以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2は、実施の形態1に係る画像形成装置を示すものである。図1はその画像形成装置の全体の概要を示し、図2はその画像形成装置における要部(作像装置など)を拡大して示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の5色のトナーを用いて画像を形成する画像出力装置2と、連続する記録媒体の一例としての連帳紙(ウエブ)5を供給する供給装置3と、画像出力装置2によって画像が形成された連帳紙5を排出して収容する排出装置4と、排出装置4の上部に設けられ、画像出力装置2、供給装置3及び排出装置4を制御する制御装置100を備えている。なお、符号5は記録媒体の一例としての連帳紙を示すものとして用いる以外に、記録媒体そのものを示す符号としても用いる。
画像出力装置2は、画像情報に基づいて連帳紙5に画像を形成する電子写真方式による画像形成部106を備える。画像形成部106は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する画像形成手段の一例としての複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に連帳紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20で二次転写された連帳紙5上のトナー像を定着させる定着手段の一例としての定着装置40と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の連帳紙5を搬送する搬送手段の一例としての搬送装置60を備えている。
画像出力装置2は、例えば、連帳紙5に形成すべき原稿画像を入力する図示しない画像読取手段としての画像読取装置を追加して装備させた場合にはカラー複写機として構成することができる。図1中、符号2aは画像出力装置2の装置本体を示し、この装置本体2aは支持構成部材、外装カバー等で構成されている。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の5色のトナー像をそれぞれ専用に形成する5つの作像装置10Y,10M,10C,10K,10#1で構成されている。これら5つの作像装置10(Y,M,C,K,#1)は、画像出力装置2の装置本体2aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。
特色(#1)の作像装置10#1で形成されるトナー像の色としては、例えば、視認性が低いトナーである透明トナーCTからなるものが挙げられる。
ここで、視認性が低いとは、人間が視覚を通して認識し難いことをいう。また、記録媒体に対して視認性が低いトナーとは、例えば、記録媒体の色が白色の場合にトナーが当該記録媒体と同一色の白色トナーWTである場合のように、人間が視覚を通じて記録媒体5の色に対して認識し難い色のトナーを意味する。透明トナーCTは、透明であるが故に、記録媒体5自体の色にかかわらずそれ自体が人間の視覚を通して認識し難いと言える。そのため、透明トナーCTは、視認性が低いトナーの代表例である。また、カラーの作像装置10のうち、イエロー(Y)の作像装置10Yで使用されるイエロー色のトナーは、マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の他のカラートナーに比較して人間が視覚を通して認識し難く、視認性が低いトナーと言える。さらに、ブラック(K)色のトナーであっても、記録媒体5の色が同一色であるブラック(K)色である場合には、ブラック(K)色の記録媒体5に対して認識し難い視認性が低いトナーとなる。
各作像装置10は、図2に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づくレーザ光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するよう支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触しない状態で配置されるコロナ放電器等の非接触型の帯電装置で構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11に接触した状態で配置される帯電ロール等の接触型の帯電装置を用いても勿論良い。
露光装置13は、画像出力装置2に入力される画像の情報に応じて構成されるレーザ光LBを、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像出力装置2に任意の手段で入力され、図示しない画像処理装置で画像処理された画像の情報(信号)が送信される。画像処理装置で画像処理される画像情報としては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のフルカラーの画像に、特色(#1)の画像を含めたものが用いられる。なお、露光装置13としては、感光体ドラム11の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム11に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッド等からなるものを用いても良い。
現像装置14(Y,M,C,K,#1)はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を撹拌しながら現像ロール141を通過させるよう搬送するスクリューオーガー等の撹拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材144などを配置して構成されたものである。この現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や撹拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置からの駆動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、上記5色の現像剤4(Y,M,C,K,#1)としては、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。なお、現像装置14(Y,M,C,K,#1)は、筐体140の現像剤4のトナー濃度を検知する図示しないトナー濃度検知手段を備えている。
イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナーT(Y,M,C,K)としては、例えば、図3(a)に示されるように、内部に粒状の色材301や低融点の合成樹脂302、あるいはワックスなどを分散させた通常の熱溶融性樹脂303を有し、その外周を通常の熱溶融性樹脂304で被覆し、外周面に帯電性や清掃性などを調整する機能性微粒子からなる外添剤305を添加したものが用いられる。カラートナーT(Y,M,C,K)の数平均粒子径は、例えば、4〜6μm程度に設定される。
また、特色トナーとして用いられる透明トナーCTは、図3(a)に示されるカラートナーと色材301を含まない点を除いて同様の成分からなるものである。透明トナーCTの数平均粒子径は、例えば、6μm程度に設定される。
一方、特色トナーとして用いられることがある白色トナーWTは、例えば、図3(b)に示されるように、内部に粒状のTiO2などの白色の金属顔料311や結晶性樹脂312、ワックスなどを分散させた通常の熱溶融性樹脂313、あるいは通常の熱溶融性樹脂314を有し、その外周を通常の熱溶融性樹脂315で被覆し、外周面に帯電や清掃性などを調整する機能性微粒子からなる外添剤316を添加したものが用いられる。白色トナーWTは、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の通常のトナーT(Y,M,C,K)と比較して粒径が大きく設定されている。白色トナーWTの数平均粒子径は、例えば、7〜9μm程度に設定される。
なお、磁性キャリアとしては、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の通常のトナーT(Y,M,C,K)、透明トナーCTや白色トナーWTともに同様のものが用いられる。
一次転写装置15は、感光体ドラム11の周面に中間転写ベルト21を介在させて接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体160と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板161と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触して回転するように配置されて残留トナー等の付着物を掻き取って清掃する清掃ブラシ162と、清掃板161及び清掃ブラシ162により取り除かれた付着物を回収する回収部材163等で構成されている。
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)の下方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写手段(像保持体)の一例としての中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内周から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜26と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を連続紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナーや紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27等で構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23,24は中間転写ベルト21の面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール25は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール26はベルト清掃装置27の背面支持ロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置T2において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロール32を備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール32又は中間転写装置20のベルト支持ロール25には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。この実施の形態では、図4に示されるように、中間転写装置20のベルト支持ロール25に給電ロール28を介してトナーの帯電極性と同極性を示す直流の二次転写バイアス電圧が高圧電源装置29により供給されるよう構成されている。なお、高圧電源装置29は、トナーの帯電極性と同極性を示す負極性の正規の二次転写バイアス電圧と、トナーの帯電極性と逆極性を示す正極性の逆転写バイアス電圧とに、切替手段29aによって切り替え可能となっている。高圧電源装置29は、中間転写装置20のベルト支持ロール25に印加する二次転写バイアス電圧の極性及び値が後述する制御装置100によって制御される。
定着装置40は、連帳紙5を導入する導入口及び連帳紙5を送出する送出口を有する図示しない筐体の内部に、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が連帳紙5を加熱する加熱工程を含む所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部(ニップ部)となる。加圧用回転体42は、所要のタイミングで図示しない接離手段によって加熱用回転体41に対して接触又は離間する方向に移動可能に構成されている。
搬送装置60は、連帳紙5を供給する供給装置3、及び連帳紙5を排出する排出装置4、更には画像出力装置2の内部において連帳紙5を搬送する搬送ロール62〜69等から構成されている。
供給装置3は、連続する記録媒体の一例としての普通紙からなる長尺な連帳紙5をロール状に巻き付けた供給ロール61を備える。供給ロール61は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に所要の回転速度で駆動される。連帳紙5は、供給ロール61から供給される。連続する媒体としては、普通紙からなる連帳紙5に限定されるものではなく、連続する合成樹脂製の薄いフィルムやシート、あるいは連続するラベル紙など他の素材からなるものを用いても良い。
