図1を参照しつつ、実施例に係る測距装置10の構成について説明する。測距装置10は、対象物OBまでの距離を光学的に計測する測距装置である。具体的には、測距装置10は、所定の空間領域、すなわち、走査対象領域Rに向かって光を照射する。また、測距装置10は、当該光が対象物OBによって反射された光を受光し、当該対象物OBとの距離を計測、すなわち測距する。
光源20は、例えばパルス光を出射可能なレーザダイオード等の発光素子であり、出射部として機能する。
光学系OSは、パルス光L1の光路上に設けられている。光学系OSは、例えばコリメータレンズ等の光学部材を含む光学系であり、光源20から出射されたパルス光L1を平行光に変換する。
パルス光L1の光路上には、ビームスプリッタBSが設けられている。具体的には、光源20から出射されたパルス光L1は、光学系OSによって平行光に変換され、ビームスプリッタBSを透過する。ビームスプリッタBSは、ビームスプリッタBSに入射される入射光を所定の方向に透過又は反射するように配置されている。本実施例においては、ビームスプリッタBSは光源20から出射されたパルス光L1を透過するようになっている。
MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー装置30は、パルス光L1の光路上に設けられている。具体的には、パルス光L1は、光学系OS及びビームスプリッタBSを透過した後にMEMSミラー装置30に照射される。MEMSミラー装置30は、パルス光L1を反射する反射表面30Sを有する。反射表面30Sは、例えば、パルス光L1を反射する光反射膜からなっている。
MEMSミラー装置30は、パルス光L1を反射部材で反射させて走査光L2を生成する。また、MEMSミラー装置30は、反射部材を揺動させることで走査光L2の出射方向を連続的に変化させる。
光源制御部13は、光源20を駆動する駆動回路である。光源制御部13は、光源20からパルス光L1を出射するタイミングテーブル(図示せず)を有している。光源制御部13は、タイミングテーブルを参照して、光源20に駆動信号を提供する。
走査制御部14は、MEMSミラー装置30の反射部材を揺動させるための駆動信号を生成し、生成した駆動信号をMEMSミラー装置30に供給する。
MEMSミラー装置30は、走査制御部14が生成した駆動信号に基づいて反射部材が揺動する。従って、パルス光L1がMEMSミラー装置30によって反射される方向、すなわち照射方向が逐次変化する。このように、MEMSミラー装置30は、パルス光L1を反射させて走査光L2を生成する。具体的には、後述する仮想面SS1のうちの第1の領域へ向けて照射する走査光を第1走査光として生成する。また、後述する仮想面SS1のうちの第2の領域へ向けて照射する走査光を第2走査光として生成する。すなわち、光源20及びMEMSミラー装置30は、所定の照射方向に向けて走査光L2を走査する光走査部として機能する。
走査対象領域Rは、互いに離間して配された第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rbを有する。第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rbは、例えば、MEMSミラー装置30の反射部材の揺動軸に沿った方向に互いに離間している。
反射鏡部40は、MEMSミラー装置30によって生成される走査光L2の照射範囲、すなわち、走査光L2が通る光路上に配されている鏡部材である。
反射鏡部40は、MEMSミラー装置30と対向する面に反射面41を有している。走査光L2は、反射鏡部40の反射面41によって反射されて、走査対象領域Rに向けて出射される。従って、反射鏡部40は、走査光L2の光路を制御する光路制御部(反射部)として機能する。
尚、本実施例においては、MEMSミラー装置30から出射された走査光L2は、直接的に反射鏡部40に照射される。しかし、MEMSミラー装置30から出射された走査光L2は、間接的に反射鏡部40に照射されるようにしてもよい。例えば、MEMSミラー装置30から出射された走査光L2は、ミラー等の光学部材を介して反射鏡部40に照射されるようにしてもよい。すなわち、走査光L2が間接的に反射鏡部40に照射される場合、反射鏡部40は、MEMSミラー装置30と対向する面に反射面41を有していなくてもよい。
