JP2019130959A - 操舵制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両が旋回走行中である場合に、記憶されている転舵側中点と正転舵側中点との間のずれを判定できる操舵制御装置を提供する。【解決手段】操舵制御装置は車速Vが車速閾値Vmin以上である場合(ステップS1のYES)、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であるか否か(ステップS2)、および第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上であるか否かを判定する(ステップS3)。操舵制御装置は目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり(ステップS2のYES)、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である(ステップS3のYES)状況が継続する継続時間Tが規定時間Tmin以上である場合(ステップS4のYES)、記憶部に記憶されている転舵側中点が正転舵側中点からずれているものとして、転舵側中点補正要求を生成する(ステップS5)。【選択図】図5
Description
本発明は、操舵制御装置に関する。
従来、クラッチによって、運転者により操舵される操舵部と転舵輪を転舵させる転舵部との間の動力伝達を分離したステアバイワイヤ方式の操舵装置が知られている。この操舵装置は、ステアリングホイールの操舵反力の発生源である操舵側モータと、転舵輪を転舵させる転舵力の発生源である転舵側モータと、操舵側モータの回転角を検出する操舵側の回転角センサと、転舵側モータの回転角を検出する転舵側の回転角センサと、操舵側モータおよび転舵側モータを制御する操舵制御装置とを備えている。
操舵制御装置は、クラッチが切断状態にあるとき、ステアリングホイールに付与される操舵トルクに基づいて、操舵側モータを通じて操舵反力を発生させるとともに、転舵側モータを通じて転舵力を発生させている。操舵制御装置は、転舵輪の中立位置に対応することになる転舵側モータの回転角としてのモータ中点(以下、「転舵側中点」という。)を記憶するメモリを有している。操舵制御装置は、たとえば転舵側の回転角センサの検出値からメモリに記憶されている転舵側中点を減算することにより、転舵角を演算する。操舵制御装置は、この転舵角を用いて転舵側モータの駆動を制御する。
ところで、メモリに記憶されている転舵側中点に対応する転舵角を演算して転舵側モータを制御した場合、転舵輪は中立位置となるように配置されることが正しい。しかし、操舵装置の各構成部材の寸法公差や転舵側中点を記憶するメモリの不具合などに起因して、メモリに記憶されている転舵側中点と、上述の本来あるべき正しい転舵側中点(以下、「正転舵側中点」という。)との間にずれが生じることがある。記憶されている転舵側中点と正転舵側中点との間にずれが生じると、記憶されている転舵側中点に基づいて演算される転舵角についても本来あるべき正しい転舵角と異なることになる。この場合、たとえば運転者がステアリングホイールを中立位置に保持しても、転舵輪が中立位置からずれる。
このため、特許文献1の操舵装置では、転舵角センサの検出結果からみて車両が直進走行している場合に、操舵用アクチュエータの出力が零でないとき、転舵角センサの中点ずれを検出している。
特許文献1の操舵装置では、記憶されている転舵側中点と正転舵側中点との間の中点ずれの検出は、転舵角センサの検出結果からみて車両が直進走行中であるというような特定のタイミングでなければできない。なお、ステアバイワイヤ式の操舵装置に限らず、電動パワーステアリング装置などの他の操舵装置においても、同様の課題が生じる。
本発明の課題は、操舵制御装置において、車両が旋回走行中である場合に、記憶されている転舵側中点と正転舵側中点との間のずれを判定することにある。
上記課題を解決する操舵制御装置は、運転者により操舵される操舵部と、転舵輪を転舵させる転舵部と、前記操舵部に接続されてステアリングホイールに操舵反力を付与する操舵側モータと、前記転舵部に接続されて前記転舵輪を転舵させる転舵力を付与する転舵側モータと、前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点を基準として、前記転舵輪の転舵角に換算可能な回転角を検出する回転角センサと、を備える操舵装置を制御対象とする操舵制御装置において、前記ステアリングホイールの操作に基づいて前記操舵反力の目標値である目標操舵反力を演算し、前記ステアリングホイールの操舵角が前記転舵輪の転舵限界に対応して設定される前記ステアリングホイールの操舵限界に近づく場合に、前記ステアリングホイールの前記操舵角が前記操舵限界を超えないように前記目標操舵反力を高めるように演算する目標操舵反力演算部と、前記目標操舵反力に基づいて前記操舵側モータへ付与する電流の目標値である第1電流指令値を演算する第1電流指令値演算部と、前記ステアリングホイールの操作に基づいて前記転舵輪の前記転舵角に換算可能な角度の目標となる角度指令値を演算する角度指令値演算部と、前記角度指令値に基づいて前記転舵側モータへ付与する電流の目標値である第2電流指令値を演算する第2電流指令値演算部と、前記転舵側中点を示す転舵中点情報を記憶する記憶部と、車両の走行中において、前記角度指令値演算部により演算される前記角度指令値と前記回転角センサにより検出される前記回転角を用いて求められる前記角度との偏差に基づいて、前記記憶部に記憶されている転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定する判定部と、を備える。
この構成では、転舵中点情報に基づく転舵側中点を基準として、転舵角に換算可能な角度が演算され、当該角度の制御を通じて転舵輪の転舵角を制御することになる。転舵中点情報に基づく転舵側中点が転舵部の中立位置に対応する正しい転舵側中点からずれている場合には、ステアリングホイールの操舵角が操舵限界に達するよりも前に、すなわち目標操舵反力を高めることによりステアリングホイールの操舵が規制されるよりも前に、転舵輪の転舵角が転舵限界に達することがある。この場合、角度指令値に基づいて転舵側モータを駆動させたとしても、転舵輪の転舵角が転舵限界に達しているために、転舵角に換算可能な角度を角度指令値へ向けて変化させることができない。その結果、角度指令値演算部により演算される角度指令値と回転角センサにより検出される回転角を用いて求められる角度との間に偏差が生じることとなる。そのため、車両の旋回走行中において、この偏差に基づいて、転舵中点情報に基づく転舵側中点が転舵部の中立位置に対応する正しい転舵側中点からずれていると判定することができる。
上記の操舵制御装置において、前記判定部は、車両の走行中において、前記角度指令値演算部により演算される前記角度指令値と前記回転角センサにより検出される前記回転角を用いて求められる前記角度との偏差がある場合、前記転舵側モータに供給される電流に関する値が、前記転舵角が前記転舵輪の転舵限界に達したことに起因する電流に基づいて設定される電流閾値よりも大きいとき、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定することが好ましい。
この構成によれば、転舵中点情報に基づく転舵側中点が転舵部の中立位置に対応する正しい転舵側中点からずれている場合には、目標操舵反力を高めることによりステアリングホイールの操舵が規制されるよりも前に、転舵輪の転舵角が転舵限界に達することがある。この場合、角度指令値に基づいて転舵側モータを駆動させたとしても、転舵輪の転舵角が転舵限界に達しているために、転舵角に換算可能な角度を角度指令値へ向けて変化させることができない。そして、角度指令値と転舵角に換算可能な角度との偏差を無くすように転舵側モータに電流を付与するものの、その偏差はなくならないから、転舵側モータにさらに大きな電流を付与することとなる。これにより、転舵輪の転舵角が転舵限界に達したことに起因して、転舵側モータには電流閾値よりも大きな電流が流れる。そのため、車両の旋回走行中において、角度指令値と転舵角に換算可能な角度との偏差がある場合、転舵側モータへ付与する電流が電流閾値よりも大きいことに基づいて、転舵中点情報に基づく転舵側中点が転舵部の中立位置に対応する正しい転舵側中点からずれているとより的確に判定することができる。
上記の操舵制御装置において、前記判定部は、車両の走行中において、前記角度指令値演算部により演算される前記角度指令値と前記回転角センサにより検出される前記回転角を用いて求められる前記角度との偏差がある場合、前記角度指令値と前記角度との偏差がある状況が継続する時間が規定時間を超えているとき、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定することが好ましい。