供給装置3は、図示しない駆動手段によって回転駆動される供給ロール61以外に、供給ロール61から連帳紙5を画像出力装置2に対して搬送する搬送ロール62,63及び張力付与ロールユニット64を備えている。張力付与ロールユニット64は、固定して配置された一対の固定ロール64a、64cと、固定ロール64a、64cに対して離間する方向に付勢されて連帳紙5に所要の張力を付与する移動ロール64bから構成されている。
二次転写装置30の連帳紙5の移動方向に沿った上流側には、二次転写位置T2に搬送される連帳紙5を支持するプリロール65が配置されている。また、二次転写装置30の連帳紙5の移動方向に沿った下流側には、二次転写位置を通過した連帳紙5を支持するポストロール66が配置されている。
また、画像出力装置2の下流側には、画像出力装置2により画像が形成された連帳紙5を排出して収容する排出装置4が装着されている。排出装置4は、画像出力装置2から排出される連帳紙5に張力を付与する張力付与ロールユニット67及び搬送ロール68,69を備えている。張力付与ロールユニット67は、固定して配置された一対の固定ロール67a、67cと、固定ロール67a、67cから離間する方向に付勢されて連帳紙5に所要の張力を付与する移動ロール67bとから構成されている。また、排出装置4は、図中時計回り方向に回転可能に配置されて連帳紙5をロール状に巻き取る巻取ロール70を備えている。巻取ロール70は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に所要の回転速度で駆動される。
図1中、符号100は、画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御手段の一例としての制御装置を示している。制御装置100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、あるいはこれらCPUやROM等を接続するバス、通信インターフェイスなどを備える。
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1の画像出力装置2による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、画像出力装置2の5つの作像装置10(Y,M,C,K,#1)を使用して、5色(Y,M,C,K,#1)のトナー像を組み合わせて構成される通常のフルカラー画像に特色(#1)のトナー像を加えた画像を形成するときの画像形成動作を説明する。なお、画像出力装置2の5つの作像装置10(Y,M,C,K,#1)を使用して、5色(Y,M,C,K,#1)のうちいずれか1色以上のトナー像を形成するときの画像形成動作も同様である。
画像出力装置2は、制御装置100がユーザインターフェイス104の操作により画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、5つの作像装置10(Y,M,C,K,#1)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)においては、図2に示されるように、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像出力装置2に入力される通常の画像情報を各色成分(Y,M,C,K,#1)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光されるレーザ光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K,#1)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K,#1)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された5色(Y,M,C,K,#1)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10(Y,M,C,K,#1)では、ドラム清掃装置16が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)は次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、供給装置3及び排出装置4では、作像動作に先立ち、必要に応じてユーザーの手作業を介して、供給装置3から画像出力装置2の装置本体2aの内部に連帳紙5が導入され、搬送装置60の搬送ロール62〜69から二次転写装置30及び定着装置40を通って画像出力装置2の装置本体2aの外部に導出され、連帳紙5の先端が排出装置4の巻取ロール70に巻き付けられる。通常の画像形成時、供給装置3から供給された連帳紙5は、搬送装置60を介して画像出力装置2の内部を所要の搬送速度で搬送された後、排出装置4に収容される。
二次転写位置T2においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像を連帳紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された連帳紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール32から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を連帳紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の連帳紙5は、画像出力装置2の装置本体2aの外部に排出され、排出装置4の内部に設けられた巻取ロール70によって巻き取られる。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて形成される通常のフルカラー画像に特色のトナー像を加えた画像が形成された連帳紙5が出力される。
<画像形成装置の特徴部分の構成>