ここで、図1には、走査対象領域R内におけるMEMSミラー装置30から所定の距離だけ離れた仮想の面が走査対象面Sとして示されている。走査対象面Sは、第1の走査領域Ra側に配される第1の走査面Saと、第2の走査領域Rb側に配される第2の走査面Sbと、を有する。尚、走査対象面Sは実在するわけではなく、本実施例の説明のために図示したものである。
MEMSミラー装置30から出射される走査光L2の出射方向は、MEMSミラー装置30の反射表面30Sの搖動によって時間の経過と共に連続的に変化する。従って、走査対象面Sにおいて出射光L3の軌跡が描かれることになる。尚、走査光L2の反射鏡部40に対する照射範囲は、MEMSミラー装置30の反射部材が揺動可能な角度範囲に応じて定まる。
走査対象領域Rの出射光L3の光路上に対象物OB(出射光L3を反射する性質を持った物体)が存在する場合、出射光L3が対象物OBで反射される。
出射光L3が対象物OBで反射された反射光L4は、反射鏡部40の反射面41で再び反射されMEMSミラー装置30に入射する。MEMSミラー装置30の反射表面30Sで反射された反射光L4は、ビームスプリッタBSで再び反射され受光部50に入射する。
受光部50は、ビームスプリッタBSによって反射される反射光L4の光路上に配されている。受光部50は、受光部50に入射された光の強度に基づいた受光信号を生成する光検出器である。このような光検出器としては、アバランシェフォトダイオード等の受光素子を用いることができる。
ビームスプリッタBSによって反射された反射光L4は、受光部50によって受光信号に変換される。変化された受光信号は、測距部60に供給される。
測距部60は、光源20が出射したパルス光L1と、受光部50が受光した反射光L4に基づいて、受光部50と対象物OBとの間の距離を計測する。例えば、測距部60は、信号処理回路を含み、演算によって対象物OBの距離データを算出する。距離データを算出する例としては、タイムオブフライト法を用いることができる。
具体的には、光源制御部13は、光源20がパルス光L1を出射した時刻(タイミング)を含む出射信号を測距部60に供給する。また、受光部50が生成する受光信号には、反射光L4を受光したタイミングが含まれている。測距部60は、光源20がパルス光L1を出射したタイミングと、受光部50が反射光L4を受光したタイミングと、の差に基づいて、測距装置10から対象物OBまでの距離を計測する。
図2A及び図2Bを参照しつつ、MEMSミラー装置30の構成例について説明する。図2Aは、MEMSミラー装置30の模式的な上面図である。図2Bは、図2AのV−V線に沿った断面図である。
図2A及び図2Bに示すように、固定部31は、固定基板B1及び固定基板B1上に形成された環状の枠体である固定枠B2を含む。図2Bに示すように、固定基板B1は、固定基板B1の上面B1Sに、固定枠B2と対向する領域に枠状の平面形状を有する突出部B1Pを有しており、突出部B1P上に固定枠B2が載置されている構成になっている。
可動部32は、固定枠B2の内側に配されており、揺動板SYと、揺動板SYを囲む揺動枠SXとを含んでいる。反射部材としての揺動板SY上には、円形の光反射膜33が設けられている。以下、光反射膜33の上面、すなわち反射表面30Sの中心をACとして説明する。
揺動枠SXは、第1のトーションバーTXによって固定枠B2に接続されている。第1のトーションバーTXは、反射表面30Sの中心ACを通りかつ反射表面30Sの面内方向に伸長する第1の揺動軸AXに沿って伸長する一対の長板状の構造部分である。揺動枠SXに揺動軸AX周りの力がかかると、第1のトーションバーTXがねじれ、揺動枠SXは第1の揺動軸AXを中心に、すなわち第1の揺動軸AXを揺動中心軸として揺動する。揺動枠SXは、第1の揺動軸AXを中心に線対称な形状を有している。
揺動板SYは、第2のトーションバーTYによって、揺動枠SXに接続されている。第2のトーションバーTYは、光反射膜の中心ACを通り、反射表面30Sの面内方向に伸長しかつ第1の揺動軸AXと直交している第2の揺動軸AYに沿って伸長する一対の長板状の構造部分である。揺動板SYに揺動軸AY周りの力がかかると、第2のトーションバーTYがねじれ、揺動板SYは第2の揺動軸AYを中心に、すなわち第2の揺動軸AYを揺動中心軸として揺動する。揺動板SYは、揺動軸AYを中心に線対称な形状を有している。
