JP2019135724A - 電気光学装置及び電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】白色表示すべく異なる色の発光が得られる発光画素を駆動したときの電流比を簡素な構成で一様にすることが可能な電気光学装置及び該電気光学装置を備えた電子機器を提供すること。【解決手段】電気光学装置としての有機EL装置100は、反射層14と、半透過反射層としての対向電極36と、反射層14と対向電極36との間に設けられた、光路長調整層28及び機能層35をそれぞれに有する第1画素としての発光画素20G,20R及び第2画素としての発光画素20Bを備え、発光画素20Gの光路長調整層28は輝度調整層としての第4絶縁層27bを含み、発光画素20Bの光路長調整層28は第3絶縁層27aを含まない。【選択図】図5

Description

本発明は、光共振構造を備えた自発光型の電気光学装置及び電子機器に関する。
電気光学装置として画素ごとに発光素子である有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が設けられた有機EL装置が挙げられる。このような有機EL装置では、画素に光共振構造を導入して、共振波長の光を取り出すことにより、カラー表示を実現する提案がなされている。
例えば、特許文献1には、画素に、反射層と、光反射性及び光透過性の対向電極と、反射層と対向電極との間に、絶縁層と、画素電極と、発光層を含む機能層とを含む電気光学装置が開示されている。特許文献1の電気光学装置において、絶縁層は、反射層側から順に積層された第1絶縁層、第2絶縁層、第3絶縁層を含み、反射層と画素電極との間の絶縁層の層構成を画素ごとに変える光共振構造が提案されている。つまり、画素ごとに絶縁層の層構成を変えることによって光共振構造における光路長を調整し、所望の共振波長の光を取り出している。
特開2014−235959号公報
上記特許文献1に記載の電気光学装置では、各画素に設けられる機能層から白色発光が得られる例が示されている。また、各画素にカラーフィルターが配置された例が示されている。すなわち、有機EL素子の機能層から発した白色光のうち共振波長の光を光共振構造によって強め、さらにカラーフィルターを通して取り出している。
例えば、青(B)、緑(G)、赤(R)の異なる発光色が得られる各画素において、発光強度を厳密に制御することは難しく、各画素からそれぞれ同じ発光強度の光を取り出すために、有機EL素子に流す電流の大きさをB,G,Rの画素ごとに異ならせることがある。そうすると、B,G,Rの画素間における電流比が異なることになる。したがって、電気光学装置を長期に亘って駆動すると、電流が最も流れる画素における有機EL素子の発光輝度が他の画素に比べて低下するおそれがある。ゆえに、B,G,Rの画素を発光させて例えば白色表示させたときに、いずれかの画素の発光輝度の低下による色度ずれが発生するという課題があった。
また、このような画素間における電流比を一様とするため、例えば画素ごとにトランジスターの特性を変えたり、回路構成を変えたりする方法が考えられるが、回路構成が複雑になってしまうという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る電気光学装置は、反射層と、半透過反射層と、前記反射層と前記半透過反射層との間に設けられた、光路長調整層及び発光機能層をそれぞれに有する赤色画素、緑色画素及び青色画素を備え、前記赤色画素、前記緑色画素及び前記青色画素は、前記反射層上に設けられたシリコン酸化膜からなる増反射層を有し、前記赤色画素及び前記緑色画素のそれぞれの前記光路長調整層は、光を反射する界面を前記光路調整層内に形成する輝度調整層を含み、前記青色画素の前記光路長調整層は前記輝度調整層を含まず、前記赤色画素、前記緑色画素及び前記青色画素により白色発光させたときの前記青色画素における消費電流は、前記赤色画素、前記緑色画素及び前記青色画素における消費電流の合計に対して、35.2%以上52.0%以下であることを特徴とする。
本適用例によれば、第1画素(赤色画素及び緑色画素)と第2画素(青色画素)とにおいて同じ発光輝度を得ようとする場合、第1画素は輝度調整層を有していることから、第2画素に比べて電流をたくさん流す必要が生ずる。言い換えれば、第1画素と第2画素とにおいて、例えば、発光機能層を同じ発光輝度で発光させるために流す電流の大きさが異なっていたとしても、第2画素を基準として第1画素に流れる電流を増し、実質的に同じ輝度の発光を第1画素及び第2画素から取り出すことができる。つまり、第1画素と第2画素とに流す電流の大きさの差を小さくする、あるいは電流の大きさを同じにすることができる。すなわち、画素回路における回路構成を複雑にせず、簡素な構成で画素間の電流比を一様とすることが可能な電気光学装置を提供することができる。
上記適用例に記載の電気光学装置において、前記光路長調整層は、透光性の画素電極を含み、前記輝度調整層は、前記反射層と前記画素電極との間に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、画素電極と半透過反射層との間に設けられた発光機能層における発光特性に影響を及ぼすことなく、第1画素と第2画素とに流す電流の大きさの差を小さくする、あるいは電流の大きさを同じにすることができる。
上記適用例に記載の電気光学装置において、前記輝度調整層は、隣接する層の屈折率よりも屈折率が小さい層を有することが好ましい。
この構成によれば、隣接する層との間の屈折率の違いによって、輝度調整層を透過する光の量を調整することができる。
上記適用例に記載の電気光学装置において、前記輝度調整層は、隣接する層の屈折率よりも屈折率が小さい層と、金属層とを含むとしてもよい。
この構成によれば、金属層の界面における光反射を利用して輝度を調整することができる。
上記適用例に記載の電気光学装置において、前記金属層は、Ti、Mo、Ta、Al、Cu、Crの中から選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金からなることを特徴とする。
この構成によれば、これらの金属あるいは合金を用いて金属薄膜とすれば、輝度調整機能を発揮する光透過性と光反射性とを有する金属層を構成することができる。
上記適用例に記載の電気光学装置において、前記隣接する層は、シリコン窒化膜からなり、前記屈折率が小さい層は、シリコン酸化膜からなることを特徴とする。
この構成によれば、輝度調整層がシリコン酸化膜からなる層を含むことから、輝度調整層を設けることによる急激な輝度の低下を防いで、細かな輝度調整が可能となる。
上記適用例に記載の電気光学装置において、前記第1画素及び前記第2画素は、前記反射層上に設けられた増反射層を有する。
この構成によれば、第1画素及び第2画素において、より明るい発光輝度を実現できる。
[適用例]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする。
本適用例によれば、画素回路における回路構成を複雑にせず、簡素な構成で画素間の電流比を一様とすることが可能な電気光学装置を備えているので、見栄えのよい発光状態が実現されると共にコストパフォーマンスに優れた電子機器を提供することができる。
第1実施形態の有機EL装置の構成を示す概略平面図。 第1実施形態の有機EL装置の発光画素の電気的な構成を示す等価回路図。 第1実施形態の有機EL装置の発光画素の構成を示す概略平面図。 発光画素をX方向に沿って切ったときの構造を示す概略断面図。 発光画素における光共振構造を示す模式断面図。 第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示すフローチャート。 第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 第1実施形態の有機EL装置の製造方法を示す概略断面図。 第2実施形態の有機EL装置における光共振構造を示す模式断面図。 赤色光が得られる発光画素における反射層から金属層までの光学的な距離と輝度との関係を示すグラフ。 緑色光が得られる発光画素における反射層から金属層までの光学的な距離と輝度との関係を示すグラフ。 比較例1の有機EL装置の光共振構造を示す模式断面図。 比較例1及び実施例1並びに実施例2の評価結果を示す表。 比較例1及び実施例1並びに実施例2の発光画素における電流比を示すグラフ。 電子機器としてのヘッドマウントディスプレイを示す模式図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