この実施の形態1に係る画像形成装置1では、図1に示されるように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の作像装置10(Y,M,C,K,#1)において、1色以上のトナー像がまったく形成されないか、或いは1色以上のトナー像が相対的に低い画像濃度で連続して形成される場合などがある。このとき、該当する作像装置10(Y,M,C,K,#1)では、感光体ドラム11上にトナー像が形成されないか又は形成されたとしても低濃度のトナー像であり、一次転写後の感光体ドラム11の表面を清掃するドラム清掃装置16に潤滑剤としての役割を果たすトナーが殆ど供給されない状態が生じる。
すると、ドラム清掃装置16にトナーが殆ど供給されない作像装置10(Y,M,C,K,#1)では、図2に示されるように、感光体ドラム11とドラム清掃装置16の清掃板161との間の摩擦力が増大し、清掃板161の摩耗が促進されたり、清掃板161のエッジ部分に欠けや捲れなどの不具合が生じる虞れがある。
また、トナー像が形成されないか又は形成されたとしても低濃度のトナー像しか形成されない作像装置10(Y,M,C,K,#1)では、現像装置14内のトナーが殆ど消費されないため、現像装置14の筐体140内に収容された現像剤4が撹拌搬送部材142,143により過剰な撹拌を受けて劣化する虞れがある。劣化した現像剤4は、通常の現像剤と比較して帯電性などが劣るため、画質の低下を招くこととなる。
そこで、この実施の形態では、図5に示されるように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の作像装置10(Y,M,C,K,#1)において、調整用画像の一例として帯状のトナー画像からなるトナーバンド170を予め定められたタイミングで強制的に形成するよう構成されている。調整用画像とは、ユーザーの画像形成要求に基づいて形成される画像以外の画像をいう。トナーバンド170を形成するタイミングは、予め定められた調整用画像形成時期に設定される。調整用画像形成時期としては、連帳紙5の搬送長などに起因した連帳紙要因に基づく第1の形成時期と、作像装置10(Y,M,C,K,#1)によって作成された画像数などの作像装置10に起因した作像装置要因に基づく第2の形成時期とが挙げられる。第1の形成時期は、例えば、予め定められた長さの連帳紙5に画像を形成するか又は予め定められた数の画像を連帳紙5に形成する毎などである。また、第2の形成時期は、各作像装置(Y,M,C,K,#1)の感光体ドラム11の回転数が予め定められた値に達する毎、各作像装置(Y,M,C,K,#1)において予め定められた濃度以下の画像が所要数だけ連続したときなどである。また、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)において形成されるトナーバンド170の画像濃度は、例えば、感光体ドラム11表面へのトナーの供給性を考慮して中間濃度(濃度50%程度)に設定されるが、これより高い濃度あるいは低い濃度であっても勿論良い。
また、トナーバンド170の感光体ドラム11の回転方向に沿った長さL1は、図5(b)に示されるように、予め定められた値に設定される。トナーバンド170の感光体ドラム11の軸方向に沿った幅W1は、連帳紙5又は中間転写ベルト21の全幅と等しい値に設定される。トナーバンド170は、例えば、連帳紙5の画像領域を除いた非画像領域に対応した位置に形成される。
ただし、トナーバンド170は、後述するように、連帳紙5の画像領域において通常画像が存在しない非作像領域に対応した位置に形成しても良い。ここで、通常画像とは、画像形成装置1を使用するユーザーの画像形成要求に基づいて連帳紙5に形成される画像をいう。ユーザーが連帳紙5に形成する画像は、様々であり、連帳紙5の本来画像が形成されるべき画像領域であってもその全面に必ずしも画像が形成される訳ではなく、画像領域の一部(例えば、中央部や一端部など)にのみ画像を形成する場合がある。この場合、画像領域において画像が形成されない領域は、通常画像が存在しない非作像領域となる。
中間転写ベルト21には、図5(a)に示されるように、通常画像の最大サイズ(A3サイズやA4サイズなど)に対応して連帳紙5の搬送方向に沿った長さがL、連帳紙5の搬送方向と交差する方向に沿った幅がWである設定領域の一例としてのイメージ領域210が設定されている。通常画像211は、中間転写ベルト21のイメージ領域210の内部に作成される。なお、イメージ領域210は、固定されたものであっても良いし、連帳紙5の搬送方向に沿った長さL及び連帳紙5の搬送方向と交差する方向に沿った幅Wが可変のものであっても良い。非画像領域212は、隣接するイメージ領域210間の通常画像211を形成しない領域に位置する。また、非画像領域213,214は、イメージ領域210の中間転写ベルト21の移動方向と交差する方向に沿った上下両端部の通常画像211を形成しない領域にそれぞれ位置している。隣接するイメージ領域210間に位置する非画像領域212は、連帳紙5の搬送方向に沿った長さがL1、連帳紙5の搬送方向と交差する方向に沿った幅がW1の領域である。非画像領域212の長さL1は、例えば、イメージ領域210を可能な限り広く確保するため数mm〜数10mm程度に設定されるが、これよりも長くても良いことは勿論である。
トナーバンド170は、ユーザーが連帳紙5に形成する通常画像211と異なり、画像形成装置1が装置の動作上、必要に応じて各作像装置10(Y,M,C,K,#1)が自動的に形成して中間転写ベルト21に転写される画像であり、ユーザーの画像形成要求に基づかない画像である。調整用画像の例としては、各作像装置10の現像装置14やドラム清掃装置16、あるいは中間転写装置20のベルト清掃装置27などの機能を調整するために形成されるトナーバンド170以外に、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)で形成される画像の位置調整や濃度調整のためのトナー画像(パッチ)などが挙げられる。
ところで、記録媒体が所要のサイズにカットされた所謂カット紙5aである場合は、図6(a)に示されるように、連続して搬送される複数枚のカット紙5aの間にカット紙5aが存在しない非画像領域が必然的に存在する。そのため、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各作像装置10(Y,M,C,K,#1)で形成されて中間転写ベルト21に一次転写されるトナーバンド170は、中間転写ベルト21上の隣接するカット紙5a間に存在する非画像領域に対応した位置に形成することで、中間転写ベルト21と二次転写位置で接触するカット紙5aに転写される虞れがない。
