JP2019135201A - 光学ガラス - Google Patents
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Description
SiO2成分 30.0〜80.0%、
B2O3成分 1.0〜30.0%及び
Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kの少なくともいずれかである) 1.0〜30.0%であり、
屈折率(nd)が1.47〜1.54、アッベ数(νd)が60〜68の範囲の光学定数を有し、
−30〜+70℃における平均線膨張係数α[×10−7/℃]と、ヤング率E[×108N/m2]と、の積α×Eが60000以下である光学ガラス。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
SiO2成分は、ガラス形成酸化物として欠かすことの出来ない必須成分であり、ガラスの平均線膨張係数を小さくする成分である。また、ガラスの化学的耐久性を高められる成分である。
特に、SiO2成分を30.0%以上含有することで、ガラスの着色を低減でき、耐失透性を高められ、また、化学的耐久性を高めることができる。また、ヤング率を降下させることができる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは40.0%、さらに好ましくは46.0%、さらに好ましくは50.0%、さらに好ましくは55.0%、さらに好ましくは60.0%を下限とする。
一方で、SiO2成分の含有量を80.0%以下にすることで、ガラス転移点や屈伏点の上昇を抑え、且つ屈折率の低下を抑えることができる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは80.0%、より好ましくは78.0%、さらに好ましくは74.0%、さらに好ましくは70.0%、さらに好ましくは65.0%を上限とする。
特に、B2O3成分を1.0%以上含有することで、ガラスの耐失透性を高められ、且つガラスの分散を小さくできる。また、ヤング率を降下させることが出来る。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは1.0%、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは6.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは14.0%を下限とする。
一方、B2O3成分の含有量を30.0%以下にすることで、より高い屈折率を得易くでき、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは22.0%、さらに好ましくは19.0%を上限とする。
特に、この合計量を1.0%以上とすることで、ガラス転移点や屈伏点を下げることができ、また、ガラス作製時の溶融性を向上させることができる。従って、Rn2O成分の質量和は、好ましくは1.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは11.0%、さらに好ましくは12.5%を下限とする。
他方で、この合計量を30.0%以下とすることで、ガラスの屈折率を低下し難くでき、ガラスの化学的耐久性を高めることができ、また、耐失透性を高められる。さらに、ヤング率の大幅な上昇を抑制することができる。従って、Rn2O成分の質量和は、好ましくは30.0%、より好ましくは26.0%、さらに好ましくは22.0%、さらに好ましくは18.0%、さらに好ましくは16.0%を上限とする。
他方で、Li2O成分の含有量を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くでき、ガラスの化学的耐久性を高めることができ、また、耐失透性を高められる。従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは11.0%、さらに好ましくは8.0%を上限とする。
他方で、Na2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くでき、ガラスの化学的耐久性を高めることができ、また、ヤング率の大幅な上昇を抑制することができる。従って、Na2O成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは7.0%、さらに好ましくは4.0%を上限とする。
他方で、K2O成分の含有量を25.0%以下にすることで、ガラスの屈折率を低下し難くでき、ガラスの化学的耐久性を高めることができ、また、ヤング率の大幅な上昇を抑制することができる。従って、K2O成分の含有量は、好ましくは25.0%、より好ましくは23.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは17.0%、さらに好ましくは14.0%、さらに好ましくは9.0%を上限とする。
他方で、Al2O3成分の含有量を23.0%以下にすることで、これらの過剰な含有によるガラスの耐失透性の低下を抑えられ、ガラスの屈伏点の上昇を抑え、また、ガラスの成形時における粘度を低くしてプレス成形し易くすることができる。従って、Al2O3成分の含有量は、好ましくは23.0%、より好ましくは19.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは9.0%を上限とする。
他方で、TiO2の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められ、また、アッベ数の低下を抑えられる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%を上限とする。
他方で、Nb2O5成分及びWO3成分の含有量を各々10.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められ、また、アッベ数の低下を抑えられる。従って、Nb2O5成分及びWO3成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
他方で、ZnO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの平均線膨張係数を小さくすることができる。また、耐失透性の低下を抑えられる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは6.0%、さらに好ましくは4.0%を上限とする。
他方で、MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの平均線膨張係数を小さくすることができる。また、これらの成分の過剰な含有による、屈折率の低下や耐失透性の低下を抑えられる。従って、MgO成分、CaO成分、SrO成分及びBaO成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
他方で、La2O3成分、Gd2O3成分、Y2O3成分及びYb2O3成分の各々の含有量を10.0%以下にすることで、必要以上の屈折率の上昇を抑えられ、また、ガラスの耐失透性を高められる。従って、La2O3成分、Gd2O3成分、Y2O3成分及びYb2O3成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
この和を10.0%以下にすることで、必要以上の屈折率の上昇を抑えられ、また、ガラスの耐失透性を高められる。従って、Ln2O3成分の質量和は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
他方で、P2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの化学的耐久性、特に耐水性の低下を抑えられる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
他方で、ZrO2成分の含有量を10.0%以下にすることで、ZrO2成分の過剰な含有によるガラスの耐失透性の低下を抑えられる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