(第1実施形態)
<電気光学装置>
まず、本実施形態の電気光学装置として有機EL装置を例に挙げて、図1〜図5を参照して説明する。図1は有機EL装置の構成を示す概略平面図、図2は有機EL装置の発光画素の電気的な構成を示す等価回路図、図3は有機EL装置の発光画素の構成を示す概略平面図である。
図1に示すように、電気光学装置としての有機EL装置100は、素子基板10と、素子基板10の表示領域Eにマトリックス状に配置された複数の発光画素20と、複数の発光画素20を駆動制御する周辺回路であるデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路102と、外部回路との電気的な接続を図るための複数の外部接続用端子103とを備えている。本実施形態の有機EL装置100は、アクティブ駆動型、且つトップエミッション型の発光装置である。
表示領域Eには、青色(B)の発光が得られる発光画素20Bと、緑色(G)の発光が得られる発光画素20Gと、赤色(R)の発光が得られる発光画素20Rとが配置されている。また、同色の発光が得られる発光画素20が図面上において縦方向に配列し、異なる色の発光が得られる発光画素20が、図面上において横方向にB,G,Rの順に繰り返して配置されている。このような発光画素20の配置は、ストライプ方式と呼ばれるものであるが、これに限定されるものではない。例えば、異なる色の発光が得られる発光画素20の横方向における配置は、B,G,Rの順でなくてもよく、例えば、R,G,Bの順としてもよい。
以降、同色の発光が得られる発光画素20が配列した縦方向をY方向とし、Y方向に直交する方向をX方向として説明する。また、発光画素20の光の取り出し方向から素子基板10を見ることを平面視として説明する。
発光画素20の詳しい構成については後述するが、本実施形態における発光画素20B,20G,20Rのそれぞれは、発光素子として有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と呼ぶ)と、B,G,Rの各色に対応するカラーフィルターとを備え、有機EL素子からの発光をB,G,Rの各色に変換してフルカラー表示を可能とするものである。また、有機EL素子からの発光波長範囲のうち特定の波長の輝度を向上させる光共振構造が発光画素20B,20G,20Rごとに構築されている。
有機EL装置100において、発光画素20B,20G,20Rは、サブ画素として機能するものであり、B,G,Rに対応する発光が得られる3つの発光画素20B,20G,20Rにより、画像表示における1つの画素単位が構成されている。なお、画素単位の構成はこれに限定されず、B,G,R以外の発光色(白色を含む)が得られる発光画素20が画素単位に含まれていてもよい。
素子基板10の第1辺部に沿って、複数の外部接続用端子103がX方向に配列して設けられている。また、Y方向において外部接続用端子103と表示領域Eとの間にデータ線駆動回路101が配置され、X方向に延在している。また、X方向において表示領域Eを挟んで一対の走査線駆動回路102が設けられている。
前述したように表示領域Eには、複数の発光画素20がマトリックス状に設けられており、素子基板10には、図2に示すように、発光画素20に対応する信号線として、走査線11、データ線12、点灯制御線13、電源線14が設けられている。
本実施形態では、走査線11と点灯制御線13とがX方向に並行して延びており、データ線12と電源線14とがY方向に並行して延びている。
表示領域Eには、マトリックス状に配置された複数の発光画素20におけるm行に対応して複数の走査線11と複数の点灯制御線13とが設けられ、それぞれ図1に示した一対の走査線駆動回路102に接続されている。また、マトリックス状に配置された複数の発光画素20におけるn列に対応して複数のデータ線12と複数の電源線14とが設けられ、複数のデータ線12は、それぞれ図1に示したデータ線駆動回路101に接続され、複数の電源線14は複数の外部接続用端子103のうちいずれかと接続されている。
走査線11とデータ線12との交差部付近に、発光画素20の画素回路を構成する第1トランジスター21、第2トランジスター22、第3トランジスター23、蓄積容量24、そして発光素子である有機EL素子30が設けられている。
有機EL素子30は、陽極である画素電極31と、陰極である対向電極36と、これらの電極間に挟まれた、発光層を含む機能層35とを有している。対向電極36は、複数の発光画素20に跨って共通に設けられた電極であり、例えば、電源線14に与えられる電源電圧Vddに対して、低位の基準電位VssやGNDの電位が与えられる。
第1トランジスター21及び第3トランジスター23は、例えばnチャネル型のトランジスターである。第2トランジスター22は、例えばpチャネル型のトランジスターである。
第1トランジスター21のゲート電極は走査線11に接続され、一方の電流端はデータ線12に接続され、他方の電流端は第2トランジスター22のゲート電極と、蓄積容量24の一方の電極とに接続されている。
第2トランジスター22の一方の電流端は、電源線14に接続されると共に蓄積容量24の他方の電極に接続されている。第2トランジスター22の他方の電流端は、第3トランジスター23の一方の電流端に接続されている。言い換えれば、第2トランジスター22と第3トランジスター23とは一対の電流端のうち1つの電流端を共有している。
第3トランジスター23のゲート電極は点灯制御線13に接続され、他方の電流端は有機EL素子30の画素電極31に接続されている。
第1トランジスター21、第2トランジスター22及び第3トランジスター23のそれぞれにおける一対の電流端は、一方がソースであり、他方がドレインである。
このような画素回路において、走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧水準がHiレベルになると、nチャネル型の第1トランジスター21がオン状態(ON)となる。オン状態(ON)の第1トランジスター21を介してデータ線12と蓄積容量24とが電気的に接続される。そして、データ線駆動回路101からデータ線12にデータ信号が供給されると、データ信号の電圧水準Vdataと電源線14に与えられた電源電圧Vddとの電位差が蓄積容量24に蓄積される。
走査線駆動回路102から走査線11に供給される走査信号Yiの電圧水準がLowレベルになると、nチャネル型の第1トランジスター21がオフ状態(OFF)となり、第2トランジスター22のゲート・ソース間電圧Vgsは、電圧水準Vdataが与えられたときの電圧に保持される。また、走査信号YiがLowレベルになった後に、点灯制御線13に供給される点灯制御信号Vgiの電圧水準がHiレベルとなり、第3トランジスター23がオン状態(ON)となる。そうすると、第2トランジスター22のソース・ドレイン間には、第2トランジスター22のゲート・ソース電圧Vgsに応じた電流が流れる。この電流は、具体的には、電源線14から第2トランジスター22及び第3トランジスター23を経由して、有機EL素子30に至る経路で流れる。
有機EL素子30は、有機EL素子30を流れる電流の大きさに応じて発光する。有機EL素子30を流れる電流は、第2トランジスター22のゲート・ソース間の電圧Vgsで設定される第2トランジスター22と有機EL素子30の動作点によって定まる。第2トランジスター22のゲート・ソース間の電圧Vgsは、走査信号YiがHiレベルのときに、データ線12の電圧水準Vdataと電源電圧Vddとの電位差によって蓄積容量24に保持された電圧である。このように、発光画素20は、データ信号における電圧水準Vdata及び第3トランジスター23がオン状態になる期間の長さによって発光輝度が規定される。つまり、データ信号における電圧水準Vdataの値により、発光画素20において画像情報に応じた輝度の階調性を与えることができ、フルカラー表示を可能としている。
なお、本実施形態において、発光画素20の画素回路は、3つのトランジスター21,22,23を有することに限定されず、スイッチング用トランジスターと駆動用トランジスターとを有する構成としてもよい。また画素回路を構成するトランジスターは、nチャネル型のトランジスターでもよいし、pチャネル型のトランジスターでもよいし、nチャネル型のトランジスター及びpチャネル型のトランジスターの双方を備えるものであってもよい。また、発光画素20の画素回路を構成するトランジスターは、半導体基板にアクティブ層を有するMOS型トランジスターであってもよいし、薄膜トランジスターであってもよいし、電界効果トランジスターであってもよい。