従って、揺動板SYは、互いに直交する揺動軸AX及びAYを中心に揺動するようになっている。この揺動板SYの揺動によって、反射表面30Sの向く方向が変化するようになっている。
上述したように、可動部32は固定枠B2に接続されており、固定部B2は固定基板B1の突出部B1P上に載置されている構成になっている。従って、可動部32は、固定基板B1の上面B1Sから離間している。そして、揺動枠SXが揺動軸AX周りに揺動し、揺動板SYが揺動軸AY周りに揺動すると、可動部32が固定枠B2に対して傾斜するように揺動する。突出部B1Pは、可動部32が当該揺動によって上面B1Sに接触しない十分な高さで形成されている。なお、例えば、固定枠B2及び可動部32は、1の半導体基板から加工して形成された一体構造であり得る。
駆動力生成部34は、固定基板B1上の突出部B1Pの外側に配置された永久磁石MG1及び永久磁石MG2と、揺動枠SX上において揺動枠SXの外周に沿って引き回された金属配線(第1のコイル)CXと、揺動板SY上において揺動板SYの外周に沿って引き回された金属配線(第2のコイル)CYとを含む。
永久磁石MG1は、揺動軸AX上に配されかつ、可動部32を挟んで対向するように設けられた一対の磁石片である。また、永久磁石MG2は、揺動軸AY上に配されかつ、可動部32を挟んで対向するように設けられた一対の磁石片である。従って、本実施例においては、4つの磁石片が、可動部32を囲むように夫々配置されている。
また、永久磁石MG1を構成する2つの磁石片は、互いに反対の極性を示す部分が対向するように配置されている。同様に、永久磁石M2を構成する2つの磁石片は、互いに反対の極性を示す部分が対向するように配置されている。
走査制御部14は、金属配線CX及びCYに接続されている。走査制御部14は、金属配線CX及びCYに電流(駆動信号)を供給する。駆動力生成部34は、当該駆動信号の印加によって、可動部32の揺動枠SX及び揺動板SYを揺動させる電磁気力を生成する。
具体的には、金属配線CXに電流が流れると、当該電流と、揺動軸AYに沿った方向に配置された永久磁石MG1の2つの磁石片によって生じた磁界との相互作用によって、揺動枠SXに揺動軸AX周りの力がかかる。それによって、第1のトーションバーTXが揺動軸AX周りにねじれ、揺動枠SXが揺動軸AXを中心に揺動する。
また、金属配線CYに電流が流れると、当該電流と、揺動軸AXに沿った方向に配置された永久磁石MG2の2つの磁石片による磁界との相互作用によって、揺動板SYに揺動軸AY周りの力がかかる。それによって、第2のトーションバーTYが揺動軸AY周りにねじれ、揺動板SYが揺動軸AYを中心に揺動する。
ここで、図1において走査対象領域Rは、第1の走査領域Raと第2の走査領域Rbを有する。第1の走査領域Raと第2の走査領域Rbとは互いに離間していることを説明した。当該領域Ra,Rb間の離間の方向は、後述する反射鏡部40の屈曲(すなわち、後述する第2の反射面41Rと第1の反射面41Lの走査対象領域Rに対する向き)によって決定され、例えばMEMSミラー装置30の揺動軸AX周りに沿った方向と揺動軸AY周りに沿った方向などに離間させることができる。本実施例において、第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rbは、MEMSミラー装置30の揺動方向の1つである第1の揺動軸AXに沿った方向に対して領域を有している。
図3は、MEMSミラー装置30から走査光L2が出射される態様を示している。図3において、パルス光L1は、MEMSミラー装置30に入射すると、反射表面30Sで反射して走査光L2が生成される。
反射鏡部40は、MEMSミラー装置30から見て照射方向にある空間領域に配されている。ここで、MEMSミラー装置30に電圧が印加されていないときの揺動板SYの位置を基準位置とする。パルス光L1が、揺動板SYの基準位置において、反射表面30Sで反射された走査光L2の光軸を光軸AZとする。