この構成によれば、転舵中点情報に基づく転舵側中点が転舵部の中立位置に対応する正しい転舵側中点からずれている場合には、目標操舵反力を高めることによりステアリングホイールの操舵が規制されるよりも前に、転舵輪の転舵角が転舵限界に達することがある。この場合、角度指令値に基づいて転舵側モータを駆動させたとしても、転舵輪の転舵角が転舵限界に達しているために、転舵角に換算可能な角度を角度指令値へ向けて変化させることができない。そして、角度指令値と転舵角に換算可能な角度との偏差を無くすように転舵側モータに電流を付与するものの、その偏差はなくならないから、転舵側モータにさらに大きな電流を付与し続けることとなる。そのため、車両の旋回走行中において、角度指令値と転舵角に換算可能な角度との偏差がある状況が継続する時間が規定時間を超えることに基づいて、転舵中点情報に基づく転舵側中点が転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれているとより的確に判定することができる。
上記の操舵制御装置において、前記記憶部は、前記操舵部の中立位置に対応する操舵側中点を示す操舵中点情報を記憶するものであり、前記判定部により前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定された場合、車両が停車中にあることが検出されることを条件として、前記転舵中点情報を前記操舵中点情報に、時間に応じて徐々に近付けることにより、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点を補正する補正部を備えることが好ましい。
この構成によれば、操舵制御装置は転舵側中点を示す転舵中点情報に加えて操舵側中点を示す操舵中点情報を記憶している。操舵制御装置は、操舵中点情報を用いて、転舵中点情報を補正することができる。また、転舵中点情報を操舵中点情報に時間に応じて徐々に近付けることにより、転舵側中点の補正に際して生じるモータの駆動を緩やかにでき、転舵側中点の補正に際して運転者に違和感を与えることが抑制されている。
上記の操舵制御装置において、前記記憶部は、前記操舵部の中立位置に対応する操舵側中点を示す操舵中点情報を記憶するものであり、前記判定部により前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定された場合、車両が走行中にあることが検出されることを条件として、前記転舵中点情報を前記操舵中点情報に、前記操舵部に付与される操舵トルクに応じて徐々に近づけることにより、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点を補正する補正部を備えることが好ましい。
この構成によれば、操舵制御装置は転舵側中点を示す転舵中点情報に加えて操舵側中点を示す操舵中点情報を記憶している。操舵制御装置は、操舵中点情報を用いて、転舵中点情報を補正することができる。また、転舵中点情報を操舵中点情報に操舵トルクに応じて徐々に近付けることにより、転舵側中点の補正に際して生じるモータの駆動を緩やかにでき、転舵側中点の補正に際して運転者に違和感を与えることが抑制されている。
本発明の操舵制御装置によれば、車両が旋回走行中である場合に、記憶されている転舵側中点と正転舵側中点との間のずれを判定できる。
以下、操舵制御装置をステアバイワイヤ方式の操舵装置に適用した一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両の操舵装置1は、運転者により操舵される操舵部2、および運転者によるステアリングホイール11の操舵に応じて転舵輪17,17を転舵させる転舵部3を備えている。操舵部2と転舵部3との間は機械的に分離されている。
図1に示すように、車両の操舵装置1は、運転者により操舵される操舵部2、および運転者によるステアリングホイール11の操舵に応じて転舵輪17,17を転舵させる転舵部3を備えている。操舵部2と転舵部3との間は機械的に分離されている。
操舵部2は、ステアリングホイール11に連結されたステアリングシャフト12を有している。
転舵部3は、第1ピニオンシャフト13、第1ラックアンドピニオン機構14、および転舵シャフト15を有している。第1ピニオンシャフト13は、ステアリングシャフト12におけるステアリングホイール11と反対側の部分に設けられている。第1ピニオンシャフト13は第1ラックアンドピニオン機構14を構成し、その下端部は第1ピニオンシャフト13に対して交わる方向へ延びる転舵シャフト15に連結されている。第1ラックアンドピニオン機構14は、第1ピニオンシャフト13の第1ピニオン歯13aが転舵シャフト15の第1ラック歯15aに噛み合うことにより構成されている。第1ラックアンドピニオン機構14により転舵シャフト15は、往復移動可能に支持されている。転舵シャフト15の両端は、それぞれタイロッド16,16を介して、左右の転舵輪17,17に連結されている。
転舵部3は、第1ピニオンシャフト13、第1ラックアンドピニオン機構14、および転舵シャフト15を有している。第1ピニオンシャフト13は、ステアリングシャフト12におけるステアリングホイール11と反対側の部分に設けられている。第1ピニオンシャフト13は第1ラックアンドピニオン機構14を構成し、その下端部は第1ピニオンシャフト13に対して交わる方向へ延びる転舵シャフト15に連結されている。第1ラックアンドピニオン機構14は、第1ピニオンシャフト13の第1ピニオン歯13aが転舵シャフト15の第1ラック歯15aに噛み合うことにより構成されている。第1ラックアンドピニオン機構14により転舵シャフト15は、往復移動可能に支持されている。転舵シャフト15の両端は、それぞれタイロッド16,16を介して、左右の転舵輪17,17に連結されている。
操舵装置1は、操舵反力を生成するための構成として、反力ユニット30を備えている。操舵反力とは、運転者によるステアリングホイール11の操作方向と反対方向へ向けて作用する力のことである。この操舵反力をステアリングホイール11(ステアリングシャフト12)に付与することにより、運転者に適度な手応え感を与えることができる。
反力ユニット30は、操舵側モータ31、第1減速機構32、第1回転角センサ33、およびトルクセンサ34を有している。
操舵側モータ31は、操舵反力の発生源である。操舵側モータ31としては、たとえば3相のブラシレスモータが採用される。操舵側モータ31の第1回転軸31aは、第1減速機構32を介して、ステアリングシャフト12に連結されている。操舵側モータ31のトルクがステアリングシャフト12に付与されることにより、ステアリングホイール11に操舵反力が付与される。
操舵側モータ31は、操舵反力の発生源である。操舵側モータ31としては、たとえば3相のブラシレスモータが採用される。操舵側モータ31の第1回転軸31aは、第1減速機構32を介して、ステアリングシャフト12に連結されている。操舵側モータ31のトルクがステアリングシャフト12に付与されることにより、ステアリングホイール11に操舵反力が付与される。
第1回転角センサ33は、操舵側モータ31の第1回転軸31aの第1回転角θs0を検出する。操舵側モータ31の第1回転角θs0は、操舵角θsの演算に使用される。なお、操舵側モータ31とステアリングシャフト12とは、第1減速機構32を介して連動する。操舵側モータ31の第1回転角θs0と、ステアリングシャフト12の回転角との間には相関がある。また、ステアリングシャフト12の回転角とステアリングホイール11の操舵角θsとの間にも相関がある。このため、操舵角θsは、第1回転角センサ33により検出される第1回転角θs0に基づいて求めることができる。
トルクセンサ34は、ステアリングシャフト12における第1減速機構32よりもステアリングホイール11側の部分に設けられている。トルクセンサ34は、ステアリングシャフト12の途中に設けられるトーションバー34aを有している。トルクセンサ34は、ステアリングホイール11が回転操作されることによりステアリングシャフト12に加わる操舵トルクThを検出する。
操舵装置1は、転舵力を発生させるための構成として、転舵ユニット40を備えている。転舵力とは、転舵輪17,17を転舵させるための力のことである。
転舵ユニット40は、転舵側モータ41、第2減速機構42、回転角センサとしての第2回転角センサ43、第2ピニオンシャフト44、および第2ラックアンドピニオン機構45を有している。
転舵ユニット40は、転舵側モータ41、第2減速機構42、回転角センサとしての第2回転角センサ43、第2ピニオンシャフト44、および第2ラックアンドピニオン機構45を有している。
転舵側モータ41は、転舵力の発生源である。転舵側モータ41としては、たとえば3相のブラシレスモータが採用される。転舵側モータ41の第2回転軸41aは、第2減速機構42を介して、第2ピニオンシャフト44に連結されている。第2ピニオンシャフト44は第2ラックアンドピニオン機構45を構成し、その下端部は第2ピニオンシャフト44に対して交わる方向へ延びる転舵シャフト15に連結されている。第2ラックアンドピニオン機構45は、第2ピニオンシャフト44の第2ピニオン歯44aが転舵シャフト15の第2ラック歯15bに噛み合うことにより構成されている。第2ラックアンドピニオン機構45により転舵シャフト15は、往復移動可能に支持されている。第1ラックアンドピニオン機構14および第2ラックアンドピニオン機構45は、転舵シャフト15を図示しないハウジングに対して支持する。転舵側モータ41のトルクが第2ピニオンシャフト44に付与されることにより、第2ピニオンシャフト44が回転運動する。第2ピニオンシャフト44の回転運動は、第2ラックアンドピニオン機構45を介して転舵シャフト15の軸方向の往復直線運動に変換される。これにより、転舵側モータ41のトルクは、転舵力として、第2ピニオンシャフト44を介して転舵シャフト15に付与される。