また、走査線11、データ線12以外の信号線である点灯制御線13、電源線14の配置は、トランジスターや蓄積容量24の配置により左右され、これに限定されるものではない。
本実施形態では、発光画素20の画素回路を構成するトランジスターとして、半導体基板にアクティブ層を有するMOS型トランジスターを採用した例について、以降説明する。
<発光画素の構成>
発光画素20の具体的な構成について図3を参照して説明する。図3に示すように、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれは、平面視で矩形状となっており、長手方向がY方向に沿って配置されている。発光画素20B,20G,20Rのそれぞれには、図2に示した等価回路の有機EL素子30が設けられている。発光画素20B,20G,20Rごとに設けられた有機EL素子30を区別するため、有機EL素子30B,30G,30Rとして説明することもある。また、有機EL素子30の画素電極31を発光画素20B,20G,20Rごとに区別するため、画素電極31B,31G,31Rとして説明することもある。
発光画素20Bには画素電極31Bと、画素電極31Bと第3トランジスター23とを電気的に接続させるコンタクト部31Bcとが設けられている。同様に、発光画素20Gには画素電極31Gと、画素電極31Gと第3トランジスター23とを電気的に接続させるコンタクト部31Gcとが設けられている。発光画素20Rには画素電極31Rと、画素電極31Rと第3トランジスター23とを電気的に接続させるコンタクト部31Rcとが設けられている。
各画素電極31B,31G,31Rも平面視で略矩形状であり、長手方向の上方側に各コンタクト部31Bc,31Gc,31Rcがそれぞれ配置されている。
発光画素20B,20G,20Rのそれぞれは、隣り合う画素電極31同士を電気的に絶縁すると共に、画素電極31B,31G,31R上に機能層35(図4参照)と接する領域を規定する開口29B,29G,29Rが形成された絶縁構造を有している。
また、有機EL素子30B,30G,30Rの機能層35に対して電荷を注入する画素電極31B,31G,31Rとして実質的に機能するのは、上記絶縁構造における開口29B,29G,29Rによって規定され、それぞれ機能層35と接する部分である。開口29B,29G,29Rは、後述する第5絶縁層29(図4参照)によって規定されており、画素電極31B,31G,31Rのそれぞれにおいて、上記各コンタクト部31Bc,31Gc,31Rcは第5絶縁層29によって覆われて、相互に絶縁されている。なお、本実施形態では、開口29B,29G,29Rの形状や大きさは同じである。
次に、発光画素20の構造について、図4を参照して説明する。図4は発光画素をX方向に沿って切ったときの構造を示す概略断面図である。なお、図4では画素回路のうち、第1トランジスター21及び第2トランジスター22と、第1トランジスター21及び第2トランジスター22に関連する配線などを示し、第3トランジスター23の図示を省略している。
図4に示すように、有機EL装置100は、発光画素20B,20G,20R、カラーフィルター50などが形成された素子基板10と、透光性の封止基板70とを備えている。素子基板10と封止基板70とは、接着性と透明性とを兼ね備えた樹脂層60によって貼り合わされている。カラーフィルター50は、B,G,Rの各色に対応したフィルター層50B,50G,50Rを有している。各フィルター層50B,50G,50Rは、素子基板10において、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに対応して配置されている。機能層35から発せられた光は、対応するフィルター層50B,50G,50Rのいずれかを透過して封止基板70側から射出される。つまり、有機EL装置100は、封止基板70側から発光が取り出されるトップエミッション構造となっている。
素子基板10の基材10sは、有機EL装置100がトップエミッション構造であることから、透明なガラス基板だけでなく、不透明なセラミック基板や半導体基板を用いることができる。
本実施形態では、基材10sとして半導体基板を用いている。半導体基板は例えばシリコン基板である。
基材10sには、半導体基板にイオンを注入することによって形成されたウェル部10wと、ウェル部10wとは異なる種類のイオンをウェル部10wに注入することにより形成されたアクティブ層であるイオン注入部10dとが設けられている。ウェル部10wは、発光画素20におけるトランジスター21,22,23のチャネルとして機能し、イオン注入部10dは、発光画素20におけるトランジスター21,22,23のソース・ドレインや配線の一部として機能するものである。
次に、イオン注入部10dやウェル部10wが形成された基材10sの表面を覆う絶縁膜10aが形成される。絶縁膜10aはゲート絶縁膜として機能するものである。絶縁膜10a上に例えばポリシリコンなどの導電膜が成膜され、これをパターニングしてゲート電極22gが形成される。ゲート電極22gは、第2トランジスター22のチャネルとして機能するウェル部10wに対向するように配置されている。他の第1トランジスター21や第3トランジスター23においても同様にゲート電極が配置されている。
次に、ゲート電極22gを覆う第1層間絶縁膜15が形成される。そして、第1層間絶縁膜15を貫通して、例えば第1トランジスター21のドレインや第2トランジスター22のゲート電極22gに至るコンタクトホールが形成される。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第1層間絶縁膜15の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、例えば、第1トランジスター21のドレイン電極21dと第2トランジスター22のゲート電極22gとに接続される配線が形成される。
次に、第1層間絶縁膜15上の各種配線を覆う第2層間絶縁膜16が形成される。そして、第2層間絶縁膜16を貫通して、第1層間絶縁膜15上に形成された配線に至るコンタクトホールが形成される。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第2層間絶縁膜16の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、例えば、蓄積容量24の一方の電極24aと第2トランジスター22のゲート電極22gとを電気的に接続させるコンタクト部が形成される。また、一方の電極24aと同層にデータ線12が形成される。データ線12は、図4では図示省略された配線によって、第1トランジスター21のソースに接続されている。
次に、少なくとも一方の電極24aを覆う誘電体層(図4では図示を省略している)が形成される。また、誘電体層を挟んで一方の電極24aに対向する位置に蓄積容量24の他方の電極24bが形成される。これにより、一対の電極24a,24b間に誘電体層を有する蓄積容量24が形成される。
次に、データ線12及び蓄積容量24を覆う第3層間絶縁膜17が形成される。第3層間絶縁膜17を貫通して、例えば、蓄積容量24の他方の電極24bや第2層間絶縁膜16上に形成された配線に至るコンタクトホールが形成される。このコンタクトホール内を少なくとも被覆し、第3層間絶縁膜17の表面を覆う導電膜が成膜され、これをパターニングすることにより、電源線14や電源線14と他方の電極24bとを接続させるコンタクト部が形成される。本実施形態では、電源線14は光反射性と導電性とを兼ね備えた、例えばAl(アルミニウム)やAg(銀)などの金属、あるいはこれらの金属の合金を用いて形成される。また、電源線14は、発光画素20B,20G,20Rのコンタクト部31Bc,31Gc,31Rc(図3参照)と重なる部分を除いて、画素電極31B,31G,31Rと対向し、表示領域Eに亘る平面を構成するように形成される。電源線14の画素電極31B,31G,31Rと対向する部分が反射層として機能する。
なお、導電性を有する材料で電源線14を形成し、電源線14と画素電極31B,31G,31Rとの間に反射層を設ける構成としてもよい。
図4では図示していないが、基材10sには、第2トランジスター22と第3トランジスター23とが共用するウェル部10wが設けられている。当該ウェル部10wには、3つのイオン注入部10dが設けられている。3つのイオン注入部10dのうち中央側に位置するイオン注入部10dは、第2トランジスター22と第3トランジスター23とが共用するドレインとして機能するものである。当該ウェル部10wを覆う絶縁膜10aが設けられる。そして、絶縁膜10aを覆って例えばポリシリコンなどの導電膜が成膜され、この導電膜をパターニングすることによって、絶縁膜10a上に、第2トランジスター22のゲート電極及び第3トランジスター23のゲート電極が形成される。それぞれのゲート電極は、上述した中央側のイオン注入部10dと端側のイオン注入部10dとの間のウェル部10wにおけるチャネルとして機能する部分に対向するように配置されている。