これに対して、従来、記録媒体が連帳紙5である場合には、図6(b)に示されるように、隣接するカット紙5a間のような非画像領域が存在せず、且つイメージ領域210の間に設けられる非画像領域212も狭い。中間転写ベルト21上に形成されたトナーバンド170は、図7に示されるように、二次転写位置において連帳紙5と接触する。その結果、二次転写装置30に逆極性の二次転写バイアス電圧を印加した場合であっても、トナーバンド170の一部、例えば中間転写ベルト21の最上層に位置するブラック(K)のトナーバンド170Kの一部は、連帳紙5の表面に二次転写されてしまい、連帳紙5上に定着されることとなる。
そのため、連帳紙5の非画像領域212にトナーバンド170を形成する場合は、図6(b)に示されるように、画像形成後に所要のサイズに切断された連帳紙5にトナーバンド170が残ることを防止するため、連帳紙5の切断する余白を考慮してトナーバンド170を形成する必要がある。そのため、記録媒体が連帳紙5の場合には、所謂カット紙5aと比較して非画像領域において十分なトナーバンド170を形成することが困難となる。その結果、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各作像装置10(Y,M,C,K,#1)では、トナーバンド170の形成によるトナーの吐き出し量が不足する傾向にあり、ドラム清掃装置16やベルト清掃装置27へのトナー供給不足や現像装置14内で劣化現像剤が発生しやすく、清掃板161の寿命低下や劣化現像剤による画質低下が生じるという技術的課題を有していた。
このような技術的課題は、連帳紙5において顕著であるが、所謂カット紙5aにおいても、画像形成装置1の単位時間あたりに画像形成可能な記録媒体の枚数である所謂生産性を向上させるため、連続して搬送される複数枚のカット紙5aの間隔を狭く設定した場合には、トナーバンド170の形成によるトナーの吐き出し量が不足する傾向があり、同様に生じ得る。
そこで、この実施の形態1では、図5(b)及び図8に示されるように、連帳紙5の非画像領域212に対応した領域においてトナーバンド170を形成する場合、中間転写ベルト21におけるトナーバンド170の最上層の全面に有色トナー及び特色トナーのうち視認性の低いトナーである透明トナーCTからなる画像が全面に位置するよう制御装置100によって制御するよう構成している。ここで、視認性が低いとは、上述したように、人間が視覚を通して認識し難いことを意味している。この実施の形態1において視認性の低いトナーとは、特色(#1)の作像装置10#1で用いられる透明トナーCTである。なお、図5(b)では、透明トナーCTからなるトナーバンド170CTが省略されている。
更に説明すると、この実施の形態1では、制御装置100によって、予め定められたタイミングでイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各作像装置10(Y,M,C,K,#1)において各色のトナーバンド170を形成する。その際、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)で順次形成された各色のトナーバンド170は、図8(a)に示されるように、感光体ドラム11が中間転写ベルト21と接触する一次転写位置においてその一部が中間転写ベルト21に多重に一次転写される。中間転写ベルト21に転写されず感光体ドラム11の表面に残留したトナーバンド170は、図2に示されるように、感光体ドラム11の回転に伴ってドラム清掃装置16へと供給される。そして、感光体ドラム11の表面に残留したトナーバンド170は、ドラム清掃装置16の清掃板161により掻き取られて除去される。
また、中間転写ベルト21に転写されたトナーバンド170は、図8(a)(b)に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)の一次転写位置において順次互いに重ね合された状態で一次転写される。この中間転写ベルト21に多重に一次転写されたトナーバンド170は、基本的に、二次転写位置において連帳紙5に転写されることなく、中間転写ベルト21の回転に伴ってベルト清掃装置27へと移動し、ベルト清掃装置27により掻き取られて除去される。
このとき、中間転写ベルト21に転写されたトナーバンド170は、図5(b)に示されるように、連帳紙5のイメージ領域210の間に対応した非画像領域212に一次転写される。イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)で中間転写ベルト21上に形成されたトナーバンド170の最上層には、特色(#1)の作像装置10(#1)で形成された透明トナーCTからなるトナーバンド170CTが配置される。
そのため、中間転写ベルト21と連帳紙5が接触する二次転写位置では、図8(b)に示されるように、中間転写ベルト21の最上層に位置する透明トナーCTからなるトナーバンド170CTが連帳紙5側に位置している。
<画像形成装置の特徴部分の動作>
この実施の形態1に係る画像形成装置1では、図5(b)に示されるように、制御装置100によって、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各作像装置10(Y,M,C,K,#1)において予め定められた調整用画像作成時期になると各色のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)が形成される。
イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各作像装置10(Y,M,C,K,#1)で形成された各色のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)は、その一部が中間転写ベルト21に一次転写される。この中間転写ベルト21に一次転写されるトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)の量は、一次転写装置15に印加される一次転写バイアスの値を制御することにより調整される。