第2回転角センサ43は、転舵側モータ41の第2回転軸41aの第2回転角θt0を検出する。転舵側モータ41の第2回転角θt0は、転舵角θtに換算可能な値である第2ピニオンシャフト44の回転角(ピニオン角θp)の演算に使用される。なお、転舵側モータ41と第2ピニオンシャフト44とは第2減速機構42を介して連動しているため、転舵側モータ41の第2回転角θt0と第2ピニオンシャフト44のピニオン角θpとの間には相関がある。また、第2ピニオンシャフト44のピニオン角θpと第1ピニオンシャフト13の回転角との間にも相関がある。また、第2ピニオンシャフト44のピニオン角θpと転舵輪17,17の転舵角θtとの間にも相関がある。このため、転舵角θtは、第2回転角センサ43により検出される第2回転角θt0に基づいて求めることができる。なお、操舵トルクTh、第1回転角θs0、第2回転角θt0、およびピニオン角θpは、ステアリングホイール11が一方向(本実施形態では右方向)に操舵された場合に正の値、他方向(本実施形態では左方向)に操舵された場合に負の値で検出される。
操舵装置1は、操舵制御装置50を備えている。操舵制御装置50は、各種のセンサの検出結果に基づいて、操舵側モータ31および転舵側モータ41を制御する。各種のセンサとしては、第1回転角センサ33、トルクセンサ34、第2回転角センサ43、および車速センサ46が用いられる。車速センサ46は、車両の走行速度である車速Vを検出する。
操舵制御装置50は、操舵側モータ31の制御を通じてステアリングホイール11に操舵反力を発生させる反力制御を実行するとともに、転舵側モータ41の制御を通じて転舵輪17,17を転舵させる転舵制御を実行することにより、操舵装置1をステアバイワイヤ装置として機能させる。これにより、ステアリングホイール11の回転操作に伴い転舵シャフト15が直線運動することで、転舵輪17,17の転舵角θtが変更される。
操舵制御装置50は、操舵トルクThおよび車速Vに基づいて、操舵反力を発生させるための目標操舵反力を演算する。そして、操舵制御装置50は、演算された目標操舵反力および操舵トルクThに基づいて目標操舵角を演算する。操舵制御装置50は、実際の操舵角を目標操舵角に追従させるべく、操舵角の角度フィードバック制御を実行することにより、操舵角加算量を演算し、当該操舵角加算量を目標操舵反力に加算することにより、操舵反力指令値を演算する。操舵制御装置50は、操舵反力指令値に応じた操舵反力を発生させるために必要とされる電流に基づいて、操舵側モータ31に対する給電を制御する。これにより、操舵制御装置50は、操舵側モータ31の制御を通じてステアリングホイール11に操舵反力を発生させる反力制御を実行する。
操舵制御装置50は、第2回転角センサ43により検出される第2回転角θt0に基づいて、第2ピニオンシャフト44の実際の回転角であるピニオン角θpを演算する。操舵制御装置50は、目標操舵角を用いて目標ピニオン角(後述の目標操舵角θ1*)を演算する。なお、目標操舵角は、第2回転角θt0と同様に、一方向の回転角の指令値である場合に正の値、他方向の回転角の指令値である場合に負の値とする。そして、操舵制御装置50は、目標ピニオン角と実際のピニオン角θpとの偏差に基づいて、角度フィードバック制御を実行することにより、当該偏差を無くすように転舵側モータ41に対する給電を制御する。これにより、操舵制御装置50は、転舵側モータ41の制御を通じて転舵輪17,17を転舵させる転舵制御を実行する。
なお、本実施形態では、転舵シャフト15のボールジョイントが図示しないハウジングに当接することで転舵シャフト15の軸方向の移動が規制されるラックエンドに到達するまで軸方向に移動したときに、ステアリングホイール11をさらにわずかに回転可能なように、図示しないスパイラルケーブルの長さにわずかにマージンを持たせてある。すなわち、ステアリングホイール11が回転することが許容される操舵限界は、転舵輪17,17の転舵限界よりも大きく設定されている。
また、操舵制御装置50は、ステアリングホイール11が操舵限界に近付く場合に、ステアリングホイール11が操舵限界を超えないように、ステアリング操作に抗する操舵反力を大きくする。すなわち、操舵制御装置50は、ステアリングホイール11の操舵角θsが操舵限界よりも中立よりの所定の角度に達したときに操舵反力を大きくすることにより、ステアリングホイール11が操舵限界を超えて操作されることを規制する。この場合の操舵反力は、ステアリングホイール11が操舵限界を超えない程度、すなわち人の力ではそれ以上ステアリングホイール11を操舵限界側に操作できないほど大きい値に設定される。
操舵制御装置50の構成について説明する。
図2に示すように、操舵制御装置50は、反力制御を実行する反力制御部50a、転舵制御を実行する転舵制御部50b、転舵側中点判定部100、および記憶部110を有している。
図2に示すように、操舵制御装置50は、反力制御を実行する反力制御部50a、転舵制御を実行する転舵制御部50b、転舵側中点判定部100、および記憶部110を有している。
記憶部110は、反力制御部50aおよび転舵制御部50bで実行される反力制御および転舵制御などの各種の制御で用いる各種の情報を記憶している。記憶部110としては不揮発性のメモリなどが採用される。記憶部110は、転舵側中点θtmの転舵中点情報および操舵側中点θsmの操舵中点情報を絶対角で示される形式で記憶している。以下では説明の便宜上、記憶部110に記憶されている情報を転舵側中点θtmおよび操舵側中点θsmとして記載する。転舵側中点θtmとは、車両が直進走行している状態での転舵輪17,17(転舵シャフト15)の中立位置に対応することになる転舵側モータ41の回転角を示す転舵中点情報として、記憶部110に記憶された値である。操舵側中点θsmとは、ステアリングホイール11の中立位置に対応することになる操舵側モータ31の回転角を示す転舵中点情報として、記憶部110に記憶された値である。本来であれば、転舵側中点θtmに対応するピニオン角θpを演算して転舵側モータ41を制御した場合、転舵輪17,17(転舵シャフト15)は中立位置となるように配置されるのであり、こうした転舵輪17,17(転舵シャフト15)の中立位置に対応する本来あるべき正しい転舵側中点(以下、「正転舵側中点θtm0」という。)と記憶部110に記憶されている転舵側中点θtmとは一致するはずである。その場合、転舵側中点θtm(正転舵側中点θtm0)は、操舵側中点θsmを転舵側モータ41の回転角での表示に換算した値と一致するはずである。しかし、操舵装置1の各部材の寸法公差や記憶部110の不具合などに起因して、転舵側中点θtmと正転舵側中点θtm0との間にずれが生じることがある。たとえば、記憶部110で記憶していた転舵側中点θtmの転舵中点情報が外乱によって異なる情報に変化した場合、転舵側中点θtmと正転舵側中点θtm0との間にずれが生じる。この場合、転舵側中点θtmは、操舵側中点θsmとの間にもずれを生じる。なお、操舵側中点θsmおよび転舵側中点θtmは工場出荷時に記憶部110に記憶され、転舵側中点θtmは中点のずれの判定によって補正されて変化するものの、操舵側中点θsmは基本的に工場出荷時の値のままである。
反力制御部50aは、目標操舵反力演算部51、目標操舵角演算部52、操舵角フィードバック制御部53、第1電流指令値演算部54、第1モータ制御信号生成部55、操舵角演算部56、第1駆動回路57、第1電流センサ58、加算部59,60、減算部61、および端当て反力演算部62を有している。
目標操舵反力演算部51は、トルクセンサ34により検出された操舵トルクTh、および車速センサ46により検出された車速Vに基づいて、ステアリングホイール11の回転に抗する力である操舵反力の目標値である目標操舵反力T1*を演算する。目標操舵反力演算部51は、操舵トルクThの絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな絶対値となる目標操舵反力T1*を演算する。
端当て反力演算部62は、ステアリングホイール11が操舵限界に近づく場合には、操舵角θsが操舵限界を超えないように、ステアリング操作に抗する反力である端当て反力Te*を演算する。なお、特許請求の範囲で記載する目標操舵反力演算部は、目標操舵反力演算部51、加算部59、減算部61、および端当て反力演算部62を含んでいる。
加算部59は、目標操舵反力T1*と操舵トルクThとの加算値である入力トルクT1b*を出力する。
目標操舵角演算部52は、減算部61を通じて得られる入力トルクT1b*から端当て反力Te*を減算した値である出力値Δから理想モデルに基づいて、ステアリングホイール11の目標操舵角θ1*を演算する。この理想モデルは、出力値Δに応じた理想的な転舵角に対応する操舵角(舵角)を実験などによりモデル化したものである。この理想モデルは、ステアリングシャフト12に印加されるトルクとしての出力値Δが、次式(1)で表されることを利用したモデルである。