次に、第2トランジスター22のゲート電極は、第1層間絶縁膜15と第2層間絶縁膜16とを貫通するコンタクトホールによって、第2層間絶縁膜16上に設けられた蓄積容量24の一方の電極24aに接続されている。第2トランジスター22のソース電極は、第2層間絶縁膜16及び第3層間絶縁膜17を貫通するコンタクトホールによって、第3層間絶縁膜17上に設けられた電源線14に接続されている。
第3トランジスター23のゲート電極は、第1層間絶縁膜15を貫通するコンタクトホールによって、第1層間絶縁膜15上に設けられた点灯制御線13に接続されている。第1層間絶縁膜15上には、点灯制御線13以外に走査線11が設けられている。走査線11は、同じく第1層間絶縁膜15を貫通するコンタクトホールを経由して、第1トランジスター21のゲートに接続されている。
第3トランジスター23のソース電極は、第2層間絶縁膜16及び第3層間絶縁膜17、さらに電源線14上の絶縁層28を貫通するコンタクトホールによって、絶縁層28上に設けられた配線に接続されている。当該配線は、例えば、発光画素20Gのコンタクト部31Gcに対応して設けられたものであり、当該コンタクト部31Gcにおいて当該配線と画素電極31Gとが接することにより、電気的な接続が図られている。
発光画素20B,20Rの画素電極31B,31Rのそれぞれと対応する第3トランジスター23のソース電極との電気的な接続は、発光画素20Gと同様にコンタクト部31Bc、コンタクト部31Rcを介して行われている(図3参照)。
有機EL素子30は、反射層として機能する電源線14上に設けられている。また、発光画素20B,20G,20Rごとに異なる共振波長の光を取り出すことができる光共振構造が電源線14上に構築されている。電源線14は、平面視で発光画素20B,20G,20Rが設けられた表示領域Eに亘って第3層間絶縁膜17の表面を覆うように形成されている。また、電源線14は、画素電極31B,31G,31Rのそれぞれと対応する第3トランジスター23との電気的な接続を図る上記コンタクト部31Bc,31Gc,31Rcが設けられる部分を除いてパターニングされている。したがって、電源線14よりも下層に設けられた画素回路の構成による凹凸が、電源線14よりも上層に設けられる光共振構造に影響を及ぼし難い構造となっている。
発光画素20B,20G,20Rごとに設けられた有機EL素子30を覆って封止層40が少なくとも表示領域Eに亘って形成されている。封止層40は、対向電極36側から順に積層された第1封止膜41と、緩衝層42と、第2封止膜43とを含んで構成されている。
第1封止膜41は、水分や酸素などのガスを透過し難く(ガスバリア性)、且つ透明性が得られる、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化チタンなどの金属酸化物などの無機化合物を用いて形成される。形成方法としては、低温で緻密な膜を形成可能な気相プロセスを用いることが好ましく、例えば、プラズマCVD法やECRプラズマスパッタ法などの高密度プラズマ成膜法や、真空蒸着法、イオンプレーティング法を挙げることができる。第1封止膜41の膜厚はおよそ200nm〜400nmである。
第1封止膜41の表面は、下層に設けられた有機EL素子30などの構造体の影響を受けて凹凸が生ずる。本実施形態では、該凹凸や異物の付着などに起因する第2封止膜43の封止機能の低下を防止するために、第1封止膜41の表面のうち少なくとも表示領域Eを覆い、少なくとも表示領域Eにおける該凹凸を緩和して平坦化するために緩衝層42が形成されている。
緩衝層42は、例えば、透明性を有する有機樹脂を溶媒に溶解させた溶液を用い、印刷法やスピンコート法で該溶液を塗布して乾燥することにより形成された有機樹脂層である。有機樹脂としては、エポキシ樹脂などを挙げることができる。緩衝層42は、第1封止膜41の表面における該凹凸を緩和し、第1封止膜41に付着した異物を覆って平坦化することから、その膜厚は、1μm〜5μmが好ましく、本実施形態では、エポキシ樹脂を用いて膜厚がおよそ3μmの緩衝層42が形成されている。緩衝層42は、平面視で少なくとも機能層35を覆うように形成され、且つ対向電極36を覆うように形成されることが好ましい。緩衝層42を少なくとも機能層35を覆うように形成することで、機能層35の端部での凹凸を緩和することができる。なお、緩衝層42は、表示領域Eに加えて、周辺回路(データ線駆動回路101及び一対の走査線駆動回路102)の表示領域E側の少なくとも一部を覆うように形成してもよい(図1参照)。
緩衝層42を覆う第2封止膜43は、第1封止膜41と同様に、透明性とガスバリア性とを兼ね備え、耐水性、耐熱性に優れた無機化合物を用いて形成される。無機化合物としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンが挙げられる。第2封止膜43は、第1封止膜41と同じ方法を用いて形成することができる。第2封止膜43の膜厚は、成膜時にクラックが生じないように、200nm〜700nmの範囲で成膜されることが好ましく、300nm〜400nmの範囲で成膜することがより好ましい。なお、対向電極36を覆うように緩衝層42を形成すれば、第1封止膜41とこれに直接積層した第2封止膜43により、対向電極36の端部を覆うことができる。
カラーフィルター50は、表面が平坦な封止層40上に形成されている。カラーフィルター50の各フィルター層50B,50G,50Rは、各色に対応した顔料を含む感光性樹脂を封止層40上に塗布して露光・現像することにより形成される。
<光共振構造>
次に、本実施形態の有機EL装置100における光共振構造及び有機EL素子30の構成について、図5を参照して説明する。図5は発光画素における光共振構造を示す模式断面図である。
本実施形態における有機EL素子30は、透光性の陽極である画素電極31と、半透過反射性の陰極である対向電極36と、これらの電極間に挟持された機能層35とを有している。機能層35は、画素電極31側から順に積層された正孔注入層(HIL)32、有機発光層(EML)33、電子輸送層(ETL)34を含むものである。
画素電極31と対向電極36との間に駆動電位を印加することにより、画素電極31から機能層35に正孔が注入され、対向電極36から機能層35に電子が注入される。機能層35に含まれる有機発光層33では、注入された正孔と電子が励起子(エキシトン)を形成し、励起子(エキシトン)が消滅する際(電子と正孔とが再結合する際)にエネルギーの一部が蛍光や燐光となって放出される。
機能層35は、正孔注入層32、有機発光層33、電子輸送層34以外に、正孔や電子の有機発光層33への注入性や輸送性を改善あるいは制御する、例えば正孔輸送層や電子注入層あるいは中間層を含んでいてもよい。
本実施形態において、機能層35の有機発光層33からは白色光が得られる構成となっている。したがって、機能層35は、発光画素20B,20G,20Rに跨って共通に形成されている。なお、白色光は、青(B)、緑(G)、赤(R)の発光が得られる有機発光層を組み合わせることにより実現できる。また、青(B)と黄(Y)の発光が得られる有機発光層を組み合わせても擬似白色光を得ることができる。
本実施形態では、有機EL素子30から発せられた白色光がカラーフィルター50を透過することで、発光画素20B,20G,20Rごとに所望の発光色が得られる構成となっている。加えて、発光画素20B,20G,20Rごとに反射層として機能する電源線14と対向電極36との間で光共振構造が構築されており、B,G,Rの各発光色に対応した共振波長において輝度が強調された発光が得られる。
発光画素20B,20G,20Rごとの共振波長は、反射層としての電源線14と対向電極36との間の光学的な距離D(光路長とも言う)によって決まり、具体的には、下記の数式(1)を満たすように設定される。
D={(2πm+φL+φU)/4π}λ・・・(1)
mは正の整数(m=0,1,2・・)、φLは反射層での反射における位相シフト、φUは対向電極36での反射における位相シフト、λは定在波のピーク波長である。
