JP2019132032A - 半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料、半たわみ性舗装用セメントミルク及び半たわみ性舗装 - Google Patents

半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料、半たわみ性舗装用セメントミルク及び半たわみ性舗装 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的強度が高い半たわみ性舗装、この半たわみ性舗装を形成可能な流動性を有する半たわみ性舗装用セメントミルク及びこの半たわみ性舗装用セメントミルクの固形原料である半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料を提供する。【解決手段】半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料は、セメントと、シリカヒュームと、骨材と、固形混和剤と、を含む。半たわみ性舗装用セメントミルクは、前記半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料と、混練り水と、を含む。半たわみ性舗装は、内部に空隙を有する開粒度アスファルト混合物と、前記半たわみ性舗装用セメントミルクの硬化物であり、前記開粒度アスファルト混合物の空隙内に含まれるセメントミルク硬化物と、を備える。【選択図】なし

Description

本発明は、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料、半たわみ性舗装用セメントミルク及び半たわみ性舗装に関する。
半たわみ性舗装は、空隙率20〜25%程度の開粒度アスファルト混合物と、この開粒度アスファルト混合物の空隙内に含まれるセメントミルク硬化物とを有する。セメントミルク硬化物は、開粒度アスファルト混合物の空隙内に浸透したセメントミルクの硬化物である。半たわみ性舗装は、アスファルトの高いたわみ性とコンクリートの高い剛性とを複合的に活用した舗装であり、アスファルト舗装よりも強度が高く、コンクリート舗装よりも交通開放までの時間が短い、という好ましい特性を有する。
半たわみ性舗装は、上記好ましい特性を有するため、例えば、バス、トラック駐車帯の舗装に用いられる。しかし、従来の半たわみ性舗装には、ひび割れやわだち掘れ等の破損が早期に発生する場合があるという問題があった。
これに対し、特許文献1には、セメント量55wt%以上で、細骨材等を含み、セメントミルクの水粉体比が42wt%以下の半たわみ性舗装用注入材、及びこれを用いた半たわみ性舗装が開示されている。
特開2016−190766号公報
しかしながら、特許文献1に記載された半たわみ性舗装は、機械的強度が十分でないという問題があった。また、半たわみ性舗装の施工においては、開粒度アスファルト混合物の空隙へのセメントミルクの充填率が高いことが好ましい。このため、セメントミルクは流動性の高いことが好ましい。また、セメントミルクの原料が固形原料であると、例えば工場でプレミックスされたセメントミルクの固形原料と、混練り水と、を施工現場で混合するだけでセメントミルクを作製可能であるため、取扱い性や作業効率に優れる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、機械的強度が高い半たわみ性舗装、この半たわみ性舗装を形成可能な流動性を有する半たわみ性舗装用セメントミルク及びこの半たわみ性舗装用セメントミルクの固形原料である半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料は、セメントと、シリカヒュームと、骨材と、固形混和剤と、を含むことを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、前記半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料と、混練り水と、を含むことを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る半たわみ性舗装は、内部に空隙を有する開粒度アスファルト混合物と、前記半たわみ性舗装用セメントミルクの硬化物であり、前記開粒度アスファルト混合物の空隙内に含まれるセメントミルク硬化物と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、機械的強度が高い半たわみ性舗装、この半たわみ性舗装を形成可能な流動性を有する半たわみ性舗装用セメントミルク及びこの半たわみ性舗装用セメントミルクの固形原料である半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料を提供することができる。
本実施形態に係る半たわみ性舗装は、半たわみ性舗装用の開粒度アスファルト混合物と、セメントミルク硬化物と、を備える。このセメントミルク硬化物は、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクの硬化物である。また、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料と混練り水とを含む。以下、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料、半たわみ性舗装用セメントミルク及び半たわみ性舗装について説明する。
[半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料]