目標操舵角演算部52は、減算部61を通じて得られる入力トルクT1b*から端当て反力Te*を減算した値である出力値Δから理想モデルに基づいて、ステアリングホイール11の目標操舵角θ1*を演算する。この理想モデルは、出力値Δに応じた理想的な転舵角に対応する操舵角(舵角)を実験などによりモデル化したものである。この理想モデルは、ステアリングシャフト12に印加されるトルクとしての出力値Δが、次式(1)で表されることを利用したモデルである。
Δ=J・θ1*’’+C・θ1*’+K・θ1* …(1)
式(1)にて表現されるモデルは、ステアリングホイール11と転舵輪17,17との間が機械的に接続されたものにおいて、ステアリングホイール11の回転に伴って回転する第2ピニオンシャフト44のトルクとそのピニオン角θpとの関係を定めるモデルである。なお、慣性係数Jは、ステアリングホイール11およびステアリングシャフト12の慣性モーメントなどであり、EPSの慣性をモデル化したものである。粘性係数Cは、転舵シャフト15のハウジングに対する粘性係数(摩擦係数)などであり、EPSの摩擦などをモデル化したものである。バネ係数Kは、ステアリングホイール11およびステアリングシャフト12をそれぞれバネとみなしたときのバネ係数であり、EPSが搭載される車両のサスペンションやホイールアライメントなどの仕様をモデル化したものである。慣性係数J、粘性係数C、およびバネ係数Kは、車速Vに応じて可変に設定される。
式(1)にて表現されるモデルは、ステアリングホイール11と転舵輪17,17との間が機械的に接続されたものにおいて、ステアリングホイール11の回転に伴って回転する第2ピニオンシャフト44のトルクとそのピニオン角θpとの関係を定めるモデルである。なお、慣性係数Jは、ステアリングホイール11およびステアリングシャフト12の慣性モーメントなどであり、EPSの慣性をモデル化したものである。粘性係数Cは、転舵シャフト15のハウジングに対する粘性係数(摩擦係数)などであり、EPSの摩擦などをモデル化したものである。バネ係数Kは、ステアリングホイール11およびステアリングシャフト12をそれぞれバネとみなしたときのバネ係数であり、EPSが搭載される車両のサスペンションやホイールアライメントなどの仕様をモデル化したものである。慣性係数J、粘性係数C、およびバネ係数Kは、車速Vに応じて可変に設定される。
式(1)から分かるように、出力値Δは、目標操舵角θ1*の2階時間微分値θ1*’’に慣性係数Jを乗じた値、目標操舵角θ1*の1階時間微分値θ1*’に粘性係数Cを乗じた値、および目標操舵角θ1*にバネ係数Kを乗じた値を加算することによって得られる。目標操舵角演算部52は、式(1)に基づく理想モデルに従って目標操舵角θ1*を演算する。
操舵角演算部56は、第1回転角センサ33により検出された操舵側モータ31の第1回転角θs0および記憶部110に記憶されている操舵側中点θsmを取得する。操舵角演算部56は、第1回転角センサ33により検出された操舵側モータ31の第1回転角θs0から記憶部110に記憶されている操舵側中点θsmを減算した値に基づいて、ステアリングホイール11の実際の操舵角θsを演算する。なお、操舵制御装置50は、イグニッションスイッチがオフされている期間においても、操舵側モータ31の第1回転軸31aの中立位置からの回転数を確認しており、操舵角θsの演算に際しては、この回転数も考慮する。
操舵角フィードバック制御部53は、ステアリングホイール11の実際の操舵角θsを、目標操舵角θ1*に追従させるべく、操舵角θsのフィードバック制御を通じて、操舵角加算量T1c*を演算する。
加算部60は、目標操舵反力T1*に操舵角加算量T1c*を加算することにより、操舵反力指令値Ts*を算出する。
第1電流指令値演算部54は、操舵反力指令値Ts*に基づいて、操舵側モータ31の駆動電流の目標値である第1電流指令値I1*を演算する。
第1電流指令値演算部54は、操舵反力指令値Ts*に基づいて、操舵側モータ31の駆動電流の目標値である第1電流指令値I1*を演算する。
第1モータ制御信号生成部55は、操舵側モータ31への給電経路に設けられた第1電流センサ58を通じて、操舵側モータ31に実際に供給される電流の値である第1実電流値I1を取得する。第1モータ制御信号生成部55は、第1電流指令値I1*に第1実電流値I1を追従させる電流フィードバック制御を実行することにより、第1モータ制御信号Sm1を生成する。第1モータ制御信号生成部55は、第1電流指令値I1*と第1実電流値I1との偏差を無くすように、操舵側モータ31に対する給電を制御することにより、操舵側モータ31は操舵反力指令値Ts*に応じたトルクを発生させることができる。
第1駆動回路57は、3相(U相、V相、W相)の駆動回路である。第1駆動回路57は、第1モータ制御信号Sm1に基づいて、自身を構成するスイッチング素子をオンオフすることにより、図示しないバッテリから供給される直流電力を3相交流電力に変換する。第1駆動回路57は、当該3相交流電力を操舵側モータ31に供給する。
図3に示すように、端当て反力演算部62は、目標操舵角θ1*に基づいて端当て反力Te*を演算する。端当て反力演算部62は、目標操舵角θ1*が端当て閾値θth以下の場合、端当て反力Te*の値を「0」とする(端当て反力Te*を生成しない)。端当て反力演算部62は、目標操舵角θ1*が端当て閾値θthを超える場合、端当て反力Te*の値を「規制値T0」とする(端当て反力Te*を生成する)。なお、端当て反力Te*の最大値である規制値T0は、ステアリングホイール11の操舵角θsが操舵限界を超えることを抑制するのに十分な操舵反力の目標値、すなわち人の力ではそれ以上ステアリングホイール11を操作できないほど大きい値に設定される。
転舵制御部50bは、ピニオン角演算部71、ピニオン角フィードバック制御部72、第2電流指令値演算部73、第2モータ制御信号生成部74、第2駆動回路75、および第2電流センサ76を有している。
ピニオン角演算部71は、第2回転角センサ43により検出された転舵側モータ41の第2回転角θt0および記憶部110に記憶されている転舵側中点θtmを取得する。ピニオン角演算部71は、第2回転角センサ43により検出された転舵側モータ41の第2回転角θt0から記憶部110に記憶されている転舵側中点θtmを減算した値に基づいて、ピニオン角θpを演算する。なお、操舵制御装置50は、イグニッションスイッチがオフされている期間においても、転舵側モータ41の第2回転軸41aの中立位置からの回転数を確認しており、操舵角θsの演算に際しては、この回転数も考慮する。
ピニオン角フィードバック制御部72は、ピニオン角θpを目標ピニオン角としての目標操舵角θ1*に追従させるべく、ピニオン角θpのフィードバック制御(たとえばPID制御)を通じて、転舵力指令値T2*を演算する。なお、ピニオン角フィードバック制御部72に入力する目標操舵角θ1*(角度指令値)を演算する目標操舵角演算部52は、角度指令値演算部として機能する。
第2電流指令値演算部73は、転舵力指令値T2*に基づいて、転舵側モータ41の駆動電流の目標値である第2電流指令値I2*を演算する。
第2モータ制御信号生成部74は、転舵側モータ41への給電経路に設けられた第2電流センサ76を通じて、転舵側モータ41に実際に供給される電流の値である第2実電流値I2を取得する。第2モータ制御信号生成部74は、第2電流指令値I2*に第2実電流値I2を追従させる電流フィードバック制御を実行することにより、第2モータ制御信号Sm2を生成する。第2モータ制御信号生成部74は、第2電流指令値I2*と第2実電流値I2との偏差を無くすように、転舵側モータ41に対する給電を制御することにより、転舵側モータ41は転舵力指令値T2*に応じたトルクを発生させることができる。
第2モータ制御信号生成部74は、転舵側モータ41への給電経路に設けられた第2電流センサ76を通じて、転舵側モータ41に実際に供給される電流の値である第2実電流値I2を取得する。第2モータ制御信号生成部74は、第2電流指令値I2*に第2実電流値I2を追従させる電流フィードバック制御を実行することにより、第2モータ制御信号Sm2を生成する。第2モータ制御信号生成部74は、第2電流指令値I2*と第2実電流値I2との偏差を無くすように、転舵側モータ41に対する給電を制御することにより、転舵側モータ41は転舵力指令値T2*に応じたトルクを発生させることができる。
第2駆動回路75は、3相(U相、V相、W相)の駆動回路である。第2駆動回路75は、第2モータ制御信号Sm2に基づいて、自身を構成するスイッチング素子をオンオフすることにより、図示しないバッテリから供給される直流電力を3相交流電力に変換する。第2駆動回路75は、当該3相交流電力を転舵側モータ41に供給する。
転舵側中点判定部100は、記憶部110に記憶されている転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれているか否かを判定する。転舵側中点判定部100は、記憶部110に記憶されている転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定する場合、転舵側中点θtmを補正する。