図3において、MEMSミラー装置30から出射される走査光L2の出射方向であって、反射鏡部40の反射面41の裏側には、仮想面SS1が示されている。仮想面SS1と反射鏡部40との間には、走査光L2が反射鏡部40を透過するものと仮定した場合の走査光L2である透過光L2’が描かれている。尚、仮想面SS1及び透過光L2’は実在するわけではなく、本実施例の説明のために図示したものである。
仮想面SS1は、互いに隣接する第1の領域と第2の領域を有している。第1の領域は、本実施例においては、第1の反射面41Lを透過した透過光L2’が照射される領域である。また、第2の領域は、本実施例においては、第2の反射面41Rを透過した透過光L2’が照射される領域である。
図4は、MEMSミラー装置30がリサージュ走査で走査する際に走査制御部14が生成する駆動信号DX及びDYと、これに基づいてMEMSミラー装置30が走査する走査光L2の走査軌跡との関係を模式的に示している。
以下の説明において、駆動信号DXは、走査制御部14によって生成されて金属配線CXに供給される駆動信号として説明する。これによって、揺動枠SXが揺動軸AX周りに揺動する。また、駆動信号DYは、走査制御部14によって生成されて金属配線CYに供給される駆動信号として説明する。これによって、揺動板SYが揺動軸AY周りに揺動する。
また、以下の説明において、駆動信号DX及び駆動信号DYの振幅はすべて同等(図中、AMP=1)であるものとしている。
図4において(a)は、図3に示した仮想面SS1において描かれる透過光L2’の走査軌跡TRを示している。図中のAX1及びAY1は、MEMSミラー装置30の揺動軸AX及び揺動軸AYにそれぞれ対応している。すなわち、MEMSミラー装置30の揺動軸AX周りの揺動は、仮想面SS1におけるAY1に沿った方向の走査位置の変化に対応する。また、MEMSミラー装置30の揺動軸AY周りの揺動は、仮想面SS1におけるAX1方向の走査位置の変化に対応する。
図4の(b)は、図4(a)に示したリサージュ走査の際の駆動信号DXの波形を模式的に示している。図4の(b)の駆動信号DXは、A1及びB1を定数とし、θ1を変数としたとき、DX(θ1)=A1sin(θ1+B1)の式で示される正弦波の信号である。変数θ1は、駆動信号DXが、MEMSミラー装置30の第1のトーションバーTXによって固定枠B2に支持されている揺動枠SX及び揺動板SYの固有振動数に対応し、これらを共振させる周波数の正弦波となるように設定される。
図4の(c)は、図4(a)に示したリサージュ走査の際の駆動信号DYの波形を模式的に示している。駆動信号DYは、A2及びB2を定数とし、θ2を変数としたとき、DY(θ2)=A2sin(θ2+B2)の式で示される正弦波の信号である。変数θ2は、駆動信号DYが、MEMSミラー装置30の揺動板SYの固有振動数に対応し、これを共振させる周波数の正弦波となるように設定される。
従って、揺動枠SX及び揺動板SYは、駆動信号DXによって揺動軸AX周りに共振しつつ揺動させられる。すなわち、揺動軸AX周りに共振モードの動作モードで駆動される。また、揺動板SYは、駆動信号DYによって揺動軸AY周りに共振しつつ揺動させられる。従って、揺動板SYは、揺動軸AX周りに揺動し、かつ揺動軸AY周りに揺動する。揺動板SYの揺動に応じて、光反射膜33の向く方向が変化する。従って、光源20から出射されたパルス光L1は光反射膜33に反射され、揺動板SYの揺動に応じて出射方向を変化させつつ走査光L2として反射鏡部40に向けて出射される。
図4(a)に示すように、上述のように揺動板SYが揺動軸AX及び揺動軸AYの周りに共振しつつ揺動する。従って、透過光L2’の仮想面SS1における照射点(スポット位置)の軌跡TRは、リサージュ曲線に沿って描かれる。
仮想面SS1の軸AX1に沿った方向の端部領域は、軌跡の密度が高い密領域が形成されている。仮想面SS1の軸AX1に沿った方向の中央付近に配される中央領域は、軌跡の密度が低い疎領域が形成されている。すなわち、端部領域から中央領域に近づくにつれて当該端部領域よりも軌跡同士の間隔が広くなっている。さらに、パルス光L1を等間隔で出射する場合、端部領域では中央領域に比べて走査速度が遅くなるため空間的なパルス光の間隔も、端部領域では密度が高く、中央領域では密度が低くなる。
図3に戻って、反射鏡部40は、反射面41に垂直でありかつ、光軸AZに沿った断面がV字状に形成されている。具体的には、反射鏡部40は、反射鏡部40の中心MCを通りかつ、光軸AZに対して交わる軸AMに沿って屈曲している。すなわち、反射鏡部40は、軸AMに沿って形成された屈曲部42を有している。