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料は、セメントと、シリカヒュームと、骨材と、固形混和剤と、を含む。なお、コンクリート舗装用の混和剤には、固形のものと液状のものとがあるが、本実施形態の固形混和剤は、固形の混和剤を意味する。
(セメント)
本実施形態で用いられるセメントは、セメントミルクを硬化させる。セメントの種類としては特に限定されない。セメントとしては、通常、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超速硬セメントが用いられ、好ましくは普通ポルトランドセメントが用いられる。普通ポルトランドセメントは、夏季において作業時間の確保が容易であるため好ましい。
セメントは、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に好ましくは30〜70質量部含まれ、より好ましくは40〜60質量部含まれる。半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中のセメントの含有量が上記範囲内にあると、高い強度発現性を付与可能であるため好ましい。
(シリカヒューム)
本実施形態で用いられるシリカヒュームは、セメントミルク中の成分の分離を防止するとともに、セメントミルク硬化物の強度を増進させる。シリカヒュームとしては、通常、SiOの含有量が85質量%以上、粒子径が10μm以下の微粒子が用いられる。シリカヒュームの粒子径は、好ましくは0.5μm以下である。シリカヒュームの粒子径が上記範囲内にあると、セメントミルク中の成分の分離防止効果及びセメントミルク硬化物の強度増進効果が高いため好ましい。
シリカヒュームは、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に好ましくは3〜20質量部含まれ、より好ましくは5〜15質量部含まれる。半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中のシリカヒュームの含有量が上記範囲内にあると、セメントミルク中の成分の分離防止効果及びセメントミルク硬化物の強度増進効果がより高くなるため好ましい。
(骨材)
本実施形態で用いられる骨材は、セメントミルク中のセメントやシリカヒュームとともに硬化してセメントミルク硬化物に強度を付与する。骨材としては、粒子径が、通常0.1〜1.2mm、好ましくは0.15〜0.6mmの範囲内にある細骨材が用いられる。ここで、粒子径0.1〜1.2mmとは、骨材が、一辺1.2mmの正方形の目を有するふるいを通過するが、一辺0.1mmの正方形の目を有するふるいを通過しないことを意味する。骨材の粒子径が上記範囲内にあると、セメントミルクの流動性を低下させずにセメントミルク中の骨材の分離を防止することができるため好ましい。
骨材の材質としては、例えば、硅砂、砕砂、川砂等のシリカ系骨材、粉砕石灰石等のカルシウム系骨材が用いられる。このうち、硅砂は、粒径の範囲の選択が容易であるとともに乾燥しているため、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料のプレミックス用に好適であるため好ましい。
骨材は、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に好ましくは25〜55質量部含まれ、より好ましくは35〜45質量部含まれる。半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中の骨材の含有量が上記範囲内にあると、セメントミルクの流動性を低下させずに骨材の分離をより強く防止することができるため好ましい。
(固形混和剤)
本実施形態で用いられる固形混和剤は、セメントミルクに種々の特性を付与する。固形混和剤としては、例えば、高性能減水剤、高性能AE減水剤等の減水剤、消泡剤等が用いられる。
減水剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸塩系減水剤、メラミン樹脂スルホン酸塩系減水剤、ポリカルボン酸塩系減水剤等が用いられる。このうち、ポリカルボン酸塩系減水剤は、減水効果が高いためセメントミルク硬化物の圧縮強度が向上し、かつセメントミルクの流動性が高くなるため好ましい。
消泡剤としては、例えば、ポリエーテル系消泡剤、シリコン系消泡剤、鉱物油系消泡剤、及び界面活性剤系消泡剤等が用いられる。このうち、ポリエーテル系消泡剤及び界面活性剤系消泡剤は、消泡効果が高いためセメントミルク硬化物の強度が向上するとともに、セメントミルクの流動性の低下が抑制されるため好ましい。
本実施形態で用いられる固形混和剤は、減水剤及び消泡剤の1種以上からなると、セメントミルクの流動性が高くなり、かつセメントミルク硬化物の圧縮強度が高くなるため好ましい。
固形混和剤が減水剤を含む場合、減水剤は、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に好ましくは0.2〜0.4質量部含まれ、より好ましくは0.3〜0.4質量部含まれる。半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中の減水剤の含有量が上記範囲内にあると、セメントミルク中の骨材等の材料の分離を起こさずにセメントミルクの流動性が高く、かつセメントミルク硬化物の圧縮強度が高くなるため好ましい。