図4に示すように、転舵側中点判定部100は、判定部101、計時部102、補正部103を有している。
判定部101は、車速センサ46により検出される車速Vと、ピニオン角演算部71により演算されるピニオン角θpと、第2電流センサ76により検出される第2実電流値I2と、目標操舵角演算部52により演算される目標操舵角θ1*とを取得する。判定部101は、車速センサ46により検出される車速Vが車速閾値Vmin以上であるか否かを判定する。車速閾値Vminは、車両が走行しているか否かを切り分ける閾値であり、転舵輪17,17が縁石などの物体に当たっていないと考えられる車速に基づいて設定される。すなわち、車速Vが車速閾値Vmin以上である場合、転舵輪17,17は縁石などの物体に当たっていないものと考えられる。判定部101は、目標操舵角演算部52により演算される目標操舵角θ1*とピニオン角演算部71により演算されるピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であるか否かを判定する。偏差閾値Δθpは、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差がノイズや振動などに起因する値ではなく有意な値であるか否かを切り分ける閾値である。判定部101は、第2電流センサ76により検出される第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上であるか否かを判定する。電流閾値Iminは、ステアリングホイール11が操舵限界に達する前に、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達したことに起因して流れる電流に基づいて設定される。転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達したときには、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすように転舵側モータ41に第2実電流値I2の電流を流したとしても、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすことができない。そして、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすように、転舵側モータ41に流れる電流値である第2実電流値I2の絶対値をさらに大きくする。この結果、第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上になる。また、判定部101は、車速Vが車速閾値Vmin以上である場合に、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である状況が継続するとき、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定する。判定部101は、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定した場合、転舵側中点補正要求を生成する。
判定部101は、車速センサ46により検出される車速Vと、ピニオン角演算部71により演算されるピニオン角θpと、第2電流センサ76により検出される第2実電流値I2と、目標操舵角演算部52により演算される目標操舵角θ1*とを取得する。判定部101は、車速センサ46により検出される車速Vが車速閾値Vmin以上であるか否かを判定する。車速閾値Vminは、車両が走行しているか否かを切り分ける閾値であり、転舵輪17,17が縁石などの物体に当たっていないと考えられる車速に基づいて設定される。すなわち、車速Vが車速閾値Vmin以上である場合、転舵輪17,17は縁石などの物体に当たっていないものと考えられる。判定部101は、目標操舵角演算部52により演算される目標操舵角θ1*とピニオン角演算部71により演算されるピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であるか否かを判定する。偏差閾値Δθpは、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差がノイズや振動などに起因する値ではなく有意な値であるか否かを切り分ける閾値である。判定部101は、第2電流センサ76により検出される第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上であるか否かを判定する。電流閾値Iminは、ステアリングホイール11が操舵限界に達する前に、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達したことに起因して流れる電流に基づいて設定される。転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達したときには、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすように転舵側モータ41に第2実電流値I2の電流を流したとしても、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすことができない。そして、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすように、転舵側モータ41に流れる電流値である第2実電流値I2の絶対値をさらに大きくする。この結果、第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上になる。また、判定部101は、車速Vが車速閾値Vmin以上である場合に、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である状況が継続するとき、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定する。判定部101は、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定した場合、転舵側中点補正要求を生成する。
計時部102は、車速Vが車速閾値Vmin以上である場合に、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である状況が継続する継続時間Tを計測する。判定部101は、継続時間Tが規定時間Tminを超える場合、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定する。規定時間Tminは、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である状況が一時的なものではないと判断される時間に基づいて設定される。
補正部103は、判定部101により転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定された場合、すなわち判定部101により転舵側中点補正要求が生成された場合において、車両が停車中にあることが検出されるとき、転舵側中点θtmの補正を実行する。補正部103は、車速センサ46により検出される車速Vが停車判定閾値V0未満である場合、車両が停車中にあることを検出する。停車判定閾値V0は、車両が停車状態にあるか否かを切り分ける閾値である。補正部103は、転舵側中点θtmの補正に際して、操舵側モータ31の回転角を転舵側モータ41の回転角に換算することに対応して、操舵側中点θsmを操舵側モータ31の回転角での表示から転舵側モータ41の回転角での表示に換算する。転舵側中点θtmは転舵輪17,17(転舵シャフト15)の中立位置に対応することになる転舵側モータ41の回転角であり、操舵側中点θsmはステアリングホイール11の中立位置に対応することになる操舵側モータ31の回転角であるため、基準が異なるからである。補正部103は、転舵側中点θtmを換算された操舵側中点θsmに時間に応じて徐々に近付けることにより、転舵側中点θtmを補正する。一例としては、転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を所定回数の制御周期をもって補正する場合、転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を所定回数で均等に割った値ずつ、転舵側中点θtmに反映させる。
図5を用いて、判定部101で行われる転舵側中点θtmのずれの判定手順を説明する。
図5のフローチャートに示すように、判定部101は、車速センサ46により検出される車速Vが車速閾値Vmin以上であるか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、判定部101は、ステップS1において、車両が走行中にあるか否かを判定している。
図5のフローチャートに示すように、判定部101は、車速センサ46により検出される車速Vが車速閾値Vmin以上であるか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、判定部101は、ステップS1において、車両が走行中にあるか否かを判定している。