他方で、高価なTa2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの材料コストが低減されるため、より安価な光学ガラスを作製できる。また、これにより、原料の熔解温度が低くなり、原料の熔解に要するエネルギーが低減されるため、光学ガラスの製造コストをも低減できる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
一方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの耐失透性を高められ、且つ、ガラスの着色を低減して可視光透過率を高められる。
また、TeO2は白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を熔融する際、白金と合金化しうる問題がある。
従って、Bi2O3成分及びTeO2成分の含有量は、それぞれ好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
一方で、SnO2成分の含有量を3.0%以下にすることで、熔融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を低減できる。また、SnO2成分と熔解設備(特にPt等の貴金属)の合金化が低減されるため、熔解設備の長寿命化を図れる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは3.0%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.5%を上限とする。
一方で、Sb2O3成分の含有量が多すぎると、可視光領域の短波長領域における透過率が悪くなる。従って、Sb2O3成分の含有量は、好ましくは2.0%、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは0.5%を上限とする。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、酸化物、炭酸塩、硝酸塩及び水酸化物等の原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1200〜1500℃の温度範囲で2〜4時間熔融し、攪拌均質化した後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
本発明の光学ガラスは、高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。特に、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは60を下限とし、好ましくは68、より好ましくは65を上限とする。このような低分散を有することで、単レンズであっても光の波長による焦点のずれ(色収差)が小さくなる。加えて、このような低分散を有することで、例えば高分散(低いアッベ数)を有する光学素子と組み合わせた場合に、高い結像特性等を図ることができる。
特に、本発明の光学ガラスは、−30〜+70℃における平均線膨張係数α[×10−7/℃]と、ヤング率E[×108N/m2]との積α×Eが60000以下であることが好ましい。
ガラスを急冷させたときに耐えることができる温度差θは、上記α×Eの逆数に比例することが、従来から知られている(Everett又はStott・Irvineの式)。そのため、α×Eの数値の小さなガラスであれば、ガラスをより大きな温度差で急激に温度変化させて熱衝撃を与えても、ガラスへの破損を生じ難くすることができる。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す最も短い波長(λ80)は、好ましくは400nm、より好ましくは370nm、さらに好ましくは350nmを上限とする。
また、本発明の光学ガラスにおける、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す最も短い波長(λ5)は、好ましくは360nm、より好ましくは340nm、さらに好ましくは320nmを上限とする。
これらにより、ガラスの吸収端が紫外領域に入るようになり、可視光に対するガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスを、レンズ等の光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。また、ガラスに入射する光の吸収が減ることで、入射光のエネルギーによって生じる熱が低減されるため、熱衝撃による破損をより生じ難くすることができる。
本発明の光学ガラスの比重は、日本光学硝子工業会規格JOGIS05−1975「光学ガラスの比重の測定方法」に基づいて測定する。
作製された光学ガラスから、例えば研磨加工の手段、又は、リヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスに対して研削及び研磨等の機械加工を行ってガラス成形体を作製したり、光学ガラスから作製したプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
より具体的には、本発明の光学ガラスから形成したガラス成形体は、レーザ光源からの光によって加熱される用途に用いることが好ましい。このような用途としては、レーザプロジェクタや、レーザ光源を備えた輸送機用のヘッドライトが挙げられる。
このうち、レーザプロジェクタとしては、例えば図1に示すような、光源装置1を備えたものを用いることができる。ここで、光源装置1は、レーザ光を射出する光源11と、光源11の光軸上に配置される発光ホイール14と、発光ホイール14を回転駆動するホイールモータ13と、を備え、ホイールモータ13によって発光ホイール14を回転駆動して、光源11からのレーザ光が入射する発光ホイール14から、例えば赤色、青色及び緑色の光を射出することができる。
また、輸送機用ヘッドライト2としては、例えば図2に示すように、レーザ光を射出する光源22と、光源22の光軸上に配置される波長変換要素23と、を備え、光源22からのレーザ光が入射する波長変換要素23から、白色等の所望の色温度を有する光(複数の単色光の重畳によるものを含む)を射出することができる。
より具体的には、本発明の光学ガラスから形成したガラス成形体は、直射日光によって加熱される用途に用いることも好ましい。このような用途としては、車載用のカメラや、輸送機用のヘッドライトが挙げられる。
このうち、車載カメラは、自動車の車体の外方側に搭載されるカメラであって、図3に示すように、車載カメラ用レンズ(撮像レンズ)31と、この車載カメラ用レンズ31が結像する像を撮像する撮像素子(CCD)32と、を有する。このうち、撮像レンズ31は、複数枚のレンズ等の光学素子によって構成され、物点(被写体)側となる第1レンズ31aより被写体からの光束が入射するものである。第1レンズ31aより入射した光束は、第2以降のレンズに順次入射し、撮像素子32の撮像面上において、被写体の像として結像する。
他方で、上述したような輸送機用ヘッドライトの用途でも、車載カメラの用途と同様に、直射日光を受けると急激に加熱されて車体温度が60℃以上に達し、また、雨や洗車の水によって急冷されることで、熱衝撃を受けることがある。
11 光源
12 コリメータレンズ
13 ホイールモータ
14 発光ホイール
15 集光レンズ群
16 コンデンサレンズ
17 導光装置入射レンズ
18 導光装置
2 輸送機用ヘッドライト
22 光源
23 波長変換要素
24 リフレクター
25 シールド要素
26 クーリングフィン
27 集光レンズ
28 カバー部材
29 導光要素
D100 主要放射方向
D200 放射方向
31 撮像レンズ
31a 第1レンズ
32 撮像素子
Claims (3)
- 酸化物基準の質量%で、
SiO2成分 30.0〜80.0%、
B2O3成分 1.0〜30.0%及び
Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kの少なくともいずれかである) 1.0〜30.0%であり、
屈折率(nd)が1.47〜1.54、アッベ数(νd)が60〜68の範囲の光学定数を有し、
−30〜+70℃における平均線膨張係数α[×10−7/℃]と、ヤング率E[×108N/m2]と、の積α×Eが60000以下である光学ガラス。 - 光の照射によって加熱される光学機器に用いられる、請求項1記載の光学ガラス。
- 監視カメラ、アクションカメラ、レーザプロジェクタ、ヘッドライト又は車載用カメラの用途に用いられる、請求項1又は2記載の光学ガラス。
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