反射鏡部40のMEMSミラー装置30に対向する面には反射面41が設けられている。反射面41は、光反射膜からなっている。反射面41は、MEMSミラー装置30の反射表面30Sと対向するように配されている。
反射鏡部40の反射面41は、第1の第1の反射面41Lと第2第2の反射面41Rとを有している。第1の反射面41Lは、MEMSミラー装置30と対向する一方の面に設けられている。第2の反射面41Rは、MEMSミラー装置30と対向する他方の面に設けられている。
第1の反射面41Lは、MEMSミラー装置30と対向する他方の面に設けられている。尚、本実施例において第1の反射面41L、第2の反射面41Rは、軸AMと軸AZを含む面に対して対象となるように設けられている。
図5は、反射鏡部40の軸AMに沿った方向から見た反射鏡部40で反射された走査光L2の態様を示している。図中の矢印の太さは、軌跡の密度に応じている。すなわち、太い矢印は軌跡の密度が高いことを示し、細い矢印は軌跡の密度が低いことを示している。また、第1の反射面41Lに向かう走査光L2を第1走査光L2Fとし、第2の反射面41Rに向かう走査光L2を第2走査光L2Sとする。
図5において、MEMSミラー装置30の揺動軸AY周りの揺動板SYの最大揺動角において出射される2つの走査光L2のうち、一方の最大揺動角において出射された走査光L2Sの射線をL2Rとし、他方の最大揺動角において出射された走査光L2Fの射線をL2Lとする。
走査光L2の射線L2R及び射線L2Lは、それぞれ反射面41の屈曲部42に対して離れた位置(すなわち、反射面41の外側)に向けて照射される。
本実施例において、反射面41の2つの第1の反射面41Lと第2の反射面41Rとは、互いに対する角度のうちMEMSミラー装置30に対向する角度D1が平角(180度)よりも大きくなっている。
その結果、反射鏡部40で反射された出射光L3が走査対象領域Rに向けて出射される際、第1の反射面41Lで反射した出射光L3の光路は、走査対象領域Rのうち第1の走査領域Raに向かう。また、第2の反射面41Rで反射した出射光L3の光路は、第2の走査領域Rbに向かう。
なお、角度D1の大きさが、第1の走査領域Raと第2の走査領域Rbとの間隔を規定し、角度D1が大きいほど両領域Ra、RBの間隔は広くなる。また、MEMSミラー装置30の反射鏡部40に対する照射角度θの大きさ(すなわち、MEMSミラー装置30の反射表面30Sの搖動角度の大きさ)は、第1の走査領域Raと第2の走査領域Rbの大きさに反映される。
なお、本実施例において、第1の反射面41Lで反射した出射光L3の光路は、直接的に第1の走査領域Raに向かうように設定される。しかし、第1の反射面41Lで反射した出射光L3の光路直接的に第1の走査領域Raに向かう光路でなくてもよい。例えば、反射鏡部40と第1の走査領域Raとの間にミラー等の光学部材を設けて、第1の反射面41Lで反射した出射光L2が第1の走査領域Raに向かうように間接的に光路を設定してもよい。
同様に、第2の反射面41Rで反射した出射光L3の光路は、直接的に第2の走査領域Rbに向かう光路でなくてもよい。例えば、反射鏡部40と第2の走査領域Rbとの間にミラー等の光学部材を設けて出射光L3が第2の走査領域Rbに向かうように間接的に光路を設定してもよい。
図6は、軸AMに沿った方向から見た反射鏡部40で反射された出射光L3の出射態様を示している。図中の矢印の太さは、軌跡の密度に応じている。すなわち、太い矢印は軌跡の密度が高いことを示し、細い矢印は軌跡の密度が低いことを示している。
図6において、走査対象面Sと反射鏡部40との距離に比べると、MEMSミラー装置30と反射鏡部40との距離は非常に短い。従って、巨視的に見れば反射鏡部40、すなわち光出射点から出射しているといえる。
反射鏡部40で反射された走査光L2は、走査対象面Sに向けて出射光L3として出射される。具体的には、走査光L2が第1の反射面41Lで反射した出射光L3は、第1の走査領域Raに向けて照射される。同様に、走査光L2が第2の反射面41Rで反射した出射光L3は、第2の走査領域Rbに向けて照射される。