判定部101は、車速Vが車速閾値Vmin以上である場合(ステップS1のYES)、目標操舵角演算部52により演算される目標操舵角θ1*とピニオン角演算部71により演算されるピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であるか否かを判定する(ステップS2)。
判定部101は、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上である場合(ステップS2のYES)、第2電流センサ76により検出される第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上であるか否かを判定する(ステップS3)。
判定部101は、第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である場合(ステップS3のYES)、継続時間Tが規定時間Tmin以上であるか否かを判定する(ステップS4)。
判定部101は、継続時間Tが規定時間Tmin以上である場合(ステップS4のYES)、転舵側中点補正要求を生成し(ステップS5)、処理を終了する。
判定部101は、車速Vが車速閾値Vmin未満である場合(ステップS1のNO)、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp未満である場合(ステップS2のNO)、第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin未満である場合(ステップS3のNO)、継続時間Tが規定時間Tmin未満である場合(ステップS4のNO)、処理を終了する。
判定部101は、車速Vが車速閾値Vmin未満である場合(ステップS1のNO)、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp未満である場合(ステップS2のNO)、第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin未満である場合(ステップS3のNO)、継続時間Tが規定時間Tmin未満である場合(ステップS4のNO)、処理を終了する。
図6を用いて、補正部103で行われる転舵側中点θtmの補正手順を説明する。補正部103は、判定部101により転舵側中点補正要求が生成された場合、図6のフローチャートに示される補正手順で転舵側中点θtmを補正する。
図6のフローチャートに示すように、補正部103は、転舵側中点補正要求が生成された場合、車速Vが停車判定閾値V0未満であるか否かを判定する(ステップS11)。
補正部103は、車速Vが停車判定閾値V0未満である場合(ステップS11のYES)、転舵側中点θtmを時間に応じて徐々に操舵側中点θsmに近付け(ステップS12)、処理を終了する。これにより、転舵側中点θtmの補正が実行される。
補正部103は、車速Vが停車判定閾値V0未満である場合(ステップS11のYES)、転舵側中点θtmを時間に応じて徐々に操舵側中点θsmに近付け(ステップS12)、処理を終了する。これにより、転舵側中点θtmの補正が実行される。
補正部103は、車速Vが停車判定閾値V0以上である場合(ステップS11のNO)、処理を終了する。
なお、補正部103で行われる転舵側中点θtmの補正手順は、図6のフローチャートに示すものに限らない。補正部103は、判定部101により転舵側中点補正要求が生成された場合、図7のフローチャートに示される補正手順で転舵側中点θtmを補正するようにしてもよい。
なお、補正部103で行われる転舵側中点θtmの補正手順は、図6のフローチャートに示すものに限らない。補正部103は、判定部101により転舵側中点補正要求が生成された場合、図7のフローチャートに示される補正手順で転舵側中点θtmを補正するようにしてもよい。
図7のフローチャートに示すように、補正部103は、車速Vが停車判定閾値V0以上であるか否かを判定する(ステップS21)。
補正部103は、車速Vが停車判定閾値V0以上である場合(ステップS21のYES)、転舵側中点θtmをトルクセンサ34により検出される操舵トルクThに応じて徐々に操舵側中点θsmに近付け(ステップS22)、処理を終了する。一例としては、補正部103は、転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を、操舵トルクThの絶対値が大きいほど大きく転舵側中点θtmに反映させる。すなわち、補正部103は、転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を転舵側中点θtmに反映させる量を、操舵トルクThの絶対値が大きい場合には大きく、操舵トルクThの絶対値が小さい場合には小さくする。これにより、転舵側中点θtmの補正が実行される。
補正部103は、車速Vが停車判定閾値V0以上である場合(ステップS21のYES)、転舵側中点θtmをトルクセンサ34により検出される操舵トルクThに応じて徐々に操舵側中点θsmに近付け(ステップS22)、処理を終了する。一例としては、補正部103は、転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を、操舵トルクThの絶対値が大きいほど大きく転舵側中点θtmに反映させる。すなわち、補正部103は、転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を転舵側中点θtmに反映させる量を、操舵トルクThの絶対値が大きい場合には大きく、操舵トルクThの絶対値が小さい場合には小さくする。これにより、転舵側中点θtmの補正が実行される。
本実施形態の作用および効果を説明する。
(1)転舵側中点θtmを基準として、ピニオン角θpが演算され、当該ピニオン角θpの制御を通じて転舵輪17,17の転舵角θtが制御される。転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている場合には、ステアリングホイール11を切り込み操舵した際、ステアリングホイール11の操舵角θsが操舵限界に近付いて、目標操舵角θ1*が端当て閾値θthを超えるよりも前に、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達することがある。たとえば転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0よりも正にずれた場合には、演算されるピニオン角θpは本来のピニオン角θpよりも正の方向に小さい値となる。これにより、操舵制御装置50により演算されるピニオン角θpは本来あるべき正しいピニオン角からずれる。そして、操舵制御装置50は、ピニオン角θpの制御を通じて転舵輪17,17の転舵角θtを本来あるべき正しい転舵角よりも正の方向に大きくなるように制御する。この結果、ステアリングホイール11を右方向に切り込み操舵した際、転舵輪17,17の転舵角θtは本来あるべき正しい転舵角よりも正の方向に大きくなることにより、転舵輪17,17の転舵角θtが右の転舵限界に達することがある。
(1)転舵側中点θtmを基準として、ピニオン角θpが演算され、当該ピニオン角θpの制御を通じて転舵輪17,17の転舵角θtが制御される。転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている場合には、ステアリングホイール11を切り込み操舵した際、ステアリングホイール11の操舵角θsが操舵限界に近付いて、目標操舵角θ1*が端当て閾値θthを超えるよりも前に、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達することがある。たとえば転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0よりも正にずれた場合には、演算されるピニオン角θpは本来のピニオン角θpよりも正の方向に小さい値となる。これにより、操舵制御装置50により演算されるピニオン角θpは本来あるべき正しいピニオン角からずれる。そして、操舵制御装置50は、ピニオン角θpの制御を通じて転舵輪17,17の転舵角θtを本来あるべき正しい転舵角よりも正の方向に大きくなるように制御する。この結果、ステアリングホイール11を右方向に切り込み操舵した際、転舵輪17,17の転舵角θtは本来あるべき正しい転舵角よりも正の方向に大きくなることにより、転舵輪17,17の転舵角θtが右の転舵限界に達することがある。
この点、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達した場合には、ピニオン角θpを目標操舵角θ1*に追従させるように転舵側モータ41を駆動させたとしても、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達しているため、転舵角θtに対応するピニオン角θpを目標操舵角θ1*へ向けて変化させることができない。その結果、目標操舵角演算部52により演算される目標操舵角θ1*とピニオン角演算部71により演算されるピニオン角θpとの間に偏差が生じることとなる。この偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上である場合、操舵制御装置50は、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨を車両の旋回走行中において判定することができる。