その際、中間転写ベルト21上に転写されるトナーバンド170は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各作像装置10(Y,M,C,K,#1)を通過する間に、中間転写ベルト21の同一の位置に転写されるように形成されている。そのため、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)で形成された各色のトナーバンド170は、図8(a)に示されるように、中間転写ベルト21上において順次積層された状態で転写される。トナーバンド170の構成は、中間転写ベルト21の表面にイエローのトナーバンド170Yが位置し、イエローのトナーバンド170Y上にマゼンタのトナーバンド170M、シアンのトナーバンド170C、ブラックのトナーバンド170K及び透明のトナーバンド170CTが積層された状態となる。透明のトナーバンド170CTは、他のカラートナー(ブラックも含む)からなるトナーバンド170(Y,M,C,K)と同一の位置に同じ面積を有するように形成される。ただし、透明のトナーバンド170CTは、他のカラートナー(ブラックも含む)からなるトナーバンド170(Y,M,C,K)に比較して画像の面積が予め定められた値だけ大きくなるように設定しても良い。この場合には、他のカラートナー(ブラックも含む)からなるトナーバンド170(Y,M,C,K)が連帳紙5に転写されることがより一層抑制される。
各作像装置10(Y,M,C,K,#1)で形成された各色のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)のうち、感光体ドラム11の表面に残留したトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)は、感光体ドラム11の回転に伴ってドラム清掃装置16へと供給される。
このとき、ドラム清掃装置16へと到達したトナーバンド170は、図2に示されるように、ドラム清掃装置16によって清掃され除去される際に、清掃板161が感光体ドラム11の表面に圧接する圧接領域を通過する。トナーバンド170は、圧接領域において潤滑剤としての役割を果たし、清掃板161と感光体ドラム11表面とが直接的に摺擦することにより、清掃板161に摩耗や捲れ、あるいは欠けが生じることが抑制される。
一方、各作像装置10(Y,M,C,K,#1)で形成された各色のトナーバンドのうち、中間転写ベルト21上に一次転写されたトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)は、図8(b)に示されるように、中間転写ベルト21の移動に伴って当該中間転写ベルト21の表面側から有色トナーであるイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色のトナーバンド170(Y,M,C,K)が互いに重ね合された状態で転写され、最上層に特色(#1)である透明トナーCTからなるトナーバンド170CTが位置するよう互いに重ね合された状態で一次転写される。
中間転写ベルト21上に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び透明のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)は、二次転写位置において連帳紙5と接触する。このとき、二次転写ロール32には、図9に示されるように、制御装置100によって正規の転写バイアス電圧と逆極性の逆転写バイアスが印加される。そのため、連帳紙5には、基本的に、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び透明のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)が転写されない。
しかしながら、二次転写位置において中間転写ベルト21の最上層に位置するトナーバンド170CTは、図8(b)に示されるように、連帳紙5と直接的に接触する。そのため、最上層に位置するトナーバンド170CTを形成するトナーの一部が中間転写ベルト21と連帳紙5との接触により当該連帳紙5に転移する。このとき、連帳紙5に転移するトナーバンド170CTを形成するトナー像は、透明トナーCTからなる。その結果、中間転写ベルト21上に形成されたトナーバンド170が連帳紙5と接触して一部が転写された場合であっても、連帳紙5に転写されるのは、視認性が低いトナーである透明トナーCTとなる。したがって、連帳紙5上において、トナーバンド170CTが目立つことが抑制乃至防止される。
そのため、従来のように、トナーバンド170の外側に余分な切取代を設ける必要がないか又は切取代を小さくすることが可能となり、トナーバンド170は、中間転写ベルト21上の隣接するイメージ領域210の間に位置する非画像領域212の全長L1にわたり形成することができ、トナーバンド170(Y,M,C,K,#1)を形成する領域を拡大することができる。
なお、図5及び図6では、便宜上、中間転写ベルト21上に多重に転写されるトナーバンド170を構成する各色のトナー像を示すため、各色のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)を中間転写ベルト21の移動方向に沿って位置を異ならせて図示しているが、各色のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)は、実際には、図8に示されるように、中間転写ベルト21の同一位置に互いに重ね合された状態で形成されるものである。
[実施の形態2]
この実施の形態2に係る画像形成装置では、中間転写ベルト21上に通常画像の最大サイズに対応して設定された設定領域であって、且つ通常画像を形成しない非作像領域を検出する検出手段を備えるように構成されている。
図10はこの発明の実施の形態2に係る画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