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料は、上記セメントと、シリカヒュームと、骨材と、固形混和剤とを混合することにより得られる。上記セメント、シリカヒューム、骨材、及び固形混和剤は、全て紛体等の固形材料からなるため、これらを混合して得られる本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料も紛体等の固形原料となる。このため、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料によれば、工場でプレミックスしても取扱いが容易な紛体等の固形原料が得られる。この本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料は、現場で混練り水と混合することにより、容易に後述の本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクを製造することができる。
(効果)
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料によれば、取扱いが容易で、工場でプレミックス可能な、紛体等の固形原料が得られる。本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料によれば、混練り水と混合することにより、養生時間が短くて済む本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクを容易に製造することができる。
[半たわみ性舗装用セメントミルク]
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、上記本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料と、混練り水と、を含む。
混練り水としては、通常、水道水が用いられる。なお、必要により、混練り水として、純水、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。混練り水の水温は、例えば、5〜35℃とする。水温がこの範囲内にあると、半たわみ性舗装用セメントミルクの流動性が低下しにくいため作業時間を確保することができ、かつセメントミルク硬化物の圧縮強度のバラツキが小さいため好ましい。
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、混練り水の質量をセメントミルク固形原料の質量で除して得られる水/セメント比が、好ましくは16〜26%、より好ましくは18〜24%であり、さらに好ましくは19〜21%である。水/セメント比が、上記範囲内にあると、半たわみ性舗装用セメントミルクの高い流動性と、セメントミルク硬化物の高い機械的強度とを、両立することができるため好ましい。
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料と、混練り水とを混合することにより得られる。半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料と、混練り水との混合方法は、特に限定されないが、例えば、半たわみ性舗装を施工する現場で混合方法が用いられる。本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、従来の半たわみ性舗装用セメントミルクに比較して、養生時間が短い。このため、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクによれば、施工効率を従来の半たわみ性舗装用セメントミルクに比較して向上させることができる。
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、そのまま放置すると硬化してセメントミルク硬化物が得られる。また、内部に空隙を有する半たわみ性舗装用の開粒度アスファルト混合物の前記空隙内に本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクを浸透させ、放置すると、前記空隙中でセメントミルク硬化物が生成して、本実施形態に係る半たわみ性舗装が得られる。
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクから得られるセメントミルク硬化物は、材齢7日で、圧縮強度が通常50N/mm以上、好ましくは55N/mm以上である。また、このセメントミルク硬化物は、材齢7日で、曲げ強度が通常6N/mm以上、好ましくは6.5N/mm以上である。ここで、材齢7日とは、半たわみ性舗装用セメントミルクが硬化してセメントミルク硬化物が得られた時点から7日経過した時を意味する。
本実施形態に係る半たわみ性舗装を構成する開粒度アスファルト混合物は、後述のように空隙率が20〜28%である。例えば、開粒度アスファルト混合物の空隙率が25%のとき、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクの開粒度アスファルト混合物の空隙への充填率は、通常70%以上、好ましくは80%以上である。
(効果)
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、養生時間が短い。このため、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクによれば、施工効率を従来の半たわみ性舗装用セメントミルクに比較して向上させることができる。