(2)たとえば運転者がステアリングホイール11を緩やかに操舵している場合など、ステアリングホイール11の操舵状態によっては、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれていないにもかかわらず、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上になる状況が発生することがある。この場合、ステアリングホイール11を勢いよく切り込み操舵した場合を除くほとんどの操舵状態では、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値は小さいため、転舵側モータ41に付与される第2実電流値I2は電流閾値Iminよりも小さくなる。
一方、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれていることにより、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達した場合には、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすように転舵側モータ41に第2実電流値I2を付与したとしても、転舵角θtに対応するピニオン角θpを目標操舵角θ1*へ向けて変化させることができない。その結果、目標操舵角演算部52により演算される目標操舵角θ1*とピニオン角演算部71により演算されるピニオン角θpとの間に偏差が生じることとなる。また、操舵制御装置50は、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすようにピニオン角θpのフィードバック制御を実行することにより、転舵側モータ41に転舵力指令値T2*に対応した第2実電流値I2を付与するものの、その偏差はなくならない。そして、操舵制御装置50は、転舵側モータ41に第2実電流値I2を付与したにもかかわらず、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くすことができないため、転舵側モータ41に現在の第2実電流値I2よりもさらに大きな電流を付与することにより、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差を無くそうとする。この結果、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、第2実電流値I2が電流閾値Imin以上である状況が発生する。
そこで、本実施形態では、転舵側中点θtmのずれの判定を、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上であることに基づいて実行しているため、その判定をより的確なものにすることができる。
(3)たとえばステアリングホイール11を勢いよく切り込み操舵した場合などには、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれていないにもかかわらず、一時的に目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上になる状況や、あるいは第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上になる状況が発生することもある。また、車両が走行しているときに、転舵輪17,17が縁石などの物体に当たることにより、一時的に目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上になる状況や、あるいは第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上になる状況が発生することもある。ただ、これらの状況は一時的なものにすぎず、継続しない。
そこで、本実施形態では、転舵側中点θtmのずれの判定を、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である状況が継続する継続時間Tが規定時間Tmin以上であることに基づいて実行しているため、その判定をより的確なものにすることができる。
(4)操舵装置1はステアバイワイヤ式の操舵装置であるため、操舵制御装置50は転舵側中点θtmとは別に操舵側中点θsmを記憶している。操舵制御装置50は、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定された場合には、車両の停車中に、転舵側中点θtmを操舵側中点θsmに時間に応じて徐々に近付けることにより、補正に際して生じる転舵側モータ41の駆動を緩やかにできる。これにより、転舵側中点θtmの補正に際して、運転者に違和感を与えることが抑制される。また、転舵側中点θtmが補正されることにより、ステアリングホイール11を中立位置に保持しているにもかかわらず、転舵輪17,17が中立位置からずれてしまうことなどが解消される。
(5)車両の走行中において転舵側中点θtmを補正する場合、転舵側中点θtmを操舵側中点θsmに操舵トルクThに応じて徐々に近付けることにより、補正に際して生じる転舵側モータ41の駆動を緩やかにできる。このため、運転者がステアリング操作している場合であっても、転舵側中点θtmの補正に際して、運転者に違和感を与えることが抑制される。
(6)車両が直進走行中であることを条件として転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれていることを判定する場合、車両が直進走行している状況を維持する必要があり、転舵側中点θtmのずれの判定に時間を要する。一例としては、車両が直進走行していることを判定するのに少なくとも100ms(ミリ秒)の時間を要するため、転舵側中点θtmのずれの判定に少なくとも100ms程度の時間が必要である。これに対し、本実施形態では、転舵輪17,17の転舵角θtが転舵限界に達した状況が発生すれば、数ms程度(長くとも50ms以内)の時間で転舵側中点θtmのずれの判定を行うことができる。このため、転舵側中点θtmのずれの判定をより迅速に実行できる。
なお、本実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
・本実施形態では、転舵側中点θtmの補正に際して、転舵側中点θtmを操舵側中点θsmに時間に応じて徐々に近付けることにより、あるいは転舵側中点θtmを操舵側中点θsmに操舵トルクThに応じて徐々に近付けることにより補正を行ったが、これに限らない。たとえば、ピニオン角θpに応じて徐々に近付けることにより補正を行ってもよいし、操舵角θsに応じて徐々に近付けることにより補正を行ってもよい。
・本実施形態では、転舵側中点θtmの補正に際して、転舵側中点θtmを操舵側中点θsmに時間に応じて徐々に近付けることにより、あるいは転舵側中点θtmを操舵側中点θsmに操舵トルクThに応じて徐々に近付けることにより補正を行ったが、これに限らない。たとえば、ピニオン角θpに応じて徐々に近付けることにより補正を行ってもよいし、操舵角θsに応じて徐々に近付けることにより補正を行ってもよい。
・転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を所定回数の制御周期をもって転舵側中点θtmを補正する場合、転舵側中点θtmに対して制御周期ごとにずれ量の反映量を異なるものとしてもよい。また、転舵側中点θtmと換算された操舵側中点θsmとのずれ量を、操舵トルクThに応じて均等に割った値ずつ、転舵側中点θtmに反映させてもよい。
・本実施形態では、計時部102は継続時間Tを計測するものであったが、これに限らない。たとえば、計時部102は、車速Vが車速閾値Vmin以上である場合に、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上である旨判定される場合、カウント値をインクリメント(+1)するものであってもよい。この場合、判定部101は、カウント値が規定時間Tminに対応するカウント閾値を超える場合、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれている旨判定する。
・本実施形態では、計時部102が設けられたが、設けなくてもよい。この場合、判定部101は、目標操舵角θ1*とピニオン角θpとの偏差の絶対値が偏差閾値Δθp以上であり、かつ第2実電流値I2の絶対値が電流偏差Imin以上である場合、転舵側中点補正要求を生成する。
・操舵角θsをたとえばステアリングシャフト12に設けられる舵角センサにより直接検出してもよく、ピニオン角θpをたとえば第2ピニオンシャフト44に設けられる舵角センサにより直接検出してもよい。
