シリカ、エチレンビスオレイン酸アミド、エルカ酸アミドを混合溶融させて、シール層とした。
また、表1に示す含有比率(重量%)となるように、二軸押出機中で、ポリプロピレン樹脂、エルカ酸アミドを混合溶融させて、中間層とした。
さらに、表1に示すように、二軸押出機中でポリプロピレン樹脂を溶融させて、ラミネート層とした。
多層フィルム成形装置を用い、溶融したシーラント層の樹脂組成物、中間層の樹脂組成物とラミネート層の樹脂組成物を積層し、Tダイで単一の多層溶融シートを共押し出しし、冷却ロールに接地させて冷却固化し、未延伸シートを得た。
得られたシートのラミネート層表面にコロナ放電処理を施した後、速度20m/分でロール状に巻取り、厚み60μm、ラミネート層表面の濡れ張力が45N/mのシーラント用フィルムを得た。詳細な条件は下記のとおりである。
シーラント層の押出機の直径:60mm
中間層の押出機の直径:90mm
ラミネート層の押出機の直径:45mm
シーラント層、中間層、ラミネート層の原料の混合溶融温度:250℃
Tダイの幅:1600mm
多層溶融シートの引取速度:20m/min
冷却ロール温度:40℃
シーラント用フィルムにおけるシーラント層の厚み:6μmの厚み
シーラント用フィルムにおける中間層の厚み:42μm
シーラント用フィルムにおけるラミネート層の厚み:12μm
なお、長手方向とは未延伸シートを走行させる方向を、幅方向とはそれと直角方向を意味する。得られたフィルムの特性を表2に示す。
実施例1~16で得られたシーラント用フィルムは、撥液性とヒートシール性に優れた。また、摩擦係数とブロッキング値は小さく、非常に安定した滑り性と耐ブロッキング性を有した。また、ヘイズが小さく、外観にも優れるものであった。
しかも、シール層に使用された樹脂組成物は化合物の析出が少なく、製膜加工性にも優れるものであった。この理由として、シール層に使用されたシリル化ポリオレフィンは、ジメチルシロキサン成分を有するので表面エネルギーは小さいので、シール層の表面に偏析している。
図1は比較例2、実施例1~3、13、16に記載のフィルムの平均Si濃度と表面Si濃度の値を示すものであるが、比較例2と実施例1~3、13、16に記載のフィルムのSi濃度は、その計算値に対して表面測定値が最大で約47倍高く、シリル化ポリオレフィンが表面に偏析していることがわかる。
図3は、実施例1と比較例2のシール層表面の珪素マッピングの分析像を示している。実施例1は全面に珪素(緑色)が存在するが、比較例2には見られない。粒子であるシリカは、珪素を主成分とするため強調されている。
図4は、実施例1と比較例4のシール層断面のTEM観察像を示している。実施例2のシリル化ポリオレフィンは、ジメチルシロキサンとポリエチレンの共重合体であるため、ポリエチレンに対してジメチルシロキサンが分離しにくいため、ミクロ相分離構造を呈するものの、微分散するに留まっていることが分かる。一方、比較例4はシリコーン樹脂を含み、その相分離や析出が考えられる。
図5は、実施例1と比較例4のシール層原料を、二軸押出機で溶融混練したダイノズル周辺の写真である。実施例1は化合物の堆積が認められず、シール層中のシリル化ポリオレフィンはその表面に析出することはないと考えられる。一方、比較例4はシリコーン樹脂の析出が認められ、フィルムの異物や作業環境の悪化が懸念される。
(比較例1~4)
表1に示す化合物をシール層、ラミネート層、中間層の樹脂組成物の原料として使用する以外は、実施例1と同じようにしてシーラント用フィルムを得た。
比較例1で得られたシーラント用フィルムは、撥液性に優れるが、摩擦係数とブロッキング値は小さく、滑り性と耐ブロッキング性に劣るものであった。
比較例2で得られたシーラント用フィルムは、撥液性、滑り性と耐ブロッキング性に劣るものであった。
比較例3で得られたシーラント用フィルムは、撥液性、滑り性と耐ブロッキング性に劣るものであった。
比較例4で得られたシーラント用フィルムは、撥液性に優れるものの、シール層から化合物が析出し易く、シーラント用フィルムとして劣るものであった。
本発明のシーラント用フィルムはペースト状、粘凋物など粘液性を示す内容物であっても取り出し易い包装袋を提供し、良好なヒートシール性並びに、優れた滑り性及び耐ブロッキング性を有するシーラント用フィルム及びその積層体を提供することができ、産業界への貢献は大きなものである。

Claims (6)

  1. 下記(a)、(b)、(c)、(d)を含む樹脂組成物からなるシール層を含むフィルムであって、下記(1)、(2)、(3)を満足するシーラント用フィルム。
    (a)ポリプロピレン系樹脂
    (b)ポリエチレン系樹脂
    (c)シリル化ポリオレフィン樹脂
    (d)脂肪酸アミド
    (1)(a)、(b)、(c)の含有量がそれぞれ、樹脂組成物全体に対して、30~90重量%、0~40重量%、3~30重量%である。
    (2)シール層の表面の算術平均粗さRaが0.03μm以上、0.3μm以下である。
    (3)シリル化ポリオレフィンは下記式で示される。
    CH-(CHn-2-CH-S(CHO-(-S(CH-O-)-S(CH-CH-(CHn-2-CH
    (式中、dは1以上の整数である。)
  2. 前記樹脂組成物が無機酸化物又は合成樹脂からなる粒子を含有する、請求項1に記載のシーラント用フィルム。
  3. 下記(4)、(5)を満足する、請求項1又は2に記載のシーラント用フィルム。
    (4)シール層中に含まれる珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)が0.001以上、0.02以下である。
    (5)シール層の表面における珪素原子Siと炭素原子Cの存在比(S/C)が0.05以上0.2以下である。
  4. 下記(6)を満足する、請求項1~3のいずれかに記載のシーラント用フィルム。
    (6)前記シール層中に含まれる珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)に対する、シール層の表面における珪素原子Sと炭素原子Cの存在比(S/C)の比が2以上である。
  5. 前記シール層の表面のブロッキング値が200mN/70mm以下である、請求項1~4のいずれかに記載のシーラント用フィルム。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のシーラント用フィルムと基材フィルムからなる積層体。
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