本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、従来の半たわみ性舗装用セメントミルクに比較して、水/セメント比が1/2程度であり大幅に小さい。このため、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクによれば、従来に比較して混練り水の使用量を大幅に少なくすることができる。
また、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクは、混練り水の使用量が大幅に少なくても流動性が高い。このため、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクによれば、開粒度アスファルト混合物の空隙内への充填率が高くなる。
さらに、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクから得られるセメントミルク硬化物の圧縮強度、曲げ強度等の機械的強度が高い。このため、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクによれば、開粒度アスファルト混合物の空隙内にセメントミルク硬化物を形成することにより、機械的強度の高い半たわみ性舗装が得られる。
[半たわみ性舗装]
本実施形態に係る半たわみ性舗装は、内部に空隙を有する開粒度アスファルト混合物と、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクの硬化物であり、前記開粒度アスファルト混合物の空隙内に含まれるセメントミルク硬化物と、を備える。
本実施形態に係る半たわみ性舗装は、例えば、内部に空隙を有する開粒度アスファルト混合物の前記空隙内に本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクを浸透させ、養生して、前記空隙中でセメントミルク硬化物が生成することにより得られる。半たわみ性舗装用セメントミルクからセメントミルク硬化物を得るための養生時間は、例えば1日以上、好ましくは3日以上である。
(開粒度アスファルト混合物)
本実施形態で用いられる開粒度アスファルト混合物としては、公知の開粒度アスファルト混合物が用いられる。ここで、開粒度アスファルト混合物とは、粗骨材、細骨材、フィラー、アスファルトからなる加熱アスファルト混合物で、合成粒度における2.36mmふるい通過分が15〜30%の範囲にあり、内部に空隙を有するものを意味する。
開粒度アスファルト混合物としては、例えば、175℃で養生した骨材及びポリマー改質アスファルトII型を、アスファルト量3.4%になるように175〜181℃で混合し、160〜166℃で締固めたものを用いることができる。
本実施形態で用いられる開粒度アスファルト混合物は、空隙率が好ましくは20〜28%、より好ましくは23〜25%である。空隙率が上記範囲内にあると、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクが開粒度アスファルト混合物の空隙に浸透しやすいため好ましい。
本実施形態に係る半たわみ性舗装は、上記開粒度アスファルト混合物と、この開粒度アスファルト混合物の空隙内に含まれるセメントミルク硬化物と、を備える。セメントミルク硬化物は、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクの硬化物である。本実施形態に係る半たわみ性舗装を構成するセメントミルク硬化物は、例えば、開粒度アスファルト混合物の空隙内に、本実施形態に係る半たわみ性舗装用セメントミルクを浸透させ、硬化させることにより得られる。
半たわみ性舗装を構成するセメントミルク硬化物は、圧縮強度及び曲げ強度が高い。セメントミルク硬化物の圧縮強度は、例えば、50N/mm以上である。セメントミルク硬化物の曲げ強度は、例えば、6.0N/mm以上である。
(効果)
本実施形態に係る半たわみ性舗装によれば、機械的強度の高い半たわみ性舗装が得られる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、以下の材料を用いた。
(セメント)
・太平洋セメント株式会社製普通ポルトランドセメント
(シリカヒューム)
・エルケム・ジャパン株式会社製シリカヒューム、商品名マイクロシリカ(粒子径0.5μm以下)
(骨材)
・株式会社ニッチツ製秩父硅砂(粒子径0.15〜0.6mm)
(固形混和剤)
・花王株式会社製ポリカルボン酸塩系減水剤、商品名マイティ21P
・株式会社アデカ製消泡剤B−111F
(混練り水)
・水道水
[実施例1]
(半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料の調製)
普通ポルトランドセメント、シリカヒューム、硅砂、ポリカルボン酸塩系減水剤、及び消泡剤を表1に示す配合比率(質量部)で混合して、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料を調製した(試料No.A1)。
Figure 2019132032
(半たわみ性舗装用セメントミルクの調製)
各層の容量が200Lの縦型2層のグラウトミキサーを用いて半たわみ性舗装用セメントミルクを調製した。具体的には、グラウトミキサー内に混練り水としての水道水16質量部を投入した後、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料(試料No.A1)を100質量部を投入した。そして、グラウトミキサーの上層で2.5分間混合し、下層で2.5分間混合することにより、合計5分間混合し、半たわみ性舗装用セメントミルクを調製した(試料No.B1)。半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)の水/セメント比は、16質量部/100質量部より16(%)であった。表1に、水道水と試料No.A1との配合比率、及び水/セメント比を示す。