・本実施形態では、第2回転角センサ43は、転舵側モータ41の第2回転角θt0を検出したが、これに限らない。たとえば、第2回転角センサ43は、第2ピニオンシャフト44の回転角を検出するものであってもよいし、第1ピニオンシャフト13の回転角を検出するものであってもよい。すなわち、第1ピニオンシャフト13の回転角に換算可能な値、言い換えると転舵側モータ41の第2回転角θt0に換算可能な値を検出するものであれば、どのようなものであってもよい。
・本実施形態では、判定部101において実行される転舵側中点θtmのずれの判定において、第2実電流値I2の絶対値が電流閾値Imin以上であるか否かを判定したが、第2電流指令値I2*の絶対値が電流閾値以上であるか否かに基づいて判定を行ってもよい。
・端当て反力演算部62は、目標操舵角θ1*に基づいて端当て反力Te*を演算したが、目標操舵角θ1*の代わりに、ステアリングホイール11の操舵角θsを用いてもよいし、第2ピニオンシャフト44のピニオン角θpを用いてもよい。
・本実施形態では、転舵側中点θtmのずれの判定において、ステップS3が行われたが、行わなくてもよい。また、転舵側中点θtmのずれの判定において、ステップS4が行われたが、行わなくてもよい。すなわち、転舵側中点θtmのずれの判定においては、少なくともステップS2の判定が行われればよい。この場合であっても、転舵側中点θtmが正転舵側中点θtm0からずれていることを判定する精度は落ちるものの、転舵側中点θtmのずれを判定することができる。
・第2回転角センサ43により検出される第2回転角θt0に基づいて、第1ピニオンシャフト13の実際の回転角であるピニオン角を演算してもよい。この場合、目標操舵角は、第1ピニオンシャフト13のピニオン角の目標値となる。
・転舵側モータ41の回転力を、第2ラックアンドピニオン機構45を介して転舵シャフト15に伝達したが、これに限らない。すなわち、転舵側モータ41の回転力を転舵シャフト15に伝達できるのであれば、どのようなものであってもよい。たとえば、転舵シャフト15と同軸上に転舵側モータ41を配置してもよいし、転舵シャフト15に対して平行に転舵側モータ41を配置するものであってもよい。
・第1ラックアンドピニオン機構14(第1ピニオンシャフト13)を設けるかわりに、転舵シャフト15を支持するブッシュなどを設けてもよい。この場合、転舵シャフト15に第1ラック歯15aを設ける必要はない。
・本実施形態では、操舵制御装置50を操舵部2と転舵部3との間が機械的に分離される操舵装置1に適用したが、これに限らない。すなわち、操舵制御装置50を、操舵部2と転舵部3との間が機械的に分離可能な操舵装置1に適用してもよい。
具体的には、図8に示すように、操舵装置1にはクラッチ20が設けられる。クラッチ20としては、たとえば励磁コイルに対する通電によって、断接を行う(接続状態と切断状態とを切り替える)電磁クラッチが採用される。励磁コイルに対して通電されるときクラッチ20は切断状態となり、励磁コイルに対して通電されないときクラッチ20は接続状態となる。操舵制御装置50はクラッチ20を制御する。クラッチ20が切断されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪17,17とが機械的に分離され、これらの間の動力伝達が切断される。これに対して、クラッチ20が接続されるとき、ステアリングホイール11と転舵輪17,17とが機械的に接続され、これらの間の動力伝達が接続される。操舵制御装置50は、クラッチ20が接続状態にある場合、操舵側モータ31および転舵側モータ41の少なくとも一方の制御を通じて操舵トルクThに基づいたアシスト力をステアリングホイール11に付与することにより、操舵装置1を電動パワーステアリング装置として機能させるようにしてもよい。
1…操舵装置、2…操舵部、3…転舵部、11…ステアリングホイール、12…ステアリングシャフト、13…第1ピニオンシャフト、15…転舵シャフト、17…転舵輪、30…反力ユニット、31…操舵側モータ、33…第1回転角センサ、34…トルクセンサ、40…転舵ユニット、41…転舵側モータ、43…第2回転角センサ、44…第2ピニオンシャフト、46…車速センサ、50…操舵制御装置、51…目標操舵反力演算部、52…目標操舵角演算部、53…操舵角フィードバック制御部、54…第1電流指令値演算部、55…第1モータ制御信号生成部、56…操舵角演算部、57…第1駆動回路、58…第1電流センサ、59,60…加算部、61…減算部、62…端当て反力演算部、71…ピニオン角演算部、72…ピニオン角フィードバック制御部、73…第2電流指令値演算部、74…第2モータ制御信号生成部、75…第2駆動回路、76…第2電流センサ、100…転舵側中点判定部、101…判定部、102…計時部、103…補正部、110…記憶部、θp…ピニオン角、θ1*…目標操舵角、θs…操舵角、θt…転舵角、θs0…第1回転角、θt0…第2回転角、θsm…操舵側中点、θtm…転舵側中点、θtm0…正転舵側中点、θth…端当て閾値、Δθp…偏差閾値、I1…第1実電流値、I2…第2実電流値、T…継続時間、Tmin…規定時間、Th…操舵トルク、V…車速、V0…停車判定閾値、Vmin…車速閾値。
Claims (5)
- 運転者により操舵される操舵部と、
転舵輪を転舵させる転舵部と、
前記操舵部に接続されてステアリングホイールに操舵反力を付与する操舵側モータと、
前記転舵部に接続されて前記転舵輪を転舵させる転舵力を付与する転舵側モータと、
前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点を基準として、前記転舵輪の転舵角に換算可能な回転角を検出する回転角センサと、を備える操舵装置を制御対象とする操舵制御装置において、
前記ステアリングホイールの操作に基づいて前記操舵反力の目標値である目標操舵反力を演算し、前記ステアリングホイールの操舵角が前記転舵輪の転舵限界に対応して設定される前記ステアリングホイールの操舵限界に近づく場合に、前記ステアリングホイールの前記操舵角が前記操舵限界を超えないように前記目標操舵反力を高めるように演算する目標操舵反力演算部と、
前記目標操舵反力に基づいて前記操舵側モータへ付与する電流の目標値である第1電流指令値を演算する第1電流指令値演算部と、
前記ステアリングホイールの操作に基づいて前記転舵輪の前記転舵角に換算可能な角度の目標となる角度指令値を演算する角度指令値演算部と、
前記角度指令値に基づいて前記転舵側モータへ付与する電流の目標値である第2電流指令値を演算する第2電流指令値演算部と、
前記転舵側中点を示す転舵中点情報を記憶する記憶部と、
車両の走行中において、前記角度指令値演算部により演算される前記角度指令値と前記回転角センサにより検出される前記回転角を用いて求められる前記角度との偏差に基づいて、前記記憶部に記憶されている転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定する判定部と、を備える操舵制御装置。 - 前記判定部は、車両の走行中において、前記角度指令値演算部により演算される前記角度指令値と前記回転角センサにより検出される前記回転角を用いて求められる前記角度との偏差がある場合、前記転舵側モータに供給される電流に関する値が、前記転舵角が前記転舵輪の転舵限界に達したことに起因する電流に基づいて設定される電流閾値よりも大きいとき、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定する請求項1に記載の操舵制御装置。
- 前記判定部は、車両の走行中において、前記角度指令値演算部により演算される前記角度指令値と前記回転角センサにより検出される前記回転角を用いて求められる前記角度との偏差がある場合、前記角度指令値と前記角度との偏差がある状況が継続する時間が規定時間を超えているとき、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定する請求項1または2に記載の操舵制御装置。
- 前記記憶部は、前記操舵部の中立位置に対応する操舵側中点を示す操舵中点情報を記憶するものであり、
前記判定部により前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定された場合、車両が停車中にあることが検出されることを条件として、前記転舵中点情報を前記操舵中点情報に、時間に応じて徐々に近付けることにより、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点を補正する補正部を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。 - 前記記憶部は、前記操舵部の中立位置に対応する操舵側中点を示す操舵中点情報を記憶するものであり、
前記判定部により前記転舵中点情報に基づく転舵側中点が前記転舵部の中立位置に対応する転舵側中点からずれている旨判定された場合、車両が走行中にあることが検出されることを条件として、前記転舵中点情報を前記操舵中点情報に、前記操舵部に付与される操舵トルクに応じて徐々に近づけることにより、前記転舵中点情報に基づく転舵側中点を補正する補正部を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の操舵制御装置。
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