発光画素20B,20G,20Rの光共振構造における光学的な距離Dは、B,G,Rの順に大きくなり、電源線14(反射層)と画素電極31との間に配置された複数の絶縁層の構成を異ならせることによって調整されている。具体的には、電源線14と画素電極31Bとの間には第1絶縁層25と第2絶縁層26が存在し、電源線14と画素電極31Gとの間には第1絶縁層25及び第2絶縁層26に加えて第4絶縁層27bが存在し、電源線14と画素電極31Rとの間には第1絶縁層25、第2絶縁層26、第3絶縁層27a、第4絶縁層27bが存在することで該光学的な距離Dが発光画素20B,20G,20Rごとに異なっている。光共振構造における各層の光学的な距離は、光が透過する各層の膜厚(t)と屈折率(n)との積で表すことができる。
例えば、発光画素20Bにおける輝度のピーク波長(共振波長)は、470nmに設定されている。同じく、発光画素20Gにおける輝度のピーク波長(共振波長)は、540nmに設定され、発光画素20Rにおける輝度のピーク波長(共振波長)は、610nmに設定されている。
上記ピーク波長を実現するため、例えば、ITOなどの透明導電膜からなる画素電極31B,31G,31Rの膜厚をおよそ20nm、屈折率を1.8とし、機能層35の膜厚をおよそ110nm、屈折率を1.8とする。そして、上記数式(1)において、m=1として、電源線14(反射層)と対向電極36との間の各絶縁層の膜厚を算出すると、発光画素20Bでは、屈折率が1.46であるSiO2からなる第1絶縁層25の膜厚が35nm、屈折率が1.8のSiNからなる第2絶縁層26の膜厚が45nmとなり、合計膜厚は80nmとなる。発光画素20Gでは、屈折率が1.46であるSiO2からなる第4絶縁層27bの膜厚が44nmとなり、第1絶縁層25と第2絶縁層26とを加えた合計膜厚は124nmとなる。発光画素20Rでは、SiO2からなる第3絶縁層27a及び第4絶縁層27bの膜厚が100nmとなり、第1絶縁層25と第2絶縁層26とを加えた合計膜厚は180nmとなる。
なお、本実施形態において、発光画素20B,20G,20Rに亘って共通に設けられ、反射層として機能する電源線14を覆う第1絶縁層25は上述したようにSiO2を用いて形成され、本発明における光反射性を向上させる増反射層として機能するものである。したがって、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれにおける光共振構造の光学的な距離Dを実質的に異ならせるために設けられる第2絶縁層26、第3絶縁層27a、第4絶縁層27bを含む絶縁層28が本発明における光路長調整層として機能するものである。以降、絶縁層28の符号を利用して、光路長調整層28と呼ぶ。
また、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれの光共振構造において、上記ピーク波長を精度よく実現するため、光共振構造の光学的な距離Dは、第1絶縁層25、第2絶縁層26、第3絶縁層27a、第4絶縁層27bのそれぞれの膜厚及び屈折率、画素電極31及び機能層35の膜厚及び屈折率、反射層としての電源線14及び対向電極36の消衰係数を考慮して設定される。また、光が透過する層の屈折率は、厳密には透過する光の波長に依存する。
さらに、本実施形態の光共振構造において、光路長調整層28は、隣接する層(第2絶縁層26)の屈折率よりも屈折率が小さい層(第3絶縁層27a及び第4絶縁層27b)を有していることから、反射層14と第1絶縁層25との界面だけでなく、第2絶縁層26と第3絶縁層27a及び第4絶縁層27bとの界面においても光の反射が生ずる構成となっている。これにより、発光画素20Gでは、第2絶縁層26と第4絶縁層27bとの界面で反射が生じない場合、つまり、第2絶縁層26と第4絶縁層27bとが同じ材料で構成される場合に比べて、発光画素20Gから取り出される光の強度(輝度)が低下する。同様に、発光画素20Rでは、第2絶縁層26と第3絶縁層27aとの界面で反射が生じない場合、つまり、第2絶縁層26と第3絶縁層27aとが同じ材料で構成される場合に比べて、発光画素20Rから取り出される光の強度(輝度)が低下する。すなわち、発光画素20Gでは光路長調整層28のうち第4絶縁層27bが本発明の輝度調整層として機能するものであり、発光画素20Rでは光路長調整層28のうち第3絶縁層27aが本発明の輝度調整層として機能するものである。なお、発光画素20Rでは、SiO2を用いて第3絶縁層27aと第4絶縁層27bとが形成されることから、第3絶縁層27a及び第4絶縁層27bが輝度調整層として機能するとしてもよい。
<電気光学装置の製造方法>
次に、電気光学装置としての有機EL装置100の製造方法について、図6〜図12を参照して説明する。図6は有機EL装置の製造方法を示すフローチャート、図7〜図12は有機EL装置の製造方法を示す概略断面図である。本発明の特徴部分は、主に素子基板10における光路長調整層28の形成工程にある。したがって、以降は、有機EL装置100の製造方法における素子基板10の製造方法の特徴部分について説明する。
図6に示すように、本実施形態の素子基板10の製造方法は、増反射層形成工程(ステップS1)、光路長調整層形成工程(ステップS2)、画素電極形成工程(ステップS3)、機能層形成工程(ステップS4)、対向電極形成工程(ステップS5)を少なくとも備えている。なお、素子基板10の基材10s上に前述した画素回路や画素回路に繋がる配線などを形成する方法や反射層としての電源線14の形成方法は、前述したように公知の方法を用いることができる。以降の説明において、反射層は電源線14の符号を用いて、反射層14として説明する。
ステップS1の増反射層形成工程及びステップS2の光路長調整層形成工程では、まず、図7に示すように、反射層14上に、第1絶縁層25、第2絶縁層26、第3絶縁層27aをこの順に成膜して形成する。第1絶縁層25、第3絶縁層27aは例えばSiO2をCVD法などにより成膜する。第2絶縁層26は例えばSiNを同じくCVD法などにより成膜する。各絶縁層におけるねらいの膜厚は、前述したように、増反射層として機能する第1絶縁層25が例えば35nm、第2絶縁層26が例えば45nm、輝度調整層として機能する第3絶縁層27aが例えば56nmである。
そして、図8に示すように、第3絶縁層27aを覆うように感光性レジスト層を形成し、これを露光・現像して、開口部81aを有するレジストパターン81を形成する。開口部81aは、隣り合う発光画素20Bと発光画素20Gとに亘って形成される。このようなレジストパターン81を介して、第3絶縁層27aを例えばフッ素系の処理ガスを用いてドライエッチングすることにより、図9に示すように、第3絶縁層27aに開口部27cを形成する。なお、ドライエッチング後にレジストパターン81は除去される。開口部27cは、図3に示すように、発光画素20B,20Gのコンタクト部31Bc,31Gcを除いた領域において、隣り合う発光画素20Bと発光画素20Gとに亘って形成される。
続いて、図10に示すように、第3絶縁層27a及びその開口部27cを覆うように第4絶縁層27bを形成する。第4絶縁層27bもまた例えばSiO2をCVD法などにより成膜する。そして、第4絶縁層27bを覆うように感光性レジスト層を形成し、これを露光・現像して、開口部82aを有するレジストパターン82を形成する。開口部82aは、発光画素20Bに対応して形成される。このようなレジストパターン82を介して、開口部82aで露出した第4絶縁層27bを例えばフッ素系の処理ガスを用いてドライエッチングすることにより、図11に示すように、第4絶縁層27bに開口部27dを形成する。なお、SiNからなる第2絶縁層26はSiO2に比べてドライエッチングにおけるエッチングレートが遅いため、第2絶縁層26はドライエッチングにおけるエッチングストップ膜として機能させることができる。ドライエッチング後にレジストパターン82は除去される。開口部27dは、図3に示すように、隣り合う発光画素20Bと発光画素20Gとに亘って形成された開口部27c内において、発光画素20B内に対応して形成される。これにより、発光画素20B,20G,20Rにおいて光学的な距離が異なる光路長調整層28ができあがる。そして、ステップS3へ進む。
ステップS3の画素電極形成工程では、光路長調整層28を覆うように例えばITOなどの透明導電膜を成膜して、これをパターニングすることにより、図12に示すように、開口部27d内の第2絶縁層26上に画素電極31Bを形成し、開口部27c内の第4絶縁層27b上に画素電極31Gを形成し、第4絶縁層27b上に画素電極31Rを形成する。なお、透明導電膜のねらいの膜厚は例えばおよそ20nmである。そして、ステップS4へ進む。