(半たわみ性舗装用セメントミルクの分離抵抗性)
また、半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)の分離抵抗性を目視観察した。半たわみ性舗装用セメントミルクの分離抵抗性は目視判断で行い、分離なしを○、少し分離がありを△、著しい分離ありを×で評価した。試料No.B1は、○であった。結果を表1に示す。なお、上記○、△及び×の評価基準は、以下の実施例における分離抵抗性の評価においても同様に適用する。
(半たわみ性舗装用セメントミルクの充填性)
半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)をポーラスアスファルト合材に施工し、ポーラスアスファルト合材中の空隙に浸透させることにより、半たわみ性舗装用セメントミルクの充填性を評価した。はじめに、ポーラスアスファルト合材として、空隙率25%のポーラスアスファルト混合物からなる縦300mm×横300mm×厚さ50mmの板状体を用意した。次に、ポーラスアスファルト合材の縦300mm×横300mmの平面全面から、半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)を浸透させて充填率を測定した。具体的には、はじめに、ポーラスアスファルト合材の縦300mm×横300mmの平面全面に半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)を供給し、ポーラスアスファルト合材中に存在する半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)の容積Vを、ポーラスアスファルト合材中の全空隙容積Vで除することにより、充填率(%)を算出した。
充填性の評価は、充填率80%以上を○、充填率70%以上80%未満を△、充填率70%未満を×で評価した。試料No.B1の充填性は×であった。結果を表1に示す。なお、上記○、△及び×の評価基準は、以下の実施例における充填性の評価においても同様に適用する。
(セメントミルク硬化物の曲げ強度)
「舗装調査・試験法便覧 C042 半たわみ性舗装用浸透用セメントミルクの曲げ強度試験方法」(公益社団法人 日本道路協会、平成19年6月)に準じてセメントミルク硬化物の曲げ強度を測定した。
<曲げ強度試験機の用意>
上記「半たわみ性舗装用浸透用セメントミルクの曲げ強度試験方法」に準じて、曲げ強度試験機を用意した。具体的には、スパン長100mmで配置された2個の支持用ロールを有する荷台と、1個の荷重ロールとを備え、2点支持中央1点載荷が可能な曲げ強度試験機を用意した。また、2個の支持用ロール、及び荷重ロールは、それぞれ、先端部が断面φ8mmのU字状の曲面を有する支持部及び荷重部を有する部材とした。
<曲げ強度供試体の作製>
上記「半たわみ性舗装用浸透用セメントミルクの曲げ強度試験方法」に準じて曲げ強度供試体を作製した。具体的には、型枠内に半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)を流し込み、縦40mm×横40mm×長さ160mmの四角柱状のセメントミルク硬化物(試料No.C1)を作製した。そして、これを材齢7日のセメントミルク硬化物(試料No.C1)を曲げ強度供試体とした。
<曲げ強度の測定>
上記曲げ強度試験機及び曲げ強度供試体を用い、曲げ強度(σ)(N/mm)を測定した。曲げ強度(σ)(N/mm)は、下記式(1)により算出した。
曲げ強度(σ)=3PL/2bh ・・・(1)
(P:最大荷重(N)、L:曲げ強度供試体支点間長さ100(mm)、b:曲げ強度供試体の幅40(mm)、h:曲げ強度供試体の厚さ40(mm))
曲げ強度の評価は、曲げ強度6.5N/mm以上を○、曲げ強度6.0N/mm以上6.5N/mm未満を△、曲げ強度6.0N/mm未満を×で評価した。試料No.C1の圧縮強度は○であった。結果を表1に示す。なお、上記○、△及び×の評価基準は、以下の実施例における曲げ強度の評価においても同様に適用する。
(セメントミルク硬化物の圧縮強度)
JIS R5201 「セメントの物理試験方法」(1997年)の附属書2「セメントの試験方法−強さの測定」の「9.3 圧縮強さ試験」に準じてセメントミルク硬化物の圧縮強度を測定した。
<圧縮強度試験機の用意>
上記附属書2の「4.2.7 圧縮強さ試験機」に準じて圧縮強度試験機を用意した。具体的には、下記圧縮強度供試体の長手方向の側面を構成する幅40mmの4個の表面のうち対向する2個の表面を幅40mm×長さ40mmの矩形状に押圧可能な、上部圧縮板及び下部圧縮板を備えた圧縮強度試験機を用意した。
<圧縮強度供試体の用意>
上記附属書2の「9.1 一般」に準じて、圧縮強度供試体を用意した。具体的には、上記曲げ強度の測定の際に折られた後の曲げ強度供試体(折片)のうち、型枠側面に面していた縦40mm×横40mmの面を含む部材を圧縮強度供試体として用意した。
<圧縮強度の測定>
上記圧縮強度試験機及び圧縮強度供試体を用い、上記附属書2の「9.3 圧縮強さ試験」に準じ、圧縮強度(R)(N/mm)を測定した。具体的には、上記圧縮強度供試体の長手方向の側面を構成する幅40mmの4個の表面のうち対向する2個の表面を、上部圧縮板及び下部圧縮板で挟み込んで幅40mm×長さ40mmの矩形状に押圧することにより圧縮強度供試体を破壊した。そして、下記式(2)により圧縮強度(R)(N/mm)を算出した。