制御装置100は、図10に示されるように、画像形成装置1の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101で実行されるプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)102と、CPU101で実行されるプログラムで使用されるパラメータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)103と、これらCPU101やROM102等を接続する図示しないバスを備えた制御部105を有している。制御部105は、図示しないI/O制御部を介して、画像形成装置1に画像形成条件等を入力するユーザーインターフェイス104や、図示しない原稿の画像を読み取る画像読取装置107、画像読取装置107で読み取られた原稿の画像情報や外部のパーソナルコンピュータ等から入力される画像情報を処理する画像処理装置108、画像読取装置107や画像処理装置108から入力される画像処理が記憶する画像記憶装置109などと接続されている。
この実施の形態2に係る画像形成装置1は、図5(a)に示されるように、調整用画像を形成する際、中間転写ベルト上に通常画像の最大サイズに対応したイメージ領域210が定められる。このイメージ領域210には、ユーザーの希望に応じて入力された通常画像211が形成される。ただし、通常画像211には、種々の画像が存在する。ある画像は、図5(a)及び図11(a)に示されるように、イメージ領域210の中央部にのみ通常画像211が存在し、それ以外のイメージ領域210には、ユーザーの希望に応じた通常画像211が存在しない非作像領域215がある。
CPU101は、図11(b)に示されるように、画像処理装置108において画像情報を画素毎に展開する際に、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)のいずれの画像情報(データ)も存在しない画素を検出する検出手段として機能する。図示の例では、イメージ領域210の中央部に位置する水平方向に沿った長さがLG、縦方向に沿った幅がWGの領域に通常画像211が存在し、それ以外の領域は画素値がすべて「0」であって画像情報が存在しない非作像領域215となっている。
制御装置100のCPU101は、水平方向に沿った長さLG、縦方向に沿った幅WGの通常画像211の領域を検出すると、当該通常画像211の領域以外の領域であって、通常画像211に対して水平方向及び縦方向に予め定められたマージンLM及びWMを除いた長さLB及び幅WBの領域を非作像領域215として検出する。因みに、非作像領域215は、画像データが存在せず、通常画像211の背景としての背景画像も存在しない領域である。
CPU101は、非作像領域215がプロセス方向に沿って予め定められた長さ以上存在するか否かを判定する。そして、CPU101は、非作像領域215がプロセス方向に沿って予め定められた長さ以上存在すると判定した場合、即ち非作像領域215の長さLBが予め定められた長さ以上である場合には、この非作像領域215に調整用画像の一例としてのトナーバンド170を形成するように制御する。
図12に示す例では、本来の隣接するイメージ領域210間に位置する非画像領域212に、隣接するイメージ領域210の中に位置する非作像領域215を加えたL1+2×LBの長さの領域がトナーバンド170の形成領域となる。
また、この実施の形態2では、図13に示されるように、CPU101の制御によって、中間転写ベルト21のイメージ領域210であっても、トナーバンド170が形成される非作像領域215において、二次転写装置30に逆極性の転写バイアスが印加される。
そのため、この実施の形態2では、図14に示されるように、実施の形態1と同様に、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)のうち、透明トナーCTからなるトナーバンド170CTの一部のみが連帳紙5に転写される。したがって、連帳紙5上においても、通常画像211の周囲に透明トナーCTからなるトナーバンド170CTの一部が転写されることとなるが、透明トナーCTは視認性が低いため、通常画像211の画質を低下させることが抑制乃至防止される。
このように、この実施の形態2では、中間転写ベルト21のイメージ領域210においてもトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)を形成することができるため、トナーバンド170(Y,M,C,K,#1)の形成領域を大幅に拡大することが可能となる。
[実施の形態3]
この実施の形態3に係る画像形成装置では、中間転写ベルト21の移動方向と交差する方向に沿った両端部において、実施の形態2と同様にイメージ領域内の通常画像が存在しない非作像領域にトナーバンドを形成するように構成されている。
また、この実施の形態3では、トナーバンドを形成する際に、最上層の透明トナーCTからなるトナーバンド170CTの画像濃度を、他のカラートナーに比較して高く設定するように構成されている。
すなわち、この実施の形態3では、図11(c)に示されるように、CPU101によって、中間転写ベルト21の移動方向と交差する方向に沿った両端部において、イメージ領域210内の通常画像211が存在しない非作像領域223,224を検出する。
そして、CPU101は、図15に示されるように、中間転写ベルト21の移動方向と交差する方向に沿った両端部において、本来的な非画像領域213,214に加えてイメージ領域210内の通常画像211が存在しない非作像領域223,224にわたりイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)を中間転写ベルト21の移動方向に沿って形成するように制御する。
このとき、CPU101は、図16に示されるように、トナーバンド170(Y,M,C,K,#1)を形成する際に、最上層の透明トナーCTからなるトナーバンド170CTの画像濃度を、他のカラートナーに比較して高く設定する。この実施の形態では、例えば、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)のトナーバンド170(Y,M,C,K)の画像濃度を合せて200%に設定した場合、最上層の透明トナーCTからなるトナーバンド170CTの画像濃度が100%に設定される。