ステップS4の機能層形成工程では、各発光画素20B,20G,20Rにおける画素電極31B,31G,31R上に機能層35を形成する。機能層35は、前述したように、本実施形態では、正孔注入層32、有機発光層33、電子輸送層34により構成されている。また、これらの層は、発光画素20B,20G,20Rに亘って共通に形成される。機能層35の各層の構成や形成方法は特に限定されるものではなく、例えば蒸着法などの乾式成膜法やスピンコートなどの湿式成膜法などの公知の方法を用いることができる。また、用いられる機能層形成材料に応じて乾式成膜法と湿式成膜法とを組み合わせて用いてもよい。本実施形態では、蒸着法を用いて正孔注入層32、有機発光層33、電子輸送層34を形成した。機能層35における正孔注入層32のねらいの膜厚は例えば30nm、有機発光層33のねらいの膜厚は例えば55nm、電子輸送層34のねらいの膜厚は例えば25nmである。すなわち、機能層35のねらいの膜厚は、これらの層のねらいの膜厚の合計値である110nmである。そして、ステップS5へ進む。
ステップS5の対向電極形成工程では、ステップS4で形成された機能層35を覆うように、発光画素20B,20G,20Rに亘って対向電極36を形成する。本実施形態では、MgとAgとを共蒸着して、膜厚がおよそ20nmのMgAg合金の薄膜からなる対向電極36を形成した。
この後、前述したように対向電極36を覆う封止層40を形成する工程、封止層40上にカラーフィルター50を形成する工程を経て、素子基板10を完成させる。さらに、樹脂層60を介して素子基板10と封止基板70とを貼り合わせる工程を経て有機EL装置100ができあがる(図4あるいは図5参照)。
上記第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)発光画素20Gの光共振構造における光路長調整層28は、輝度調整層として機能する第4絶縁層27bを有している。同じく、発光画素20Rの光共振構造における光路長調整層28は、輝度調整層として機能する第3絶縁層27a(あるいは第3絶縁層27a及び第4絶縁層27b)を有している。例えば、白色表示させるときに、発光画素20Bの有機EL素子30Bに流す電流の大きさを、発光画素20G,20Rの有機EL素子30G,30Rに流す電流の大きさよりも増やす必要がある場合には、発光画素20B,20G,20R間において消費電流が異なって電流比が一様でなくなる。発光画素20G,20Rの光路長調整層28が輝度調整層を含むことによって、白色表示をさせるときに、発光画素20G,20Rの有機EL素子30G,30Rに流す電流の大きさを増やすことになるので、発光画素20B,20G,20Rの有機EL素子30B,30G,30Rに流す電流の大きさの差を小さくする、あるいは電流比を一様とすることができる。
(2)輝度調整層として機能する第3絶縁層27a(第4絶縁層27b)は、反射層14と画素電極31との間に設けられている。したがって、画素電極31上に設けられる機能層35の発光特性に影響を及ぼすことなく、発光画素20B,20G,20Rの有機EL素子30B,30G,30Rに流す電流の大きさの差を小さくする、あるいは電流比を一様とすることができる。
(3)輝度調整層として機能する第3絶縁層27a(第4絶縁層27b)は、SiO2からなり、SiO2よりも屈折率が大きいSiNからなる第2絶縁層26に接して積層される。これにより、第2絶縁層26と第3絶縁層27a(第4絶縁層27b)との界面で光の反射が生じて、発光画素20G,20Rにおける発光輝度が調整される。つまり、輝度調整層として機能する第3絶縁層27a(第4絶縁層27b)が光透過性のSiO2膜を用いて形成されることから、発光輝度の調整を精度よく実施することができる。
(第2実施形態)
<他の電気光学装置>
次に、第2実施形態の光共振構造を有する他の電気光学装置として、同じく有機EL装置を例に挙げ、図13を参照して説明する。図13は、第2実施形態の有機EL装置における光共振構造を示す模式断面図である。第2実施形態の有機EL装置は、上記第1実施形態の有機EL装置100に対して光共振構造における輝度調整層の形態を異ならせたものである。したがって、上記有機EL装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態の電気光学装置としての有機EL装置200は、異なる発光色が得られる発光画素20B,20G,20Rを備えた素子基板210と、樹脂層60を介して素子基板210に対向配置された透光性の封止基板70とを備える。素子基板210は、基材10s上において、発光画素20B,20G,20Rに亘って共通に形成された反射層14及び第1絶縁層25と、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに対応して設けられた、光路長調整層28と、有機EL素子30B,30G,30R及びカラーフィルター50(フィルター層50B,50G,50R)とを備えている。フィルター層50B,50G,50Rは、各有機EL素子30B,30G,30Rを覆う封止層40上に配置されている。
有機EL素子30B,30G,30Rのそれぞれは、陽極である画素電極31と、陰極である対向電極36との間に挟持された機能層35を有する。機能層35は、画素電極31側から順に積層された正孔注入層32、有機発光層33、電子輸送層34を含み、機能層35からは白色光が発せられる。白色光は、フィルター層50B,50G,50Rを透過することで、所望の色光に変換されて封止基板70側から取り出される。
有機EL装置200における光共振構造は、発光画素20Bにおいて反射層14と画素電極31Bとの間に、第1絶縁層25及び第2絶縁層26を有している。発光画素20Gにおいて反射層14と画素電極31Gとの間に、第1絶縁層25及び第2絶縁層26に加えて金属層27m及び第4絶縁層27bを有している。発光画素20Rにおいて第1絶縁層25及び第2絶縁層26に加えて金属層27m及び第3絶縁層27a並びに第4絶縁層27bを有している。
つまり、本実施形態の光路長調整層28は、第2絶縁層26、第3絶縁層27a及び第4絶縁層27b(第2絶縁層26よりも屈折率が小さい層)に加えて金属層27mを有するものである。金属層27mは、例えば、Ti、Mo、Ta、Al、Cu、Crの中から選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金からなり、光透過性と光反射性とを有するように、例えばスパッタ法などを用い金属薄膜として形成される。
光共振構造において、反射層14と画素電極31との間の層構成を発光画素20B,20G,20Rにおいて異ならせることにより、発光画素20Bからは共振波長(ピーク波長)が例えば470nmの光を取り出し、発光画素20Gからは共振波長(ピーク波長)が例えば570nmの光を取り出し、発光画素20Rからは共振波長(ピーク波長)が例えば610nmの光を取り出している。また、金属層27mが設けられた発光画素20G,20Rにおいて輝度の調整がなされる。上記共振波長(ピーク波長)の光を取り出す場合、例えば、SiO2を用いて形成した場合の第1絶縁層25のねらいの膜厚は35nm、SiNを用いて形成した場合の第2絶縁層26のねらいの膜厚は45nm、TiNを用いて形成した場合の金属層27mのねらいの膜厚は2nm、SiO2を用いて形成した場合の、第3絶縁層27aのねらいの膜厚は56nm、第4絶縁層27bのねらいの膜厚は44nm、ITOを用いて形成した場合の画素電極31B,31G,31Rのねらいの膜厚は20nmである。
次に、反射層14と画素電極31G,31Rとの間における金属層27mの位置と、発光輝度(以降、単に「輝度」と言う)との関係について、図14及び図15を参照して説明する。図14は赤色光が得られる発光画素における反射層から金属層までの光学的な距離と輝度との関係を示すグラフ、図15は緑色光が得られる発光画素における反射層から金属層までの光学的な距離と輝度との関係を示すグラフである。なお、図14及び図15は光学シミュレーションによって得られたグラフであり、輝度は金属層27mが無い場合を「1」として数値化したものである。
詳しくは後述するが、本実施形態の有機EL装置200では、共振波長(ピーク波長)が最も長い発光画素20Rにおいて輝度の調整幅が大きくなるように、発光画素20Gと発光画素20Rとにおいて、SiNからなる第2絶縁層26上にTiNからなる金属層27mを設けている(図13参照)。