圧縮強度(R)=F/A ・・・(2)
(F:破壊時の最大荷重(N)、A:圧縮強度試験機の圧縮板が圧縮強度供試体を加圧する面積(=40(mm)×40(mm)=1600(mm))
圧縮強度の評価は、圧縮強度55N/mm以上を○、圧縮強度50N/mm以上55N/mm未満を△、圧縮強度50N/mm未満を×で評価した。試料No.C1の圧縮強度は○であった。結果を表1に示す。なお、上記○、△及び×の評価基準は、以下の実施例における圧縮強度の評価においても同様に適用する。
[実施例2〜23]
(半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料の調製)
普通ポルトランドセメント、シリカヒューム、硅砂、ポリカルボン酸塩系減水剤及び消泡剤の配合比率を表1及び表2に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料を調製した(試料No.A2〜A23)。
Figure 2019132032
(半たわみ性舗装用セメントミルクの調製)
表1及び表2に示す材料及び配合比で、半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料(試料No.A2〜A23)と混練り水としての水道水とを配合した以外は、実施例1の半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)と同様にして、半たわみ性舗装用セメントミルクを調製した(試料No.B2〜B23)。表1及び表2に、水/セメント比を示す。
(半たわみ性舗装用セメントミルクの分離抵抗性及び充填性)
半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)に代えて、半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B2〜B23)を用いた以外は、実施例1と同様にして、分離抵抗性及び充填性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(セメントミルク硬化物の圧縮強度及び曲げ強度)
半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B1)に代えて、半たわみ性舗装用セメントミルク(試料No.B2〜B23)を用いた以外は、実施例1と同様にして、セメントミルク硬化物を作製し、圧縮強度及び曲げ強度を評価した。結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2より、半たわみ性舗装用セメントミルクの水/セメント比が特に18〜24%であると、分離抵抗性、充填性、圧縮強度及び曲げ強度が良好であることが分かる。
以上、本発明を実施形態によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。

Claims (10)

  1. セメントと、
    シリカヒュームと、
    骨材と、
    固形混和剤と、
    を含むことを特徴とする半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料。
  2. 前記セメントは、前記半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に30〜70質量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料。
  3. 前記シリカヒュームは、前記半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に3〜20質量部含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料。
  4. 前記骨材は、粒子径が0.1〜1.2mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料。
  5. 前記骨材は、前記半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に25〜55質量部含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料。
  6. 前記固形混和剤は、減水剤及び消泡剤の1種以上からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料。
  7. 前記減水剤は、前記半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料100質量部中に0.2〜0.4質量部含まれることを特徴とする請求項6に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料と、
    混練り水と、
    を含むことを特徴とする半たわみ性舗装用セメントミルク。
  9. 前記混練り水の質量を前記半たわみ性舗装用セメントミルク固形原料の質量で除して得られる水/セメント比が、16〜26%であることを特徴とする請求項8に記載の半たわみ性舗装用セメントミルク。
  10. 内部に空隙を有する開粒度アスファルト混合物と、
    請求項8又は9に記載の半たわみ性舗装用セメントミルクの硬化物であり、前記開粒度アスファルト混合物の空隙内に含まれるセメントミルク硬化物と、
    を備えることを特徴とする半たわみ性舗装。
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