図7は、図6の走査対象面Sにおいて照射される出射光L3の軌跡を示している。図7において、走査対象面Sは、反射面41の第2の反射面41Rで反射された出射光L3によって走査軌跡が描かれる領域S1Lと、反射面41の第1の反射面41Lで反射された出射光L3によって走査軌跡が描かれる領域S1Rと、を示している。
すなわち、MEMSミラー装置30に対向する、第1の反射面41Lと第2の反射面41Rとの角度D1が180度以上となるように、反射面41が屈曲することにより、異なる方向にある第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rbが走査される。
ところで、走査光L2は所定の太さを有するため、例えば反射鏡部40の屈曲部42に走査光L2を照射すると、第2の反射面41R及び第1の反射面41Lの両方に走査光L2が照射されることになる。具体的には、走査光L2の半分が第2の反射面41Rに、残りの半分が第1の反射面41Lに照射される。このような場合、多方向に走査光L2が反射され、走査対象領域Rの特定の位置のみに出射光L3を照射することが困難となる。従って、光源制御部13は、屈曲部42に対して走査光L2を照射しないように制御するとよい。
また、本実施例においては、反射鏡部40は1の矩形の板状体で一体として構成されるものであった。しかし、反射鏡部40はこのような構成に限られず、例えば、第2の反射面41Rを有する第1の部材と、第1の反射面41Lを有する第2の部材と、をそれぞれ配置して構成してもよい。
このようにして反射鏡部40を構成した場合であっても、上述のように例えば反射鏡部40の第1の部材と第2の部材の接合面に形成される屈曲部42に走査光L2を照射すると、第2の反射面41R及び第1の反射面41Lの両方に走査光L2が照射されることになる。このため、走査対象領域Rの特定の位置のみに出射光L3を照射することが困難となる。
従って、上記同様に光源制御部13は、屈曲部42に対して走査光L2を照射しないように制御するとよい。またこのような不具合を防止するために、第1の部材と第2の部材との間を少なくとも走査光L2のスポット径以上の間隔を有して設けるとよい。
以上のように、本発明の測距装置10は、MEMSミラー装置30から出射された走査光L2を反射鏡部40で反射させて走査対象領域Rを走査する。
また、反射鏡部40の反射面41は、第1の反射面41L及び第2の反射面41Rを有する。MEMSミラー装置30に対向する、第1の反射面41Lと第2の反射面41Rとの角度D1が180度以上となるように、設定されているため、第1の反射面41Lで反射した出射光L3の光路は、走査対象領域Rのうち第1の走査領域Raに向かうように設定されている。また、第2の反射面41Rで反射した出射光L3の光路は、第1の走査領域Raから離隔した位置にある第2の走査領域Rbに向かうように設定されている。
従って、MEMSミラー装置30は、その光反射面30Sの第1の揺動軸AX又は第2の揺動軸AY周りの最大揺動角で走査光L2を出射して走査対象領域Rを走査した場合では走査できない領域である、第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rbを走査することが可能となる。この結果、互いに離間した2つの領域を1の走査装置で走査することが可能となる。
なお、実施例においてMEMSミラー装置30の揺動板SYの最大揺動角、もしくは揺動板SXの最大揺動角において出射される2つの走査光をL2R、L2Lとしたが、パルス光L1は最大揺動角付近では出射せず、最大揺動角より小さな最大出射角以内において出射することも否定しない。この場合、最大出射角において出射される2つの走査光をL2R、L2Lと読み替えても良い。
尚、走査対象領域Rの第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rb間の領域については、例えば、他の測距装置によって走査することにより測距を行ってもよい。このようにすることで、例えば、走査対象領域Rの第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rb間の領域の走査を行うと共に、第1の走査領域Ra及び第2の走査領域Rbの走査を同時に行うことが可能となり、より広範囲に及ぶ走査及び測距が可能となる。