図14に示すように、発光画素20Rにおいて、増反射層として機能する第1絶縁層25上に金属層27mを設けた場合、反射層14から金属層27mまでの光学的な距離はおよそ52nmとなる。このときの輝度は、金属層27mを設けない場合に比べておよそ0.7(70%)程度である。上述したように第2絶縁層26上に金属層27mを設けた場合、反射層14から金属層27mまでの光学的な距離はおよそ141nmとなる。このときの輝度は、金属層27mを設けない場合に比べておよそ0.5(50%)程度である。同様に、画素電極31の直下に金属層27mを設けた場合、反射層14から金属層27mまでの光学的な距離はおよそ287nmとなる。このときの輝度は、金属層27mを設けない場合に比べておよそ0.97(97%)程度である。
図15に示すように、発光画素20Gにおいて、増反射層として機能する第1絶縁層25上に金属層27mを設けた場合、反射層14から金属層27mまでの光学的な距離はおよそ52nmとなり、輝度は、金属層27mを設けない場合に比べておよそ0.74(74%)程度である。上述したように第2絶縁層26上に金属層27mを設けた場合、反射層14から金属層27mまでの光学的な距離はおよそ141nmとなり、輝度は、金属層27mを設けない場合に比べておよそ0.67(67%)程度である。同様に、画素電極31の直下に金属層27mを設けた場合、反射層14から金属層27mまでの光学的な距離はおよそ206nmとなり、輝度は、金属層27mを設けない場合に比べておよそ0.94(94%)程度である。したがって、本実施形態の有機EL装置200では、輝度調整層として金属層27mをさらに設けることで、金属層27mを設けない場合に比べて、発光画素20Rの輝度がおよそ50%低下し、発光画素20Gの輝度がおよそ33%低下する。
有機EL装置200の光共振構造において、金属層27mから対向電極36までの光学的な距離をD1とし、反射層14から金属層27mまでの光学的な距離をD2とするとき、D1及びD2が以下の数式(2)の条件を満たすときに、対向電極36で反射した光と反射層14で反射した光との位相のずれがλ/2となって最も輝度が低下すると考えられる。
(m+1/2)λ=2D−φ ・・・・(2)
mは正の整数(m=0,1,2・・)、λは共振波長、Dは光共振構造における光学的な距離、D1の場合のφは、対向電極36と機能層35との界面における位相シフトと、金属層27mと金属層27mに隣接する層との界面における位相シフトとの合計値である。また、D2の場合のφは、反射層14と第1絶縁層25との界面における位相シフトと、金属層27mと金属層27mに隣接する層との界面における位相シフトとの合計値である。
つまり、発光画素20における輝度を金属層27mが無い場合に比べて、どの程度低下させるかにより、反射層14と画素電極31との間の金属層27mの位置が設定される。
上記第2実施形態の有機EL装置200によれば、以下の効果が得られる。
(1)発光画素20Gの光共振構造における光路長調整層28は、輝度調整層として機能する第4絶縁層27bと金属層27mとを有している。また、発光画素20Rの光共振構造における光路長調整層28は、輝度調整層として機能する第3絶縁層27aと金属層27mとを有している。したがって、金属層27mが無い場合に比べて、より効果的に輝度を低下させることができる。すなわち、白色表示をさせるときに、発光画素20B,20G,20Rの有機EL素子30B,30G,30Rに流す電流の大きさの差をより効果的に小さくする、あるいはより効果的に電流比を一様とすることができる。
(2)金属層27mは、Ti、Mo、Ta、Al、Cu、Crの中から選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金からなるため、これらの金属あるいは合金を用いて金属薄膜とすれば、輝度調整機能を発揮する光透過性と光反射性とを有する金属層27mを構成することができる。とりわけ、本実施形態のように金属窒化物(TiN)を用いることで、低反射性の金属層27mとすることができるため、輝度の低下が急激な状態とならず、輝度を緩やかに調整することができる。
また、特殊な金属材料を用いていないので、素子基板10の配線構造を形成するための各種の材料及び装置を用いて金属層27mを形成可能となる。
なお、上記第1実施形態及び上記第2実施形態において、発光画素20G,20Rが本発明の第1画素に相当し、発光画素20Bが本発明の第2画素に相当するものである。
次に、光共振構造に輝度調整層を含む効果について、比較例を挙げて実施例と比較することにより、より具体的に説明する。図16は比較例1の有機EL装置の光共振構造を示す模式断面図である。
(比較例1)
図16に示すように、比較例1の有機EL装置300は、異なる発光色が得られる発光画素20B,20G,20Rを備えた素子基板310と、樹脂層60を介して素子基板310に対向配置された透光性の封止基板70とを備える。素子基板310は、基材10s上において、発光画素20B,20G,20Rに亘って共通に形成された反射層14及び絶縁層326と、発光画素20B,20G,20Rのそれぞれに対応して設けられた、有機EL素子30B,30G,30R及びカラーフィルター50(フィルター層50B,50G,50R)とを備えている。フィルター層50B,50G,50Rは、各有機EL素子30B,30G,30Rを覆う封止層40上に配置されている。
有機EL素子30B,30G,30Rのそれぞれは、陽極である画素電極31と、陰極である対向電極36との間に挟持された機能層35を有する。機能層35は、画素電極31側から順に積層された正孔注入層32、有機発光層33、電子輸送層34を含み、機能層35からは白色光が発せられる。白色光は、フィルター層50B,50G,50Rを透過することで、所望の色光に変換されて封止基板70側から取り出される。
このような比較例1の有機EL装置300における光共振構造は、発光画素20B,20G,20Rごとに画素電極31B,31G,31Rの厚みを異ならせることにより、共振波長(ピーク波長)の光を取り出している。反射層14と画素電極31との間の絶縁層326は、SiNあるいはSiO2を用いて形成することができる。上記実施形態の有機EL装置100と同様な共振波長の光を取り出す場合、例えば、SiNを用いて絶縁層326を形成した場合の絶縁層326のねらいの膜厚は73nm、ITOを用いて形成した場合の、画素電極31Bのねらいの膜厚は20nm、画素電極31Gのねらいの膜厚は57nm、画素電極31Rのねらいの膜厚は112nmである。つまり、比較例1の光共振構造は輝度調整層を含んでいない。
(実施例1)
実施例1の輝度調整層を含む光共振構造は、上記第1実施形態の有機EL装置100において説明したものであり、SiO2からなる第1絶縁層25のねらいの膜厚は35nm、SiNからなる第2絶縁層26のねらいの膜厚は45nm、SiO2からなる、第3絶縁層27aのねらいの膜厚は56nm、第4絶縁層27bのねらいの膜厚は44nm、ITOからなる画素電極31B,31G,31Rのねらいの膜厚は20nmである。
(実施例2)
実施例2の輝度調整層を含む光共振構造は、上記第2実施形態の有機EL装置200において説明したものであり、SiO2からなる第1絶縁層25のねらいの膜厚は35nm、SiNからなる第2絶縁層26のねらいの膜厚は45nm、TiNからなる金属層27mのねらいの膜厚は2nm、SiO2からなる、第3絶縁層27aのねらいの膜厚は56nm、第4絶縁層27bのねらいの膜厚は44nm、ITOからなる画素電極31B,31G,31Rのねらいの膜厚は20nmである。
なお、比較例1、実施例1、実施例2において、画素電極31B,31G,31Rと対向電極36との間の機能層35の構成は同じである。
図17は比較例1及び実施例1並びに実施例2の評価結果を示す表、図18は比較例1及び実施例1並びに実施例2の発光画素における電流比を示すグラフである。
図17に示すように、白色表示させたときの発光画素20B,20G,20Rにおける消費電流[mA]は、次の通りである。
比較例1において、青(B)は48.5mA、緑(G)は16.1mA、赤(R)は15.6mAであった。
実施例1において、青(B)は39.3mA、緑(G)は18.3mA、赤(R)は17.9mAであった。
実施例2において、青(B)は38.8mA、緑(G)は28.6mA、赤(R)は42.8mAであった。
つまり、所望の色度で白色表示させる場合、比較例1では他の発光画素20G,20Rに対して発光画素20Bに倍以上の電流を流す必要があった。これに対して、実施例1及び実施例2では、発光画素20Bに流す電流が減少して、発光画素20G,20Rに流す電流が増えた。これにより、図18に示すように、比較例1における電流比は、B:G:R=0.6:0.2:0.19≒3:1:1であったが、実施例1では、B:G:R=0.52:0.24:0.24≒2:1:1、実施例2では、B:G:R=0.35:0.26:0.39≒1:1:1であった。すなわち、輝度調整層を含むように光路長調整層28を構成することにより、発光画素20B,20G,20R間の消費電流の差を小さくする、あるいは電流比を一様とすることができる。