中間転写ベルト21上に形成された通常画像211を連帳紙5に二次転写する際には、図15に示されるように、二次転写装置30に正規の二次転写バイアス電圧が印加される。この正規の二次転写バイアス電圧は、中間転写ベルト21上に形成された通常画像211以外に、中間転写ベルト21上に形成されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)にも同様に作用する。
二次転写装置30に印加される二次転写バイアス電圧の値と連帳紙5に転写されるトナー画像の転写率η(%)との関係は、図17に示されるように、中間転写ベルト21上に形成されたトナー画像のトナー量に応じて変化することが知られている。
通常、二次転写装置30に印加される二次転写バイアス電圧の値は、図17に示されるように、中間転写ベルト21上に形成されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)からなる濃度200%のフルカラーのトナー画像が良好に転写される二次転写バイアス電圧V1に設定されている。
これに対して、中間転写ベルト21上にイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)のトナーからなる濃度300%のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)を形成した場合には、二次転写装置30に通常のフルカラーのトナー画像が良好に転写される二次転写バイアス電圧V1を印加したときであっても、トナー画像の転写率η(%)は、フルカラーのトナー画像に比較して1/4〜1/5程度に低下する。
そのため、中間転写ベルト21のイメージ領域210内にイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)のトナーバンド170(Y,M,C,K,#1)を形成し、二次転写装置30に通常の二次転写バイアス電圧V1を印加した場合であっても、連帳紙5に転写されるトナーバンド170を最上層の透明トナーCTからなるトナーバンド170CTの一部に抑制することが可能となる。
このように、この実施の形態3では、中間転写ベルト21上において当該中間転写ベルト21の移動方向と交差する方向に沿った両端部又は一方の端部にトナーバンド170を、中間転写ベルト21の移動方向に沿って長尺に形成することができ、トナーバンド170(Y,M,C,K,#1)の形成領域を拡大することが可能となる。
[実施の形態4]
この実施の形態4に係る画像形成装置1は、調整用画像としてトナーバンドではなく、画像の位置を調整するための位置検知用のトナー像や画像の濃度を調整するための濃度検出用のトナー像を形成するように構成されている。
すなわち、実施の形態4に係る画像形成装置1では、図18に示されるように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各作像装置10(Y,M,C,K,#1)において、調整用画像として画像の位置及び画像の濃度を調整するイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)及び特色(#1)の各色のレジずれ検知用パッチ180及び濃度検出用パッチ190が形成される。各作像装置10(Y,M,C,K,#1)で形成されたレジずれ検知用パッチ180及び濃度検出用パッチ190は、一次転写装置15によって中間転写ベルト21上に通常画像と同様に一次転写される。
ところで、この実施の形態4においては、図19に示されるように、中間転写ベルト21上に転写される有色トナーからなるレジずれ検知用パッチ180及び濃度検出用パッチ190の最上層に、視認性が低いトナーとして透明トナーからなるレジずれ検知用パッチ180CT及び濃度検出用パッチ190CTが位置するよう一次転写される。
中間転写ベルト21上に転写された各色のレジずれ検知用パッチ180及び濃度検出用パッチ190は、図20に示されるように、透明トナーを用いた作像装置10#1の中間転写ベルト21の移動方向に沿った上流側に配置された第2の検出手段としての画像センサー400によって検出される。
そのため、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のレジずれ検知用パッチ及び濃度検出用パッチは、透明トナーが積層されていない状態で画像センサー400によって検出される。
その後、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のレジずれ検知用パッチ及び濃度検出用パッチ上には、作像装置によって白色トナーが積層される。白色トナーが積層された各色のレジずれ検知用パッチ及び濃度検出用パッチは、二次転写位置において連帳紙に接触する。
しかしながら、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のレジずれ検知用パッチ及び濃度検出用パッチ上には、白色トナーからなる画像が転写されている。そのため、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のレジずれ検知用パッチ180及び濃度検出用パッチ190が連帳紙5に接触する場合であっても、最上層に位置する白色トナーからなる画像が、連帳紙5に転写される。そのため、有色トナーからなるレジずれ検知用パッチ180及び濃度検出用パッチ190が中間転写ベルトに接触することがあっても、有色トナーからなるレジずれ検知用パッチ180(Y,M,C,K)及び濃度検出用パッチ190(Y,M,C,K)が連帳紙5に転写されるのを防止乃至抑制することができる。
したがって、この実施の形態4では、連帳紙5上において有色トナーからなるレジずれ検知用パッチ180及び濃度検出用パッチ190が目立つことがない。
なお、前記実施の形態では、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナーバンドを中間転写ベルトの表面に重ね合わせた状態で形成した場合について説明したが、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナーバンドを中間転写ベルトの表面に沿って位置を異ならせて形成しても良い。この場合においても、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各色のトナーバンドの最上層には、視認性の低いトナーからなるトナーバンドが形成されることは勿論である。