また、図17に示すように、白色発光させたときの初期の輝度に対して輝度が80%となる通電時間を示す輝度寿命(LT80(H))は、比較例1と実施例1とではほぼ同等であり、実施例2は消費電流が増加することで輝度寿命が実施例1よりも短くなった。一方で、初期に対して輝度が80%となったときにおける白色表示の色差(色度のずれ)として、CIE1976UCS色度図に基づいてΔu’v’を求めると、比較例1が0.041、実施例1が0.030、実施例2が0.010となって、実施例2が最も好ましい状態であった。つまり、発光画素20B,20G,20Rにおける電流比を一様とすることで、白色表示における輝度が低下したとしても所望の色度の白色表示を維持することができる。
(第3実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の有機EL装置100を適用した電子機器の例について、図19を参照して説明する。図19は、電子機器としてのヘッドマウントディスプレイを示す模式図である。
ヘッドマウントディスプレイ(Head Mount Display;HMD)1000は、左右の眼に対応して情報を表示するための一対の光学ユニット1001L,1001Rと、一対の光学ユニット1001L,1001Rを使用者の頭部に装着するための装着部(図示省略)と、電源部及び制御部(図示省略)などを有している。ここで、一対の光学ユニット1001L,1001Rは左右対称の構成であるため、右眼用の光学ユニット1001Rを例として説明する。
光学ユニット1001Rは、上記実施形態の有機EL装置100が適用された表示部100Rと、集光光学系1002と、L字状に折れ曲がった導光体1003とを備えている。導光体1003にはハーフミラー層1004が設けられている。光学ユニット1001Rにおいて、表示部100Rから射出された表示光は、集光光学系1002によって導光体1003に入射し、ハーフミラー層1004で反射して右眼に導かれる。ハーフミラー層1004に投影された表示光(映像)は虚像である。したがって、使用者は、表示部100Rによる表示(虚像)とハーフミラー層1004の先にある外界の双方を視認することができる。つまり、HMD1000は、透過型(シースルー型)の投射型表示装置である。
導光体1003はロッドレンズを組み合わせたものであって、ロッドインテグレーターを形成している。導光体1003の光の入射側に、集光光学系1002と表示部100Rとが配置され、集光光学系1002により集光された表示光を、上記ロッドレンズが受光する構成となっている。また、導光体1003のハーフミラー層1004は、集光光学系1002で集光され、ロッドレンズ内で全反射して伝達される光束を、右眼に向って反射する角度を有している。
表示部100Rは、制御部から伝送された表示信号を、文字や映像などの画像情報として表示することができる。表示された画像情報は、集光光学系1002によって実像から虚像に変換される。
なお、上述した通り、左眼用の光学ユニット1001Lについても、上記実施形態の有機EL装置100が適用された表示部100Lを有し、構成及び機能は上記右眼用の光学ユニット1001Rと同じである。
本実施形態によれば、表示部100L,100Rとして上記実施形態の有機EL装置100が適用されているので、長期間に亘る使用においても白色表示における色度ずれが生じ難い高い信頼性品質を有するシースルー型のHMD1000を提供することができる。
なお、上記実施形態の有機EL装置100が適用されるHMD1000は、両眼に対応した一対の光学ユニット1001L,1001Rを備える構成に限定されず、例えば、片方の光学ユニット1001Rを備える構成であってもよい。また、シースルー型に限定されず、外光を遮光した状態で表示を視認する没入型であってもよい。また、表示部100L,100Rには、上記第2実施形態の有機EL装置200を適用してもよい。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び該電気光学装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)発光画素20Gにおける絶縁層28の構成は、第2絶縁層26に加えて第4絶縁層27bを有する構成であることに限定されない。例えば、第4絶縁層27bに替えて第3絶縁層27aを有する構成としてもよい。すなわち、第3絶縁層27aを発光画素20G,20Rに亘って形成し、第4絶縁層27bを発光画素20Rに対応して形成する構成としてもよい。
(変形例2)発光画素20B,20G,20Rの有機EL素子30B,30G,30Rは、機能層35から白色光が得られる構成に限定されない。有機EL素子30B,30G,30Rのそれぞれから対応する色光が得られる構成であっても本発明を適用することができる。また、カラーフィルター50を備えていない有機EL装置にも本発明を適用することができる。
(変形例3)上記実施形態の有機EL装置100において、反射層は、電源線14を用いて構成されることに限定されない。電源線14とは別に光反射性を有する材料を用いて、電気的に独立した反射層を画素電極31の下層に設けてもよい。これによれば、発光画素20B,20G,20Rに対して反射層を自在に配置することができる。
(変形例4)上記実施形態の有機EL装置100が適用される電子機器は、HMD1000に限定されない。例えば、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、電子ビューファインダー(EVF)、携帯型情報端末などの表示部に好適に用いることができる。
10…素子基板、14…反射層としての電源線、20,20B,20G,20R…発光画素、25…増反射層としての第1絶縁層、26…第2絶縁層、27a…輝度調整層としての第3絶縁層、27m…金属層、28…絶縁層(光路長調整層)、30,30B,30G,30R…有機EL素子、31,31B,31G,31R…画素電極、35…機能層、36…半透過反射層としての対向電極、100,200…有機EL装置、1000…電子機器としてのヘッドマウントディスプレイ(HMD)。

Claims (7)

  1. 反射層と、半透過反射層と、前記反射層と前記半透過反射層との間に設けられた、光路長調整層及び発光機能層をそれぞれに有する赤色画素、緑色画素及び青色画素を備え、
    前記赤色画素、前記緑色画素及び前記青色画素は、前記反射層上に設けられたシリコン酸化膜からなる増反射層を有し、
    前記赤色画素及び前記緑色画素のそれぞれの前記光路長調整層は、光を反射する界面を前記光路調整層内に形成する輝度調整層を含み、前記青色画素の前記光路長調整層は前記輝度調整層を含まず、
    前記赤色画素、前記緑色画素及び前記青色画素により白色発光させたときの前記青色画素における消費電流は、前記赤色画素、前記緑色画素及び前記青色画素における消費電流の合計に対して、35.2%以上52.0%以下であることを特徴とする電気光学装置。
  2. 前記光路長調整層は、透光性の画素電極を含み、
    前記輝度調整層は、前記反射層と前記画素電極との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
  3. 前記輝度調整層は、隣接する層の屈折率よりも屈折率が小さい層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
  4. 前記輝度調整層は、隣接する層の屈折率よりも屈折率が小さい層と、金属層とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
  5. 前記金属層は、Ti、Mo、Ta、Al、Cu、Crの中から選ばれる少なくとも1種の金属または当該金属を含む合金からなることを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
  6. 前記隣接する層は、シリコン窒化膜からなり、
    前記屈折率が小さい層は、シリコン酸化膜からなることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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